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「核実験に反対する国際デー」記念行事を取材

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan

CTBTO Executive Secretary Lassina Zerbo, IAEA Director General Yukiya Amano’s brother Mari Amano and the former Foreign Minister of Italy, member of the Prize Award Committee Franco Frattini highlight the importance of the Nazarbayev Prize for Nuclear-Free-World and Global Security instituted by Kazakhstan’s First President Nursultan Nazarbayev.

核軍縮・不拡散で世界をリードする存在だと広く認められているカザフスタンが、今年の「核実験に反対する国際デー」に際して、「核兵器なき世界」の実現に尽力してきた2人の人物を表彰した。中央アジアに位置するカザフスタンは、1991年に崩壊したソ連の構成国として、かつては世界第4位の核戦力を保有していた。10回目の「核実験に反対する国際デー」を国連が公式に記念した今年の8月29日、カザフスタンの初代大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ氏が、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長と、7月18日に逝去した国際原子力機関(IAEA)の故・天野之弥事務局長に対して「ナザルバエフ賞」を首都ヌルスルタン市で贈呈した。受賞のために、故天野事務局長の妻の幸加氏、弟で元ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部特命全権大使の天野万利氏が親族としてカザフスタンに到着した。

INPS Japanの浅霧勝浩理事長・マルチメディアディレクターは、2日にわたった、国際プレスチームとの旧セミパラチンスク核実験場跡、セメイを取材訪問した後、首都ヌルスルタンで授与式と記者会見を取材した。上記の映像は、受賞者の記者会見の模様。

Photo: The Prize ceremony took place in the Nazarbayev Center in Nur-Sultan.The collage includes photos from Katsuhiro Asagiri and Yukie Asagiri | INPS Japan.
Photo: The Prize ceremony took place in the Nazarbayev Center in Nur-Sultan.The collage includes photos from Katsuhiro Asagiri and Yukie Asagiri | INPS Japan.

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米ロの行動が冷戦を引きおこすとの懸念が強まる

【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】

核問題の専門家や平和活動家が、中距離核戦力(INF)全廃条約の崩壊に関して強い懸念を表明する中、互いに相手が約束に違反しているとして非難の応酬を続ける米ロ両国は、あたかも冷戦時代を想起させる行動をおこしている。

INF条約は、米国のロナルド・レーガン大統領とソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフの間で1987年に調印された。射程500~5500キロメートルの地上発射型の弾頭・巡航両ミサイルを、核兵器と通常兵器の双方に関して廃絶し、恒久的に保有しないことを約したものである。

ダリル・G・キンボール氏が指摘するように、同条約は、二大核大国が初めて核兵器の削減に踏み切り、特定のカテゴリーの兵器を全廃し、検証のための広範な現地査察を容認することに合意したものである。この条約の結果として、米ソ両国は、短・中距離のミサイルを、条約の履行期限である1991年6月1日までに計2692発、廃棄した。

ロシアの主張:「アメリカは軍拡競争の準備を進めている」

8月22日に安保理を舞台に交わされた激しい議論で、ロシアのドミトリ・A・ポリャンスキー国連次席大使は、「ロシア・米国両国は、一時期はINF条約を履行していたが、この条約は米国にとって『望ましくないもの』になってしまった。」と指摘したうえで、「米国はルーマニアにミサイルを配備し、中距離ミサイルがこの地域で使用可能なものである事実を明確にした。そして今や、同様のシステムの開発・配備に関する制約はなくなり、軍縮の取り決めは脇に押しやられてしまった。」と語った。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

ポリャンスキー次席大使はまた、「米政権の中心人物らが、ロシア・米国間の新戦略兵器削減条約(新START)を現在の形では履行するつもりがないことを明確にしてきた。」と指摘したうえで、「米国は少しずつ、武力で威嚇しながら、かつての時代に回帰しつつある。我々は今、軍拡競争の寸前にある。もしドナルド・トランプ(米大統領)を信じるなら、米国は軍拡競争に突入する準備ができているということだ。」と語った。

ポリャンスキー次席大使はまた、「ロシアの軍事予算は、米国の7000億ドルや北大西洋条約機構(NATO)の1兆ドルよりも遥かに少ない。さらに、米国では兵器開発の予算が軍事予算に含まれているにもかかわらず、ロシアが非難されている。」「ロシアは地上発射型巡航ミサイル『9M729』に対する米国の非難について、その内容を明らかにするよう再三要請した無視された。またこのミサイルを議題とした協議の開催を米国に打診したが、米国からの代表は欠席した。」と語った。

米国の主張:「ロシアには欧州の標的を撃破する能力がある」

米国のジョナサン・コーエン国連大使代行は、「ロシアは条約に違反する決定を下して、新型ミサイルを配備した部隊を複数編成している。」と主張した。そして、「米国は中距離核戦略全廃条約の履行に復帰するようロシアに促したが、結局条約からの脱退を決めた。」と語った。

コーエン大使代行は、現在の状況について、「中露は平然と軍備増強を続けながら、米国が自制心を働かせる世界を望んでいるようだ。」と説明した。また、「米国とNATOの同盟国は、ロシアは欧州の標的を撃破する能力を見せつける行動をとり、現在は失効してしまったINF条約に違反していたと認識している。中国もまた同様のシステムを配備している。」とコーエン大使代行は語った。

コーエン大使代行は、米国の活動に関して、「現在のところ地上発射型の[中距離]ミサイルは保有していない。」と強調したうえで、「中国は条約当事国であれば禁止されていたミサイル約2000発を保有している。」と語った。また、「米国のミサイル発射システムが条約義務を遵守しているのに対して、ロシア・中国は真逆の方向に進みつつある。新型核兵器の開発、ミサイルの増強、戦力の近代化、水中ドローンなどの新兵器の追加取得がなされている。」と語った。

