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|UAE|国連事務総長が「シャムス1」太陽熱発電所を視察

【アブダビWAM】

国連の潘基文事務総長は5月5日、マスダールの集光型太陽熱発電所(CSP)「シャムス1」を視察した。発電規模100メガワットのこの発電所は、中東地域で最大規模の再生可能エネルギープロジェクトである。潘事務総長は、各国閣僚(約70ヵ国)、国際機関、民間、市民社会のリーダーらを招集して、気候変動問題を協議する国連ハイレベル会合「Abu Dhabi Ascentアブダビ会合)」(5月4日・5日)に出席するためアラブ首長国連邦(UAE)を訪問中である。

現地を訪れた潘事務総長は、「太陽光を利用することで、UAEは地球温暖化ガスの削減を推進する一方、雇用を創出し、低炭素経済の進歩に資する基盤を構築しています。」と語った。

潘事務総長の「シャムス1」視察には、マスダール会長で国務大臣のスルタン・アーメド・アル・ジャベール博士が同行した。

Shams 1/Utilities me.com
Shams 1/Utilities me.com

スルタン・アーメド・アル・ジャベール博士は、「『シャムス1』は気候変動緩和に貢献する活動事例であるとともに、他国の手本となるプロジェクトです。再生可能エネルギーは、気候変動と持続可能な開発に取り組むうえで根本的な要因です。この発電所は、UAE政府がいかにして持続可能なエネルギー問題の解決策を生むだすうえで主導的な役割を果たしてきた実例です。

2013年3月に稼働を開始した『シャムス1』は、中東地域の再生可能エネルギー開発において画期的な出来事だった。マスダール、トータルアベンゴア3社による共同プロジェクトの発電規模は最大100メガワットで、UAE国内の2万世帯にクリーンエネルギーを供給し、その二酸化炭素削減効果は17万5000トンにのぼる。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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米国に依存する太平洋の島嶼国が、核兵器保有国に挑む

【国連IPS=タリフ・ディーン】

太平洋上の小さな国家マーシャル諸島が、ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で世界の核大国に挑戦しようとしている。同国は、経済的な生存のために米国に大きく依存し、通貨として米ドルを使用し、あらゆる政治的に議論のある問題に関して国連で米国とほぼ同じ投票行動をとる国である。

4月24日に提起された訴訟は、小さなダビデと屈強ゴリアテとの間の戦いに喩えられている。人口わずか6万8000人余の国が、[合計]人口35億人以上を擁する世界9つの核兵器国に抵抗しようとしているのだ。

「『核政策法律家委員会』と国際反核法律家協会(IALANA)国連事務局の代表を務めるジョン・バローズ氏は、マーシャル諸島政府およびその法律支援チームは、他の諸国に対して、声明を出したり、資格があるのであれば同様の提訴を行ったり、マーシャル諸島の起こした訴訟に参加したりすることによって、訴訟の支援するよう強く働きかけています。」とIPSの取材に対して語った。

法律支援チームの一員であるバローズ氏は、ICJが1996年の勧告的意見において、厳格かつ効果的な国際管理の下で、あらゆる側面における核軍縮に関する交渉を誠実に追求し妥結させる義務が存在すると全会一致で判断した点を指摘した。

このICJ勧告的意見からおよそ18年後に提起された今回のマーシャル諸島の訴訟は、「核軍縮と核軍拡競争の停止を早期に行うとする国際法上の義務に従っているとする核保有9か国の主張の正当性を判断することになるだろう。」とバローズ氏は言う。

9つの核兵器国とは、国連安保理の常任理事国である米国、英国、フランス、中国、ロシアに加え、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮である。

バローズ氏によれば、マーシャル諸島と同じく、英国、インド、パキスタンの3か国がICJの管轄権受諾宣言を出しているという。

マーシャル諸島は、他の6か国に対しては、この特定の訴訟に関して管轄権を受諾するよう求めているという。

「これは通常の手続きだが、6か国は管轄権をおそらく受諾しないだろう。」とバローズ氏は語った。

1946年から58年にかけて米国は67回の核実験を行い、マーシャル諸島の人々に対して今日に続く健康や環境上の問題を引き起こした。

マーシャル諸島のトニー・デブルム外相は、「わが国民は、核兵器(実験)から壊滅的で回復不可能な被害を受けてきました。地球上の誰も二度と我々のような悲惨な経験をすることがないよう、闘っていくことを誓います。」と語ったとされる。

またデブルム外相は、「核兵器が存在し続け、それが世界に及ぼしている恐ろしいリスクは、私たち全てにとっての脅威に他ならないのです。」と付け加えた。

訴訟ではまた、公式核兵器国(NPTで核兵器保有の資格を国際的に認められた国)は、NPT上の法的義務に一貫して違反している、と主張している。

NPT第6条は、できるだけ早期に核軍拡競争を終わらせ核軍縮を行うための交渉を誠実に追求するよう加盟国に義務づけている。

インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮はNPTに加盟していない。

しかし、訴訟では、9つの核兵器国がすべて、慣習国際法に違反していると訴えている。

核保有国は、核を解体するどころか、核戦力近代化のために今後10年間で1兆ドルを費やそうとしていると非難されている。

今回の訴訟を強力に支援している「核時代平和財団」のデイビッド・クリーガー会長は、「マーシャル諸島は、『もうたくさんだ』と言っているのです。」「同国は全人類のために大胆かつ勇気ある行動を起こしたのであり、当財団は彼らの側に立つことを心から誇りに思っています。」と語った。

南アフリカ共和国のデズモンド・ツツ大司教は、4月24日に発表した声明の中で、「核保有国が重要な公約を果たさず法を尊重しないために、世界はより危険な場所になっています。」と指摘したうえで、「これらの国々の指導者らがなぜ公約を破り、なぜ自国の国民や世界の人びとを恐るべき破壊のリスクに晒しているのかを、私たちは問わねばなりません。これは、現代における最も根本的な道徳、法律上の問題のひとつなのです。」と語った。

バローズ氏はIPSの取材に対して、「米国政府は国際的な法の支配と究極的な核廃絶にコミットしていると主張しています。もしそうならば、米国は訴訟を受けて立ち、軍縮義務遵守の状況に関する大きな意見の違いをICJが埋める機会を拡大すべきです。」と語った。

ICJの強制的管轄権を受諾していない他の5か国も、[マーシャル諸島から]現在同じような要求を受けている。

バローズ氏はまた、「英国に対する訴訟について鍵を握る問題は、世界的な核発絶に関する多国間協議を開始しようとの国連総会の取り組みに反対することで、英国が核軍縮義務に違反したかどうかというところにあります。」と語った。

インドとパキスタンについては、両国がNPT加盟国ではないことから、核軍縮義務が慣習的な性質のものであって、すべての国を拘束すると言えるかどうかが論点になるという。

