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「世界と議会」2006年10月号

特集:日本政治のゆくえ

「日本政治のゆくえ ―ポスト小泉政権の課題」
福岡政行(白鴎大学法学部教授)

「一党支配の日本政治」
サム・ジェームソン(元ロサンゼルスタイムス東京支局長)

「政経雑感」
塩川正十郎(前財務大臣) 

■IPS特約
米国の右派メディア、「ファシズム」を多用

■特別リポート
遅すぎて低い救済 ―ドミニカ移民五十周年祭と、移住地域全域をまわって
栗原達男(フォトジャーナリスト・日本写真家協会会員)

世界と議会
1961年創刊の「世界と議会では、国の内外を問わず、政治、経済、社会、教育などの問題を取り上げ、特に議会政治の在り方や、
日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
最新号およびバックナンバーのお求めについては財団事務局までお問い合わせください。

ネパールに逃げ込むチベットの人々

【カトマンズIPS=マーティ・ローガン】
 
国連によると、中国の国境警備隊に発砲されながらも43人のチベット人がネパールに逃げ込み、首都カトマンズに向かった。ネパールと中国の国境のエベレスト山から20km西にあるチョー・オユー山近くで、多数の登山者がこの事件を目撃した。

中国は1950年にチベットを侵略し、中国の領土として言語や宗教教育を含む地域文化を抑圧した。その結果、毎年平均2,500人のチベット人が、亡命したダライ・ラマの率いるチベット政府があるインドのダラムサラへと、ネパール国境越えを試みている。

 チョー・オユー山を登ろうとしていた英国人登山ガイドが「チベット国際キャンペーン」に語ったところによると、9月30日、60人の登山者がいたベースキャンプでその事件は起きた。中国兵が70人以上の無防備なチベット人を狙って銃撃し、1人の尼僧が銃弾を受けて死亡したようだったが、誰も助けられなかった。

カトマンズの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)には、2人の死亡を報告されている。「現在調査中であり、事実であれば中国当局に抗議する」という。UNHCRは難民の保護に向かっていると語ったが、途中で拘束されてしまう可能性もあるという。

ネパールにはおよそ2万人のチベット難民が住んでいるが、ネパール政府は国際難民条約に調印していないため、法的身分がない。1989年に政府とUNHCRはいわゆる紳士協定を結び、チベットからの難民に第3国への中継地としての通過は認めることになった。

2年前の調査では、チベットからの難民は徒歩かバスで平均34日かかってネパールにたどり着いていた。飢えに苦しみ、物乞いをすることもある。ネパールの国境警備隊に虐待を受けたものもいる。中国人に捕まると、さらにひどい処遇を受けた。

調査員の1人は、「チベットの人々の人権と健康の状況は悲惨であり、UNHCRは中国政府に圧力をかけて難民を尊重し、拷問や恣意的拘束を防ぐ法律を守るよう求めるべきである」という。ネパールに逃げ込んだチベット人が中国兵から銃撃を受けた事件について報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan

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汚い水で毎日4,000人の子供が死亡

【国連INPS=タリフ・ディーン

この統計は非常に驚きだ。世界の人口60億人超のうち10億人以上が、人間生活の必需である清潔な飲み水を入手できない。そして、約26億人が、質のよい衛生設備を利用できない。

国連児童基金(ユニセフ)によると、水の汚染、基礎的衛生の欠如により、毎年150万人以上の子供が命を落としている。その大部分が、水の中で発生する病気によるものである。

ユニセフの事務局長アン・ベネマン氏は言う。「すばらしい進歩があるにもかかわらず、推定4億2500万人の18才以下の子供たちが清潔な飲み水を入手できず、9億8000万人以上の子供が適切な衛生設備を利用できない」。

ベネマン氏はまた、影響を受けているのは、亡くなった子供たちだけではないという。「さらに数百万の人々にとっての発育が妨げられ、下痢あるいは水関連の病気により健康が害されている」。

 ユニセフは、『子供のための進歩――水と衛生に関する報告書』と題された9月28日発表の33ページのレポートで、これらの「悲劇的な統計」は、8つの「ミレニアム開発目標」(MDGs)のうちの一つである、安全な飲み水と基礎的な衛生を継続的に利用できない人々の割合を2015年までに半減させるという目標に、世界が取り組む必要性を指し示している、と述べる。