コーエン大使代行は、ロシアで8月9日に核関連の爆発を引き起こした原因に言及しつつ、ロシア・中国が引き起こした他の懸念すべき出来事にも触れた。米国は、INF条約の義務を超える効果的な軍備管理に対して前向きであると同氏は述べた。

中国:「米国は条約脱退で単独行動を取ろうとしている」

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

中国の張軍国連大使は、「ロシアと米国は、条約遵守を巡る意見の相違について対話を通じて適切に処理すべきだった。しかし米国が条約から脱退したことで、条約の範囲を超えた負の影響が及ぶことになるだろう。中国を口実とする条約の放棄は受け入れられず、米側のむやみな非難も認められない。」と強調した。

「突出した不安定要因により国際安全保障を脅かされており、多国間主義こそがこうした難題に対処するためのカギを握る。あらゆる国々が、全人類の持続可能な共通の未来構築に向けた努力を行い、他国の安全保障を損なうような行動を慎むべきだ。」と張大使は語った

さらに張大使は、「米国の条約脱退は、条約を破壊し、ミサイル配備などの単独行動を取ることを意図したものだ。中国は関連条約を遵守している。最大の核戦力を保有するすべての国々は、自らの軍縮義務を緊急に果たすべきである。」と指摘したうえで、ロシアと米国に対して、「対話に復帰し、戦力を削減し、現在の新START条約の更新も含めて、軍縮の目標に向かって前進する条件を作り出すべきだ。」と訴えた。さらに、「中国自身は専守防衛的政策を追求しており、多国間の軍備管理に加わり、いかなる軍拡競争にも反対している。」と語った。

ポーランド:ロシアに単独の責任がある

ポーランドのジョアンナ・ロネッカ国連大使(8月の安保理議長)は、「軍備管理と軍縮の約束は検証され、すべての当事国が信義をもって守らねばならない。」と語った。また、INF条約の下で約3000発のミサイルが撤去され、検証可能な形で廃棄されたことを指摘し、米国が条約を維持しなかったことに遺憾の意を示した。

ロネッカ大使は、「欧州の安全保障枠組みの重要な要素が喪失したことは、国際安全保障にとってさらなる試練となるだろう。」と指摘したうえで、INFの失効は一義的にロシア側に責任があり、効果的かつ検証可能で透明な形で条約を履行する措置をとる意思をロシアが示さなかったことに遺憾の意を表明した。

ポーランドは他の米同盟国と同じく米国のINF脱退の決定を支持しており、ロネッカ大使は、「(米国の決定は)ロシアの行動に対する合理的かつ理解可能な反応だ。」と語った。

南アフリカ共和国(南ア):「米国とロシアは新STARTの協議を再開すべき」

以前から一部の核保有国が核不拡散条約(NPT)に明白に違反する形で、核戦力や運搬手段の近代化を主張していることに懸念の声を上げていた南アのジェリー・マシューズ・マトジラ国連大使は、「(INF条約のような)確立されてきた軍備管理枠組みが破棄され、欧州だけではなく世界全体を核戦争の危険に晒していることは、きわめて遺憾だ。」と語った。

マトジラ大使は、米ロ両国に新STARTが失効する2021年を前に同条約の延長に向けた協議を再開するよう求めた。また、南アが核兵器を開発しながら自発的にそれを廃棄した唯一の国である事実を指摘した。

マトジラ大使は、国連加盟国に対して、2017年に採択された核兵器禁止条約を署名・批准するよう呼びかけ、核軍縮と核不拡散は相互に補強的なプロセスであることを強調した。そして、核不拡散ばかりを選択的に強調しながら、核軍縮に関しては何の努力もなされないことで、核不拡散体制は弱体化していると警告した。

国連軍縮問題上級代表:INF条約の失効で重大な制約が外された

「国際の平和と安全への脅威:ミサイル問題」と題して安保理に対してブリーフィングを行った中満泉国連軍縮問題上級代表は、「INF条約が最近失効したことで、不安定要素となるカテゴリーのミサイルの開発・配備に対する数少ない制約の1つが除去されることになった。」と遺憾の意を述べた。

Izumi Nakamitsu/ photo by Katsuhiro Asagiri
Izumi Nakamitsu/ photo by Katsuhiro Asagiri

中満氏は、「今日、ロシアと米国だけが、両国が保有する特定のミサイルの数に法的拘束力のある制約を課している国であっただけに、INF条約の失効により、ミサイルの開発や獲得、拡散の無制限な競争が引き起こされてはならない。」と強調した。

中満氏は、国連事務総長が全ての加盟国に対して国際的な軍備管理への共通の新たな道に関する合意を緊急に追求すべきと訴えたことに呼応し、「既存の多国間協定に未加盟の国々も含めて、ますます多くの国々が弾道ミサイル能力を獲得し開発するようになってきている。」と語った。

実際、「ミサイル技術管理レジーム」が定義するところの「核能力」の基準を超える弾道ミサイル能力を持つ国は、20カ国を超えている。核保有国は、顕著なミサイル能力やミサイル防衛能力を積極的に追求しており、国際の平和と安全に不明瞭かつ潜在的にマイナスの影響を与えている。」と中満氏は主張した。

「超音速で運用できるミサイル技術を利用した兵器システムの開発は安全をさらに損ない、不安定な軍拡競争を招きかねない。」と中満氏は警告した。(原文へ) |ドイツ語|

INPS Japan

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世界政治フォーラムを取材

Kazakh First President’s Nazarbayev Award, A Field Trip to Former Nuclear Test Site

Kazakhstan, widely acknowledged as a leader in nuclear disarmament and non-proliferation, has availed of this year’s International Day against Nuclear Tests to honour two eminent advocates of a world free of nuclear weapons.

This year when the UN officially commemorates the Tenth Anniversary of the Day, August 29, Kazakhstan’s First President Nursultan Nazarbayev presented to the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization (CTBTO) Executive Secretary Lassina Zerbo and the relatives of late International Atomic Energy Agency (IAEA) Director General Yukiya Amano, who passed away on July 18, 2019, the Nazarbayev Prize for a Nuclear-Free-World and Global Security in Nur-Sultan.