バローズ氏は、「インド・パキスタン両国が核兵器を製造し核戦力を向上・多様化していることが、核軍拡競争停止の義務と、根本的な法律上の信義誠実原則に違背しているかどうかが問われることになります。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|南スーダン|「前進するにはまず国の安定確保が必要」とUAE紙

【アブダビWAM】

南スーダンでは、反政府勢力が先月中旬に北部の油田地帯ユニティ州の州都ベンティウを制圧した際、数百人を虐殺したという知らせを契機に、住民の間で大量虐殺が起こるのではないかとの恐怖心が広がっている。現地で平和維持活動(PKO)にあたっている国連南スーダン派遣団(UNMISS)など国連関係者も、南スーダンは大惨事の瀬戸際にあると警告している。今日の状況を改善するには、早急な是正措置が求められている。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。

サルバ・キール・マヤルディ大統領エリック・マシャール前副大統領(昨年7月に解任)の政治対立に起因する両者の支持部隊による戦闘が昨年12月に発生して以来、この数か月で既に数千人が殺害され、100万人以上が家を追われたとみられている。

その後この政治対立は、大統領派のディンカ族と前副大統領派のヌエル族間の民族対立の様相を呈しており、暴力の連鎖は、産油地帯が多い北部を巻き込みながら各地に広がりをみせている。その結果、この国の経済の生命線ともいえる原油生産量は、紛争が勃発して以来、従来の約3分の1にあたる16万バレルにまで落ち込んでいる。

「調停努力もなされているが、その結果が明らかになるまでには、なお暫く時間が必要だ。現在キール大統領は、既に4か月に及ぶ内戦に終止符を打つため、暫定政府の設立も視野に入れた反政府側との和平協議を行うために、エチオピアに赴くことに同意している。」と『ガルフ・トゥディ』紙は5月3日付の論説の中で報じた。

また同紙は、ジョン・ケリー国務長官が、キール大統領が早ければ翌週にもマシャール前副大統領と面談し、今回の紛争を収拾することに期待を表明していることについても報じた。ケリー長官は、暫定政府構想の内容やキール大統領の続投の可能性について説明しなかったが、このままでは民族対立が大量殺戮へと発展しかねないと警告した。

エチオピアにおいて両派間の交渉は持たれているが、1月23日の停戦合意以来、なんら進展はなく、停戦も守られていない。

また、南北スーダン政府がいずれも領有権を主張しているアビエイ地区(現在はスーダンが実質的に支配している)に、難を逃れた南スーダンの人々が流入し続けている事態も、大きな火種となっている。ここ数日だけでも新たに3000人近くの南スーダン人がアビエイ地区に流入しており、これまでの流入人口は約6000人に膨れ上がっている。

南スーダンは数十年に亘った内戦を経て、分離独立を問う住民投票が実施された結果、2011年に国連で193番目の加盟国として独立した。南スーダンの独立に際して中心的な役割を果たした米国政府と南スーダンの近隣諸国は、最近多発してきた暴力を抑え込むため躍起となっている。

長期に亘る武力衝突、汚職の横行、政治制度構築の失敗が重なった結果、南スーダンは独立当初に国際社会から獲得した信用の多くを喪失した。「南スーダンが先に進んでいくには、国内の指導者らが個人的な権力闘争に終止符を打つとともに、国を安定軌道に進むよう舵を切るほか方法がないだろう。」と『ガルフ・トゥディ』紙は報じた。

翻訳=IPS Japan

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|インド|魚を使ってマラリア対策

【マンガロールIPS=ステラ・ポール

サンプリース・モンテイロ君(13歳)の隣人は、「グッピーを購入すれば、それはあなたの家の蚊の幼虫や卵を食べてくれるため、蚊がいなくなります。そのため、またマラリアに感染することは無くなるのですよ。」という彼のアドバイスを真剣に受け入れている。

モンテイロ君が通っている、インド南部カルナータカ州のマンガロール市にある聖アロイシウス高等学校は、市当局と協力して、約1か月前にマラリア対策キャンペーン「グッピー運動」を開始した。この運動は、グッピーのような自然界の生物を使ってマラリアの感染を抑制することを目的としている。

この運動に参加したボランティアらは、蚊の幼虫とグッピーが入った水槽を携えて地元の病院や学校を訪問し、グッピーが蚊の幼虫を捕食する様子を実演してみせている。

ボランティアらはまた、市内各地の路上でも同様の実演を行い、マラリア対策のメッセージを幅広く知らしめる活動に従事している。モンテイロ君がグッピーまつわるこうした効能を知ったのもそうした路上実演を見学したのがきっかけだった。この運動は、「世界マラリアデー(4月25日)」を契機にとりわけ大きな注目を浴びている。

マンガロール市から遠く離れたインド北東部メーガーラヤ州シロン市では、州政府がマラリア予防対策のワークショップを開催し、州政府職員や保健活動家らに対して、グッピーのような魚を繁殖させることがベクター伝播疾病(生物媒介の疾病)対策に効果的な方法だと講演していた。

「現在、衛星マッピング技術を利用して、マラリア多発地域の特定作業を進めています。」「マッピングが完成すれば、(蚊の卵や幼虫を捕食する)魚を問題地域に対して効果的に配送して繁殖できるようになります。」とウエスト・ガロ・ヒルズ地区のカーター・サングマ医療保健官はIPSの取材に対して語った。

An Aedes aegypti mosquito, which transmits the dengue virus, feeding. Credit: jentavery/CC-BY-2.0
An Aedes aegypti mosquito, which transmits the dengue virus, feeding. Credit: jentavery/CC-BY-2.0

サングマ氏は、州政府が2012年にマラリア予防対策としてグッピーの繁殖を始めて以来、既に州内の蚊を介在した病気の発生率は既に50%減少している、と語った。

インドでマラリア対策にグッピーが活用された事例は大英帝国植民地時代の1908年に遡る。当時蚊に悩まされていたセルヴィーという名の英国陸軍少佐が、本国からグッピーを持ち込み、赴任地バンガロールの野営地周辺の池や湖で繁殖させたという記録が残っている。

それと同じころ、ムンバイ市当局は、米国のテキサス州からグッピーを輸入してマラリア対策に使い始めている。

このようにマラリア対策にグッピーが有効なことは100年以上知られているにも関わらず、インド政府はこの対策手法を全国に拡大してこなかった。その理由について、マンガロール市を拠点にした保健活動家のスレシュ・シェティ氏は、インド政府が、蚊を介在した疾病で年間数千人が犠牲になっている農村地域にこの対策を広げることに失敗したからだ、という。

世界保健機関(WHO)によると、推定34億人がマラリアに感染するリスクに晒されているという。インドでは、控えめに見積もっても年間1500万人がマラリアに感染し、2万人近くが命を失っている。

マラリア蔓延の背後には、不衛生、未処理のゴミ、停滞水、激しい気候変動などが主な理由としてあり、その予防対策としては、蚊帳と殺虫剤の併用や水回りのチェックが一般的であるという。しかし、グッピーなどの魚を使って予防することは、最も安く、最も効果的であると専門家らは指摘している。