MDGsに含まれるその他の目標は以下のようなものである。極端な貧困と飢餓の50%減少。普遍的初等教育。ジェンダー平等の推進。子供死亡率の3分の2削減。HIV/AIDS、マラリアなどの感染症の拡散防止。環境の持続性向上。2000年9月に集まった189ヶ国の首脳がこれらの目標すべてを2015年までに達成することで合意した。
 
総体として、水と衛生に関するMDG達成に向けた世界の進展状況を統計的に見てみると「複雑な結果が出てくる」とユニセフは警告する。

ベネマン氏はこう言う。「現況に満足することはできません。また、ミレニアム目標が提供した、もっとも弱い立場の子供たちの命を救う機会を逃すことはできません」。

国際社会は、国連の設定した目標を達成する十分な資源と決意を欠いているとベネマン氏は述べる。「5才の誕生日を迎えずに亡くなる子供が毎年150万人以上もいるという事実ほど、もっと強く努力しようと私たちに思わせてくれる理由はありません」。

ユニセフと世界保健機構(WHO)の推定によれば、途上国の人々が低コストで基礎的な飲み水・衛生サービスを2015年までに受けるには、少なくとも毎年113億ドルは必要であるという。また、全資源の80%以上は、アジアおよびアフリカで必要とされるだろうという。

ユニセフは詳細な内訳を示している。それによれば、下痢が原因の死亡の88%が、危険な飲み水、衛生的な環境を保つための水の欠如、衛生設備の欠如によって引き起こされている。すなわち、下痢で毎年亡くなる5才以下の子供190万人のうち、150万人以上がこの原因で亡くなるのである。

これは、5才以下の子供の死亡原因の18%にもなり、下痢が原因で毎日4,000人以上の子供が亡くなっているということにもなる。

ユニセフは、明るい面として、東アジア/太平洋、中東/北アフリカ、南アジア、ラテンアメリカ/カリブ海地域の4つの発展途上地域で、清潔な水に関してMDG達成の過程にあるという事実を指摘した。

しかし、サハラ以南アフリカ、中・東欧、CIS諸国における現在の進展状況をみると、これらの地域は遅れているという。
 
 「南アジアとラテンアメリカ/カリブ海地域においては目を見張る進歩があり、飲み水に関する目標が10年早く達成できる瀬戸際にある」とユニセフは述べる。

1990年から2004年の間に、水と衛生設備を利用できない人々の数が、南アジアでは3億2600万人から2億2200万人に、ラテンアメリカ/カリブ海地域では7,400万人から5,000万人にまで減少した。

しかし、バングラデシュ・インド・ネパール・パキスタンでは、危険なレベルの砒素が発見されている。「バングラデシュで問題はもっとも深刻だ。この数十年の間に掘られた井戸の30%以上が、全国基準以上の砒素に汚染されていることがわかった」とユニセフのレポートは書いている。

ユニセフのレポートは、全世界の人口の11%を占めるサハラ以南のアフリカを特に取り上げている。ここでは、人口の約3分の1が、清潔な飲み水を入手することができない。

他方、東アジア/太平洋、中東/北アフリカ、ラテンアメリカ/カリブ海地域の3つの地域では、基礎的衛生に関するMDG達成の途上にある。

しかし、南アジアにおける進歩がもっとも目覚ましい。衛生設備の利用率は、1990年の17%から2004年の37%へと、2倍以上になった。東アジア/太平洋地域では、30%から51%になった。

ユニセフによれば、これらの改善は、インドと中国という世界で最も人口の多い2つの国における進歩によるところが大きいという。しかし、衛生環境の悪さは、いまだにアジア最大の保健問題の一つである。

しかし、ユニセフのレポートは、世界の工業先進国の保健状況はよいと述べている。これらの国々では、水と衛生に関してはほぼ普遍的に利用することができる。

しかし、かつて共産主義国家だった東ヨーロッパ諸国では、水・衛生インフラの整備・改善の必要性がいまだに高い。「また、すべての工業先進国では、老朽化しつつあるインフラ更新という非常に大きな課題に直面している。多くの場合において、これらの改修が長らく待たれているところである」。(原文へ

翻訳=INPS Japan浅霧勝浩

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パキスタン国内でタリバン勢力復活

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【ペシャワールIPS=アシュフク・ユスフザイ】

パキスタンのムシャラフ大統領が、9月に入り、タリバン系の勢力とアフガン国境沿いの北ワジリスタン地区で包括和平協定を結んだ。この協定により、タリバンは米軍を初めとした連合軍をアフガンから越境攻撃することを止めるとされている。また、パキスタン側と武装勢力側は、没収した互いの武器を返還し、パキスタン側は拘束しているタリバン系の人々を釈放する。

