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石油収入のほんの一部を最貧国援助にと国連が提案

【国連IPS=タリフ・ディーン

国連のA・チョードリー事務次長(LDCs担当)は、国連経済社会理事会の会合で、産油国に対し、今後10年間石油収入から1バレル当たり10セントを後発開発途上国(LDCs)のインフラ整備の援助に充当する案を正式に提案した。但しこれまでのところ確約は得られていない。

LDCsは、世界の最貧国として国連に分類されているアフリカ34カ国を含む50カ国である。

事務次長の事務所によれば、アルジェリア、カナダ、ベネズエラ、中国、ノルウェー、メキシコ、インドネシア、米国を含む世界産油国上位17カ国が1バレル当たり10セントをLDCs 向けに拠出すると、その額は1月当たり、石油総収入1億7,660万ドルに対し1,760万ドルに達するという。

これには前例があると、事務次長はIPSの取材に対し説明した。1980年代半ば、石油輸出国機構(OPEC)が「一次産品共通基金」(CFC)へのすべてのLDCsの拠出分を肩代わりする決定を下し、OPEC基金は現在もそれを継続している。

ネパールに本拠を置く「LDCウォッチ」のアルン・カルキ会長は、IPSの取材に対し、「開発支援の他の特定財源に影響を及ぼすことなく特別資金を調達できる」とし国連事務次長の提案を強く支持した。

ニューヨーク市立大学の客員教授で「トランスアフリカ・フォーラム」の前会長ビル・フレッチャー氏は、「1970年代の石油危機によって南側世界の非産油国の多くは大きな打撃を受け、その影響は長年続いた。従って今日、産油国に対し石油収入の一定の割合を南側世界の開発援助に充てるよう要請することは正しい」とIPSの取材に応えて述べた。

「拡大する格差を是正する試み」として評価する一方で「過去の経験から慎重さが必要」と警告したのは、オークランド研究所のアヌラダ・ミッタル氏である。1970年代に国連総会において世界の最富裕国22カ国に対し政 
府開発援助(ODA)を対GNP比0.7%とするよう要請があったが、その目標を達成したのはノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ルクセンブルクの6カ国だけであったと指摘した。

産油国に対しLDC支援を呼びかけた国連の提案を巡る議論を報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

汚い水取引で貧しい人々が犠牲に

【ストックホルムIPS=タリフ・ディーン】

水の供給/管理に関わる腐敗の拡大を重く見て、6つの国際NGOが共同で新たな国際腐敗監視組織 Water Integrity Network(WIN)を設立した。

ストックホルム国際水研究所、Transparency International、スウェーデン・ウォーターハウス、国際水衛生センター、水保健プログラム、Africa and AquaFedの6組織は8月22日、スウェーデンの首都ストックホルムで開催された「国際水週間」においてWIN設立を発表。水資源セクターにおけるガバナンスと透明性の向上を図りモラルに反する行動を徹底的に追求していくと誓った。

ベルリンを拠とするTransparency Internationalのデイビッド・ナッスバウム代表は、記者団に対し、腐敗には小型腐敗と大型腐敗の2種類があり、どちらも供給のメカニスムを破壊していると指摘。


 
アフリカ水衛生プログラムが同日発表したレポートによると、小型腐敗には膨大な数の公務員の職権乱用による小額賄賂受け取り、大型腐敗には少数の政府高官による公共セクター資金の横領があり、これらの不正行為により予算/収入の盗み・横領、超過支払いやクォリティー規制の見逃し、支払いシステムの不正管理といった資源乱用を生み出しているという。また、不正は、資金提供国の代表、私企業、多国籍企業、全国/地方の建設企業、コンサルティング会社、仲介者、消費者、中央/地方政治家、公共事業担当官、あらゆるレベルの公務員を巻き込んでいるという。

また、スウェーデンのウォーター・ハウスは、腐敗により悪化している水危機の最大の犠牲者は貧困層と環境それ自体という。しかし、取締りは容易ではなく、法及び財務の改革、公共サービス提供システムの改正、民間セクターの取り締まり、市民の問題認識向上、人材育成が必要としている。