インド東北部アッサム州グワーハーティー市にあるマラリア研究センターでは、今では大規模なグッピーの養殖がおこなわれている。

「アッサム州では、生体制御でマラリアの感染率を大幅に軽減することができました。2012年までこの州では年間3万人以上がマラリアに罹っていましたが、今では3000件から4000件まで減少しています。」と、公衆保健技術部のヌリペンドラ・クマール・シャルマ氏は語った。

シャルマ氏は、政府は村落を基盤にしたNGOや自治組織、民間セクターをうまく巻き込まなければならない、と指摘した。

バンガロール市から南に181キロのマイソール市の企業家ソマセカール・ゴーダ氏は、マラリア対策を実施する財源を確保するうえで、企業や金融機関を巻き込むことは有効だと語った。ゴーダ氏は、昨年5月にマイソール市郊外のディー・サルフンディ村で4人の子どもがデング熱で死亡したのをきっかけに、グッピーの養殖を開始し、無料で配布している。

子どもたちの死後、村ではパニックが広がり子どもを連れて村から逃げ出すものも出てきた。そこでゴーダ氏は、村に乗り込み、村人の助けを借りで、村内50カ所を超える溜池や水たまりにグッピーを放流したのだ。

Dabbawalla/Wikimedia Commons
Dabbawalla/Wikimedia Commons

ゴーダ氏は、政府部局間と官民の連携のありかたを改善すれば、どこでもマラリア撲滅に向けた成果を上げることができる、と指摘したうえで、具体例として、「ムンバイ市では、ダッバーワーラーと呼ばれる弁当配達人がマラリア対策キャンペーンに一役買っています。また、マンガロール市では、市当局が地元の大学や金融機関と協力してマラリア対策を実施するために必要な資金とボランティアを確保しています。」と語った。

マラリア抑制対策におけるグッピーの効果については疑問の余地はないが、研究者の中には、外来種のグッピーは蚊の幼虫や卵以外にも在来種の魚も捕食することから、大量導入が進めば、インドの生物多様性を脅かす恐れがあると指摘する者もいる。こうした研究者は、解決策として、蚊の幼虫や卵を捕食するインド在来種の魚も平行して活用することを勧めている。

タガヤシ/ Wikimedia Commons
タガヤシ/ Wikimedia Commons

「そうしたインド原産の捕食魚にはティラピア、カダヤシ、インドメダカなどがあります。蚊とマラリアを抑制するには、これらの魚をグッピーと併用することは十分可能です。」と、インド北東部にあるトリピア大学薬学部のガンブシア・デブ元教授はIPSの取材に対して語った。

「インド南部タミル・ナードゥ州のヴェールール市では、これまで10年近くマラリア患者が1人も発生していませんが、市当局は、それでも毎年同地(=市内にあるインド医療機関最高峰のキリスト教医科大学)を訪れる数千人にのぼる医療観光客をマラリアの感染から守るために、先月だけで4500匹のグッピーを市内各地の井戸に放流しました。」と、地元の昆虫学者ラジャ・ゴパル氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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マラリア対策で網を広げるパプアニューギニア

|カンヌ映画祭|華々しさの陰で語られる人権問題

【カンヌIPS=A・D・マッケンジー】

ここではオープニング作品の「グレース・オブ・モナコ―公妃の切り札」のことはいったん忘れた方がいい。今年の(第67回)カンヌ映画祭で最も注目された作品のいくつかは、人権や報道の自由について取り扱ったものだった。しかもこれらの作品は、監督たちが作品に込めた想いを視聴者に伝えたい一心で、資金・検閲・インフラ面での様々な困難を乗り越えて制作・出品に漕ぎつけたものである。

この恐怖政治が吹き荒れたなかで、2人の子どもを抱えた若いカップルが、正式に結婚していなかったことが宗教上の「罪」になると咎められ、石打ちの刑に処された。「この事件が映画制作の動機となりました」と振り返るシサコ監督は、映画の導入部分で「この処刑は言語に絶する犯罪行為に他なりません。それにも関わらず、メディアは概ねこうした犯罪行為に対して無関心を装ってきました。」と述べている。

またシサコ監督は、「イスラム過激派がインターネットに投稿した処刑の様子を撮影した映像クリップは、本当に恐ろしいものでした。女性は最初の投石で即死でしたが、男性の方は暫く苦痛に満ちた悲鳴を上げていました。」「(映画で再現している)このシーンは目を覆いたくなるようなものであることは良く分かっています。また、こうしたショッキングな内容で映画を宣伝する意図は全くありません。しかし事実を知らないふりはできないのです。私は、両親の死は愛し合っていたことが原因だと知らされる子供をこれ以上増やさないよう願いつつ、真実を証言する義務があると思ったのです。」と付け加えた。

映画「ティンブクトゥ」では、抑圧と人権侵害を非難する手法として空想的な技法が用いられているほか、登場人物の人間性を強調するために、暴政に対して尊厳を持って対峙する女性たちの姿が描かれている。今回のカンヌ映画祭(5月14日~25日)ではこうした特徴が、この作品に対する多くの観客の支持へとつながったようだ。

各種賞の発表は5月24日に行われることになっているが、この真実の物語を、勇気をもって伝えたシサコ監督の努力が報われることを願っている人々は決して少なくない。

映画「イーレン(邦題『ひかり』)」で、1987年のカンヌ映画祭で審査員賞に輝いたマリの監督スレイマン・シセ氏は、こうした映画を制作する際の資金集めと海外に配給する困難について語っている。アフリカでは映画が芸術あるいは産業としてとらえられておらず、映画制作を支援しようとの政治的意思がなかなか出てこないのだという。

カンヌ映画祭には1700以上の作品が提出されるが、正式セレクションに選ばれる作品はメッセージ性の有無にかかわりなく、ほんの一部に過ぎない。

そうした中で人権問題、とりわけ報道の自由を取り上げた別の作品として、非コンペティション・スペシャルスクリーニング部門で上映された「風刺漫画家たち―民主主義の前線に立つ兵士」(監督:ステファニー・バロアット)がある。これは、チュニジアやコートジボワール、ブルキナファソ、フランス、イスラエル、ベネズエラ、シリアなどの国々で、リスクを覚悟で不正や偽善にユーモアで立ち向かっている12人の風刺漫画家に焦点をあてたドキュメンタリー映画である。

この作品には、例えば、シリアのバシャール・アサド政権を批判する風刺漫画を度々発表したことから、2011年に政府当局に拉致監禁され、拷問を受けたシリア人漫画家のアリ・フェルザット氏が登場する。

フェルザット氏は軍当局によって(二度と風刺画が描けないよう)利き腕の左手を折られたが、コフィ・アナン元国連事務総長とフランスの有名風刺漫画家プラントゥ氏が共同で立ち上げた「平和のための風刺漫画」が国際的な救出キャンペーンを展開した結果、何とかシリアから救出され、左手も手術で救われた。