Prior to the award ceremony, IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri joined journalists from UN, Japan, Latvia, Italy, Portugal, Israel, Mexico, and U.S.A. a two-day press trip to Semey city and Kurchatova town in East Kazakhstan Region, once the center of operations for the adjoining Semipalatinsk Nuclear Test Site.

Below IDN-INPS print and video coverage:

Read stories from Kazakh capital Nur-Sultan >>>

Kazakh Capital Hosts Nuclear-Weapon-Free Zone Delegates

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Need for Nuclear Test-Ban Treaty’s Entry into Force Reiterated

Kazakh Ratification Marks One Step Closer to Banning the Bomb

Watch Videos on Katsuhiro Asagiri’s press trip >>>

Press Conference on Nazarbayev Prize for Nuclear Weapon Free World and Global Security.

Press trip to Semey city and Kurchatova town in East Kazakhstan Region

 [INPS-IDN – August | September 2019]

インドで持続的開発を阻むもの

【バンガロールIDN=スジャ・ラマチャンドラン】

インドでは発育不全の子供を減らす取り組みを一層強化する必要がある。それは、心身両面で子供たちの発達を促進し学習能力を高め人生の可能性を広げるのみならず、同国の「国家栄養ミッション」が設定した2022年という目標期限を満たし、国際社会が2030年までに持続可能な開発目標を達成できるようにするためでもある。

インドの国家家族保健サービス3、4(NFHS-3、4)の統計によると、5歳以下の子供の中で発育不全の子供が占める割合は、2006年の48%から2016年には38%まで減少している。この10年間の減少幅は大きいが、1年毎の減少は僅か1%程度にとどまっている。

これは新興国の中で最も遅いペースで、このままだと2022年には依然として31.4%のインドの子供が発育不全の状態におかれていることになる。国連食糧農業計画がインドの統計・事業実施省と協力して作成した「インド食料・栄養安全保障分析2019年版」によると、「2022年までに発育不良の子供の割合を25%以内に抑える」とする国家栄養ミッションの目標を達成するには、年率2%のペースで減少させる必要がある。

インドの女性・子供発達省の担当官は、「発育不良(年齢のわりに身長が伸びない状態)は慢性的な栄養不良に起因する問題で、インドは世界で最も多くの発育不良児を抱えています(4660万人)。従って、この問題への対処で前進を計れるかは、世界全体があらゆる形態の飢餓と栄養不良の根絶を謳ったSDGsの第2目標を達成できるかを測る上で『きわめて大きな影響』をもっています。」と語った。

SDGs Goal No. 2
SDGs Goal No. 2

発育不全やその他の形態の栄養不良は、世界全体の児童死亡数の約半分の原因だと言われている。脳の発達不全によって、知的能力や学習能力が減退し、学校での成績も悪化する。また、糖尿病や高血圧、肥満などの栄養関連の慢性疾病のリスクも高まる。

「オブザーバー研究財団」(ニューデリー)健康イニシアチブのショーバ・スーリ上級研究員は、「発育不全の子供は、就学期に能力を十分に発揮できず就職先が限定されるなど、影響は生涯に及びます。」と語った。またその影響は生計を得る能力にも響く。発育不全の子供は、健康な人に比べて収入が2割減になると推定されている。

スーリ上級研究員は、世界銀行の調査報告書を引用して、「発育不全はインドの経済成長にも悪影響を及ぼしています。」と指摘した。同調査によれば、幼児期の発育不全によって成人の身長が1%失われるごとに、経済的生産性が1.4%失われるという。

国内で発育不全を削減することで「経済の生産性が改善される」と政府関係者はいう。発育不全の予防に成功すれば、単なる経済成長だけではなく、2030年までの包摂的な成長を目指したSDGsの第8目標を世界が達成できるかどうかにも影響を及ぼすことになる。「第8目標は、多数のインド国民が発育不全の状況に置かれた完全かつ生産的な雇用を得られない状況ではとても達成できません。」とスーリ上級委員は語った。

SDGs Goal No. 8
SDGs Goal No. 8

子供の発育不全のような関連する問題を予防するために栄養不良の問題に対処することが、インド政府が児童の栄養問題に取り組む理由である。とりわけ重要なものが、1975年に始まった「統合児童発展サービス」(ICDS)である。この事業は、0~6歳児に栄養補給サプリメントやワクチン投与、健康診断を提供することで、児童の栄養状況や健康を改善することを目的としている。

しかし、ICDSは、初期の目標を達成できずにいる。「プログラムの不十分な履行状況や、モニタリング不足、支援対象者間の格差、コミュニティ・ワーカーの技量不足などが、発育不全やその他の栄養不良関連問題を効果的に解決できていない理由です。」とスーリ上級委員は語った。

加えて、インドにおける大半の栄養改善事業は出生後を対象としたものだ。しかし、妊婦の栄養と健康は胎児の発達に影響をもたらすことから、妊婦も政策の対象にしなくてはならない。

重要なことは、発育不全は栄養問題と直接的に関わる問題だが、多くの学術研究が、衛生やジェンダーエンパワメント、ワクチン、教育、貧困軽減、農業生産といった他の要素が、発育不全を予防する上で重要だと指摘している点である。「従って、発育不全の問題は、もはや女性・子供発達省だけの問題ではなくなっているのです。部族問題や水・衛生、地域開発などを担当する複数の省庁が協力して、インドにおける発育不全の問題に対処するペースを上げていく必要があります。」と政府関係者は語った。

2017年、インド政府は、首相による包括的栄養スキーム「アビヤアン」を立ち上げた。2022年までに、発育不全や栄養不良、低体重をそれぞれ毎年2%、貧血を3%減少させる目標を立てた。「省庁横断的な連携を求めている」このスキームは「おそらく成功するだろう」とスーリ上級委員は語った。