水セクターの腐敗取締りを目的に設立されたWater Integrity Networkについて報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

IPS関連ヘッドラインサマリー:
|カンボジア|公営水道が人々を救う

|アフガニスタン|NATOはタリバンを制圧できるか

【カブールIPS=ダド・ノラニ】

2週間前、NATOは暴動が激化するアフガニスタン南部の統制を米国から引継ぎ、指揮官は「必要があれば容赦なく攻撃する」と宣言した。だが暴徒鎮圧に本当に必要なものは何か。

今週、トラックで移動中の12人のアフガニスタン人警察官が、連合軍の誤爆により死亡した。連合軍はトラックがタリバン所有のものだったと主張している。事件のあったパクティカ州の知事はカルザイ大統領に報告し、大統領は即座に亡くなった警察官への十分な補償と詳細な調査を命じた。

3年前にアフガニスタンに配備されたNATOの国際治安支援部隊(ISAF)が徐々に存在感を拡大している中、もっとも危険な地域と見られているアフガニスタン南部では、昨秋からタリバンが活発な動きを示している。

 NATOは治安維持、中央政府の権威拡大、復興プロセスの加速を任務とし、アフガニスタン政府および国際社会から活動への助言を受け、定期的に戦略の評価を行なうとしている。米軍主導の部隊は政府および国際社会との協調という点が問題とされていた。

NATOの高官は対テロ軍事作戦には従事しないと言明したが、アフガニスタンの人々が知りたいのは、NATOが地域社会や外国からの支援を受けている反乱勢力との戦いに勝てるのかということだ。さらに麻薬マフィア、危険な近隣諸国、政府の腐敗などの問題もある。南部における最大の問題は、反乱勢力への外国からの支援だろう。

反乱勢力を追いつめるだけではなく、パキスタンとの国境から侵入してくるテロの支援を食い止めなければならないのは周知である。より強固な行動が国際社会に求められている。

また国内および国際部隊に対する国民の信頼を高めることも必要である。人々は反乱勢力の抑圧と極度の貧困から逃れたいと切実に願っている。かつてのソビエトと同じように国際部隊は大都市に基地をおいて活動し、アフガニスタン南部を意図的に回避してきた。南部に展開したNATO軍は変化をもたらすことができるだろうか。

タリバンの活動が活発化しているアフガニスタン南部へのNATO軍の展開について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan 

『慎重な楽観主義(cautious optimism)』へ移行するHIV/AIDS問題

【カナダ、ブルックリンIPS=スティーブン・リーヒ
 
2年に一度開催されている国際エイズ会議が今月13日、カナダのトロントで開催される。UNAIDS(国連合同エイズ計画)によれば、エイズに対する効果的治療や予防、エイズ対策資金の拡大、さらにHIV感染率の安定化により、最近ではエイズ撲滅に向け大きく前進しているとの見方がある。今回の6日間にわたる最大規模の国際会議は、『慎重ながらも明るい見通し』が期待できるものになるだろう。

 現在、世界のHIV感染者の累計は約4000万人に達しているという。そのうちアフリカは約2530万人を占めている。国連の最新の統計によると1981年以降、世界中で約2500万人がエイズで死亡していると見られている。

しかし一方で、エイズウイルスに関する多くの知識や効果的な治療法の研究開発は順調に進められている。Austrian AIDS Societyの代表であり医師のB.シュミート氏は「重要なのはこれら大量の知識や経験を今後、AIDS治療や予防に広く役立てる方法を見出すことである。今年の会議のテーマ『Time to Deliver』は、エイズの適切な予防や治療法を全世界に広げることがいかに差し迫った問題であるかを世界に強くアピールしてくれるだろう」とIPSの取材に応じて語った。

会議では研究者たちによるHIV-1型の新しい研究成果の報告や、感染に抑制的な影響を及ぼす要因の調査が実施される予定である。また、エイズウイルスに有効なワクチンを製造するため(現在進行中である)取り組みについても発表されることになっている。