このドキュメンタリー作品の制作に協力した「平和のための風刺漫画」には、世界40か国から100人以上の宗教的背景が様々な風刺漫画家が参加しており、対話を表現の自由、そして漫画家のジャーナリストとしての活動を促進する活動を展開している。バロアット監督はインタビューの中で、「この作品を制作するにあたって『平和のための風刺漫画』の活動から大いに刺激を受けました。プロデューサーのラデュ・ミヘイレアニュ氏は、この団体の人権活動と寛容を訴えるプラントゥ氏の運動を長年称賛してきたのです。」と語った。

バロアット氏はこれまでのドキュメンタリー映画作品の腕を買われてこの作品の監督に起用された。「私もプラントゥ氏や『平和のための風刺漫画』の活動を知り、深い感銘を受けました。」とバロアット氏は語った。

バロアット監督は、作品に登場する実在の12人の風刺漫画家のキャラクターについて「世界各地の悲喜劇を巧みに記録する愛すべき変わり者たち」と表現している。またこの映画作品では、風刺漫画家を「笑顔と鉛筆を唯一の武器に、民主主義を守るために己の命を危険に晒す人々。」と紹介している。

「この作品にはシリアスなメッセージとともに素晴らしいユーモアがちりばめられています。またこれは、観客の社会的な背景に関わりなく、寛容と人権擁護のために闘うことの大切さを思い起こさせてくれる作品となっていると思いますので、是非多くの人に観てもらいたいです。」とバロアット監督は語った。

皮肉なことに「風刺漫画家たち」の公開時に合わせて出版される予定だった関連本が、収録された作品の一つがカソリック教会を侮辱したものだとして、フランスの出版社によって差し止められるハプニングがあった。この事態は、フランスの他の出版社「Actes Sud」が助け舟に入る形で改めて5月28日に出版されることとなった。

今回のカンヌ映画祭でその他に包括的な視野から人間主義のテーマを扱った作品としては、コンペティション部門に出品されているヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督(トルコ)の「冬の眠り」がある。この3時間16分に及ぶ長編作品は、一見歴然とした貧富の格差を背景に織りなされる様々な人間関係と、人生における宗教の役割に焦点をあてている。

モーリタニアのアブデラマン・シサコ監督の作品「ティンブクトゥ」(マリにある古都の名称:IPSJ)は、最高賞「パルムドール賞」を狙うコンペティション部門18作品の中にノミネートされている。これは2012年にマリ北部が反政府イスラム過激派に占拠され、女性に厳格な服装規定が強制され、サッカーも音楽も喫煙も禁止された宗教的不寛容の下で生きる村人たちの姿とその中で起こった悲劇を描いている。

これは、トルコ中央アナトリアの壮大な自然を舞台に、そこに住む裕福な主人公と貧しい村人達のユーモアに満ちた興味深いやり取りが観客を魅了する作品に仕上がっている。そしてこの作品を観終わった時には、誰もが世の中をよくしたり、他人の権利を保護したり、或いは自身の罪を贖うには、はたして個人として何ができるだろうかという様々な思いを巡らせることだろう。

ここカンヌでは、「グレース・オブ・モナコ」(モナコ王妃故グレース・ケリーの秘話を誤った解釈で描いた作品)にはブーイングが飛んだが、「冬の眠り」はスタディング・オベーションをもって迎えられた。(そして、「冬の眠り」は、24日の授賞式で、コンペティション部門の最高賞「パルムドール」賞を受賞した:IPSJ)(原文へ

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メディアの多様性を求めて闘う(国際通信社IPSとロベルト・サビオ博士)

NPT運用検討会議を危機に陥らせかねない米露対立

【国連IPS=タリフ・ディーン】

ウクライナをめぐる米露間の緊張が強まり、国連の主要な平和のイニシアチブのひとつである核軍縮に支障が出てきている。

とりわけ、核という大量破壊兵器(WMD)の拡散を防止する条約に関する主要な準備委員会会合を目前にして、世界の二大核兵器国は互いを非難し、諍いは激しさを増している。

2000年の核不拡散条約(NPT)運用検討条約で合意された「13の措置」と、2010年会議で「中東非核・非大量破壊兵器地帯」の創設に関する合意とともに出された64点の「行動計画」は、運用検討プロセス強化の先駆けであった、とジャヤンタ・ダナパラ元国連事務次長はIPSの取材に対して語った。

Honoree Jayantha Dhanapala credit: Katsuhiro Asagiri/ IPS Japan
Honoree Jayantha Dhanapala credit: Katsuhiro Asagiri/ IPS Japan

ダナパラ氏は、「しかしながら、実際の目標達成度合い、米露の冷戦思考への回帰、全核兵器国による合意内容の先送りによって、『核兵器なき世界』という目標は幻影になりつつある。」と警告した。

「第3回準備委員会会合がこの不吉な流れを逆転しないかぎり、2015年会議は失敗し、NPTの将来を危機に陥れる運命にある」と「科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議」の会長でもあるダナパラ氏は語った。

2015年NPT運用検討会議第3回準備委員会会合は、4月28日から5月9日まで国連本部で開催される。

しかし、よい成果が得られるかどうかは、他の公式核兵器国(NPTで核兵器保有の資格を国際的に認められた国)の英国、フランス、中国に並んで、もっぱら米国とロシアにかかっている。ちなみにこれらの5大国は、国連安保理常任理事国(P5)でもある。

婦人国際平和自由連盟(WILPF)のプログラムである「リーチング・クリティカル・ウィル」の責任者であるレイ・アチソン氏は、IPSの取材に対して、「4月28日から開催される準備委員会は、最大の核兵器備蓄を持つ二国間の緊張が高まる中で開かれるものです。」と指摘した。

アチソン氏はまた、「核兵器を廃絶するための交渉を行う義務を両国とも果たしておらず、核兵器更新のために数十億ドルを費やし、核の存在を未来永劫のものにしようとしています。」と指摘したうえで、「核兵器は本来的に危険なもので、偶発的あるいは意図的にそれが使用されるリスクを考えれば、軍縮には緊急の行動が求められています。」と語った。

公式核兵器国は、今年中に、2010年に採択されたNPT行動計画における軍縮関連の行動を実行するために具体的に取った行動を報告することが義務付けられている。

「核兵器国がその誓約内容に関してどの程度進展状況を報告できるかが、この軍縮プロセスを、意思を持って主導しパートナーとなる意図があるかどうかを明確に示す指標になるでしょう。しかし、核兵器国がこれまでに発表したものを見ても、その誓約のほとんどに関して、まともに実行しようと考慮したふしは全く見られません。」とアチソン氏は指摘した。

