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|旧ユーゴスラビア|忘れ去られた人道危機

【ベオグラードIDN=ヴェスナ・ペリッチ・ジモニッチ

激しい内戦へと発展したユーゴスラヴィア連邦の崩壊から既に20年以上が経過した。その後地域の平和は90年代には回復したが、国家の崩壊に伴って引き起こされた残虐な暴力や人道危機についてほとんど知らない人々にとっては、当時から何も変わっていないように思えるだろう。

社会学者として著名なラトコ・ボゾヴィッチ教授は、「紛争はすでに終結していますが、政治家たちが無責任な公約を掲げて政争に明け暮れ、一方で経済復興が遅々として進まない状況のなかで、人々は内向きな議論に翻弄され、将来について悲観的になっています。」と指摘したうえで、「旧ユーゴスラヴィア諸国では、各々が経験した内戦の記憶しかない若い世代が台頭してきています。」と語った。

ボゾヴィッチ教授はまた、「内戦の諸原因をきちんと洞察し全体像を把握しようとする努力がほとんどなされない中、次代を担うべきこうした若者たちが、歴史認識においてますます混乱していく可能性は十分にあります。」と語った。

「今日に至る多くの政治機構は内戦時に作られたもので、戦争の影響を検証する際の大きな障害になっています。」と最近開催された戦後バルカン社会に関する円卓会議において、著名なNGO「市民教育センター」のダリボルカ・ウルジァレヴィッチ代表は語った。この会議のタイトルは、「政治家たちはこの地域における和解プロセスをどう見ているか」というものだった。

和解への道のりは依然遅々として進んでいない。旧ユーゴスラヴィア連邦の内戦は1991年に連邦構成国であるスロヴェニアクロアチアが独立宣言をしたことに始まり1992年にはボスニア・ヘルツェゴヴィナがこの動きに続いた。セルビアの首都を兼ねたベオグラードの連邦政府は、こうした独立の動きに対して断固反対の立場をとった。民族的に均一的なスロヴェニアにおける戦争は、犠牲者もほとんど出すことなく10日後にはユーゴスラヴィア連邦軍がスロヴェニアからの撤退に同意して終結した。

独立の動きを見せる連邦構成国に対してセルビア人の保護を名目に介入をしていたスロボダン・ミロシェヴィッチ政権は、セルビア人が少数民族としてかなりの割合を占めていた、クロアチアと、とりわけボスニア・ヘルツェゴヴィナに対しては、セルビア本国からユーゴスラヴィア連邦軍と民兵を送り込み、激しく独立の動きを弾圧した。これに対して、クロアチアとボスニア・ヘルツェゴヴィナは独自の軍を創設し、彼らが呼ぶところの「セルビアによる武力侵害」に対して熾烈な戦いを展開した。

Map of former Yugoslavia/ Cartographer of the United Nations - The Cartographic Section of the United Nations (CSUN), Public Domain
Map of former Yugoslavia/ Cartographer of the United Nations – The Cartographic Section of the United Nations (CSUN), Public Domain

1991年から95年まで続いた内戦で、12万人以上の人々が殺害された。こうした犠牲者の大半は非セルビア人、つまりボシュニャク人クロアチア人であった。ボスニア・ヘルツェゴヴィナでは内戦のピーク時、人口430万人のうち、実に200万人近くが難民となった。人々は国内で各々が属する民族が優勢な地へ移動した。つまり、セルビア人はセルビア人が優勢な地域に、そしてイスラム教徒とクロアチア人は各々イスラム教徒とクロアチア人が支配する地へと移動した。

内戦による経済的損失については、クロアチア国家監査委員会が、18万戸の破壊を伴う360億ドル(クロアチア経済規模の4分の1)にのぼったと推計している。ボスニア・ヘルツェゴヴィナでは、最近サラエボ大学のドゥジコ・ハジッチ教授が、44か月に及んだユーゴスラヴィア連邦軍とボスニアのセルビア勢力によるサラエボ包囲がもたらした損失を156億ドルと推計している。

The government building in the centre of Sarajevo burns after being hit by tank fire during the siege in 1992/ User: Evstafiev, Mikhail Evstafiev - Photo by Mikhail Evstafiev, first uploaded to en.wikipedia, CC BY-SA 2.5
The government building in the centre of Sarajevo burns after being hit by tank fire during the siege in 1992/ User: Evstafiev, Mikhail Evstafiev – Photo by Mikhail Evstafiev, first uploaded to en.wikipedia, CC BY-SA 2.5

旧ユーゴスラヴィア構成国(6か国)のいずれも、地域の経済学者らが経済規模を比較する目的で基準年とした内戦前の1989年における国内総生産レベルにまで回復していない。

ベオグラードの経済学部教授であるミオドラク・ゼック氏は、「持続可能な開発がこの地域で実行できるようになるまでには、まだ何年も要します。」と指摘したうえで、「その理由は、内戦による影響だけではありません。連邦の崩壊によって旧ユーゴスラビア時代には機能していた生産分担体制や共通市場が失われたことや、90年代に進んだ世界経済の変化についていけなかったことも理由に挙げられます。」「さらに、内戦後に成し遂げたいかなる成果も2008年の世界経済危機で失われてしまいました。」と語った。

数千人に及ぶ人々が未だに行方不明であり、今でも旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で内戦時代の戦争犯罪に関する審理が継続されている。

最も陰惨な戦争犯罪は、1995年7月にボスニア・ヘルツェゴヴィナ東部の小さなボシュニャク人居住地スレブレニッツァで7000人以上のボシュニャク人の男性や少年が虐殺された事件である。これまでに約5000人の犠牲者の遺体が浅い地層から発掘されDNAによる確認作業がなされている。そしてスレブレニッツァ周辺の山岳地帯では、今なお集団墓地が発見されている。

虐殺事件が発生したのは米国をはじめとする国際社会の仲介でボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦が終結したデイトン合意の僅か数か月前であった。デイトン合意の結果、同国はセルビア人主体のスルプスカ共和国と、ボシュニャク人およびクロアチア人主体のボスニア・ヘルツェゴビナ連邦という、2つの実体を含む国家となった。

この民族に沿った分断は今日でも明らかである。ボスニア・ヘルツェゴヴィナのセルビア人はサラエボを自国の首都とは認めずバニャ・ルカを事実上のセルビア人の首都としている。このような状況から2013年に行われた国勢調査に際しては、共同で人口調査を発表することさえできなかった。

「人々は公式には一つの国家とは言いますが、2つの実体の中ではそれぞれの民族が全く異なる生活を送っています。」とアナリストのペロ・シミッチ氏は語った。

これは内戦後、各々が属する民族が支配している地域から離れて故郷に戻ろうとするものがほとんどいないからだ。1995年の内戦終結後、異なる民族間で郷里に残してきた家屋を交換する動きが一般的に見られた。また数万人が帰郷の夢を諦め、第三国に移住していった。

An exhumed mass grave in Potočari, Bosnia and Herzegovina, where key events in the Srebrenica Massacre unfolded/Adam Jones Adam63 – Own work, CC BY-SA 3.0

クロアチアのセルビア人にとっても故郷への帰還は困難を極めている。彼らは内戦時、セルビア本国と同盟を結び、1991年に独立宣言したクロアチア政府に反旗を翻した。そのため、1995年にはクロアチア軍の大規模な攻勢によりクライナ地方など500年以上住み慣れた故郷を追われ、約20万人がセルビア本国に逃れた。クライナ地方は今では閑散とした地となっている。

1800人もの死者・行方不明者をだしたセルビア人掃討作戦を指揮したクロアチア軍の将軍たちは、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で無罪を言い渡されている。

内戦終結後、数千人のセルビア人(その大半が高齢層)がクライナ地方に戻ってきたが、かつてクロアチアに住んでいたセルビア人の大半は、セルビア国内か外国で新たな生活を始めている。

「セルビア人追放に関連した諸問題を解決しようとする政治的な意思が全く見られません。」「例えば4000世帯、5万人以上の人々が年金を取得できないといった問題があります。」と、セルビア国外に住むセルビア人問題を担当しているミロスラフ・リンタ氏は語った。

内戦時にセルビア・クロアチア・ボスニア=ヘルツェゴヴィナを率いたスロボダン・ミロシェヴィッチ氏フラノ・トゥジマ氏アリア・イゼトベゴヴィッチ氏はこれまでに亡くなっているにもかかわらず、犠牲者のために正義を追及したり、過去の失敗から学ぶという考えは、現在の3国の首脳の脳裏にはないようだ。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

