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アフリカでポリオ根絶宣言―歴史的達成

【ジュネーブ/ブラザビルIDN=ロナルド・ジョシュア】

新型コロナウィルス感染症の拡大で世界経済が大混乱に陥り、世界中でワクチン開発が激しくなる中、組織的な予防接種キャンペーンを通じて、主に5歳未満の子どもに影響を及ぼす感染性の強い疾病がアフリカにおいて根絶された。アフリカでは、天然痘が40年前に根絶されて以来、2つ目のウィルスの根絶となり、歴史的に大きな一歩を記した。

ARCC(アフリカ地域でのポリオの状況を判断する独立委員会)の議長であるローズ・ガーナ・フォンバン・レケ教授は、アフリカにおけるポリオの根絶を宣言して、「今日はアフリカにとって歴史的な一日だ」と表明した。

ポリオウィルスは神経系に侵入して数時間のうちに全身麻痺を引き起こすこともある。このウィルスは、一般的には顔や口を通じたヒト間接触によって、稀には汚染された水や食物を媒介して伝染し腸内で増殖する。

初期的症状としては、高熱・倦怠感・頭痛・嘔吐・首のこり・手足の痛みなどがある。感染者の200人に1人に下肢麻痺が出現し、そのうち5~10%が呼吸筋麻痺により死亡するとされている。

アフリカでは「過去4年間、野生株のポリオウィルスの新規症例が報告されておらず、野生株のポリオの根絶基準を満たしました。」とレケ教授は語った。

ARCCの決定は、47の加盟国における数十年に及ぶポリオ監視、予防接種、実験に関する記録・分析の結果としてなされたものだ。世界保健機関(WHO)アフリカ支部が8月25日に出したプレスリリースによれば、現地での検証のための訪問も行われている。

1996年、アフリカの元首らは、カメルーンのヤウンデで開催されたアフリカ統一機構(OAU)第32回定例会合において、ポリオ根絶を目指すことを宣言した。当時、アフリカでは、年間推定7万5000人の児童がポリオに罹患していた。

同年、ノーベル平和賞の受賞者のネルソン・マンデラ南アフリカ共和国大統領(当時)が、「国際ロータリー」の支援を得て、「アフリカからポリオを追い出せ」キャンペーンを開始し、ポリオ根絶の動きに弾みがついた。マンデラ大統領の呼びかけで、アフリカ各国の指導者らが、子どもたちにポリオワクチン接種を普及させる取り組みを強化した。

アフリカで野生株のポリオの症例が最後に確認されたのは2016年のナイジェリアであった。以来、ポリオ根絶の取り組みによって、最大180万人の子どもが麻痺などの症状を免れたほか、約18万人の命が救われた。

「これはアフリカにとって記念すべき出来事です。将来のアフリカの子どもたちは、野生株のポリオに罹患する危険から解放されて生きることができます。」とWHOのアフリカ地域責任者であるマツィディソ・モエティ博士は語った。「この歴史的な達成は、各国政府や地域、ポリオ根絶を目指す世界のパートナー、慈善家のリーダーシップとの協力なしには不可能でした。とりわけ、ポリオワクチン接種の最前線で取り組んできた医療従事者の人々に特別の賛辞を贈りたい。彼らの中には、この崇高な目的の為に命を落とした者もいるのです。」と語った。

Map of Africa
Map of Africa

「しかし、野生株のポリオウィルスの再発を避けるためにワクチンの接種率を上げ続け、ワクチンに由来するポリオの脅威に対して、引き続き対処し続けねばなりません。」とモエティ博士は語った。

野生株のポリオウィルスをアフリカで根絶したことは大きな成果だが、アフリカの16カ国では、ワクチン由来ポリオウィルス2型(cVDPV2)が発生している(ワクチン由来ポリオとは、経口ワクチンを作る際に使用された弱毒型のウィルスが生存・変異し、重い症状を伴う新たな感染を引き起こすものをいう)。これは、ワクチン接種率の低い地域で起こることが多い。

その16カ国とは、アンゴラ・ベニン・ブルキナファソ・カメルーン・中央アフリカ共和国・チャド・コートジボワール・コンゴ民主共和国・エチオピア・ギニア・ガーナ・マリ・ニジェール・ナイジェリア・トーゴ・ザンビアである。

WHOアフリカ地域ポリオ根絶プログラムのコーディネーターであるパスカル・ムカンダ氏は、「アフリカ諸国は、医療の仕組みが脆弱であり、実務上の困難を抱えているにも関わらず、野生株のポリオウィルスの根絶のために効果的に協力してきました。」と語った。

「ポリオ根絶プログラムが確立してきた革新と専門能力によって、野生株の根絶認証後も成果を維持し、ワクチン由来ポリオウィルス2型も根絶できると確信しています。」とムカンダ博士は付け加えた。

「ポリオ根絶を通じて得られた専門能力は、新型コロナウィルス感染症やアフリカを長年にわたって苦しめてきたその他の保健問題に対処し、普遍的な医療制度をアフリカで構築するうえで有益だろう。」と、モエティ博士は語った。

世界ポリオ根絶のためのイニシアチブ(GPEI)の貢献によって、アフリカにおけるポリオ症例は1988年から99.9%も減少した。WHOアフリカによれば、これによって世界はポリオ根絶にまた一歩近づいたという。

現在、世界の人口の9割以上は野生株のポリオウィルスから守られた状態にあり、世界全体でのポリオ根絶達成に近づいている。野生株のポリオウィルスの流行が確認されているのは、パキスタンとアフガニスタンのみとなった。

Tedros Adhanom Ghebreyesus, Director General, World Health Organization at the AI for Good Global Summit 2018/ By ITU Pictures from Geneva, Switzerland, CC BY 2.0
Tedros Adhanom Ghebreyesus, Director General, World Health Organization at the AI for Good Global Summit 2018/ By ITU Pictures from Geneva, Switzerland, CC BY 2.0

GPEIは、WHOアフリカがカバーする47カ国で今回なされた成果について、各国政府を称賛した。

「アフリカで野生株のポリオウィルスを根絶したことは、我々の時代における保健政策上の最大の成果の一つであり、世界からポリオを根絶するという目標を完成するうえで大きな力を与えることになろう。協力してアフリカからポリオを根絶した各国政府や医療従事者、地域のボランティア、宗教指導者、保護者に対して、感謝と称賛を贈りたい。」とWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は語った。

強力なリーダーシップと革新が、アフリカでの野生株のポリオウィルスを根絶するうえでカギを握った。高いレベルの人口移動、医療サービスへのアクセスを拒む紛争や政情不安、国境を越えて急速に広まるウィルスの能力等の問題を乗りこえて、子どもたちに予防接種をする取り組みを協調して行うことに各国は成功した。