Ray Acheson, Reaching Critical Will
Ray Acheson, Reaching Critical Will

核時代平和財団」ニューヨーク支部のアリス・スレイター支部長は、「NPT運用検討会議準備委員会の開催を目前に控えて、憂慮すべき対立が見られます。」とIPSの取材に対して語った。

北大西洋条約機構(NATO)は東欧を「守る」ために軍事力を強化している。メディアは事態の一部のみを報じ、ウクライナ問題を根拠にNATOによる軍事演習を正当化している。ヒラリー・クリントン前国務長官ウラジミール・プーチン大統領アドルフ・ヒトラーナチスドイツ総統になぞらえた。『ニューヨーク・タイムズ』の1面は「冷戦の音が聞こえる。オバマ戦略、プーチンを見限る。」と見出しを付けた。

「しかし、NATOがロシア国境まで拡大し、ウクライナやグルジアにも加盟を招請する中、ロシアの安全保障上の懸念についてはほとんど報じられていません。」と「アボリション2000」調整委員会の委員でもあるスレイター氏は語った。

NATO.INT
NATO.INT

ロナルド・レーガン、ジョージ・ブッシュ両大統領が当時のソ連の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏に対して、「NATOは東ドイツを超えて拡大することはない」とベルリンの壁崩壊後に約束したにもかかわらず、このような事態が進行している、とスレイター氏はいう。

スレイター氏はまた、「米国が2001年にいかにして1972年の弾道ミサイル制限条約を脱退し、ポーランドやルーマニア、トルコにミサイルを設置したかについても報じられていません。」と指摘した。

ダナパラ氏は、NPT条約を無条件・無期限延長した歴史的な1995年NPT運用検討・延長会議の議長として、閉会発言の中で、次のように述べた。「条約の無期限延長は、不均衡な義務の実行や、核兵器を『持つ者』と『持たざる者』との間の核のアパルトヘイト状況を無期限に延長するものではありません。この決定が意味するものは、核拡散に対して国際的な法的障壁を永遠にうちたてようとする総意の表れてあり、これによって、核兵器なき世界実現に向けた任務を前進させることができるのです。」

Alice Slater/Green Shadow Cabinet
Alice Slater/Green Shadow Cabinet

スレイター氏は、最近の米露対立が起きる以前から、1970年以来の核軍縮に関する多くの約束事が果たされてこなかった点を指摘したうえで、「悪化する米露関係は、麻痺したNPTプロセスにおいて成果の見通しを曇らせる悪い前兆となっています。」とIPSの取材に対して語った。

しかし、今回の新たな危機は、核兵器が人間に与える壊滅的な被害の問題を取り上げ、その法的な禁止を求めるオスロに始まったプロセス(2013年のオスロ会議に始まる「核兵器の非人道性に関する国際会議」)を強化するよう、多くの国々を突き動かすことになるかもしれない。

「ロシアと米国で1万6000発の核弾頭が保有されている状況の中、非核兵器国は核兵器禁止条約に向けた取り組みを強化しなくてはなりません。」とスレイター氏は語った。

公式核兵器国(=核5大国)は、オスロ会議(2013年)とメキシコ会議(今年2月)に参加しなかったが、非公式核兵器国であるインドとパキスタンは、オスロで127か国、メキシコで144か国とともに会議に参加した。今年[後半]、オーストリアがフォローアップ会議を主催する予定である。

スレイター氏は「この新たなプロセスは、『核の傘』に依存している国々が抱えている建前と現実のギャップに焦点をあてることとなり、次第にその矛盾を浮き彫りにしてきています。」「これらの国々は、名目上は核軍縮を支持し、核兵器がもたらす人道上の影響に関してますます多くの議論が世界的になされる中で、核戦争の壊滅的な帰結に懸念を示してはいますが、一方で、致命的な核抑止に依存し続けているのです。」と指摘した。

NPT第6条はすべての条約加盟国に対して核軍縮を推進する義務を規定している。

「欧州で戦争が起こる予兆があることで、核兵器禁止に向けた取り組みに新たな推進力が加わるかもしれません。」とスレイター氏は警告した。

アチソン氏は、化学兵器や生物兵器といった他の大量破壊兵器とは異なり、核兵器は未だに明確な法的禁止の対象になっていない点を指摘したうえで、「今こそ、あまりに長く放置されてきたこの異常な状況に対処すべき時です。歴史は、兵器体系の使用禁止に加えて、保有の法的な禁止を行うことが、その廃絶を促進することを示しています。」と語った。

アチソン氏はまた、「違法化された兵器は徐々に正当なものとはみなされなくなってきます。」と指摘した。

こうした(違法化された)兵器は政治的地位を失い、それに加えて、その製造や改修、拡散、永続のための資金や資源を失うようになる。

核兵器を保有した二国の間の緊張が高まる中、非核兵器国が主導して核兵器を禁止することが以前にもまして必要になってきている、とアチソン氏は強調した。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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早朝。スマリ・ヴァルダちゃん(14歳)は、青色の制服を身にまとう。しかし向かう先は学校ではなく、水汲みの溜池である。彼女は雇い主から聞かれるのではないかとびくびくしながら、「学校が懐かしい。できれば戻りたい…。」と小さな声で呟いた。

スマリちゃんはドゥルベーダ村の出身だが、今はバインサスールという別の村に住んでいる。いずれもインド中央部のチャッティースガル州にある。彼女が制服を着て水を汲みに行くのは、これが僅かに持っている服の一枚だからだ。

彼女の出身の村であるドゥルベーダは、ナラヤンプール地区の森林地帯にあるアブジュマードに位置している。ナラヤンプールは、インドの一部で国家に対する暴力的な反抗を主導している違法団体「インド共産党毛沢東派(マオイスト)」の最大の潜伏地帯のひとつだと言われている。

9か月前、州都ライプールから、遠い親戚がスマリちゃんの両親を訪ねてきた。両親はいつか娘がマオイストに加わるよう求められるのではないかと心配していた。「ブダンおばさん」とスマリちゃんが呼んでいるその親戚は、町の学校に通わせるからと言って彼女を連れ去った。

代わりに彼女が連れて行かれたのは、ライプールから180キロ離れたバインサスール村だった。現在スマリちゃんは、おばさんの兄弟の家で、料理、洗濯、水汲み、そして時には牛の世話など1日に14時間以上も働かされている。

スマリちゃん、チャッティースガル州で毎年誘拐されている数千人の子どものうちの一人だ。国連薬物犯罪事務所(UNODC)が2013年に発表した報告によると、3000人以上の子どもが同州で毎年人身取引されているという。

UNODC
UNODC

報告書は、紛争による影響が比較的少ないとされる北部地区に焦点を当てている。ダンテワダ、スクマ、ビジャプール、カンケール、ナラヤンプールといった、マオイストの活動が活発な地域とみなされる場所については、報告書の対象外だ。

(懲罰を恐れて匿名を希望した)地域開発当局のある職員によると、それはデータが圧倒的に不足しているためだという。遠隔地には研究者も調査者も入りたがらないとのことだ。