Map of India/ Wikimedia Commons

しかし、この期待される事業はそれほど関心を呼んでおらず、履行も遅々として進んでいない。女性・子供発達省は最近インド議会に対して、複数の州政府が「アビヤアン」実施のために割り当てられた予算を行使していないと通知した。ビハール州は割当予算のわずか4分の1しか利用しておらず、西ベンガル州やオディシャ州では事業実施の最初のステップすらとられていない。ゴア州やカルナタカ州では発育不良問題対策予算の利用すら始まっていない。

「最も対応が遅いこれら4州では、発育不良は既に深刻なレベルに到達しており『アビヤアン』の履行を遅らせている余裕はないはずだ。カルナタカ州30地区のうち9地区において発達不良児占める割合が全国平均を上回っている。同州の低体重の子供の割合は全国平均と同じぐらい高い。この状況下では、栄養不良を無視するようなアプローチを州政府が正当化することは受け容れがたい。」と『デカン・ヘラルド』紙の社説は伝えた。

スーリ上級委員はさらに、「児童の栄養状態を改善する事業は『絶好の機会』である幼児の生後1000日に集中すべきです。また、栄養不良や母乳による育児、さらには児童の成長に関する意識を喚起することが重要です。」と語った。

重要なことは、政府諸機関が単独で栄養不良問題対策や関連事業を行うことはできない、ということだ。民間部門や市民社会、学校もまた、栄養のある食事を重視することで、この輪に加わる必要がある。(原文へ)

INPS Japan

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INPS Japanが国際プレスチームと共に旧セミパラチンスク核実験場とセメイを取材

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan

国連が「核実験に反対する国際デー(8/29)」公式に記念して10年目となる今年、この国際デーの由来となった旧セミパラチンスク核実験場閉鎖を記念する行事がカザフスタンの首都で開催された。

それに先立つ8月27日ー28日、INPS Japanの浅霧勝浩理事長・マルチメディアディレクターは、国連、ラトビア、イタリア、ポルトガル、イスラエル、メキシコ、米国のジャーナリストと共に、かつてソ連時代に核実験の中心的な地であった東部のクルチャトフ(ソ連時代は秘密都市)、旧セミパラチンスク核実験場と、セメイを取材訪問し、取材団を対象としたドキュメンタリーを作成した。

Katsuhiro Asagiri at Ground Zero of former Semipalatinsk Nuclear Test Site (Polygon)
Katsuhiro Asagiri at Ground Zero of former Semipalatinsk Nuclear Test Site (Polygon)

This year when the UN officially commemorates the Tenth Anniversary of the Day, August 29, Kazakhstan’s First President Nursultan Nazarbayev presented to the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization (CTBTO) Executive Secretary Lassina Zerbo and the relatives of late International Atomic Energy Agency (IAEA) Director General Yukiya Amano, who passed away on July 18, 2019, the Nazarbayev Prize for a Nuclear-Free-World and Global Security in Nur-Sultan. Prior to the award ceremony, IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri joined journalists from UN, Japan, Latvia, Italy, Portugal, Israel, Mexico, and U.S.A. a two-day press trip to Semey city and Kurchatova town in East Kazakhstan Region, once the center of operations for the adjoining Semipalatinsk Nuclear Test Site.

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【ニューヨークIDN=ソマール・ウィジャヤダサ】

ロナルド・トランプ大統領が1987年に米国がソ連と結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱(8月2日)したことで、軍拡競争は新たな局面に入った。

ウラジーミル・プーチン大統領は8月5日、米国がINF失効に伴って新たな中・短距離核ミサイルを開発した場合、ロシアも同様の対応を取らざるを得ない、と警告した。

プーチン大統領は、「もし米国がそのような核ミサイルを開発し製造を開始したという信頼できる情報を得た場合は、ロシアも同様のミサイルの全面的な開発に着手せざるを得ない。」と語った。

Missile deployment eliminated by the INF treaty/ Arms Control Association
Missile deployment eliminated by the INF treaty/ Arms Control Association

米国とソ連の間で締結された第一次戦略兵器削減条約(START I)やINFを含むいくつかの条約のお蔭で、両国の備蓄核弾頭数は1986年の70,300発から13,865発にまで削減された。しかし米ロ両国は依然として、世界を数度にわたって焼き尽くすに十分なだけの各々6,185発と6,500発の核弾頭を保有している。

国際社会は、米国が1945年8月6日と9日に広島と長崎に対して使用した原爆の非人道的な破壊力や、チェルノブイリや福島原発事故が引き起こした惨禍を認識している。

国連は1945年の創設以来、「戦争の惨害から将来の世代を救う」という崇高な目的を達成すべく、核兵器を廃絶するよう努めてきた。

そして2017年7月7日、国連はついに、「核兵器を禁止し完全廃棄に導く」核兵器禁止条約を採択した。

しかし、核兵器保有国で、国際の平和と安全保障の維持を託された国連安全保障理事会の常任理事国でもある米国、ロシア、英国、フランス、中国は、この気高い取り組を支持できなかった。

過去には米国の大統領を含む世界の多くの指導者が、核兵器の禁止を支持する発言をしてきた。例えば、ジョン・ケネディー大統領は、これらの核兵器は「我々人類が滅ぼされる前に廃絶しなけれえばなりません。」と語った。また、ロナルド・レーガン大統領は、「私達は、核兵器が地球上から駆逐される日を迎えるまで決して歩みを止めてはならない。」と述べている。

バラク・オバマ大統領は2009年のプラハ演説の中で、「核兵器のない世界に向けた具体的措置を取る」と誓った。しかし2009年にノーベル平和賞を受賞したのちは、今日トランプ政権が引き継いだ2つの新規爆弾製造工場と新型核弾頭並びに運搬方式を開発するために向こう30年に亘って1兆ドルの予算を承認した。