ウラレヴィッチ氏は、「政治家たちは内戦時代の問題を糺すことにあまり関心を示しません。それはこの問題に取り組みことが選挙の票には結びつかないと判断しているからです。」と指摘したうえで、「彼らは日々の政争からいったん離れ、内戦時に犠牲になった人々のために公正な裁きを下すとともに、戦争犯罪の真実を明らかにし、犯人と彼らに犯罪を指示した人々に適切な判決を言い渡せるような環境を構築していく必要があります。」と語った。

旧ユーゴスラヴィアで、平和裏に連邦からの離脱に成功した国が2つある。1991年9月に独立宣言をしたマケドニアと2006年に独立宣言したモンテネグロである。かつてセルビア領の一部であったコソヴォは1999年以来、独立傾向を強めていたが2008年にセルビアからの独立を宣言し、1918年のユーゴスラヴィア王国の結成以来の連邦の歴史に終止符が打たれた。(原文へThe WIRE

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between INPS Japan and The Non-profit International Press Syndicate Group in partnership with Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|世界人道サミット|高い期待に応えられず

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|世界人道サミット|高い期待に応えられず

【イスタンブールIDN=ロドニー・レイノルズ】

2012年に国連の潘基文事務総長が提案してイスタンブールでようやく開催された初の世界人道サミットは、150カ国以上で2万3000人との協議を4年にわたって積み重ねてきたにも関わらず、高い期待に応えることができなかった。

潘事務総長は開会のあいさつで「これは21世紀の国連の集まりです。」と代表らに誇らしげに語った。しかし、5月24日まで2日間の日程で開催されたサミットは、意義のある資金を生み出すこともできず、期待に反して首脳がこぞって欠席した国連五大国(英国・米国・フランス・中国・ロシア)からの全面的な政治的支持を得ることもできなかった。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

英国・米国・フランスに加え、その他のG7諸国であるカナダ、イタリア、日本の首脳らも、世界人道サミットには参加しなかった。唯一、ドイツのアンゲラ・メルケル首相だけがイスタンブール入りし、世界の先進民主主義7カ国を代表した。

明らかに失望の色を隠せなかった潘事務総長は、この最も困難な状況においても、強気なことを口にせざるを得なかった。「しかし、安保理5常任理事国の指導者らが、世界人道サミットに欠席したからといって、行動しないことへの言い訳にはなりません。」

潘事務総長は、G7の中からドイツの首相しか参加しなかったことへの「失望」を表明した。G7首脳らは5月26日から27日に日本で主要国首脳会議伊勢志摩サミット)首脳会合を予定しており、ここには国連事務総長も日本政府のゲストとして参加することになっていた。

世界人道サミットはまた、難民問題について話し合うために9月19日にニューヨークで開催される世界の指導者らによるハイレベル会合に向けた「重要な第一歩」とされていた。

それでも、世界人道サミットには173カ国が参加し、そのうち首脳が参加したのは60カ国で、ほとんどは途上国であった。

サミット最大の成果は、世界で最も緊急の問題の一つである人道的危機に焦点が当てられたことだった。これは、増加する軍事紛争と増大する自然災害によって引き起こされているものであり、世界で1億3000万人近い人々が住むところを追われ、難民か国内避難民(IDP)の立場に追いやられている。

国連によれば、もっとも深刻な人道的危機は、イラク・南スーダン・シリア・イエメンなど、中東とアフリカで発生している。

Thousands of Syrians stream across the border into Iraq in search of shelter/ UNHCR/G. Gubaeva
Thousands of Syrians stream across the border into Iraq in search of shelter/ UNHCR/G. Gubaeva

サミット2日前にカタールの首都で開かれた「ドーハ・フォーラム」で潘事務局長は、「世界中で窮地に追いやられた人々がいみじくも『ヒューマニティー(他人への思いやり・慈悲の心)はどこに行ってしまったのか?』と問うています。」と語った。

「資金提供の呼びかけを行っていますが全く足りない状況です。連帯の精神はどこに行っしまったのでしょうか?」と潘事務局長は問いかけた。

現在進行中の危機を緩和するために重要な役割を果たしているトルコは、世界人道サミットの会場として、おそらく最も適切な開催地だっただろう。2011年に始まった内戦によってシリアから逃げてきた500万人の難民のうち270万人が現在トルコに在留しており、同国は世界最大のシリア難民受け入れ国となっている。

国境の向こうのシリア北部では、約400万人が国境越えの救援物資の配布に依存している。しかし、シリア難民と彼らを受入れているコミュニティーの支援に今年必要な資金のうち4分の1しか、これまでに集まっていない。

「海外開発研究所」(ODI)のサラ・パントゥリアーノ所長は「世界人道サミットでなされた公約は、実質においてもまた熱意という点においても期待外れであり、これまでになされた誓約がいかにして前進し現実のものになるかについて、ほとんど明確なものがありません。」と語った。

パントゥリアーノ所長は、「サミット会期中に一部ではきわめて意義深い取り組みも始まりましたが、サミット自体は、組織的な人道援助システムの中核にある主要な問題に対処する機会を逃すことになってしまいました。」と語った。

さらにパントゥリアーノ氏は、「人道支援の中心に民衆を据えるべきとの議論が散々されてはいますが、主だった当事者が、危機的状況の中で必死に生き延びようとしている人々のために、自らの組織の利益は後回しにしようと考えている形跡は見当たりません。」と指摘した。

他方、人道的危機の問題に活発に取り組んでいる人権擁護団体のひとつ「アクションエイド」は、世界人道サミットで女性の声がほとんど聞かれなかったことに「失望している」と語った。「この問題を論じるのが明らかにほぼ男性ばかりであったことは、極めて残念です。」と、アクションエイド「国際人権プラットフォーム」のミシェル・ヒジェリン共同議長は語った。

もし国際的な人道支援システムありのままの姿を鏡の前に映し出ことができたとすれば、根本的な変革が必要であり、男性支配の権力基盤を変革する緊急の必要があることが見て取れるだろう。「世界人道サミットで僅かに設けられたジェンダー平等を議論できる空間を無視してしまえば、このサミットが単なる『おしゃべりの集まり』や単に紙の上に書かれた『人道のためのアジェンダ』以上のものであるという説明はほとんど信憑性のないものになってしまいます。」とヒジェリン共同議長は語った。

このように、国連事務総長が「交渉の場に多くの声をもたらすことがきわめて重要だ」と主張しているにも関わらず、実情は大変厳しい状況にある。

ヒジェリン共同議長は、サミット前に、「女性には、単に保護される存在というだけにとどまらず、平和をもたらす主体という、重要な役割があります。」と語っていた。

国連によると、世界人道サミットには少なくとも2つの積極的な成果があった。

いわゆる「脆弱20カ国」(V20、Vulnerable 20の略)の財務相会議は、食糧農業機関(FAO)国連人道問題調整事務所(OCHA)国連開発計画(UNDP)世界銀行などの国連機関とあらたなグローバル・パートナーシップを立ち上げた。

V20: The Vulnerable Twenty Group
V20: The Vulnerable Twenty Group

このパートナーシップの目的は、主に気候変動によって生じる将来的なリスクへの必要最低限の対処能力を2020年までにつけるために、20カ国の能力を強化することにある。

国連はまた、ビジネス界と協力して、危機的状況における企業関与促進のためのグローバル・ネットワークを構築しようとしている。物資の事前集積や、防災への資源・知識・専門能力の提供といったことが考えられている。

国連によれば、①紛争を予防し終息させるグローバルなリーダーシップ、②人道規範を護持する、③誰一人置き去りにしない、④人びとの生活を改善する-援助の提供からニーズの終わりへ、⑤人道への投資、という「人道への課題」の5つの主要な責任が人道サミットでは再確認された。

United States President Barack Obama chairs a United Nations Security Council meeting at U.N. Headquarters in New York, N.Y., Sept. 24, 2009/ White House (Pete Souza) / Maison Blanche (Pete Souza) - The Official White House Photostream [1], Public Domain
United States President Barack Obama chairs a United Nations Security Council meeting at U.N. Headquarters in New York, N.Y., Sept. 24, 2009/ White House (Pete Souza) / Maison Blanche (Pete Souza) – The Official White House Photostream [1], Public Domain