加えて、各国政府や民間部門、多国間組織、慈善団体などのドナーが、ポリオのない世界を達成するために継続して支援を行い共通の目標を持ち続けたことが、アフリカにおいて、以前よりも多くの子どもたちにポリオワクチンを接種し、ポリオを根絶するインフラ構築に寄与した。

「今年グローバルヘルスが大きな試練に直面している中で、アフリカで野生株のポリオ根絶が宣言されたことは希望と進歩の兆候であり、これらは、協働と忍耐を通じて達成されたことを示しています。」と国際ロータリーのホルガー・クナーク会長は語った。

SDGs Goal No. 3
SDGs Goal No. 3

野生株のポリオを根絶するために用いられた資源と専門能力は、アフリカの公衆衛生と感染症対策制度の発展に大きく寄与している。ポリオ関連のプログラムは、新型コロナウィルス感染症に対するアフリカの対応から、ワクチンで予防可能なその他の疾病に対する定期的な予防接種の支援に至るまで、地域社会に極めて大きな保健上の利益をもたらしている。

これは重大な一歩ではあるが、現状に満足しているわけにはいかない。アフリカで引き続き予防接種の推進と保健システムの強化に取り組むことが、野生株のポリオの進化に対して防御し、アフリカの16カ国で確認されているワクチン由来ポリオウィルス2型(cVDPV2)の流行に対抗するうえで、きわめて重要だ。このポリオウィルスは予防接種が少ない地域で広がるリスクが高いあるため、新型コロナウィルス感染症の拡大でワクチン接種が阻害されている地域は、cVDPV2の感染爆発リスクに晒されている。

GPEIは、あらゆる形態のポリオに対して注意を怠らないよう各国およびドナーに呼びかけた。あらゆるポリオウィルス株が世界から根絶されない限り、これまで積み上げられた多大な成果も、危機に瀕することになる。(原文へ)|スペイン語

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【ボゴタIDN=ルツ・マリナ・ベルナル】

私はマリナ・ベルナルと申します。コロンビア各地の避難民の多くが流れてくる首都ボゴタに近いソアチャ市に一人で住んでいます。

私の活動は様々なコミュニティーを廻って人々と対話する必要があるので、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大とそれに伴うロックダウン(都市封鎖)は大きな足かせになっています。

私が人権活動家になったのは息子のファイル・レオナルド・ポラス・ベルナルが2008年に強制失踪したのがきっかけです。当時私は夫と4人の子供たちと幸せに暮らしていました。しかしレオナルドの死後、事件の真相に関する政府当局の見解に疑問を抱くようになり、まもなくして殺害の脅迫を受けるようになりました。残った子供たちを守るため、説得して安全な場所に移らせました。夫はこの状況に耐えられず、離婚して私が家を出ざるを得ませんでした。

Map of Colombia

息子は2008年1月8日に誘拐されました。私は8カ月にわたって病院やホームレス施設などを探して回りました。息子は失踪当時26歳でしたが、私が妊娠時に遭遇した交通事故が原因で、生まれながらにして右手足が不自由なうえ認知障害があり、知能は8歳程度でした。帰り道が分からなくなったのではと、心配でたまりませんでした。

9月16日、警察から息子と思われる遺体の写真を確認するよう要請する連絡がありました。ソアチャから600キロも離れたオカーニャで、大量死体の中に発見されたとのことでした。

認知障害がある息子が自らそんなに遠くまで旅をしたとは俄かに信じられませんでした。それでも、息子の遺体を引き取りに夫と長男とともにオカーニャに向かいました。そこで、同じくソアチャから失踪した息子の遺体を引き取りにきた3家族と出会ったのです。

私たちの疑問は、なぜソアチャにいた息子たちがはるばるオカーニャに来ることになったのかという点でした。検察官は薄ら笑いを浮かべながら「あなたが麻薬テロリストグループの指導者の母親か。」と尋問してきました。私はこの検察官に、「右手足に障害を抱えて読み書きすらできない人物が、そのようなグループを率いることができるものでしょうか。」と問いただしました。すると検察官の顔から笑いが消え、「彼は国軍との戦闘で死んだ。」と告げたのです。

それを聞いて、国軍に2年間在籍していた長男は泣き崩れました。それまで私も長男が国軍で国のために尽くしていることを誇りに思っていました。だからこそ、国軍がもう一人の無防備な息子を殺害するなど想像すらできなかったのです。

私は直ちに行動を起こすことにしました。それは当時のアルバロ・ウリベ大統領が、私の息子とその他8人のソアチャ出身の青年たちが犯罪者であると仄めかしたからです。

Álvaro Uribe, Presidente de Colombia.paramilitar/ By Center for American Progress -, CC BY-SA 2.

私は息子の写真に彼の名誉を挽回するために闘うと誓いました。まもなくソアチャで私と同じ境遇の母親達と出会い、「ソアチャの母たち」を結成しました。仲間は当初の8人から19人へと増えていきました。

真相は、国軍の兵士が私の息子を誘拐して、戦闘中に撃たれて死亡したゲリラ戦闘員だと発表していたのです。国軍はこうして数千人に及ぶ無防備な一般市民を犯罪者に仕立て上げて超法規的に殺害することで、ゲリラ掃討作戦における成果(敵戦闘員の死傷者)をかさ増しして報奨金や昇進を得ていたのです。

私はコロンビアの紛争を理解するために何年にも亘って人権問題を改めて学ぶ必要がありました。その結果、私の祖国では、強制失踪、拷問、性暴力、子ども兵士の徴用等で800万人以上が人道に対する犯罪の犠牲者になっているおぞましい実態を知りました。

全く未知の世界に足を踏み入れた感覚でした。それまでの私は、愛する家族に囲まれて、現実の世界に目を向けず狭い世界の中で生きていたのです。コロンビアがどのような国であるのかを全く理解していませんでした。しかし現実を知るにつけ、幻想は瞬く間に崩壊し、それまでの生活が一変することになりました。2008年以来、私は大統領か検事総長との面会を繰り返し要請しましたが、拒否されていました。しかし2010年の大統領選挙に向けたキャンペーン期間中、ウリベ大統領が「ソアチャの母たち」を思い出し、ついに私たちを大統領官邸に招いたのです。

他のメンバーは大統領の招きを受入れましたが、私は拒否しました。2週間後、ウリベ大統領はメンバー1人当たり7800ドルを拠出しました。しかし私は殺された息子との思い出や尊厳を売り渡すことはできないと思い、拠出金の受け取りを拒否しました。他のメンバーは私の反応に憤慨し、その時はグループから離れざるを得ませんでした。