今日、偶発的に核戦争が勃発する脅威がこれまでになく高まっているにもかかわらず、このような米国の動きを受けて、ロシア、中国、その他の核保有国も核戦力の増強に傾いてる。

核兵器の使用がもたらす結末について、世界中が認識している中で、権力に飢えた戦争を誘発する(核兵器を保有する)国々は、核戦争が引き起こす結末がどのようなものになるか気が付かないふりをしているようだ。

もし世界の大半の人々が核兵器を嫌悪し廃絶を要求しているのならば、核保有国が国連の取り組みや人々の願いを完全に無視して、より高度な核兵器の開発に邁進するのはもってのほかである。

核保有国は、核戦力を増強すれば、戦争がもたらす死や破壊、難民問題、大量の移民の発生、貧困や飢餓といった多くの問題を解決できると考えているのだろうか。

不必要な軍事費支出

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、2018年版報告書の中で、世界の軍事費は1988年以来最も高い1.8兆ドルに達したと指摘し、「世界は完全武装しつつある」とコメントした。

2018年の米国の軍事費支出は6490億ドルにのぼり、この金額は2位以下の8カ国の軍事費合計にほぼ等しい。他の主な軍事費支出国は中国(2500億ドル)、サウジアラビア(676億ドル)、インド(665億ドル)、フランス(638億ドル)、ロシア(614億ドル)である。

エコノミスト誌は、軍事費が増大した背景には、トランプ政権が、より高級で高価な武器装備を必要とするロシア、中国を相手取った「大国間競争」に舵を切ったことが反映されている、と報じている。SIPRIは、米国とロシアが世界の武器売買の半数以上を占めており、2002年以来、武器売買業者のトップ100社が合計で5兆ドル相当の武器を売っていた。また、中国、フランス、ロシア、中国、米国が輸出している武器貿易の総量は武器貿易全体の70%を占めている。

第二次世界大戦中は欧州戦線で連合国最高司令官として従軍した経験を持つドワイト・アイゼンハワー大統領は、1953年4月16日に米国新聞編集者協会で行った演説の中で、「一丁の銃が作られる度に、一隻の軍艦が進水する度に、一発のロケット弾が発射される度に、結局は、飢えているのに食べる物がない人々、寒さに凍えているのに着る物がない人々からの窃盗が起きていることになります。」と指摘したうえで、「武装する世界は、単にカネを消費しているだけではなく、労働者の汗を浪費し、すべての科学者の知性を浪費し、子供達の希望を浪費しているのです。」「これは、いかなる真の意味においても、正しい生き方とは言えない。戦争の暗雲が立ち込める中、人類は鉄の十字架に磔になったも同然です。」と警告した。

Dwight D. Eisenhower, official photo portrait, May 29, 1959/ By White House - Eisenhower Presidential Library, Public Domain
Dwight D. Eisenhower, official photo portrait, May 29, 1959/ By White House – Eisenhower Presidential Library, Public Domain

軍事衝突と人的被害

1945年以来、世界では約250件の戦争が発生し5000万人を超える人が殺害されたほか、数千万人が家を追われ、無数の人々が傷つき近親者を失った。

2014年、デイビッド・スワンソン氏は、学術誌アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘルスへの寄稿文の中で、「第二次世界大戦が終結して以来、世界の153箇所で248件の武力紛争が発生してきた。1945年から2001年の間に201の軍事作戦を海外で展開した。またその後もアフガニスタンやイラク等各地で軍事作戦を遂行してきた。

2016年だけでも、紛争で10万人が命を失った。経済損失は、推定14兆3000億ドル或いは世界経済の12.6%に相当する。

平和活動家のトム・マイヤー氏は、「米国の軍事介入は中東地域にとって災難以外の何ものでもありません。米軍はイラクを破壊し、リビアを不安定にし、エジプトの独裁者を育み、シリア内戦を加速させ、イエメンを破壊しました。また、バーレーンでは民主化運動の鎮圧を手助けしたのです。」と語った。

10年に亘ってイラクとアフガニスタンに死と破壊と殺戮をもたらし、数百万人の犠牲者が出たのち、オバマ及びトランプ大統領は、米国の納税者に対して中東の戦争に7兆ドル近いコストがかかったことを明らかにした。しかし中東に介入する大義名分であった平和や民主主義や自由はいったいどこにあるのだろうか。

このように巨額の費用が武器や軍事紛争に浪費される一方で、世界各地の学校や道路や橋といったインフラは、資本主義国においてでさえ、引き続き劣化が進んでいる。

Families flee their homes in Mosul, Iraq, heading for an army outpost in the Samah neighbourhood where they will be taken away from the heavy fighting engulfing the city. Photo: UNHCR/Ivor Prickett
Families flee their homes in Mosul, Iraq, heading for an army outpost in the Samah neighbourhood where they will be taken away from the heavy fighting engulfing the city. Photo: UNHCR/Ivor Prickett

人間を殺す武器にではなく人に投資せよ

国連によると、13億人以上の人々が極貧状態(絶対的貧困線=1.9ドル/日以下)に暮らし、20億人以上が清潔な水へのアクセスがなく、毎日22,000人の子供が貧困ゆえに命を落としている。そして資本主義国を含む世界各地で8億500万人が十分な食料を確保できないでいる。

国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は、もし極貧下にある子供達に基礎的な読解力を身につけて学校を卒業されることができれば、1億7100万人を絶対的貧困線から引き上げることが可能であり、教育を普及させることができれば、世界の貧困を現在の半分にすることが可能と見積もっている。

世界銀行は、気候変動によりこの先10年間で1億人以上が貧困に追いやられると予測している。実際、旱魃、洪水、暴風雨等の極端な気象現象による被害に最も晒されているのが、既に貧困に喘ぐコミュニティーである。

国際社会は、武器や無益な戦争に浪費されている「数兆ドル」にのぼる膨大な資源を、人の生死を左右するもっと重要な問題(貧困層の救済、劣化している道路や橋の修繕、公共輸送システムの改善、医療の提供、崩壊しつつある学校の再建)に活用すべきではないだろうか。