パキスタン軍は、2004年よりタリバンやアルカイダに対する攻勢を強めていたが、ワジリスタンにはパシュトゥン系の人々が多く、タリバンへの支持は根強かった。パキスタン軍は推定500名の死者を出しながらも、結局タリバンを抑えることができなかった。それが今回の和平協定の背景である。

 9月25日には、タリバンが北ワジリスタンの州都ミラムシャーに事務所を開設し、「犯罪と犯罪者に対処するため」に協力を地元民に呼びかける文書を配って回った。

また、9月28日は、ミラン・カーンという名のアフガン人が、米軍のスパイを行っていたとの容疑でタリバンに路上で射殺されている。

評論家のアフラシアブ・ハタック氏は、スパイ容疑者の射殺などが続いていることから、和平協定は早くも崩れ始めているのではないか、とコメントした。

今回の和平協定は、アフガンの宗教指導者で現在はパキスタンに亡命しているムラー・オマール氏によっても是認されていると伝えられている。オマール氏は、オサマ・ビン・ラディンを支援しているとして米軍がマークしている人物だ。しかし、パキスタン当局は、オマール氏はタリバンとの和平協定には関係がないと釈明している。

パキスタンとタリバンの和平協定の問題について伝える。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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|米国‐メキシコ|移民改革の期待をくじくフェンス

【メキシコシティIPS=ディエゴ・セバージョス】
 
激しい外交抗議や社会的流動の歴史にもかかわらず、米国議会は移民削減を目的としてメキシコとの国境に1,226kmのフェンス建設を決定した。メキシコ政府は即座に両国の関係を損なうものとして抗議し、他の中南米諸国や米国内のラテン系アメリカ人社会も同様の反応を示すものと思われている。

ジョージ・W・ブッシュ大統領はこの法案を成立させる意向を以前から表明していた。アラバマ州選出のジェフ・セッションズ共和党上院議員は、「フェンスは効果が期待できる」という。この方策は将来的に大局的移民改革によって補完されると共和党議員は話す。

メキシコ国立自治大学の国際政治を専門とするセルジオ・ペラエズ教授は、「米国は複雑な移民問題を安全保障問題としか見ていない」とし、2007年に完成予定のフェンスは「選挙を見据えた手段であり、不法移民をなくすことはできないだろう」とIPSの取材に応じて語った。米国議会は30日から休会。議員は11月の議会選挙に備えることになる。

新たなフェンスは米国とメキシコ間の3,200kmの国境に沿って既存の112kmのフェンスに増築される。フェンスは二重で、カメラ、探知機、無人機が設置され、国境警備隊も13,300人から14,800人に増員される。

フェンスの強化により、大局的移民改革が据え置きとなった。その移民改革では現在米国に住んでいる1,100万人の不法移住者の合法化が期待されていた。反移民政策の強化は、多くが中南米からの米国移民を苦境に陥れる。中南米カリブ諸国からの移民の送金は2005年には総額で536億ドルにのぼり、母国の家族を養っている。

米国への不法移民は毎年50万人に及ぶが、150万人が逮捕されて送還されている。新たなフェンスと警備強化により、移民が国境を越える場所が限られ、さらに困難な越境で犠牲者が増えるものと思われる。昨年の犠牲者は472人だった。

現在米国には4,000万人の中南米出身者あるいはその子孫が住んでいる。中南米諸国は米国に外国人労働者の受け入れと不法移民の合法化を求めるために定期協議を開いている。フェンス建設反対の声が高まる中で可決された米国の不法移民を防止する法案について報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan

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ディエゴ・セバージョスの記事

ソマリアから脱出するジャーナリスト

【ナイロビIPS=ジョイス・ムラマ】

 マーティン・アドラー(2006年)、ケイト・ペイトン(2005年)、ドゥニヤ・ムヒャディン・ヌール(2005年)、アブドゥラヒ・マドキール(2003年)、アフメド・カフィ・アワレ(2000年)、マルセロ・パルミサーノ(1995年)、ミラン・クロヴァチン(1994年)、イラリア・アルピ(1994年)、ピエール・アンソー(1994年)、ジャン-クロード・ジュメル(1993年)、ハンシ・クラウス(1993年)、ホセア・マイナ(1993年)、ダン・エルドン(1993年)、アンソニー・マカリア(1993年)。