専門家の間には、HIV/AIDSとの闘いも終盤に入ったと楽観視している者もいるが、東ヨーロッパ、インド北部、一部の中国では未だに感染率は上昇傾向にある。AIDS感染率が最も高いアフリカでは、効果的な対策により一部の地域では感染率が低下したものの、特に極度の貧困に喘ぐ地域では医療関係者の不足や運搬・インフラの不備が原因で適切な治療や診断さえできない状況である。さらに、ウイルス感染を加速させる原因にもなりかねない食料不足や水資源の確保など問題は山積している。

(HIV/AIDS撲滅へ向けた先行きの展望が開けつつあると判断する一方で、今後も慎重な目で様々な運動をフォローしていくとする)『慎重な楽観主義(cautious optimism)』の時期に入ったとされるエイズ問題について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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二重苦に苦しむ子どもたちの暗い将来

|イスラエル|狙いは米国の対イラン戦争の地ならしか

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【ワシントンIPS=ガレス・ポーター

国際戦略問題研究所顧問でイスラエルの国防政策の専門家エドワード・ルトワック氏は、イスラエルの

ヒズボラ攻撃は、対イラン攻撃に関する米政権の考えを転換させるためのものだったと指摘している。

同氏によれば、過去においてブッシュ政権の高官らは、イランの核施設空爆のオプションについて、ヒズボラによるイスラエル北部へのロケット弾の報復攻撃で数千に及ぶ犠牲者が出ると推定し、非公式に却下してきた。イスラエルの高官は、ヒズボラのロケット兵器を破壊し、イランからの再供給を阻むための対レバノン攻撃は対イラン攻撃という軍事オプションに対するそうした反対を排除する手段と考えている、とルトワック氏は言う。

 イランがヒズボラに供給してきたミサイルは、イスラエルの対イラン攻撃の抑止を明確に意図するものである、というのがイランとヒズボラに関する専門家らの長年にわたる見方である。イスラエルのジャフィ戦略研究所のイランの専門家エフライム・カム氏は、イスラエル北部に対するヒズボラの脅威は、米国からの攻撃に対するイランの抑止力における重要な要素と2004年12月に書いている。
 
 イスラエルは何カ月もかけて対ヒズボラ攻撃の計画を練ってきた。5月23日のブッシュ大統領との会談におけるオルメルト首相の目的は、イランのウラン濃縮計画の阻止に必要な場合には武力行使を行なうことに同意を迫ることであったのは明らかである。

オルメルト首相は、イランの核施設空爆のリスクを大幅に削減する策としてヒズボラのミサイル能力を低下させる計画を議論し、ブッシュ大統領が了解したものと思われる。米国では報道されなかったが、首相が会談後イスラエルのメディアに言った「とても、とても、とても満足」とのコメントもこれでうなずける。

さらに、イスラエルに停戦を求める動きに対しブッシュ大統領が同意していないことも、大統領がイスラエル政府にいかなる名目を使っても攻撃を始めるよう促したことを示唆している。イスラエルの計画は、チェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官にイランの核施設攻撃を主張する新たな手立てを与えたかもしれない。

イスラエルのヒズボラ攻撃について歴史家で安全保障政策のアナリストであるガレス・ポーターの論説を紹介する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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米国に直接対話のシグナルを送るイラン



|タイ|鳥インフルエンザに安価なジェネリック薬製造

【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】
 
タイはジェネリック薬品を製造し、エイズ患者の延命に成功している。今度はジェネリック薬品でもう1つの致死的ウイルス、鳥インフルエンザから市民を守る準備が整った。

タイの科学者はタミフルのジェネリック薬製造に成功したと発表した。現在のところタミフルは、鳥インフルエンザの大流行を阻止することのできる唯一の薬品であり、発表のタイミングは絶妙だった。同国では7ヵ月の小康状態の後、伝染力の強いH5N1型ウイルスが家禽に発生して対応を迫られているところに、より安価な治療の可能性がもたらされたからだ。

