Multimediaドキュメンタリー映画『私は生きぬく(I Want to Live On)』がセミパラチンスク核実験の生存者の声を届ける

ドキュメンタリー映画『私は生きぬく(I Want to Live On)』がセミパラチンスク核実験の生存者の声を届ける

【アスタナINPS Japan/Atana Times=アイバルシン・アフメトカリ】

セミパラチンスク核実験場の生存者たちは8月28日にアスタナで行われたドキュメンタリー「私は生きぬく:語られざるセミパラチンスク」(創価学会インタナショナル(SGI)の支援を得てカザフを拠点とするNGO国際安全保障政策センター(CISP)によって制作された)の上映会で、ソ連による核実験がもたらした恐ろしい人的被害について証言した。

Semipalatinsk former nuclear weapon test site/ photo by Katsuhiro Asagiri
Semipalatinsk former nuclear weapon test site/ photo by Katsuhiro Asagiri

このドキュメンタリーはアリムジャン・アクメートフ氏とアッセル・アフメトワ氏の共同監督作品であり、ソ連邦時代の1949年から89年にかけてセミパラチンスク核実験場(面積は約1万8000平方キロメートルで日本の四国の大きさに相当:INPSJ)で行われた450回以上の核実験が及ぼした影響について、当時実験場の周辺で暮らしていた人々の証言に基づいて制作したものだ。取材に応じた人々の多くは様々な遺伝性疾患に今も苦しんでいる。

このドキュメンタリー作品は、自殺者の多さ、今も家畜が育てられている汚染された土地や湖、不十分な政府支援、遺伝性疾患を子孫に遺さないため子供を持たない決断を強いられた個人の苦悩等、核実験にまつわるあまり知られていない影響についても光を当てている。

アクメートフ監督は、核実験の被害者(ヒバクシャ)個々人の経験を収録することは、セミパラチンスクにおける核実験がもたらした悲劇が世代を超えて続いているという悲惨な実相を伝える上で、より説得力があります。」と語った。

Filmed and edited by Katsuhiro Asagiri, Presidetn of INPS Japan.

「このドキュメンタリー作品を制作するインスピレーションは日本の経験から得ました。2019年にニューヨークを訪れ、国連総会第一委員会に出席していたとき、市民社会フォーラムが開催されていました。彼らは国連の場や主要なアメリカの大学で講演を行ってきました。日本のNGOの1つが、過去10年間に1000人の被爆者(ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下の生存者)を国連に連れてきたというプレゼンテーションを行っていました。 その時、私はこれが実に力強い情報発信の手段だと気付きました。 多くの場合、人々が文書や数字を扱う際には、その背後に生身の人間・個人が存在することを忘れてしまいがちです。」と、アクメートフ監督は語った。

「このドキュメンタリーの目的は、観客が作品に登場する核実験被害者の方々の目を真剣に見つめてもらうことで、この問題の本質を、抽象的なものではなく、個人的なレベルで現実の問題として感じてもらうことです。私たちは、カザフ人だけでなく世界中の人々がこの作品に共感できるように、字幕を作成しました。」とアクメートフ監督は付け加えた。

Dmitriy Vesselov Photo: Katsuhiro Asagiri of INPS Japan.
Dmitriy Vesselov Photo: Katsuhiro Asagiri of INPS Japan.

アクメートフ監督は、この映画が人々の生活に小さいながらも具体的に意味ある影響を与えたことを誇りに思っていると語った。作品の中でインタビューを受けた一人、ディミトリー・ヴェセロフ氏は、鎖骨が完全に欠如するマリー・サントン症候群という遺伝性疾患を抱えているが、障害者として認定されていなかった。しかしこのドキュメンタリー作品が公開され、関係省庁の注目を集めた結果、彼の症状は正式に認定された。

「8年間の苦闘の末、ヴェセロフ氏はようやく障害者として認定されました。ですから、私たちは啓発活動を継続すべきだと思います。カザフスタンの若者たちでさえ、多くの人々が、もう何年も前のことだと考え、今では何の影響もないと思っていることを知り、私はとても驚き、ショックを受けました。」とアクメートフ監督は語った。

アクメートフ監督はまた、このドキュメンタリー作品を40分に拡張する計画があることを明らかにした。

「全体的な考えとしては、これらの物語と(作品で勇気をもって証言に応じた)ヒーローたちをさらに深く掘り下げていくことです。すでに多くの素材を撮影済みなので、新たなヒーローを紹介するつもりはありません。これはどちらかというとアマチュア作品です。しかし、登場するヒーローたちのストーリーには、さらに掘り下げるべき内容があります。20分版をご覧になった視聴者の方々にも、40分版をご覧いただき、彼らのストーリーをより深く理解していただけるでしょう。」とアクメートフ監督は語った。(原文へ

INPS Japan/The Astana Times

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