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|視点|またしても国連改革?(パリサ・コホナ元国連条約局長、スリランカ元国連常駐代表)

【コロンボIPS=パリサ・コホナ】

国連は現在、米国という最大の資金提供国から強い圧力を受け、再び改革の取り組みを進めている。今回は、ドナルド・トランプ米大統領が従来よりもはるかに強硬な姿勢を示しており、米国の拠出金の削減や国連の経費節減をさらに求める決意を明らかにしている。他の一部のドナー国も、表立っては態度を示さないものの、裏では米国の動きを歓迎している。

米国は国内の支持者たちの喝采を受けつつ、その姿勢を具体的な行動でも示している。すでに国連人権理事会(UNHRC)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明。また、パリ協定からも離脱している。

過去にも米国は拠出金の支払いを停止し、そのたびに当時のコフィ・アナン事務総長や潘基文事務総長が改革の取り組みを行った経緯がある。かつて国連の創設において主導的役割を果たした米国が、今やこうした冷徹な姿勢に転じたことは、世界の理想主義がどれほど変化してしまったかを物語っている。

国連は、米国が資金支払いを停止するたびに改革の「儀式」を繰り返してきたが、それは主に米国で共和党が政権を握った際に起こってきた。私自身が国連勤務時代に目にしたところでは、多くの国連上級職員は「どうせそのうち米国は拠出金を払うだろう」と皮肉まじりに構えており、この改革の儀式自体に冷淡な態度を取っていた。

しかし今回に限っては、もしトランプ政権が予告通り資金削減に踏み切るのを防ぎたいのであれば、より本格的な改革が求められるだろう。とはいえ、多くの関係者が認めるように、国連は組織内部、政治機関の両面で改革を必要としているのは事実だ。

安心材料としては、米国がなお国連への関与を維持していることである。ドロシー・シェイ米国連代理常駐代表は次のように述べている。
「国連は、国際平和と安全の維持、武力紛争の原因への対処といった複雑な国際課題の解決に不可欠な存在であり続けています。国連はその本来の目的に立ち返るべきであり、事務総長はその取り組みを率いるべき立場にあります。」

また、各国政府が財政逼迫と優先順位の見直しに直面している今こそ、国連は中核的使命の効果的な遂行に集中すべきであり、特に各国現場での成果をより重視するべきだとも述べている。

この発言からも、米国が国連から完全に手を引く意図は現時点では見られないが、その要求は非常に明確である──つまり「国連は本来の使命に集中せよ」ということだ。

現在問題視されているのは、国連が年々自らの責任範囲を拡大してきたことである。本来の中核的機能とは異なるが、加盟国の要請により国連の活動範囲は広がってきた。その中には人権や環境問題(特に気候変動)などが含まれている。こうした分野の活動は本来の使命とは異なるとの批判も根強い。

資金不足の問題も深刻だ。2025年4月30日時点で、各国が支払うべき「分担金」の未納額は24億ドルに達しており、そのうち米国は15億ドル、中国は約6億ドル、ロシアは7000万ドル以上を滞納している。さらに平和維持活動(PKO)関連予算も27億ドルの未納がある。2024年には41カ国が分担金未納となった。理論上、分担金を払わなければ国連総会での投票権を失う可能性があるが、これは実効的な抑止策にはなっていない。

こうした中で、グテーレス事務総長は2025年3月、「UN80」と呼ばれる包括的レビューを開始。財政的に厳しい将来を見据え、国連が「時代に適した」組織であり続けるための改革を目指している。

今回の改革の焦点は、過去の事例同様、米国の資金圧力がきっかけではあるが、本来であれば改革は継続的な取り組みでなければならない。国連管理戦略政策コンプライアンス局(DMSPC)や国連総会第5委員会はこの改革に役割を果たしているが、第5委員会は加盟国の政治的圧力を受けやすい。

国連管理職は、単なる技術力にとどまらず、継続的な変革意識と現代的な経営能力を備えている必要がある。また、スタッフのスキル向上や組織の使命へのコミットメントも常に求められる。特に影響力の強い国々から推薦される上級職員については、卓越した管理能力を求め、候補者を複数提示させることも検討すべきだ。

また、現在の会議開催の方法も見直しが可能だ。すべての会議をニューヨークやジュネーブで対面開催する必要はない。これらは開催費用が高く、途上国の代表団には参加の負担が大きい。コロナ禍で行われたようなリモート参加方式を恒常化すれば、コスト削減と公平な参加が期待できる。

さらに、ニューヨークのオフィスをより費用対効果の高い場所に移す案も浮上している。すでにナイロビには国連環境計画(UNEP)やUN Habitatが拠点を構えている。国連海洋関連機関をジャマイカ(大陸棚限界委員会所在地)やボン(気候変動事務局所在地)に移転することも合理的だろう。

Dr. Palitha_Kohona
Dr. Palitha_Kohona

ニューヨークに本部を置く国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)も、他都市への移転が検討に値する。

加えて、経済社会理事会(ECOSOC)とその下部委員会、総会の第2、第3委員会などの間で活動が重複している分野も多く、こうした重複の整理も不可欠である。

また、事務次長(USG)、事務次長補(ASG)、ディレクター(D)といった高位職の本当に必要なポスト数も見直し、統廃合や削減を行うべきだ。

過去の改革は、多くが中途半端に終わっている。今回こそ徹底した改革を行わなければ、また同じ道をたどる危険性がある。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau

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海外で働く夢が奪った健康

腎不全で帰国した元出稼ぎ労働者、それでも移植後の未来に希望を抱いて

【カトマンズNepali Times=アヴァ・フランシス=ホール】

サガル・タマンがラクシュミ・タマンと初めて出会ったのは、マレーシアとネパールのポカラをつなぐビデオ通話だった。サガルはマレーシアで警備員として働いており、フェイスブックを通じてラクシュミに友達申請を送ったのがきっかけだった。やがて、メッセージや通話を重ねるうちに2人は恋に落ち、将来を語り合うようになった。

ラクシュミには、その未来がはっきりと見えていた。6年後にサガルが帰国し、2人は結婚して子どもを持ち、サガルが海外で貯めた資金で建てた家で暮らし、ラクシュミは仕立て屋を開く——そんな暮らしを夢見ていた。

しかし、サガルはある日、息切れや脚のむくみといった体調不良を訴えた。ラクシュミは帰国を懇願したが、サガルは故郷の土地に家を建て終えるまでは帰れないと強く言い張った。すでに両親はサガルの稼ぎで家を一軒建てており、さらにもう一軒を建てる計画を進めていた。

やがて症状は悪化し、ついにサガルは医師の診察を受けた。診断結果は衝撃的だった。両方の腎臓が完全に機能を失っていたのだ。元気だった28歳の若者は、突然透析患者となった。

海外就労の現実

サガルはサンクワサバで両親、5人の姉妹、4人の兄弟と暮らしていた。家族は農地1枚に頼った暮らしをしており、生活は決して楽ではなかった。兄の1人が働きに出たものの十分な収入にはならず、サガルは10年生を終えたばかりで海外就労を決意した。借金を背負い、家族の暮らしを良くしようという思いを胸に、20歳でマレーシアに渡った。