 タイ科学技術開発局のシリレルク・ソンシビライ(Dr. Sirirerk Songsivilai)副局長はIPSの取材に応じ、「タミフル錠を製造するのは商業目的ではなく、社会の安全保障のためである。国内で製造できるようになったので、在庫を増やしたい」と語った。

政府医薬品局(Government Pharmaceutical Organisation:GPO)のモンコル・ジワサンチカーン(Dr. Mongkol Jiwasantikarn)局長は4日『ザ・ネーション(The Nation)』紙で「タミフルが不足すれば鳥インフルエンザの大流行は避けられず、今回の成功はタイを救うことになろう」と語ったと報じられた。

政府機関であるGPOは、率先して同国の患者に安価なジェネリック医薬品を提供してきた。2002年にはジェネリック抗エイズ薬の提供を開始し、1ヶ月に必要な投薬量の薬価を30米ドルに抑制する目覚しい業績を上げている。当時、先進国の医薬品業界大手が製造する抗エイズ薬は1ヶ月で450ドルもしていた。

3日の記者会見で今回の成功が発表され、GPOも国内生産薬が薬価を大幅に抑制すると確認した。ジェネリック薬は公立病院で処方し、1カプセル70バーツ(1.85ドル)とする予定。これはブランド版タミフルの1カプセル120バーツ(3.15ドル)と比較するとほぼ半額である。

タイの2人の科学者がジェネリック版タミフル抗ウイルス薬の製造開発に要した6ヶ月の間に、スイス医薬品大手ロシュが製造する特許版タミフルの供給不足が世界中で問題となった。同社は、タミフル特許権の放棄を迫られた。ロシュに批判的な人々の中には米上院有力者もいる。鳥インフルエンザが引き金となって大流行が起きることも予想される状況で、タミフルの特許権保護を図ることは、多国籍企業である同社が人の命より利益を優先する姿勢を露骨に示すものとみなされた。
 
 この致死的ウイルスの発生地である東南アジアの開発途上国では、タミフル供給不足の不安はいっそう高まった。西側の裕福な国がロシュの提供する限られたブランド版タミフルを買占めたからである。

現在、タイは100万錠のタミフルを備蓄している。このなかにはオリジナル版と、インドから輸入した成分で製造したジェネリック版がある。GPOは、初回製造期間でタイ版タミフル100万錠を製造し、備蓄に加えることを望んでいる。

WHO(世界保健機構)東南アジア局の広報官ハーサラン・パンデイ(Harsaran Pandey)氏は電話取材に応じ、「各国がジェネリック医薬品を製造することには何の問題もない。危機の第1段階に対処する薬品を入手することになるのだから。しかし、どの国も、アメリカのように裕福な国でさえ、全国民に行渡る量の備蓄をしようとしていない」とニューデリーから応えた。

WHOは、発生地において患者に適切な投薬を行うなど様々な予防策を講じない限り、鳥インフルエンザは世界的大流行を引き起こすと警告を発している。ヒトの間で新型ウイルスの感染が起きるような事態になれば、何百万人もの犠牲者が出るだろう。

世界的な人道主義団体である国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres:MSF)も、今回のGPOのジェネリック薬開発を支持する。「膨大な数の人間に感染する恐れのある疾病について、国にジェネリック薬品を製造する能力があるなら製造すべきである。ただし、薬品の質はよいものでなければならない」とMSFベルギー支部のタイ国コーディネーであるターポール・コーソーン(Paul Cawthorne)氏はIPSの取材に応じて語った。

「ロシュは現在の需要に対して供給能力がなく、特許保護を訴える立場にはない。特許を保護しようとすれば、公的分野の競争に敗れるだろう」

GPOが大流行に歯止めをかける希望を与える一方、7月以来、鳥インフルエンザがタイ北部、中部地域で急速に拡大している。4日までに、15地域の家禽にH5N1型ウイルスが拡大したことを動物疾病の専門家は確認した。

