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国連アジェンダ2030:政府に責任を迫る市民社会

【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】

持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム」が「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ」と持続可能な開発目標(SDGs)に関する初めての検討会議を7月11日から20日に開催する中、市民社会の連合がそれぞれの知見を持ち寄ってニューヨークに集まり、国連加盟国に対して、それらの事実に注目するよう訴えている。

というのも、このハイレベルフォーラムは、2015年9月25日に世界の指導者によって採択された「2030アジェンダ」のフォローアップと実施状況を検討するための国連の中心的な場(プラットフォーム)だからだ。この年次フォーラムは、「2030アジェンダ」の履行とフォローアップに関する政治的リーダーシップや指針、勧告を打ち出す閣僚宣言を採択し、SDGsの進展状況を確認し、証拠と科学的知識、さらに国ごとの経験に裏付けられた一貫性のある政策を促進し、新たな問題に対処することを目的としている。

したがって、「2030アジェンダ」の実施状況やその構造的障害や課題に関する第三者的な監視と再検討が、SDGsの成功にとって主要な要素になる。「持続可能な開発に向けた2030アジェンダに関する熟考グループ(Reflection Group)」が市民団体やネットワークと共に、2030アジェンダの履行とその実現を阻む構造的障害について検討した初の年次報告書「スポットライト」を作成したのは、このためである。

「報告書は、とりわけ、不平等の問題や富裕層・権力者の責任、実施の方法、構造的な問題に焦点をあてながら17の開発目標の達成状況にスポットライトを当てている。」と「ソーシャル・ウォッチ」は述べている。

この報告書には次のような問いが提示されている。SDGsを達成するうえで現在主な障害になっているものは何か? 目標の実施に影響を与えたり、妨げになったりさえする、越境的な効果はあるのか? とりわけ「2030アジェンダ」に反映されているような現在の政策的アプローチは、問題や障害に対する正しい反応なのか(あるいは、それらは問題の一部なのか)? 何がなされるべきなのか? 具体的に(国際レベルで)どの政策変更が必要なのか?

7月12日に国連で発表された報告書「スポットライト」には、国別報告書の一部に関する知見も公表されている。

Juerg Staudenmann/ Alliance Sud

「私たちはもはや、一方で国内問題を語り、他方で外国の問題を語るということをやめるべきです。」「これらは今や一つの同じ問題なのです。すべての行動が、特定の一国のみに対してではなく、世界に対する影響という観点から評価されなくてはなりません。」と、スイスの開発NGO「Alliance Sud(スイスの組織発展のための連合)」のヨルグ・シュタウデンマン氏は語った。

スイスに関する市民社会の報告書は、問題の多い租税回避や汚職、違法な資金の流れを助長しているスイス銀行制度の秘密主義が途上国に与えるマイナスの影響について的確に指摘している。

こうしたシャドー報告書(=政府が作る国家報告書に対して、NGOがそれぞれの見方でつくるレポート)は、諸政府に責任を取らせるうえで、市民社会でよく使われているツールとなっている。2030アジェンダの履行が開始されて間もない現在、公表されたシャドー報告書が主に焦点を当てたのは、方法論や指標の開発と議論、各国別戦略策定に向けた諸政府の状況のモニタリング内容、SDGs達成に向けた進展を妨げかねない障害の特定である。

エキポ・プエブロ」のアレリ・サンドバル氏は、「メキシコのエネルギー部門の枠組みには、様々なSDGsとそのターゲットを達成するうえで、障害となるものがあります。」と指摘したうえで、「メキシコ憲法は、関連するその他の土地利用法よりも、炭化水素(石油や天然ガスの主成分)掘削を最優先するよう改定されています。」と解説した。

サンドバル氏はまた、「メキシコの現在の立法、政策、事業の一部の側面で人権や持続可能性のアプローチが満たされていないこと」への懸念を示し、具体的な事例として食料や住宅、性と生殖に関する健康、治安、麻薬に関する政策を挙げた。

SDG Goal No. 17
SDG Goal No. 17

サンドバル氏は「SDGsに関する国の実施計画や指標、フォローアップメカニズムの策定に市民社会が意味ある形で参加すること」を要求しているが、これは、その他多くの市民社会の連合体が各々の国で実現を望んでいることでもある。

エジプト経済社会権利センター」のマヒノール・エルバドラウィ氏によれば、エジプトでは、新たな開発戦略は、議会でも、民衆の参加を通じても、議論されていないという。エルバドラウィ氏は、「政府は、自らを『2030開発プロセスにおける主導国で『自発的な国家レビュープロセス』にも参加している』と宣伝していますが、政府の計画には、成功に向けた計測可能な指標や、目標達成のためのロードマップどころか、レトリックと実行との間の一貫性にすら欠いている状態です。」と説明した。

例えば、2014年憲法は、保健・教育分野に対する最低限の支出レベルを規定しているが、2016~17年度予算はこの最低基準を満たしておらず、政府の「2030ビジョン」における目標の1つとしても目されていない。また、同計画は、2011年以来の経済危機や貧困、政情不安につながった、数十年に及ぶ縁故資本主義や腐敗した組織慣行を覆す改革に取り組むことなく、官民パートナーシップに大きく依存しようとしている。

ソーシャル・ウォッチ・フィリピン」からの報告書でも、財政問題が挙げられている。同報告書は、「不公平な課税がシステムに埋め込まれており、結果として、野放図な企業行動が民衆と環境に害を与えている」と訴えている。マリビック・ラキザ氏は、「約2700万人のフィリピン国民(全人口の26.3%以上)が貧しい暮らしをしていますが、経済成長の果実は、政治経済を支配している1%以下の一握りの富裕層に集中しています。」と説明した。

Wolfgang Obenland/ Global Policy Forum

グローバル・ポリシー・フォーラムのウォルフガング・オーベンラント氏はドイツの市民社会レポートを紹介した。これは同国の環境・開発NGOの連合体による共同の取組みである。オーベンラント氏は、「2030アジェンダによれば、持続可能な開発を既に達成したと考えられる国はどこにもありません。」と指摘したうえで、「ドイツは持続可能性に関する『トレンドセッター』であるとの自負は捨てなければなりません。ドイツはかなりの領域において、パイオニアではなく、むしろかなり遅れています。世界は、ドイツにパイオニアとしての役割ではなく、農業や貿易、交通政策、その他多くの領域で緊急の行動を起こす必要性をドイツが認識するよう求めているのです。それも、ドイツがそのことから意味のある結論を引き出すことを期待しています。」と語った。

オーベンラント氏は、難民支援を政府開発援助(ODA)の一部としてカウントすることが始まった結果として、「2015年に、ドイツのODAによる受益国の第一位がドイツ自身になったことは皮肉なことです。」と語った。

ソーシャル・ウォッチ」のロベルト・ビッシオ氏は、ニューヨークに来て自ら調査結果を発表できなかった多くのNGO連合による報告内容をとりまとめて発表した。その中でビッシオ氏は、多くの国々が直面しているジレンマを顕著に表している好例としてペルーの報告書を引用して以下の部分を紹介した。

「ペルーは、主に、金や銅などの鉱物の価格上昇によって、持続的な経済成長を経験してきた。しかし実際には、国土全体が、鉱業、石油、伐採企業に対する譲歩を強いられており、地元住民としばしば対立が起こっている。」

「収入面の貧困は減少しているが、多次元貧困状態はむしろ悪化している。貨幣の流通や、電気通信・電話の接続の面では進歩がみられるが、犯罪の増加が街頭や都市を覆い、企業の影響力の増大から生じる汚職が政府部門全体に及んでいる。」

従って、ペルーの作家・芸術家であり、社会科学者のエクトル・ベハル氏の言葉を借りれば、「2030年の目標達成への道のりには霞がかかっており、障害に満ちている。」(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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持続可能な経済成長を目指して奮闘するジンバブエ

【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】

色落ちしたズボンにシャツを着て、当て布や穴の目立つ古い靴を履いたジェミティウス・シマンゴ(38)さんは、ジンバブエの首都の第一通りをとぼとぼ歩いていた。空のペットボトルを入れた大きな袋を背負い、カネになりそうなものを求めてはゴミ箱をあさっている。