 これら14人の名前は、1991年にソマリアの独裁者ムハマド・シアド・バレが失脚して以来殺害されたジャーナリストのものである。そして、ソマリアが大規模紛争再開の瀬戸際に立っている今、このリストはさらに長くなる可能性がある。暫定政権と、「イスラム法廷連合」(UIC)の下に集まっているイスラム系武装集団との間の協議は失敗に終わっている。

 記者にとっては危険な国内情勢が続いているため、「テロとの闘い」において果たす役割に関して、そしてその他の東アフリカ諸国を不安定化する可能性の点に関してメディアの主要な関心の的になってよいはずの場所で起こっている出来事が報道されなくなってしまう。

 英紙『ガーディアン』のザン・ライス記者に対して、ソマリアにすぐ戻る気はあるかと尋ねたところ、「まさか、まさか、まさか、今はありません。何年か後だったらわかりませんが、今日明日の話ではありませんよ」との答えが返ってきた。

 ライス氏は、スウェーデンのフリー記者、マーティン・アドラー氏の殺害を目撃している。彼は、2006年6月23日、ソマリアの首都モガディシュで法廷連合のデモを取材中、何者かに撃たれた。

 ライス氏は語る。「現地で動くことはきわめて危険です。一般人と接触する際には常に危険が伴います。本当に危険なんです。誰からも殺される可能性があります。誰がそうするかもわからないし、どこから弾が飛んでくるかもわかりません」。

 しかし、ソマリアから脱出する恩恵に浴することのできない地元記者にとっては、事態はさらに悪い。

 モガディシュのある記者は、IPSに対してこう語った。「ソマリアのジャーナリストの権利は常に侵害されています。毎年、ジャーナリストは逮捕され、収監され、拷問され、ひどいときは殺害されるのです」。結果として、「紛争のせいで、あえて重要な報道をしようという有名なジャーナリストはほとんどいなくなっています。(そして)彼らの報道に不満を持つ人たちの怒りを買うことになるのです」。

 このモガディシュの記者によれば、地元の記者は、たとえ国際紙のために働いていたとしてもターゲットにされることがあるという。そのため彼らは記事に自分の名前を載せることを避け、特別記事のための情報集めをしながらも、自分の素性を明らかにしようとはしない。

 「ソマリアジャーナリスト全国連合」(NUSOJ)も、『報道の自由報告2005』において、同じような事態を描いている。それによれば、「非常に幅広い印刷メディア、電子メディアの双方が存在しているが…ソマリアのメディアのすべてが、存続のために非常に苦労している」。「ソマリアジャーナリスト全国連合は、今年になってようやく、殺害された記者、収監されたジャーナリスト、業務停止命令を受けたメディア組織、検閲を受けたメディアの施設、ジャーナリストに対する継続的な脅迫に関する15のケースについて監視・調査・報道を行った」。

 NUSOJは、ソマリアには、2005年の報告の時点で、17のラジオ局、60の新聞に加え、ソマリアに関するニュースを提供する200以上のウェブサイトがあるとしていた。それらのサイトは主に海外で運営されている。

 人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によれば、多くのケースにおいて、ジャーナリストの殺害や人権侵害に関与した者は刑罰を免れている。しかし、一部、犯人が責任を問われたケースもあるという。

 アムネスティは、7月中旬に行われたNUSOJの第1回総会に寄せたメッセージで、情報を収集しメディアの自由の侵害を報告する仕組みを立ち上げることを勧告した。

 「このプロセスは、報道の自由を求める国際的な組織からも支援を受けており、いくつかのケースにおいて間違いなく成功を収めている。多くの事例において、当局は異議申し立てに耳を貸しそれに関して議論を拒まないようになった。また、報告された人権侵害は調査され、聞くところによれば、事態の改善を目指す措置も取られた」とアムネスティは述べている。

 にもかかわらず、7月22日にアブドゥラヒ・ユスフ大統領の暫定政権とイスラム系武装集団が初めて衝突し、ソマリアの報道の自由に関する懸念が高まってきた。

 これは、7月20日にユスフ政権支援のためバイドアにエチオピア軍が到着した直後の出来事である。暫定政権は勢力が弱体で、モガディシュに留まり続けることが困難であると判断し、ソマリア南中部のバイドアに陣取っている。

