【プノンペンIPS=アンドリュー・ネット】
裁判の開始は、法廷の遅れと不必要な官僚主義に対するとりわけカンボジア人からの批判を鎮めるのに大いに役立つだろう。こうした批判が、裁判の開始と公正なプロセスを求める圧力となってきた。
もうひとつ、被告人5人の健康も圧力となっている。全員が年老いており、多くの国民が公正な裁きが下される前に彼らが死亡することをおそれている。
特別法廷の広報担当ヘレン・ジャルヴィス氏は「他の戦犯法廷に比べて、我々は大きく前進している」と言う。国内外多くの評論家も、支援の条件として国連に要求された「この規模および複雑さの裁判を第三国ではなくカンボジアで開く」という困難な試みを考えると、裁判は大きく前進しているとの意見で一致している。
カンボジア裁判所内に設置されたこの特別法廷には、カンボジア人司法官と共に国際司法官が参加し、主にカンボジアのまだ未発達の民法制度を用いて裁判が行われる。
法律扶助活動を行うNGO「Cambodian Defenders Project」の責任者ソク・サム・オウエン氏は「クメール・ルージュ幹部を裁く以上にいくつかの目的がある。新しい法廷のモデルが必要なこと。そして将来のカンボジア指導者にカンボジアには正義があることを警告することだ」と述べている。
しかし、国際人権諸団体は、カンボジアの未発達の司法制度およびカンボジア固有の腐敗汚職が司法手続きに悪影響を及ぼすことを依然懸念している。
人事に関わるリベート、およそ4,400万ドルにも達する資金不足、翻訳作業の大幅な遅れ、証人の保護など問題は多い。開廷が期待されるクメール・ルージュ裁判について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan