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「核実験禁止条約の将来いまだ見通せず」と国連が指摘

【国連IPS=タリフ・ディーン】

1996年に国連総会で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)は、ひとつの大きな理由によって、いまだに発効していない。それは、既に183カ国が署名し、164カ国が批准しているにも関わらず、発効要件国(44か国)のうち、依然として主要な8か国が、条約への署名、あるいは批准を拒否しているためである。

未署名3か国(インド、北朝鮮、パキスタン)と未批准5か国(米国、中国、エジプト、イラン、イスラエル)は、条約採択以来19年間、CTBTとの関わりを避けている。

潘基文事務総長は、「核実験に反対する国際デー」記念会合が開催された9月10日、CTBT未署名・未批准のすべての国々、とりわけ当該主要8か国に対して、「核兵器なき世界を目指すための欠かせないステップ」としてのCTBTに署名・批准するよう、改めて呼び掛けた。

現在、多くの核保有国が、自発的な核実験の中断(モラトリアム)を実施している。

「しかし、それが法的拘束力を有する条約の代わりとはなりえません。なぜなら、それは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が3度にわたって核実験を実施した事実が物語っています」と潘事務総長は語った。

国連事務総長によるこの警告は、北朝鮮が核兵器生産のための動きを再開したとの報道が15日に出される中で、なされたものだ。

しかし、「これら8か国が近い将来にCTBT署名・批准に動く可能性は低い。」とジョン・ハラム氏は指摘する。ハラム氏は、「核軍縮を目指す会」(PND)とシドニー大学(オーストラリア)平和・紛争研究センターの共同プロジェクトである「人間の生存プロジェクト」(HSP)のメンバーである。

ohn Hallam/ University of Sydney

「これら8か国が2016年までにCTBTに署名・批准をすることはなさそうだ。」とハラム氏は語った。

例えば米国は、署名は済ませているが、共和党がCTBTの批准に明確に反対している。

ハラム氏によれば、インドとパキスタンも、CTBTに署名・批准のいずれも行わないとの意思を明確にしているという。「とりわけ、ナレンドラ・モディ政権下のインドが署名・批准する可能性はほとんどないでしょう(一方、インドの核軍縮運動は長年にわたってCTBTの署名・批准を求めてきた。)」とハラム氏は語った。

さらにハラム氏は、「中国とその他数か国は、米国が条約に批准次第、自分たちもそうすると主張しています。」と語った。

「核実験に反対する国際デー」を記念して9月10日に開かれたハイレベル・パネルディスカッションで潘事務総長は、「核実験を終わらせるという目標は、私の外交官としてのキャリアを通じて、重要な関心事でした。」と指摘したうえで、「国連事務総長として、そしてCTBTの寄託者として、私は核実験の法的禁止を成し遂げることを重要視し、歴史上最大規模のものも含め、456回もの核実験が行われてきたセミパラチンスク核実験場(カザフスタン)に自ら足を運びました。そして、核実験の被害者と面談し、核実験が社会や環境、経済に及ぼした永続的な被害をこの目で見てきました。」と語った。

潘事務総長はまた、「70年前にニューメキシコ州で最初の核実験が行われて以来、世界では2000回以上の核実験が繰り返されてきました。そしてこれらの実験によって、世界中で、手つかずの自然環境と地元の人々に大きな被害がもたらされました。」と語った。

潘事務総長は、「核実験による環境、健康、そして経済への打撃から二度と立ち直れなかった人々も多くいます。地下水の汚染、がん、白血病、放射性降下物 – これらは核実験による有毒な遺産の一部にすぎません。」と指摘したうえで、「過去の実験の犠牲者に敬意を表する最善の方法は、今後いかなる核実験も行わせないことです。」と訴えた。

CTBTは、核兵器の開発を量的、質的に制限するための法的拘束力を持つ検証可能な手段である。

ハラム氏はIPSの取材に対して、「米国は、ネバダやアラスカ、マーシャル諸島を含む太平洋地域、宇宙空間において、1000回以上の核実験を行ってきました。」と語った。

ネバダ核実験場で行われた実験は、風下の住民に対して大規模な汚染をもたらし、深刻な健康被害を生じさせた。

"Daigo Fukuryū Maru" by carpkazu - Licensed under public domain via WikimediaCommons
“Daigo Fukuryū Maru” by carpkazu – Licensed under public domain via WikimediaCommons

米国が行った最大の核実験は15メガトンの「キャッスル・ブラボー」で、これによって日本の漁船「第五福竜丸」の乗組員全員が被爆(久保山無線長が半年後に死亡)し、マーシャル諸島も汚染された。

一方、ソ連が行ったこれまでで最大の核実験は、北極圏にあるノバヤゼムリャ島で60年代初頭に行われたもので、「ツァーリ・ボンバ」(爆弾の皇帝)として知られている。

60メガトンの同実験は、ネネツ人の神聖なる狩猟地を蒸発させ、世界中に放射性降下物をまき散らし、地震波によって数時間にわたり地球を鐘のように振動させたのである。

ハラム氏は、「ソ連は約800回の核実験を行ったが、その多くがセミパラチンスクで行われ、広範な放射性物質による汚染を引き起こし、地元の人々に壊滅的な被害をもたらしました。」と語った。

さらに、英国(そのほとんどがオーストラリアのマラリンガエミュフィールド)、フランス(アルジェリアと仏領ポリネシア)、中国(新疆ウィグル自治区)、インド(ラジャスタン州ポカラン)、パキスタン(バロチスタン)、北朝鮮によって核実験が行われ、フランス・中国・英国による核実験では地元住民や実験参加者の間で放射線由来の疾病に苦しみ死に至るものが相次いだ。

「核実験は、核軍拡競争と核拡散の屋台骨を成しています。従って、核実験の再開、或は(北朝鮮を含め)いずれかの国が新たな核実験を行うことになれば、決して望まない奈落へと世界を近づけることになるでしょう。」とハラム氏は語った。

「核兵器の拡散を止め、『核実験に反対する』規範を定着させるための最善の道は、核実験を違法化している包括的核実験禁止条約を発効させることです。」とハラム氏は訴えた。

ICAN
ICAN

他方、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、世界的なオンラインキャンペーンである「ATOM」(実験の禁止=Abolish Testing、我々の使命=Our Mission の頭文字をとったもの)を開始し、世界の指導者に対して核実験を完全に終了させるよう呼びかけている。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan

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【オックスフォードIPS=ファルハン・ジャハンプール】

核不拡散条約(NPT)第6条は、非核保有国が核兵器取得を禁じられていることへの見返りの一環として、核保有国に核軍縮を義務づけている。NPTのこの条項とは別に、その義務を補強しているその他多くの決定が存在する。

