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|健康|若干の改善は見られるもののマラリアは依然としてアフリカの主な死因である

【ジュネーブIPS=グスタボ・カプデヴィラ】

世界保健機構(WHO)と国連児童基金(UNICEF)が5月3日に発表した「2005年世界マラリア報告書」によれば、世界でマラリアの予防・治療対策に進展がみられるものの、アフリカにおいてはマラリアが依然として死因の大半を占め大きな脅威となっている(国境なき医師団によって纏められた統計によると、毎年マラリアで死亡する200万人の内、9割がアフリカの5歳以下の子供達である)。

アフリカでは、従来マラリア対策に使用していた薬や農薬に対して耐性を持つものが現れたのと、同時期に政府による保健サービスが悪化した事情を背景に、1980年代、90年代をとおしてマラリア患者は増加していった。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|報道の自由デー|スリランカ|勇気の象徴:タミール人ジャーナリストの殺害

【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】

スリランカ人記者たちにとって、今年の「国際報道の自由デー」は、スリランカでタミール問題を扱わせたら右に出るものがいなかった故Dharmeratnam Sivaram記者(享年46歳:4月28日夜、何者かに拉致され殺害)を追悼する痛ましい記憶を分かち合う機会となった。

Sivaram記者は、ペンネーム「Taraki」の名でスリランカ内戦の内幕を報道し続け、国内のみならず世界各地からもタミール紛争に関する最も優れた解説者として多くの読者を獲得していた。同内戦問題を取材する記者たちの相次ぐ死やスリランカ政府当局による家宅捜索や逮捕・拘留にも関らず、敢えて国外亡命せず家族と共にスリランカに留まり、ペンの力で内戦の実情を報道し続けた故人は多くの人々にとって「勇気の象徴」となった。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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【フリータウンIPS=ランサナ・フォファナ】

シエラレオーネのジャーナリスト達は、今年の「国際報道の自由デー」を祝賀するというよりも、自国内における報道の自由を巡って法的闘争を繰り広げている。

シエラレオーネには1965年成立の公共秩序法(Public Order Act)の中に、大統領或はその他の役人に対する一般民衆の不満を扇動するような出版物を出版、配布、所有したものは最高7年の禁固刑(出版社の場合は発禁処分)が適用されるとする「名誉毀損条項」があり、歴代政権により、国内反対勢力の声を封じるために活用されてきた。2007年に次期大統領選挙を控えて言論の自由を求めるプレスと政府両者間の緊張関係は高まっていくと見られている。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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国際連合、世界の報道されないニュースに光をあてる

|開発|アフリカの「新たな希望」、権威ある賞を獲得

【ブリュッセルIPS=ステファイニア・ビアンキ】

今年のボールドウィン国王国際開発賞(南半球で開発分野で著しい貢献のあった、或は、先進工業国と途上国の連帯強化に功績のあった個人/団体に贈られる賞で、隔年で実施:IPSJ)の受賞者Ousmane Syは、彼の故国マリで実施した住民参加型の地方分権プログラムが高く評価された。

(伝統的な長老ネットワークを駆使して1万1000村落における地方自治体構想へのコンセンサスを獲得し、自治体数を1993年の13から2005年の703に拡大)この手法は、Good Governance(健全な統治体制)の問題を抱え開発が停滞している多くの他のアフリカ諸国にとって「新たな希望」として注目を浴びている。

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

国際連合、世界の報道されないニュースに光をあてる

【国際連合IPS=タリフ・ディーン】

故ターヅィー・ヴィタッチ元国連児童基金(UNICEF)事務局次長は、かつてあるアフリカの外交官が彼を事務所に訪ねてきて、アフリカ大陸に重大な影響を及ぼす事柄についてどうやったら欧米のメディアに取り上げてもらえるかアドバイスを求めてきた時のエピソードを詳しく語ったことがある。

「わが国の首相が国連総会で、アフリカの生存にとって極めて重要な経済、社会問題について発言することになっています。どのようにしたら、その内容を、ニューヨークタイムズに載せてもらうことができるでしょうか?」と、ヴィタッチはその役人が尋ねてきたことを回想した。

 「(その首相を)撃ち殺しなさい。そうすれば記事のフロントページに大々的に掲載してもらえますよ。」と、ヴィタッチは返答した。ヴィタッチ自身、かつてニューズウィークへ特約寄稿し本国スリランカでは「伝説的な編集者」と評されていた元ジャーナリストであった。

ヴィタッチは長年に亘って「ほとんどの欧米メディアは、貧困、飢餓、妊産婦死亡、国連加盟国(191ヶ国)の3分の2以上を悩ませている諸疾患などについて、深く洞察した取材記事を配信しようとしない」と嘆き、「これらのテーマは、大半のニュース編集室(報道局のスタジオ)にとって(報道するには)魅力に欠けるものなのだろう」と語っていた。