おそらく、この最後の言葉は、元国連難民高等弁務官ニューヨーク事務所長のピエール・ベルトラン氏に由来するものだろう。ベルトラン氏はかつてこう語ったことがある。「しかし、最終的には、国連安保理において人道支援活動の実行者たちによって何度も繰り返されてきた前提に誰もが行き着くことだろう。すなわち、人道危機に対する人道的解決策はないのである。唯一あるのは、政治的解決策のみなのだ。」(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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先住民族が全ての権利の平等を主張

【ニューヨークIDN=リズウィー・ラヒーム】

先住民族は、世界90カ国に3億7000万人以上が暮らし、世界の貧困層の15%を占めていると見られており、依然として政治的にも地理的にも孤立したままである。

そこで、アジア、アフリカ、北米、欧州、ラテンアメリカ・カリブ海地域から約1000人の先住民の代表が集い、5月20日まで2週間にわたって開かれた国連の会議で苦境を訴えた。

SDG Goal No. 17
SDG Goal No. 17

包摂を求める彼らの訴えは、すべての人にとってのより人間的で繁栄した世界―「誰も置き去りにしない(leaving no one behind)」―に向けた国連の17項目の持続可能な開発目標(SDGs)に関して国連の潘基文事務総長が国際社会に訴えたのと同じ趣旨である。

会議は、紛争や企業の貪欲、拡大する経済的格差の犠牲者にますますなりつつある、世界で最も無視されてきたマイノリティ(=先住民族)の一部を、国連や国連機関により積極的に参画させるよう強く訴えて、終了した。

2000年に「国連先住民族問題に関する常設フォーラム」が設置されて以来、そして2007年以降は同年に国連総会で「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されたにも関わらず、自分たちに影響を及ぼす軍事紛争が世界で増加していることについて、先住民族の諸集団は、深刻な懸念を表明してきた。

Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples
Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples

「先住民族の権利に関する国連特別報告官」のビクトリア・タウリ=コルパス(フィリピン)氏によれば、最も影響を受けているのは、コロンビアやインド、ミャンマー、フィリピン、バングラデシュ、グアテマラ、ペルーで現在および過去の武力紛争に巻き込まれている先住民族であるという。

その結果先住民らが受けてきた深刻な被害としては、例えば、強制移住、超法規的処刑、性的暴力、こどもの強制徴兵が挙げられる。

「武力紛争下における先住民族への暴力は、トラウマや取り返しのつかない害を引きおこし、文化を破壊し、影響を受けた先住民族の社会構造を引き裂いています。」とタウリ=コルパス氏は訴えた。

この国連会議のテーマが「先住民族:紛争、平和、解決」であったことは驚くに値しない。

国連によれば、パーム油プランテーションでの労働などの採取産業やダム建設などは、しばしば、事前に十分な情報を提供した上での自由な契約を先住民族と結ぶことなく行われている。

紛争下にあっては、先住民族は、彼らの多くが依然として直面している貧困や政治的な疎外、体系的な差別等のために、しばしば最も脆弱な立場に置かれている。

会議の閉幕にあたって、国連の潘基文事務総長は、先住民族の権利を改善するために多くのことが達成された一方で、彼らの土地や領域における紛争や、和平プロセスで先住民族の声が聞き入れられていないことが、依然、問題として残っている、と語った。

A Cakchiquel family in the hamlet of Patzutzun, Guatemala, 1993/By John Isaac - UNEP-WCMC Internal Reseources, Attribution
A Cakchiquel family in the hamlet of Patzutzun, Guatemala, 1993/By John Isaac – UNEP-WCMC Internal Reseources, Attribution

潘事務総長は、すべての加盟国と国連システム全体に対して、このことも含め、重大な懸念に対処するために協力するよう呼びかけた。

先住民族の問題は間違いなく国連の課題であり、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や気候変動に関するパリ協定の交渉にあたって先住民族と十分な協議を行ったと強調した潘事務総長は、「それらの履行やフォローアップにあたっても、先住民族が参画し、貢献することが肝要です。」と語った。

潘事務総長は先住民族に対して、関連する国連機関会合への代表参加を可能にする国連総会議長によって始められたプロセスに関与し、積極的に参加するよう促した。

先住民問題に関する常設フォーラムUNPFII)の議長でグアテマラ出身のアルバロ・エステバン・ポップ氏は5月19日の記者会見で、「今回の会議において討議された最も重要なトピックは、和平と紛争解決、紛争下の子ども・女性の問題、土地・天然資源をめぐる紛争に巻き込まれた指導者の訴追の問題でした。これらは、紛争の解決と和平を追求するうえで、いかなる交渉においても、また、いかなる場所においても、基本的な側面となります。」と語った。

ポップ氏はまた、「この2週間、対話は容易なことではありませんでしたが、協力しつづけることが絶対的に必要です。」と指摘したうえで、「多くの先住民族の発言者が、各々の先住民族が抱える深刻な状況を説明しました。特に、土地や資源のアクセスをめぐる争い、先住民族の女性が被っている暴力や人権侵害、医療や教育の欠如の問題が挙げられました。」「日々、多くのことを学びました。」と語った。

さらにポップ氏は、「先住民族の女性らは『抗議の声を(国際社会に)聴かせる』ことができました。また、先住民族の若者は自殺率が高く、これは植民地時代の過去の不正義と関連がありますが、到底容認できるものではありません。」と語った。

「先住民族、諸政府、国連の間で幅広いパートナーシップを構築することが極めて重要ですが、とりわけ国連は、加盟国と先住民族の間のコミュニケーションを確保する不可欠な橋渡し役としての役割を果たせるでしょう。」とホップ氏は付け加えた。

フィリピンから先住民問題に関する常設フォーラムに参加しているジョアン・カーリング氏は、「2017年は『先住民族の権利に関する国連宣言』採択から10年目の節目となります。」と指摘したうえで、「来年は、これまでの達成具合を再検討する重要な年になるでしょう。来年のフォーラムにおける議論は、この宣言のさらなる履行をどう確保するかをめぐるものが中心になるでしょう。」と語った。

カーリング氏は、この宣言を国内法や国内政策に取り込むための立法措置を支援する国連の基金やプログラムの重要性を強調した。

カーリング氏はまた、今年のフォーラムでの議論で、多くの先住民族が持続可能な開発目標について認識していないことが「非常に明確になった」と指摘し、「だからこそ、持続可能な開発目標に関する情報提供や意識喚起を行っていくことが必要です。」と語った。

また、先住民族に関する特定の目標や指標を持続可能な開発目標に盛り込むことも重要な要素となる。しかしながら、この点に関しては、特定の目標達成に向けた進展状況を測定する際に妨げとなる要因として、データ集積の不足があるとカーリング氏は指摘した。

会議は、先住民族の言語の保護などいくつかの勧告を国連経済社会理事会に行って閉幕した。

先住民問題に関する常設フォーラムは、そうした措置なくしては、世界の先住民族の言語の半分以上が2100年までには消滅してしまうだろうと警告し、各国連加盟国が先住民族の言語権を認識し、「没入法(イマージョンプログラム)」に対する支援を含め、先住民族の言語を促進し保護する政策を策定するよう勧告した。

さらに、各国と国連に対して、先住民族団体による先住民族言語の保存と再活性化に向けた取り組みに対して財政面も含めた支援を行うよう、また、国連総会に対して、2020年までに「国際先住民族言語の年」を制定するよう、それぞれ勧告した。

加えて、2013年に開催された先住民族の若者に関する国際専門家作業部会会合の勧告を履行するよう加盟国に呼びかけ、先住民族の若者のために国連の自発的特別基金の設置を検討するか、この目的のために既存および将来の基金を割り当てるよう求めた。

さらに、先住民族の少年・青年による自傷・自殺を予防するために必要なあらゆる措置を採るよう加盟国に求め、警察による残虐行為、体系的な警察による暴力、先住民族女性に対する差別といった特定の問題に対処する措置を採るよう加盟国に勧告した。(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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【ボラIDN=ナイムル・ハク

バングラデシュは、温室効果ガス(GHG)排出によって引き起こされる気候変動の悪影響を最も被る国の一つである。サイクロン、大規模な洪水、暴風雨、河川の浸食、熱波、陸上の広大な地域における想定外の旱魃などの異常気象事象が頻発するようになっている。