 エチオピアはまた、南西部のワージドにも兵を送り、現地の空港を支配下に収めたとされる。エチオピアとソマリアの関係は長い間波乱含みであった。両国は、1970年代、オガデン地方の支配をめぐって交戦した。エチオピア政府は、イスラム系武装集団が同地方の領有権を主張するのではないかと恐れている。

 今週末にはスーダンの首都ハルツームでソマリア政府と法廷連合の交渉が再開される予定だった。しかし、エチオピア軍が展開してきたために交渉再開はなくなった。イスラム系武装集団は現在、エチオピアに対するジハード(聖戦)を始めると脅しをかけている。

 交渉は、6月に、米国からの支援を受けていると広く考えられている軍閥からイスラム系武装集団がモガディシュを奪った後に始められていた。米国は、法廷連合がアルカイダとつながっている可能性があるとの懸念を示している。

 しかし、法廷連合側はこうしたつながりを否定し、単にソマリアの法と秩序の回復を願っているだけだと主張する。ソマリアは、バレ大統領が失脚して以来、対立する軍閥の指導者のなすがままにされてきた。政府は10年以上存在せず、ユスフ暫定政権も2004年になってようやくケニアで設立されたばかりである。

 法廷連合は、約5ヶ月にわたる戦闘の後にモガディシュを落としただけではなく、ソマリア南部のほとんどを制圧し、バイドアを伺う勢いであるという。

 国連によれば、過去数ヶ月で数百人が亡くなり、1万7,000人が家を追われたという。

翻訳=IPS Japan

「世界と議会」2006年8・9月号

特集:憲法改正と日本のゆくえ

■講演
『憲法改正のゆくえ―自民党新憲法草案について』
舛添要一(参議院議員)

■「咢堂塾21」特別シンポジウム
『今、憲法を問う-憲法改正と日本のゆくえ』
枝野幸男(民主党憲法調査会長)
葉梨康弘(自由民主党新憲法起草委員)
福島瑞穂(社会民主党党首)

世界と議会
1961年創刊の「世界と議会では、国の内外を問わず、政治、経済、社会、教育などの問題を取り上げ、特に議会政治の在り方や、
日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
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|アフガニスタン|タリバンの復権

【ロンドンIPS=サンジャイ・スリ】

「タリバンが再びアフガニスタン南部の支配権を握り、日ごとに勢力を拡大している」と、カブール、

ロンドン、パリ、ブリュッセルに事務所を持つ国際的なシンクタンク、サンリス協議会の報告書が伝えた。このアフガニスタン復興に関する報告書は、治安の悪化するヘルマンド、カンダハル、ヘラート、ナンガハルの各州にわたる広範囲の現地調査に基づいている。

報告書によると「飢餓や貧困といった人道的危機がアフガニスタン南部を襲い、タリバンが救いの手を差し伸べたために、人々はタリバン支持に回っている」。サンリス協議会のE.レイナート事務局長は、「麻薬撲滅運動が農民の生計の糧を奪い、それに乗じてタリバンが困窮した人々を支援している」とIPSの取材に応じて語った。


 
「米国主導の国家再建は、効果の上がらない政策と支援や開発計画の資金不足から失敗した」と報告書は指摘する。「その結果、再びテロの温床を創出してしまう可能性がある」
 
 アフガニスタンの国際部隊は国際的テロ集団を封じ込めるために5年もこの地に駐留してきた。だがレイナート事務局長は、「ネオ・タリバンは地元のアフガニスタン人であり、外国の要素は確認されていないために、今のところテロ集団と決め付けられない」という。

報告書は「国際社会からの援助不足でアフガニスタン政府も国連世界食糧計画もアフガニスタンの飢餓を解決できないでいる」とする。「米国主導の国際社会は援助資金を軍事作戦や治安維持に費やしている」

2001年の同時多発テロから5年が過ぎたが、アフガニスタンはいまだに最貧国のままでいる。この重大な事実を国際社会が見過ごしたために、人々はタリバンに目を向け始めた。粗末な難民キャンプには連合軍の作戦で家を破壊された人々も多い。

報告書は米国と国際社会はただちにアフガニスタンへの取り組みを見直すべきだとする。「タリバンの復活は人々の困窮が根本的な原因なのだから、緊急の貧困救済が最優先課題だ」とレイナート事務局長はいう。タリバンの復権が懸念されるアフガニスタン情勢について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=IPS Japan 
 
