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世界の主要な核保有国が戦争回避を訴えー他方で核戦力は強化

【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】

世界の主要な5つの核兵器国(米国・英国・中国・フランス・ロシア)が核戦争の予防とさらなる核兵器の追求の放棄を誓った。しかし、1月3日に発表された5カ国の共同声明には、現在の核戦力の改修・強化の放棄といった反核活動家たちが要求している内容が明らかに取り入れられていない。

Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.
Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.

アクロニム軍縮外交研究所」のレベッカ・ジョンソン代表はIDNの取材に対して、今回の「弱く、不十分な声明」は(国連安全保障理事会の常任理事国でもある)5カ国が「最近は何も合意できない」と思われていただけに歓迎すべきものなのかもしれない、と語った。

「核戦争は戦われてはならないことを認識する方向で一致したことは、もし5カ国がそれを実際に行動で示していたなら、素晴らしいものになっただろう。」

「もちろん、5カ国は、軍事的な対立を避け、互いを標的とすることを避ける必要があるが、核兵器禁止条約に署名し、自ら保有する数千発の核兵器を廃棄する点についてはどうなのか。」とジョンソン氏は問うた。

「しかし、今回の声明は、『核戦争に勝者はおらず、戦われてはならない』とする1985年のレーガン=ゴルバチョフ声明を繰り返しただけで、核禁条約を無視し、言葉に実質を与えるだけの具体的な軍縮行動について何も触れていない」と指摘した。

これはもはや「ジェスチャー政治」ですらない。核保有国は5カ国だけでなく全部で9カ国あり、そのすべてが核戦力の改修・強化に余念がないからだ、と「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN、ジュネーブ)の初代代表でもあったジョンソン氏は語った。

「5カ国は、『未承認あるいは意図しない』核兵器使用を非難しつつも、核兵器が『防衛目的』のためにだけ使用されるのなら問題ないとの見方を示した。これで世界が安心するとでも思ったのだろうか。」

ジョンソン氏は、「たった1回の核兵器使用でも、それが未承認であれ、意図しないものであれ、『防衛的』なものであれ、人道的に壊滅的な被害を引き起こし、核戦争の導火線に火をつける可能性がある。レトリックの下に隠れているのは危険な傲慢と現実の否認だ。」と指摘したうえで、「今のままでは、9カ国のうちどの国であっても、過失あるいは故意によって核兵器を発射する愚かな選択を採る可能性がある。」と語った。

「核兵器を保有しつづけ、それを宣伝あるいは誇示しつづけるかぎり、世界全体に核戦争の危機が存在する。だから、核兵器へのこうした姿勢に終止符をうち、すべての核保有国に対して、彼らが無視するかどうかに関わりなく、その核政策に対してより大きな経済的・政治的なコストと圧力をかける核兵器禁止条約をより多くの国々が支持するようになってきたのだ。」

The Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, signed 20 September 2017 by 50 United Nations member states. Credit: UN Photo / Paulo Filgueiras
The Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, signed 20 September 2017 by 50 United Nations member states. Credit: UN Photo / Paulo Filgueiras

核不拡散条約(NPT)に加盟にしていないその他4つの核兵器国は、インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮であり、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推計によると4カ国合計で461発の核兵器を保有している。

しかし、これら4カ国は、核保有国を名指しすらしていない国連のアントニオ・グテーレス事務総長の声明を受けて、なんら行動を起こしていない。

つまり、4カ国は視野の外にあり、名前すら出されていないのである。

国連のステファンドゥジャリク報道官は、事務総長が4カ国について言及していない件について、「いや、すべての核兵器が廃絶されるべきだという事務総長のメッセージは明確です。声明は、核兵器を保有する国々との対話であり、核兵器保有を明らかにしている国々と、その他すべての加盟国に対するメッセージなのです。」と語った。

ドゥジャリッチ報道官は、事務総長はこの機会を利用して、「あらゆる核のリスクを取り除く唯一の道は、全ての核兵器を廃絶すること」とするこれまでの見解を改めて述べた、と語った。事務総長は、核保有国や全ての国連加盟国と協働して、この目標をできるだけ速やかに達成できる努力すると繰り返した。