まもなくして私の家族全員宛てに殺人予告が届くようになりました。玄関のドアの下に脅迫状を差し込んでいくのです。長男はこの状況を2年以上耐え抜きました。ある日の脅迫状には、「おまえが無駄死にするのは残念だな。しかしそれがお前の母親を黙らせる唯一の方法だ。」と記されていました。

このような状況でも内務省と検察当局は保護してくれませんでした。その後、なんとか外国からの支援を得ることができました。人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルが、この状況に注目し、私たちを支援するキャンペーン「ソアチャの母たちにバラと希望を届けよう」を開始してくれたのです。私たちは世界中から、5500本のバラと25000通以上の励ましの手紙を受け取りました。

私は、ベルギー、デンマーク、ドイツ、アイルランド、オランダ、スペインで現地のアムネスティ―グループの人々と会い、国際司法裁判所や欧州連合議会で私たちがコロンビアで置かれている現状を訴えました。こうして国際社会の目が「ソアチャの母たち」に注がれることになったのです。

2013年、息子を殺害した6人の国軍兵士が起訴され、「人道に対する罪」で有罪宣告を受けました。しかし彼らは、その後2016年に政府とコロンビア革命軍(FARC)との間で成立した和平合意により設立された「平和のための特別法廷」で裁かれる権利を主張し、その結果全員が釈放されてしまいました。

私の息子に起こったことは、氷河の一角に過ぎません。ですから「ソアチャの母たち」としての活動にとどまらず、今ではコロンビア各地で人権を踏みにじられた母親達を支援し、彼女たちの声を代弁する活動を行っています。

2月20日にコロンビア北部のマグダレーナ・メディオ州での1年間にわたったプロジェクト(家族が強制失踪の犠牲者となった180家族との活動)を終えてソアチャの自宅に戻ってきました。それから間もなくして、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う都市封鎖が発令されました。

子どもたちは近くに住んでいません。殺人予告を受けていたため何年も前に遠くに移しました。ネイヴァ、メデリン、ヴィラヴィセンティオ等、各地を転々とさせましたが、彼らが安全に保護されていることで、私もこの活動に専念できるので、これでよかったと思っています。今では5人の孫にも恵まれていますが、残念ながら安全を考慮して一緒の時間を過ごせていません。

都市封鎖は、収入が途絶えれば生活を支える余裕がないこの国のほとんどの民衆にとって、あまりにも過酷な措置です。私の場合、いくつかの友人やグループの支援をいただいて、自分では購入できなくなった薬を入手しています。

Image: Virus on a decreasing curve. Source: www.hec.edu/en
Image: Virus on a decreasing curve. Source: www.hec.edu/en

私はワッツアップを使って内外の人々と連絡をとりながら、読書や編み物、刺繍などをして都市封鎖期間を過ごしています。

一方、ホームレスの人々が心配です。彼らには自らを安全に隔離できる清潔な場所がありませんし、世間は彼らのことを気にかけていません。何もできない自分が無力に感じています。そこで友人らに声をかけて、「屠殺者(ウリベ元大統領に関するドキュメンタリーの題名)」のロゴが印刷されたマスクを作って販売し、その収益金を恵まれない人々に食料を寄付する活動をすることにしました。

今回の新型コロナウィルス感染症の世界的流行(パンデミック)は、私たちが前に進んでいけるか、そして助けを必要としている人々に手を差し伸べるどれほどの寛容な心があるかが改めて試されている機会だと思います。(以上が取材に応じたマリア・ベルナルさんの証言内容)

50年に亘ったコロンビア内戦に終止符を打った和平合意により設立された「平和のための特別法廷」は、2002年から08年の間に国軍により超法規的に殺害されゲリラ戦闘員の死体として宣言された4439人の犠牲者を特定した。国連が7月に発表した報告書によると、ラテンアメリカで5番目に感染者数が多いコロンビアでは、パンデミックという緊急事態を利用して人権擁護者や元ゲリラメンバーを標的にする暴力が増加している。(原文へ

マリナ・ベルナルは1960年生まれ。コロンビアの平和・人権擁護活動家で、「ソアチャの母」創立メンバー。ボゴタ南部の国軍により子供が誘拐・殺害された母親達による真相球面を求める運動を率いてきた。2016年ノーベル平和賞候補に推薦された。

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人権教育を推進するHRE2020

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公民権弁護士が米国政府がトランプと共和党による権力収奪を阻止できるか疑問を呈している

【サンフランシスコIDN=スティーヴン・ローゼンフェルト】

綿密な調査に基づいて、米国の民主主義制度が現職大統領によりいかに合法的に乗っ取られようとしているかを1930年代のドイツの経験と比較(20の類似点を指摘)して分析したNY大学ロースクールのニューボーン教授の近著「 When at Times the Mob Is Swayed: A Citizen’s Guide to Defending Our Republic」を解説した記事。バート・ニューボーン氏は、アメリカ自由人権協会(ACLU)を経てNY大学ロースクールブレナン・センターを創設、200以上の最高裁訴訟、ホロコースト訴訟に関わってきた法学者。(原文へ

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ブロンクス動物園がかつてアフリカ人青年を檻に入れて見世物にしたことを謝罪

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

ブラックライヴズ・マタ―(Black Lives Matter 通称:BLM)は、これまでにも世界各地で人種差別主義者の銅像や差別的な企業方針等について、数々の謝罪を引き出してきたが、今回、ニューヨークのブロンクス動物園が、1906年にアフリカ出身の男性を檻に閉じ込めて見世物にしたことを公式に謝罪した。

同動物園の運営団体「野生生物保護協会(WCS)」は7月29日に発表した声明のなかで、「平等・透明性・説明責任の名において、私たちは野生生物と自然環境を保護するという動物園の使命を全うしていくためにも、この動物園が過去の歴史において人種差別を助長する役割を果たした事実に向き合わねばなりません。」と述べた。

WCSは、「良識に欠けた人種的不寛容」に該当するとして2つの例を挙げた。一つはムブティ族(現在のコンゴ民主共和国の先住民)出身の青年オタ・ベンガさん(当時23歳)に対する取り扱いである。ベンガさんは、1906年、ブロンクス動物園で1匹のオランウータンとともにサル用の鉄製の檻に閉じ込められ、一週間にわたって見物客の目にさらされた。WCSは、黒人聖職者からの抗議を受けて「この恥ずべき出来事に終止符が打たれた」と指摘した。

記録によると、ブロンクス動物園から解放されたベンガさんは、ニューヨーク市のブルックリンで牧師が運営する施設に引き取られ、後にバージニア州リンチバーグ市にあるタバコ工場で働いた。WCSは、「人間としての尊厳を奪われ、故郷に帰ることもかなわず、オタ・ベンガさんは、10年後に自殺した。」と説明した。