シマンゴさんは、ジンバブエのハラレ工業大学でマーケティングの学士号を取得している。一見すると奇人に見られがちであるが、経済状況が悪化し続けるジンバブエでなんとか生計を立てていこうと「働いている」普通の人物なのである。シマンゴさんのように、多くの人々が、職にありつけず、生活のために様々な単純労働の仕事に就くようになっている。

SDGs Goal No. 8
SDGs Goal No. 8

ジンバブエは雇用創出に逆行する経済政策をとりつづけており、シマンゴさんは、まともな仕事に就くことができず、貧困のスパイラルに耐え続けている。こうした状況は、全ての人にとっての包摂的で持続可能な経済と、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進するという、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の第8目標に反している。

ジンバブエの失業率は90%近くに高止まりしており、企業倒産が相次ぎ多くの人々が正規雇用から外される中、持続可能な経済成長はこの国にとってあまりに困難な課題であるかに思える。

ジンバブエの国家社会保障局(NSSA)雇用者倒産・登録報告書(2011年7月~13年7月に関するもの)によると、同国の首都ハラレで711の企業が倒産し、8000人以上が仕事を失ったという。

シマンゴさんのように経済的に打撃をうけた多くのジンバブエ人にとっては、まともな雇用は過去のものとなってしまった。シマンゴ氏はIDNの取材に対して、「この国では、政府が全ての人々にとってのまともな仕事を創出しているどころか、むしろあらゆることが、持続可能な経済成長を促進するという国連の目標に反しているように思えます。」と語った。

「持続可能な社会・経済転換のためのジンバブエのアジェンダ」(略称「ジムアセット」)という、同国経済復活のために大いに宣伝されている戦略が打ち出されてはいても、持続可能な経済成長促進のための戦いにおいて、歩みを止めている猶予はなさそうだ。

Map of Zimbabwe
Map of Zimbabwe

ジムアセットは、2013年、与党「ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線」によって策定された。同国に豊富な人的資源・天然資源の利用を通じて持続可能な開発を達成しようともくろむものだが、戦略に沿った実際の行動が伴わないために、持続可能な経済成長を促進する効果を示していない。

ジンバブエの野党「民主変革運動」の影の財務大臣であるタピワ・マシャカダ氏は、「ジムアセットには財源が不足しており、しかも、国際金融機関からの支援もありません。」と語った。

その結果、シマンゴさんのように多くの人々が、昏睡状態にあるジンバブエ経済の中で必死に生きていく術を模索せざるを得なくなっている。「リサイクルのために空のペットボトルを集める他に、生活のためにあらゆる単純労働に従事しています。妻は、首都で露天商をしていますが、学校に通っている子どもたちも放課後になると母親を手伝っています」とシマンゴ氏はIDNの取材に対して語った。

しかし、ジンバブエは、アフリカ南部地域で持続可能な経済成長促進に関して困難に直面している唯一の国ではない。例えば、南アフリカ統計局によると、同国の人口5200万人のうち、失業率が約27%で高止まりしている。ザンビアでは、人口1500万人のうち14%が失業しており、この対応に追われている。

実際、南部アフリカ地域全体が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関して岐路に立っている。アフリカ大陸でもっとも失業率が高いのは南部アフリカ地域であり、青年女性の51%、青年男性の43%が失業している。

今年5月、ジンバブエのパトリック・チナマサ財務経済開発相が記者らに対して、2年計画の貧困削減戦略を策定中であると語った。これは、「短期から中期的に実行可能な、対象を絞り込んだ実践的な措置に焦点を当て、市民の生活向上を保証する長期的な影響を持つもの」であるという。

Map of Southern Africa
Map of Southern Africa

前年にエルニーニョによって引き起こされた干ばつにより悪化した貧困問題に対処するうえで、農業がカギを握る分野だとされている。

しかし、それ以前にも、16年前にロバート・ムガベ政権が行なった、大混乱を招いた農地改革(政府が白人所有の大農場を強制収容し農業知識が乏しい黒人支持者に再分配した)のために、既に国内の貧困率は急速に高まっていた。

この農地改革の結果、大部分の土地で生産性が低下した。「暫定貧困削減戦略ペーパー」(IPRSP)の全国コーディネーターであるジェシメン・チピカ博士は、悪化する貧困レベルの原因は、農業部門の低生産性にあるとみている。

「貧困層の数は国内で増え続けており、農業の生産性が低いために多くの人々が食料不足を経験しています。」とチピカ博士はIDNの取材に対して語った。

ジンバブエ労働社会福祉省によれば、約700万人の農村住民が貧困に喘いでいるが、チナマサ経済開発相は、その農業こそが経済的突破の基盤になるものと目している。

「農業の変革は、その他の経済部門に対しても良い影響をもたらします。人口の75%が農業に依存している中、まさに農業こそが人々の生活を成り立たせているのです。」とチナマサ氏はIDNの取材に対して語った。

ジンバブエの人口はおよそ1300万人であり、そのうち67%が農村地帯に暮らしている。

ジンバブエの貧困の原因は政府内部の腐敗にあると長らく指摘されてきた。市民社会の活動家らは、国連の持続可能な経済成長の目標を達成するとのジンバブエ政府による公約の成功いかんは、政府のトップレベルにおける腐敗根絶の決意にかかっている、と指摘した。

President of Zimbabwe and Chairman of the African Union Robert Mugabe/Kremlin.ru, CC BY 4.0
President of Zimbabwe and Chairman of the African Union Robert Mugabe/Kremlin.ru, CC BY 4.0

コーポレートガバナンスの欠如は、人心を離れさせ、国際資本の呼び込みを緊急に必要とするジンバブエ経済にとっても破滅的と言わざるを得ません。」と、青年ロビー団体である「青年対話アクションネットワーク」のプログラムオフィサーであるオーウェン・ドゥリワヨ氏は語った。

一方で、ジンバブエの民間エコノミストによれば、ムガベ大統領が問題の多い経済政策にこだわっていることも、低調な経済の原因であると考えられるという。

これらのことが原因となって、全ての人にとっての包摂的で持続可能な経済と、まともな労働を促進するという、国連SDGsの達成に関して同国が遅れを取ることになっていると彼らは述べている。

「(ムガベ)政権が追求している自立化政策がきわめて破壊的であることを理解しつつも、ムガベ大統領は地元の黒人ジンバブエ国民が外国人所有の企業を収用するよう一貫して呼びかけており、投資家の逃避という結果を招いています。」と民間エコノミストのキングストン・ニャクルクワ氏はIDNの取材に対して語った。

ジンバブエの「現地化・経済エンパワーメント法」は、外国企業の51%は黒人ジンバブエ国民に移譲されなくてはならないと定めており、シマンゴさんのような多くの人々は、この政策のために自分たちの失業状態が長引いていると考えている。

「自立化政策によって海外投資家がジンバブエから遠ざかり、私たちにとっては失業が続くことになるのです。」とシマンゴさんは語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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包括的核実験禁止条約批准は依然として「核のファンタジー」

【国連IDN=ロドニー・レイノルズ】

国連内外で、イスラエルがおそらく今後5年以内に包括的核実験禁止条約(CTBT)批准を検討しているらしいとの推測が広まっている。

しかし、これは政治的現実なのか、それとも核のファンタジーなのか?

