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核時代終焉の幕開けとなる新条約に市民社会が歓喜

【国連IDN=ラメシュ・ジャウラ】

2017年7月7日、核兵器を禁止し関連するあらゆる内容の活動を禁ずる、法的拘束力のある条約が国連加盟国によって採択された。これは、交渉会議の議長をつとめたエレイン・ホワイト・ゴメス駐ジュネーブ軍縮大使(コスタリカ)にとっても、歴史的で感極まる瞬間であったが、多様な市民社会組織(CSO)にとっても、大きな歓喜をもたらす瞬間だった。

ブトロス・ブトロス=ガリ国連事務総長が、環境と開発との強固なつながりを強調した1992年6月の地球サミットの成功に貢献すべく、CSOやその他の非政府組織(NGO)に門戸を開いてから25年、CSOはその「ソフトパワー」をうまく活かして、「核兵器なき世界」に導く動きを支援してきた。

従って、国連が核兵器禁止条約を採択し、その究極的な廃絶に向けた重要なステップを踏むうえで市民社会が決定的な役割を果たしたことを、ホワイト議長や各国の政府代表らが次々と賞賛したのは、当然といえよう。

Beatrice Fihn
Beatrice Fihn

この10年間、「核兵器なき世界」の実現に向けて主導的な役割を果たしてきたCSOの一つが、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)だ。ベアトリス・フィン事務局長は「今日が核時代終焉の幕開けとなることを願っています。核兵器は戦争法に違反し、世界の安全保障にとって明確に危険であることは疑問の余地がありません。」と語った。

核兵器は、意図的な使用であれ偶発的な爆発であれ、広範かつ壊滅的な人道上の被害をもたらすにもかかわらず、今日まで禁止条約を持たない唯一の大量破壊兵器だった。生物兵器は1972年、化学兵器は1992年に禁止条約が採択されている。「今こそ、世界中の指導者らは、核兵器廃絶に向けた最初のステップとしてこの条約に署名・批准することで、自らの価値観や言葉と行動を一致させるべきです。」とフィン事務局長は語った。

条約はまた、核兵器の使用または実験によって影響を受けた被害者を支援し、核兵器によって汚染された地域の環境改善に取り組むことを義務付けている。

フィン事務局長は、「過去の禁止条約の例にも見られたように、国際規範が変化することで、条約非締約国においても、具体的な政策や行動に変化が生じてきます。」と指摘したうえで、「核保有国が、執拗に繰り返し条約に反対してきたことは、この条約が、真に永続的な影響力を持つことを認めたに等しいと言えます。」と語った。

米国カリフォルニア州サンタバーバーラを拠点とする核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長は条約採択について、「『核兵器なき世界』のために活動してきた私たちにとっては心躍る日であり、世界にとって重要な日です。…これが意味するものは、核時代に入って72年が経過し、人類がやっと正気を擁護し、自らの生存のために立ち上がったということです。」と語った。

クリーガー会長はまた、「核兵器を禁止するこの取り組みは、核兵器廃絶国際キャンペーンがリードしてきました。…この運動は、世界各地で協力し合う、人道問題、環境問題、核不拡散問題、軍縮問題に取り組む国際的な組織から広範な支援を得てきました。」と語った。

クリーガー会長は、「米国は交渉に参加しないことを選択しましたが、同国が繰り返し条約に反対していることは、核兵器問題に関する米国の行動にこの条約が大きな影響を及ぼす可能性を持っていることを示しています。」と指摘したうえで、「化学兵器禁止条約や対人地雷禁止条約のような過去の兵器禁止条約は、国際規範が変化することで、条約非締約国においても、政策や行動に具体的な変化を生じさせることを示してきました。」と語った。

David Krieger/ Nuclear Age Peace Foundation
David Krieger/ Nuclear Age Peace Foundation

核時代平和財団の事業責任者リック・ウェイマン氏は、「核兵器禁止条約は、まさに、世界の大多数の国々と多くの献身的な非政府組織による共同の取り組みです。」と語った。

創価学会インタナショナル(SGI)の寺崎広嗣平和運動総局長も、同様の考え方を示し、「長年にわたり核兵器の廃絶を求めてきたSGIは、この条約実現に向けてこれまで尽力してきた世界の被爆者、各国政府、国連、国際機関、NGOなど全ての関係者に深い敬意を表します。」と語った。SGIは、東京を本拠にした仏教系NGOである。

寺崎氏は、「禁止条約の採択は、人類共通の願いである『核兵器のない世界』への実現に向けての、具体的な一歩であります。」と指摘したうえで、「この条約の意義を普及させ、その支持をいかに幅広く堅固なものとしていけるのかが、次なる挑戦です。今回の会議に参加しなかった核兵器保有国、核兵器依存国が、『核兵器のない世界』という地球的な取り組みへの歩みを共にするよう強く願うものです。」と語った。

寺崎氏は、池田大作SGI会長が2009年9月に、核兵器廃絶に向けての世界的な民衆の大連帯を構築していく必要性を強く訴えていた点を指摘した。今年は、1957年9月、創価学会の戸田城聖第2代会長が核兵器を「絶対悪」と断じた原水爆禁止宣言を発表してから60周年にあたる。「この重要な節目と時を同じくして核兵器禁止条約が現実のものとなったことに、深い意義を感じます。」と寺崎氏は語った。

By International Committee of the Red Cross (ICRC) from Switzerland – ICRC president Peter Maurer in Syria, CC BY-SA 3.0

ニューヨーク国連本部で交渉会議の最終会期に参加していたSGIの河合公明平和・人権部長は、「この条約が採択されたのは、非常に大きな前進の一歩だと感じます。核兵器保有国とほとんどの核兵器依存国が参加していなくても、世界中の人々の意志が一丸となって、倫理的規範が明確に宣言されました。誰の手にあっても核兵器は悪いものなのです。」と語った。