ところが、到着してみると、契約とは違い農作業員として働かされることになった。毎日11時間、炎天下での重労働に疲弊し、海外生活の夢は早々に打ち砕かれた。宿舎も狭く管理が厳しい環境だった。そんな中、携帯電話越しに母の声を聞くことだけが心の支えだった。

2年ほど経つと、同じネパール人労働者たちと親しくなり、海外生活が長期にわたることを覚悟した。最低でも10年は働くつもりだった。会社に申し入れた結果、ようやく警備員の仕事に転職することができた。労働時間は長かったものの、農作業よりははるかに楽だった。

こうして日々の生活は一定のリズムを持つようになった。朝出勤し、帰宅後にはラクシュミに電話し眠りにつく——そんな日々をあと8年は続けるつもりだった。

しかし、2年前、体調が限界に達し、ついにネパールへ帰国。到着後すぐにビル病院へ搬送され、緊急透析治療が始まった。これまでに建てた家には一度も足を踏み入れられていない。

透析という現実

ネパールの腎臓病患者のうち、約4人に1人は海外からの帰国者だと推定されている。過酷な暑さ、脱水、不健康な食生活が慢性腎疾患や腎不全の原因となっている。帰国後、実家に戻る前にカトマンズの透析センターに直行する患者も多い。

HARD LABOUR: Sagar Tamang in a dialysis session at the National Kidney Centre in Kathmandu (right) after both his kidneys failed while working abroad in harsh conditions.

国内の透析病棟には、40歳未満の若者たちが数多くベッドに横たわっている。多くは家族を支えることができなくなり、治療費の借金を抱えている。収入が途絶えた彼らにとって、首都での部屋探しさえ困難だ。

サガルは幸いにも、同じく海外勤務が原因で腎疾患を発症し、カトマンズに移り住んでいたいとこに助けられた。

2カ月後、ラクシュミはついにサガルと初めて直接会うことができた。彼のやつれた顔を見て、涙をこらえるのが精一杯だった。しばらく兄の家に身を寄せていたが、2人は結婚を決意した。ラクシュミの家族は腎移植が終わるまで結婚を控えるよう勧めたが、2人は駆け落ちして結婚した。

結婚から2日後、ラクシュミの家族からナガルコットの実家で祝うよう呼ばれた。現在2人は国立腎センター近くの賃貸住宅で、他の透析患者やその家族とともに暮らしている。サガルは週3回歩いて透析に通っている。

この共同生活には患者同士の強い連帯感がある。ラクシュミも、同じ立場の妻たちと助け合えることで心の支えになっている。住人同士で食事を作り合い、病院への送迎を助け合い、時には資金も融通し合う。

限られる支援、膨らむ負担

サガルはかつて家族を支える大黒柱だった。マレーシアで稼いだ資金で家族に仕送りをし、家の建築費用もまかなってきた。しかし今は腎不全のため仕事ができず、収入も途絶えている。

一方、サガルの両親はサンクワサバでヤギや鶏を飼い、わずかな収入で細々と生活しているが、借金を抱えており、息子の治療費を送る余裕はない。

ラクシュミは最近まで仕立て屋と家事代行の仕事を掛け持ちし、1日12時間働いていた。サガルの母親とともに、腎移植の準備のため、シャヒード・ダルマバクタ国立移植センター(SDNTC)に足繁く通っている。

ネパールでは腎移植のドナーは家族または配偶者に限られている。しかし、既往症(高血圧や糖尿病など)のため提供が難しい家族も多く、妻や母親がドナーになるケースが目立つ。サガルの場合、帰国後に結婚を正式に届け出ていなかったため、現状ではラクシュミはドナーとして認められていない。

父親は血液型が適合せず、妹の申し出は断った。そこで、最終的に母親がドナーとなる方向で手続きを進めている。

腎移植は長く費用もかさむ道のりだが、サガルにとっては唯一の希望だ。ネパールのK・P・オリ首相も二度の腎移植を受けた経験があるが、家族内にドナーがいない患者は、週3回、透析装置の規則的な音とともに生きる日々が続く。

未来への希望

サガルの願いはまず、移植手術が成功したら故郷に戻り、家族や友人たちと再会することだ。帰国して以来、父親とは一度会えたものの、兄弟たちにはまだ会えていない。手術前にぜひ会いに来てほしいと願っている。

その先にはさらに大きな夢がある。結婚を正式に届け出て、ラクシュミの夢だった仕立て屋を開き、子どもを持ち、サンクワサバで家庭を築くことだ。

ラクシュミは夫を二度と海外に送り出したくないと強く願っているが、サガル自身は今のところ、その可能性を完全には否定していない——それほどに、2人の未来はまだ不確かだが、希望だけは失われていない。(原文へ

INPS Japan

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日本とウズベキスタンが労働力交流を拡大へ―今後5年間で1万人受け入れオンライン就職支援

「WiseBridge」始動、日本語・技能講座も国内3州に開設

【タシケント/東京London Post/INPS Japan】

ウズベキスタン移民庁と 一般財団法人 日中亜細亜教育医療文化交流機構(Japan-China-Asia Medical Educational Cultural Exchange General Incorporated Foundation、略称:JCAEMCE) は今月、今後5年間で1万人のウズベク人労働者を日本国内で受け入れることを柱とする協定を締結した。同庁の広報部が発表した。

ウズベキスタンでは若年層人口の割合が高く、海外就労を希望する人材が年々増加している。一方、日本国内では少子高齢化の進行に伴い、建設、介護、製造、農業など幅広い分野で外国人材へのニーズが高まっている。こうした状況を受け、両国は労働力交流の強化を図っている。

今回の協定では、日本語や職業技能の習得を支援する 「ヤポン・マホラト・ヌリ」 講座がタシュケント州、サマルカンド州、ナマンガン州の3州に新設される。受講者は日本での技能試験や就労に必要な知識を体系的に学ぶことができる。

さらに、求職者と日本の雇用主を直接つなぐオンラインプラットフォーム 「WiseBridge(ワイズブリッジ)」 が、2025年6月より本格運用を開始。日本国内の求人情報を自由に検索し、応募から雇用契約までをオンラインで完結できる仕組みを整える。これにより、仲介手数料の不透明さや過剰な費用負担といった従来の課題が軽減され、より公正で効率的な就労マッチングが可能になると期待されている。

協定締結に伴い、ウズベキスタン政府代表団は日本を訪問。日本政府との間で ビザ発給手続きの円滑化、移民手続きのデジタル化、および 入国許可取得までの期間短縮 について協議が行われた。

日本の 鈴木馨祐法務大臣 は次のようにコメントした。
「日本で実施されている技能実習制度および技能を有するウズベク人向けの簡素化されたビザ制度により、ウズベク国民が日本で合法的かつ安全に就労し、高度な文化的職場環境で経験を積み、自身の能力を最大限に発揮することが可能となります。」