しかし、核保有国は核不拡散を熱心に追求する一方で、NPTを初めとした国際規則の多くに違反してきた。

国際司法裁判所の1996年の勧告的意見は「厳格かつ実効的な国際管理のもとで、全面的な核軍縮に向けた交渉を誠実に行い、その交渉を完結させる義務がある」と述べている。核兵器国はこの意見を無視している。

The International Court of Justice in Session/ ICJ
The International Court of Justice in Session/ ICJ

核保有国、とりわけ米国とロシアは、自国の核兵器の近代化と多様化を進めることでNPTにさらに違反しつづけている。米国は、既存の核戦力の有効性をさらに延ばす新型核弾頭である「高信頼性代替核弾頭」を開発してきた。

米国、そしておそらくはロシアも、大規模な放射能汚染を引き起こすことなく、戦場において使用しうる、比較的低い爆発力を持った戦術核弾頭を開発している。バラク・オバマ大統領が核兵器を削減し究極的には廃絶すると誓っているにも関わらず、米国は、今後10年間で3480億ドルかけてB61-12」を開発するなど、新型の核兵器を開発している最中であることが明らかになってきている。

インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮は、核兵器国とはみなされていない。NPT第9条は「核兵器国」を、1967年1月1日以前に核装置を製造し実験した国と定義しているため、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮は核兵器国とはみなされないのだ。

これらすべての国々がNPTに違反しており、例えばインドに原子炉や先進核技術を提供する米国の約束など、核支援を行うことも条約違反だ。また、米国によるイスラエルやパキスタンに対する軍事協力も同じく条約違反である。

核兵器国には拡散の罪がある

イラクの軍縮について規定し、法的拘束力もある国連安保理決議687号第14節は、中東に非大量破壊兵器(WMD)地帯を創設することについて述べている。

また、クウェートからサダム・フセインを追放する米国主導の有志連合に加わった国々の間では、イラクからWMDを一掃すれば、次はイスラエルが核兵器を廃棄するよう求められるとの明確な了解が存在した。イスラエル、ひいては同節を履行していない国々は、法的拘束力のある同決議に違反していることになる。実際、米国とイスラエルは、中東で核兵器を保有しているとみなされている。

"Iraq-dusk". Licensed under public domain via Wikimedia Commons
“Iraq-dusk”. Licensed under public domain via Wikimedia Commons

アパルトヘイト時代、イスラエルと南アフリカ共和国は核兵器製造で協力しており、イスラエルが主導する立場だった。2010年、両国高官が1975年に行った会合の「機密」外交文書が見つかったと報じられた。これによると、南アフリカ共和国のP・W・ボータ国防相(当時)が、イスラエルのシモン・ペレス国防相(当時)に(ミサイルに搭載する)核弾頭の提供を要請し、イスラエルは「3種類のサイズ」の核弾頭を提供できると応じたという(結局、核弾頭そのものは提供されなかったが南アフリカ共和国はイスラエルが提供したトリチウムを元に核爆弾を製造した:IPSJ)。

この文書は、米国の研究者サーシャ・ポラコウ=スランスキー氏が、両国の親密な関係に関する研究を進める中で発見したものだ。イスラエル政府は、この文書が公開されないように努力してきた。1977年、南アフリカ共和国はイスラエルとの協定に署名し、少なくとも6発の核爆弾の製造が決まった。

1995年の核不拡散条約運用検討・延長会議は、「地域諸国による中東非核・非大量破壊兵器及び非運搬システム地帯の早期設立」を求めた。しかし国際社会は、イスラエルへの核放棄要求を怠ることで、この決議を無視してきた。実際、イスラエルと米国は、中東非核兵器地帯化に関するいかなる提案にも反対してきている。

2000年のNPT運用検討会議は、「インド、イスラエル、パキスタンに対して、速やかに、かつ無条件で、非核兵器国としてNPTに加盟するよう」求めている。加盟国はまた、条約の普遍性を達成するための「決然とした努力」をなすことに合意している。しかし2000年以来、インド・パキスタン・イスラエルに非核兵器国として加盟するよう促す取り組みはほぼなされていない。

イラン政府と、フランス、ドイツ、英国(EU-3)の外相が2003年に合意したテヘラン宣言では、イランが(国際原子力機関との)追加議定書に加盟し、2年以上はウラン濃縮を一時停止することに合意しただけではなく、中東全域で大量破壊兵器を廃棄することを呼び掛けている。

その際、英独仏の3外相は「3国はイランと協力して、国連の目的に従って、中東に非大量破壊兵器地帯を創設するなど、地域における安全と安定を促進してゆく。」と公約した。この宣言の署名から12年が経過するが、英独仏3か国と国際社会は、依然として中東非大量破壊兵器地帯の創設を実現していない。

冷戦期、北大西洋条約機構(NATO)は、ソ連軍が欧州各地の首都に近いことを理由に、核兵器の先制使用を排除していなかったが、この方針は冷戦終焉後も改定されていない。米国防総省が、イラン核施設破壊のために核兵器を搭載したバンカーバスター(RNEP)の使用を検討してきたとの信憑性の高い報告が繰り返されてきた。

人類は、過去2000年以上にわたって、「正義の戦い」の要件を定めようとしてきた。この数十年の間で、それら原則の一部は、法的拘束力のある国際協定や条約の中に反映されてきた。例えば、第一次世界大戦後に作られた国際連盟規約や、1928年のパリ不戦条約国連憲章などがそうだ。

Peace Gun/ UN Photo
Peace Gun/ UN Photo

いくつかの考え方がこれらすべての定義に共通している。例えば、いかなる軍事行動も①自衛に基づいていなければならない、②国際法に従っていなければならない、③均衡したものでなければならない、④最終手段でなければならない、⑤民間人や非戦闘員を標的としてはならない、などである。

その他の考え方には、次のようなものがある。つまり、①仲裁の強調、②紛争解決において最初に武力に訴えることの放棄、③集団的自衛の原則、などである。核兵器の使用がこうした要件といかにして両立するかを見出すのは困難である。しかし、核軍縮を求める声が国際的に高まっているにも関わらず、核保有国はNPTの規則を遵守して核兵器をなくすことを拒絶し続けている。

バラク・オバマ大統領は、2009年4月5日にプラハで行った初めての主要な外交政策演説において、核兵器を廃絶するという彼のビジョンについて次のように語った。「数千もの核兵器の存在は、冷戦時代の最も危険な遺物である。冷戦は過去のものとなった。しかし、これら何千もの兵器は消えていない。世界的な核戦争の脅威は低下したが、歴史の皮肉というべきか、核攻撃の危険性はむしろ高まった。」