WCSはまた、同団体の創業者2人(マディソン・クラントとヘンリー・フェアフィールド・オズボーン)についても、「優生思想に基づく疑似科学的な人種差別」を説いたとして非難した。

優生思想とは、能力が劣っていると見なされる者の遺伝子を排除して、優秀な人類を後世に遺そうという思想で、20世紀初頭には多くの支持者がいた。またこの思想はのちのナチス・ドイツの政策形成に大きな影響を及ぼした。「マディソン・グラントの著書『偉大な人種の消滅 “The Passing of the Great Race”』からの抜粋は、ニュルンベルク国際軍事裁判でナチス戦犯を擁護する証拠資料に含まれていました。」と、WCSは指摘した。

「私たちは、動物園によるこうした所業や創業者らの過ちを私たちが非難してこなかったことで、何世代にもわたって多くの人々が傷ついてきたことについて、深く謝罪します。」とWCSは声明のなかで述べた。

ブロンクス動物園は今年が創立125周年にあたり、歴史を振り返る作業を始めていた。そこに警官によるジョージ・フロイド氏の殺害に端を発した人種差別を巡る議論が全米を席巻する事態が加わり、今回の公式謝罪へとつながった。

同動物園では、過去の過ちを認識する作業として、オタ・ベンガさんに関する全ての記録をまとめてオンラインで公開する予定だ。

WCSは、「私たちは、動物園の歴史について、とりわけ外部の作家や研究者がアクセスできる透明性を確保した環境を構築するために新たなプロジェクトを実施してまいります。」と述べている。(原文へ

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【ムジナ(南アフリカ)IDN=ジェフリー・モヨ】

南アフリカ共和国(南ア)北部のジンバブエ国境近い街ムジナ。ジェラルド・ギャバさん(47歳)の10代になる3人の子供達は、埃っぽい通りで手作りの紙のボールで遊んだり、借家のベランダで床に散らばった本を読んだりしている。ギャバさんはその傍らで、ベランダに広げた葦の敷物の上に寝転がっている。勤め先の建設会社がロックダウンの影響で休業に追い込まれ、3カ月前に仕事を失った彼は、明らかに手持ち無沙汰であった。

ジンバブエから移住してきたギャバさんは、「新型コロナウィルス感染症が世界的に流行している中、とうとう自分の子供達さえ学校閉鎖で自宅待機を余儀なくされています。」と語った。

ギャバさんの妻ミリライさん(42)が、いまや一家で唯一の稼ぎ手である。より良い機会を求めて南アに移住するまでジンバブエで営んでいた屋台の仕事を借家の近くで始めたのだ。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

しかし、もはや南アはギャバさん一家にとってより良い機会を見いだせる土地ではなくなった。

新型コロナウィルス感染症がアフリカ南部を席巻して教育活動を停止する中、ギャバさんの子供達も、数百万人に及ぶ生徒たちと同様に教育に支障をきたしている。

ジンバブエでは教員免許を持っているギャバさんは「子供達に本を読んで独習するように言っていますが、ロックダウン(都市封鎖)下の生活はあまりにも単調なものですから、すぐ飽きて遊びだしてしまいます。」と語った。

ジンバブエでの状況も似たようなものだ。感染症が急激に拡大する中、小中学校の子供達は家庭に閉じ込められ、学校再開の期待は急速に萎みつつある。

首都ハラレの人口過密地区ムファコセに住むミランダ・ムタサさん(31)のような多くの親にとっては、家庭学習やオンライン学習のようなものはとても手が届かない。

こうしたなか、アフリカ連合(AU)は6月に国際連合児童基金(ユニセフ)と合同で加盟国に送った書簡の中で、ロックダウン期間中も生徒たちが学習を継続できるよう教育体制の維持に努めるよう求めた。「遠隔学習のコンテンツを提供し、ラジオやテレビ、ポッドキャスト、オンライン学習を展開すること。」「教育関連の省庁は、新型コロナウィルス感染症に対する教育部門の対応を改善するために、優れた実践例を記録し、学習への関与と成果をモニターすべきだ。」と共同書簡は述べている。

しかし、ギャバさんのように職を失った人々がアフリカ南部に多くいる中では、たとえAUが教育の継続性を確保しようとしても、例えばeラーニングの実施など夢のまた夢だ。

ジンバブエ南部の町マスビンゴに住むバーナード・ムンゴニさん(72)は、「新型コロナウィルス感染症のせいで、多くの人々が耐えられないほど新たな出費を強いられています。」と語った。

屋台で青果物を商っているミランダさんは、「必要な教育教材にアクセスするためのインターネットパッケージ料金が高すぎます。」と語った。

ミランダさんにとっては、感染症の影響で教育機関が閉鎖され、(オンライン教育にアクセスできない)彼女の子供達は不利な立場に追い込まれている。

隣国ボツワナでも、感染症が猛威を振るう中で教育が停止状態にある。7週間にわたった閉校を経て6月に学校が再開されたが、感染者が急増して再度閉鎖に追い込まれた。

レモガング・クワペ保健相は、6月に再びロックダウンを行うにあたって、「残念ながら、この24時間で状況は悪化しました。新規感染事例が30件確認されましたが、その多くがハボローネ首都圏の学校で発生しています。」と語った。

モクウィツィ・マシシ大統領は国民に対して学校再閉鎖について説明する中で、「予防的な措置として、追って通知があるまであらゆる学習活動の停止を決定した。」と語った。

現在、アフリカ南部諸国の学校は、新型コロナウィルス感染症が数多くの人々に影響を及ぼしている中で、閉鎖されたままになっている。

感染症がアフリカ南部で猛威を振るう中、南部アフリカ開発共同体(SADC)が、事務局を通じて国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)と協力して、感染症の教育への悪影響を緩和し、教育と学習の継続性を確保するよう加盟諸国を支援するグローバル教育連合を主導することになった。

SADC member countries/ Af Rotsee2 – Eget arbejde, CC BY-SA 3.0

感染状況が深刻な南アやボツワナ、ジンバブエ、ナミビアのような国々では、学校に通う子供達への影響が危惧されており、各国政府は学校の再開について再考を迫られている。

アンゴラでは感染症の急拡大に直面して3月24日から、全ての学校で授業を停止するとの発表が政府からなされた。教育省は、新型コロナへの予防措置に関わる政府部門からの指示にしたがって、全土での教育活動を停止したと述べた。