今回の協定は、近年進められている日本の 外国人材受け入れ政策 の一環とも位置付けられている。2019年に創設された 特定技能制度 や、技能実習制度の見直し議論とも連動し、より質の高い労働力交流の実現が目指されている。

日本政府は、透明性と適正な就労環境の整備を重視しており、「WiseBridge」のような直接型マッチングプラットフォームの活用が、労働者保護と人材の円滑な受け入れの双方に寄与するモデルケースとして注目されている。(原文へ

INPS Japan/London Post

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|カザフスタン|悲劇から寛容へ─宗教間対話と平和、核軍縮への歩み

【東京/アスタナ INPS Japan=浅霧勝浩】

カザフスタンの首都アスタナから西方約40キロの草原で5月31日、カシム=ジョマルト・トカエフ大統領が「政治弾圧・飢饉犠牲者追悼の日」の式典を主宰した。毎年恒例のこの追悼の日は、同国の最も暗い歴史のひとつに思いを馳せる機会となっている。

式典の会場は ALZHIR(アルジル)記念複合施設。ヨシフ・スターリン時代、「国家の敵」とされた人々の妻たち約8,000人が収容されていた強制収容所の跡地だ。|インドネシア語版アラビア語中国語

Source: Map of Gulag locations in Soviet Union, Public Domain
Source: Map of Gulag locations in Soviet Union, Public Domain

「歴史の教訓は決して忘れてはなりません。」トカエフ大統領はこう述べ、スターリン時代の政策がカザフスタンの文化と知性に残した深い傷跡について語った。

こうした経験はスターリン主義的抑圧がソ連全域に及んだ歴史の一部でもある。1945年の日本降伏後、推定56万~76万人の日本人捕虜や民間人がソ連領内に強制移送され、そのうち約5万人がカザフ・ソビエト社会主義共和国(現カザフスタン)の収容所に送られた。カラガンダ近郊のスパスキー収容所などでは、過酷な強制労働と劣悪な環境のもと、多くが命を落とした。

Migration of Kazakh People due to theFamine in 1932 – 33.

自国民も深刻な被害を受けた。1930年代初頭、スターリンの農業集団化政策と遊牧生活の強制的な破壊により引き起こされた大飢饉で最大230万人のカザフ人が犠牲となり、その後の粛清で知識人や地主が処刑・追放された。

1991年の独立以降、カザフスタンはこの痛ましい過去と向き合い、多民族・多宗教の寛容な社会の構築を目指してきた。憲法はすべての民族的・宗教的グループの平等を保障し、30万人以上の犠牲者が近年、公式に名誉回復されている。250万件を超える公文書が機密解除され、大統領公文書館付設の新たな研究センターにより、この困難な歴史の解明が進められている。

こうした歩みは単なる過去との和解にとどまらない。寛容と対話を国家の柱の一つとし、国際的な宗教間対話を外交の中心に据えている。2003年創設の「世界伝統宗教指導者会議」は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教、ヒンドゥー教などの指導者たちが継続的な対話を行う象徴的なプラットフォームだ。

7th Congress of Leaders of World and Traditional Religions Group Photo by Secretariate of the 7th Congress
Palace of Peace and Reconciliation photo: Katsuhiro Asagiri

次回の第8回会議は2025年9月17日~18日にアスタナで開催予定。世界中から宗教指導者、学者、政策担当者が集う見込みである。会場の「平和と和解の宮殿」は、東西の架け橋としてのカザフスタンの役割を象徴している。

こうした取り組みは、宗派間対立や地政学的緊張が深まる現代において、貴重な教訓を提供している。ローマ教皇フランシスコは、2022年の第7回会議で「宗教は戦争や憎悪、敵対や過激主義を煽るのではなく、平和の希望の灯火となるべきだ。」と述べ、宗教間対話と共存の重要性を強調した。

さらにカザフスタンは、ソ連時代の核実験という深刻な不正義にも向き合っている。1949年~1989年にかけてセミパラチンスク核実験場で実施された456回の核実験により、100万人以上が被ばくした。これは今なお続く悲劇である。独立後、同国は世界第4位の核戦力を自発的に放棄し、核軍縮を外交政策の柱に据えてきた。

この核軍縮へのコミットメントは、宗教間外交にも及んでいる。2018年の第6回世界伝統宗教指導者会議以降、カザフスタンは日本の創価学会インタナショナル(SGI)やノーベル平和賞受賞団体・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と緊密に連携し、核兵器使用がもたらす人道的帰結とヒバクシャの証言に根ざした平和、対話、核兵器廃絶という共通のビジョンのもと、核兵器禁止条約(TPNW)の推進と国際協力の深化を図っている。

ALZHIR 記念施設の保存されたバラックや「悲しみの門」は、訪問者に過去の不正義の記憶を伝えている。だが今回の追悼式典と宗教間対話の継続的な取り組みが示すように、カザフスタンはより寛容で公正な未来の構築をめざして歩み続けている。

「このような不正義を二度と繰り返してはならない」――トカエフ大統領の言葉は、同国の内政と国際的な対話と調和を促進するマルチベクトル外交の双方に息づいている。(原文へ

Katsuhiro Asagiri

Katsuhiro Asagiri is the President of INPS Japan and serves as the director for media projects such as “Strengthening awareness on Nuclear Weapons” and SDGs for All” In 2024, he was honored with the “Kazakhstan Through the Eyes of Foreign Media” award, representing the Asia-Pacific region.

This article is brought to you by INPS Japan in collaboration with Soka Gakkai International in consultative status with ECOSOC.

INPS Japan

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気候正義:島嶼のレジリエンス

【Inter Press Service】

海面上昇、サンゴ礁の死滅、種の絶滅——。そんな見出しが世界を覆う中、多くの人は「失われていく物語」ばかりに目を向けがちです。
しかし、気候変動の最前線は、希望の最前線でもあるとしたらどうでしょうか。

ガラパゴス諸島からセーシェル、ニュージーランドからパラオまで、島々は異なる物語を紡いでいます。
それはレジリエンス(回復力)、再生、抵抗の物語です。

世界のシステムが停滞し分断が進む中、島嶼コミュニティは一歩先を行き、
緻密かつ緊急性をもって生態系の再生に取り組んでいます。
被害者ではなく、革新者として。

山から海まで、本来の生態系を回復することで、これらのコミュニティは「実践としての気候正義」の姿を世界に示しています。

その成果は明確です。

パルミラ環礁では、ネズミの駆除によって在来樹木が50倍(5,000%)に増加。
その樹冠は今、マンタが泳ぐサンゴ礁を守っています。

カマカ島では、100年もの間姿を消していた鳥が帰還しました。

これらは孤立した奇跡ではありません。再現可能なモデルなのです。

だからこそ、この6月、フランス・ニースで開催される第3回国連海洋会議(UNOC3)には、
世界中のリーダー、科学者、コミュニティの声が集まります。

それは単なるイベントではなく、チャンスです。
—— 島嶼主導のソリューションを広げるチャンス
—— 回復のための資金を源流に届けるチャンス
—— 先住民の知恵を世界の政策に反映させるチャンス