さらにオバマ大統領はこう続けた。「そこで本日、私ははっきりと、信念を持って、アメリカは核兵器のない世界の平和と安全を追求することを誓約したい…。」

残念なことに、こうした素晴らしい意見は実行に移されていない。それどころか、全ての核保有国は自国の核戦力を強化し近代化する政策を推し進めている。こうした国々は、核兵器を開発していると疑いをかけた国を選択的に罰することには熱心であるが、核兵器を廃絶するという自国に課せられた義務については公約を果たしていない。(原文へ

* ファルハン・ジャハンプール氏は、イスファハン大学外国語学部の元教授・学部長で、ハーバード大学元上級研究員。オックスフォード大学ケロッグ校の一員で生涯教育学部の講師でもある。

翻訳=IPS Japan

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【イエテボリ(スウェーデン)IPS=ギュンナー・ウェストベル】

核兵器廃絶に関するキャンベラ委員会」には、かつて、英国の陸軍元帥や米国の元国防長官や将軍、フランスの元首相といった元政治家や軍人が委員として名を連ねていた。

委員会は1996年の報告書で、「核兵器が永久に保持され、しかも偶発的にせよ決定によるにせよ使用されることがないという主張には、なんの信憑性もない。唯一完全な防御法は、核兵器を廃絶し絶対に二度と作らないという保証を得ることしかない。」と述べている。

まさにこれが重要な点だ。核兵器は、その存在が許されているかぎり、いずれ使われることになる。世界の核兵器の1%以下が使用される「小規模」の核戦争であっても、人口10億人以上を死に至らしめる飢饉を引き起こしかねないのだ。

ブルース・ブレア大佐は、1970年代の一時期、大陸間核弾道ミサイルの発射管理官を務めていた人物である。ブレア大佐は、「私は核ミサイルの発射方法を知っており、発射に許可はいらなかった」と述べている。90年代に彼は、「無許可のまま核兵器が発射される可能性は本当にあるのか?」という問いに関する米上院の検討委員会のメンバーとなった。

この問いに対するブレア大佐の回答は「イエス」であり、そのリスクは決して小さくなかった。

今年の「ヒロシマ・デー」、すなわち8月6日に、スウェーデンの主要紙『アフトンブラーデット』は、現在は核兵器廃絶に向けた「グローバル・ゼロ」運動の代表を務めるブレア大佐のインタビューを掲載した。記者が「ブレアさん、核兵器がまた使用されることがあると思いますか?」と尋ねたところ、ブレア氏は暫く黙った後、「残念ながらそれは避けられないと思います。ツイッターのメッセージよりも短いデータ暗号があれば充分なのです。」と回答している。

ブレア氏の話を聞いて、許可されない核兵器発射あるいは核爆発を予防する目的を持った安全装置である「行動許可伝達システム」のことを思い出した。

ロバート・マクナマラ氏が60年代中旬に米国防長官であったとき、潜水艦からのミサイル発射を可能にするには、司令官が発射を許可する暗号を受け取らなくてはならないとする命令を発した。

しかし海軍は、たとえば司令部との交信が妨害されたケースなど、自らの判断で核を発射するのを妨げられることを嫌った。初期暗号の「00000000」がこうした理由から長年保持され、一般的に知られるようになった。しかしマクナマラ氏は、職を辞してからかなり長い間、このことを知らなかったという。

ある旧ソ連の海軍提督が私に、1980年ごろまで暗号なしで潜水艦から核ミサイルを発射できる状態にあったと話してくれたこともあった。

発射システムの制御システムについて論じられるとき、私たちは、後知恵的にではあるが、確かに「プランB」はあるということを知る。もし司令部との通信が途絶え、司令官が戦争状態にあると考えるとき、現場の判断で核ミサイルは発射されうるというものである。これがどう機能しているかについて私たちが知らされることはないが、「プランB」は存在するのである。

今日の状況はどうだろうか? 許可されない核ミサイルの発射は、果たして起こり得るだろうか? この問いに対するブレア大佐の回答は「イエス」である。すなわち、過ち、誤解、ハッカーの侵入、人的ミスなど依然として常にリスクが存在しているというのだ。

冷戦終結後、私たちは(核戦争勃発寸前の)「危機一髪」の事態が実際に起こっていたことを知った。キューバミサイル危機、とりわけ「残されたソ連の潜水艦」(ワシリー・アルキポフ中佐が核魚雷の発射を回避した事件)の問題が起こった。1983年9月には「ペトロフ事件」(スタニスラフ・ペトロフ中佐による核戦争回避事件)が起こった。さらに同年11月には、北大西洋条約機構(NATO)の演習「エイブル・アーチャー83」(ソ連がNATOの核ミサイル発射演習を本物の核攻撃の偽装と誤解した事件) という恐らくは最悪の危機(最悪だがほとんど知られていない)が起こった。当時ソ連の指導者はいつでもNATOからの攻撃がありうるとみなし、他方でNATOはソ連の妄想に気づいていなかったのである。

この他にも真相が明らかになっていない危険な事例が多く存在する。

数学者でリスク分析の専門家であるマーティン・ヘルマン氏は、40年に亘った冷戦期間中、重大な核戦争が起きるリスクは1年あたり1%もあったと推定している。これは合計すれば40%にのぼっていたということであり、人類は絶滅しないで済むほんの僅かの可能性しかもっていなかったということになる。私たちは実に幸運に恵まれていたのである。

ICAN
ICAN

おそらく、今日、リスクは低下しているのかもしれない。しかし、拡散のリスクがあり、核兵器研究にさらなる資金が割り当てられ、国際関係が緊張する中、リスクは再び上昇しているかもしれない。

核兵器が存在する限り、リスクは存在する。地球の全滅、あるいは確証破壊のリスクである。

核兵器と自分たち、どちらを取るか。両者は共存できない。どちらかがなくならねばならないのである。

核兵器の禁止が必要だ。そして、それは実現可能な課題である。(原文へ

翻訳=IPS Japan

*ギュンナー・ウェストベルク氏は、イエテボリ大学(スウェーデン)の医学教授で、2004~08年に核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の共同議長を務めた。

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|視点|「海外派兵はせず自国防衛に徹する政策を明確にした日本」(上田勇衆院議員、公明党国際局長)

【東京IDN=上田勇】

Isamu Ueda, Komeito
Isamu Ueda, Komeito

今年、国会では安全保障法制が大きなテーマとなった。「国際安全保障環境の変化を踏まえ、日本およびアジア地域の安全保障をどう確保していくか」「国際社会の平和に日本がどこまで貢献すべきか」-これらの論点について精力的な議論が行われてきた。