SIPRIは、2019年の報告書で、米ロ両国が「自国の核兵器やミサイル、運搬手段を更新し近代化する広範かつ高価な計画」を追求していると述べた。

2018年、米国防総省は、新型核兵器を開発し、その他の核兵器を改修して新たな役割を付与する計画に乗り出したとSIPRIは会見で述べている。「その他の核保有国の核戦力はこれよりずいぶん小規模だが、すべての保有国が新型核兵器システムの開発中あるいは配備を進めているか、そのような計画を明らかにしている。」

Photo: Western States Legal Foundation Executive Director Jackie Cabasso, second from left, at the press conference at the United Nations on March 28. On her right is John Burroughs, and on her left are: Holger Guessfeld, Gene Seidman and Alyn Ware.
Photo: Western States Legal Foundation Executive Director Jackie Cabasso, second from left, at the press conference at the United Nations on March 28. On her right is John Burroughs, and on her left are: Holger Guessfeld, Gene Seidman and Alyn Ware.

西部諸州法律家財団」のジャッキー・カバッソ代表はIDNの取材に対して、「不都合な真実」は、核抑止、すなわち核兵器使用の威嚇という危険な教義に核保有国が固執する限り、核兵器は存在し続けるという点にあると語った。

NPTが発効してから半世紀、NPT上の核兵器国の行動は、NPTの目指すところと反対の方向に向かっているとカバッソ氏は指摘した。

「NPT非加盟のインド・イスラエル・パキスタン・北朝鮮を含めたすべての核保有国が、核兵器の質向上を目指した高価な計画を推進しており、量的に増強している国もある」。

カバッソ氏は、「P5声明の前向きな言葉とは裏腹に、現実には新たな核軍拡競争が始まっている。」と語った。

「今回は、サイバー能力や人口知能、開発中の超音速能力、中距離運搬手段への回帰、通常兵器・核兵器両用運搬手段の生産などによって、事態は複雑化している。」

2010年、NPT加盟国は、安全保障戦略における核兵器の役割を低減することに全会一致で合意した、とカバッソ氏は指摘する。それから12年、実際にはその真逆、核兵器の役割の拡大が起こっている。

「核保有国とその同盟国による軍事作戦の規模と速度は、核兵器訓練などにみられるように、増している。継続されているミサイル実験や、核保有国同士の軍隊が時に起こしている対立が、核の危険を悪化させている。」とカバッソ氏は指摘した。

「ウクライナや台湾といった対立の焦点があり、核兵器使用のリスクはかつてなく高まっている。核軍縮プロセスは停滞し、NPT上の5つの核兵器国は、自らがNPT第6条の義務を果たしていると自信をもって言えなくなっている。」

明らかに、NPT外の4つの核保有国を核兵器廃絶の協議に巻き込まなくてはならない、とカバッソ氏は訴えた。

ブリティッシュコロンビア大学(バンクーバー)公共政策グローバル問題大学校リュー記念グローバル問題研究所で軍縮・グローバル人間安全保障プロジェクトの責任者を務めるM・V・ラマナ教授は、今回の核保有5カ国声明は明らかにNPT再検討会議に向けて準備されたものだと語った(会議は1月第1週に予定されていたが、新型コロナウィルスの感染拡大予防のために延期された)。

「私には、そのことが、なぜNPT非加盟国がこの声明に入っていないかの説明になっているように思われる。さらに言えば、声明は、例えばインド・パキスタン間であっても、核保有国間の戦争に勝者はなく、したがって戦われてはならないということを示唆している。」

M.V.-Ramana
M.V.-Ramana

「とはいえ、次の2点を付け加えておきたい。第一に、軍縮義務はNPT上の核兵器国だけではなく、その他4つの核保有国にもあるということ。1996年、国際司法裁判所は、「厳格かつ効果的な国際管理の下でのあらゆる側面における核軍縮につながるような交渉を誠実に追求し、妥結させる義務が存在する」と全会一致で判断した。

従って軍縮義務はすべての国に適用される、とラマナ氏は指摘した。

第二に、レーガンとゴルバチョフが数十年前に述べたことを再度強調するのはいいとしても、今回の声明は、進行中の核兵器近代化プロセスと既存の核戦力維持への投資を反転させる意思を示していない点で残念なものだ、とラマナ氏は語った。