耳を傾け、学び、行動する場となります。

その一例が「アイランド・オーシャン・コネクション・チャレンジ」
50のパートナー、20の生態系、1つのビジョン。
2030年までに40の島―海洋システムを包括的に再生**する取り組みです。

これは単なる環境保護運動ではありません。
気候正義であり、生物多様性の正義でもあり、食料安全保障、文化の継承、経済革新なのです。
しかもそれは、昔から土地と海のリズムを知るコミュニティ自身が主導しています。

地域の行動が世界の未来を形作る力があります。
解決策を実践している人々の声を届けることにも。
そして、権利を守り、生態系を回復し、希望を再生する活動を支援することにも力があります。

「島々の海」は再び立ち上がれるのです。
潮ではなく、決意によって。

ぜひ、ニースでのUNOC3に参加するか、この運動をフォローしてください。
科学を支援し、コミュニティを応援し、ソリューションを広めましょう。

今日、島に投資することは、明日の海を守ることなのです。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

欧州の廃棄物、重要原材料需要の半分超を賄える可能性 報告書

インド・スリナガルIPS=ウマル・マンゾール・シャー

欧州で増え続ける大量の廃棄物が、重要原材料の有力な供給源の一つになり得ることが、最新の包括的な報告書で明らかになった。同報告書は、グリーン経済とデジタル経済に不可欠な鉱物資源をめぐり、地政学的リスクと国際競争が高まっていると警告している。ホライズン・ヨーロッパの資金提供を受けたFutuRaMプロジェクトが公表した同報告書によると、欧州の「都市鉱山」には、使用済み電池、電子廃棄物、使用済み自動車、建設廃棄物、解体された風力タービンなどの中に、膨大な量の有用な資源が含まれている。|英語版

同プロジェクトの研究者らは、欧州が重要原材料の輸入依存を減らすには、リサイクル、回収、追跡の各制度を早急に改善する必要があると指摘している。こうした重要原材料の多くは、供給が少数の国に集中している。

報告書は、「FutuRaMプロジェクトは、欧州の都市鉱山に含まれる二次原材料および重要原材料に関する知識基盤を強化するうえで、大きな前進である。」としている。

国連訓練調査研究所(UNITAR)でサステナブル・サイクル部門の上級科学専門官を務めるケース・バルデ氏は、IPSの独占インタビューに対し、この研究では7つの廃棄物の流れに含まれる42種類の重要原材料をマッピングしたと述べた。その結果、重要原材料の最終消費において一次原材料を代替できる割合は、現時点では全体で最大27%にとどまることが示されたという。

「2050年までには、代替可能性は50%を超える可能性があります。同時に、現在より10種類多い、最大24種類の重要原材料を、分析対象となった廃棄物の流れから調達できるようになる可能性があります。新たに対象となるものには、永久磁石に含まれるネオジム、ジスプロシウム、テルビウム、サマリウム、プラセオジムなどの希土類元素に加え、電池に含まれるリチウム、コバルト、セリウムなどがあります。」とバルデ氏は述べた。

この研究は、欧州各国政府が、電気自動車の電池、風力タービン、太陽光パネル、デジタル技術に使われるリチウム、コバルト、ニッケル、希土類元素の供給確保を急いでいるさなかに発表された。

研究者らによれば、このプロジェクトは「地政学的不確実性の高まり、エネルギー転換とデジタル移行の加速、重要原材料の安定供給をめぐる懸念の拡大」を背景に進められた。

欧州が現在、リチウム、コバルト、希土類元素などの原材料をめぐってどの程度脆弱な立場にあるのかを問われ、バルデ氏は、これらの多くがEU域外から調達されており、供給元も一国またはごく少数の国に限られていると述べた。

「一方で、これらはデジタル化、再生可能エネルギー技術、軍事分野に不可欠です。そのためEUの重要原材料リストに含まれており、EUの脆弱性につながっています。」

報告書は、使用済み電池、建設・解体廃棄物、使用済み自動車、鉱業廃棄物、スラグ・灰、廃電気・電子機器、解体された風力タービンという7つの主要な廃棄物流を対象としている。

プロジェクトの重要な発見の一つは、欧州では回収システムの脆弱さ、報告規則の分断、廃棄物の違法な流通により、依然として相当量の有用資源が失われているという点である。

報告書は、「EU加盟国間で、廃棄物の分類、報告制度、廃棄物でなくなる基準が依然として分断されており、二次原材料の単一市場の機能を損なっている」と警告している。

バルデ氏によれば、回収率が高く、損失量が少ない分野として最も優れているのは、使用済み自動車と建設・解体廃棄物だという。

「どちらも回収率が高く、アルミニウムや銅などを多く含む一部の部品については分別回収が行われています。それでもなお、前述のように、希土類金属などいくつかの重要原材料では損失が生じています。損失量の面で最大の弱点となっているのは、スラグや灰といった産業残渣です」とバルデ氏は述べた。

プロジェクトは2050年までの長期モデルを用い、政策やリサイクルシステムの違いが将来の資源回収にどのような影響を及ぼすかを検証した。研究者らは、「現状維持」「回収」「循環型」と名付けた3つのシナリオを設定した。

報告書によると、回収システムを改善すれば、廃棄物流から取り出せる利用可能な資源量を大幅に増やすことができるという。研究者らはまた、廃棄物に潜在的に含まれる原材料と、処理後に実際に回収できる原材料を区別する新たな回収モデルも構築した。

一般に「電子廃棄物(e-waste)」と呼ばれる廃電気・電子機器は、今後、貴重な鉱物資源の重要な供給源の一つになるとみられている。この研究では、電子機器に含まれる銀、金、コバルト、ガリウム、ネオジム、パラジウム、タングステンなどの重要原材料を対象に調査した。

Construction and demolition waste has one of the highest rates of waste recovery. Credit: FutuRaM

プロジェクトでは電池についても詳細に調査し、リチウム、コバルト、ニッケル、黒鉛、銅などの材料に焦点を当てた。研究者らは、現在のリサイクル技術と将来の回収システムの双方を検討した。

一方で報告書は、欧州の廃棄物流をめぐって、大きなデータギャップと不確実性が存在することも認めている。

報告書は、「FutuRaMで策定された結論と提言が科学的に妥当で、政策立案に資するものとなるよう、データ品質の包括的な評価が不可欠である。」と述べている。

研究者らは、多くのデータセットが不完全であるほか、商業上の機密を含んでいたり、国によって整合性を欠いていたりすると指摘した。場合によっては、機密保持上の懸念から、産業界のデータは匿名化したうえでしか利用できなかった。

透明性を高めるため、プロジェクトは妥当性、正確性、一貫性、適時性、完全性など6つの要素に基づくデータ品質評価の枠組みを策定した。

同プロジェクトの影響は、すでに欧州の政策決定者にも及んでいる。報告書によれば、FutuRaMは欧州委員会および共同研究センターと緊密に連携し、EU重要原材料法の実施を支援した。

報告書は、「FutuRaMは、関連する重要原材料を含む製品、部品、廃棄物流を特定することにより、加盟国が同法の規定を遵守するためのデータと知見を提供してきた」としている。