エスワティニでは3月に、全国教員連合(SNAT)が、すべての学校や大学を一時的に閉鎖するように政府に要請した。同連合は声明で「SNATは、街頭や学校のような公的な場所で新型コロナウィルス感染症に対処する措置が取られていないことを懸念する。予防措置が適切に取られておらず、懸念の原因となっている。」と述べた。

学校でも多くの感染事例が確認された南アでは7月、政府が学校閉鎖を継続すると発表した。これによって、学校閉鎖は2020年度から21年度にまで延長される見通しだ。

シリル・ラマポーサ大統領は7月の国民向け演説の中で、「感染が爆発的に拡大することが予想される局面で学校を閉鎖するという慎重なアプローチを採ることになった。」と説明した。

ナミビアの状況に目を向けると、ハーゲ・ガインゴブ大統領が8月1日、同月4日から28日間にわたって、新型コロナの感染リスクを排除するための必要措置として学校を一時休校にすると発表した。同国では既に3月に、ある学校で新型コロナ感染の事例が2件発生したことを受け、学校閉鎖の措置を取っていた。

マラウィでも、先月の感染拡大を受けて、学校再開の時期が延期されている。

学校が閉鎖されたままの南アでは、ギャバさんとその家族にとって、苦しく単調な日々が続いている。「子供達は家で飽き飽きしています。私もそう。でも、それ以上に仕事がなくなってしまったことが苦しい。」とギャバさんはIDNの取材に対して語った。(原文へ

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ティックトック、トランプ、そしてデジタル非同盟運動の必要性

【ケンブリッジIDN=フアン・オーティス・フルーラー】

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【ウォータールーIDN=アリソン・マウンツ】

新型コロナウィルスの世界的流行(パンデミック)がもたらした感染リスクの諸相、とりわけ各国による救済・支援の対象になりにくい難民・移民が取り残されている問題に焦点をあてたアリソン・マウンツ教授(カナダ・ローリエ大学)による視点。今回のパンデミックとそれに伴う国境閉鎖や厳格な移民排斥措置は、戦争・飢餓・騒乱等で7000万人もの難民が世界各地で発生している中で進行している。こうした難民の84%は低所得地域に暮らし、多くが医療アクセスが乏しく密集した(=新型コロナウィルスに感染しやすい)難民キャンプやスラムに暮らしている。(原文へFBポスト

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【ウィーン/広島IDN=タリク・ラウフ

1945年7月16日午前5時29分、「ガジェット」というあだ名が付けられた世界初の核爆発装置の爆発によって、原子の秘密が解き放たれた。複数の国からの支援を受けて遂行された原爆開発「マンハッタン計画」の科学面での指揮者であったロバート・オッペンハイマーは「我々は世界が同じではなくなったことを知っている。今や私は死となり、世界の破壊者となったのだ」と嘆息し、彼の同僚であったレオ・シラードは「あの夜、私は世界が悲嘆に向かっていることを知った」と述べている。

その3週間後、米国は、8月6日に広島、9日に長崎とそれぞれ原爆を投下した。この出来事は、核兵器が人類と環境に及ぼす革命的かつ壊滅的な力を見せつけるものだった。

核科学者のシラードは「ほぼ例外なく、すべての創造的な物理学者は、原爆の使用に関して不安を抱いていた。」と記し、さらに「ハリー・トルーマン大統領は、核兵器とはどういうものかを全く理解していなかった」と書いている。

Physicist Leo Szilard/ By U.S. Department of Energy – U.S. Department of Energy, Public Domain

のちにシラードはこう回顧した。「1945年3月、私はフランクリン・デラーノ・ルーズベルト大統領宛ての覚書を準備した。この覚書は、日本の都市に対する原爆の使用はソ連との原爆開発競争への道を開くことになると警告し、そのような軍拡競争を避けることの方が、日本を戦争からノックアウトするという短期的な目標より重要なことではないかと問いかけるものであった。」

ルーズベルト大統領の死後、シラードはトルーマン大統領への請願書を起草した。日本の都市に対する原爆使用に道義的な観点から反対するものであった。

数年後、シラードは、日本の2つの都市に対する原爆使用ののち、米国は民間人に対する原爆使用の非道徳性という論議において敗北したのだという鋭い見方を示している。

核分裂の概念がひとたび科学的に証明され、それが日本の都市を破壊するために応用されると、アルバルト・アインシュタインは、自身とその同僚であったシラードが1939年8月2日付でルーズベルト米大統領に送った共同書簡のもたらした恐ろしい結果について、遅ればせながら責任を感じるようになった。その書簡は、ナチスドイツが原爆を開発するかもしれないと警告し、米国が核兵器開発計画を開始するよう推奨するものであった。その結果として、ルーズベルト大統領はマンハッタン計画を始めるのである。

広島への原爆投下から1年も経たずして、アインシュタインは「原子から解き放たれた力は、我々の考え方を除けばあらゆるものを変えてしまった。我々はこうして、前例のない大惨事へと突入しつつある」と嘆いた。後にアインシュタインは、原爆の使用は「最大の誤り」であると述べ、1947年には『ニュースウィーク』誌に対して「ドイツが原爆開発に成功しないとわかっていたら、何もしなかった」と語った。

核軍縮の促進

第二次世界大戦の灰の中から立ち上がって、新たに創設された国際連合が1946年に初めて採決した決議は「原子兵器の廃絶」を求めるものであった。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

こうして、原子兵器の使用が人間や環境にもたらす破滅的な影響に関する最初の警告の種が蒔かれ、核兵器禁止への最初の呼びかけがなされた。

アインシュタインは、自らの過ちを償うべく、哲学者のバートランド・ラッセルや他の原子科学者らとともに、1955年7月9日、「ラッセル=アインシュタイン宣言」を発して、次のように高らかに呼びかけた。

「私たちは人類に絶滅をもたらすか、それとも人類が戦争を放棄するか。致命的な放射性粒子がどれほど広範にばら撒かれているか誰も知る由がないが、最も権威ある人々は、水爆を用いた戦争によっておそらく人類は終焉するであろうという見解で一致している。軍備の全面的削減の一環としての核兵器を放棄する協定は、最終的な解決に結びつくわけではないけれども、一定の重要な役割を果たすだろう。」

核兵器廃絶に向けた多くの科学者の努力にも関わらず、残念なことに、他の科学者らが、単純な構造の原爆よりもはるかに破壊的な水素爆弾を開発するよう指導者を説得することに成功してしまった。実際、米国は、月の表面で水素爆弾を爆発させる「プロジェクトA-119」を、結局は短期間に終わるものの1958年に始動させている。その目的は、地球からはっきりと見える巨大なキノコ雲、あるいは放射性の雲と強烈な閃光を発生させることで、ソ連に対して力を見せつけようとするものであった。