五大核保有国の指導者らはその共同声明でこう述べている。「核戦争に勝者はなく、戦われてはならないということを我々は確認する。核使用は広範な影響をもたらすことから、我々はまた、核兵器が存在し続ける限り、それらは、防衛目的に奉仕し、攻撃を抑止し、戦争を防止するものでなければならないということを確認する。我々は、核兵器のさらなる拡散は防止されねばならないと強く信じる。」

「我々は、核の脅威に対処することの重要性を再確認し、不拡散・軍縮・軍備管理にかかわる二国間・多国間の合意と公約を守り従うことの重要性を強調する。我々は『核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行う』との核不拡散条約(NPT)第6条の義務も含め、NPTの義務を果たし続けることを約束する。」

他方で、米国科学者連盟(FAS)は、冷戦終結以降に核兵器を削減する取組みがなされてきたにも関わらず、世界全体では、2021年半ば時点で合計1万3150発の核兵器を保有しており、高水準に留まっていると指摘する。

そのうち約91%をロシアと米国で保有しており、それぞれ約4000発の弾頭を備蓄している。その他の核保有国は安全保障のために数百発以上の核兵器を必要とはしていない。

世界的に見ると、核兵器の数自体は減り続けているが、削減のペースは過去30年間と比べると鈍化している。さらに、その削減のすべては、退役した弾頭の解体作業を依然として続けているロシアと米国でのみ起こっているとFASは指摘している。(原文へ)(PDF版

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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エンクルマの囚人帽がキング牧師に忘れられない記憶となった

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

ガーナ共和国のクワメ・エンクルマ初代大統領の就任式は、臨席したマーチン・ルーサー・キングJr牧師に深い印象を残しその後の公民権運動にも大きな影響を及ぼした。エンクルマ氏は新政府の閣僚らと共に監獄帽(上の写真)を被って大英帝国からの独立を祝った。キング牧師は、この時の光景を振り返って、「ガーナで起こったことは、万物の力は正義の側にあり…植民地主義、人種隔離、差別といった古い秩序は今や過去のものとなりつつある。」と述べている。(原文へ

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【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキ―ム】

国連経済社会局が1/13に発表した「世界経済状況・予測(WESP)2022」の内容を分析した記事。オミクロン株による新たな感染波や労働市場の課題、サプライチェーンの制約、インフレ高進などにより、世界経済の成長率は2021年の5.5%から22年に4%、23年に3.5%に鈍化するとの見通しを示した。(原文へFBポスト

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100人以上の大富豪が富裕税の導入を求める

【ロドニー・レイノルズ】

ウォルト・ディズニー共同創業者の孫アビゲイル・ディズニー氏ら9カ国の102人の富豪が世界経済フォーラムに合わせて発表した公開書簡(1/19)の中で、パンデミック下で拡大し続ける貧富の格差と不公平を解決するため、「今こそわれら富裕層に課税せよ」と訴えた。

Oxfamの調査によると、世界の富豪上位10人の総資産が、この2年間で、約80兆円から約172兆円へと2倍以上に増えた一方で、パンデミックで1億6000万人が貧困に陥り、非白人のマイノリティーや女性が格差拡大の影響を受けている。試算によると、資産100万ドル以上の富豪に2%、10億ドル以上の大富豪に5%の富裕税を導入した場合、毎年約287兆円の税収確保が可能で、これで①23億人の貧困脱却、②世界中へのワクチン確保、③中低所得国の全市民(36億人)への医療保険・社会保障の提供が可能となる。(原文へFBポスト

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Interviewed and filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

【クルチャトフ/アスタナIDN=イリヤ・クルシェンコ】

CTBTO青年グループのロシア人メンバーであるイリヤ・クルシェンコ氏は、中央アジアのカザフスタン共和国において5日間に亘って開催された同青年グループと賢人会議(GEM)合同による「2018年青年国際会議」プログラムに参加していた。

参加者の一行は首都アスタナで開催された2日間に亘る国際会議に参加したのち、北東部にある東カザフスタン州の都市クルチャトフを訪問した。この都市の名称はソ連の核物理学者イーゴリ・クルチャトフからとられており、かつて(=ソ連時代)は同国最大規模のセミパラチンスク核実験場に隣接した、核実験における中心都市であった。現クルチャトフの核関連施設は、カザフスタン国立原子力センターの一部門であるカザフスタン原子力研究所により管理されている。

9月1日、クルシェンコ氏はクルチャトフからアスタナに戻る夜行列車の中で、一行に同行した浅霧勝浩IDN-INPSマルチメディアディレクターの取材に応じ、同日午前中に核実験場跡を訪問した経験について語った。(インタビュー映像はこちらへ

Photo: Ground Zero, former Nuclear Weapon Test Site of Semipalatinsk.  Credit: Katshuhiro Asagiri, IDN-INPS Multimedia Director.
Photo: Ground Zero, former Nuclear Weapon Test Site of Semipalatinsk. Credit: Katshuhiro Asagiri, IDN-INPS Multimedia Director.