日本政府は、公明党も参画した1年間の与党協議の結論を踏まえ、憲法解釈を一部変更した上で新たな安全保障法制案を国会に提出した。最も大事なポイントは2点である。

一つは、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生を契機とする事態であっても、日本に死活的な影響が及ぶことが明白な場合には、自衛の措置を取れることとした。ただし、日本は国連憲章51条が定める集団的自衛権の全面的な行使は、憲法上の制約があるため引き続き認めないこととした。「自国防衛のための限定的な集団的自衛権の行使」が許容されたのであり、日本は今後も海外派兵は行わない。

もう一つは、国連決議が出され国連加盟国に対し行動要請が出される事態等に対し、日本にふさわしい貢献を積極的に行うことだ。ただし、日本の自衛隊の活動は憲法上の制約があるため、「戦闘が行われていない現場」での後方支援活動に限定される。

日本が今後好戦的になる、などの批判があるが、間違いだ。日本は戦後70年間、一度も他国と交戦せず、平和国家路線を歩んできた。この路線は今後も堅持される。(原文へ

IDN-InDepth News/IPS Japan

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「変革の世代」が、核兵器廃絶の実行を誓う

【広島INPS=ロナルド・ジョシュア】

新しい「変革の世代」が、「地球上の全ての人々にむごたらしい死の脅威を突き付けている」1万6000発から7000発の核兵器を世界からなくすことを明確に呼びかけるとともに、(広島・長崎への原爆投下から)70年間に及ぶ核廃絶の約束を実行することを誓い、存在感を示した。

広島・長崎の街を壊滅させた原爆投下から70年を記念して広島で3日間にわたり開催された「核兵器廃絶のための世界青年サミット」のまとめとして8月30日に発表された「核兵器廃絶のための青年の誓い(誓い)」はこう述べている。「核兵器は過ぎ去った時代の象徴であり、私たちの目の前の現実に大きな脅威をもたらしている。しかし、私たちが創造している未来に、その居場所はない。」

International Youth Summit for Nuclear Abolition

青年サミットは、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD、バンコク)が主催して広島で開かれた第25回国連軍縮会議に続いて行われたものである。

青年サミットには、地方・地域・国際の各レベルで核軍縮やその他の関連分野に積極的に関わっている世界20か国以上(オーストリア、カナダ、コスタリカ、ドイツ、インド、イタリア、日本、ケニア、ラトビア、モンゴル、オランダ、パキスタン、フィリピン、ルーマニア、タイ、チュニジア、イギリス、アメリカ)から30人の主要な青年活動家が集まった。

彼らはまた被爆者とも会い、世界から核兵器をなくすための将来的な戦略について話し合った。

「誓い」はこう締めくくられている。「あなたも、私たち『変革の世代』と共に声をあげ、行動を呼びかけよう。私たちは、核兵器が私たちの生命を、未来の世代を脅かし続けているのに、何もせずにいることを拒否する。さあ、私たちと一緒に行動して、変革を起こそう!」

参加者らは、「70年間にわたって『二度と繰り返さない』という演説が行われ、声明が発表・支持されてきた。それでも私たちは、いまだに核兵器の人質にとられたままでいる。」と指摘したうえで、「私たち世界中の青年は、これら数十年に及ぶ核廃絶の約束を果たすべく、立ち上がろうと勇気を奮い起こしている。私たちは、共通の未来への脅威を根絶しなくてはならない。あなたも、私たち『変革の世代』に加わってほしい。さあ、行動を起こす時だ。」と訴えた。

Working group in session | Credit: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

「誓い」はさらにこう続く。「私たち青年は、人間の安全保障と持続可能性を求める。核兵器が存在したまま、これを完全に実現するのは不可能だ。青年の目には、核兵器のない世界への可能性が見える。私たちの目には、恐怖と軍拡ではなく、外交・協力・信頼にもとづく安全保障への可能性が見えるのだ。」

「核兵器の廃絶は私たちの責務であり、権利だ。核廃絶のチャンスが失われるのを、もはや黙って見過ごしはしない。私たち青年は、あらゆる多様性と深い団結のもと、この目標の実現を誓う。私たちは『変革の世代』なのだ。」

「核兵器が存在し続けることは受け入れられない。私たちの共通の未来を守るために、行動を起こさねばならない」と「誓い」は述べ、「変革の世代」として次のことを誓った。

・仲間の意識を広く啓発するために、自らが知識を学び、自信をつける。

・活動する上で多様性が重要であることを自覚し、ジェンダーの視点が軍縮に影響を与えることを自ら学んでゆく。

・各自の地域社会や国で行動を起こし、声をあげ、核廃絶を求める。

・核兵器の非人道性や、被爆者・核実験被害者の体験を周囲と共有する。

・核廃絶運動への参加を周囲に促し、活動する全員の一致団結を築く。

・すべての国家に、核兵器を禁止・廃絶する国際条約の交渉開始を呼びかける。

・各自の国の議会に、核兵器の製造・投資・実験・配備・威嚇・使用を禁止および違法化する国内法制の整備を呼びかける。

「誓い」は、250人が参加した公開フォーラムで発表された。フォーラムでは、核時代平和財団のリック・ウェイマン氏と創価学会インタナショナル(SGI)のアナ・イケダ氏が共同議長を務め、国連事務総長の青少年問題特使であるアフマド・アルヘンダウィ氏に「誓い」が手渡された。

Credit: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

アルヘンダウィ特使は「平和を可能とする世代になろう。この青年サミットは、青年は平和と核兵器のない世界を求めているという力強いメッセージを世界に発信しました。国際社会はこの声に耳を傾けねばなりません。」と発言した。

公開フォーラムではまた、幼少時代を広島原爆ドームのすぐ隣の実家で過ごした被爆者の田邊雅章氏制作の映画も上映された。田邊氏は、「私の映画を観ることで、(原爆が投下されるまで)実際にそこには人々の生活と営みがあったのだということを知っていただきたい。是非世界の指導者にも、この真実を知ってほしいのです。」と語った。

青年参加者らは、このサミットへの参加を通じて、より緊張感が深まったと述べた。「マインズ・アクション・カナダ」のエリン・ハント氏は、「青年によるこのネットワークは、核兵器が何を引きおこすかについて共通した理解を持つに至りました。これはきわめて重要なことだと思います。」と語った。

核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長、国際平和教育研究所名誉創設者のベティー・リアドン氏、SGIの池田大作会長、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のマイケル・クライスト議長などの平和活動家から支援メッセージが寄せられた。

このイベントは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、マインズ・アクション・カナダ、核時代平和財団、SGI、婦人国際平和自由連盟(WILPF)の代表らによって主催された。