「2010年4月、マオイストはダンテワダで76人の治安要員を殺害しました。それ以来、紛争がエスカレートし、今ではダンテワダやスクマ、ナラヤンプールといった地区にはほとんど誰も入りたがらない状態が続いています。しかし、現場に行かなければ、どうやって情報やデータを集めるというのか。」

森林部族住民の強制移住と闘う、すべての部族を包含した州唯一の女性団体である「ジュルミル・モルチャ(Jurmil Morcha)」の創設者バン・サフ氏は、データが存在しないことが人身取引を加速している面があると考えている。

「マオイストと治安部隊との間で虐殺や衝突が起こるたびに、多くの人びとが村を後にします。人身売買業者はこのような人々を標的にし、幾ばくかの金を払って、子どもの面倒を見るからと持ちかけるのです。」

「しかし政府は、移住や人身取引の実態を認めようとはしない。だから、人身売買業者はプレッシャーを感じずに済んでいるのです。」とサフ氏はIPSの取材に対して語った。そこで彼女は、地域のネットニュース「CGNETスワラ」(通称:貧者のグーグル)に、人身取引のいくつかの事例について投稿している。

GCNet Swara
GCNet Swara

インド西部ゴアの浜辺で観光客を楽しませるために鉄輪でフラフープをしているジョティ・ドゥガちゃん(11歳)もまた、チャッティースガルから送られてきた。彼女の兄はマオイストと関連を持ったとの罪で収監されている。彼女の両親は、娘もまた逮捕されるのではないかと恐れていた。3年前、両親は、ジョティちゃんが「おじさん」と呼んでいたラメシュ・ゴタという名前の隣人に娘を委ねることに同意した。

「おじさんが、自分は顔が広いから仕事をあげるよ、と言うので、両親は私をおじさんのところに預けたの。」と、観光客の足もみの仕事もしているジョティちゃんは語った。彼女は他の3人の子どもと同じ小さな部屋に住んでいる。この3人ともチャッティースガル州出身で、栄養状態は悪いように見えた。


今月初め、ゴアで、無理やりサーカスで働かされていた子ども20人が、警察によって保護された。しかし、ジョティちゃんの雇い主であるゴタは、悪知恵を使って警察の手を逃れていた。子どもたちを浜辺から浜辺へと移動させているのだ。

政府は、子どもたちを対象としたこうした人身取引や搾取がある事実を否定している。

チャッティースガル警察のラム・ニワス副本部長は、人身取引対策部署が発足して以来、人身取引は「相当程度に減少」したと主張したうえで、「こうした地区の確定プロセスが進んでおり、優先的に処理されている。」とIPSに語った。

UNODC報告は、児童保護制度の実施におけるチャッティースガル州の取り組みは不適切であると指摘している。「同地域の児童保護部署は存在せず、児童福祉委員会は必要な権限を持って機能していない」と報告書は指摘している。

また同報告書によれば、チャッティースガル州政府は、誘拐された児童を取り返すのに熱心でないという。

隣のアンドラプラデシュ州で児童の権利向上のために活動するママタ・ラグヴェル氏も同じ意見だ。彼女は、売買された児童を州政府と協力して救済する「タルニ(Tharuni)」という組織の代表を務めている。ラグヴェル氏によれば、この2年間で65人の女の子が救出された。そのほとんどが、チャッティースガル州の紛争地帯の出身であった。

ラグヴェル氏は、「なかには7歳や8歳という幼い女の子までが、男たちによって家から連れ去られています。」「彼女らは、家事手伝いになることもあれば、中には人身売買業者に売り飛ばされることもあります。こうした男たちは、自分たちに警察の手が迫っていると察すると、少女たちを捨てて姿を隠します。」と、IPSの取材に対して語った。

政府は、強制的に労働につかされた児童の社会復帰のために「全国児童労働政策」(NCLP)を策定している。コディクニル・スレシュ労働雇用相は、この制度について、「9歳から14歳の児童がNCLPの特別訓練センターに送られ、そこで食事や医療、教育が提供されています。」「現在30万人がこの制度の恩恵を受けています。」と、2月に開催された議会で説明している。

筆者は、アンドラプラデシュ州ワランガルにあるNCLPセンターでメアリ・スヴァルナちゃん(9歳)と会った。彼女は1年前に町の駅で保護された。多くの人の話では、彼女はかつてバデケクラルという森林の村に住んでいたそうだ。しかし、彼女が家に帰れる見通しはほとんどない。

それでもスヴァルナちゃんには夢がある。「私は警官になりたい。」とスヴァルナちゃんは語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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【キガリINPS=ファビオラ・オルティス】

クラウディーン・ウムホザさんの息子は4月1日で19歳になる。彼はルワンダ虐殺の際に性暴力の被害を受けた女性から生まれた数千人におよぶ子どもの一人であるが、公式には母親のように「被害者」としては記録されていない。

100万人近くの少数派のツチ族と穏健派フツ族が命を奪われた虐殺から20年が経過したが、ルワンダ人の大半は、今でも当時のトラウマを引きずっている。1994年の虐殺の中で10万人から25万人の女性が強姦されたとみられている。

ルワンダの首都キガリ付近のガサボ郡在住のウムホザさんは、虐殺の発端となった1994年4月6日のルワンダのジュベナール・ハビャリマナ大統領とブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領の暗殺事件(首都キガリ上空で両者が搭乗した航空機が撃墜された)当時は、弱冠23歳だった。

この紛争の渦中に、ツチ族のウムホザさんは7人の男性に強姦された。そのうち一人は、彼女の腹をマチェテ(山刀)で刺し、床に倒れた彼女を置き去りにしていった。

しかし、フツ族の隣人が彼女を匿い、フツ族の偽造IDを作ってくれたため、辛うじて逃げ延びることができた。

「命を助けてくれた隣人は、もうルワンダにはいません。彼の家族はモザンビークに移っていきました。私は自分の命を救ってくれたこの隣人にお礼を言いたいです。彼がいなければ、あの時命を失っていたのですから。」とウムボザさんは当時を振り返って語った。

ウムボザさんは、虐殺時に4人の兄弟を含む数人の家族を失っている。

現在43才のウムホザさんは、エイズにも罹患しており、出生の事実を息子に語ってこなかった。

「息子にはまた、本当のことを打ち明けられないでいます。彼は当時私の身に何が起こったのか知らないのです。私は虐殺が収まった後の、1994年9月に結婚しました。」「私は結婚当時、すでに妊娠していました。夫は出産後、子どもが自分の子でないと分かると、この事実を受け入れられず、私の元を去っていきました。」とウムボザさんはIPSの取材に対して語った。

その後、ウムボザさんは再婚しなかった。今日、ルワンダ社会では、強姦の話題はタブーである。

ルワンダ財団の共同設立者で専務理事のジュレス・シェル氏は、「ルワンダは順調に復興を遂げていますが、一方で強姦によってエイズに感染させられた女性は、未だに厳しい差別に晒されています。」と語った。