幸い、計画は中止され、月は守られた。1979年の月条約は、月やその他の天体におけるあらゆる種類の核実験を禁止している。これは、破壊的な目的のために核エネルギーを濫用しようとする人類の愚かさと、現存する核兵器のリスクを明確に示したものだ。

広島への原爆投下から75年の今日、被爆者に会ったり、爆心地を訪ねたり、破壊された両都市の惨状を写真で見たりしたことがある者ならば、誰もが核兵器がもたらす破壊の大きさに衝撃を受け、恐怖を抱かないわけにはいかないだろう。

核兵器を持つ9カ国とその「同盟国」(より正確には核依存国)の指導者らが、核兵器使用の破壊的な帰結に対して盲目的な態度を取り続け、122カ国が賛成、82カ国が署名、40カ国が批准した核兵器禁止条約を拒絶していることは、驚くべきことであり、きわめて残念なことだ。

他方で、(8月9日現在)あと6カ国が批准すれば核禁条約が発効するという好ましい動向もある。条約が発効すれば、(国際法の下での基本原則である)強行規範が成立し、すべての条約加盟国が核兵器を禁止すべき義務が発生する。ここで思い出したいのが、「我々の防衛は武器のうちにあるのでも、科学のうちにあるのでもない。我々の防衛は法と秩序のうちにあるのだ」というアインシュタインの予言的な言葉である。現在の国際関係に欠けている発想であろう。

2016年10月、NATOの核依存国とその「同盟国」は、核兵器を禁止する条約を国連の下で交渉することを支持する122カ国に一致して反対した。

この核保有国と核依存国の「枢軸」は、核不拡散条約(NPT)再検討会議で1995年、2000年、2010年にそれぞれ全会一致で合意した核軍縮とリスク削減を実行するために合意された措置に背を背けている。

広島への称賛

今日まで、広島と長崎だけが戦時において核兵器が使用された唯一の例である。しかし、広島・長崎への原爆投下の経験は、核兵器のさらなる使用とその拡散を予防することが、そして、核兵器なき世界に最終的につながる核軍縮が、なぜ人類と地球の生き残りのためにきわめて重要なのかを一貫して示し続けている。

Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigoo Rayashi

この点において、被爆者やその家族、子ども、広島県・市の市民や指導者らが、亡くなった方々の記憶を生かし続け、75年前の原爆を生きのびた人々を支えてきた長年にわたる努力とその犠牲を認識し、深く感謝申し上げたいと思う。

広島の指導者と市民が示してきた賞賛すべき無私の模範は、全ての核兵器を永久に廃絶することを目指して決然とした取り組みを進める日本の市民や政府にとって、そして世界中の都市や国々にとっての励みとなるものだ。

広島県の湯崎英彦知事が核兵器なき世界の達成という目標を弛みなく支持し続けていること、広島市の松井一實市長も同じ目標に向けて努力を続けていることは、本当に心強い。

広島市長は、164カ国・地域の7909都市から成る「平和首長会議」の議長でもある。同会議は、被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に関する被爆者のメッセージに理解を寄せる人々を増やす取り組みを続けている。

新型コロナウィルス感染症の影響

不幸にして起こった新型コロナウィルス感染症の世界的な流行は、核保有国と核依存国の「枢軸」が、誤ったことを優先し、核抑止と軍事介入に対して数兆ドルにも及ぶ資金を無駄に投じている事実を白日の下に晒した。これらの国々が保健医療分野に対して投資を長年にわたって怠っていたことが、受け入れがたいほど感染率と死亡率が高くなる原因となっている。

Image source. India TV

これらの国々の一部が、特定の医療品を身勝手に独占し、ワクチンを国際的に共同開発するのではなく、「自国第一主義」の「ワクチン・ナショナリズム」につながる熾烈な競争とプロバガンダを繰り広げている現状は、きわめて悲劇的で恥ずべきことだ。核抑止論の信奉者らが、核兵器の使用が世界にもたらす大惨事を認識しようとする知的鋭敏さを持ち合わせていないことを考えれば、彼らが、パンデミックへの防衛はいかなる国も一国内で封じ込めるのは不可能だと理解できないとしても、驚くにはあたらない。

核兵器と外国への軍事介入のために国の資源を無駄遣いしていない非核兵器国が、パンデミックによりよく対処できているのは、明らかだと言えよう。後編ヘ続く原文へPDF

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【ウィーン/広島IDN=タリク・ラウフ

核軍備管理の崩壊

残念なことに、世界から核兵器をなくすというビジョンは、この半世紀に渡って地道に築き上げてきた核軍備管理の枠組みが私たちの目前で音を立てて崩れていく中で、後退していっている。

1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)は未発効であり、核爆発実験が再開されパンドラの箱が再び開けらる危険性さえ出てきている。またCTBT支援国は2008年に大きな失敗を犯している。当時、インドが核技術と核分裂性物質を購入することを可能にする「例外扱い」について協議された際、核不拡散の規範に拘束されないインドに対して、1998年の国連安保理決議1172と、原子力供給国グループ(NSG)の「ガイドライン」に従ってCTBT加入を要件にすべきだったにも関わらず、例外扱いを認めてしまった。

北朝鮮と朝鮮半島の非核化に関する交渉と協議においては、北朝鮮にCTBTへの加入を要件とする条項は、またもや盛り込まれなかった。2年毎に行われる「CTBT発効促進会議」は、同じような演説ばかり繰り返している悲しい冗談のような集まりになりつつある。こうして、CTBTが発効する見通しは毎年低くなり、核軍備管理の化石状態になる可能性が高まっている。

二国間及び多国間の核軍備管理の枠組みと土台は、米国が2002年に対弾道ミサイル・システム(ABM)制限条約から脱退したことによって、そしてまた、中国・フランス・ロシア・英国・米国の核保有5カ国が1995年・2000年・2010年のNPT再検討会議で合意された核兵器削減の約束を完全履行しなかったことによって蝕まれている。

Tariq Rauf
Tariq Rauf

2015年7月に署名され、それ以降イランが履行している、EU3+3とイランによる「包括的共同作業計画」(JCPOA)から米国が脱退し(2018年5月)、それに続いて、2019年5月以降にイランがウラン濃縮制限義務から段階的に逸脱し始めたことも指摘できるかもしれない。これによって、中東の地域情勢は不安定化し、同地域で破滅的な戦争が再び起こる可能性が高まっている。

米国は2019年8月2日、中距離核戦力(INF)全廃条約(1987年)からの脱退を正式表明した。これはロシアが7月に同条約の履行停止を表明した際から予期されていたことであった。INF条約の下で、1991年5月までに射程500~5500キロの弾道・巡航ミサイル2692基が検証可能な形で廃棄され(ソ連1846基、米846基)、5000発近い核弾頭が作戦体勢から外された。