後援には、広島市、長崎市、広島平和文化センター、核兵器廃絶長崎連絡協議会、核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会、平和首長会議、ICAN、IPPNW、バーゼル平和事務所グローバル・ゼロ核兵器禁止世代(BANg)が加わっている。

全世界で1300万人の会員を擁し、平和・文化・教育を推進し核兵器廃絶を50年以上にわたって訴え続けている仏教者のネットワークSGI本部の平和運動担当の浅井伸行氏は、「若者には、現状を変化させる潜在力と能力がもともと備わっています。広島・長崎への原爆投下から70年を迎える中、世界は重大な岐路に立っています。世界中の若者が手を取り合って、核兵器なき世界に向かって突破口を作り出す時にきています。」と語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

撮影・編集:INPS Japan浅霧勝浩

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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【広島IPS=ラメシュ・ジャウラ】

広島で3日にわたって開催された国連軍縮会議が、「核実験に反対する国際デー」を翌日に控えるなか閉幕した。会議では、核兵器なき世界を実現する必要性は強調されたが、その目標にどう向かうかについてはコンセンサスが得られなかった。

国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD、バンコク)が日本の外務省、広島市、広島県との協力の下で8月26日から28日に開催したこの会議には、世界の各地域から80人以上の政府関係者や専門家が参加した。

日本でこの会議が開催されるようになって25回目だが、今年は、広島・長崎への原爆投下及び国連創設から70年という節目の年にあたり、とりわけ重要な会議であった。

The atomic bomb dome at the Hiroshima Peace Memorial Park in Japan was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. Credit: Freedom II Andres_Imahinasyon/CC-BY-2.0
The atomic bomb dome at the Hiroshima Peace Memorial Park in Japan was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. Credit: Freedom II Andres_Imahinasyon/CC-BY-2.0

UNRCPDのユーリー・クリボノス所長代理は、会議の内容を総括して、「核軍縮と核不拡散における機会と課題」に関する討論は「率直かつダイナミックなものでした」、と語った。

プレゼンテーションやパネル討論では、4月27日から5月22日にかけて国連本部で開催された2015年核不拡散防止条約(NPT)運用検討会議の件が注目された。

2015年NPT運用検討会議の議長を務めたアルジェリアのタウス・フェルーキ大使は、広範な重要問題に関してかなりのコンセンサスが得られていたにも関わらず、なぜ会議は普遍的に受け入れられるような最終文書の合意に失敗したのかについて、詳細に説明した。問題は、「中東非核・非大量破壊兵器地帯の創設に関する国際会議」を2016年3月1日までに招集するという提案を、米・英・加が拒絶したことにあった。

日本の岸田文雄外相は、この問題に関して、他の政府関係者や専門家らと同じく、「中東非核・非大量破壊兵器地帯の創設に関する国際会議」問題のために最終成果文書が採択されなかったことを遺憾に思うと述べた。

岸田外相は、2015年NPT運用検討会議で新たな行動計画を策定できなかったことでNPTの有効性を疑問視する議論が出てきている点を指摘する一方で、「しかし明確に申し上げておきたいのは、NPT体制は、これまで国際社会の平和と安定に極めて重要な役割を果たしてきており、その役割は今日でも変わっていないということです。」と語った。

広島軍縮会議は、NPTの効果的な履行を確保する措置に関する様々な見方について議論しただけではなく、核兵器廃絶という目標達成における、未発効の包括的核実験禁止条約(CTBT)の役割、核兵器の使用がもたらす人道的影響、核不拡散・軍縮体制強化のための非核兵器地帯(NWFZs)の重要性についても話し合われた。

各セッションのパネリストらは、自治体や市民社会、核軍縮教育の役割が大きくなってきていることをとりわけ指摘した。核軍縮教育に関しては、核兵器国であろうとなかろうと、世界中のすべての国の人々に対して核兵器がもたらす脅威に対する共通の理解を形成するうえで、被爆者(平均年齢が80歳を超えた)の証言の重要性が指摘された。

Sesson 4: Collaboration with Civil Society, the 25th UNConference on Disarmament Issues in Hiroshimia/ Katsuhiro Asagiri of International Press Syndicate

UNRCPDのクリボノス所長代理は、広島会議は、「核使用のリスクからこの地球を守るという目標にどのように到達するのかについて新たな考えを模索する良い出発点になりました。」と語った。

広島県の湯﨑英彦知事と広島市の松井一實市長(世界161の国・地域の6779自治体から成る平和首長会議の会長で、被爆者を父に持つ)は、長崎市の田上富久市長とともに、核兵器なき世界に向かって協力してキャンペーンを強化することを訴えた。田上市長はまた、日本非核宣言自治体協議会の会長でもある。

Post Press Conference of the 25th UN Conference on Disarmament Issues in Hiroshima/ Katsuhiro Asagiri of International Press Syndicate
Post Press Conference of the 25th UN Conference on Disarmament Issues in Hiroshima/ Katsuhiro Asagiri of International Press Syndicate

広島・長崎両市長は、(軍備管理協会事務局長でモデレーターをつとめたダリル・キンボール氏が打ち出した)来年5月の主要国主要会議(伊勢志摩サミット)に合わせて広島で核軍縮サミットを開催するという提案に関して、核兵器なき世界に向けた意識喚起が促進されるとして、歓迎の意を示した。

外務省関係者は、この提案に関して公的に発言することはなかったが、広島出身の岸田外相は、「核軍縮における真の前進を得るために、実際的かつ具体的な措置を着実に前進させるうえで」核兵器国と非核兵器国が協力する必要性を強調した。

岸田外相は、来る国連総会に「核兵器の完全廃絶に関するあらたな決議案」を提出するとの意向を明らかにした。こうした決議は、「原爆投下から70年にふさわしく、NPT運用検討会議を基礎として、今後5年に関する国際社会のガイドラインとして機能しうるもの」だと語った。

次回のNPT運用検討会議は2020年の開催が予定されている。

平和首長会議は、2020年までに「核兵器がない世界」を達成するという「2020ビジョンキャンペーン」をその取り組みの中核に据えている。

このキャンペーンは、2003年10月に英国マンチェスターで開かれた平和首長会議の幹事会において暫定的に開始された。そして同年11月の「第2回核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」において、「核兵器禁止緊急キャンペーン」として立ち上げられている。

2005年8月、全体会議において「2020ビジョンキャンペーン」としてこれを継続することが決められた。

岸田外相は、会議へのメッセージで「被爆の実相は世界で十分に理解されているとは言いがたい」と述べて、広島・長崎両都市の住民らの見解を代弁するとともに、「核兵器なき世界を達成するために、世界の政治指導者や若者などが広島・長崎を訪問し、被爆の実相を目で確かめてみることがきわめて重要です。これを通じて、核兵器なき世界という希望を共有することができるものと信じます。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan
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【広島IPS=浅霧勝浩、ラメシュ・ジャウラ

