SDGsGoal14(海の豊かさを守ろう)太平洋諸国の指導者らが「2050年青い太平洋戦略」を採択―「説明責任を果たす」開発促進を謳う

太平洋諸国の指導者らが「2050年青い太平洋戦略」を採択―「説明責任を果たす」開発促進を謳う

【スバ(フィジー)IDN=セラ・ティコティコバトゥ=セフェティ】

3年ぶりに集まった太平洋諸国の指導者らが、7月11日から14日にかけて開かれた第51回「太平洋諸島フォーラム」で「青い太平洋戦略2050」を採択した。

今回の会合の議長を務めたフィジーのジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相は「この戦略の成功は2つのことにかかっている。第一に指導者が責任を取ること、第二に民衆もまた責任を負っているということだ。」と語った。

この戦略は、①政治的リーダーシップと地域主義、②民衆を中心に据えた開発、③平和と安全、④資源と経済開発、⑤気候変動と災害、⑥海洋と環境、⑦技術と接続性という7つの主要なテーマに焦点を当てている。

戦略の策定には3年の時がかかり、このプロセスに関わる各地の市民団体など様々な利害関係者の関与によって生まれた。この慎重に策定された戦略は、問題となっている領域や実行ガイドラインに焦点を当て、その効果が社会にあまねく広まるようにするものである。

「地域主義」という用語は、外国の地政学的なプレゼンスや、太平洋諸国の指導者らが地域全体で連帯して対処する必要のある緊急の問題に対応しなければならない時に、しばしば持ち出される用語である。

サモアのフィアメ・ナオミ・マタアファ首相は、対面で対話をすることの重要性に言及して、「いったん引いて考えてみることは、そうでなければなかなか公に議論することのないような緊急の課題について私達指導者が議論し、討論し、解決策を見つけていく完璧な機会を提供している。」と語った。

市民社会の関与

太平洋諸島非政府組織協会(PIANGO)のジョサイア・オズボーン副会長はIDNの取材に対して、「私達市民団体のメンバーらもこの3年間戦略の策定に関与してきました。私達がともに協力していけば、戦略を機能させることができると希望を持っています。」と語った。

Photo: French Polynesia Vice President - Jean Christophe Bouissou (left), Pacific Islands Forum Secretary General Henry Puna (centre) and New Zealand Prime Minister Jacinda Arden(right) enjoy a light moment after the presentation of the final communique of the PIF summit. Credit: Sera Tikotikovatu-Sefeti.
Photo: French Polynesia Vice President – Jean Christophe Bouissou (left), Pacific Islands Forum Secretary General Henry Puna (centre) and New Zealand Prime Minister Jacinda Arden(right) enjoy a light moment after the presentation of the final communique of the PIF summit. Credit: Sera Tikotikovatu-Sefeti.

オズボーン副会長は、今回の戦略について、人々が地域と関わるようになれば、自らの懸念や意見を議論の俎上に載せ、どのような計画であってもその利益を地域の人々に広めることができる余地が生まれる良い兆候だとみている。

「青い太平洋大陸戦略2050」の立ち上げにあたって、バイニマラマ首相は「これは前例の問題でもあるが、私達の未来の問題でもあります。」と述べた。地域として、国として、そしてひとつの「青い太平洋大陸」として、いかに協力できるかが問題となる。「この2050年戦略は、私達が共通に持っているもの、私達の課題や機会に関するものです。」とバイニマラマ首相は語った。

戦略的に民衆を中心に置くアプローチは、現地で進行している作業に、提案され(現在は承認されている)その戦略を関連付けるような形で包括的な計画をつくるということである。どんな構想や計画、問題、解決策が現在進行中であるのかを見ながら、テーマ領域をめぐる現在の状況を検討していく。これに続くのが、パートナーシップと協力、強靭性と福祉、教育、研究と技術、包摂性、平等とガバナンスという6つの戦略的道筋である。最後に、それぞれのテーマ領域毎に期待される目標レベルを検討する。

太平洋諸島フォーラムの地域主義に関する顧問であるジョエル・ニロン氏は、これらのテーマ領域の中心に座っているのは海洋であり、私達は青い太平洋に囲まれて生活しているのだと強調した。

「『青い太平洋大陸戦略2050』は、私達の環境における課題に対してより戦略的かつ長期的な対応をする必要性の中から生まれたものです。」とニロン氏はIDNの取材に対して語った。

「気候変動や既存の課題、それに、地域における地政学的な対立の高まりへの対応として、2019年に太平洋の指導者らが戦略策定を呼びかけた結果として生み出された。」

ニロン氏によると、市民社会や民間部門、太平洋地域組織協議会(CROP)のメンバーのような非政府の主体が、この戦略の策定に協力したという。

民衆を中心に据えたこの新たなアプローチは、この戦略の策定に関与した個々人が舵を取り、戦略が履行され監視されるようにするための答えとなりうるものだ。「太平洋教会会議」のジェイムズ・バグワン師の言葉を借りれば、「この戦略を機能させることが極めて重要です。私達がこのような動きに関与したのは初めてのことで、皆が協力しそれぞれの役割を果たして初めて成功することを私達は知っている。」のである。

ニロン氏も同様の見解を口にした。「私達は団結し、より緊密に協力することが重要です。

SDGs Goal No. 14
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また、私たちには多くの強みがあります。人々、若者、文化には自然な回復力と社会的保護を提供する能力が備わっておりますし、重要な天然資源にも恵まれています。」

地域の指導者らは「青い太平洋大陸戦略2050」を承認し、完全に支持しており、様々な地域の主体がその成功を確実にするために、既に実施を計画している。

「そして、この文脈において、どうやって手をつなぐか、国家としてどう協力するか、そしてもちろん外部の世界とどう相互作用を起こすかということについて、導きの糸となるような長期的な戦略的アプローチが必要です。」とニロン氏は語った。(原文へ

INPS Japan

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