こうした推測は、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)のラッシーナ・ゼルボ事務局長によるイスラエルへの3日間の訪問の後に出てきた。ゼルボ事務局長は訪問中の6月20日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談している。

ゼルボ事務局長は『エルサレム・ポスト』紙の取材に対して、イスラエルによる条約批准の可能性に関して楽観的な見方を示して、「批准するかどうかではなく、それがいつなのかが焦点です。」と語った。

ゼルボ事務局長は、「仮にイスラエルが条約を批准することになれば、イランとエジプトもこれに続き、長らく提案されてきた中東非核兵器地帯の創設に向けて事態が前進する可能性があります。」と予測した。

「都市は標的ではない!」プロジェクトの責任者で、平和首長会議のキャンペーンディレクターであるアーロン・トビッシュ氏はIDNの取材に対して、「中東では、(イスラエルとイランの)両国が批准間近だと言ったとしても、第三の国(=エジプト)の批准はまだ程遠いということになります。」「(実際のところ)両国はCTBT批准からは未だに『ずっと遠い』位置にありますし、イスラエルが『まず先んじて』批准すべきと考えているエジプトの批准は、さらに遠い位置にあります。」と語った。

トビッシュ氏はまた、「(これらの国々が)手を取り合って一緒に跳ぼう(=CTBTに批准しよう)という考え方は魅力的ですが、まずはこれらの国々が手を取り合わなければなりません。よりハードルが低いとしても、『非核実験』地帯が非核兵器地帯よりも現実的であるという見通しを意味するわけではありません。」と指摘した。そしてさらに、「私の見方では、この問題で前進が見られるとすれば、(結局は中東にも影響を及ぼすことになる)国際レベルにおける議論、とりわけジュネーブで審議されている一連の『核軍縮に関する国連公開作業部会』(OEWG)の行方にかかっていると思います。」と語った。

国連のファルハン・ハク副報道官は、こうした推測について、「これはCTBTOが対処している問題です。」と指摘したうえで、「(こうした推測は)CTBTOのゼルボ事務局長による発言を指していることは承知しています。私がそれに付け加えることはありません。」と語った。

ハク副報道官はまた、「もちろん、もしCTBTへの批准国が増えるならば、それはきわめて歓迎すべきことです。」「潘基文国連事務総長は、条約未批准国に対して早期の(CTBTへの)批准を促し、条約を早期発効させるよう取り組んでいます。」と強調した。

Lassina Zerbo/ CTBTO
Lassina Zerbo/ CTBTO

ゼルボ事務局長は、『エルサレム・ポスト』のインタビューの中で、イランの核計画を抑えることとなる昨夏の核合意の履行と、イスラエルと国際社会の科学者による、イランは核兵器を製造できないとの確証により、「イスラエルにとっての最大の脅威が去った」ことを意味するはずだと語ったとされる。

ゼルボ事務局長は、次のステップは、イランとイスラエルの双方が1996年に既に署名しているCTBTの批准であると語った。彼はこれを、核不拡散・軍縮という目標に向けた「容易に達成できる問題」だと語った。

「イスラエルとイランが批准すれば、条約が持つ意味合いが大きく変わることになります。両国は批准によって失うものなどなにもないのです。」「両国はリーダーシップを発揮し、『我々はともにCTBTを批准することを決めた』と世界に対して度量の大きさをみせてほしい。」とゼルボ事務局長は語った。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの責任者タリク・ラウフ氏はIDNの取材に対して、「私の見方では、イスラエルが近い将来にCTBTに批准するというのは『あまりにも楽観的過ぎます』」と指摘したうえで、「報じられているネタニヤフ首相の発言では、CTBTへの支持を示してはいますが、早期批准を示唆するものは何もありません。」と語った。

同様に、マジュレス(イラン国会)によるCTBT批准(イスラエルと同様イランも条約の署名だけは終えている)はありそうもない。というのも、イランはP5+1(国連安保理常任理事国5カ国プラス・ドイツ)との交渉で共同包括的行動計画(JCPOA、イラン核合意の別名)の妥結と発効にまで持っていくことには成功したが、その恩恵として想定されてきた経済・貿易面における利益がまだ現実のものとなっていないからだ。例えば、エアバスとボーイングによる航空機売却の合意は、西側諸国の銀行が米国からの制裁を恐れてイランとの商業取引に入ることを拒んでいるため、店ざらしになっている。

ラウフ氏はまた、「イスラエルは、エジプトとイランが批准しないかぎり、CTBTに批准しそうもありません。そしてエジプトは、イスラエルがまず核不拡散条約(NPT)に加盟し核兵器を放棄しないかぎり批准しないでしょう。しかし、イスラエルが核兵器を放棄することはあり得ません。」と語った。

ラウフ氏はさらに、「ゼルボ事務局長がイランとイスラエルに関して楽観的な見方を示すのは正しいことです。なぜならこれがゼルボ事務局長の任務であり、仕事だからです。彼は、条約発効のためにその批准が必要とされている5カ国(中国・エジプト・イラン・イスラエル・米国)と、その批准が必要とされているが署名すらまだ済ませていない3カ国(北朝鮮・インド・パキスタン)に批准を促すために、最善を尽くしているのです。」と語った。

Tariq Rauf
Tariq Rauf

「現状では、極めて残念ですが、この8カ国のいずれかが批准あるいは署名することは、近い将来起こりそうにありません。CTBTは、可能なかぎり早期に発効させるべき、重要な核軍備管理上の条約です。」とラウフ氏は語った。同氏は2002年から12年まで核査察、不拡散、軍縮に関わる任務に就いた国際原子力機関の元高官でもある。

ゼルボ事務局長はインタビューで、「中国は米国よりも先に批准はしないだろうし、インドは中国よりも先に批准しないでしょう。また、パキスタンはインドよりも先に批准しないでしょう。従って、米国の行動がカギを握ります。」と語った。

21世紀に入って唯一核実験を行った北朝鮮は、8カ国の中でCTBT批准から最も遠い国であろう、とゼルボ事務局長は語った。

国連総会で1996年に採択されたCTBTは、主に8つの主要国が条約の署名を拒否するか、批准を済ませていないために、未だに発効していない。

未署名3カ国(インド・北朝鮮・パキスタン)と未批准5カ国(米国・中国・エジプト・イラン・イスラエル)は、条約採択から20年の間、条約に従うことを拒絶してきている。

現在、多くの核武装国が自発的な核実験の中断(モラトリアム)を実行している。「しかし、モラトリアムは、CTBTの発効に代わるものではありません。北朝鮮が実施した核実験はその証左に他なりません。」と、潘事務総長は、2015年9月10日に「国際反核実験デー」を記念して開かれた国連総会の非公式会合で述べている。

ワシントンに拠点を置く軍備管理協会によると、核兵器は戦時に2度だけ使用され甚大な被害をもたらしたが、しばしば見過ごされているのは、1945年以来、少なくとも8カ国による2000回以上の核爆発実験を通じて、様々な場所で実際に「使用」されてきた事実だという。

Breakdown of nuclear tests conducted by China, United Kingdom, France, Soviet Union and the United States from 1945-1996/ The Official CTBTO Photostream - Nuclear Tests 1945-1996, CC BY 2.0.
Breakdown of nuclear tests conducted by China, United Kingdom, France, Soviet Union and the United States from 1945-1996/ The Official CTBTO Photostream – Nuclear Tests 1945-1996, CC BY 2.0.

これらの核爆発実験は、新型の核弾頭を開発し、世界の核武装国による核兵器能力を誇示するために使用されてきた。核実験、とりわけ大気圏内実験は、世界中の数多くの人々の命と健康に悪影響を及ぼしてきた。

「これに対抗して、普通の市民や科学者、議員、政府の指導者らが、グローバルで検証可能な包括的核実験禁止を実現するために、数十年にわたって努力を傾けてきた。」と軍備管理協会は指摘している。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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東京市長としての尾崎行雄(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

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【東京IDN=石田尊昭】

7月14日に東京都知事選が告示され、各候補者が街頭で第一声を上げました。

都知事といえば、今から100年以上前、第二代東京市長(当時は「都」ではなく「市」)を務めた尾崎行雄が思い起こされます。

Ozaki Yukio/ Ozaki Yukio Memorial Foundation
Ozaki Yukio/ Ozaki Yukio Memorial Foundation

尾崎行雄は1903年から1912年まで東京市長を務めました。当時は、国会議員との兼職が可能で、尾崎は衆議院に議席を持ったまま市政運営に取り組みました。

この間の尾崎は、国会議員ではあったものの、ほとんど国政の場では活躍せず、新聞に「尾崎は死んだのか?」と皮肉を書かれることもありました。

尾崎は、東京市長としての丸9年間、国政における政党のしがらみや対立を市政に持ち込むことはせず、国政上の課題とは距離を置き、徹底して東京市の課題(東京市民の生活)と向き合いました。

外債を募集して市区改正を完成させるとともに、上下水道整備、道路改良・街路樹植栽など、市民の生活に直結するインフラ整備を次々と進めました。特に、数十年先を見据え、東京市の水源林を確保したことは、その後の市の発展と市民の生活向上に大いに役立ちました。

また、国政とは距離を置きながらも、東京市からアメリカに桜を寄贈し、日米両国の友好親善を促すなど、世界を見てきた尾崎ならではの国際感覚を生かした「自治体外交」も行いました。

The Tidal Basin at the National Cherry Blossom Festival in Washington, DC./ ‘Matthew G. Bisanz, CC BY-SA 3.0
Mr. Takaaki Ishida
Mr. Takaaki Ishida

そして何より、当時、「利権の巣窟」「伏魔殿」と呼ばれていた東京市政の金権腐敗・汚職を厳しく追及し、一掃したのです。尾崎の在任中は、汚職事件が一件も起きませんでした。

国政・政党のしがらみから距離を置き、市民の生活と真摯に向き合いながら、国際感覚を持って10年先・20年先を見据えた政策・改革を実行する、そして、利権を排し、不正を正す――東京市長時代の尾崎行雄の取り組みは、今の都知事のみならず、日本の首長全体に求められる要素ではないでしょうか。

東京都知事選の投開票日は、7月31日です。

INPS Japan

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世代を超えて受継がれる平和と友情の絆

核兵器よりも平和を選ぶバングラデシュ

【ダッカ(バングラデシュ)IDN=ナイムル・ハク

世界的には核攻撃が発生する脅威が増大している中で、核兵器保有国に囲まれたバングラデシュは、「核クラブ」に加わるよりも、平和国家であり続けることを選択しようとしている。

同国の安全保障専門家らは、世界平和を追求し国際的な核関連諸条約を遵守する政府の方針を支持しながらも、冷戦は終結したが、核攻撃の可能性は依然として現実のものである、と述べている。 |インドネシア語 | ドイツ語 | ヒンドゥー語 日本語 | マレー語 | タイ語

専門家らは異口同音に、世界的な核戦争の脅威は減ってきたが、より多くの国が核兵器を開発する技術を取得し、テロリストがそうした大量破壊兵器を入手しようと躍起になっている中、核攻撃が発生するリスクはむしろ増大していると論じている。

こうしたリスクが存在する限り、バングラデシュは国家による諜報活動を強化し、核攻撃に対処する放射能防護戦略に焦点を当てる必要があると専門家らは論じている。

国家安全保障・防衛アナリストのサカワート・フサイン准将(退役)は、IDNの取材に対して、中国・インド・米国による「核の傘による保護」に触れ、「バングラデシュは(いかなる国に対しても)敵意を持っている国ではありませんし、少なくとも今世紀において核攻撃の脅威に晒されるとは考えられません。もちろん、未来を予測することなどできませんが、現在外国からの差し迫った脅威はありません。」と語った。

フサイン氏は、核兵器の保有を正当化する論拠に疑問を呈するとともに、「核兵器を開発するという夢は最も危険な冒険だ。」と語った。

フサイン氏は「私たちは誰を攻撃するとのでしょう。言い換えれば、誰が私たちの敵だというのでしょう。」と問いかけたうえで、「お気づきかもしれませんが、一般的に言って、核兵器を保有している国々には敵がいます。例えば、米国にとってはソ連が最大の敵でしたし、インドとパキスタンは互いに対抗しながら核兵器を開発してきました。北朝鮮は韓国や米国という敵からの脅威に晒されているとしていますし、イスラエルも同様にアラブの敵国からの脅威を感じながら核兵器の開発を進めてきました。」と語った。

さらにフサイン氏は、「地理的には、仮に印パ戦争が再び勃発したならば、戦略的に隣国のバングラデシュは、核攻撃によって引き起こさせる放射線汚染への対応という脅威に直面することになりかねません。この場合、他の国々と同様に、核攻撃に対抗する準備を進めるというよりも、むしろ放射線から生き残るための知識を国民に提供し有事に備えさせるべきです。」と論じた。

フサイン氏はまた、今日の核安全保障の鍵を握る、強力な核諜報システムの必要性を強調した。

Mushroom cloud from the explosion of Castle Romeo in 1954./ United States Department of Energy, Public Domain

著名な国家安全保障アナリストであるモハマド・アブドゥル・ラシド少将(退役)はIDNの取材に対して、「今日のグローバル安全保障時代に『核クラブ』に参入することは、とりわけ、バングラデシュ経済が伸びつつあることを考えると、無益な投資となるだろう。地域の地政学的な状況を考えるならば、核兵器開発などという夢を追う理由は見当たりません。」と語った。

紛争・法・開発研究所」(ICLDS)所長でもあるラシド氏はさらに、「バングラデシュは、インドとパキスタンが万一核戦争に突入した場合に備えて、放射線防護戦略に焦点をあてることを考えるべきです。私たちにできる最善のことは、そうした攻撃から国民を救うことであり、ほぼ全ての国が、致命的な核の放射能汚染から国民を守る独自の準備を進めています。」と語った。

ラシド氏はまた、「強力な諜報部門は、脅威の先触れを受けて警告を発する理想的なツールとなるだろう。」と述べ、核の脅威を探知しそれに従って備えをする諜報能力を強化すべきだと強調した。

再生可能エネルギーに関する専門家のM・A・ゴフラン氏はIDNの取材に対して、「世界が核軍拡競争を終結させようとしているときに、バングラデシュのような貧しい国が、極めて高価で安全でもない核兵器を追求することに論理的根拠は見いだせません。実際、核兵器はもはや戦時のオプションにはなっておらず、しかも、そうした大量破壊兵器が広島・長崎で人間に何をなしうるかを世界が目撃してしまったあとでは、核攻撃が起こることは決してないでしょう。」と語った。

The atomic bomb dome at the Hiroshima Peace Memorial Park in Japan was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. Credit: Freedom II Andres_Imahinasyon/CC-BY-2.0
The atomic bomb dome at the Hiroshima Peace Memorial Park in Japan was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. Credit: Freedom II Andres_Imahinasyon/CC-BY-2.0

「核の傘による防護」の問題に関してゴフラン氏は、「インドや米国のような核大国は、友好国に対してでさえ、核の『防護』を保証することなどとてもできません。核爆弾は単なる砲弾ではないのです。(自国のためではなく)ある友好国のために核兵器で報復するということは、他国の敵による核攻撃によって自国の領土を危険に晒すことを意味します。はたして、いかなる核大国もそんな無責任な行動をとるでしょうか?」と語った。

ベテランジャーナリストであるアフサン・チョウドリ氏は、バングラデシュが核の脅威に晒されているとの可能性をきっぱり否定して、「誰が私たちを核兵器で攻撃するというのでしょうか?バングラデシュは国境の大半をインドに囲まれていますが、インドに核攻撃を行う企図(それはほぼありえないことですが)がないかぎり、私たちは安全です。また、私たちはいかなる国に対しても脅威にはなっていないのですから。」と語った。

チョウドリ氏はまた、現在のエネルギー政策や核燃料取扱能力に関連して、「私たちは、そうした核技術(兵器)を取り扱えるほどの能力も効率性も備えていません。それに私たちがいったい誰を攻撃したいというのでしょう。グローバルな安全保障の文脈では、核兵器の開発は意味をなしません。バングラデシュ政府がそれを追求しているとは思えません。」と語った。

政治・安全保障アナリストのモハマド・アリ・シクデル少将(退役)はIDNに取材に対して、「バングラデシュは常に友好国家であり続けてきました。この友好的姿勢は、この国の政治史に深く根ざしています。私たちは過去に紛争をけしかけたことはなく、従って核のライバルといえるような存在はありません。実際、私たちが不安に感じる要素などないのです。」と指摘したうえで、「インド・中国と言った近隣の核大国は、常に私たちの緊密な同盟国でした。今日、地政学的な現実を見る限り、バングラデシュに対する核の脅威は認められません。従って、この時点において、我が国が核兵器能力について検討する必要はないのです。」と語った。

シクデル氏は一方で、「私たちは、対外的な諜報能力を強化して、情報において遅れをとらないようにしなくてはなりません。最も賢いやり方は、先進的な諜報能力を常に身にけておくことです。なぜなら、そうすることで、潜在的な脅威について知ることができるからです。もっとも、そうした脅威がそもそもあればの話しですが。」と語った。