国際社会が、来年の包括的核実験禁止条約(CTBT)署名開放20周年に向けて取り組みを強めるなか、CTBTの早期発効を実現するため2年前に発足した「賢人グループ」(GEM: Group of Eminent Persons)が初めて日本で有識者会合を開催し、同条約発効のために批准が必要な8か国に対して緊急に批准することを強く求めるなどとした「広島宣言」を発表した。

8月25日・26日の2日間に亘って「賢人グループ会合」の開催地となった広島市は、日本の本州に位置する近代都市であるが、第二次世界大戦末期には長崎市と並んで投下された原子爆弾により街の大半が壊滅し、無辜の老若男女が非人道的な被害を被った世界で唯一の被爆都市である。そして、その凄惨な被爆の実態については(核攻撃を生き延びた)被爆者の方々によって今日まで語り継がれている。

「被爆地ヒロシマほど、CTBTの発効を実現する緊急性が明白であり、『賢人グループ』ほど、この目標の実現につながる経験と専門知識を備えた人々はいません。」と、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)ラッシーナ・ゼルボ事務局長は、会合の参加者に語り掛けた。

Lassina Zerbo/ CTBTO
Lassina Zerbo/ CTBTO

ゼルボ事務局長のイニシアティブにより2013年9月にニューヨークの国連本部で発足した「賢人グループ」は、各国の元政府高官や国際的に認められた核軍縮・不拡散の専門家ら21人で構成され、あらゆる核実験の全面禁止を目指し、CTBTの発効を促進する取り組みを支持・補完するとともに、この目標が達成されるよう国際社会における取り組みを再活性化することを目的としている。

原爆投下から70周年となる「賢人グループ会合(第4回広島会合)」は、日本政府と広島市の後援を得て実現したが、ゼルボ事務局長は会合に先立つ8月6日、広島の平和記念式典に出席するため来日していた。

ゼルボ事務局長はまた、「賢人グループ会合」開催前日の8月23日にも、ペリー元国防長官、湯崎英彦広島県知事と核軍縮をテーマとしたパネルディスカッションに参加し、多くの学生をはじめ会場を埋めた約100人の聴衆との意見交換にも臨んだ。

ゼルボ事務局長は、開会の挨拶で、世界の指導者に対して、イランと主要国(E3+3:中国、フランス、ドイツ、ロシア、英国、米国)間の最近の核合意によって生まれた機運を生かし、核不拡散と核軍縮を巡る協議においてもCTBT発効に向けて希望を持ち積極性に取り組むよう強く訴えた。

イラン核合意が私たちに示唆しているのは、軍備管理と国際安全保障に関して「多国間外交は可能だというだけではなく、21世紀の複雑で重層的な難題に対処していくうえで最も効果的な方法ということです。またいかなる安全保障合意や軍縮協定についても、その価値を判断する基準は検証体制に対する信頼度にあります。イラン核合意の場合と同じく、CTBTの有用性もその検証と実施体制に対する信頼度にかかっています。この点については条約発効前の現段階でも検証体制に十分な信頼が確保されています。」とゼルボ氏は語った。

同じく開会の挨拶に登壇したペリー氏は、CTBTへの批准は安全保障政策として、国際レベルのみならず、国内レベルにおいても米国の国益にかなうものだという信念を表明した。ペリー氏はまた、現在の政治情勢はCTBT発効の見通しに暗い影を落としているという認識を示すとともに、同条約が発効するまでの間、核爆発を伴う実験をしない「モラトリアム」を維持していくことの重要性について改めて表明した。

GEM meeting in HIROSHIMA/ CTBTO

今回の賢人会議にはメンバーからは、阿部信泰氏元軍縮問題担当国連事務次長(日本)、デス・ブラウン元国防大臣(英国)、ジャヤンタ・ダナパラ元軍縮問題担当国連事務次長(スリランカ)、セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮担当上級代表(ブラジル)、ミシェル・デュクロ元外務省軍縮局長(フランス)、ウォルフガング・ホフマンCTBTO準備委員会事務局元事務局長(ドイツ)、リー・ホジン国連協会副会長(韓国)、ウィリアム・ペリー元国防長官(米国)ら10人が参加した。

さらに、イシュトヴァーン・ミコラ国務大臣(ハンガリー)、ユスロン・イーザ・マヘンドラ駐日大使(インドネシア)、北野充外務省軍縮不拡散・科学部長(日本)、イェルザン・アシクバエフ外務次官(カザフスタン)が、職権上の会員として参加した。

「賢人グループ会合」は、第一回ニューヨーク会合(2013年9月)、第二回ストックホルム会合(2014年4月)及び第3回ソウル会合(2015年6月)において合意された行動計画の進捗状況を確認するとともに、来るCTBT署名開放20周年を念頭に現下の国際的な環境を検討した。そして、核兵器の完全な廃絶を目標として、核兵器の拡散及び更なる開発の防止を支援するために国際社会を結束させる緊急性があることで一致した。

参加者はまた、日本とカザフスタンが共同議長国を務める予定の第9回CTBT発効促進会議(9月末にニューヨークで開催)に向けて、関連する諸問題について協議するとともに、CTBTの発効を促進するためにとりえる実践的な方策について議論した。

CTBTには、これまでに183か国が署名を終え、そのうち核保有国であるフランス、ロシア、英国を含む163か国が批准も済ませている。しかしCTBTが発効するには、核技術を有する(条約の附属書2に掲げられている、ジュネーヴ軍縮会議の構成国であって、IAEA「世界の動力用原子炉」の表に掲げられている)44か国すべてが署名並びに批准を終えなければならないこととなっている。そのうち、中国・エジプト・イラン・イスラエル・米国の5か国は署名しているが未批准、インド・パキスタン・北朝鮮の3か国は署名すらしていない。

CTBTO
CTBTO

「賢人グループ」は、広島宣言を採択し、グローバルな核兵器の廃絶を達成すること、とりわけ、「核軍縮・不拡散のために最も不可欠かつ実践的な手段の1つである」CTBTの発効に対する彼らのコミットメントを再確認した。さらに、それぞれの批准プロセスを円滑化することを目的に,附属書2の残る8カ国の指導者に働きかける多国間アプローチを要請した。

「賢人グループ」はまた、「政治指導者,各国政府,市民社会及び国際的な科学者団体に対して,核軍縮・不拡散の観点及び核兵器の使用が人類に及ぼす壊滅的な影響を防止する観点から、 CTBTが必要不可欠な役割を有していることについて,認識を高めることを呼びかけた。」(原文へ)(スペイン語版

翻訳=IPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service(IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