5日間に亘ったプログラムも終盤に近づき、この間に私たちが目の当たりにしてきた出来事について振り返ってみたいと思います。今日私がこの目て見て感じたことは、率直に言って、あたかも人生ががらりと変わるような経験でした。

私たちは今日、核兵器実験場跡を訪れました。これは人生の転機となる経験でした。爆心地に降り立ち、まわりを見渡すと広大な平原と破壊しつくされた建物が目に入りました。そこでは、空も地上も地下も、ただ死しか感じられませんでした。

この核実験場跡で見た光景を、世界のいかなる地でも二度と見たくありません。放射能で汚染された大地、核兵器が私たちにもたらす大惨事とはいかなるものなのかを、だれもが理解する必要性を痛感する経験でした。私は生き証人としてこの経験を語っていきたい。

核軍縮は、政治家や科学者のみならず、この地球上に暮らすすべての人々に関係する問題です。なぜなら、核爆発がおこれば、私たちが愛おしみ大切にしているすべてのものが失われることになるからです。核兵器が引き起こす大惨事の本質を理解し、二度と悲劇が繰り返されないようにすることは、私たちの義務です。

皆さんも広島と長崎にいかにして原爆が投下され無辜(むこ)の市民が核兵器がもたらず惨禍に苦しんだかを知れば、あるいは、ここカザフスタンのセミパラチンスクや米国のネバダ州で核実験の影響に苦しむ人々…核放射線の影響下に生まれた我が子を直視できず目を閉じ泣き崩れる人々のことを知れば、このことが理解できるでしょう。

これらのことを知り、人々が今も苦しんでいることを知れば、これまでおこった悲劇が決して繰り返されないよう、できる限りのことをすることが、全ての人にとっての義務だということが理解できるでしょう。

私はCTBTO青年グループに参加して、これらのことがいかに重要なことなのかが理解できました。当初は、核問題とは、例えば核兵器や物理学を学ぶ人々に限られたテーマだと思っていました。また、当初は科学や外交の世界に足を踏み入れ、その仕組みを理解し、そこで自分がいかに学び経験を共有していくことができるか、大変な挑戦でした。最初は苦労しましたが、やがて、あらゆる人が核兵器の廃絶を交渉する共通の立ち位置にいるということが分かると、核兵器にいかなるものであっても存在価値を認めるような世界は見たくないという、共通の合意や理解に到達することは、実はあらゆる人々にとって難しい事ではないということが理解できるようになりました。

Youth for CTBTO Logo/ CTBTO
Youth for CTBTO Logo/ CTBTO

私やCTBTO青年グループの仲間たち、そして賢人会議のメンバーやCTBTOの全職員、そして国際社会全体で取り組まれている活動を通じて、私たちは世界を安全で豊かな場所にしていきます。

私たちは、破壊や爆撃や核実験といった死をもたらす側に加担するのではなく、学校を建設し、教育を提供し、生命を育むあらゆる努力を重ねて私たちの世界を発展させていきます。クルチャトフ近郊の核実験場で何が起こったかを知った今、死をもたらず側に加担することは、断じてありません。

皆さんには、核兵器に対する見方を、今一度考え直すとともに、核兵器の問題は、この地球上に暮らす全ての人々に直接関わる問題であるということをご理解いただきたい。(原文へ

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温暖化が進む世界の海

【ロサンゼルスIDN=ロバート・フンツィカー】

世界の海洋の温度は過去6年間上昇し続け昨年は史上最高温度を記録した。地球表面の7割を覆う大洋は、産業革命以来、人類が作り出した熱の9割と二酸化炭素排出量の3分の1を吸収してきた。異常な海中温度の上昇は、海洋生物の食料連鎖を破壊しており、最新の調査によると、生物多様性が急激に失われてきている(1950年から70年間でサメやカジキ等の大型捕食動の90%が減少)傾向が指摘されている。(原文へ