また、国際赤十字委員会(ICRC)も、ニューヨーク国連本部での協議に積極的に参加していた主要な組織である。「今日、世界は、この無差別的で非人道的な兵器の非合法化に向けて歴史的な一歩を踏み出しました。これは、将来の核廃絶に向けて重要な基盤となります。」とICRCのペーター・マウラー総裁はジュネーブで語った。

マウラー総裁はまた、「この合意は、私たちが共有する人間性にとって重要な勝利です。」「核兵器は、あまりにも長きにわたって、国際法において明確に禁止されてこなかった唯一の大量破壊兵器であり続けました。今日採択された条約は、この欠落を埋めるものでした。」と語った。

ICRCのキャスリーン・ラワンド法務局武器関連部長は協議の場で発言し、合意に達した各国を称賛した。ラワンド部長は、「条約は、核兵器使用に対するスティグマ(社会的な烙印)を強化することになるでしょう。他方で私たちは、条約の採択そのものによって核兵器が一夜にしてなくなるわけではないこともわかっています。私たちの共同作業は、依然として完成には程遠いのです。」と語った。

軍備管理協会のダリル・G・キンボール会長は「核兵器を禁止する新条約は、核戦争を防止する70年にわたる取り組みにおいて新しい局面を切り開くものです。…条約はまた、核兵器の使用や実験によって影響を受ける人々に支援を提供することを各国に義務づけています。」と語った。

「条約そのものがすぐに核兵器を廃絶することはありませんが、時間の経過と共に、核兵器をさらに非合法化し、その使用に反対する法的・政治的規範を強化することができます。」とキンボール会長は指摘した。

キンボール会長の見方では、新条約は、190カ国以上に対して「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置について誠実に交渉を行う」ことを義務づけた1968年の核不拡散条約(NPT)の核軍縮に関する部分(第6条)を補強することを目的としたものだ。

新条約の下では、諸国は核兵器やその他の核爆発装置を「実験」することが認められない。キンボール会長は、「これは、『いかなる核兵器爆発実験やその他の核爆発を禁止』し、米国・ロシア・英国・フランス・中国など183カ国が既に署名を終えている1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)を補強することにもなります。」と語った。(原文へ

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原子力供給国グループの新ルールに動じないインド

【ニューデリーIPS=ランジット・デブラジ】

インドは、世界の原子力供給国に対して自らが提供できる巨大なマーケットに自信たっぷりである。軍事用に転用されかねないウラン濃縮と使用済み燃料再処理の技術移転に関して、46ヶ国のグループが定めた新しい規則を無視することにしたことにそれは現れている。

差別的だという理由で核不拡散条約(NPT)への署名を拒否してきたインドは、2008年、46ヶ国から成る原子力供給国グループ(NSG)からの特別措置を勝ち取るという外交的クーデターを成し遂げた。

公的に認められた5つの核兵器国以外は、すべての国家が、国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)の保障措置下に核施設を置くことが義務づけられている。

 NSGは6月24日、オランダ・ノールドワイクでの総会で、「機微の濃縮・再処理技術の移転に関するガイドラインを強化する」ことを決定し、インドをフルスコープ保障措置の例外扱いにすることを認めた従前の決定の効力は弱められることになった。

インドの原子力専門家は、IPSの取材に応じて「NSGの動きは、福島第一原発事故を受けて急速にしぼむ市場の中でインドになんとか原子力器機を購入させようという商業的な関心から出たものであるかもしれない。」と語った。

「福島第一原発事故以前から、インドと中国は原子力発電を拡大しようという大きな計画を持つ唯一の国でした。しかし今では中国は再生可能エネルギーに目を向けるようになり、結果としてインドだけが唯一残った主要なバイヤーなのです。」と語るのは、プラフル・ビドワイ氏。「拡散に反対する技術者・科学者国際ネットワーク」のメンバーでもある。

ビドワイ氏は、「最近CEOのアンヌ・ロベルジョン氏が退任したばかりのフランスのアレバ社が多くの失敗を積み重ねているにも関わらず、インドは、6基の欧州加圧水型炉(EPR)を世界最大のジャイタプール原子力施設(マハラシュトラ州:今年着工し2018年稼働予定)用に購入する交渉を進めている。しかし、インドのためにアレバは業務停止に追い込まれるかもしれない。」と語った。

「核分裂性物質ワーキンググループ」の国際パートナーであり、インド国立防衛分析研究所(IDSA、ニューデリー)の上級研究員でもあるラジブ・ナヤン氏によると、NSGによる新たな拘束はアレバとの取引を危うくする可能性がある、という。

「国際的な原子力ガバナンス・管理の利益に奉仕するようにインドを導くのがNSGの使命です。また、原子力をめぐる現在の情勢からすると、インドとすでに商業的取り決めを結んでいるフランスやロシア、米国のような国が後退することはないでしょう。」とナヤン氏は語った。

インドは、2020年までに原子力による発電量を現在の4.7ギガワットから20ギガワットまで増やす野心的な計画を描いている。アレバ以外には、ロシアのロスアトム(Rosatom)、米国のGE(General Electric)が、1000億ドル以上にも上るインドとの契約獲得をめぐって競争している。
 
インドのニルパマ・ラオ外相は7月3日、テレビのインタビューに答えて、「インドとの取引に入ることに消極的な国に使えるような『テコ』を我々は持っている。」と語った。これは明らかに、NSGに対する警告だった。

ラオ外務次官は、「NSGが新政策を発表して以来、米国もロシアもフランスもインドとの協力を続ける意図を明確にしています。」と語った。

フランスのジェローム・ボナフォン駐インド大使は、7月1日の報道発表で、「このNSGの決定によってわれわれの二国間協力が制限されることはなく、フランスは2008年9月30日に署名された原子力の平和利用開発に関する協力協定の完全なる利用に向けて努力していく。」と語った。

さらに発表では、「フルスコープ保障措置条項からインドを免除するという2008年9月の決定があったのだから、これ[今回のNSG決定]はこの免除の原則からはずれるものではない」としている。

