ニュース|イラク|メディアも報じない『溢れかえる無縁墓地』

|イラク|メディアも報じない『溢れかえる無縁墓地』

【バグダッドIPS=ダール・ジャマイル】

Cemetery manager Abu Ayad Nasir Walid with his logbook of the dead. Credit: Dahr Jamail.

「私はこの4年間働きづめの状態だ。2006年から1年半ほどのピーク時には毎日40から50の遺体を埋葬していた」。バグダッド郊外のアブグレイブで墓堀人夫として働くアリはIPSの取材に応じ、イラク全土の共同墓地で引き取り手のない身元不明の遺体が急増している現状について語った。

同地区の共同墓地で眠る遺体の内訳は、25%が暴力、70%が2006年から2007年にかけて頻発したムクタダ・サドル師率いるシーア派民兵組織、マハディー軍による宗派主義的暴力によるものである。

 バグダッド、アダミヤ地区ではかつて公園のあった場所に共同墓地が設立された。「5,000を越える遺体が眠るこの墓についてメディアも政府も全く関心がないようだ」と、墓地の責任者Abu Ayad Nasir Walidは残念そうに話した。

英国の医学雑誌『ランセット(Lancet)』誌は2006年10月に衝撃的な調査結果を発表している。これによると、イラク戦争開戦以降人口の2.5%にあたる約65万5,000人のイラク人が死亡したという。

2006年2月22日、同国中部サマラではイスラム教シーア派寺院『アスカリ(Al-Askari)廟』が爆破された。この事件をきっかけに数ヶ月続いた宗派間抗争で1日に300人以上が犠牲になった。

アダミヤ地区の共同墓地で墓を掘るSehel Abud Al-Latifは「当時は毎日30から40の遺体を埋葬した。遺体を放置することはできないため、作業は真夜中に及ぶ事もあった」と振り返る。イラクで増え続ける民間人の死亡者数について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

関連記事:
「腐ったリンゴ」は木の近くに落ちた

最新情報

中央アジア地域会議(カザフスタン)

アジア太平洋女性連盟(FAWA)日本大会

2026年NPT運用検討会議第1回準備委員会 

「G7広島サミットにおける安全保障と持続可能性の推進」国際会議

パートナー

client-image
client-image
IDN Logo
client-image
client-image
client-image
Toda Peace Institute
IPS Logo
Kazinform

書籍紹介

client-image
client-image
seijikanojoken