研究者らはまた、UNFCとして知られる国連資源分類の枠組みを用いて20件のケーススタディを実施し、回収プロジェクトの実現可能性を評価した。

同プロジェクトは、欧州域外からも国際的な注目を集めている。報告書によれば、FutuRaMの成果は、シンガポール、ブラジル、タイ、カナダ、日本、ケニア、パナマなどで開催された132件の外部イベントや会議で発表された。

2025年の「国際電子廃棄物デー」に合わせて発表された関連報告書は、55カ国の約900のオンラインニュース媒体に取り上げられ、27言語で掲載された。

電子廃棄物に関する世界の生産者責任組織を代表する国際団体、WEEEフォーラムのパスカル・ルロワ事務局長は、IPSニュースの単独インタビューに対し、「電子廃棄物を入手・取り扱うすべての主体は、追跡可能性を確保するため、自らの活動を報告すべきです。同時に、執行体制と当局の役割を強化する必要があります」と述べた。

同氏はまた、関連技術への投資を拡大するとともに、電子廃棄物管理のインフラを改善する必要があると指摘した。

SDGs Goal No. 12
SDGs Goal No. 12

「加えて、啓発キャンペーンと適切な資金確保が不可欠であり、都市鉱山プラットフォームを制度化すべきです。最後に、処理基準の順守には法的拘束力を持たせなければなりません」と同氏は述べた。

研究者らは、欧州が廃棄物を信頼性の高い戦略資源へと転換するには、より強固な法制度、標準化された報告制度、より優れたリサイクルインフラが必要だと主張している。

報告書は提言の一つとして、「二次原材料の分類、報告、ライフサイクル追跡に関する欧州共通の調和化された枠組み」の整備を求めている。

また欧州各国政府に対し、違法な廃棄物輸出への取り締まりを強化し、市場監視を改善するとともに、リサイクル処理能力とデジタル報告システムへの投資を進めるよう促している。

「EU域内のリサイクル由来の供給と、EU製造業の需要を結び付ける必要があります」とバルデ氏は述べた。

INPS Japan/IPS UN Bureu Report.

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核不拡散再検討会議の議題、依然として不透明

【ニューヨークIPS=ナウリーン・ホセイン】

核兵器不拡散条約(NPT)が地政学的な打算と不信の重圧によって崩壊することは決して許されない—国連で開催された準備委員会で各国はそう訴えた。

今年4月28日から5月9日にかけて開かれた「2026年NPT再検討会議に向けた第3回準備委員会」では、条約および来年の再検討会議に関連する手続き上の課題が議論された。これは再検討会議に向けた最後の準備会合であり、各国がNPTの原則を再確認する貴重な機会でもあった。|ENGLISH|ひん今年4月28日から5月9日にかけて開かれた「2026年NPT再検討会議に向けた第3回準備委員会」では、条約および来年の再検討会議に関連する手続き上の課題が議論された。これは再検討会議に向けた最後の準備会合であり、各国がNPTの原則を再確認する貴重な機会でもあった。|英語版|ヒンドゥー語|

会期中、各国代表団は自国の立場を表明し、2026年会議の議題を形作る勧告案について討議を重ねた。加盟国のみならず、市民社会団体も核兵器問題の緊急性を強調し、加盟国に行動を求めた。

ICAN
ICAN

「核兵器の存在は依然として、地球上の生命の存続を脅かす最も切迫した危機のひとつです。」と「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のアドボカシー担当官フロリアン・エブレンカンプ氏は語った。さらに、「NPTの不拡散規範が地政学的な打算と不信の重圧によって崩れることがあってはなりません。NPTの将来を確かなものにするためには、加盟国が明確なメッセージを発する必要があります—核兵器は拡散されず、共有されず、正当化されてもなりません。」と続けた。

委員会議長を務めたのはガーナの国連常駐代表であるハロルド・アジェマン大使。会期冒頭で記者団に対し、「2026年再検討会議の成功は、加盟国がNPT上の義務履行においていかなる政治的意思を示すか、また既存の約束履行に対する説明責任をいかに強化するかにかかっている。」と語った。

アジェマン大使はさらに、「核軍縮における実質的な進展の欠如、そして新たな拡散のリスクが、非核世界の実現を目指して築かれてきた規範と体制を脅かしていることに、多くの人々が懸念を抱いている。」と語った。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

今回の第3回準備委員会は、世界的に核拡散とエスカレーションへの不安が高まる中での開催となった。インドとパキスタン間の最近の軍事衝突により、2つの核保有国間の戦争懸念が世界に広がっている。また、4月以降、イランと米国は新たな核合意に向けた交渉を続けているが、イランの核開発制限を巡って膠着状態に陥る場面も見られた。

さらに、ロシアとウクライナの戦争など他の大国間の緊張も加わる中、各国がNPTの義務を誠実に履行し、不拡散に向けた緊急の行動を取るべき局面となっていた。しかし、会期終了時点で勧告案は合意に至らず、改訂版もコンセンサスを得ることはできなかった。こうした結果は、これまでの準備会合でも成果文書が採択されなかったという懸念すべき傾向を引き継いだものとなった。

5月9日の閉会に際して、エジプト代表団の1人は「透明性と説明責任をめぐる強化された手続きにおいて、期待された進展は得られず、遺憾である。議論自体は成熟しており、相互尊重と多国間主義への誠意ある姿勢に支えられていた。」と語った。

多くの代表団はNPTへのコミットメントと再検討プロセス強化への意志を改めて表明したが、一方で「複雑な地政学的状況」が合意形成の大きな障害となっていることも繰り返し言及された。

市民社会団体も今回の合意不成立に失望の意を示した。ICANは「現状のリスクに対する恐るべきまでの緊張感の欠如」を反映していると非難。さらに「Reaching Critical Will」は、核保有国が国際法とNPT上の義務に背いて核兵器廃絶に応じていないと強く批判した。

Ambassador Dang Hoang Giang, Permanent Representative of Vietnam to the United Nations. / UN Photo.