インドは、30年間の国際的孤立を経て、世界との原子力取引を再開した。自国の核兵器開発を続けることを容認した米国との2008年の民生核取引がまとまったことがきっかけである。

ナヤン氏は、「米印原子力協力協定とNSGによる例外扱いは、米印両国内での平和運動や反核運動からの強いプレッシャーにも関わらず推し進められました。」と語った。

NSG内では、オーストリアやアイルランド、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スイスが、インドとの濃縮・再処理技術貿易は認められないとの論陣を張ったが、不成功に終わった。

ナヤン氏は、「しかし、NSGは濃縮・再処理技術をインドに移転することを明示的に保証したわけではありません。」と語った。

さらに、インド議会は2010年8月、いくつかの二国間協定がすでに結ばれていたにもかかわらず、原子力事故に関する厳格な責任を規定した法律を制定した。国際的な原子力供給主体にとってはマイナスの影響がある。

インドが、NPTに署名しないまま核保有を宣言した国として、NPT加盟国から核技術・核器機の移転を受けることは、いかなる場合においても困難であろう。

インドは、譲り受けた施設や技術を戦略的目的のために利用しないとの保証を一度も与えたことはない。実際、米印原子力協力協定では、軍事用だと申告された施設に対して国際的な監視や保障措置を適用する必要はない、とされている。

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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核実験禁止条約の早期発効を訴える国際会議

【ニューヨーク/ウィーンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

核兵器を禁止しその完全廃絶に導く法的拘束力のある文書を交渉するための国連会議が条約草案を提出し、国際社会が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威に注目する中、ある国際会議で包括的核実験禁止条約(CTBT)を早期に発効させる必要性が強調された。

専門家や若手社会人などが世界各地から集い、オーストリアの首都ウィーンで6月26日から30日まで包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会が開催した「科学技術会議」に参加した。

署名開放から21年目となるこのタイミングでCTBT早期発効の呼びかけが行われた背景には、同条約に183カ国が署名し、核兵器保有国のフランス・ロシア・英国を含む実に166カ国が既に批准しているという事実がある。

CTBTO
CTBTO

しかし、「附属書Ⅱ」国家として知られる発効要件国(特定の核技術を持つ44カ国)の存在が、CTBTの条約発効を阻んでいる。この条約が発効するにはこれらの国々が署名・批准することが要件となっている。このうち、中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・北朝鮮・パキスタン・米国の8か国が未だに批准していない。中でもインド・北朝鮮・パキスタンに至っては署名さえしていない。

5月2日~12日にウィーンで開催された、2020年核不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会会合で発言したCTBTOのラッシーナ・ゼルボ事務局長は、今日のように地政学的に不安定な国際状況下においては、(これら8か国が未批准のままでいる)現状は、安全なものではないと強調した。

ゼルボ事務局長は、6月27日のCTBTO「科学技術会議」の開会挨拶のなかで、「これ(=CTBT)はNPT加盟国が合意している重要な点です。しかし私は、単に合意を叫ぶだけでは不十分だとはっきり申し上げてきました。CTBTを発効させるには、言葉だけではなく行動に移すよう強く要求していかなければなりません。」と語った。

「従って、残りの発効要件国8か国の内、一国を除いてすべての国々から科学者がこの会議に参加し、CTBTの検証体制を強化するために協力していることは注目に値します。」「科学の発展と協力を通じて、外交分野における行動を促すことができればと考えています。」とゼルボ事務局長は語った。

ゼルボ事務局長はまた、「信頼と相互理解を促進するために、科学技術における私たちの共通の目的を前進させることに焦点をあてていかなければなりません。科学分野の協力は、核の脅威のない世界を実現するために必要不可欠です。また、減災や気候変動、持続可能な開発といった他の世界的な課題に対処していくためにも、科学分野の協力は不可欠なのです。」と強調した。

Press conference by the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization (CTBTO) on the recent nuclear test by the Democratic People's Republic of Korea (DPRK) and its detection by the monitoring system of the CTBTO.   Speaking is Lassina Zerbo, CTBTO Executive Secretary.
Press conference by the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organization (CTBTO) on the recent nuclear test by the Democratic People’s Republic of Korea (DPRK) and its detection by the monitoring system of the CTBTO. Speaking is Lassina Zerbo, CTBTO Executive Secretary.

この会議で表明された注目すべき見解に、米国と中国が今日の行きづまりを打開する鍵を握っているというものや、米国がイスラエル(の批准)を説得できれば、エジプトの安心感は増すだろうというものがあった。また、匿名を条件に見解を述べたある専門家は、米国がパキスタンに影響力を行使し(CTBTへの署名・批准を説得できれば)、それが次にインドの署名・批准につながる、との期待感を示した。

また別の専門家集団は、北朝鮮が強く主張している米朝直接対話が、近い将来においてCTBTの発効を導く友好的な解決への障壁を取り払うことになるとの見解を示した。

こうした観点が現実政治の中でどれほど実現するかはわからないが、CTBTO会議の重要性は、120カ国以上から1000人以上が参加登録し、650人が要約を提出し、100人が口頭発表を行った事実からも明らかだ。加えて、約400のポスター発表がCTBTのさまざまな科学的側面に焦点をあてた。今回のCTBTO「科学技術会議」は、このテーマを扱った会議としては史上最大規模のものとなった。

参加者らは、数多くの国々から科学者や指導者が参画した機会を活かして、学問の壁を越えて知識や意見を活発に交換した。こうした交流が、条約の世界的な検証体制が科学技術革新の先端に立ち続けることを可能にするのである。

The Science and Techonology Conference/ CTBTO
The Science and Techonology Conference/ CTBTO

会議の参加者らは、科学的な展示やポスター発表を通じて、CTBTには独自かつ包括的な検証体制があり、いかなる核爆発も検知されずに終わることはないとの確信を得ることができた。この検証体制には3つの柱がある。