バングラデシュの沿岸部では、海面の上昇に伴い、高波とともに陸地に侵入してくる海水がますます内陸部にまで到達するようになり、甚大な農作物の被害とともに農業機会を奪っている。

バングラデシュ沿岸における温室効果ガスの影響はすでに明らかであり、専門家らは、適切な行動が今すぐにとられなければ、その影響は「壊滅的な」ものになると予測している。

自然災害への対応能力を強化しようという取り組みがあるにも関わらず、気候変動は、大きな経済損失や、経済成長の鈍化、貧困削減のペース低下につながっている。

一方、プラス面をみると、非政府組織(NGO)がバングラデシュ政府と協力して、とりわけ、沿岸部における最大の脅威である食料安全保障の問題に取り組むなど、危機回避に向けて取り組んでいることが挙げられる。

気候変動に関する政府間パネルIPPC)によると、2050年までに、バングラデシュの主食であるコメ及び小麦の生産量は、1990年の水準に比べて、米が8%、小麦が32%減少するものと予測されている。

バングラデシュ有数のNGOのひとつであり、主に沿岸部で35年に及ぶ活動歴を持つ「社会変革に向けた沿岸協議会トラスト」(COAST)は、社会の主流から取り残された人々の生活支援を先頭に立って実施してきた。

沿岸部ボラ県の遠隔地で海抜わずか30センチメートルのチャーファソンで活動するCOASTの活動家ムド・ジャヒルル・イスラム氏は、IDN-INPSの取材に対して、「主に海水の浸入が原因で、昔ながらの農業の手法が危機に瀕しています。高濃度の塩分は多くの植物にとって有毒であり、作物を育てる別の方法を見つけ出すことを余儀なくされています。」と語った。

しかし、チャーファソンの農民は、COASTが2003年以来実施している「沿岸統合技術拡大プログラム」(CITEP)の支援を通じて、気候変動に直面した作物生産を改善のための新たな農業手法を習得している。

CITEPは、能力開発プログラムの一環として、さまざまな種類の野菜を栽培するために、幅1メートル、高さ90センチメートルの長く高い畝(うね)を使用するよう、農民に推奨している。畝の間の溝は水で満たし、そこに様々な種類の魚を放流し養殖する。灌漑用水は、メグナ川からの淡水を湛えた近くの湖から引いてくる。

この技術を用いる利点は、暴風雨や高波、洪水の際の氾濫から作物を守り、高濃度の塩分に晒される被害を避けることができる点にある。

チャーファソンでCITECプロジェクトの責任者を務めるミザヌール・ラーマン氏はIDN-INPSの取材に対して、「ベンガル湾に注ぎ込む川の合流地点にあたる同湾から30キロのこうした低地は、高波や暴風に対して脆弱です。従って、新しい農業技術が土地を守るために必要なのです。」と語った。

この代替農法プログラムによって既に利益を得ている地元農民アクタール・ホサイン氏は、「平地で旧来からの農業法に依存するのはもはや不可能です。というのも、海水の浸食が作物をダメにしてしまうからです。この新農業技術は、被害をもたらす天候のリスクから農作物を守ってくれるだけではなく、養殖も可能なことから、個々の農民には新たな追加収入源となっています。」と語った。

この新しい農法はチャーファソンではかなり好評で、既に9000人以上の農民が導入している。また多くの農民は、自助グループを組織し、他の農民からの経験を学ぶ一方、政府は、魚の養殖等、追加収入につながる工夫に対して支援を行っている。

チャーファソン担当の農務省担当官マンズルル・イスラム氏はIDN-INPSの取材に対して、「当初は農民たちが新しい技術に拒否感を示していたため導入には大変苦労しました。しかし今では、新技術の利点を認識し、納得して導入するようになっています。」と語った。

平地における作物の損失は壊滅的なものだ。サディール・アフマド氏は、「3年前、平地の5570ヘクタールに及ぶ広大な地域の作物が、4カ月に及んだ海水の浸入のために壊滅しました。そして今年の初めには、ラザプールとカティヤで河川の浸食のために、広大な土地が飲み込まれるのを目の当たりにしました。広範な地域で農業が甚大な被害を受けたのです。」と語った。

バングラデシュの沿岸部では明らかに海水面が上昇している。同国沿岸部の97.1%と住民3500万人以上が、複数の気候変動の悪影響に対して脆弱であり危険に晒されていると推計・推測されている。

今後30年以上に及ぶ気候変動に対する住民への影響、各国が物理的に気候変動に晒される可能性、そして気候変動への政府の適応能力を評価した「気候変動脆弱性指標」の2014年度版では、バングラデシュが世界で最も気候変動のリスクを受けやすい国だとされている。

COASTと「平等・正義作業部会」の共同報告書『バングラデシュ沿岸部における気候変動の影響と災害への脆弱性』によると、世界的にはCO2やクロロフルオロカーボンの大気中への排出は年率5%で増加している。

Climate Change Vulnerability Index 2015/ Maplecroft
Climate Change Vulnerability Index 2015/ Maplecroft

COASTトラスト事務局長で上記報告書の著者でもあるレザウル・カリム・チョウドリ氏はIDN-INPSの取材に対して、「気候変動はバングラデシュにとっては深刻な問題であり、仮定の分析をしている時間的余裕はありません。被害は既に発生しており、手を拱いていては、『周りの遅い毒薬のように』壊滅的な影響がでるかもしれません。」と語った。

チョウドリ氏はまた、「私たちは、最悪の状況に備えるために、地域社会における能力構築の必要性を強調しています。つまり農村部における能力開発を通じて人口流出を抑えることで、既に人口過剰気味である都市経済への圧力を減じることができるだろう。」能力構築の例としては、塩害に強い作物の推奨、新産業の確立を通じた雇用の創出、災害への脆弱性を減じる活動の増加を挙げることができる。」

バングラデシュ・コメ研究所」(BRRI)所長のジバン・クリシュナ・ビスワス博士はIDN-INPSの取材に対して、同研究所は「貧弱な環境に対して適応可能な様々な実践を既に開始しています。気候変動事象は頻度も強度も変化するため、こうした問題に対抗するために農業により近代的な技術を適応させることに集中しています。」と語った。

バングラデシュ高等研究センター(BCAS)所長のアティク・ラーマン博士はIDN-INPSの取材に対して、「バングラデシュにおける海水面の上昇はすでに明らかであり、さまざまな適応措置がその明白な兆候です。」と語った。環境・自然保護・気候変動に関する議論で先進的な役割を果たし貢献していることで世界的に有名なラーマン博士はさらに、「今日までに、海水面はすでに20~28センチメートル上昇したと推測されます。」と語った。

ラーマン博士はまた、「IPCCは今世紀末までに86センチの海水面上昇を予測していますが、「より最近のデータでは南極が極めて速い速度で溶けていることが示されており、それは明らかに重大な懸念材料です。この新しいデータは以前の予測を補強するものです。私たちは、今世紀末までに1メートルの上昇を予測しています。そして、このレベルの上昇は、あらゆる場所で同じ速度で進むわけではないのです。」と語った。

バングラデシュ沿岸地域における気候変動の影響について問われた著名な環境科学者のアイナン・ニシャット教授は、気候変動の効果のために国内移住がすでに始まっていると主張する一部の専門家に異議を唱えた。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

ニシャット教授はIDN-INPSの取材に対して、「チャーファソンにおける土地保護堤防は14フィート(4メートル超)だが(バングラデシュには沿岸部の700キロにわたって同種の堤防がある)、暴風雨あるいは高波の危険は3フィート(90センチ)程度です。人々が恐怖に駆られて移住しているなど理屈に合いません。」と語った。

ニシャット教授はまた、「しかしボラ県が気候変動によって明確に影響を受けている土地であることは認めます。今世紀が終わるころには、地球の温度は0.8度上昇していると予測されています。気候変動の影響はすでに始まっており、バングラデシュ沿岸部の多くの地で海水面が上昇する兆候が見られています。」と付け加えた。

ニシャット教授は、「現在のところ、私たちが予測する(気候変動の)インパクトにバングラデシュが直面するのは85年後と見ています。この2年間で温室効果ガスの排出は抑えられ、バングラデシュでの準備は進んでいます。現在必要なのは、気候変動戦略を強化するさらなる資金と技術です。」と語った。(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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SDGs実行のためグローバル教育行動アジェンダを採択