国民保健省は鳥インフルエンザ感染が疑われる者のリストに164人を加えた。先月には17歳の少年が亡くなり、2004年以来の鳥インフルエンザによる死亡者は15人となった。

ウイルスに感染した家禽類との接触でヒトに死亡者が出ているのは10カ国に上り、タイはその1国である。WHOによれば2003年の冬以来、感染者は232人に上り、そのうち134人が現在までに亡くなっている。鳥インフルエンザの死亡者が最も多いのはベトナムとインドネシアで、それぞれ42人が亡くなっている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|チリ|今こそ過去の人権犯罪の真相究明に乗り出す時

【サンチアゴIPS=グスタボ・ゴンザレス】

チリのO.Izurieta軍司令官は、亡命先のブラジルで死去したアルフレド・ストロエスネル氏(93)の訃報について触れ、ピノチェト元大統領の死後に訴追が行われる場合、軍は有罪であることが証明されるまでは法的に無罪であるとして、ピノチェト元チリ大統領に対して栄誉ある称号を授与すると明言した。 

アウグスト・ピノチェト(90)は現在、糖尿病や心臓疾患、痴呆症など健康問題を理由に人権侵害や公金横領などの罪に関して訴追免責を受けている。

 しかし人権擁護団体は、痴呆症であるという事実に信憑性がないとし、さら

に病気を理由に罪を問われないのはおかしいと訴えている。活動家やアナリストも、訴訟が再開される可能性はあるものの、ピノチェトが本当に痴呆であるのか、または裁判を避けているだけなのかと疑問に感じている。 

J.Guzman裁判官は、ピノチェトが『死のキャラバン』事件(1973年にピノチェト将軍の指示・命令で左翼57人が殺害、18人が拉致された事件)に対する法的責任があるとして審理されるべきであると裁決を下したが、チリ最高裁はピノチェトが精神的に裁判に耐えられないのではないかと判断。しかし最高裁は2005年、ピノチェトの痴呆が嘘であるという見解から免責特権を剥奪した。さらに最高裁は、カルロス・プラッツ軍司令官をクーデターの翌年(ピノチェトの創設した秘密警察)DINAの爆弾テロによって暗殺した事件についても免責特権を剥奪した。 

一方、軍はピノチェトに対して元最高司令官として軍葬を行う準備が整っていること、年金の支給や裁判での弁護費用など様々な特権が用意されていることを明らかにしている。 

多くの国際監視員は、複数の人権犯罪や汚職問題に関わってきたとされるピノチェトが軍の恩典や退役軍人の地位を受けることが出来るのは理解しがたいと見ている。しかし、これは元DINA長官マヌエル・コントレラスの訴訟についても当てはまる。コントレラスは、オルランド・レテリエル外相の暗殺(1976年)で有罪判決を受け、現在も別の人権侵害の裁判で収監中であるにも関わらず、軍の解雇や降格といった処遇も受けていない。 

軍政時代に重大な人権犯罪に関わった軍部、警察、極右団体などの罪を問わない「無処罰」制度を非難する声が高まりをみせようとしている。(軍事独裁政権を率いた)南米パラグアイ元大統領の死亡により、論争に再び火がついた『冷酷非情な独裁者、ピノチェト元大統領』に対する政府や軍の対応について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 


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|チリ|スウェーデンのシンドラー、人道に貢献

|アフガニスタン|深刻な小麦不足は干ばつとケシ栽培が原因

【カブールIPS=セディクラ・バデル(The Killid Group)】

アフガニスタンの主要作物であり、主食の小麦の生産量が今年は440万トンから370万トンに減少。7月25日には緊急援助委員会の委員長を務めるモハマド・カリム・カリリ副大統領が、250万人が深刻な食料不足に苦しんでいると明らかにした。

農業省は長引く干ばつが原因としていているが、専門家と一般市民は、利益の多いケシ栽培に転換している農民が増えていることも重大な要因と訴えている。背景には、周辺諸国からの安い輸入小麦粉がある。

