SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)カザフスタンの経済変革: 2029年までにGDPを倍増させ、世界の投資家を惹きつける

カザフスタンの経済変革: 2029年までにGDPを倍増させ、世界の投資家を惹きつける

【London INPS Japan/London Post=ラザ・サイード】

カザフスタンのカシム・ジョマルト・トカエフ大統領は、年頭のインタビューで、新しい経済モデルに切り替え、2029年までに国内総生産(GDP)を倍増させ、最大4500億ドルに達するという目標を概説した。同国の昨年の一人当たりGDPは約13,000ドルである。国際通貨基金(IMF)によると、2028年までにこの数字は16,800ドルに増加すると推定されている。

こうした野心的な目標を達成するため、大統領は経済運営について2つの主要なアプローチを示した。

まず第一に、大規模な産業プロジェクトの実施とインフラ開発計画の作成が行われる。これらのプロジェクトは現在検討中であり、大企業、機関投資家、専門家コミュニティとの協議が行われている。

また、民営化や資産返還など、投資誘致の重要な問題を解決する必要がある。トカエフ大統領は12月4日、カザフスタン経済への投資誘致の効率を高めるための措置に関する政令に署名した。また、最近、投資環境と投資プロジェクトの質の高い実施を促進するための広範な権限を持つ投資本部が設立された。

もうひとつの重要な対策は、経済全体に新しい「ルール」を確立するための制度改革である。政府は大統領の指示に基づき、国とビジネス間の関係を再構築するための新しい税法を策定している。ここでの焦点は、投資家に快適な条件を作りつつ、必要な予算収入レベルを維持するバランスを達成することである。トカエフ大統領は、公共調達と官民パートナーシップに関する新法は、透明性と財政安定のために極めて重要であると強調した。また、「カザフスタンで始まった政治改革と社会の民主化は、外国人投資家にとって予測可能な市場を作り出している。」と語った。

改革には次のような施策が含まれている。つまり、公共信託国民評議会が設立され、選挙、政党、国会に関する法律が改正された。

トカエフ政権による改革の主な目的の一つは、より公平でバランスのとれた政治体制を確立することである。この目的のために、憲法改革の枠組みの中で、民主主義を守るためのいくつかの障壁が設けられた。つまり、①人権と自由のさらなる保護を保証する憲法裁判所が再設立され(これにより、 検事総長やオンブズマンを含むカザフスタン国民は、憲法裁判所に直接申請して、憲法の原則に矛盾すると考えられる違法な規範を宣告することができるようになった)、②大統領の任期は一期7年と変更されず、③カザフスタン国会の下院(マジリス)の権限が大幅に拡大された。

また、集会に関する新法が採択された後、従来の許可制の代わりに、平和的な集会のための届出手続きが導入された。

カザフスタン共和国憲法に関する国民投票の噂について、トカエフ大統領は、「憲法を改正してでも権力を変更することは、経済界と投資会社の双方に混乱をもたらすものであり、国際社会に対する義務を維持し、とりわけ2年前の1月の争乱後にかなり活発な市民社会が形成されているカザフスタンでは、このような慣行は現実的ではない。」と反論した。

外交問題についてトカエフ大統領は、「カザフスタンは地政学的に重要なプレーヤー(中国、ロシア、西側諸国)の間のバランスを保つため、マルチ・ベクトル外交を堅持し続けている。」また、「現在の困難な地政学的状況において、すべての外国のパートナー、特に近隣諸国と互恵的で実用的な協力を発展させることがカザフスタンにとって重要である。」と語った。

トカエフ大統領は、「C5+1」フォーマット(中央アジア5カ国と域外の国との対話フォーマット)の妥当性について言及し、中央アジアは、地政学的現実、貿易、投資、ビジネス、技術革新における幅広い機会について独自のビジョンを持つ、ダイナミックに発展している地域であるとの見解を示した。そのため、中央アジアに対する世界の関心は顕著に高まっており、「C5+1」対話プラットフォームに対する需要も増加している。

トカエフ大統領は、2024年にカザフスタンがいくつかの影響力のある地域・国際組織や団体(上海協力機構集団安全保障条約機構、アラル海国際基金など)の議長を務めること、今年6月に多くの国の指導者や世界的な企業の参加を予定しているアスタナ国際フォーラムが重要なイベントになる、と語った。

トカエフ大統領はドバイで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第28回締約国会議(COP28)で演説し、世界的な気候変動問題への取り組みに対するカザフスタンの強いコミットメントを伝えるとともに、主要な取り組みについて概説した。

この席でトカエフ大統領は、カザフスタンが中央アジア地域で初めてパリ協定を批准し、2060年カーボンニュートラル戦略を採択したことを強調した。また、カザフスタンの新しい環境規範について言及し、国民経済のほぼすべての部門においてグリーン技術の包括的な適応を促進することを目的としたものであると説明した。

トカエフ大統領は、民間の環境保護イニシアチブを支援する国の姿勢を強調し、プラスチック廃棄物をなくすプロジェクトに取り組むカザフスタンのパッカーズ協会に言及した。

トカエフ大統領はまた、カザフスタンがグローバル・メタン・プレッジ(メタンの排出量を2030年までに2020年比で30%削減することを目標とする国際的枠組み)に参加することを決定したことを発表し、メタン排出量の削減が地球規模の警告を遅らせる最速の方法であると語った。大統領は、国際的なパートナーに対し、これらのイニシアティブへの具体的な支援を提供するよう呼びかけ、気候変動対策資金に対するコミットメントの拡大を求めた。

「2050年までに世界の気温上昇を1.5度に抑えることができたとしても、中央アジア諸国は最大2.5度の気温上昇に直面することになる。これは、水不足、猛暑、砂漠化、極端な水文学的現象を引き起こすだろう。」とトカエフ大統領は主張した。

カザフスタンが、来る国連総会で、水へのアクセスなどグローバルなスケールでのガバナンスメカニズムを確立することを目的とした国際フォーラム「ワン・ウォーター・サミット」を、フランスと共同開催することに合意したことは非常に重要だ。

近年、カザフスタンが経済、政治、環境、外交などの分野で打ち出した政策、改革プログラム、構造改革の結果として、同国がより強力で責任感のある立派な国として世界の舞台に登場することが期待されている。「カザフスタンは、急速に不安定になりつつある世界において、調和をもたらし、平和を維持し、安定のために働くという役割を果たす用意がある。」とトカエフ大統領は語った。(原文へ

INPS Japan/ London Post

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