「NPT再検討会議(RevCon)は、2026年4月27日から5月22日までニューヨークで開催される予定であり、議長にはベトナムの国連常駐代表が指名された。」ダン・ホアン・ザン国連常駐代表は、議長として「包摂的で透明性があり、バランスの取れた議事運営」を旨とし、すべての加盟国の視点と利益が尊重されるよう努める意向を示した。

「今後の道のりは決して平坦ではありませんが、私たちは、集団的な知恵と共有された決意によって有意義な進展が実現可能であると確信しています。強固で効果的な条約は、すべての人々にとって、より安全で安心な世界を築く力となるでしょう。」とザン大使は語った。

核兵器の存在とその脅威はいまだに世界に重くのしかかっている。だからこそ、核兵器を単なる歴史の遺物として片付けることはできない。現代の地政学にもその影響は色濃く残っている。もし核不拡散の精神が今なお生きているのであれば、国際社会はNPTやその他の軍縮条約を積極的に擁護し続けるべきであり、一部の国々だけに世界の議題を左右させてはならない。これは不断の取り組みが求められる課題であり、不拡散と多国間主義が今後も損なわれないよう、国際社会は警戒を怠ってはならない。(原文へ

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治療体制の不足がシリアの人々をメンタルヘルス危機にさらす

【イドリブ(シリア)IPS=ソニア・アル・アリ】

長年にわたるシリア紛争は、物理的な破壊にとどまらない深い傷痕を残してきた。その傷は、数百万人の心の健康にも及んでいる。精神疾患や自殺の増加が深刻化する中、精神科医療と心理社会的支援は、シリアの人々にとって最も切迫した医療ニーズの一つとなっている。|ENGLISH

UNICEFによると、シリアでは約750万人の子どもが人道支援を必要としている。繰り返される暴力と避難生活に加え、壊滅的な経済崩壊、深刻な貧困、感染症の流行、大地震が重なり、何十万人もの子どもが長期にわたる身体的・心理社会的影響を受ける危険にさらされている。

10歳のワリド*は、シリア北部の農地で父親が地雷の爆発により死亡する場面を目撃して以来、繰り返す悪夢と記憶のフラッシュバックに苦しんでいる。

母親は涙ながらに、その悲劇を語った。

「アサド政権からこの地域が解放された後、私たちは家に戻りました。夫は農地と果樹の様子を見に行ったのですが、その時に地雷が爆発し、夫は亡くなり、息子も負傷しました。それ以来、ワリドは心的外傷に苦しみ、医師からは臨床的なうつ状態だと説明されました」

ダマスカス出身の29歳の女性、サルワ・アルアベドもまた、同じような苦しみを抱えている。旧シリア政権の拘禁施設で約3年間を過ごした彼女は、暗闇と拷問の響きに支配された日々の記憶に、今も苦しめられている。

彼女は、自らの苦しみの原点をこう振り返る。

「拘禁されていた期間は、私の人生で最も過酷な時間でした。私たちは毎日、容赦のない拷問を受けました。時間の感覚を失い、昼なのか夜なのかも分からなくなりました。釈放後、私は重いうつ状態に陥りました」

サルワは完全に引きこもり、家族や友人、同僚との関係を断った。小さな部屋の中で、まるで囚人のように暮らし、心ここにあらずの状態で絶望の中に沈んでいた。そんな彼女が、精神保健の専門家の診察を受けることになったのは、ある日のことだった。

家族はその専門家を「親しい友人」として彼女に紹介した。彼ならサルワを苦しみから救い出せると考えたからだ。当初、サルワ自身は自分の心の不調がどれほど深刻なのかを理解していなかった。しかし、専門家との継続的な面談が大きな転機となり、深刻な精神的苦痛を乗り越えるための治療が始まった。

Mental health facilities and practitioners are few and far between. Credit: Sonia al-Ali/IPS
社会的スティグマと人々の認識

シリア社会には、精神疾患をめぐる根深い社会的スティグマがある。そのため、多くの患者は「正気を失っている」「弱い」と見なされることを恐れ、支援を求められずにいる。

心理カウンセリングの専門家である42歳のアラー・アルラシド氏は、近年、シリアでは年齢層を問わず精神疾患が大幅に増えていると指摘する。長引く戦争と避難生活、社会制度の不安定化がもたらした累積的な影響に加え、生活苦と経済危機が、この増加に拍車をかけている。

アルラシド氏はこう説明する。

「精神疾患に最も脆弱なのは、障害のある人々、拘禁を生き延びた人々、そして戦争で近親者を失った人々です」

同氏はさらに、誤った対処に頼ることの危険性にも警鐘を鳴らす。一部の患者は呪術的な施術者に頼ったり、薬物に手を出したりするが、そうした行為は症状を悪化させ、依存症につながることも少なくないという。

「シリアでは、専門的な精神科治療センターが極めて不足しています」とアルラシド氏は語る。「しかし、最大の課題は単にサービスを整備することではなく、患者が支援を求められるようにすることです。社会の中では、精神疾患は恥と見なされ、多くの人が沈黙を強いられています。そのため、私たちは心理面談の秘密保持を徹底し、患者が自信を取り戻し、トラウマの影響に向き合えるよう支援しています」

アルラシド氏はまた、精神疾患を抱える人々が深刻な社会的孤立に陥りやすいとも指摘する。社会が彼らとの関わりを避け、接触を恐れることで、孤独感と絶望感はさらに強まる。こうした疎外は回復を妨げ、心理的・社会的な安定にも悪影響を及ぼす。

同氏は、精神疾患は道徳的欠陥でも恥でもなく、身体疾患と同じ医療上の問題であると強調する。メンタルヘルスは、身体的健康と同様に、基本的人権として保障されるべきものだという。

さらにアルラシド氏は、精神疾患をめぐる誤解を解き、社会の意識を高めるためには、メンタルヘルスに関する啓発・教育キャンペーンが不可欠だと述べる。こうした取り組みでは、精神疾患の性質、治療が可能であること、早期介入の重要性について、科学的根拠に基づく情報を提供する必要がある。学校、大学、地域センターなどに組み込まれるべきだと同氏は提案している。

精神科医療を求めること自体が重い負担に

シリアの医療制度は、精神科の専門人材の深刻な不足に直面している。心理的支援や臨床治療を十分に提供できる施設も限られている。この不足は、とりわけ農村部や避難民キャンプで暮らす人々に大きな影響を及ぼしており、多くの患者は治療を断念するか、医学的根拠に乏しい代替手段に頼らざるを得ない状況に置かれている。

保健局メンタルヘルス部門の責任者であるグホスーン・ヘガジ氏は、こう述べる。

「紛争によるトラウマと、生存を脅かすストレスが長年にわたり積み重なってきました。その結果、メンタルヘルスサービスの提供は、もはや二次的・選択的なサービスではなく、プライマリーヘルスケアの不可欠な柱となっています」

シリア北部の精神科専門職の数について、ヘガジ氏は次のように説明する。

「イドリブ県には現在、専門の精神科医がわずか2人しかいません。これに加え、精神科を専門とする研修医が8人います。この人数は、人口規模と増大する人道的ニーズに照らして、まったく不十分です」

比較のために言えば、世界平均では精神科医の数は人口10万人あたり約13人とされる。低所得国ではこの割合が10万人あたり0.1人未満にまで落ち込み、この地域で専門人材がいかに深刻に不足しているかを浮き彫りにしている。

入院治療については、イドリブ北部のサルマダにメンタルヘルスユニットがある。しかし、同施設の入院用ベッドはわずか15床にすぎず、男性用10床、女性用5床に限られている。入院と専門的な臨床管理を必要とする患者数に比べれば、著しく不十分な規模である。このほかには、基礎的な心理社会的支援を提供するセンターが点在しているにすぎない。

ヘガジ氏によると、シリアで最も多く見られる精神疾患は、うつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)であり、睡眠障害や慢性的なストレスも広がっている。子どもや若者は、幼い時期からトラウマにさらされ、基本的な安心感を失っているため、特に影響を受けやすい。さらに女性は、社会経済的な圧力に加え、主な稼ぎ手を失うことによって、より大きな負担を強いられている。一方、働く年齢層の若者も、構造的な失業と不安定な生活環境により、深刻な心理的負担を抱えている。