農民は、政府の問題への対応が遅く、未解決の問題が食料不足の原因だと主張する。

地球温暖化の中、水不足、干ばつ、自然災害が問題の根源にはあるが、農地の3分の2が灌漑用水に頼っているアフガニスタンにとって、ダムの建設や配水システムの整備が緊急課題である。

 安い輸入小麦を規制する法律の制定や手続きの導入など、政府による農民に対する保護策も求められる。国内外の農産物の価格や市場に関する情報、金融融資や原材料の供与、改良種・肥料・農薬の提供なども不十分なままである。

国連とアフガニスタン政府は7640万米ドルの食料援助の要請を共同で行なった。これまでに米国際開発庁(USAID)(世界食糧計画に2000万ドルの拠出を約束)、日本(300万ドル)などから拠出の申し出が来ている。

農業灌漑相は、水の供給に700万ドル、動物飼料900万ドル、食料に5000万ドルが必要としている。

政府が小麦危機への迅速な対応策を見出せないでいると、アフガニスタンの農民は確実にケシ栽培への転向を図るだろう。これは長期的に政府を深刻な窮地に追い込むものである。アフガニスタンの小麦不足の原因について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan 

|ソマリア|糾弾、暗殺、辞任

【ナイロビIPS=ジョイス・ムラマ】


 今週末に行なわれた不信任投票で、ソマリアのアリ・モハメド・ゲディ首相は解任を免れた。ゲディ首相率いる政府は、東アフリカの国ソマリアに秩序と調和をもたらさないと、国会議員から糾弾されていた。投票は、閣僚が暗殺され、議員が銃撃され、さらに政府報道官によると11人の大臣が辞任するという騒然とした週を締めくくるものとなった。

不信任決議では、ソマリア暫定政権の88人の国会議員がゲディ首相を支持した。126票は不支持だったが、決議成立に必要な3分の2以上の多数となる139票にはわずかに及ばなかった。

 現暫定政権は、地域的組織である「政府間干ばつ開発機構」が陣頭指揮を取った2年を超える話し合いを経て、2004年に隣国ケニアで成立した。暫定政府は昨年ソマリア中南部のバイドアに移ったが、政権の影響力をソマリア全土に及ぼすことができないでいる。ソマリアの国土は、1991年に独裁者モハメド・シアド・バレが失脚して以来、抗争を続ける部族により、それぞれの領地に切り刻まれている。

先月、イスラム過激派が米国に支援されていると見られていた派閥の領袖から首都モガディシュの支配権を奪い、南部の大半における権力も掌握した。米国政府はこのイスラム過激派がアルカイダの活動家を匿っていると主張しているが、母体であるイスラム法廷連合(UIC)は否定している。
 
7月29日の不信任決議は、275議席の国会でゲディ首相の退陣を求めて行なわれた2度目のものだった。2004年に退陣を求めた決議は、ゲディ首相の任命が暫定国家憲章(暫定憲法)に違反していると考えた国会議員により可決された。しかしながらアブドゥラヒ・ユスフ・アフメド大統領はその後ゲディを再び首相に任命した。

今回の不信任案が可決されていれば、すでに多くの大臣が辞任して弱体化している政府は崩壊していただろう。

報道によると、イスラム過激派が数十キロまで迫っているバイドアに、議会の承認を得ないまま暫定政府支援のためのエチオピア部隊が7月初めに到着したことに大臣たちは反発した。大臣たちはなぜ軍隊の配備に国会の承認を得ようとしないのか質問したが、エチオピアは依然答えようとしない。

さらに大臣たちは政府とUICとの対決を防ぐための交渉におけるゲディの無能と、交渉進展の障害となっていることを非難した。この交渉はエチオピアの部隊が姿を見せたことによって中止となっている。エチオピア部隊の出現は過激派を刺激して、エチオピアに対する「聖戦(ジハード)」を宣言させることにもなった。ソマリア人の多くはエチオピアに根強い反感を抱いている。ここ数十年、両国が何度も衝突を繰り返しているせいである。