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核不拡散条約再検討会議、新型コロナウィルス拡大で停滞

【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン

ニューヨーク市で新型コロナウィルスの感染拡大により活動が停滞している国連が、1月4日~28日の日程で予定され、長らく待ち望まれていた第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議の延期を余儀なくされた。

国連軍縮局NGO連絡室のダイアン・バーンズ氏は「いかなる形でも2022年1月に再検討会議は行われない」と明言した。

2021年1月と8月に続く3回目の延期である。国連は2020年3月よりロックダウン状態にある。

NPT再検討会議は5年に1度開かれることになっている。

再検討会議のグスタボ・ズラウビネン議長は各国宛の書簡で「締約国が再検討会議の重要な任務を実行できないのは極めて残念ではあるが、現在の状況では他に選択肢はない」と語った。

ある外交官は「コロナ禍と核兵器との戦いでは、コロナウィルスの連戦連勝だ」と冗談交じりに語った。ウィルスによって、2019年12月以来世界で540万人が亡くなっている。

Image: Virus on a decreasing curve. Source: www.hec.edu/en
Image: Virus on a decreasing curve. Source: www.hec.edu/en

12月27日、国連事務総長室官房長は再検討会議議長に対して、コロナ禍の現状に鑑みて、2022年1月の第10回再検討会議を対面で行うことは不可能だと事務総長は考えていると伝えた。

その第一の理由は、9900人を越える国連事務職員のほとんどがテレワークをしていることにある。一時的な「在宅勤務解除」は先月に取り消され、自宅で勤務する「柔軟な方式」が1月9日まで、そして追って通知があるまで続けられるということになった。

2022年における国連施設と事務能力の提供に関する事務総長の見解が出されて以降、再検討会議議長は、8月1日~26日を暫定的な日程として、会議を延期することを呼びかけた。日程は締約国によって後に正式承認されることになる。

「平和・軍縮・共通の安全保障を求めるキャンペーン」の代表で、「国際平和ビューロー」の副代表でもあるジョセフ・ガーソン氏は、この4週間の会議の延期によって何らかの突破口が開かれそうかという質問に対して、NPT再検討会議への期待感は元々極めて低く、核廃絶や軍備管理を求める人々が今回の延期で期待を高めることはないだろうと語った。

 では、なぜ期待は低いのだろうか?

「核兵器国が第6条の義務を果たすことを拒絶していること、核兵器国が1995年・2000年・2010年の再検討会議の合意を履行していないこと、軍拡競争がその危険度を増していること、台湾・ウクライナ・カシミールをめぐる対立が激化して、偶然あるいは計算違いによる壊滅的な核戦争が起こりかねないことなどが挙げられる」とガーソン氏は語った。

ここ米国でバイデン政権が「核態勢見直し」において「核先制不使用」政策を採用しそうにない理由の一つは、そうした政策変化が中国による台湾再領有の誘因になりかねないと心配されていることにある、とガーソンは説明した。

それに加えて、核戦力の近代化のために米国が2兆ドル近くを費やそうとしていることが、重大な懸念の理由であり、米国の政策に変化を持たせるべきと主張する大衆行動が起こってくる理由であるとガーソンは指摘した。

ガーソン氏は、実際に再検討会議が開かれた場合、「突破口」というものではないが、再検討会議が「失敗」したというイメージを避けるために、中東非核・非大量破壊兵器地帯の創設に向けた進展をもたらす義務を果たす必要性について触れる文言が盛り込まれることになるかもしれない、と語った。

Joseph Gerson
Joseph Gerson

また、「突破口」には程遠いが、過去の再検討会議の合意を実行するための意味ある措置を採る、信頼に足る公約のようなものが望まれている。

包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)は12月20日の声明で「世界的なコロナ禍、イラン核協議をめぐる不確実性、核戦力を各国が近代化或いは増強している現状を考えると、議論されることになる多くの論争的な問題に関してコンセンサスがもたらされる余地は小さいかもしれない」と語った。