INF条約の廃止によって、米ロ間に残る核軍備管理協定は新戦略兵器削減条約(新START)のみとなった(2010年4月8日署名、11年2月5日発効)。2018年2月4日までに、米ロ両国は、配備戦略核弾頭1550と、配備発射基(陸上配備型および海上配備型弾道ミサイルと長距離爆撃機の合計)700の上限を検証可能な形で下回った。2020年7月1日時点では、新STARTの下で、ロシアが発射基485に核弾頭1326、米国が発射基655に核弾頭1372という現状である。

新STARTは、プーチン大統領とトランプ大統領が更新しなければ、2021年2月5日に失効する。もし同条約の効力が延長されなければ、この半世紀で米ロ間に始めて二国間核軍備管理協定が存在しない状態になり、危険な核軍拡競争が新たに起きる可能性がある。新STARTの終焉によって、両国間の相互に介入的な査察と、技術的な兵器データの交換が終了することになり、透明性が低下して核のリスクは増大することになるだろう。

米ロ間の軍備管理史上初めて、両国間に存在した既存の協定が破棄されるだけではなく、両国が無制限に核戦力の近代化を行い、宣言的政策と実際の作戦上の両方において核兵器使用のハードルを下げる状態が生まれることになる。

一部の核保有国の軍事ドクトリンは、核兵器の先制使用あるいは早期使用を念頭に置いている。米国防省の新たな核兵器指針「核作戦」(2019年6月11日)は「核兵器の使用は、決定的な結果と戦略的安定の回復に向けた条件を作り出す可能性がある」と述べている。

ロシア側の軍事ドクトリンでは、NATOの圧倒的な通常戦力に対抗するためのいわゆる「エスカレーション回避のためのエスカレーション」戦略を想定している。早期の、しかし限定的な核使用を前提としたものだ。

南アジアにおいては、インド・パキスタン両国が地域紛争における核兵器使用を想定している。最近インドは、ヒマラヤ高地ラダック地域における紛争の再発という状況から、中国に対する防衛のための核能力強化という圧力にさらされている。

核兵器の使用が議論される際に使われる用語が都合よく「聞こえのいい」ものにされていることは、きわめて不快だ。核戦争による破壊と人間や環境に及ぼす影響は軽視され、その代わりに核抑止という浄化された概念が用いられる。

心配なことに、ウィリアム・ペリー元米国防長官のようなかつての防衛専門家の多くが、今日の世界では、偶発的・事故的あるいは意図的な核兵器の使用の可能性が冷戦真っただ中の時代よりも高いとみている。ペリー元長官はその最新刊『核のボタン』で、「我々の核兵器政策は時代遅れで危険なものだ。私は自身がその策定に関わったからそのことがわかっている。手遅れになる前に政策を変えなくてはならない。」と記している。ペリー元長官は、「わずか数分の間で核兵器を数百発も発射できる恐るべき能力」によって、ハルマゲドン(世界の終焉)を引き起こす重大な危険が生まれていると警告している。

The Button: The New Nuclear Arms Race and Presidential Power from Truman to Trump/ BenBella Books, Inc.

「核戦争に勝者はなく、また、核戦争は決して戦われてはならない。」というミハイル・ゴルバチョフ書記長ロナルド・レーガン大統領の1987年12月の認識は、今日の指導者と核戦争計画策定者の頭にはもはや入っていない。

『原子科学者会報』は今年、(核の大惨事に我々がいかに近づいているかを示す指標である)世界終末時計を真夜中まで100秒にセットした。冷戦のもっとも暗い時代ですら、時計は「2分前」であった。

これに関連して、ひとつの希望の兆しは、米ロ両国がウィーンで6月と7月の2度にわたって行った直接協議である。核軍備管理問題に関するNSVT(核・宇宙・検証問題協議)は、核兵器ドクトリン、宇宙兵器と軍備管理、透明性と検証の問題の3つの領域をカバーするものである。こうした望ましい前進があるにも関わらず、両国は、NSVTに第三国を加えるかどうかを巡って分裂している。米国は中国を含めるべきと主張し、これに対してロシアは、中国を入れるなら英国とフランスも含めるよう主張している。しかし、中英仏は、米ロによる多国間NSVT協議に参加する意向を示していない。

6月22日のNSVT協議で米国は、中国が参加の意思を示していないにも関わらず、机の上に中国国旗を準備した。これは、米中の各代表の間におけるツイッターのメッセージの交換に関する画像である。

核不拡散条約

核不拡散条約(NPT)は今年7月で50周年を迎えた。新型コロナウィルス感染症の拡大のために2021年に延期された第10回NPT再検討会議が失敗する可能性について憂慮する声が強くなっている。私がこれまでに論じてきたように、ニューヨークは安全でも適切な実施場所でもない。再検討会議は2022年に延期してウィーン(オーストリア)で行うべきだ。

Photo: Chair Syed Hussin addresses the 2019 NPT PrepCom. Credit: Alicia Sanders-Zakre, Arms Control Association.

NPTの文脈での核軍縮に関連して、複数の対立するアプローチが無秩序に出されている。非同盟運動(NAM)諸国の3段階の次元を区切った「行動計画」、それに対する西側諸国の「ステップ・バイ・ステップ」アプローチ(それを一部修正した、様々な立場を含んだ「不拡散軍縮イニシアチブ」(NPDI)諸国の「ブロック積み上げ」アプローチ)。また、新アジェンダ連合(NAC)は「核軍縮の前進」アプローチを支持し、スウェーデンは「飛び石」提案を行っている。さらに米国は、「核軍縮のための国際環境を整備する」(CEND)概念を推進している。

CENDアプローチを冷静に見てみるならば、核軍縮に向けた「環境」や「条件」作りの焦点と責任を、核保有国から非核兵器国に移すことにこの取り組みの主眼があると言えよう。実際、ディストピア的な米国のCENDアプローチと現在提示されている核政策は、「決して軍縮しないための条件を作りだす」大義に資するものだ。

CENDアプローチは、「虹や蝶、ユニコーンが魔法のように現れて核軍備管理の新しいファンタジーの世界につながる妖精の粉をふりまくのを夢見るようなもの」とみるのが適切であろう。

「虹や蝶、ユニコーン」に信頼を置いても、核による破壊の危険から世界を救う道筋は見えてこない! NPTの枠組みでの核軍縮義務を誠実に履行することが、救済への唯一の道だ。