米国に本拠を置くルワンダ財団は、2008年に設立されたNGOで、2009年から強姦が原因で生まれてきた子ども達150人に対して教育支援を行っている。

シェル氏はIPSの取材に対して、「強姦被害者のうち、圧倒的割合の女性がエイズに感染しています。」と指摘したうえで、「正確なエイズ罹患率は知られていませんが、ルワンダの女性の約25%がNHV陽性とみられています。」と語った。

政府統計によると、ルワンダ人口1150万人のうち、51.8%を女性が占めている。抗レトロウィルス治療がこの国で広く受けられるようになったのは10年前からで、国民健康保険を利用して治療を受けることができる。

「虐殺時の性的暴力が原因で生まれた子供たちの実数を把握することは今後も不可能でしょう。事情が事情だけに、多くの女性が、子どもの出生にまつわる当時の状況を様々な状況から認めたくない、或いは認められないでいるのです。」とシェル氏は語った。

20年前の大量殺戮は、そのあとに生まれた世代にも悪影響を及ぼしている。

ルワンダの若者の多くが、かつてホロコーストの生存者の子どもたちの間で多くみられた「トラウマの世代間連鎖」として知られる現象を経験している。

「これは、母親が自らの経験やトラウマを子どもに語ることができないことから、そのトラウマが子どもにまで影響を与えてしまうというメカニズムです。」とシェル氏は語った。

ウムボザさんのように、多くの被害女性が子どもの出生について強姦が原因だと公に認めていない。しかし子どもたちは、自分の父親が母親の知らない人だということを気付いているのである。

またこうした子どもたちは身分証明カードを取得する際にも問題に直面することになる。なぜなら、身分証明カード申請には、両親の名前を記入しなければならないからだ。

しかしウムボザさんの息子は、「ルワンダ財団」の支援のお蔭で、間もなく高校を卒業する予定である。ウムボザさん自身には、高等教育を受ける機会がなかった。現在同団体は、ウムボザさんと同じ境遇の600人の母親に対して、子どもの授業料や教科書を提供している。

ウムボザさんは、「息子が高校に通えて本当に嬉しいです。彼が学校に通えることが私の念願でしたから。…今は、息子が大学に進学する希望を持っています。」「こうした希望を持ち続けることは私にとって大事なことなのです。大学進学には多くのお金がかかることは分かっています。しかし、以前は息子が高校に通えることなど想像すらできませんでした。機会の扉は突然目の前に開かれるかもしれないのです。だから、希望は持ち続けていくつもりです。」と語った。

彼女の夢は、息子が弁護士になって貧しい人々や社会の片隅に追いやられている人々を擁護することだ。しかし息子は、医者になりたいという自分の夢を持っている。

「息子は、私が病院に治療に通い、痛みをこらえている姿をいつも傍らで見てきましたから、いつか私を治療するために医者になりたいと思うようになったようです。」

エイズで体調が優れずお腹の刀傷が原因で今でも激痛に苛まれているウムボサさんは、軽い家事仕事しかできない。

ウムボザさんは、ルワンダ政府が国家予算の2%を割いて実施している『ジェノサイド生存者支援援助基金』(FARG)を利用して医療治療を受けることができる。今月15日にも首都キガリの軍病院で、お腹の傷を治療する手術を受けた。

Map of Ruwanda
Map of Ruwanda

「虐殺から20年が経過しましたが、ツチ族の人口構成が特に少ない孤立した地域や遠隔地などで、今でも彼らに対する偏見や差別がみられます。」とシェル氏は語った。

国民統合和解委員会(NURC)が実施した調査によると、少なくとも40%のルワンダ人は再び虐殺事件が起きるのではないかと今でも恐れている。

「当時被害にあったツチ族の人々は、依然としてトラウマに苦しんでおり、フツ族が再び虐殺を引き起こすのではないかという疑心に苛まれています。また、当時虐殺に関与して服役していた囚人らが最近保釈されて社会に舞い戻っている現実も彼らの不安を掻き立てる一因になっているのです。」と国家統一和解委員会(NURC)のリチャード・カナンガ氏は語った。

NURCは1999年に創設され、地域における差別を解消し、対立する人びとの間に和解をもたらす取り組みを続けている。

カナンガ氏は、「和解は継続的なプロセスです。」と指摘したうえで、「和解に何年かかるかは分かりません。我が国には、この人間の安全保障を構築するプロセスを人々がどのように捉えているか検証する調査チームがありますが、息の長いプロセスになることは確実です。つまりこれからさらに20年が経過しても(安全だと思う人が)100%に到達するとは言いきれないのです。」と語った。

「虐殺後に性的暴行の被害者から生まれてきた子どもたちは、ルワンダの暗い歴史の一頁を象徴する存在かもしれません。しかし、こうした子どもたちは、ルワンダの明るい未来を照らす光や希望の象徴でもあるのです。」とシェル氏は語った。

ウムボサさんもそう確信している。

「ルワンダの未来は明るいという希望を持っています。この国の20年前と今を比べてみてください。統一と和解がなされるといいのですが。」「ルワンダの未来は今よりもよくなり、国民は結束しているでしょう。しかしだからと言って国民が、フツ族かツチ族という民族的なルーツを忘れることはないでしょう。ルワンダ人は和解がなったとしても、それぞれの民族的なアイデンティティーを忘れることはないのです。」(原文へ

INPS Japan

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【アスマラWAM】

アラブ首長国連邦(UAE)赤新月社(RCA)は、UAE副大統領でドバイ首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下が進めている「100万人の貧しい子供たちに衣服を」キャンペーンの一環として、子供服5000人分をエリトリアの子どもたちに寄贈した。

アリ・ビン・サミール・アル・カービ氏を代表とするRCA代表団は、エリトリア赤十字社(RCSE)とエリトリア社会問題省と連携して、最も貧しい地区の子どもたちを選定し、衣服を寄贈、地域住民から歓迎された。

このキャンペーンは、人道上のニーズを満たすとともに、貧困者の生活レベルと、彼らが状況に立ち向かう能力を向上させることを主眼とするUAEの人道援助戦略を具現化したものである。

またこのキャンペーンは、保健医療、初等教育、食料や水といった必要不可欠なサービスの分野において、世界の子どもを取り巻く状況を改善しようとするUAEの努力を補完するものである。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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核兵器非合法化を打ち出さなかった広島会合

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【東京IDN=モンズルル・ハク】

非核12か国連合の2日間にわたる外相会合が日本の都市・広島で開催されたという事実だけでも、その象徴的な重要性を理解できるだろう。原爆による破壊の恐怖を目撃した世界初の都市である広島は、およそ70年前のその運命的な日以来、大量破壊兵器が引き起こしうる壊滅的な影響について学ぶ世界的な取り組みの先頭に立ち続け、核兵器を廃絶することの必要性を訴え続けてきた。4月11日から12日にかけて広島で会合を開くというこの象徴的な行為は、公式協議に移る前に閣僚たちが被爆者の証言に耳を傾けたことで、より重みのあるものになった。