多くのCTBT締約国が合意する領域は、CTBTや、いかなる国によるいかなる場所での核実験も的探知するCTBTOが構築した核爆発監視システムである。この最新のシステムは世界に唯一のものであり、普遍的で非差別的、検証可能な核軍縮を達成するために不可欠なものだとCTBTO声明は述べた。

2022年の来たる再検討会議においてコンセンサスを阻みかねない問題について問われたガーソン氏は、最大の問題は、第6条の核軍縮義務を果たすための信頼性のある措置を採るよう核兵器国に求める文言を巡るものになるのではないかと語った。

世界の多くの国々が、核兵器国が核兵器を廃絶するための交渉に真摯に臨もうとしていないのではないかと疑っていることが、核兵器禁止条約の協議へとつながったとガーソン氏は指摘した。

「『核のアパルトヘイトという無秩序』を核保有国が保持し続けようとする可能性が極めて高い。現存する核の脅威に緊急に対処すべきという国際的な理解を促進し、こうした政府の政策を変更させる強力な大衆運動を起こする方法を我々が見つけるまでは、現状は変わらないだろう。」とガーソン氏は語った。

中東非核・非大量破壊兵器地帯創設への進展を要求する文言を米国が認めることはありそうにない、とガーソン氏は警告する。

「バイデン大統領と民主党は、米国の非民主的な代表システムや、有色人種の有権者を排除しようとする右翼的な政治、右翼による州・地方政治の簒奪といった現状に直面して、ますます守勢に回っている。この状況で、バイデン政権は、イスラエルの政策に批判的でない有権者の気分を害するリスクを取らないだろう。」とガーソン氏は指摘した。

他方で、CTBTO声明は、いかなる国による何時いかなる場所でも、全ての核爆発をCTBTは禁じていると述べている。署名185カ国・批准170カ国と、条約の加盟状況はほぼ普遍的ではあるが、条約は依然として発効していない。発効のためには、条約の附属書2に記載されている44カ国の全てが条約を批准する必要があるが、うち8カ国が未批准だ。

CTBTOは、核爆発を探知するために国際監視制度(IMS)を構築している。現在、世界全体で、地震・水中音響・微気圧振動・放射性核種の4つの手法を用いた302カ所の認証施設が稼働している(制度が完成すれば337カ所となる)。

IMSが取得したデータは、地震の監視や津波の警告のような減災や、核事故で発生した放射性物質の捕捉、鯨の移動や気候変動、台風予測などの幅広い研究領域に利用することが可能である。(原文へ

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国連事務総長は今こそ指導力を発揮すべき時

【コインブラIDN=ボアヴェントゥーラ・デ・シウサ・サントス】

任期5年を残したアントニオ・グテーレス氏の国連事務総長としてのレガシーと期待を記したボアベンチュラ・ジ・ソウザ・サントス教授(世界社会フォーラム創立者の一人)による批評。ワクチン外交と製薬会社の圧力で、貧しい国々でワクチン接種が進まない人類規模の危機にグテーレス氏が指導力を発揮して国連への信用を回復するよう提言している。(原文へFBポスト

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ストックホルム・イニシアチブ、核廃絶への決意を示す

【ベルリン/ストックホルムIDN=ラメシュ・ジャウラ

「核軍縮とNPTに関するストックホルム会合」(構成16カ国)が、2022年1月4~28日の日程で開催される第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議に対して、「人類を守るという利益のために、政治的リーダーシップを発揮し、条約の下でなされた公約や成果を尊重し、非核兵器世界に向けた決定的な道筋へと導くよう」求めた[訳注:再検討会議は、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、再度の延期が決まった]。

2019年にスウェーデンで開始された「ストックホルム・イニシアチブ」は、核軍縮に実践的な推進力をもたらし、核兵器国と非核兵器国の架け橋となることを目的としている。

同グループがストックホルムで開催した5回目の関係閣僚会合ではさらに次のように決議した。「不可逆的で検証可能、透明な形で核兵器の廃絶を達成し、中間的措置として、核兵器のリスクを低減する決意で我々は一致している。」

Annalena Baerbock/By Bündnis 90/Die Grünen Nordrhein-Westfalen, CC BY-SA 2.0
Annalena Baerbock/By Bündnis 90/Die Grünen Nordrhein-Westfalen, CC BY-SA 2.0