シャシ・タルール国連広報担当事務次長は、ヴィタッチに近い見解を持っている。 

「今なお、ヘッドラインを飾るテーマは、かなり狭い範囲に限られている傾向があります」と、タルールは、火曜日(5月3日)に「国連が選んだ最も報道されなかった10大事件リスト」を発表した席で語った。

5月3日の「国際報道の自由デー」に合わせて発表されたリストは2004年の出来事から、「世界の人々がもっと耳にすべきであるにもかかわらず、世界の主要テレビネットワークやニュースメディアが無視或いは軽視してきた出来事」を国連が10選択したものである。

タルールは10選には次の出来事が含まれていると語った:「(1)ソマリアにおける和平に向けた進展、(2)女性に対するヘルスケアの盲点となっている悲惨なフィスチュラ(産科瘻孔:長時間の難産の結果、産婦の膣等女性器に穴が開く症状―女性器と膀胱または直腸の間が繋がり漏尿や漏糞となり、社会から差別の対象となることが多い)、(3)ウガンダ北部における人道危機、(4)シエラ・レオーネにおける元兵士たちの武装解除、(5)近年100を超える団体が生まれるなど人権擁護団体の増加。」

「同じく見過ごされている出来事として」とタルールは続ける、「(6)カメルーンや他の貧困国の小規模農家が作った農作物に対して公正な価格を付けられる現実、(7)インド洋津波報道の影で忘れ去られたグレナダのハリケーンアイバンからの復旧に向けた取組み、(8)引き続き行われている女性に対する暴力、(9)不正な麻薬栽培を抑制するための戦闘に代わる代替策として採用されている開発支援、(10)諸疾病を治癒する潜在的な可能性がある薬を保護するための環境保全対策」

「メインストリームメディアは次のような理由で特定のニュースを無視或いは控えめに扱うのです。1つ目の理由:編集者の意見として『売れそうにない』から、2つ目の理由:政策責任者、読者、視聴者の関心からかけ離れていそうだから、3つ目の理由:例えば『人間が犬に噛みついた』『血が流れればヘッドラインになる』といったニュースの枠組方程式に当てはまらないから」とタルールはIPSの取材に応えて語った。

タルールはこれに対する反論として、「読者が関心がないのではなくで、読者はむしろ、これらの(メインストリームメディアが取り上げない)ニュースが如何に私達と関連しているか説得力のある取材・執筆を行うことで、むしろ関心を持つのです」と語った。

「どのような記事が売れるのかというメインストリームメディアの基準も、暴力とスキャンダル関連のもののみがニュースになる現状を考えれば、かなりの議論の余地があります」とタルールは主張した。

「なぜ、インド洋津波がグレナダのハリケーンアイバンの被害者よりニュース価値があるということになるのか?なぜ出産によって引き起こされるフィスチュラ(産科瘻孔)の恐怖について、全ての女性たち-そして全ての人々は出産によってこの世に生を受けたという意味では男性たちも-は関心がないということになるのか?」とタルールは問いかけた。

「メディアが取り上げてくれなければ、数多くの『より静かな』緊急事態は、開発援助予算の配分を決定する援助供与国(=先進国)の人々にとって、単純に「存在しない」ということになってしまうのです」とタルールは語った。

「確かに今年の国連の10選はいずれも人々の注目を引くべき説得力のあるテーマです。しかし、イラクやインド洋津波のような戦争と大災害に関する報道が、どうしても限られた1日のニュース報道のスペースの中で、長らく沸々と蓄積してきた問題(放置しておけば暴発する危険性のある問題)を押しのけてしまうでしょう。その意味で、今年は報道にとって大変厳しい年となっています」とタルールは語った。

「確かに私達も十分理解していることですが、ニュース編集者にとって(このようなニュースを取り上げることは)大変厳しい要求だと思います。しかし今年私達が光を当てたニュース(=実は国際社会と密接に繋がっている)が問題解決に向けた動きへと繋げていくためには、世界の一般視聴者/読者や政策責任者の注目を引く必要があります。つまり私達は、なんとかこれらのニュースを世界の世論の注目を得られる紙面の表紙に持ってくる方策を見つけなければならないのです」とタルールは付加えた。

「私達が毎年発表する国連の10選は、このような方向に向かうために努力している様々な試みの中の小さな一歩なのです」

かつてロンドンの新聞社が実施した途上国における諸問題に焦点を当てた「第3世界ページ」のようなものを作ることは効果的な試みかというIPS記者の質問に、「第3世界ページを設けることはある種の差別的な囲い込み(ニュースのゲットー化)であり、これらの記事が持つ本来的なメリットを考えると公平なやり方ではない」とタルールは答えた。