バングラデシュ原子力委員会(BAEC)のM・アリ・ズルクアルネイン議長はIDNの取材に対して、「バングラデシュの核政策はこれまでも常に平和目的のものでした。」と指摘したうえで、「BAECは、社会のニーズと核技術の進歩に沿って(大部分が医療関係の)研究開発事業を継続しています。国際プロジェクトやその他の国際・地域活動を通じて、BAECは、持続可能な原子力システム、重大事故防止と影響緩和を目的とした革新的な原子炉設計、将来的な原子力システムのための核燃料・燃料サイクル分析といった領域に取り組んでいます。」と語った。

Map of Bangladesh
Map of Bangladesh

さらにズルクアルネイン議長は、バングラデシュは「核研究活動において高い専門能力を持っていることから、他の途上国に比べると、原子力利用とそれに関連した研究遂行の点で有利な位置にいます。また、原子力の平和利用の点で世界に誇れる歴史を持っており、核不拡散に関連したほぼすべての国際条約の締約国となっているのです。」と説明した。

IDNはまた、教員、元官僚、NGO関係者、ジャーナリスト、民間企業関係者など、市民社会の広範な人々への取材を行った。彼らの声はいずれも、平和を追求すべきであり、「愚か」な核競争に参入するといういかなる発想も拒否する点で共通していた。

「バングラデシュは南アジアで最も経済成長が著しい国の1つであり、核開発の野望を抱けば、こうした成長がすぐにでも危機に陥ることになります。」とあるベテラン銀行家は語った。

有名大学のあるベテラン教員は、「まずもって、バングラデシュに核クラブの一員になる余裕があるでしょうか? 核開発は極めて高くつき、危険なものです。この両方の理由から、バングラデシュには、現在の経済成長によって繁栄する以外には選択肢はないのです。」と語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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世界の6大広告主が国連の「2030アジェンダ」を支持

【ベルリン/カンヌ/ニューヨークIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】

国連事務総長の任期10年を終えるまであと半年の潘基文氏が、企業経営者や起業家を「持続可能な開発に向けた2030アジェンダ」に関与させようとの粘り強い取り組みを進め、1月以降、効果を上げ始めている。

6月24日に第63回「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」で発言した潘事務総長は、世界の6大広告・マーケティング企業である電通ハバスIPGオムニコムパブリシスWPPが、史上初の取り組み『Common Ground(共通の立場)』の立ち上げに合意した、と語った。

このイニシアチブは、2015年9月に国連に加盟する全ての国が全会一致で採択した2030アジェンダの達成に向け、6大広告主がライバル関係を超え、世界が抱える深刻な諸課題(貧困、不平等、不正等)をなくすために連携・協業するというものである。

SDGs logo
SDGs logo

「2030アジェンダを達成するためには、人類のための真剣なパートナーシップが必要です。今日の世界において国連持続可能な開発目標(SDGs)の『リング(=輪)』以上に重要な目的を持ったブランドはおそらく存在しないでしょう。」と潘事務総長は語った。

「オリンピックのリング(=5色の輪)は、スポーツにおける最高の基準を表しています。一方SDGsのリングは、社会的公約や人間の幸福、グローバルな連帯における最高の基準を表しているのです。」と潘事務総長は付け加えた。

「世界の6大広告・マーケティング企業は、一部ではありえないと言われていた試練にあえて立ち上がってくださいました。つまりこれらの企業は、『持続可能な開発のための2030アジェンダ』とSDGsを前進させるためのユニークで刺激的な共同の取り組みを支持するために、立場の違いを乗り越えることに合意したのです。」と潘事務総長は語った。

「短期的には、2030アジェンダを20億人に浸透させることを目指しています。そして、100万人を変革の主体として動かしていきたい。皆さんにはこの取り組みに是非手を貸して頂きたい。」と国連事務総長は、広告・マーケティング・革新的な広報の分野で働く専門家が集う「国際クリエイティビティ・フェスティバル」の場で語った。

「ここはカンヌですから、私は強い思いで参りました。皆さんは、まさにプロの語り手であり、世論を形成する大きな力があると思っています。皆さんには、人類のための史上最大のキャンペーンを創出する手助けをして頂きたいのです。」

「17項目のSDGsを含む『2030アジェンダ』は、国連がこれまでに採択した最大の人間・地球及び繁栄のための行動計画であり、世界中の場所を問わず全ての人々のためのものなのです。」と潘事務総長は説明した。

「もし(SDGsに)スローガンを付けるとしたらこんな感じになるだろう。『私たちは世界的な貧困を終わらせることができる最初の世代であると当時に、温暖化の影響に対処できる最後の世代です。』」と潘事務総長は述べ、「誰も単独でSDGsを達成することなどできない。」と強調した。

潘事務総長は、「SDGsがすべての業種に関わるということ、つまりSDGsは全ての人々に関わる問題であり、とりわけ若者や女性に力を与え、世界が抱える深刻な諸課題を広く知らしめる最良の方法を見出す手助けをしてください。」と会場の参加者らに呼びかけた。

「皆さんの創造力、革新性、そして訴える力は、かけがえのないものです。複雑で抽象的なアジェンダを、私たちがどのようにしたらより良い世界を創出できるかについて個人的で情感的なストーリーに変換して頂きたい。」と潘事務総長は語った。

Secretary-General Ban Ki-moon delivers keynote address at "The Cannes Debate" at Palais des Festivals, France. UN Photo/Eskinder Debebe
Secretary-General Ban Ki-moon delivers keynote address at “The Cannes Debate” at Palais des Festivals, France. UN Photo/Eskinder Debebe

潘基文事務総長はまた、「この種のイノベーションの機は熟しています。…今年は、(2030アジェンダという)15年計画を履行する1年目にあたります。最終的に目標を達成するためには、最初が肝心です。広告業界はそのクリエイティビティーと活力に定評があります。国連は、地球と人類が直面する最大の課題への取り組みに、このダイナミズムを動員することを全面的に支持します。」と語った。

「共通の立場」というこの新たな協力関係は、①SDGs実現に向けた取り組みに総力を結集すること、そして、②他業界にもこれに追随し、それぞれの共通の立場を見出すよう促すこと、という2つの目的を掲げ、直ちにスタートすることになっている。

「共通の立場」イニシアチブはまず、グローバルな広告キャンペーンから始まることとなっており、主要企業やソートリーダーシップ(thought-leadership)関連の刊行物が広告スペースを無料で提供する予定である。

さらに、大手広告6グループは、SDGsをテーマとした今年のカンヌ・ヤングライオンズの各受賞アイデアにつき、開発資金を提供することに合意した。今年の賞は、SDGs関連だけを対象としている。ヤングライオンズ・コンペティションに対して初めて提供されるこの資金は、受賞コンセプトをさらに発展させ、これを実用化できるチャンスを最大限に高めるために用いられることになっている。

電通の社長兼CEOの石井直氏、ハバスの会長兼CEOのヤニック・ボロレ氏、IPGの会長兼CEOのマイケル・ロス氏、オムニコムの社長兼CEOのジョン・レン氏、パブリシスグループの会長兼CEOのモーリス・レヴィー氏、WPPの創設者兼CEOのマーティン・ソレル氏は、共同声明の中で、「広告キャンペーン『共通の立場』は、国連が示したグローバルな諸課題は、企業間の競争を超えるものだと認識している」と述べている。

大手広告6グループは、SDGsの達成に向けてパートナーシップを組むことで、熾烈な競争関係にあっても、広い共通課題のために連携・協業できることを示したいと考えている。同共同声明では、「他の業界・企業においても、同じような取り組みや関係性が生まれることを期待しています。」と述べている。

「共通の立場」イニシアチブ発表の2日前、潘事務総長はニューヨークで開催されたサミットに集った企業経営者らに対して演説を行った。責任ある実践、変革的なパートナーシップ、画期的イノベーション、目標を定めた投資など、持続可能性の新たな時代に到達するために必要な主要領域に焦点を当てることがサミットの目的であった。

2016年国連グローバルコンパクト・リーダーサミット」への演説で潘事務総長は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目的を達成するには、世界中の数多くの人々の苦しみや差別、機会の欠如を終わらせるような、新たな生き方を見つけることが必要だと強調した。