(1)国際監視制度(IMS)の約92%の施設はすでに稼働している。完成すれば世界全体で337施設になり、核爆発の兆候を世界中で監視することになる。IMSは次の4種類の最新技術を用いている(数字は最終的な施設数)。

・地震動:主要施設50カ所、補助施設120カ所が地球上の衝撃波を監視している。毎年数千回以上起きるこの衝撃波の大半は、地震によるものだ。しかし、地雷の爆発や北朝鮮が発表した2006、2009、2013、2016年の核実験のような人工的な爆発も探知されている。

・水中音響:今年6月19日に、全体で最後となる11カ所目の水中音響探知施設が完成し、ネットワークが完成した。CTBTの下で核爆発の兆候を毎日24時間監視している。CTBTOが最も時間をかけ、最も複雑な工学的取り組みのひとつである水中音響施設「HA04」がフランスのクロゼ島に2016年12月に完成した。数多くの難題と困難を乗り越えるのに20年近くかかった。11カ所の水中音響施設は、海洋の音波を「聴いて」いる。爆発による音波は水中をかなり遠くまで伝わるからだ。

・微気圧振動:地表の60カ所の観測所が、大規模な爆発によって引き起こされる(人間の耳には聞こえない)超低周波の音波を探知している。ゼルボ事務局長は6月15日~19日、ガラパゴス諸島に設置された微気圧振動測定所「IS20」の完成式に参加するためエクアドルを訪問した。この施設は、IMSで計画している60カ所の微気圧振動測定施設のうち、51カ所目にあたる。「IS20」の設置によって、ネットワークのうちエクアドルの部分が完成し、とりわけ太平洋におけるカバー率が向上した。

・放射性核種:80カ所の観測所で、放射性粒子を探して大気を測定している。そのうち40カ所希ガスも測定する。その他の手段によって探知された爆発が核爆発かどうかを明らかにできるのは、この方法によってのみである。16カ所の放射性核種実験所が支援している。

(2)IMSのデータによって核実験がある場所で発生したと示されたら、核爆発の疑惑がもたれている場所へ現地査察団が派遣される。この査察は、CTBTが発効したら、加盟国によってのみ要請され承認される。大規模な現地査察訓練は、2008年にカザフスタンで、2014年にヨルダンで実施されている。

(3)これらの観測所で収集された大量のデータは、核爆発の探知以外の目的にも利用される。津波警戒センターに対して、水中の地震に関する情報をほぼリアルタイムで提供して、人々に対して早期に警戒情報を出し、多くの命を救うことも可能になる。

2011年3月に発生した福島第一原発事故の際には、このネットワークの放射性核種観測所が地球規模で放射性物質の拡散を追跡した。また、こうしたデータは、海洋や火山、気候変動、クジラの移動、その他多くの問題の理解を促進するために利用可能だ。

(c) www.annarauchenberger.com / Anna Rauchenberger - Wien, Vienna, Austria - 27.06.2017  - CTBT: Science and Technology 2017 Conference (SnT2017) from 26 to 30 June 2017,  Hofburg Palace, Vienna, Austria
(c) www.annarauchenberger.com / Anna Rauchenberger – Wien, Vienna, Austria – 27.06.2017 – CTBT: Science and Technology 2017 Conference (SnT2017) from 26 to 30 June 2017, Hofburg Palace, Vienna, Austria

さらに、ウィーンのCTBT本部にある国際データセンターは、世界中の観測所から大容量のデータを受信している。処理されたデータは、生データあるいは分析データの形で、CTBTOの加盟国に配信されている。

北朝鮮が2006年、2009年、2013年、2016年に核実験を行った際には、加盟国は実験から2時間以内に(そしてそれは北朝鮮による発表以前でもある)、実験の場所や規模、時間、深さに関する情報を受け取っている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【国連IDN=ジャムシェド・バルーア】

「核兵器を憂慮する宗教コミュニティー」は、国連で「核兵器禁止条約」が採択されたことについて、「核兵器のない世界」という目標に向けての重要な一歩であるとして歓迎し、共同声明を発表。同条約が幅広く受け入れられ、実行されることを呼びかけた。

2017年7月7日にニューヨークの国連本部で採択された条約は、核兵器の使用や開発、製造、保有、貯蔵、実験、そして使用の威嚇などを包括的に禁止する詳細な条項を明記している。これは、120カ国を超える国々と多数の市民社会の代表が参加して国連で集中的な交渉が行われた結果である。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

共同声明では、Pax(オランダの平和団体)、WCC(世界教会協議会)、創価学会インタナショナル(SGI)と共に賛同した40を超える個人並びに団体が、核兵器がもたらす悲惨な人道的結果について、人々の良心を喚起していく特別な責務を引き受けていくと表明している。

共同声明は、「核兵器のいかなる使用も人道的、環境上の影響があることに、繰り返し重大な懸念を訴えてきた私たちは、『核兵器のない世界』という目標に向けて重要な一歩である今回の採択を、心から歓迎します。」と宣言している。

同声明は、賛同者各々の信仰が、人間とあらゆる生命が安心と尊厳のなかで生きる権利を掲げている点を指摘している。

同声明は、「私たちは、良心と正義の要請があることを信じ、弱きものを守る義務、未来の世代のために地球を守る責任感に誇りを持つべく努力しています。」と明言したうえで、「核兵器は、こうした価値観や約束事とまったく相容れないものであり、人道上の原則を蔑にするものです。」と宣言している。

宗教コミュニティーは、この条約の実現へとつながった、会議に参加した各国政府の勇気、国連、国際機関、市民社会の尊い尽力を称賛している。

「私たちは、被爆者(原爆生存者)、核実験の被害者、核兵器の製造や国土の環境汚染による被曝の影響に苦しむ人々に、格別の敬意を表します。彼らが耐えてきた苦しみと被害を、いかなる個人、家族、社会も二度と再び味わうことがないようにすることこそ、この条約の根本目的であることを、彼らの経験と訴えが示してくれました。」と声明は述べている。

同声明は、核兵器禁止条約が普遍的に受け容れられ、実行されるためには、その理念と規範が世界の人々に広く知られることが重要だと指摘している。

UN conference to negotiate a legally-binding instrument to prohibit nuclear weapons/ Soka Gakkai.
UN conference to negotiate a legally-binding instrument to prohibit nuclear weapons/ Soka Gakkai.