「それどころかさらに悪いことに、第3世界に関心あるという自己イメージを持っていない人達は(私達がどんなにそれらのニュースが全ての人々に関心あるものと思っていたとしても)単純にそのページ(=第3世界ページ)を飛ばして読んでしまうこになってしまうだろう」とタルールは付加えた。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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|ペルー|政治的暴力の犠牲者に対する補償が一歩実現に近づく

【リマIPS=ラミロ・エスコバール】

CMAN(平和政策、集団補償、国家的和解に関する政策立案・モニタリングのためのマルチセクター委員会)は金曜日(4月29日)、ペルー政府に対して内戦で被害を蒙ったコミュニティーに対して補償するためとして4800万ソル(約1500万ドル)の予算増加を要求した。

この要求は閣僚評議会の認可を経て、国会で了承される見通しである。ペルーでは、約20年(1980年~2000年)の長期に亘った、毛沢東派ゲリラセンデル・ルミノソ (輝く道)と政府軍の内戦の結果、7万人近い犠牲者を出している。

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|国際報道の自由デー|秘密主義、プロパンガンダが米国メディアを席捲

【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】

メディア専門家達によると、「米国メディアは世界で最も自由」という(米国における)世間一般の通年に反して、政府の秘密主義的政策やプロパガンダの傾向が強まる中、同国の報道の自由度は著しく後退しているとしている。

5月3日の「国際報道の自由デー」に先立ってニューヨークを拠点とする人権擁護団体Freedom Houseが発表した最新のランキング(1.メディアが活動する法環境 2.報道への政治的影響と情報へのアクセス 3.報道内容への経済的圧力と報道の普及度の3点から測定)によると、米国は194ヶ国中24位でバルバドス、カナダ、ドミニカ、エストニア、ラトビアと肩を並べている。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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【ハラレIPS=セカイ・ンガラ】

昨年、ジンバブエは、ニューヨークに拠点を置くジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists)により「ジャーナリストにとって最悪の場所」のリストに加えられた。

それから1年が経過するが、状況は殆ど何も変わっていない。今年初めにも、ジンバブエで数少ない独立系新聞社「The Weekly Times」が、政府の管轄下にあるメディア情報委員会(MIC)に免許を取り上げられた上閉鎖に追い込まれた。

ジンバブエでは2002年に成立した「情報へのアクセス及びプライバシー保護法(Access to Information and Protection of Privacy Act:Aippa)」の下、全てのジャーナリスト及び出版社はMICに対して営業免許証を申請することが義務付けられている。新聞社はMIC未登録の記者の雇用を禁止されており、未登録の記者が当局に発見された場合は最高2年の禁固刑に処せられることとなっている。(原文へ
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|アメリカ大陸|ジェンダー問題をサミット議題に載せるための闘い

【ブエノスアイレスIPS=マルセラ・バレンテ

第4回米州サミット(11月4日・5日、アルゼンチンのMar del Plataで開催予定)にアメリカ大陸各地の女性のニーズや要求を反映させることを目的に、各国の女性団体の代表が4月にブエノスアイレスに集結し、米州ジェンダーフォーラムを開催した。

米州サミットは本質的にはFTAA(米州自由貿易圏)の創設を協議する場であるが、経済統合に関する米国と他の一部参加国の対立が続く中、より幅広いテーマも包括しながら協議が続けられてきた。(第4回サミットの公式テーマは「貧困に立ち向かい民主的統治を強化するために仕事の創出に努める」)同フォーラムはサミットに向けた市民社会組織(CSO)の参加を促す目的で開催が予定されている一連の会合の第1弾となるものである。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|教育|イラク高等教育復興への国際支援が強く求められる

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国際連合は、「イラクの高等教育機関の置かれている惨状は大学6校中5校が破壊されているというものであり、このまま放置しておけば戦争で痛めつけられたイラク復興の努力そのものを台無しにしてしまいかねない。」として、世界各国の政府及び教育者に対し、深刻な状況にあるイラク高等教育機関の復興支援に立ち上がるよう呼びかけている。

2003年に米国主導のイラク侵攻・占領が開始されてからイラク高等教育施設の84%が消失、略奪、破壊された。一方、国連児童基金(UNICEF)は、教育インフラの荒廃の背景に、今回のイラク戦争を含む3つの戦争(湾岸戦争、イランーイラク戦争)及び1990年から2003年まで続いた国連の経済制裁を挙げている。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