トランプ大統領は言動を一致させるべき

今年4月、トランプ大統領は中国の劉鶴副首相との対談の中で、「ばかげた」軍事支出と武器製造を削減すべく、中国とロシアとの間に新たな軍備管理に関する協定を結ぶことに関心を示した。

UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri

トランプ大統領は、「ご存知のように中国は、米国やロシアと同様、軍事費に多額の予算をつぎ込んでいます。私が思うに、これら3カ国は、互いに協力してこうした軍事支出を止め、長期的な平和に資するより生産的な分野に予算を費やすことができるのではないか。私は、3か国が協力してこうした武器を作らない方が、お互いにずっと良いことだと思うのだが。」と語った。

トランプ氏の提案は高尚な意見ではあるが、同氏の危険を孕んだ様々な動き(史上最大級の軍事予算増額、中距離・短距離核ミサイルを廃絶したINFからの離脱、イランの核開発計画を押し戻し凍結したイラン核合意からの離脱、イラン・キューバ・ベネズエラに対する苛烈な経済制裁、イエメンに対して壊滅的かつ非人道的な戦争を遂行してるサウジアラビアに対する武器販売、数カ国を対象にした貿易・関税戦争等)をみれば、こうした提案と実態の乖離は明らかだろう。

国連総会が採択した核兵器禁止条約に参加すべき

核戦争が、事故や、誤算、或いは不安定な指導者による意図的な動機で引き起こされる前に、ノーベル平和賞の授賞を熱望しているとされるトランプ大統領が、全ての核兵器を廃絶すべく核兵器禁止条約を支持するよう世界の指導者をまとめることを、切望している。

恐らくそうした方が、北朝鮮の非核化やイランその他の「ならず者」国家が核爆弾を取得するのを防ぐ努力より、早期にしかも容易に目的を達成できるだろう。(原文へ) |スペイン語|

※著者のソマール・ウィジャヤダサは国際弁護士。国連総会に対するユネスコ代表(1985~95)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)代表(1995~2000)を務める。

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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「世界と議会」2019年夏号(第583号)

特集:日本の進むべき道

咢堂塾設立20周年・咢堂没後65周年記念講演
「日本の進むべき道」/石破茂

特別論文
 自由民権政治家・西潟為蔵の生涯―政治家の矜持/弥久保宏

■歴史資料から見た尾崎行雄
 第1回「尾崎行雄とうなぎの蒲焼」/高島笙

■INPS JAPAN
 アフリカ―鉱物資源の収奪と環境破壊に苦しむ地元住民

■連載『尾崎行雄伝』
 第十三章 文相の舌禍

1961年創刊の「世界と議会では、国の内外を問わず、政治、経済、社会、教育などの問題を取り上げ、特に議会政治の在り方や、
日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
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ロヒンギャ難民の子供たちは学びたい、とUNICEF

745,000人のロヒンギャ難民がバングラデシュに流入して2年が経過した。ミャンマーへの帰国も許されず、後続の難民流入が続く中で、子供たちが直面している諸問題に焦点を当てた記事。(原文へ)

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オーストラリアに核兵器禁止条約署名・批准の圧力

【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ】

オーストラリア発祥の運動であり、2017年にはノーベル平和賞も受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が、同国は核兵器禁止(核禁)条約を署名・批准すべきであるとする報告書を発表した。

イラン核合意として知られる「共同包括的行動計画」(JCPOA、2015年)や、米ロ間の中距離核戦力(INF)全廃条約(1988年)などの重要な協定が損なわれ、国際的な緊張が強まる中、この報告書は出された。

イラン核合意は、国連安保理の常任理事国である中国・フランス・ロシア・英国・米国にドイツを加えた6カ国および欧州連合とイランとの長い協議を経て署名された。

ICANオーストラリアの代表で報告書を編纂したジェム・ロムルド氏はIDNの取材に対して、「INF全廃条約やイラン核合意が重大な危機に瀕し、核保有国間で軍縮を巡る協議がなされてないなど、核兵器を巡る国際的な法的仕組みが崩壊しつつあります。」と語った。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が6月17日に発表した2019年度版の年鑑によると、2018年には世界全体で弾頭の総数は減少しているものの、すべての核保有国が核戦力の近代化を進めていた。

SIPRIによれば、2019年初めの時点で、9カ国(米国・ロシア・英国・フランス・中国・インド・パキスタン・イスラエル・朝鮮民主主義人民共和国[北朝鮮])が、合計でおよそ1万3865発の核兵器を保有している。このうち、3750発が作戦配備の状態にあり、2000発近くが高度な警戒態勢下に置かれている。

オーストラリアは核兵器を保有していないが、米国との同盟関係に基づいて拡大核抑止ドクトリン(=米国による核の傘)を国家安全保障の要として受け入れる立場をとっている。

ロムルド氏は、「オーストラリアは米国の核戦略を支援する立場で振る舞っていますが、これは変えられるし、変えなくてはなりません。核禁条約はオーストラリアが従来の方向性を変え、核兵器に関する国際法を基盤とした秩序づくりに効果的に貢献するツールを提供するものです。」と語った。

国連で2017年7月に採択された同条約は、現在、署名70カ国、批准25カ国となっている(ボリビアが最近批准した)。50カ国が批准すると90日後に発効するが、それは2020年頃だと予想されている。

オーストラリア外務貿易省の報道官は、同国の政策について「我が国は核禁条約を支持しない。同条約は核保有国を巻き込んでいないし、核不拡散条約(NPT)体制という核軍縮に向けた国際協議の基盤を損なう危険性があるからだ。」と語った。