「私たちは信仰者として、核兵器のない世界を実現し持続するために、核兵器の危険性と影響について現世代と未来の世代の意識を啓発し、人々の良心を喚起して、この条約に対する世界的な民衆の支持を築くという特別な責務を引き受けてまいります。」と共同声明は締めくくっている。

共同声明の賛同者(団体・個人の所属)の詳細な一覧表は別添ファイルの2ページ目に掲載しているが、以下を含む。ブディスト・グローバル・リリーフニューヨーク仏教会議核軍縮のためのキリスト教者キャンペーンコランバンセンター・フォー・アドボカシー・アンド・アウトリーチスウェーデン国教会コングリゲーション・オブ・アワー・レディ・オブ・チャリティー・アンド・グッド・シェパード(米国管区)

国の法律に関するフレンズ委員会インサイト・メディテーション・コミュニティー・オブ・ワシントンインターナショナル・ブディスト・コミッティ・オブ・ワシントンDC北米イスラム協会ムスリム平和フェローシップナショナル・アドボカシー・センター・オブ・ザ・シスターズ・オブ・ザ・グッド・シェパードパックス・クリスティ・インターナショナル 、米国パックス・クリスティパックス

ユダヤ教改革宗教活動センターシスター・オブ・ザ・マーシー・オブ・ジ・アメリカス・インスティチュート・ジャスティス・チームユニテリアン・ユニバーサリスト協会宗際連合イニシアチブキリスト連合教会ジャスティス・アンド・ウィットネス・ミニストリーズ統一メソジスト教会ジェネラル・ボード・オブ・チャーチ&ソサイェティ英国のクウェーカー教徒世界ボシュニャク会議世界教会協議会。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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北欧5カ国の指導者らが、国連の下で合意された持続可能な開発目標(SDGs)を北欧諸国全体として支持すると最近発表した。

「グローバルな課題への北欧の解決策」と題された構想は、当初、気候変動に関するパリ協定と、17項目のSDGsを提示した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された2015年に披露された。

2015年にパリで開かれた第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)以来、このプログラムの策定は進み、デンマーク・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの首相が出席して5月30日に開催された北欧閣僚会議の会合において発表された。

その目的のひとつは、エコ推進の変遷、職場におけるジェンダー平等、持続可能な食料、福祉問題の解決について北欧の経験を提示することであり、持続可能な開発を追求することが必ずしも経済成長を阻害することにはならないということを示すために北欧の事例を持ち出すことにあった。

この2年計画の構想は、約1000万ユーロにのぼる予算の裏付けを伴い、すべて北欧の経験に則った6つの主要なプロジェクトから構成されている。それは、①エネルギー問題の解決、②気候問題の解決、③持続可能な都市、④職場でのジェンダー平等の効果、⑤福祉問題の解決、⑥食料政策研究であり、SDGsが掲げるほとんどの目標に取り組むことになる。

北欧諸国はとりわけ、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスによる発電の経験が長く、その解決策の多くが他の場所でも適用可能なものだ。

Location of the Nordic countries/ Public Domain
Location of the Nordic countries/ Public Domain

「エネルギー問題の解決」における優先順位の高い行動は、たとえば、途上国における再生可能資源に関する政策や資金調達、技術に関するギャップと、さらなる投資を促すためにそれらのギャップを埋める方策を明らかにすることが挙げられる。

その目的は、各国と国際の両レベルにおいて、「みんなのための持続可能なエネルギー」という国連の目標に関する既存の解決策や実行枠組みとの重複を避け、むしろそれらを補完することにある。

このプロジェクトは、北欧諸国や企業、その他の組織がすでに関わりを持っており、さらなる拡大の余地が明確になっている東部アフリカの特定の国々に焦点を当てることになる。

プロジェクトのコーディネーターであるスヴェント・ソイランド氏によると、「エネルギーに関する解決策」構想は第一義的には「安価でクリーンなエネルギー」に関するSDGs第7目標に関連するものとなるが、「同時に、貧困削減、保健の向上、教育、ジェンダー平等、経済成長、持続可能な都市・共同体、環境関連行動(SDGs第21113目標)を可能とする主な要素にもなる。最後に、これら全ての目標を達成するうえで必要なパートナーシップのアプローチ(SDGs第17目標)を実現することにもなる」。

「気候問題の解決」は、化石燃料補助金改革(FFSR)と「北欧緑の指標」という2つの側面を含む。

FFSRの究極の目標は、自発的な改革を支援することにある。気候の緩和やそれに似た措置の代わりとして、炭素価格制度や浮いた予算の再分配のような政策の導入が望ましい。パートナー国における排出削減に加え、同じような状況に直面している他の開発途上国にとって刺激となることだろう。

「北欧緑の指標」プログラムとは、1カ国以上の北欧諸国で利用されている、15の成功した既存の気候問題の解決策を測定することである。居住用熱ポンプ、産業における低炭素エネルギー、肥料管理などが例として挙げられる。比較可能な国々において広く適用されたならば、この試みによって2030年までに4.1ギガトン相当のCO2削減が可能かもしれない。北欧地域を越えてこのプログラムを拡張すれば、さらなる削減も期待できる。

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ハンス・フリードベルク氏が率いる「持続可能な都市」構想は、「持続可能な都市と共同体」に関するSDGs第11目標に取り組むものだ。このプログラムは全国的な貿易促進機関や団体、企業との緊密な協力の下で行われ、北欧の利害関係者と拡大する輸出機会との間の協力に焦点をあてる。9月の会議では、将来に向けた都市構築における北欧モデルの役割を検証する。