不拡散・軍縮イニシアチブ(NPDI)は、核軍縮における国際的な取り組みを先導する目的で2010年に発足した。オーストラリア、カナダ、チリ、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、ナイジェリア、フィリピン、ポーランド、トルコ、アラブ首長国連邦が参加しているNPDIは、定例会合や宣言、声明を通じて、核軍縮プロセスを加速する方法に焦点を当てている。広島会合は、NPDI発足以来8回目の会合となる。

日本の岸田文雄外相は広島会合に先立って『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄稿し、核軍縮への多国間アプローチを採用することの重要性を強調し、核兵器なき世界という目標を達成するために世界が確定しておく必要がある優先事項について述べた。岸田外相は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画への懸念を表明し、イラン核問題に取り組む日本の姿勢を改めて明言した。

岸田外相はまた、2011年3月の福島第一原発事故で日本が学んだ教訓についても触れた。原子力発電は核保安とも密接に関連した問題であるため、岸田外相は、核保安分野で能力向上を図ろうとしている国への支援を日本が引き続き行っていくとの意向を示し、福島原発事故の教訓を共有することを誓った。

広島会合は岸田外相が『ウォール・ストリート・ジャーナル』で触れた問題のほとんどを取り扱い、会合後に出された共同宣言(広島宣言)では、核兵器なき世界達成への機運をさらに醸成するために国際社会が取り組む必要のある優先事項や行動について述べた。宣言は、ほぼ69年にわたる核兵器不使用を永久に継続する必要性を強調し、NPTを基礎とした国際的な核軍縮・不拡散体制を強化する実践的かつ効果的な措置を追求するため積極的かつ建設的に貢献するよう、すべての国家に奨励した。

広島宣言は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画は「地域及び国際の平和と安定に大きな脅威をおよぼし、NPTとグローバルな不拡散体制を損なっている」として強く非難する一方、共同行動計画の下で第一段階の措置をイランが履行し始めたことを歓迎し、イランとの継続的な交渉がイラン核問題の最終的かつ包括的な解決につながるよう希望を表明した。さらに、イランの核活動に関する国際的な懸念を払拭するには、イランは追加議定書の批准履行のような措置を迅速かつ着実に採っていく必要があると述べた。

NPDI参加国はまた、市民社会の果たす役割の重要性を認識し、軍縮・不拡散教育を強化する必要性を強調した。共同声明は、NGOや学生、学者、メディアを含めた市民社会と関与していく機会を歓迎した。

抜け穴

ICAN
ICAN

しかし、核兵器廃絶を訴えるNGOおよび市民社会組織の連合である「核廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は、広島会合の結果に失望を表明した。閣僚会合直後に発表された声明でICANは、「外相会合は世界が大量破壊兵器に関する法的な抜け穴をふさぎ、核兵器を違法化する必要があることに合意できなかった。」と指摘している。

ICANは核兵器を法的に禁止する枠組みにつながるような交渉プロセスを開始することを強く主張しており、法的拘束力を伴う禁止が伴わなければ、目に見える成果は表れないと考えている。同反核連合は、法的に禁止することによって、「核兵器保有に対する明確な壁を作ることでNPT上の義務を果たしてそれを強化し、核兵器が安全保障を提供するという想定に挑戦し、自国の核戦力撤廃に向けて核保有国に強力な道徳上のインセンティブを与え、世界的な不拡散の取り組みを強化することになる、と考えている。

ICANはまた、NPDIの12か国がそれぞれに追求している核問題に関する立場には、相いれない部分があると指摘している。NPDI12か国中7か国は安全保障戦略において核兵器に依存しており、核兵器が世界に対してもたらしている脅威をなくす上でこれらの国が特別の責任を負っているというのがICANの見解である。これらの政府がより説得力のある措置をとろうとするならば、それは、核兵器に関するNPDIの公的な立場にあわせるような形で自国の安全保障戦略を改定することによって立場の矛盾をまずは解消するということに当然なるだろう。

さらに、NPDIを主導する日豪両国は、NPDIの政策声明が主張する方向性に反する措置を採りつづけている。日本は、兵器級プルトニウムの大量蓄積につながるような政策を引き続き採ろうとしているし、オーストラリアは、核兵器製造に必要な原料であるウランをNPTで公式に核保有が認められている5大国全てに売却している。

では、どちらに向かうべきか?

こうした批判や欠点があるにもかかわらず、広島会合でなされた討論では、NPT加盟諸国(190ヵ国)が2015年のNPT運用検討会議に向けて準備を進める中で、こうしたイニシアチブの重要性が明確に指摘された。広島宣言は、2015年NPT運用検討会議が急速に近づく中、全ての加盟国がその義務と誓約に完全に従うこと、とりわけ、2010年NPT運用検討会議における行動計画で打ち出されたすべての行動を完全かつ即時履行する必要があると正しくも述べている。核保有国が核戦力の完全廃棄を達成するとの明確な約束を2000年のNPT運用検討会議で成し、それが2010年NPT運用検討会議で再確認されたことに留意すべきであろう。しかし、国際社会は、人類の大多数が長らく望んできたこの公約について、その後何の前進も果たせないまま今日に至っている。

ある情報筋は、「NPT交渉のペースと、不拡散・軍縮に関して迅速に行動する必要性に関連してNPDIが定期的に出している宣言や声明は、正しい方向に向けて措置を採る必要性を再確認させるだけではなく、時宜を得た行動をとらなければ国際社会が直面する可能性のある深刻な帰結についても警告するものだ。」と指摘している。

「したがって、最後に、日本の外相が『ウォール・ストリート・ジャーナル』で述べたことにあらためて戻ってみよう。つまり『協力の強化、透明性、法の支配、および21世紀外交のその他の基礎が、(冷戦期の最大7万発から)1万7000発にまで(核兵器の)世界的な備蓄を減らしてきた。これは相当の削減数ではあるが、ここで進歩を止めるわけにはいかない』」。(原文へ

翻訳=IPS Japan

※モンズルル・ハクは、バングラデシュのジャーナリストで、日本などのテーマに関するベンガル語の著作が3冊ある。ダッカの国連広報センターとロンドンのBBCワールドサービスで勤務したのち、1994年に日本に移住。バングラデシュの主要全国紙2紙(『プロトム・アロ』と『デイリー・スター』)の東京支局長で、バングラデシュのその他の重要発行物に定期的に寄稿している。日本や東アジアの問題について英語およびベンガル語で手広く執筆。東京外大、横浜国立大学、恵泉女学園大学で客員教授を務め、日本政治、日本のメディア、途上国、国際問題などを教える。NHKラジオにも勤務。2000年より外国人特派員協会のメンバーで、理事を2期務めたのち、同協会会長も歴任した。

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