オーストラリア政府は、核禁条約では1発の核兵器の削減にもつながらず、同国が米国に対して持つ同盟上の義務にも反する、という見解だ。外務貿易省のウェブサイトは、とりわけ2020年NPT再検討会議に向けた取り組みなどを通じたNPTの強化や、地域を横断した12カ国による不拡散・軍縮イニシアチブ(NPDI)での協力を通じて、核軍縮に向けた実際的な措置を主唱し続けると述べている。

ICANの報告書『人道性を選ぶ:オーストラリアが核兵器禁止条約に加わるべき理由』は、核禁条約を巡る懸念や神話を取り上げ、署名・批准に向けた実践的な道筋について提案している。核禁条約に加わることで、核兵器を絶対悪とみなし核兵器を禁止・廃絶するためにオーストラリアが積極的に果たすべき役割について、説得力のある議論を展開している。

先住民族コカタ・ムラ(Kokatha-Mula)の女性スー・コールマン=ヘーゼルタイン氏は、オーストラリア西岸沖のモンテベロ島や南オーストラリアのエミュフィールド、マラリンガで英国が大気圏内核実験を始めたころ、まだ3才だった。1952年から63年にかけて行われた12回の大規模な核実験で、同国南部セドゥナ近くのクーニッバを含む広大な地域が汚染された。ヘーゼルダインさんは5人の姉妹、2人の兄弟、親戚とと共に、その場所に住んでいたのである。

「『トーテム1』と名づけられた最初の原爆実験の汚染は広範だった。私の家族の奇形や先天性の障害、地域での乳幼児の死亡、がんや呼吸器・甲状腺の問題は、放射線による汚染が原因だと確信しています。先住民かどうかは関係ありません。この地域の人々は皆、乳幼児の病気や死亡に悩まされてきました。」と68才になるヘーゼルタイン氏は語った。彼女は、核実験以前は、野生の動物を捕えたり、自然の植物を採集したりする健全な生活を送っていたと地域の老人達から聞かされたことを覚えている。

Sue Coleman-Haseldine/ Kessie Boylan
Sue Coleman-Haseldine/ Kessie Boylan

「オーストラリア政府はすべての人々に謝罪すべきです。こんなことが二度と起こらないように、一刻も早く核禁条約に署名すべきです。」と、慢性的な甲状腺障害に苦しむヘーゼルタイン氏は訴えた。

Wikimedia Commons
Wikimedia Commons

ICANの報告書は、米国が広島(1945年8月6日)・長崎(8月9日)に原爆を投下してから74周年に併せて、今週発表された。

戦争防止医師会議豪州支部の代表でICAN運営委員でもあるスー・ウェアハム氏は、「オーストラリアは、核兵器を容認することで、北部准州のパインギャップを核兵器の標的にし、世界の危険に晒しています。」と指摘するとともに、「核攻撃がオーストラリアに向けられるリスクも高まります。」と語った。

「報告書は、パインギャップが持っているこうした機能を停止する実現可能で現実的な道筋を示している。道徳的にも、そして我々の安全保障の面から言っても、オーストラリアは、核の威嚇ではなく核軍縮の道を選ぶべきです。」

オーストラリアは、米国が建設・維持し米偵察局が運用しするパインギャップ共同防衛施設と、米空軍が運用する地震測定拠点である「共同地質・物理基地」を北部准州に抱えている。

2018年11月の「イプソス・アップデート」によると、世論の79%がオーストラリアの核禁条約加入を支持している。労働党は2018年12月の党大会で、翌年5月の連邦総選挙で勝利したら核禁条約を署名・批准すると公約していた。

ICANの共同創設者でICANオーストラリアの理事でもあるディミティ・ホーキンス氏はIDNの取材に対して、「核軍縮に関する勇気ある立場に回帰し、核兵器の廃絶を巡る新たな建設的対話を行う意思を持つ政府やメディア、民衆が必要です。この問題での行詰まりを打開するためには、新たな政治的意思が構築されなければなりません。世界中の人々が、オーストラリアが核禁条約にどのようなスタンスで臨むのか注目しています。拒絶と党派的立場を超えて問題を前進させることが重要です。」と語った。

Dimity Hawkins/ ICAN
Dimity Hawkins/ ICAN

「この条約を通じて、核兵器を禁止する包括的手段を提供するだけではなく、環境の回復や被害者支援の積極的な義務を伴った形で、核兵器が人間にもたらす問題に対処する道筋が与えられることになります。」と、ホーキンス氏は語った。

オーストラリアは過去に、とりわけ化学兵器の問題に関して、多国間軍縮条約の実現に重要な役割を果たしたことがある。また、米国が依然として反対していた時期に、地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約にも加わっている。

報告書では、医療機関や国際法曹界の関係者、さまざまな党派の議員、宗教指導者らが、オーストラリアが核禁条約を署名・批准すべきことを訴えている。

元最高裁判事で報告書の寄稿者であるマイケル・カービー氏はIDNの取材に対して、「オーストラリアでは、実際上初めて宗教が公的な空間に入り込み、政治指導者らが公的に祈りを捧げる姿が見られようになりました。私の見解では、彼らの公的な祈り(そして核兵器規制への敵意)を、核備蓄を解体し、その使用や使用の威嚇を禁止する効果的な国際的行動への緊急の関与に転換すべきだと思います。意気軒昂なニュージーランドのように、オーストラリアも核禁条約に署名・批准すべきです。」と語った。

ICAN
ICAN

ニュージーランドに加えて、タイとフィリピンが、米国との軍事協力に支障をきたすことなく核禁条約に署名している。

報告書は、1945年以来核兵器が使用されなかったのは、単に運が良かったからだと指摘している。過激主義者やハッカー、不安定な政治的指導者がいれば、状況は悪化する。

条約支持派は、核禁条約によって軍縮への新たな動きと実際的な道筋が与えられると主張している。核禁条約は、核兵器に関する既存の国際条約、とりわけ、南極条約(1959年)、宇宙条約(1967年)、NPT(1968年)、海底軍事利用禁止条約(1971年)、包括的核実験禁止条約(1996年)、5つの地域的非核兵器地帯条約を補完するものだ。