【慶州(韓国)IDN=ラメシュ・ジャウラ、浅霧勝浩】

世界の指導者らが2015年9月に承認した持続可能な開発目標(SDGs)を国際社会が実行し始めてから5カ月、非政府組織(NGO)と学界の代表らがグローバル教育行動アジェンダをまとめ、採択した。

SDGsの第4目標(すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯教育の機会を促進する)の重要性を再確認するアジェンダが、「慶州行動計画」に書きこまれた。

SDGs Goal No.4
SDGs Goal No.4

この行動計画は、韓国南東部にある都市・慶州で3日間にわたって開催された第66回国連広報局(DPI)/NGO会議の閉幕時に合意された。

この会議には、公式教育、非公式教育・訓練、政策推進・広報の3本柱があった。これらは、学習への障害となる不平等を除去する方法として検討されたものである。

クリスティーナ・ガラッチ国連事務次長(広報担当)は、会議の成果について、「この会議は、国連が学界やNGOとの協働に投資することの価値をあらためて示したと思います。」とコメントした。

慶州行動計画は、持続可能な開発目標を履行するとの約束を政府に果たさせるようロビー活動を行うNGOの能力を高め、現場で活動するNGOを動員するための、世界各地のNGOのための具体的指針となっている。

Cristina Gallach, United Nations Under-Secretary-General for Communications and Public Information/ Katsuhiro Asagiri of INPS
Cristina Gallach, United Nations Under-Secretary-General for Communications and Public Information/ Katsuhiro Asagiri of INPS

「国連は、2030アジェンダを推進し、成功裏に実施するための共同の努力において、引き続きNGOや学界を支援しパートナーとして提携して行きます。」とガラッチ事務次長は語った。

慶州行動計画には、2030アジェンダの履行を草の根レベルで加速するための世界各地のNGOの参照項として、一連の具体的な措置を盛り込んでいる。

この会議の共同議長で、米ロングアイランド大学の地理学准教授であるスコット・カーリン博士は、「世界中のNGOが、成果文書に関する活発な最終討議に情熱と専門知識をもたらしてくれました。私たちは全ての意見提供に感謝し、慶州行動計画を非常に誇りに思っています。」と語った。

NGO「ドリーム・タッチ・フォー・オール」の国連代表であり、会議の共同議長を務めたチェ・ユカン博士は、「慶州という地が、活動する場所がどこであれ全てのNGOにとって有益な、真に求心力のある行動計画を纏めるに相応しい、インスピレーションを鼓舞する場であったことを希望します。」と語った。

今回、DPI/NGO会議史上初めて、若者たちが「青年宣言」を起草し発表した。

ガラッチ国連事務次長(広報担当)は、青年が「数多く参加し、国連との協力において彼らが見出している価値を示してくれた。」と指摘した。

A Breakout Session during the 66th UNDPI/NGO Conference/ Katshiro Asagiri of INPS

「こんなに多くの人びと、特に青年たちが、世界市民教育というテーマの下に、そして持続可能な開発目標を達成するという共通の取組みにおいて、世界中から集ったことには大いに勇気づけられます。」と、創価学会インタナショナル(SGI、本部:東京)の寺崎広嗣平和運動総局長は語った。

寺崎総局長はまた、「会期中、数多くの討論と対話、数多くの交流とネットワーキングがなされました。」と指摘したうえで、「このこと自体が、世界市民教育のきわめて効果的な形態であったと考えています。」と語った。

Ahmad Alhendawi, the Secretary-General's Envoy on Youth/ Katsuhiro Asagiri of INPS
Ahmad Alhendawi, the Secretary-General’s Envoy on Youth/ Katsuhiro Asagiri of INPS

国連事務総長の青少年問題特使であるアフマド・アルヘンダウィ氏は、「この会議は、2030アジェンダに向けたビジョンを達成するうえでのNGOの決定的な役割を固めただけではなく、子どもと若者という大人数を抱える世代の潜在能力を解き放つために世界市民教育により大規模な投資を緊急に行う必要があることを強調することになりました。」と指摘した。

バハイ共同体の国連代表であり、会議における青年リーダーであったサフィラ・ラメシュファー氏は、「残念ながら、青年は未だに世界の政策決定過程に十分関与できていません。」と語った。

「青年宣言は、若い世代の人々が、青年フォーラムや特別の目的を持った協議会にだけではなく、社会全体としての進路の方向性が決められるときに若者がリーダーや意思決定者として必要とされるということを、社会に対して思い起こさせるうえで必要な文書です。」とラメシュファー氏は付け加えた。

寺崎総局長は、適切なフォローアップの必要性を強調して、「会議は閉幕しましたが、本当の仕事はこれからです。参加者は各々の国や社会に戻ったら、さまざまなネットワークを拡大し、ここで学んだことや刺激を受けたことを共有していかなければなりません。」「世界市民への理解を深め、それを促進する中で学ぶことの重要性を深め続けていかなければなりません。とりわけ、まずは自分達から始めて、日常生活において世界市民を促進していく必要があります。」と語った。

世界各地からの参加者の間には、NGOや学者、青年らの貢献が持続可能な開発目標を達成するカギを握るとの大筋の合意がある。というのも、NGOや市民社会組織の参加なくしては、いかに先見の明に優れた取り組みであっても完全に成功することはないからである。

Another breakout session held during the 66th UN DPI/NGO Conference/Katsuhiro Asagiri of INPS
Another breakout session held during the 66th UN DPI/NGO Conference/Katsuhiro Asagiri of INPS

「私はNGOの力を強く信じています。私は、あなた方の活動する領域を拡大するよう常に諸政府に対して呼びかけてきました。」と、国連の潘基文事務総長は5月30日の開会あいさつで述べている。

UN Secretary-General Ban Ki-moon/ Katsuhiro Asagiri of INPS
UN Secretary-General Ban Ki-moon/ Katsuhiro Asagiri of INPS

その4日前、「第11回平和と繁栄のための済州フォーラム」の場で潘事務総長は、「民主主義の空間が縮小している」と非難し、市民社会組織や人権活動家に自由を与えるよう強く訴えた。「残念ながら、この自由は脅威に晒されています。しかも、このようなことが最も起こるべきでない場所、つまり国連においても起こっているのです。私は国連加盟国に対して、NGOの関与を制限しないよう改めて呼びかけたい。」と、潘事務総長は語った。

韓国の黄教安首相は、世界市民を涵養するとの韓国の公約を再確認した。「私たちは世界市民が持続可能な開発目標に反映されるように大変な努力をしました。」「世界市民は人間の基本的諸価値を満たす必要があります。また、世界市民は、世界的な諸問題を解決していくうえで積極的に関与していく必要があります。『世界市民のための教育:持続可能な開発目標をともに達成する』というテーマで行われたこの会議は、人々に関与を促すものになるでしょう。」と付け加えた。

しかし、「世界市民」とは正確には何を意味するのだろうか? 独立した教育者たちは、この概念は3つの本質的な要素を含むという点で一致しているようだ。

UN Photo
UN Photo

①全ての生命と生活が相互につながっていることを認識する智恵、②差異を恐れたり否定したりせず、異なった文化の人々を尊重・理解しようとし、他者との出会いによって成長しようとする勇気、③自分の身近な環境を超え、遠くにあって苦しむ人々に寄り添おうとする、想像力を持った共感の心を維持しようとの熱意。

これら3つの要素は、慶州行動計画にも不可欠の一部として組み込まれている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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|世界人道サミット|防災は実行可能

【イスタンブールIDN=ジャック・N・クーバス】

先進工業諸国G7のほとんどを含め、世界の指導者の多数が欠席したことは、間違いなく深い失望感を引き起こすものだった。しかし、国際連合70年の歴史で初めて開かれた世界人道サミットは、国際外交の恥ずべき失敗として歴史に埋もれることはないだろうし、この種のものとしては最後の会議になることもないだろうと専門家らはみている。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相を除いてG7首脳らは揃って欠席したことが注目を浴びたが、173カ国・約9000人がイスタンブールで開催された世界人道サミットに出席した。この中には約60人の元首もいたが、そのほとんどが途上国からの参加であった。