核兵器の「永続的な脅威」を終わらせる

人類と地球のあらゆる生き物が今後も生き残っていけるかどうかは、核保有国とそれを支持する核依存国の「枢軸」における一部の「指導者」と職員の行動と決定にかかっている。しかし、これら指導者の人間性や合理性、精神の安定が、ますます疑問に付されるようになっている。

法的規範と条約につなぎ留められた国際秩序が、生き残りのための最大の希望だ。この点において、核兵器禁止条約は「核の平和への権利」を打ち立て、核兵器が「永続的な脅威」になることを防ぎうるものだ。

フランシスコ教皇は2019年11月の日本訪問時に、世界の大国が核戦力を廃止するようにと明確に要求した。我々はこの呼びかけを認識する必要がある。教皇は、核兵器に関してはその使用も保有も「非道徳的」な犯罪であり、危険な無駄遣いであると訴えた。私は、広島平和公園での教皇の次の発言を思い起こしている。「紛争の正当な解決策として、核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか。この底知れぬ苦しみが、決して越えてはならない一線を自覚させてくれますように。」(原文へ

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国連、北朝鮮で横行している脱北女性達に対する人権侵害を告発

【ジュネーブ/ソウルIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は7月28日、北朝鮮で脱北に失敗した女性に対する拷問、性的虐待が横行していると告発する報告書「北朝鮮で収監されている女性に対する人権侵害:私は今も苦しんでいる…(I still feel the pain…)」を発表した。

報告書は、北朝鮮から逃れたあと2009年から19年にかけて本国に連れ戻され、その後再び脱出することができた女性100人余りに対して北朝鮮国内での状況について聞き取り調査を行ったものである。女性らは北朝鮮の拘禁施設に収容された際に、個別・集団で受けた様々な虐待について証言した。

報告書はまた、北朝鮮が建国から75年を経過した現在も閉鎖社会のままである点を指摘した。北朝鮮では当局による公式な許可なして国外に出ることは、国内法の規定で犯罪とされており、違反者は危険な逃避行中に虐待や逮捕、強制送還されるリスクが高い。

Map of North Korea
Map of North Korea

2014年には北朝鮮における人権に関する国連調査委員会が、同国に強制送還された北朝鮮国民に対する当局による人権侵害が、組織的かつ広範囲に横行しており、人道に対する罪に該当すると非難している。

ミシェル・バチェレ国連高等弁務官は、「生きていくために北朝鮮を逃れたにもかかわらず、強制送還され処罰された女性たちの証言を読んで心が痛みます。これらの女性たちは、しばしば搾取や人身売買の犠牲となっており、本来ならば保護されてしかるべき人々です。ましてや、犯罪者として収監されてさらなる人権侵害に晒されるべきではありません。彼女たちには、真相が解明され、正義がなされ、補償が支払われる権利があります。」と語った。

北朝鮮政府は国民の海外渡航を禁止しているが、仕事や新天地を求めて脱北という危険に満ちた選択する女性が後を絶たない。

しかし脱北者はしばしば逃避行中に、人身売買業者の手に落ち、奴隷労働や性的搾取、中には結婚を強制されるケースも報告されている。

女性たちは北朝鮮に強制送還されると、今度は北朝鮮当局に拘束され、国際的な手続き基準を満たしていない裁判審理を経るか、或いは、しばしば裁判さえ開かれないまま、懲役刑に処せられている。

今回の報告書により、北朝鮮当局に引き渡された脱北者のなかでも、とりわけ「裏切り者」の烙印を押された人々(韓国への亡命を試みたり、キリスト教団体へのコンタクトをとったりした人物がたびたび対象となる)が組織的に罰せられ、様々な人権侵害を受けていることが明らかになった。

中国に脱北して強制送還されたある女性は、帰国後に目の当たりにした恐ろしい経験について証言している。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

「私は予備調査官に警棒で殴られたり蹴られたりしました。とりわけ国家保衛省での扱いは過酷なものでした。もし中国滞在中に韓国系の教会を訪れていたことが判明すると、それはすなわち死を意味しました。そこで私は中国滞在中の足跡について極力語らないように努めたため、結果的に激しく殴打されることになったのです。虐待の勢いはあばら骨が折れるほどで、今でも痛みが癒えていません。」と、この女性は語った。

またこの女性は、混雑し不衛生な環境のなかで男性警備員に常に監視される拘禁所の非人道的な実態について語った。

収容者らは、衛生状態が悪く、日光もほとんど当たらない空間に押し込められ、十分な食料も与えられず、女性に必要な生理品や衛生施設へのアクセスも拒否された。そのため、だれもが栄養失調に陥り、中には生理不順に苛まれる収容者もいた。

「私が収監されている間、5、6人が死亡し、そのほとんどが栄養失調によるものでした。」と、別の女性が国連人権委のスタッフに語った。

収監された女性たちは、割り当てられた重労働のノルマを達成できなかったなど様々な理由で、常に殴られるか拷問を受けていた。

聞き取り調査に応じた女性たちは、拘禁施設において全裸で身体検査を強制されたことや、看守による性的暴行を経験したり目撃したりしたこと、さらには、看守らが、妊婦を対象に虐待や重労働を課して堕胎に追い込んだ事例について証言した。

報告書の執筆者らは、「彼女たちの証言内容は、国際人道法が求める順守義務に北朝鮮が違反していることを示している。」と語った。

バチェレ人権高等弁務官は、「これらの証言は、北朝鮮では人権侵害が横行している事実を改めて示しており、このような犯罪に対して十分な説明責任を果たすための道筋を模索し続ける必要があります。国連人権局は、罪に対して責任を追及するプロセスを明らかにするために、今後も可能な限りこの種の証言を集めてまいります。」と語った。

Michele Bachelet, Presidente of Chile speaks during Special Session of the Human Rights Council. 29 March 2017. UN Photo / Jean-Marc Ferré
Michele Bachelet, Presidente of Chile speaks during Special Session of the Human Rights Council. 29 March 2017. UN Photo / Jean-Marc Ferré

報告書は、結論部分で、各国政府に対して、国内の監獄制度を国際規範・基準に合わせるよう呼びかける一連の勧告を行っている。

また報告書の勧告の中には、すべての市民が北朝鮮に自由に出入国でき、同国へ帰還したいかなる者も、収監されたりその他の処罰に問われたりしない基本的権利を保障するよう求めたものがある。

また報告書は、各国政府に対して、北朝鮮市民が本国送還された場合に深刻な人権侵害に直面すると信じるに足る十分な事由がある場合は、強制送還しないよう強く訴えている。各国政府はまた、人道に対する罪やその他の国際犯罪が北朝鮮でこれまで行われてきたか、或いは現在横行しているかについて調査するいかなるプロセスも支援するよう要請された。(原文へ

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