潘事務総長は、同演説の中で、全てのステークホールダー(世界の指導者から、全ての部門と産業に亘る企業経営者、教育者、慈善活動家等)に対して、より広く深く連携して取り組んでいくよう呼びかけた。

世界最大の企業による持続可能性の取り組みである「国連グローバル・コンパクト」は、人権・労働・環境・腐敗防止に関する「10の原則」に沿って企業戦略や行動を調整することで、企業が責任を持ってビジネスを展開する支援を行うものである。また、国連持続可能な開発目標(SDGs)のような、より広範な社会的目標を前進させるための戦略的行動を、協調と革新をスローガンに進めていく支援も行っている。

6月22日・23日に開かれた国連グローバルコンパクト・リーダーサミットは、SDGsに関して企業行動をあらゆる場所で活性化させることを目的としていた。この目的のために、国連グローバル・コンパクトは、SDGsの2030年までの達成を支持する企業の意識改革と行動を促す複数年にわたる戦略を明らかにした。

Global Compact Principles/ 2010 Sustainability Annual Report
Global Compact Principles/ 2010 Sustainability Annual Report

新たな「SDGsをローカルビジネスにするための戦略」の主要要素には、毎年のリーダーサミットの開催、SDGsパイオニア・プログラムの実施、SDGs行動計画ローカルネットワーク、国連・企業パートナーシップ、インパクトレポートなどがある。

潘事務総長は、SDGsと気候変動に関するパリ協定が昨年採択されたことを想起しつつ、「持続可能な開発と気候変動の悪影響との闘いを分離することも可能だが、気候変動の悪影響と脆弱な生態系の問題を考慮に入れれば、包括的な開発モデルが民衆と地球の両方の利益になります。」と呼びかけた。

潘事務総長は、今後数年もインフラ整備に数兆ドルが投資される点を指摘したうえで、「パリ協定とSDGsが、クリーンエネルギーや、気候変動に強く持続可能な経済の創出において、かつてない機会を民間部門に与えることになります。」と語った。

潘事務総長はまた、「私たちは、持続可能で包摂的な市場へ移行する決定的な岐路に立っています。」と指摘したうえで、「その第一歩は、これまでにない規模で世界の産業界を動員することにあります。」「世界のあらゆる企業が、あらゆる場所で、世界を良くするために役割を果たすことが可能ですし、そうすべきです。それは、ビジネスを正しく行うという誠実な経済活動から始まるのです。」と強調した。(原文へPDF 

翻訳=INPS Japan

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国連、中央・北アジアにおける持続可能な開発を促進する

【ニューデリーIDN=デヴィンダー・クマール】

カザフスタンは国連安保理非常任理事国(2017年1月から2年の任期)に選出されてからまもなく、中央・北アジアの人々の社会・経済開発ニーズに関係各国と連携して取り組んでいく方針を確認した。そしてこの目的のために、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)との間に7月11日、新たな協定に署名した。

カザフスタン政府はホストカントリー協定を補う今回の協定に基づき、ESCAPの中央・北アジアサブ地域事務所(SONCA)のための土地建物の提供及び同事務所の運営・プログラム経費を年次予算から助成金で負担すること約束した。

Dr. Shamshad Akhtar (right), United Nations Under-Secretary-General and Executive Secretary of ESCAP and H.E. Mr. Marat Yessenbayev (left), Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of Kazakhstan to Thailand and Permanent Representative to ESCAP at the Signing Ceremony of Agreement with the Government of Kazakhstan to strengthen partnership for sustainable development in North and Central Asia.

サブ地域事務所は、国連総会決議に則り、カザフスタン政府の主導で主要商業都市であるアルマトイに2011年7月5日に開設された。各加盟国の特性や開発ニーズにより適切に対応し包摂的で持続可能な開発の実現に向けた前進を加速するために地域協力及び地域統合を強化することが目的である。

カザフスタンの駐タイ大使兼ESCAP常駐代表のマラート・イェセンバエフ大使は、今回の合意について、「ESCAPと中央・北アジアの加盟国間の協力関係を一層拡大・深化させるうえで、重要な一歩となりました。」と指摘したうえで、「このことは、カザフスタンが国連安保理の非常任理事国に選出されたことに鑑みればとりわけ重要な意味合いを持ちます。我が国はこれにより一層重い責任感を持って様々な国連機関における取り組みを進めていかなければなりません。本日の署名が、中央・北アジア地域の開発を目的とした既存並びに新たな国連プロジェクトや計画に弾みを与えることと確信しています。」と語った。

シャムシャド・アクタール国連事務次長兼ESCAP事務局長は、「本日の署名式は、中央・北アジアサブ地域の開発に有意義な貢献をもたらそうとするESCAPの計画にとって重要な一歩となりました。今回の合意は。中央・北アジアサブ地域事務所(SONCA)の地位を一層確固たるものにし、その機能が継続していくことを保証するとともに、カザフスタン政府が提唱している、中央アジアにおける国連諸機関のためのハブ機能を強化していくことになります。ESCAPは同サブ地域事務所に対するカザフスタン政府による手厚い支援に感謝しています。」と語った。

中央・北アジアサブ地域事務所は、加盟国であるアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンと協力して、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた地域全体の進歩を加速するために地域間協力を促進するほか、規範的な分析作業、政策による権利擁護、キャパシティビルディング活動を推進していく。

アフガニスタンもまた、国連中央アジア経済圏連特別プログラム(SPECA)の加盟国として中東・北アジアの活動に参加している。SPECAは中央アジアにおける準地域的な協力と世界経済への統合を強化することを目的に1998年に創設された国連プログラムで、アフガニスタンの他にアゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンが加盟しており、国連欧州経済委員会(UNECE)とESCAPが全般的な支援を行っている。

Political Map of the Caucasus and Central Asia/ Public Domain
Political Map of the Caucasus and Central Asia/ Public Domain

SPECAの戦略的な重要性は、中央アジアをUNECE地域(現在はヨーロッパ諸国だけでなく、北アメリカ西アジア中央アジア諸国にまで加盟国が広がっている。)の中でもユニークな地域に押し上げている。つまり、SPECA加盟諸国は、欧州とアジアのエネルギー安全保障にとって重要な役割を果たしているほか、アジアと欧州大陸を結ぶ物流のハブとなる大きなポテンシャルを有している。さらに、テロや宗教上の過激主義、麻薬密輸といった世界的な安全保障上の脅威との闘いにおいて積極的な役割を果たしているのだ。

中央アジア諸国はいずれも、陸封国であること、旧ソ連時代の計画経済から市場経済への移行を経験してきたこと、資源国(カザフスタンとトルクメニスタン)と非資源国(ウズベキスタン、キルギス共和国、タジキスタン)の間で急速に経済格差が広がっていることに起因する様々な困難に直面している。

従って、これらの国々はいずれも経済を多様化し、今日のようにエネルギーや特定の産物の輸出に依存する構造からできるだけ早期に脱却する必要に迫らせている。地域協力を強化していくことは、これら中央アジアの全ての国々の経済を迅速かつバランスと安定性を確保しながら発展させていくための、極めて重要な前提条件となっている。

専門家らによると、これらの中央アジアの国々は、互いの戦略的な利点を最大限に活かし、地域全体を不安定化しかねない諸課題に共に効果的に立ち向かっていくためにも、緊密な域内協力を推進することが求められている。(原文へ

INPS Japan

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ジェンダー平等に近づくジンバブエ

【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】

ジンバブエでは、女性にとって引き続き越えなければならない様々な困難はあるものの、2030年を期限とする「持続可能な開発目標」の第5目標に沿ったジェンダー平等の達成という点においては、かなりの前進が見られる。

今日では、国会議席に占める女性議員の比率は改善し、大学入学者数でも、女性の方が男性の増加数よりも上回っている。さらに、ジンバブエの女性は、かつては男性優位だった職域にも進出するようになっている。

ジェンダー平等や女性のエンパワーメントに取り組んできたUNウィメンによると、国会議席に女性議員が占める比率は、2008年総選挙時の17%から、2013年7月31日の選挙時には35%にまで上昇している。

UN WOMEN Logo
UN WOMEN Logo

ジンバブエは、UNウィメンの評価に基づいて、少なくとも国会議員の3割まで女性を増やす特別クォータ制(割り当て制)を導入し、同じ制度を持つ30以上の国々の仲間入りを果たしている。