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アフマド・アルヘンダウィ国連事務総長青少年問題特使インタビュー

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

INPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、来日中のラメシュ・ジャウラ編集長と共に、広島・長崎の街を壊滅させた原爆投下から70年を記念して広島で3日間にわたり開催された「核兵器廃絶のための世界青年サミット」を取材した際に、国連事務総長の青少年問題特使であるアフマド・アルヘンダウィ氏とのインタビューを行った。

青年サミットには、地方・地域・国際の各レベルで核軍縮やその他の関連分野に積極的に関わっている世界20か国以上(オーストリア、カナダ、コスタリカ、ドイツ、インド、イタリア、日本、ケニア、ラトビア、モンゴル、オランダ、パキスタン、フィリピン、ルーマニア、タイ、チュニジア、イギリス、アメリカ)から30人の主要な青年活動家が集まった。

サミットでは、核時代平和財団のリック・ウェイマン氏と創価学会インタナショナル(SGI)のアナ・イケダ氏が共同議長を務め、国連事務総長の青少年問題特使であるアフマド・アルヘンダウィ特使に成果文書である「誓い」が手渡された。

Credit: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

翻訳=INPS Japan

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国連内部監査、ジェンダーの不均衡など体質改善を勧告

【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

国連政治局は、世界中の武力紛争を予防し解決する国連の取組みにおいて中心的な役割を果たしている。しかし、安全保障理事会が次期国連事務総長の12人の候補に関する非公開の「調査投票」の第1ラウンドを7月21日に開始するなか、政治局は安保理の視野には入ってこないようだ。

5つの常任理事国(米国・ロシア・中国・英国・フランス)によって受け入れられ、後に国連総会によって選出される候補者は、今年12月31日に2期目の任期(1期5年)を終える潘基文氏の後継者となるが、いずれにせよ、国連政治局(DPA)に対する評価に注意を払わねばならない。

というのも、5月31日に公表された国連内部監査部(OIOS)による政治局に対する最新評価には、政治局の成果を評価する言葉だけではなく、厳しい批判も並べられていたからである。

内部監査部は、2006~08年の評価以来、政治局はデスクワーク中心の部局から、より現場中心の活動へと進化し、現場での紛争予防・解決(CPR)支援に活動の軸足を移した、と肯定的に評価した。

CPRは主に、2008年以来数が増えている特別政治ミッション(SPMs:軍事要員や文民警察を中心とする国連平和維持活動とは別に、文民要員を中心に現地の情勢に応じてアドホックに設置して活動している国連ミッション)と、ミッションベースではない「国連カントリーチーム」を通じて実行されている。

国連政治局は、本局から、現場における支援活動がスムーズに進展する環境を整えるために、加盟国やその他の国連機関、関連団体と連携を取りながら、現地で活動に従事している様々な組織を支援している。また現場レベルでは、CPR任務を達成する現場の能力を強化することを目的として、一般的支援(例:政策指導、行政指導)から特別専門指導(例:選挙支援、調停)にいたる多岐にわたる支援を行っている。

最新の評価では、2008~15年の現場レベルでのCPRに対する政治局の実質的支援に関して、その意義、効果、効率性を査定している。評価は幅広い質的かつ量的な情報分析に基づいて作成されたものである。

内部監査部の評価によれば、政治局は、評価期間において、最重要紛争地のほぼ全てに支援を実施していた。また、地域事務所の設置や、国連ミッション不在地への「平和・開発アドバイザー」の派遣を通じて、そのグローバルな展開力を増強してきた。

「しかし、最重要紛争地以外の地域については、政治局のプレゼンスはあまり広範囲に及んでいなかった。」と内部監査部は指摘した。たしかに、すべての紛争地のニーズを満たすには財源上の制約があることは内部監査部も認めている。しかし同時に、「戦略計画書を見ても、支援が求められる他の状況に対して政治局がその限られた財源をいかに重点配分するかについて、明確で、具体的なデータに基づく考察は認められなかった。」とも述べている。

政治局の職員、彼らが支援する現場の諸団体、さらに内部監査部による直接観察が、共通して強調しているのは、政治局が従来のデスクワーク中心の分析作業から(現場中心の活動へと)軸足を移したことによって、とりわけ、平和への脅威が潜む状況を予測し行動するための早期警戒分析能力が弱まったという点である。

しかし内部監査部は、こうした欠落があるものの、政治局による支援は効果的であり、現場の活動に対して積極的な貢献を成したと評価した。また、様々な現場の機関の職員らが、そうした実例を指摘している。

ジェンダーや人権問題に対する政治局の感度は増したものの、「本局と現場のリーダーシップの両方においてジェンダーの不均衡がみられ、現場ではジェンダー・人権いずれに対する配慮に関しても優先順位が低い」と内部監査部は批判している。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

同時に、政治局が対応しなければならない現場活動の数がますます増える中、その人的・財政的資源はその要請に追いついていない。

「より広範な国連の内部手続きが、その効率性を阻害している。加えて、政治局は、成果に対する全体的な任務のアカウンタビリティや、任務が国連の原則に合致しているかどうか、最終的な出口戦略をモニターするには、弱い立場に置かれている。政治局は、成果に関する知識を利用しようという態度に欠けるためアカウンタビリティを向上させることに失敗し、成功と欠点から学ぶことができなくなっている」と内部監査部の評価は指摘している。

内部監査局は4つの重要な勧告を行い、政治局はそのすべてを受け入れた。つまりその内容とは、①現場レベルのアカウンタビリティ強化における政治局の役割の組織化を、事務総長室と協議しながら行うこと。②早期警戒・早期行動のための全体的な文脈分析と評価の両面において、主要な分析上の欠落を埋めること、③本局と現場レベルの計画プロセスを強化すること、④中核的な機能の欠落に適切に財源を割り当てるための措置を実行することが求められた。

政治局は、ニーヨークの国連本部で勤務する250人以上の専門・管理部門の職員に加え、アフリカ・アジア・欧州・中東で、その権限下にある政治・平和構築任務活動に従事する、国別・国際スタッフを1700人以上雇用している。

政治局は、加盟国と緊密に協力し、紛争予防と解決において必要に応じて支援と助言を与えるための国連地域事務所を設置している。(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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国連が、主に若い世代の才能を活かして、不寛容や過激主義、人種差別、外国人排斥の拡大に対抗する世界的キャンペーンを展開する計画をたてている。

国連の潘基文事務総長は、教育がカギを握ると指摘する。「教育の力を理解したければ、過激主義者らがいかにして教育を叩き潰そうとしているかを見れば分かります。」「過激主義者らが10代の活動家マララ・ユサフザイさんとその友人らを殺害しようとしたのは、まさに彼女たちが学校で教育を受けることを望んだからです。」と語った。

