トム・サウアーは、ベルギーのアントワープ大学で国際政治学部教授として、国際関係、安全保障、軍備管理に関する講座を担当している。過去には、ハーバード大学ジョン・F・ケネディ行政大学院で研究員を務めた。2019年ロータリー学友世界奉仕賞を受賞した。‘The Nuclear Ban Treaty: A Sign of Global Impatience’ (Survival, 60 (2), 2018, pp.61-72) の共著者(ポール・メイヤー/Paul Meyerと)であり、また、Nuclear Terrorism: Countering the Threat (Routledge, 2016) の共編者(ブレヒト・フォルダーズ/Brecht Voldersと)でもある。
このような現状を踏まえるなら、責任ある主権国家としてNPT締約国は何をするべきだろうか? 一つの選択肢は、トム・ドイル、そしてジョリーン・プレトリウスとトム・サウアーも主張するように、NPTから脱退することである。そうすれば、間違いなくNPTは息絶えるだろう。しかし、誠意ある非核兵器国は、NPT第6条の核軍縮のアジェンダを遂行するために、補足的かつ補強的な条約という手段で、最後の戦いに挑むことを選んだ。戸田記念国際平和研究所の政策提言(Policy Brief No.104 The Humanitarian Initiative and the TPNW, Alexander Kmentt)において、アレクサンダー・クメントは、これに関連する二つの問いを投げかけている。核抑止論には、本質的につきまとう避けることのできないリスクが内在しているにも関わらず、なぜそれらを「責任ある政策と見なせるのだろうか? むしろ、核武装国が明らかに悪循環に陥っているとしたら……非核兵器国の“責任”とは何だろうか?」と。
核兵器禁止条約を支持する意見を、NPT締約国による主権国家としての責任の表れと理解するためには、2005年の世界サミット(国連首脳会合)において全会一致で採択された「保護する責任」(R2P=Responsibility to Protect)の原則を踏まえ、国家主権を責任として再概念化することに目を向ければよいだろう。この世界サミットは、世界の首脳が集まる過去最大の会合であった。R2Pが策定され、「人道的介入」に代わる新たな規範として採択された。NATO首脳が1999年のコソボ戦争を正当化するために主張した「人道的介入」は、非西側社会において、例えば非同盟運動によって、広く批判されていた。
ラメッシュ・タクールは、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院名誉教授、戸田記念国際平和研究所上級研究員、オーストラリア国際問題研究所研究員。R2Pに関わる委員会のメンバーを務め、他の2名と共に委員会の報告書を執筆した。近著に「Reviewing the Responsibility to Protect: Origins, Implementation and Controversies」(ルートレッジ社、2019年)がある。
アフリカのメディアを対象にした調査、支援、アドボカシー活動を通じて、伝統的なステレオタイプ(貧困、病気、紛争、脆弱なリーダーシップ、腐敗)の枠に嵌められいるアフリカのイメージ打破を目指す新たなイニシアチブ「Africa No Filter」について、モキ・マクラ事務局長にインタビューした記事。ANFによると、アフリカ大陸で配信されている報道の約3分の1が依然として域外のニュースソース(情報源)によるものである。(原文へ)FBポスト