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|アルゼンチン|司法がコンドルを捕らえる

【ブエノスアイレスIPS=マルセラ・バレンテ】

アルゼンチン法廷において、ついにコンドル作戦の罪を問う口頭審理が始まろうとしている。コンドル作戦は1970年代から1980年代にアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、パラグアイ、ウルグアイの軍事政権が反体制派と左派勢力の一掃を目的に展開したもの。 

1976年にアルゼンチンでウルグアイの議員2人と市民4人、ボリビアのトーレス元大統領の死体が見つかった。ワシントンでチリのアウグスト・ピノチェト大統領に追われた元外相が暗殺され、ブラジルではウルグアイの反体制派と家族が拉致され軍事政権に引き渡された。

 アルゼンチンにおいて1985年に軍政時代に起こった人権侵害で有罪判決が出されたが、1989年と1990年に恩赦となった経緯がある 

IPSの取材に応じたアルベルト・ペドロンチーニ弁護士は、「コンドル作戦はInter-American Convention on Forced Disappearance of Persons(拉致に関する米州協定)に基づいて責任を問うことができる」として各国1人の原告を立て、多国籍弁護士団を結成。継続中の犯罪に恩赦は適用されないと主張。さらに、各国首長が結託して行った犯罪として共謀罪の罪も訴えた。 

アルゼンチン控訴審はこれらの主張を認め、アルゼンチンの司法がコンドル作戦の捜査に及ぶことを確認した。ビデラ元大統領、ビデラ政権の内相、陸軍司令官、トゥクマン州知事などの政府、軍要人が告訴、予防拘禁された。さらにチリのピノチェット元大統領をはじめチリ、パラグアイ、ウルグアイの軍事政府要人、秘密警察幹部などの国際手配、告訴などが実行された。 

裁判では目撃者の証言に加えて、「非常に重要な証拠」として幾つかの文書が提出される予定。その1つは、ブエノスアイレスの米国大使館に駐在のFBI捜査官が、アルゼンチンとチリを首謀国としてコンドル作戦の詳細を本国に報告した米国務省の機密文書。 

モンテネグロ裁判官の法廷にはこれらの証拠が提出されるが、軍弁護士から相当の抗議が予想される。ペドロンチーニ弁護士は人々の関心が薄れる前に、ぜひとも口頭尋問を行いたいとする。 

南米6ヶ国の軍事政権による犯罪、コンドル作戦の罪を問う活動について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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|チリ|今こそ過去の人権犯罪の真相究明に乗り出す時

|ドミニカ共和国|兵士が街路を占拠

【サント・ドミンゴIPS=ディオゲネス・ピナ】

ドミニカ共和国政府は7月24日、強力な犯罪取締りに乗り出し、およそ15,000人の警官と兵士が夜間、主要都市の街頭パトロールに当たった。この背景には、殺人事件を含む犯罪率の急増がある。公式統計によれば、殺人事件の件数は2001年の1,086件から2005年には2,382年に増加、その間の殺人事件総件数は9,300件にのぼっている。

政府は、日曜日から木曜日までは午前0時に、金曜日と土曜日は午前2時にアルコールの販売を停止する法令を発布。年間400万人近くもの観光客が訪れ、観光が主要収入源であるドミニカのスーパーマーケット、バー、レストランに大打撃を与えている。

全国ホテル・レストラン協会は、売上が25~40%落ち込んだとし、制限規定の緩和を政府に求める公開書簡を発表した。

 
政府は、パトロール要員を増強するため、従来は警察が担当していた公共機関の警備を陸海空軍部隊に任せ、さらには公人の警護も警察ではなく軍の職務とすることを発表した。

重装備の兵士が街頭を警備するこの防犯策は直ちに効果を見せた。最初の1カ月で逮捕者は10,303人にのぼり、取り調べにあった車両は29,525台、1,179台が適切な書類がないとの理由で押収された。

サント・ドミンゴ技術大学の社会学部長エルサ・ロペス氏は、IPSの取材に応え「戦争でもないのに、街には兵士が溢れている。住民は外出もできない」、まるで「非常事態」にあるようだと述べた。

フェルナンデス大統領は、取締りの効果を評価し、人命第一を理由に取締り強化の意向を強調しているが、専門家からはこうした「軍事化」は犯罪防止の解決策にはならないとの批判が上がっている。保健・教育・住宅サービスの不足と高い失業率が犯罪の要因と指摘する専門家らは、政府がこうした基本サービスへの予算を増大し、地域社会自体が自らの治安に関わることが有効と訴えている。

犯罪の取締りに警察と軍の連携を進めるドミニカ政府の施策について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan


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