ニュース|パキスタン|オバマ大統領に対する期待と懐疑

|パキスタン|オバマ大統領に対する期待と懐疑

【カラチIPS=ビーナ・サルワール】

世界数10億の人々がテレビ放送されたバラク・フセイン・オバマ氏の第44代米大統領就任式を見守る中、彼の希望のメッセージはパキスタン国民にも共感を与えた。しかし、一部にはシステムの変革は無理との見方もある。


パキスタン国民の多くはまず、オバマ大統領がアフガニスタン国境に近い北部地域の標的攻撃に無人偵察機あるいは遠隔操縦機を送るという米軍の政策を変更するよう欲している。パキスタン政府も、これは好戦性および暴力の拡大を生むだけだとしている。 

教育開発センターの所長で著名なイスラム教学者であるアッバス・フセイン氏は、米新政権の対話の姿勢を歓迎している。しかし、短期、中期の変化に期待してはならないと言う。

 友人と就任式を見ていたカラチの環境活動家アリフ・ペルヴァイズ氏は、「オバマは将来を見据えたダイナミックな人物で、世界の人々に希望を抱かせる100年に一度の逸材だ」と語る。パキスタンの「クリントン気候変動イニシアチブ」の責任者である同氏は同時に、「余り期待過ぎると失望することになるかも知れない。彼一人では米国の政策は変えられないのだから」と語っている。 

一方、家族訪問のため一時帰国しているペルヴァイズ氏の友人は、「オバマが米国の外交/国内政策に劇的な変化をもたらすことはないだろう。イラク戦争は、既に沈静の方向にあり誰が大統領になっても変化しただろうし、グアンタナモ収容所閉鎖も大したことではない」と言う。 

パキスタンのメディアはオバマ氏とパキスタンとの関係について大きく報道してきた。当時二十歳の学生だったオバマ氏は、1981年に3週間のパキスタン旅行をしており、昨年サンフランシスコの選挙支援組織を訪れた際、この旅行でジョン・マケイン候補やヒラリー・クリントン候補よりも大きな海外経験をしたと語っている。新政権のビル・バートン首席報道官によれば、オバマ氏はロサンゼルスのオキシデンタル・カレッジからコロンビア大学に移るまで、大学時代の友人モハメド・ハサン・チャンデオ氏の所に泊っていたという。オバマ氏自身、回想録の中で数人のパキスタン人学友について明かしている。 

パキスタン国民の中には、このコネクションを強調する者もいるが、ボストン大学のアディル・ナジャム教授は、そうすることは、オバマ氏の若き日の冒険に暗い意味を見出し、策略を巡らすそうと図るオバマ反対派の思う壺にはまることにもなりかねない」と危惧する。 

ある新聞売りは、「米国の政策は、パキスタンと同じく国民ではなく陰の人物によって作られるのだから個人による変革は無理だ」と語った。 

オバマ大統領就任に対するパキスタン国民の声を紹介する。(原文へ) 
 
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

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