すべての主要メディア、企業、非政府組織(NGO)もまた、毎日の本会議、15の特別分科会、132の委員会会合にサイドイベントというタイトなスケジュールをこなした。これらの会合は、人道的危機と、その背景にある原因、すなわち、紛争、経済的・環境的持続可能性の欠如、排除の問題の解決に関心を持つすべての利害関係者を巻き込むことを目的としていた。

とりわけ目を引いたのは、主要宗教と並んで比較的新興だが活発に人道支援活動に加わっている様々な宗教を基盤とした団体の積極的な参加があったことだ。

国連の潘基文事務総長がサミット開催を提案したのは2012年のことだが、その後、中東・北アフリカ地域(MENA)から移民が大量に流出し、こうした難民の扱いを巡って28か国からなる欧州連合(EU)が厳しい対応を迫られる事態に直面したことから、このサミットはより大きな意義を獲得することになった。

紛争地帯において全ての戦闘当事者から民間人を保護するという基本的なルールが無視される事態(=国際的武力紛争における新たな側面)が進行していることも、ハイレベル会合を開催するさらなる理由づけになっている。世界人道サミットでは、国際人道法戦争法が、会議参加者によってしばしば言及された。

しかし、世界人道サミットの中心的な取り組みは、天災のみならず人災によって生命が危険に晒されている、世界で1億3000万人に及ぶ人々の苦しみを緩和する解決策を見出そうとすることにあった。とりわけサミットでは紛争や災害発生後に現場で難民らに物資を提供するといった従来の人道支援のあり方から、社会基盤を強化するなどして、難民など人道支援を必要とする人を生みにくくするための支援への転換が強調された。

実際、サミットの行動が明確に焦点を当てた事項は、防災と、人道支援活動におけるコスト削減の問題であった。

サミット初日にあたる5月23日、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)ロバート・グラッサー国連事務総長特別代表(防災担当)は、温室効果ガスの排出が大幅に削減されなければ、リスク削減の取り組みが大きな効果を上げるのは困難になるだろうと警告した。

Special Representative for Disaster Risk Reduction Robert Glasser. Photo: UNISDR
Special Representative for Disaster Risk Reduction Robert Glasser. Photo: UNISDR

災害への事後的対処ではなく予防に焦点を当てることは、加盟国の利益になるとグラッサー特別代表は語った。というのも、被災者の数という点でも、経済的なコストという点でも、予防策の方がより効果的なアプローチだからだ。グラッサー特別代表は、国際社会の大多数の国々がこの目標に向けて真摯に協調していくことに関して楽観しているとの見解を述べた。

「災害リスクを削減しようとする私たちのあらゆる取り組みも、温室効果ガス排出削減で大きな進展がみられない限り、無に帰してしまうことでしょう。その帰結は、伝染病の蔓延や、高潮の発生、旱魃等、それが原因で紛争が引き起こされる恐るべきものになるでしょう。」とグラッサー特別代表は説明した。

国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の計画では、加盟国が3つの行動領域において完全に協力することを期待している。

(a)災害損失データベースの構築。これは強靭なインフラを構築していくための投資ガイドラインとなる。

(b)過去からのデータの利用。しかし同時に将来のリスク予防にも体系的に役立つもの。「気候変動や人口増加、都市化といった背景的なリスク発生要因を考慮に入れて、国際社会には将来の災害損失について現実的な予測が必要です。」とグラッサー氏は強調した。

(c)そうした過去の経験を考慮に入れ合理的に決定する政府によるインフラ計画。

「これは、洪水地帯に病院を建設するといった類のものとは異なることを意味します。防災は経済計画の主要な要素にならなければなりません。」とグラッサー特別代表は結論づけた。

これらの目標を達成する時間枠は2030年である。これは、2015年3月に日本の仙台市で開催された第3回国連防災会議で採択されたUNISDRの「仙台防災枠組み2015-2030」と軌を一にしたものである。

UN World Conference on Disaster Risk Reduction
UN World Conference on Disaster Risk Reduction

それにしても、こんなに野心的で複雑な計画がこの期限までに結果を残せる可能性はどの程度あるのだろうか?

「もちろん100%です。」「私たちは、最終的には完全予防を目指しています。問題は、パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)でなされた決定(=パリ協定)に国連加盟国がどの程度参加し、実行するかという点にかかっています。」とグラッサー特別代表はINPS-IDNの取材に対して語った。

「しかし、全体的に成功するか否かは、多くの要素や、そうした取り組みに関わろうとする利害関係者の意志にかかっています。この目標を追求するには、途上国の履行能力を強化する必要があります。とりわけ、後発開発途上国、小規模な島嶼・内陸開発途上国、アフリカ諸国、そして、開発戦略の優先課題がまちまちな多くの中所得国における能力強化が重要です。」と仙台枠組みの詳細に詳しい代表らはINPS-IDNの取材に対して語った。

人道支援に伴うコストの問題は、すべての国連加盟国にとっての大きな懸念事項となっている。従って、30のドナーや援助機関の代表らが人道支援の財源に関する一連の改革案について、世界人道サミットの場で合意したと発表したことは、会場に安堵感をもたらした。

このイニシアチブは、緊急支援をより効率的かつ経済面で効果的に行うことを目指したものだ。その目標は、今後5年間で実務コストを毎年10億米ドル削減することにある。この額は、人道支援にかかる費用全体のうち10%にも満たない。

「グランド・バーゲン」(重要取引)と名付けられた基本文書は、人道支援のために世界中から集められた多額の資金を処理する管理方法を改善するためにより強力なドナーや援助機関の間でなされた一連の公約として提示されたものだ。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

例えば公約には、透明性の向上や予算策定上の国際基準の遵守、署名者間での意思疎通と協力の継続、データ入力と報告形式・手続きに関する共通プロセスの履行といった措置が含まれている。

予算策定と、下請け機関を通じた諸活動への資金提供について現在のやり方を変えることは、「多くの人たちが考えている以上にずっと複雑なこと」だとオランダのリリアン・プロウメン開発相は語った。プロウメン開発相は、上記の基本文書を取りまとめたハイレベルチームの一員であった。

世界人道サミットの際に個人的に話を聞かせてくれた現場の専門家は、「グランド・バーゲン」に関するコンセンサスに向けた交渉が難航したことを念頭に、こうした計画の実行可能性について懐疑的であった。

援助機関は困難な状況にある人びとに現金を供給する傾向があるが、米国の組織はこれに強く反対している。また、資金利用に伴う説明責任の問題も、ほとんどの大手ドナーにとって懸念事項であり続けている。

だとするならば、このサミットの後に何が残るのだろうか? 「これは一回限りのイベントではありません。」「これは単に始まりに過ぎないのです。」とグラッサー特別代表はINPS-IDNの取材に対して語った。(原文へPDF 

*ジャック・N・クーバスはINPS/IDNトルコ特派員。

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自らの責任でない気候変動による「恐怖」の解決策を求める南太平洋の国々

【バンコクIDN=カリンガ・セネビラトネ】

フィジーのジョサイア・バイニマラマ首相は、「キリバスツバルマーシャル諸島という南太平洋の小さな島嶼諸国は『まとめて波にのまれる運命にある。』」と強い調子で指摘した。気候変動がもたらす影響は「極端な気候事象による恐怖に他ならない」とするバイニマラマ氏は、国際社会に対して、フィジーなどの南太平洋島嶼諸国が、気候変動の影響に対するレジリエンス(リスク対応能力)をつけるための支援を訴えた。

国連アジア太平洋経済社会委員会の第72回総会(5月17~19日)の開会にあたって、今回で議長を退任するバイニマラマ氏は、「もし先進工業諸国が、このまま手をこまねいて小規模で脆弱な国々に適切な支援の手を差し伸べないならば、歴史は厳しい審判を下すだろう。地球温暖化の原因を作ったのは先進工業国であり、私たち(=太平洋島嶼諸国)ではないのだから。」と語った。

バイニマラマ氏は、アジア・太平洋地域の65カ国以上の閣僚・高官に対して、先進工業諸国は、「自国産業がCO2排出により得た富の一部分を使って、先進工業国よりも貧しく、彼らが作り出した環境危機の矢面に立たされている我々のようなより小国を支援すべきです。」と語った。

今年2月20日、南半球で発生した毎時300キロメートル以上の史上最大級のサイクロンがフィジー諸島を襲った。44人が死亡、4万軒以上の家屋と229の学校が倒壊した。世界銀行は、被害額は全体で約14億ドルに上ると推計している。

バイニマラマ氏は、「我が国を直撃した僅か1回の異常気象でも、その後数年間にわたって我が国の経済を危機に陥れ、それまで苦労して手に入れた開発上の利益をすべて帳消しにしてしまうこともあるのです。」と指摘したうえで、「南太平洋の小規模で脆弱な島嶼諸国がこうした脅威に対応するための支援を、国際社会が協調して行わないならば、持続可能な開発目標(SDGs)には何の意味もなくなってしまいます。」と、厳しい現状を訴えた。

「『2030アジェンダ』についていくら議論を重ねても、フィジーのような国々からすれば、国際社会からの緊急の支援なくしては、持続可能な開発目標を達成する希望はほとんど、あるいは全く持てません。」とバイニマラマ氏は警告した。

「太平洋島嶼国の指導者らが強調しているのは、先進諸国は、この問題の解決策を導くために、彼らの国々への協力に積極的に関わっていく責任があるということです。」とESCAPマクロ経済政策・分析部門のハムザ・アリ・マリク主任はINPSの取材に対して語った。

「気候変動への対応能力をつけることは、持続可能な開発目標を達成するにあたってESCAPが焦点を当てている三本柱(経済、社会、環境)のひとつです。」「太平洋島嶼諸国の経済は気候変動により大きな影響を受け、一つの災害によって開発面で数年の遅れが生じてしまいます。」とマリク氏は指摘した。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

マリク氏はまた、「これらの島嶼諸国には、こうした災害に直面した被災者に対して食料を提供したり、インフラを再建したりする能力が備わっていません。環境の持続可能性と経済成長との間にトレードオフがあることを認め、それを開発枠組みの中に取り込むことが必要です。」と語った。

バイニマラマ氏は、フィジー政府が単に事態を静観して、国際社会からの支援が来るのを待っているだけではないことを示すためにESCAP総会の会会期中にサイドイベントを開催し、気候変動がもたらす恐怖・脅威に対する対応能力を構築していく決意を示した。

サイドイベントで発言したESCAPのカヴェー・ザヘディ事務次長は、「(気候変動への)対応能力を構築することは、選択の問題ではなく必要性の問題です。」と語った。ザヘディ氏は、とりわけ南太平洋の小規模で脆弱な国々の場合、災害支援は特定の省庁だけの責任ではなく、全ての省庁にわたるものだと指摘した。

「私たちは従来の考え方を変えるべきです。」と論じたザヘディ氏は、サイクロンやそれと同等の気候パターンからの脅威は、一つの国に限定されるものではなく、国境を超える性質を持っていると指摘した。

インドネシア気象・気候・地球物理学局長のアンディ・エカ・サキャ博士は発表において、インドネシアは小規模の島々から成る群島国家であるから、気候変動によって引き起こされた自然災害に対応する十分な経験があり、地域におけるこの領域での南南協力の機は熟していると語った。

インドネシアは、フィジーが2月のサイクロンの影響に対応し復興する能力を得る支援を続けており、この領域における南南協力に向けた了解覚書(MOU)をESCAPと最近結んだとサキャ博士は説明した。「インドネシアは災害対応の豊富な経験があり、長期的な戦略的計画を策定してきている」と述べ、災害支援促進のための太平洋におけるハブ構築についてESCAPと4月に議論を行った、と付け加えた。

タイのチャチャイ・プロムラート防災長官は、「2005年にアジアを襲った大津波の後、タイは気候変動や自然災害に対応する経験や資源を積み上げてきました。私たちは地域協力の必要を認識しています。私たちはまた、事後対応ではなく事前に動くプログラムに一層着目しています。」と語った。

UNESCAP
UNESCAP

フィジーのイニア・セルイラトゥ農業・海洋・地域開発大臣は、「気候変動による天候パターンの影響への対応能力を構築することは、南太平洋においてSDGsを達成するうえで重要です。」と述べるとともに、「私たちは度重なる環境の変遷を考慮する必要があります。私たちは今までの生活を変えなくてはなりません。気候変動がもたらすリスクへの配慮は、新たな日常として受け入れなくてはなりません。」と主張した。

フィジーは、(17の目標からなる)SDGsの計画の中に、新たに「災害リスク評価」を組み込み、SDGsの第18目標に加えるように呼びかけている。

セルイラトゥ大臣は、フィジー政府主催のサイドイベントでの発表で、SDGsにおいて貧困削減が強調されているのは重要なことだ、としながらも、気候変動リスクへの対処の問題とのバランスが必要だと指摘した。

全体会で発言したツバルのマアティア・トアファ副首相は、「気候変動の問題は、ツバルのような小さな国にとっては非常に大きなものです。ツバルは、気候変動の物理的な影響に晒される一方で、気候変動に強い重要インフラや対応能力を構築するにも、グローバル気候変動ファンドからの資金獲得に苦労しているのが現状です。」と語った。

Severe Tropical Cyclone Pam approaching Vanuatu on March 13, 2015/NASA’s Aqua satellite, Public Domain

トアファ副首相はまた、「ツバル政府は、気候変動の影響とそれによる災害からの復旧と復興を目的とした資金を確保するために500万ドル規模の『ツバル・サバイバル基金』を設立しました。」と指摘した。そしてその理由として、「2015年のサイクロン『パム』の壊滅的な影響を受けた際、適切な保険がないことを知り、この基金が必要だと思い至ったのです。」と述べ、ESCAP加盟国に同基金への資金提供を呼びかけた。

気候変動に加えて、小規模な太平洋島嶼諸国における持続可能な開発を妨げる大きな要因として、エネルギーを化石燃料に依存する割合が極度に大きいという問題がある。そのことは、アジア太平洋地域の「特別なニーズを有する国々」(CSN、countries with special needs)が直面している持続可能な開発問題に関して、ESCAP会合で発表された報告書でも指摘されてきた。

CSNレポート」と題された同報告書では、南太平洋の小規模島嶼諸国は、その規模の小ささ、主要な市場へのアクセスを困難にする距離、限定的な輸出基盤、(サイクロンのような)慢性的な環境問題のために極めて不利な条件に立たされているが、持続可能な開発の主要な阻害要因は、発電のための輸入石油燃料に対する高度な依存にあると指摘されている。

海洋とそれが生む風に囲まれて、365日間、十分な日光が降り注ぐこれらの島々には、太陽光や地熱、風力などを利用する十分な素地があるが、太平洋島嶼諸国における再生可能エネルギー源への投資は非常に低調だ。

風力を利用しようとする試みすら、気候変動ゆえに発生するサイクロンによって悪影響を受けている。日本の濵地雅一外務政務官はパネル討論で、トンガが風力発電所を設置した時ですら、サイクロンによって羽が飛ばされてしまったと指摘した。

他方、バイニマラマ首相とシャムシャド・アクタールESCAP事務局長間の会談で、両者は、フィジーに気候変動センターを設立して、小規模で脆弱な諸国に対して実践的な訓練・能力開発を提供することで仮合意している。(原文へPDF

翻訳=IPS Japan

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Off to Seoul and DMZ

INPS-IDN visit Seoul, South Korean capital to talk to an senior foreign ministry official on possibilities of Korean unification, and viewing from the South Korean side of the Demilitarized Zone on June 3, 2016 the bridge where POWs were exchanged.