イスラム法廷連合(UIC)と暫定政府の交渉はスーダンの首都ハルツームで8月1日に再開される予定だが、イスラム側はエチオピアの部隊がソマリアから撤退すれば参加すると言っている。6月に始まった交渉はアラブ連盟が主導している。

ソマリアのもうひとつの隣国エリトリアも、ソマリアは1992年に武器を禁輸しているにもかかわらず、UICに武器を供給し続けて事態をいっそう複雑にしている。

「先週、エリトリアからイスラム過激派への武器を搭載していると見られる貨物輸送機2機がモガディシュに到着した」とモガディシュの現地ジャーナリストはIPSの取材に応じて語った。この事実は、エリトリアとエチオピアとの長年の緊張関係がソマリアにおける紛争として表面化するのではないかという不安を掻き立てる。

 両国は1998年から2000年まで激しい国境紛争を起こしており、その前の戦いで1993年にエリトリアはエチオピアから分離している。

「ソマリアは最悪の状況に進んでいる。人々は事態の展開を敏感に観察していて、もうまもなくエチオピアとエリトリアの代理戦争がソマリアの地で行なわれるのを目撃するのではないかと考えている」と現地ジャーナリストはいう。

週末の報道によると、ゲディ政府はイラン、リビア、エジプトもイスラム過激派を支援していると非難した。

近隣地域が煽る戦争がソマリアで起こる可能性の迫っている中で、29日には数百人の人々が田舎町バイドアのモスクの外で前日に暗殺されたアブダラ・イサク・ディロウ憲法連邦問題大臣の葬儀に参列するためにバイドアに集まった。

「殺害の原因はまだ分かっていないが、警察は犯人を逮捕して投獄した」と、暫定政府のアブディラーマン・ディナリ報道官は、バイドアからIPSの取材に応じて語った。バイドアでは28日の暗殺をきっかけに暴動が起きた。

その前々日にも国会の憲法問題委員会のモハメド・イブラヒム・モハメド委員長が銃撃を受けた。同委員長は一命を取り留めている。

匿名を条件に、ある政治評論家は、「ソマリアの情勢を改善するためにはアフリカ連合(AU)の介入が鍵だ」と語った。「アフリカ連合を通じたアフリカの存在がソマリアに介入し平和をもたらす手伝いをする必要がある」とモガディシュを訪れた評論家はいう。

しかしながら、平和維持部隊をソマリアに送るという、AU53カ国によって先月行なわれた提案は、UICに拒否された。UICはそのような部隊はソマリアの混乱をより刺激し、より深めるだけだとしている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

IPS関連ヘッドラインサマリー:
ソマリアから脱出するジャーナリスト

|アフガニスタン|タリバンの命令で閉鎖される学校

【カブールIPS=ハディ・ガファリ、アディラ・カビリ】

アフガニスタンのウルズガン州のいくつかの地区には、学校が全くない。学校があったとしても、教員不足・教材不足のために生徒が集まらない。これは、反政府勢力のタリバンが学校を自らの闘争のターゲットのひとつとしているためだ。

中部のダイクンディ県では、38の学校が教員不足のために閉鎖の危機にある。8,000人の生徒が影響を受けている。

街の建物の壁には「夜の手紙」と呼ばれる警告書が張り出されている。ここには、宗教教育のために子供をモスクの学校に通わせるよう書かれている。

7月18日には、パクティカ県ワザクワ地区において、ある高校が放火された。

米国の団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、過去18ヶ月の間に教員や生徒、学校に対する暴力事件が約200件記録されている。また、少なくとも18人の教員・教育当局者が暗殺されている。

教員の不足や学校の閉鎖には、国際的なドナーがアフガンの教育への支援を徐々に減らしつつあるというもうひとつの原因もある。しかし、マンスリ経済大臣はこうした関係を否定している。

不安定化するアフガンの教育について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=IPS Japan


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表現の自由を求めるパキスタンのジャーナリストたち