結果として、ジンバブエの新議会では国会議員350人中、女性議員が124人となっている。この中には86人の国民議会(下院)の女性議員がおり、うち60議席が割り当てによるもの、26議席が210選挙区からの直接選出によるものとなっている。

また軍においても、女性が最近トップレベルに昇格するようになっている。これはとりわけUNウィメン・ジンバブエ事務所の尽力によるものであり、開発、エンパワーメント、政治参加、女性の安全に焦点を当てて、政府を支援してきた。

「ジンバブエは、SDGsの第5目標を含め、10のSDGsを優先してきました。最も優先されている開発目標はジェンダーに配慮したものです。」と語るのは、UNウィメン・ジンバブエ事務所専門戦略アドバイザーのジェルダ・ヌフリジヨ氏である。

ジンバブエは、とりわけ女子差別撤廃条約(CEDAW)や南部アフリカ開発共同体ジェンダー・開発議定書(SADCジェンダー議定書)などの国際的・地域的取り決めを批准している。

女性問題・ジェンダー・地域開発省によると、2013年、ジンバブエはまた、強力なジェンダー平等と女性の人権条項で特徴づけられる新たな憲法を採択した。

ニャシャ・チクウィンヤ女性問題・ジェンダー・地域開発大臣はIDNの取材に対して、「政府は、強力な法的・政策的枠組みを通じて、ジェンダー平等と女性の権利を前進させるとの公約を示してきました。ジェンダー平等を推進するうえで、私たちは正しい方向に向かっていると言って差し支えないと思います。」と語った。

2年前、UNウィメン、国際労働機関(ILO)国産開発計画(UNDP)国連人口基金(UNFPA)は、ジンバブエにおける国連のひとつの一里塚として、同国でジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する初の共同事業を立ち上げた。

スウェーデン政府からの支援を受けて始まった同事業は、ジンバブエの女性問題・ジェンダー・地域開発省との協力で実施されている。これは、同国が、ジェンダー平等や女性・女児のエンパワーメントに向けた国際的・地域的取り決めの加盟国であることから可能となった。

Map of Zimbabwe
Map of Zimbabwe

ジンバブエは現在、公務員における女性割合が25%を占め、ジェンダー平等の達成に向けて歩みを進めつつある。とりわけ、国防軍においては、女性が重要な地位を占めるなど、大きな改善が見られている。

結果として、女性で軍人でもあるエレン・チウェシェ氏のような人物にしてみれば、昇進に限界はなくなっている。彼女の地位は航空群の司令官で、最近では同国空軍ナンバー3の地位である女性初の空軍准将に昇進した。

「限界はなくなりました。女性が高位の地位を占めるのを、もはや妨げるものはなにもありません。」と、ジンバブエ空軍司令官で空軍大将であるペレンス・シリ氏がジンバブエ国営紙『ヘラルド』に今年初めに語っている。

UNウィメン・ジンバブエ事務所は政府や市民社会と協力し、政策改革や、女性の地位向上と社会進出を妨げている財源不足の領域を把握することで、政府の公約が支持され前進するよう取り組みを進めている。

UNウィメンの現地事務所はまた、市民社会を通じて女性政治家や官僚を支援し、同国の抑圧されてきた女性たちが教育を受けることができるように、彼女たちのニーズを把握し対応してきた実績を持っている。

UNウィメンによれば、このことが、女性が男性と同等に発展することを確実にしているという。現在アフリカ連合は、分野横断的な目標としてのジェンダー平等など、各々の加盟国内と地域の両レベルにおいて持続可能な開目標(SDGs)を優先している。

南部アフリカ開発共同体(SADC)は、アフリカ全体で、そしてとりわけジンバブエにおいてジェンダー平等が実現するように、歩みを進めてきた。

「南部アフリカジェンダー議定書連合」は、5月にハラレで開かれたSADCジェンダー関連閣僚会合に提出した覚書で、「SDGsの第5目標(ジェンダー平等)では、(女性による)意見・選択・統制がより強調されており、その前のミレニアム開発目標第3目標よりもはるかに前進しています。」と語った。

しかし、民主主義を求めるロビー集団「青年対話行動ネットワーク」の代表で女性の人権を擁護する活動家キャサリン・ムクワプティ氏は、SDG第5目標に掲げられたジェンダー平等は、国内の遠隔地においては危機にさらされている、と感じている。 

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

「農村世帯での貧困は、女性や子どもに影響を及ぼしている経済移民が大量に発生しているという状況の中で、ひとつのハードルとなっています。女性たちは、政治的、社会的、経済的不平等にさらされ、しかも状況は、男性よりも女性の罹患率が高いHIVとエイズの蔓延によって悪化しています。」とムクワプティ氏はIDNの取材に対して語った。

「農村地帯では依然として土着文化と伝統が重んじられており、ジェンダー平等に関連する事柄はタブーであり認知されていません。そうした状況下で、農村地帯の女性は、人生の多くの場面で抑圧されたままの状況にあります。」とムクワプティ氏は付け加えた。

にもかかわらず、2年前、ジンバブエの国連事務所は、同国初の「ジェンダー平等に関する共同事業」を立ち上げ、女性のエンパワーメントを前進させるために、スウェーデン国際開発庁が500万ドル以上の供与を行っている。

同じ時期に、ジンバブエは、女子差別撤廃条約(CEDAW)と、「南部アフリカ地域共同体ジェンダー・開発議定書」(SADCジェンダー議定書)の署名国となった。

ジンバブエの首都ハラレで先進レベル教育を受けている18才のミルドレッド・チャウケさんは、「私は女子学生として科学教育を受けるための支援を政府から受けています。私は国連のジェンダー平等目標達成にむけた政府の取組を目の当たりにしてきた生き証人です。」と語った。

ジンバブエでは一般的に「A」レベル教育として知られる先進レベル教育(Advanced Level of Education)は、総合大学あるいは単科大学に入学する直前の最高レベルの中等教育である。

ジンバブエ高等教育・科学・技術開発省が発表した今年3月11日時点での最新の統計では、科学、技術、工学、数学分野の取り組みにおいて、同国10州の3404人の学生が支援を受けており、そのうち55%が女子学生であるという。(原文へPDF 

翻訳:INPS Japan

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|視点|核時代最悪の行為

【米サンタバーバラIDN=デイビッド・クリーガー】

以下に記した「核時代の行為ワースト10」は、現代という時代を方向づけてきた。それは、膨大な死と苦しみをもたらし、極めて高くつき、核拡散を促し、核テロや核事故、核戦争への扉を開け、世界を第二の冷戦に引き戻そうとしている。

これらの「ワースト10」は、現代を理解しようとする全ての人にとって有益な情報となるだろう。そして、私たちが直面している核の危険は、米国とその他8つの核武装国の主導と政策的決定によって悪化している。

1.広島への原爆投下(1945年8月6日):最初の原爆は主に民間人が居住する地域に米国によって投下され、約7万人が即死、その年の末までにさらに14万人が命を失った。この攻撃は、この新しい大量破壊兵器を都市に対して使用するとの米国の意思を示したものだった。

2.長崎への原爆投下(1945年8月9日):第2の原爆は、3日前に広島に投下された原爆によって引き起こされた死傷状況を日本の指導層が確認する余地を与えないまま、再び主に民間人が居住する長崎に投下された。長崎への原爆攻撃で、1945年末までにさらに7万人の命が奪われた。

3.単独での核軍拡競争の追求(1945~49):最初の核兵器実験は、1945年7月16日、米国によって実施された。広島への最初の原爆攻撃からわずか3週間前のことだった。第二次世界大戦直後の世界で唯一の核武装国として、米国は核戦力を拡大し続け、1946年にはマーシャル諸島で核兵器の実験を開始した。ここは、国連に代わって統治するように米国に要請されていた信託統治領であった。米国は1946年から58年の間に合計で67回の核実験をマーシャル諸島で行った。これはマーシャル諸島が、その12年間、広島級原爆1.6発相当の爆発力に毎日晒されていたことになる。