オバマ大統領の広島初訪問でも核兵器禁止は進まず

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【伊勢志摩IDN=ラメシュ・ジャウラ】

1945年8月6日に史上初めての原爆が投下され14万の犠牲者を出した広島へ「歴史的な」訪問を果たしたバラク・オバマ大統領が「核兵器なき世界」の実現を呼びかけたにも関わらず、米国の立場は、核兵器の禁止からは依然としてほど遠い位置にある。

これは、三重県志摩市の賢島で2日間に亘って開催された先進国首脳会議(G7伊勢島サミット)の締めくくりにあたって5月27日に発表した「首脳宣言」によっても裏付けられている。

Ise Shrine Uji Bashi/ Wikimedia Commons

サミットのホスト役を務めた安倍晋三首相は、豊かな文化、美しい景色、約2000年前に建造され、日本で最も尊重されている歴史的施設の一つである伊勢神宮に近いことを、伊勢・志摩をG7サミットの会場に選んだ理由だとしている。

こうしてG7首脳は伊勢神宮を取り巻く神秘的な土地を訪れることとなったが、この経験がG7首脳の決定そのものには、ほとんど影響を与えなかったようだ。G7の内、3つの核兵器国(米国・フランス・英国)と非核兵器国(日本・カナダ・ドイツ・イタリア)は、「不拡散・軍縮問題」を「最重要課題」のひとつに挙げていたが、32ページからなる「首脳宣言」文はこの問題にわずか9行しか割いていない。

G7の核保有3カ国で、1万5350発と推定される世界の核弾頭数全体のうち、3分の1を保有している。これら3カ国の管理下に5185発もの大量破壊兵器があるにもかかわらず、G7は「国際社会の安定を促進する形で、全ての人にとりより安全な世界を追求し、核兵器のない世界に向けた環境を醸成するとのコミットメントを再確認する。」と宣言している。

この文脈で、「首脳宣言」は、「核軍縮及び不拡散に関するG7外相広島宣言」及び「不拡散及び軍縮に関するG7声明」を承認した。

Photo: The first visit to the Hiroshima Peace Memorial Park by all the G7 Foreign Ministers. Credit: Ministry of Foreign Affairs, Japan.
Photo: The first visit to the Hiroshima Peace Memorial Park by all the G7 Foreign Ministers. Credit: Ministry of Foreign Affairs, Japan.

広島宣言は、70年以上前に長崎と並んで核攻撃を受けた都市において4月10日から11日に開かれたG7広島外相会合での議論を受けて出されたものだ。

広島出身の岸田文雄外相は、核兵器国と非核兵器国との間の対立は深まっており、核軍縮・不拡散をめぐる条件はますます厳しいものになってきていると説明した。

岸田外相はしたがって、核兵器なき世界の実現に向かってG7が広島からまさに今この時に強力なメッセージを発する必要性を強調した。この議論を受けて、G7外相らは広島宣言の発表に合意したのである。

G7外相らは史上初めて広島平和記念資料館を訪問し、原爆犠牲者慰霊碑に献花し、原爆ドームを訪れ、被爆の実相に触れた。

バラク・オバマ大統領はこれに倣い、「第二次世界大戦中に命を落としたすべての人を追悼するために」5月27日に米国の現職大統領としては初めて広島を訪問した。

「71年前の明るく晴れわたった朝、空から死が降ってきて世界は一変しました。」とオバマ大統領は述べた。「1945年8月6日の朝の記憶が薄れることがあってはなりません。あの運命の日以降、私たちは希望に向かう選択をしてきました。日米両国は同盟を結んだだけでなく友情も育み、戦争を通じて得るものよりはるかに大きなものを国民のために勝ち取ったのです。」

こうしたジェスチャーを多くの人々が評価しているが、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、米国は1兆ドルの核兵器近代化プログラムを開始しており、「米国は今後数十年も核武装国でありつづけようとしている」と述べている。

オバマ大統領の広島訪問に先立って、ICANのベアトリス・フィン事務局長は、「この7年間、オバマ大統領が核兵器に関して真の変化を生み出してくれるだろうと信じてきた人々にとっては、米国の核政策は失望以外の何ものでもありませんでした。とりわけ、核兵器禁止に向けた有望な新協議プロセスをボイコットしたことには失望しています。」と語った。

フィン事務局長はまた、「オバマ大統領は、『冷戦思考を終わらせ、米国とその同盟国の安全保障戦略における核兵器の役割を低減する』と2009年にプラハで呼びかけたにも関わらず、それには行動が伴っていません。」と指摘したうえで、「すべての核武装国と米国の核の傘の下にある国々は、軍縮の約束を繰り返し行う一方で、実際にはその安全保障戦略において核兵器に過度に依存しています。」と語った。

広島でオバマ大統領は安倍首相に随伴されていた。その安倍首相は、核軍縮を呼びかける一方で、米国の核の傘に依存し、核兵器を禁止する新たな条約を目指す取り組みに反対する「偽善的なスタンス」ゆえに、国内で厳しい批判に直面している。

ICANはさらに、「オバマ政権は、核兵器の禁止、いわゆる『人道の誓約』の推し進める非核兵器国の間で強まっている運動に関わることができていません。米国は実のところ、核軍縮に向けた新たな法的措置を議論するために国連総会によって設置された『核軍縮に向けた第2回公開作業部会(OEWG)』における審議をボイコットしているのです。」と述べている。

日本はどうかというと、5月2日から13日にかけてジュネーブで開催された『核軍縮に向けた第2回公開作業部会(OEWG)』(第二会期)に参加はしたが、核兵器に依存することは国家安全保障上必要だと主張して、核兵器禁止を交渉するプロセスの開始に反対しているのである。しかし、米国やその他の核武装国がボイコットしたにも関わらず、世界の多数の国々は、核兵器を禁止する新条約の交渉を開始する用意ができている、とICANは主張している。

「5月のジュネーブでの『核軍縮に向けた第2回公開作業部会(OEWG)』に不参加あるいは後ろ向きな形でしか参加しなかったことを考えると、これらの国々が『核兵器なき世界』を象徴的に訴えていることは皮肉としか言えません。」「もしこの2人の指導者が核軍縮を真剣にとらえているのなら、核兵器禁止のプロセスを呼びかける世界的な動きになぜ加わらないのでしょうか?」「広島訪問だけでは不十分です。両首脳の誓約を評価する真の試金石は、核兵器を禁止する新たな法的文書を交渉しようとする世界的なプロセスを支持するかどうかにあります。」とピースボートの川崎哲氏は語った。

Photo: UN Geneva
Photo: UN Geneva

フィン事務局長はまた、「プラハ演説の後、オバマ大統領は核軍縮に向けて世界をリードする機会を失いました。オバマ大統領は今回米国大統領として初めて広島を訪問しましたが、それでもこの問題におけるリーダーシップは、『人道の誓約』を承認した120カ国以上の非核兵器国の広範な連合から生まれてきているのです。」

ジュネーブでの『核軍縮に向けた第2回公開作業部会(OEWG)』から2週間、G7伊勢志摩サミットの首脳宣言が発表された。OEWGの2回の会期(2月22日~26日、5月2日~13日)では草案に合意することはできなかったが、8月に行われる最後の3日間の会期では、国連総会への勧告を含んだ最終報告書の交渉に進むことになっている。

ICANは、信仰を基盤とした団体を含む市民社会からの支持を活性化するうえで決定的に重要な役割を果たしている。5月2日に発表された、さまざま宗教団体による共同声明では、核兵器廃絶が道徳的・倫理的に絶対必要であることを強調している。35近い宗教団体・個人が賛同したこの共同声明は5月3日、作業部会の議長を務めるタイのタニ・トーンパクディ大使に手交された。

UNFOLD ZEROは、市民社会の主要な役割を強調して、「核軍縮に向けた多国間交渉を2017年に始める推進力は今や強まっている。これは約20年に亘って阻止されてきたものだ。」と述べている。

UNFOLD ZEROのパートナー団体には、平和首長会議ピースデポ核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)バーゼル平和事務所国際反核法律家協会(IALANA)中堅国家構想(MPI)などがあり、大きな支持を動員している。

非核兵器地帯(NWFZ)を通じて各々の地域で既に核兵器を禁止している国々のグループからも共同で作業文書「核軍縮を前進させる:核兵器地帯の視座からの提案」(WP34)が提出されている。この115か国は、ラテンアメリカ、南太平洋、南極、東南アジア、アフリカ、中央アジアに設けられている非核兵器地帯に属する国々の一部である。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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UNEP Invites IDN-INPS Correspondent Stella Paul

Award winning Stella Paul, IDN-INPS roving correspondent in South Asia, was part of an international journalists’ team invited by the UNEP to Sri Lanka. “The journalists were selected for this trip on the basis of their prior reporting excellence and experience,” she says.

She filed for us an absorbing report on a theme that usually escapes general attention, a report on how the world’s only vegetarian sea mammal, the dugong living at a depth of 5-15 meters, feeding on sea grass, is being saved from extinction by resorting to hi-tech such as drones. Dugong’s natural habitat is vast – stretching from Eritrea in East Africa to Vanuatu in the Pacific.

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Stella Paul, an eminent freelance journalist, is Lead Ambassador: World Pulse and winner of

IWMF Courage in Journalism Award 2016 and of the

Asian Environmental Journalism Awards 2015, 2014 & 2013

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