オーストラリアは、南太平洋非核兵器地帯条約(ラロトンガ条約、1985年)も含めた上記の条約すべての加盟国になっている。(原文へ)

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プラスチックを舗装材に変えるタンザニアの環境活動家

【ダルエスサラームIDN=キジト・マコエ、グッドホープ・アマニ】

ダルエスサラーム郊外、ゴンゴ・ラムボトは、蒸し暑い典型的な午後を迎えていた。アブドゥラー・ニャンビさんは、舗装材を作るために、プラスチックごみを鉄と一緒に巨大な金属炉に投げ込む仕事に精を出していた。

黄色のマスクを装着したニャンビさんは、溶けたプラスチックを混ぜる一方で、その上に砂をまき散らし、固めていく。「舗装材を作るためにどんなプラスチックでも使います。」と、黄色いTシャツを汗だくにしたニャンビさんは語った。激しい火がプラスチックを溶かして濃い液体に変え、黒い煙が空に立ち上っている。

「舗装材に十分な強度と防水機能を持たせるために、溶けたプラスチックに特定の割合で砂を加えます。この極めて安価で環境にやさしい技術は、街をプラスチックの脅威から守ることにつながるのです。」とニャンビさんは語った。

SDGs Goal No. 12
SDGs Goal No. 12

この26歳の起業家は、この街のプラスチックごみの管理問題に懸念をもつ若者からなる新興企業の共同保有者だ。昨年発足した「プラスチック・リサイクリング青年組織」(PREYO)という名のこの企業はすでに800トンのプラごみを処理し、建築資材に変えてきた。

煙が立ちのぼるタンザニアの商業都市の環境活動家らは、木材をプラ資源に置き換えることで、急速に進行したタンザニアの森林破壊を抑える狙いで、大量のプラごみを建築資材に変えてきた。

PREYOの別の創設者であるリベラタ・カワマラさん(24)は、環境保護への熱意を抑えきれず、以前の物流の仕事を離れた。この活気に満ちた都市の自然環境を汚す大量のプラごみを拾い、それらを舗装材やプラスチック・フラワー等の建築資材に変えている。

「環境を保護しながら、同時に収入を生むようなことをしたいと常に思っていました。」とカワマラさんは語った。

熱意に駆り立てられたカワマラさんは、都会に散らばるプラごみを清掃し、仕事を創出するとともに、木々の保護に努めている。

政府統計によれば人口440万人、アフリカで最も急成長している都市の1つであるダルエスサラームは急速に都市化している。インフラは不足し、住民の7割は、基本的な生活環境や衛生を欠いた雑居地帯へと追いやられている。

毎日農村地帯から流入する大量の移住者が、すでに老朽化した都市インフラを圧迫しており、プラごみの処理対策の不備といった多くの問題を引き起こしている。プラごみは、景観を汚し、水路を詰まらせ、海を汚染し、多くの人々の生存そのものを脅かしている

カマワラさんによると、彼女の会社がプラスチックから作った丸太の製材や花、ブロックは、プラゴミに対する地域の考え方を変えつつある、という。人口密度の高い地区の住民らが、建築資材としてこれらのリサイクル商品を使用しつつあるのだ。

「地域の反応をみて、とても嬉しく思います。もっと頑張ろうという気になります。」と彼女はIDNの取材に対して語った。

タンザニアはビニール袋の使用を完全に禁止しており、政府は、環境汚染抑制策の一環として、違反者に対する厳しい取り締まりを言明している。

Map of Tanzania
Map of Tanzania

同国の『全国環境統計報告2017年版』によると、ダルエスサラームでは1日あたり4600トン以上のゴミが生まれ、2025年までには1万2000トンまで増えると見られている。

廃棄ペットボトルの回収はますます儲かるビジネスになりつつあるが、市当局には適切なごみ処理を行うための一貫した戦略とメカニズムがない、と識者らは考えている。

「毎日出てくるゴミの管理を小さな会社に頼るわけにはいきません。政府はこの問題に対処するための資源をもっと投じるべきです。」とダルエスサラーム大学のエムロッド・エリサンテ教授(環境工学)は語った。

PREYO設立の構想は、国連が主催した展示でカマワラさんとニャンビさんが出会った2018年初頭に始まった。この展示で彼らは、プラごみを有益な建築資材に転換する技術を披露した。

彼らは、短い会話を交わした後、雇用創出にプラゴミを有効活用するという夢を実現するために、協力していくことにした。

カワマラさんと彼の支援者らは、チームとしての活動を楽しんでいる。ある者はペットボトルやビニール袋を集め、またある者は金属炉を担当している。

カワマラさんによれば、この会社の目的の一つは、煉瓦用の砂の過剰使用を抑制する点にある。プラスチック製ブロックを使えば砂の使用が抑えられ、テメケ地域の土壌劣化を防ぐことができる。

また彼女は、会社では3.5キログラムの舗装材を600タンザニア・シリング(0.25ドル)で製造でき、しかも耐久性に優れ防水性もあるという。

SDGs Goal No. 11
SDGs Goal No. 11

会社が直面している問題の一つは、炉から排出される煙をフィルターにかける機械がないことだ。「煙の問題を最終的に解決できる新しい機械を導入したい。」とカワマラさんは語った。

カワマラさんは、タンザニアの若年層の間では失業問題が深刻化しているので、将来的には、勤勉な若者に雇用を提供するような立場に彼女の会社はなっていくだろうと語った。

PREYOは現在、回収したペットボトル1キロあたり0.12ドルを支払っている。

現在のところ、日産でプラ板が100枚、プラ部品が40~60個といったところだが、高性能加工機械を導入すれば、少なくとも200枚の生産にまで持っていきたいと考えている。

「私は非常に楽観しています。将来は明るいと思っています。」とカワマラさんは語った。(原文へ)

翻訳=INPS Japan

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