北欧諸国は、ジェンダー平等にも長らく取り組んできている。「職場におけるジェンダー効果」のプログラムは、SDGs第5目標(ジェンダー平等)と第8目標(人間らしい労働と経済成長)に緊密に結びついている。

このプロジェクトのアイディアを出し、基本枠組をまとめたジュリア・ファルト=ワヘンゴ氏は、「北欧地域は、職場における男女平等が、繁栄と生産性、経済発展をもたらすことを証明してきました。」と語った。ワヘンゴ氏は上級顧問としてプロジェクトを導き、実行はライン・クリスマス・モラー氏が牽引しコーディネートしている。

ジェンダー平等と同じく、保健と福祉が常に北欧社会の中心的要素だった。北欧「福祉問題の解決」のプロジェクト責任者であるモナ・トゥルーエルセン氏は、「福祉技術には、ユーザー指向の技術とロボットによる解決策が含まれています。」と語った。

トゥルーエルセン氏は、「北欧諸国が保健分野の変革をリードする中、解決策と概念を市場に持ち込む新たな機会が生まれています。北欧諸国が実行している保健分野の変革は、変革が同じスピードで起きていない他の国々に比べて、将来の保健システムに向けた解決策を確立する機会を創出しているのです。」と説明した。

トゥルーエルセン氏は、遠隔医療や電子医療システムの広範な利用に加え、すべての人にとって患者情報を利用可能にすることを指摘した。「北欧諸国は、持続可能性のある病院運営の点で世界で最も先進的である…建設や廃棄物管理のような分野における厳格なルールと規制のために、北欧地域において環境面で持続可能な解決が発展してきています。」とトゥルーエルセン氏は語った。

北欧の「福祉問題の解決」は、SDGs第3目標(健康と福祉)、第9目標(産業・技術革新・インフラ)、第12目標(責任ある消費と生産)に関連している。

最後の旗艦的なプロジェクトである「食料政策研究」は、SDGsにおいて課題とされた食料問題の解決に資するような方法として、北欧の政策的解決策の利用を促進すべく立ち上げられたものだ。その意図は、消費者に対して、食料に関する選択を行う際に「持続可能性」を考慮に入れるよう教育する点にある。

ロシア人とデンマーク人を父母に持つ活動家セリーナ・ジュール氏は、2008年にデンマークで始めた「食べ物の無駄をなくそう」運動を成功させ、同国において廃棄食品の大幅な減少を生み出してきた。

Stop Wasting Food movement Denmark
Stop Wasting Food movement Denmark

「廃棄食品に関する北欧の他の活動と並んで、ジュール氏の活動は『北欧食料政策研究』の活動の一部となることだろう」とコーディネーターのマッヅ・フレデリーク・フィッシャー=モラー氏は語った。

「私たちの政策に対する関心は海外できわめて高いものがあります。先週はオランダで、今はスコットランドで、議会や政府関係者と話をしています。…欧州連合(EU)は廃棄食品のアプローチに興味を示し、多くの国々が栄養と食料文化政策に関心を持っています。地方政府は、『新北欧キッチン』からの食料問題に関する革新に学ぶ意欲があります。こうした例はいくらでも挙げられます。総じていえば、先進国(欧州・北米)からの要請が最も強いように思います。」とフィッシャー=モラー氏は付け加えた。

北欧のこの構想とは別に、スウェーデン政府が6月15日、CO2排出を2045年までにゼロ(カーボンニュートラル)にすると発表した。同国の気候法は、同年までに温暖効果ガスの排出を差し引きゼロにするという究極の目標を立てているが、2030年・40年の暫定目標も設けている。

他方で、初の「世界循環経済フォーラム」(北欧閣僚会議が共催)が6月5日から7日にヘルシンキで開催されたばかりである。循環経済は、国連の2030アジェンダとそれに関連したSDGsの達成に向けてカギを握ると広く見なされている。

「グローバルな課題への北欧の解決策」に循環経済を何らかの形で盛り込むかどうかについて、北欧閣僚会議のハイディ・オラヴァ氏は「この構想は循環経済に関するものではありませんが、たとえば食料の部分に関して言えば、ゴミ投棄禁止や資源を効率化するという観点が含まれています。」と語った。(原文へ) |ドイツ語スペイン語|

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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歴史的な国連会議、海の環境回復を誓う

【国連IDN=J・ナストラニス】

私たちの海は、そのすべての多様性において、私たちが共有する未来と、共通の人間の運命にとって、きわめて重要なものだ。海は地球の4分の3を覆い、人口や市場を結びつけ、自然と人類の文化遺産の重要な一部分を構成している。

海は、私たちが吸う酸素の半分近くを供給し、私たちが排出するCO2の4分の1以上を吸収し、水の循環と気候システムにおいて重要な役割を果たし、地球の生物多様性と生態系の重要な源となっている。

また海は、持続可能な開発と持続可能な海を基盤とした経済だけではなく、貧困根絶、食料の安全保障と栄養、海洋貿易・交通、人間らしい労働と生活にも貢献している。

1週間に及ぶ国連海洋会議で全会一致で採択された14項目からなる「行動の呼びかけ(Call for Action)」に関するこれらの抜粋は、歴史を通じて各世代が考慮に入れてきた周知の事実であると誰もが思うだろう。

しかし、実際は、これらは周知の事実などではなかった。ニューヨークの国連本部で6月9日まで開催された会議は、海洋に関する史上初めてのサミットであった。しかし、海洋環境の悪化を反転させるグローバルな合意と、青い海を守る1300以上の行動目標でもって、会議は終結した。

「行動の呼びかけ」は、参加した各国元首や上級代表によって全会一致で採択された。呼びかけは「持続可能な開発のために、海洋や海、海洋資源を保全し持続可能な形で利用する私たちの力強いコミットメントを確認する」と述べている。

「海洋における問題に対する世界的な意識のレベルは引き上げられました。」と国連総会のピーター・トムソン議長はニューヨークで記者らに語った。

スウェーデンと共に会議を主催したフィジー出身のトムソン議長は、主催者はこの会議から期待したとおりの成果を得られたと語った。「会議の結果には100%満足しています。私たちの目標は、海をとりまくこれまでのサイクルを反転させるという野心的なものでした。」