会合の議長は、スウェーデンのアン・リンデ外相と、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相が務めた。他の参加国は、アルゼンチン・カナダ・エチオピア・フィンランド・インドネシア・日本・ヨルダン・カザフスタン・オランダ・ニュージーランド・ノルウェー・韓国・スペイン・スイスである。

ベアボック氏は12月8日にドイツ外相に指名されたばかりである。同氏が第5回閣僚会合に初参加する以前、ドイツ外務省は「我が国は、国際軍縮イニシアチブを固めるうえで主導的な役割を果たすことを追求する」と述べていたが、これはまさに、ベアボック氏の前任者ハイコ・マース氏が行っていたことであった。

2020年にベルリンで開催された閣僚会合では、NPT創設50周年に合わせて全ての加盟国に参加を呼び掛けた共同宣言も採択されていた。その中には、核軍縮を前進させるための「飛び石」と呼ばれる提案も含まれていた。例えば、核戦力の完全なる透明性の確保、核ドクトリンにおけるより厳格な制約、エスカレーションのリスクを低減する措置、米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長(2021年1月)、さらなる備蓄の削減、その他の広範な将来的措置である。

同グループは今回、NPT50周年から2年後に予定された第10回NPT再検討会議を3週間後に控えて、会合を持った。

第5回関係閣僚会合は次のように述べる。「来るNPT再検討会議は、核軍縮に向けた高いレベルのコミットメントを全ての国が示す重要な機会となる。『核軍縮とNPTに関するストックホルム・イニシアチブ』はこの点において実行可能な道を示してきた。我々は、条約が引き続き成功するように各国を導くうえで、再検討会議の議長であるグスタボ・ズラウビネン大使の取り組みを完全に支持する。」

閣僚会合は、同イニシアチブの文書にNPTの他の20カ国が新たに賛同したことを歓迎した。予想通り、ストックホルム平和イニシアチブは全ての加盟国に対して「とりわけ再検討会議の成果文書の起草において、これらの文書に盛り込まれた文言や実行可能なアイディアに引き付けた議論を行うよう」求めた。

閣僚会合は、米ロ間の新START延長に関する合意と、「戦略的安定対話」を発表した2021年6月の両国の大統領声明を歓迎した。同声明には「核戦争に勝者はなく、したがって戦われてはならない」と再確認する文言が含まれていた。

Photo: US President Joe Biden and Russian President Vladimir Putin shake hands at the Villa la Grange on June 16 in Geneva, Switzerland. Credit: Visual China Group (VCG)
Photo: US President Joe Biden and Russian President Vladimir Putin shake hands at the Villa la Grange on June 16 in Geneva, Switzerland. Credit: Visual China Group (VCG)

これらは間違いなく、ストックホルム・イニシアチブの核軍縮に向けた2つの「飛び石」に対応した望ましい前進である。関係閣僚らはさらに、米中両国による2021年11月16日の首脳会談にも言及した。

しかし、いくらかの前進が見られたにも関わらず、残された作業は多い。NPT上の5つの核兵器国には条約の下での特別の責務があり、自らの核戦力を減らさねばならない。また、その他の核保有国の間にも、軍縮の意思は明確にみられない。

第5回閣僚会合は「核兵器国の間に信用と信頼を構築することで、世界の核軍縮の長期的な停滞にピリオドを打つのに役立つことであろう。」と述べた。

閣僚らは、全ての核兵器国に対して、次の世代の軍備管理取り決めに向けた基礎作業を行い、核戦力をさらに削減し、核爆発実験の完全停止に向けたリーダーシップを発揮し、核分裂物質生産禁止条約の交渉を開始し、多国間核軍縮検証能力構築に向けた取り組みを支援することを求めた。

閣僚らは、対話プラットフォーム、訓練、インターンシップ、フェローシップ、奨学金、モデルイベント、青年グループ活動など、若い世代と関与するための「核軍縮の前進に向けた飛び石的取組み」の呼びかけを改めて強調した。また、広島・長崎や、セミパラチンスクや太平洋などの元核実験場を含めた、核兵器によって影響を受けた地域への訪問やそれらの地域との交流を行うよう呼びかけた。

さらに閣僚らは、多様なジェンダーの観点を包含し、核軍縮の意思決定において女性を実効的に参加させる決意をあらためて述べた。(原文へ

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【ジュネーブIDN=ジャムシェド・バルーア】

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