4.「平和のための原子力」(1953)の開始:ドワイト・アイゼンハワー大統領は、1953年12月8日の演説で「平和のための原子力」提案を行った。これは、原子力と核物質を、研究と発電の目的で拡散させるきっかけを作ったものだ。これにより、イスラエル南アフリカインドパキスタン北朝鮮などの国々に、核兵器がのちに拡散することとなった。

5.冷戦期の二国間核軍拡競争(1949~91)への関与:ソ連が1949年8月29日に初めての原爆実験を行ってから、核軍拡競争は二国間のものになった。米国・ソ連間のこの核軍拡競争は、世界の核弾頭数が7万発になった1986年に絶頂に達した。文明を何度も破壊するのに十分な量であり、人類の絶滅に帰結しかねないものであった。

6.大気圏内核実験の実施(1945~80):合計で528回の大気圏内核実験が実施された。米国、英国、ソ連は、部分的核実験禁止条約に署名した1963年に大気圏内核実験を停止。フランスは1974年まで、中国は1980年までつづけた。大気圏内核実験によって大気圏内に大量の放射性物質が放出され、人間にガンや白血病を引きおこした。

7.核不拡散条約(NPT)の軍縮条項への違反(1968~現在まで): NPT第6条は「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」と規定している。

NPT締約国である5つの核兵器国(米国・ロシア・英国・フランス・中国)はこれらの義務に違反しつづけている。その他4つの核兵器国(イスラエル・インド・パキスタン・北朝鮮)は、慣習国際法の下で同じ義務に違反している。

8.NPTにおいて原子力の利用を「奪い得ない権利」と規定していること(1968~現在まで):NPT第4条に含まれている「奪い得ない権利」という文言は、原子力発電所の開発と拡大を促進し、核兵器拡散の可能性を高めている。原子力発電所はまた、テロリストの格好の標的でもある。原発によって生まれた放射性廃棄物の長期的な貯蔵に関する適切な計画はまだ生み出されていない。原発に政府が補助金を出すことで、再生可能エネルギー源の開発に必要な資金が奪われている。

9.北朝鮮との交渉妥結の失敗(1992~現在まで):ビル・クリントン政権の間、米国は、北朝鮮による核兵器開発阻止に向けて同国との合意間近までいった。しかし、合意は履行されることなく、ジョージ・W・ブッシュ政権の下では交渉が放棄された。結果として、北朝鮮は2003年にNPTを脱退し、2006年に初の核実験を行った。

10.ABM条約からの脱退(2002):ジョージ・W・ブッシュ政権の下で、米国は一方的に弾道弾迎撃ミサイル制限(ABM)条約から脱退した。これが、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大と相まって、米国によるロシア国境近くでのミサイル防衛施設設置を許すことになった。また、東アジアにも米ミサイル防衛が置かれることになった。欧州と東アジアのミサイル防衛は、これらの地域において新たな核軍拡競争を生み出している。(原文へ

※デイビッド・クリーガーは、核時代平和財団の創設者・会長。

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核兵器の世界的禁止の希望をくじく新たなデータ

【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

核兵器なき世界を目指す活動家らは「核兵器が禁止される日は近い」と自信を持っているが、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が6月13日に発表した今年の核戦力データは、楽観主義を打ち消すものだ。

「兵器の数としては削減されていますが、核軍縮に向けた真の進展の見通しは依然として暗い。」「すべての核保有国が、核抑止を、自らの安全保障政策の要石として優先し続けています。」と、SIPRI核兵器プロジェクトのシャノン・カイル氏は語った。

しかし、ジュネーブを基盤にしている「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICANにとっては、「もはや、疑う余地なく、世界の圧倒的多数の国々が、核兵器を禁止する条約の交渉に入る用意ができている。」活動家らは、まずは核兵器禁止を実現することで、核戦力の完全廃棄に向けた待望の進展が促進されること望んでいる。

この楽観的スタンスの背景には、ジュネーブで今年5月に行われた「核軍縮に関する国連公開作業部会」(OEWG)での議論がある。焦点になっているのは、核兵器を世界的に禁止する作業を開始するとの提案だ。

ICAN
ICAN

リーチング・クリティカル・ウィルのレイ・アチソン氏は、核兵器の禁止と廃絶に向けた法的欠落を埋める「人道の誓約」に127か国が署名していると指摘する。これらの国々は、核兵器を禁止・廃絶する新たな条約を緊急に検討するよう、公開作業部会に提案している。

「公開作業部会議長を務めるタイのタニ・トーンパクディ大使にとっての問題は、9月に国連総会に提出される報告書において、核兵器を禁止すべきとの圧倒的な支持と明確な勧告を盛り込むかどうかです。」とアチソン氏は語った。

「かつてよりも強烈に核兵器の支持を表明するようになっている核兵器支持国にとっての問題は、大多数の国々による明確な勧告を阻止するかどうかというところにある。核兵器禁止を追求する国々にとっての問題は、この会合において、熱心に、そして正当にも要求していたこと以下のものを受け入れるかどうか、というところにある。」

アチソン氏の問いへの答えは、公開作業部会の8月会合を待たねばならない。しかし、SIPRIのデータは、世界の核戦力における、不安を残すような現在の傾向と最新状況を示している。

データは、「世界の核兵器の数全体は減りつづけているが、どの核保有国も、近い将来に核兵器を放棄しようとは考えていない」現状を示している。

データによると、2016年1月現在で、9か国(米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)が4120発の作戦展開された核兵器を保有している。すなわち、ミサイルに搭載されたり、作戦展開された戦力のある基地に配備されたりしている場合である。

すべての核弾頭を数えるならば、9か国が合計でおよそ1万5395発の核兵器を保有しているとSIPRIは説明している。2015年1月現在では1万5850発であった。

SIPRIによると、世界の核戦力は、1980年代半ばのピーク時の約7万発から減ってきてはいる。この減少は主に、1991年以来の三次にわたる核兵器制限条約や単独での核戦力削減によって、ロシアや米国が核兵器削減を図ったためであった。

STOCKHOLM INTERNATIONAL PEACE RESEARCH INSTITUTE
STOCKHOLM INTERNATIONAL PEACE RESEARCH INSTITUTE

しかし、削減のペースは10年前に比べると緩慢なものであり、世界全体の核兵器のうち合計で93%を保有するロシアも米国も、2011年に二国間で結んだ「戦略攻撃兵器のさらなる削減・制限の措置に関する条約」(新START)以来、配備された戦略核戦力を大きく削減していない、とSIPRIは主張している。

同時に、SIPRIのデータは、ロシアでも米国でも、広範で高価な核兵器近代化計画が進行中であることを明らかにしている。例えば米国は、核戦力を維持し包括的に更新するために2015年から24年の間に3480億ドル(41兆4120億円)を支出することを計画している。米国の核兵器近代化計画は30年で1兆ドルもかかる可能性があるとの試算もある。

Hans Kristensen/ FAS
Hans Kristensen/ FAS

「オバマ政権が提示した野心的な米国の近代化計画は、核兵器の数を削減し、米国の安全保障戦略における核兵器の役割を低減するとのバラク・オバマ大統領の公約には反するものです。」とSIPRI年鑑の共著者ハンス・クリステンセン氏は語った。

デンマーク出身のクリステンセン氏はSIPRI軍縮・軍備管理・不拡散プログラムの上級研究員であり、米国科学者連盟(FAS)核情報プロジェクトの責任者でもある。

SIPRIのデータはさらに、他の核保有国にも小規模な核戦力があるが、軒並み、新たな核兵器運搬システムを配備するか、そうする意図を表明していることを示している。

約260発の核弾頭を備蓄している中国は、核戦力を近代化しながら、その数も徐々に増やそうとしているかのようだ。インドとパキスタンもまた、核兵器備蓄とミサイル運搬能力を拡大しているようだ。

2016年初め、インドには100~120発の核兵器があると推定されている。SIPRIによれば、この推計は、2015年1月時点の90~110発というインド核備蓄の規模からは増加しているという。

パキスタンは、2016年1月時点で110~130発の核弾頭を備蓄していると推計される。2015年の推計100~120発からは増えているとSIPRIは指摘する。

北朝鮮は、核弾頭約10発分に相当する核分裂性物質を保有しているとみられる。「しかし、北朝鮮が作戦地位にある兵器を製造あるいは展開したかどうかは不明だ。」とSIPRIでは主張している。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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