暴力的な過激主義者がナイジェリアのチブックで200人以上の女子生徒を誘拐し、数多くの学生がケニアのガリッサやパキスタンのペシャワールで学校にいたところを襲撃され殺害された。

「過激派が最も恐れているのは、教科書を手に教育を受けようとする女児や若者の存在なのです。」と潘事務総長は語った。潘事務総長は、宗教間対話を促進する宗教指導者による諮問機関を創設するとともに、「包括的な『暴力的過激主義を予防する行動計画』」をまもなく発表する予定である。

提案されているこの計画は、9月第3週に始まる第70回国連総会に提出されるとみられている。

不寛容と過激主義に対抗する世界的なキャンペーンの一環として、国連広報局は、世界中の若者による10件のプロジェクトを最近選出した。「多様性コンテスト」と題されたこの企画では、様々な差別や偏見、過激主義の問題に対処する創造的なアプローチが選ばれた。

Lara-Zuzan Golesorkhi

31か国、100件以上のエントリーから選ばれたこのプロジェクトには例えば、同性愛者排斥への対抗(インド・メキシコ)、民族紛争軽減のための水紛争の解決(ブルンジ)、宗教間調和の促進(パキスタン)、移住人口の受け入れ促進(南アフリカ)、イスラム教徒(ムスリム)女性の雇用機会の増進(ドイツ)を目的とした取組み等がある。

今回の受賞プロジェクトの応募者であり、ニュースクール(ニューヨーク)の大学院生でインストラクターでもあるララ=ズザン・ゴレソルキ氏は、IPSの取材に対して、「(このプロジェクトは)今日ドイツで最も論じられている政治課題の一つであるムスリム移民の統合の問題に取り組むものです。」と語った。

「こうした論議の背景には、1998年に起こったいわゆる『ルディン事件』に端を発する『スカーフ論争』があります。」とゴレソルキ氏は指摘した。

論争の発端はこの年、(アフガニスタン移民の娘である)フェルシュタ・ルディン氏が、教壇に立つ時もスカーフを外すことを拒んだため、バーデン・ヴュルテンベルク州のシュトゥットガルト上級教育庁が「ドイツ基本法に則ってルディン氏は教師に不適格で能力に欠ける」として、州の公立校への採用を拒否したことにあった。

ルディン氏はこの決定を憲法が保障する信教の自由を侵害するものとしてその後長らく裁判で争った。一方、公立学校の教員に対してスカーフを取って仕事をするよう求める州が相次いだ。

「結局、8州がスカーフ禁止措置を採用しましたが、本質的にみて差別的なこの政策を見直すよう求める憲法裁判所の判決が出されたため、最近ではスカーフ禁止措置に対して疑問が付されるようになってきています。」とゴレソルキ氏は語った。

国連広報局によると、ゴレソルキ氏はドイツに戻り、ムスリム女性に対する差別に対抗する取り組みを進めるという。

ゴレソルキ氏は、企業に対して象徴的な意味でムスリム女性を雇用するという誓約を求めていくとともに、ムスリム女性が安心して職場に応募できるよう誓約に応じた企業のリストを作成する予定である。

プロジェクトではそうすることで、ドイツにおけるムスリム女性に対する差別を軽減し、雇用を増進させることを目指している。

『ニューヨーク・タイムズ』がドイツの「宗教研究メディア・情報サービス」の情報を引用して先月報じたところによると、ムスリムの人口は、人口8100万人のドイツにおいて、キリスト教徒の4900万人に対して、人口の約5%を占めるという。

同記事は、ハンブルグ・ホルン地区の労働者集住地域に長らく放置されていた教会をモスクに改修することを巡って論争が強まっている現状を報じたものだ。

ハンブルグにある「イスラムセンター『アルノア』のダニエル・アブディン代表はニューヨーク・タイムズの取材に対して、「教会は10年間も放置され、だれも気にしていませんでした。しかし、ムスリムがそれを購入する段になって、急に話題の種となったのです。」と語った。

ゴレソルキ氏は、IPSの取材に対して「私が立ち上げたNPO「共に、それとも、なしで」(With or Without: WoW)は、最も抽象的な形態において、ドイツという国の2つの重要な側面である移民と宗教の交わる領域における問題に取り組むことを目的としています。」と語った。

ドイツの法律や多様な社会的構成、そして、反イスラム感情の拡大(イスラム恐怖症)、(とりわけ9・11以降の)ムスリムに対して差別的な法律の制定に関して、移民と宗教はドイツの国民形成プロセスにおいて重要な役割を果たしてきた。

ゴレソルキ氏によれば、ドイツにおけるムスリム人口は、1990年の250万人から2010年には410万人へ増え、2030年には550万人にまで増える見通しだという。

ドイツにおけるムスリム移民の3大出身地は、トルコ、旧ユーゴスラビア、モロッコである。

ムスリムの存在が相当程度に、かつ継続的に大きくなってきていることで、国家や社会において様々な反応が顕在化してきている。

2008年の調査でインタビューされた人々の大部分(72%)が、「マイノリティ集団の人々がこの国の文化的生活を豊かにする」と答えているものの、同じ年のデータが示すところでは、ムスリムがもっとも望ましくない隣人であるという答えが出ている。

さらに、ドイツにおける調査回答者の23%がイスラムをテロと結び付けて考えている。また、16%が、ムスリムが頭に被るスカーフである「ヒジャブ」はヨーロッパ文化への脅威だと考えていた。

ベルテルスマン財団」が2014年末に行った反イスラム感情に関する最新調査によると、非ムスリム回答者の57%がイスラム教を「きわめて脅威的」だと答えている。また、24%がドイツへのムスリム移民の禁止に賛成し、過半数の61%がイスラム教は「西側」社会にそぐわないと考えていた。

近年の反ムスリム感情の文脈においてとりわけ注意すべきなのは、欧州の「イスラム化」なるものを拒絶し、移民政策の刷新を求めるPEGIDA(西側のイスラム化に反対する欧州愛国者)の台頭であろう。

前出のゴレソルキ氏のプロジェクトは例えば、ムスリム女性がドイツ労働市場で働く準備をする「ジョブ・レディ」(Job Ready)セミナーやワークショップ、象徴的にムスリム女性を雇用するよう使用者に促していくオンライン、オフライン双方(ツイッターと写真)の「私は誓うキャンペーン」、ドイツの雇用部門におけるムスリム女性の困難についての意識を喚起するオンライン、オフライン双方(ツイッターと写真)のキャンペーンなどがある。

誓約したことで雇用が保証されるわけではないが、ムスリム女性の雇用に前向きな企業のデータベースをWoWが作成することが可能になる。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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