トムソン議長と共に会見した呉紅波(Wu Hongbo)国連海洋会議事務局長は、交渉された文書は、海洋のための「世界的なコミットメントとパートナーシップを活性化させるため」の具体的な措置をリスト化したものでした。」と語った。

この政治的文書と(6月5日から9日の)議論で出された主要な論点は、国連の「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム」に持ち込まれる。同フォーラムは、2015年9月に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」と持続可能な開発目標(SDGs)実施に関し、政治的リーダーシップや指針、提言を提供するために不可欠なグローバルな話し合いの場である。

Sustainable Development Knowledge Platform

政治的な「行動呼びかけ」に加えて、数千人の市民社会の代表、学者、芸術家、金融関係者、その他の活動家を含む会議の参加者は、海洋や海、海洋資源を保全し持続可能な形で利用する行動を約束した。これは、SDGsの第14目標にあたる。6月9日の午後までに、すでに1300項目以上の自主的コミットメントが登録されている。

この数字は「非常に印象的なもの」と述べた呉事務局長(国連経済社会問題担当事務次長でもある)は、これらの約束は「海に関する解決策のリスト」を構成していると強調した。

「私たちの海、私たちの将来:行動呼びかけ」において参加者らは、SDGsのすべての項目の統合的で不可分の性格と、それらの間の相関関係や相乗効果を強調し、彼らの作業が、「2030アジェンダ」で再確認された原則も含めて、同アジェンダによって導かれることがきわめて重要であると改めて表明した。

参加者らは、「2030アジェンダ」で認識されているように、とりわけ後発開発途上国(LDC)や内陸部の開発途上国、小規模島嶼開発途上国(SIDS)、アフリカ諸国(沿岸諸国を含む)において、持続可能な開発を追求するうえで特定の問題に直面していると認識している。また、多くの中進国においても重大な課題がある。

「行動の呼びかけ」において参加者らは、「各国が直面している様々な現実や能力、開発のレベルを考慮に入れ、各国の政策や優先順位を尊重しながら、(2030年という)期限内に第14目標を達成するという公約と、長期にわたってそうした行動を維持していく必要性を改めて表明した。」参加者らはまた、SIDSとLDCにとっては、第14目標における特定の目標がとりわけ重要であることを認識した。

SDGs Goal No. 14
SDGs Goal No. 14

約6000人が参加したこの会議では、これは「私たちすべてか、無か」という問題であると認識された。トムソン議長は、「海に関して言えば、これは人類の共通の遺産です。南北関係も、東西問題もありません。」と指摘したうえで、「もし海が死にゆけば、私たちもみな死にゆくことになるのです。」と語った。

トムソン議長は、この会議はSDGs第14目標に関して「車輪を回転させる」ことによって、SDGsの17目標全てに関して事態を前進させ、海洋科学に資金提供を行うことができるが、能力のギャップを埋めるためにはまだまだ多くのことが必要とされる、と強調した。

討論されたテーマは、海洋におけるプラスチック汚染から、海の酸性化、違法漁業まで、幅広いものだった。それらは、貧困を緩和し、飢餓を根絶し、保健を促進し、水や衛生を提供するという話題と結びつけるものであった。

トムソン議長は、会議の成功は、さまざまな参加者が集まって討議し協力した「素晴らしいやり方」によるものだと語った。

トムソン議長は、「ここには『連中』と『我々』(という分断が)あるのではありません。『自分たち全員』か『無』しかないのです。」と述べ、この会議においては、政府とその他の部門の間で典型的にみられる分断を乗り越える上で、市民社会や科学界、民間部門に門戸を開放してきた点を称賛した。

国連海洋会議は、8つの全体会と7つのパートナーシップ対話に加え、SDGsメディアゾーンにおける150のサイドイベント、41の展示やインタビューで構成されていた。

たとえば、「新・海の擁護者たち」(New Oceans Advocate)や世界的に有名なオーストラリアのシンガーソングライター、コーディー・シンプソン氏、海洋生物学者ダグラス・マコーリー氏、アボリジニの芸術家シド・ブルース・ショート・ジョー氏、スペインの慈善活動家アルバロ・デ・マリチャラー氏らが参加するイベントも開催された。

会議の共同議長であるイザベラ・ロヴィーン副首相(スウェーデン)は、「こうした有名人による行動への強力な支持のお蔭で、海洋に関する行動について『創造性と連帯感』が生み出されています。」と語った。

6月8日の「世界海の日」には、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、地球の海は、気候変動や公害、破壊的な漁業などの脅威と、それに対処する能力の欠如により、将来にわたって大きな負担に苦しんでいる事実に注意を向けた。

Secretary-General António Guterres addresses the opening of the UN Ocean Conference. / UN Photo

グテーレス事務総長は、「世界海の日」に寄せたメッセージで、「持続可能なやり方で海洋に配慮し、海洋を利用することは、あらゆる場所のコミュニティーにとっての生態学的・経済的目標を達成するうえで、きわめて重要です。」と語った。

グレーレス事務総長は、「将来を展望すれば、海洋の保全と持続可能な利用は、海洋が直面している脅威に効果的に対処する道筋をなんとか見出してこそ、達成しうると言えるでしょう。」と指摘したうえで、「私たちの将来は、いかに情報を共有し、共通の問題に対する解決策を見出すかという集団的な決意にかかっているのです。」と強調した。

国連教育科学文化機構(ユネスコ)のイリナ・ボコヴァ事務局長は、「世界海の日」を祝うメッセージで、「海洋の状況が健全であるためには、海洋科学に関する強力な世界的知識が必要です。」と述べ、地球の死活的な運命を握る海洋を守るために科学知識を最大限動員し利用することを強く呼びかけた。