2025年のUNICEF報告書も、この危機の深刻さを裏付けている。同報告書は、過去10年に戦争や紛争を経験した人の5人に1人が、うつ病、不安障害、双極性障害、または統合失調症を患っていると指摘している。

施設の不足と、支援を求めることへの不安は、シリアがSDGsの目標3.4を達成する上でも障害となりかねない。同目標は、非感染性疾患とメンタルヘルスに焦点を当て、予防と治療、メンタルヘルスとウェルビーイングの促進を通じて、自殺による死亡を含む非感染性疾患による早期死亡を3分の1減少させることを目指している。

シリアで増加する自殺

精神疾患を抱える人々の状態悪化に、経済的・社会的ストレスが複雑に重なり、自殺行動のリスクは高まっている。さらに、メンタルヘルスサービスへのアクセス不足が状況を悪化させており、早期介入と心理社会的支援体制を大幅に強化しなければ、自殺がさらに増加する恐れがあるとの懸念が広がっている。

アレッポ出身の23歳の若者*は、戦争で脊髄を損傷し、麻痺によって学業や就労の道を断たれた後、自殺を図ったが、一命を取り留めた。彼はその後、深刻な心理的トラウマに苦しむようになった。

母親は、彼らが置かれた過酷な現実をこう語る。

「息子は幻覚や幻聴に苦しんでいますが、治療を頑として拒んでいます。私たちはこのつらい状況に耐えていますが、彼を説得することができません。本人は自分は完全に健康だと言い張り、あらゆる支援を拒んでいます。状態は日ごとに悪化しています」

母親によると、ハッサンは致死量に相当する薬を飲んで命を絶とうとし、緊急入院によってかろうじて救命された。彼は社会的に孤立し、ほぼ毎日のように大声を上げる発作に苦しみ、鎮静剤や麻薬性物質への依存も強まっているという。

「シリア対応調整チーム」のデータによると、2024年を通じて自殺は明らかに増加した。シリア全土では、自殺による死亡が104件、自殺未遂が87件記録された。特にシリア北西部では、2024年初め以降、自殺による死亡37件、自殺未遂21件が記録され、前年同期比で14%増加した。

精神疾患は、臨床的介入の遅れと根強い社会的スティグマにより、沈黙のうちにシリア社会をむしばんでいる。この国を引き裂いた戦争は、物理的なインフラや人々の身体を破壊しただけではない。社会全体の心にも深く入り込み、癒やすことが極めて困難な内面の傷を抱えた世代を残している。

*氏名は身元保護のため伏せられている。

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|カザフスタン|アルジャジーラのインタビューに見る均衡ある外交と改革

【アスタナThe Astana Times=ダナ・オミルガジー】

5月29日に行われたアルジャジーラのインタビューで、カシムジョマルト・トカエフ大統領は、カザフスタンの外交政策、経済発展、政治改革への取り組みについて語った。大統領は、世界の変化に適応しつつも、国内の安定維持、パートナーシップ強化、そして長期的かつ実践的な改革の推進に引き続き取り組む姿勢を強調した。

均衡的かつ予測可能な外交政策

トカエフ大統領は、カザフスタンの外交政策は引き続き安定しており、伝統的な原則に基づいていると語った。

「外交政策に大きな改革を加えているわけではありません。なぜなら外交は非常に保守的な分野だからです」と語った。カザフスタンは引き続き大国間のバランスを取りつつ、自国の国益を守る政策を継続しているという。

また、大統領は、世界情勢の変化を受けて、輸送ルート多様化の重要性を指摘し、トランス・カスピ海国際輸送回廊、いわゆる「ミドル・コリドー(Middle Corridor)」の役割を強調した。

Middle Corridor. Photo credit: TITR
Middle Corridor. Photo credit: TITR

「我々にとって優先課題は、対外的な輸送ルートを多様化することです。」と語った。

カスピ海パイプライン・コンソーシアム(CPC)がロシアを通過していることによる依存リスクが指摘されているが、トカエフ大統領はロシアを引き続き戦略的パートナーと位置づけた。

「我々はロシアとの戦略的パートナーシップを堅く信じています。」と述べ、同時に代替ルートの整備も進めていることを明らかにした。

グローバル協力における役割

トカエフ大統領は多国間主義(マルチラテラリズム)の推進と国連改革への強い支持を表明し、中堅国であるカザフスタンの役割強化が必要だと主張した。

「多国間主義は弱体化しています……これは世界にとって大きな課題です。」と語った。

カザフスタンが最近、BRICSグループでオブザーバー資格を得たことについては、現実的な姿勢を示した。

「まずはBRICSが、宣伝されている通り本当に効果的な国際組織になるのかを見極めるべきです。」と語った。

Central Downtown Astana with Bayterek tower/ Wikimedia Commons
Central Downtown Astana with Bayterek tower/ Wikimedia Commons

経済成長

トカエフ政権下でカザフスタン経済は大きく成長し、GDPは2019年以降、55%増加した。しかし大統領は、国内の富の不均衡が依然として課題であると認めた。

「これは大統領として私が非常に懸念している問題です」と語った。

アルジャジーラの記者によると、「国内では最富裕層1%が約30%の富を保有している一方、所得分布の下位50%は5%未満の富しか保有していない。」というデータがある。

この状況を改善するため、大統領はインフラ整備、デジタル化とAI、農業、輸送・物流の4つを重点分野として挙げた。また、依然として石油・ガス輸出が経済の中心を占めているものの、今後はより多様化した経済への移行を目指していると語った。

「カザフスタンは2060年までに石油・ガス中心の経済から多様な経済へと転換することを目指しています。」と語った。

デジタル化も重要な優先事項だという。

「私の夢は、カザフスタンがいつか完全にデジタル化された国になることです……5年以内にそれは十分可能です。」と強調した。

着実な政治改革

Kazakhstan celebrates peoples unity day. Cedit Silkway TV
Kazakhstan celebrates peoples unity day. Cedit Silkway TV

トカエフ大統領は国内の改革プログラムにも言及し、政治的安定の重要性を訴えた。

「安定がなければ改革も近代化も、社会の変革もありません。」と語った。

大統領は、一度限りの7年制大統領任期の導入や、旧支配層に対する汚職捜査などを進展例として挙げた。

政治改革は今後も継続すると明言している。

「カザフスタンは改革志向の国です。我々は引き続き改革を進めていきます。」と語った。

未来へのビジョン

将来を見据えて、大統領は長期的な視点の重要性を強調した。

「AI、デジタル化、若い世代への教育に注力するべきです……国家間の紛争や戦争は時代遅れのものに見えます。」と語った。

UN Photo
UN Photo

そして最後に、国家リーダーとしての姿勢と民主主義の原則を明確に表明した。

「大統領は神の使者ではなく、国家の管理者です。私はすでに2029年には退任することを表明しています。これは国民の要請なのです。」と締めくくった。(原文へ

INPS Japan/The Astana Times

Oritinal Link: https://astanatimes.com/2025/05/president-tokayev-outlines-balanced-diplomacy-and-reforms-in-al-jazeera-interview/

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これらの太古の海洋生物は気候変動を生き延びられるのか?


【インド・ブバネシュワル IPS=マニパドマ・ジェナ】

11月になると、東インドのオディシャ州沿岸のわずか5キロメートルの浅瀬に、数万匹のオリーブリドリウミガメ(Lepidochelys olivacea)の雄が集まり始める。雌の到着を待つためだ。

この太古の海洋生物の生存は、適切なつがい形成と交尾に大きく依存してきた。しかし、世界中の研究結果は、長期的には交尾場で雄の数が減少し、雌が圧倒的多数になる可能性があることを示唆している。

いくつかの研究では、気候変動による砂温度の上昇により、孵化する子ガメの性比が雌に偏っていることが明らかになっている。

妊娠したリドリウミガメは、深さ約18インチのフラスコ型の巣穴を掘り、120〜150個の卵を産む。産卵後、後肢で砂をかけて巣を覆い、45〜55日間砂の中で自然孵化させる。小さな子ガメは夜間、表面の砂が冷えるのを待って自力で地上に出て、月光や星明かりが水面に反射する明るい地平線を頼りに海へと走る。

ウミガメは温度依存性の性決定を持つため、産卵地での孵化温度の上昇は、個体群の「極端な雌化」を引き起こす可能性があると科学者たちは警鐘を鳴らしている。

孵化性比、雌に大きく偏る?

オディシャ州ルシクリヤ海岸で15年間行われた研究では、孵化するオリーブリドリウミガメの性比は平均71%が雌で、年によっては90%以上に達することもあった。

オディシャ州のガヒルマタとルシクリヤは、オリーブリドリウミガメの世界最大級の産卵地であり、同規模の産卵地はメキシコとコスタリカにも存在する。

「2009年から20年の11年間、大半の年で雌に偏った性比が確認され、2011年と20年に最も高かった」と、インド科学研究所(IISc)生態科学センターのカルティク・シャンカー教授は、ダクシン財団による研究成果についてIPSに語った。

ウミガメの卵は、摂氏25〜35度という狭い温度範囲内でのみ正常に孵化できる。この範囲を超える高温では、孵化率が低下し、形態異常の増加が確認されている。

Comprehensive impact of climate change on all species of sea turtles and suggested mitigation strategies. Credit: Extracted from open-access study by Nikolaos Simantiris
The nesting site in Odisha, on India’s east coast, is home to thousands of sea turtles during mating season. Courtesy: Dakshin Foundation

孵化温度の「ピボタル(分岐)温度」は約29度で、この温度では性比が1対1に近づく。それより高温では雌が多く、低温では雄が多くなる。

たとえば孵化温度が平均30度から31度に1度上がっただけで、孵化成功率が最大25%低下する可能性があるという研究もある。

国際自然保護連合(IUCN)は、一部の産卵地では緑ウミガメの孵化性比が雌99%という極端な例も報告している。

WWFインドの海洋種リーダーであるムラリダラン・マノハラクルシュナン氏はIPSに対し、「通常は50:50の性比が理想とされますが、熱帯や温帯など地理的な違いにより、60:40や70:30も許容範囲です。しかし、極端な雌偏りが5〜10回続く場合は警戒が必要で、緩和措置が求められます」と語った。

暑すぎる気候=異常な孵化

近年の気候変動は、性比の偏りだけでなく、さらに深刻な影響をもたらす恐れがある。長期的には、繁殖頻度の低下、卵の受精率低下による孵化成功率の低下が懸念されている。

Trained community youngsters called Marine Scouts carry green turtle Kai to release her into the Indian Ocean in Watamu, Kenya. Credit: Manipadma Jena/IPS

さらに高温は胚の発育を早め、孵化期間が短縮されることで、より小型で運動能力の低い、エネルギー蓄積能力の低い子ガメが生まれ、生存率が低下する。

Kai a 3-year-old green sea turtle is released back into the turquoise waters of the Indian Ocean off Kenya’s coast after hospitalization. As temperatures rise, will more hatchlings be born in controlled environments rather than in the wild? Photo Credit: Manipadma Jena/IPS

すでに脅かされてきたウミガメたち

温暖化は新たな脅威だが、ウミガメたちはこれまでも様々な人為的な圧力にさらされてきた。主なものは、漁業用の網(特に底引き網)による混獲、港湾や観光施設の建設、海岸浸食や砂の採取による産卵地の減少などである。

卵や肉の密猟は地元住民の意識向上で大幅に減少したが、人工照明による光害は増加している。これにより、孵化した子ガメが海とは逆方向に向かい、多くが命を落とす。

実際、オリーブリドリウミガメの子ガメが成体になる確率は、海に入った1,000匹のうちわずか1匹とされている。

最も豊富なオリーブリドリ、だが今後は?

オリーブリドリウミガメは世界で最も個体数が多い海洋ウミガメとされているが、2008年にIUCNは過去の推定で世界的な個体数が約30%減少したことから「危急種(Vulnerable)」に指定した。

ただし、IIScのシャンカー教授ら一部の科学者は「現在のインド沿岸のオリーブリドリは好調」とみている。

Rising temperatures impact the sex ratio of olive ridley hatchlings. Courtesy: Dakshin Foundation

これまで温暖化の影響研究は北西大西洋や地中海で主に行われてきたが、今回のダクシン財団の研究はオリーブリドリに特化したものとして貴重だ。

オリーブリドリは全長60〜70センチ、体重35〜50キロの中型種。スペイン語で「到来」を意味するアリバダ(arribada)という集団産卵行動で知られ、これはユニークである反面、人為的な環境変化や温暖化の影響を受けやすい。

コミュニティの力がカメを守る

今年2月、ルシクリヤ海岸では過去最多の80万個の巣が確認された。ボランティアたちは「海岸はウミガメで埋め尽くされ、歩く場所もないほどだった」と話す。こうした成果は、地域住民主体の保護活動の賜物だ。

政府は産卵期の4か月間、禁漁区域を設定し、漁師に補償金を支払っている。国際的にもウミガメ製品の取引は禁止されている。だが最大の成果は、NGO、政府、沿岸警備隊、地元の漁師を含むボランティアの一体的な取り組みにある。

若い子どもたちまでが進んで保護活動に参加している。地元ボランティアは孵化した子ガメを安全に海へ送り出し、巣の監視やフェンス設置、夜間の見回りも行う。かつて盛んだった卵の密猟は減ったが、犬や鳥による捕食リスクは残っている。

長期的な追跡調査が鍵

シャンカー教授によると、「私たちはまだオディシャ州でのみ研究しており、長期的な人口動態を把握するには何十年もの追跡調査が必要です。ウミガメは長寿で成熟も遅いため、変化は数年単位で現れます」と述べている。

将来的には、より正確な性比データを得るため、胚成長モデルの活用などさらなる研究が計画されている。(原文へ)

INPS Japan/IPS UN Bureau

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