「測れないことを管理することはできないし、海で起こっている無数の変化をたった一国で測ることなどできません。フィジーからスウェーデン、ナミビアから北極に至るまで、あらゆる政府とパートナーが、科学を基盤とした共通の政策を策定すべく知識を共有しなくてはなりません。」とボコヴァ事務局長は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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「理性と心情の組み合わせ」で実現した核兵器禁止条約

【国連IDN=ラメシュ・ジャウラ】

国連本部で開かれていた核兵器を法的に禁止する条約の制定を目指す交渉会議で7月7日、核兵器禁止条約が、「歴史的」かつ感動的な雰囲気の中で、賛成多数で採択された。

交渉会議の議長をつとめたエレイン・ホワイト・ゴメス駐ジュネーブ軍縮大使(コスタリカ)は、第二次世界大戦終盤の1945年8月に広島・長崎で最初の原爆が使用されてから「70年、世界はこの法的規範を待ち望んできました。」と語った。

「とても感動しています。なぜなら、私たちは現在と将来の世代の希望と夢に、いま応えているからです。」とホワイト議長はニューヨーク国連本部で開かれた記者会見で語った。

核兵器禁止条約は、この20年の間、議論されてきた核軍縮に、初めて法的拘束力を持たせた多国間の枠組みである。この条約によって、世界は核兵器の完全廃絶に「一歩近づきました。」とホワイト議長は語った。

賛成122、反対1(オランダ)、棄権1(シンガポール)で採択された核兵器禁止条約は、核兵器やその他の核爆発装置の開発・実験・生産・製造・取得・保有・備蓄などの核兵器関連活動を全体として禁止している。禁止事項には、核兵器やその他の核爆発装置を使用したり、使用の威嚇を行ったりすることも含まれている。

ホワイト議長は、「129カ国が条約の起草に加わったが、これは193の国連加盟国の3分の2にあたります。」と語った。しかし、全ての核兵器保有国(国連安保理常任理事国である米国・英国・フランス・ロシア・中国に、インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮を加えた9カ国)と、核の抑止力に依存する北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの国々は、協議に参加しなかった。

唯一の例外は、米国の核兵器を領土に配備することを認めているオランダであった。国会が交渉会議に代表を送るよう政府に要請したためである。

核兵器禁止条約は「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に6日先立つ9月20日にニューヨークの国連本部で全ての加盟国に対して署名開放され、少なくとも50カ国が批准すれば90日後に発効する。

Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider
Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider

国連のステファンドゥジャリク事務総長報道官は採択後、「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界という共通の目標に向けた重要な一歩です。」「グレーレス事務総長は、この新しい条約が、長年停滞してきた核軍縮の実現に向け、包括的な対話と新たな国際協力が進むことを望んでいます。」と語った。

しかし、米国・英国・フランスの3カ国は7月7日に共同で声明を出し、「我々は条約交渉には加わらなかった…そして、条約に署名・批准したり、加盟国になったりする意図は全くない。」と語った。

共同声明はさらに、「この取り組みは、国際安全保障環境の現実を無視したものだ」と指摘したうえで、「核兵器禁止条約の締結は、欧州と北東アジアにおいて70年間以上も平和を保つうえで不可欠であった核抑止の政策と矛盾する。」と主張した。

ホワイト議長は、この共同声明が提起した疑問点について、「かつて核不拡散条約(NPT)が採択された際にも、加盟国数は多くなかった。」という事実を指摘した。

1968年に署名開放された同条約は1970年に発効した。1995年5月11日、条約は無期限延長された。5つの核兵器国を含めた全191カ国が条約に加盟している。「当初は、これらの国々がNPTに加盟することは考えもしなかったことです。」とホワイト議長は指摘したうえで、「しかし、世界も国際状況も変化しているのです。」と論じた。

ホワイト議長はまた、核爆発の被害を者を意味する「ヒバクシャ」が、核兵器禁止条約の採択を加速する原動力であったと語った。ヒバクシャが証言し続けてきた壮絶な被爆経験の内容は「人々の心を打つもの」であり、核兵器禁止条約の採択に向けた交渉は、まさに「理性と心情の組み合わせ」であったと語った。

新たに国連軍縮問題担当上級代表に就任した中満泉氏は、最近の「国連ニュース」のインタビューの中で「核兵器国とその一部の同盟国は、現在は交渉に加わることができないかもしれません。しかし、結果的には参加できるような条約になることを私は期待しています。」と語った。

Izumi Nakamitsu/ UN Photo/ Manuel Elias

中満上級代表は、「扉はすべての国に対して開放されておらねばならず、こうした包摂性が条約に組み込まれるべきです。」と語った。

条約草案には、核保有国が参加する様々な道筋が埋め込まれている。たとえば、ある核保有国が加盟する場合、加盟前に核兵器プログラムをまず廃止しなくてはならないが、当該国は、その核物質及び核施設のリストの完全性を検証する目的で、国際原子力機関(IAEA)と協力する必要がある。これは(1990年代に核兵器を自ら放棄した)南アフリカ共和国が行った手続きと同じである。

ホワイト議長は7月6日の記者会見で、「これは交渉ですから、いかなる国の代表も自国の観点から望む全てを手にして議場をあとにすることなどできません。」と指摘する一方で、「その熱情と知識、集団的な経験でもってこの交渉プロセスを突き動かしてきた市民社会も含め、この会議に参加する圧倒的多数の人びとの希望を最終草案は捉えたものです。」と自信を示した。

国連ニュースによると、ホワイト議長は記者の質問に対して、核兵器なき世界の実現に向けた最初のステップとして国際的な法的規範を確立することの重要性を強調した。つまり、「(将来的に)核保有国が参加する機が熟した際に、それを可能にする仕組みが既に存在していることになるのです。」と説明した。

また、「あらゆる人々が、核保有国が条約に『遅かれ早かれ』参加することを望んでいますが、いつになるかは分かりません。」と語った。さらにIDNの質問に対して、「私は今後も、協議に参加しなかった国々との対話を続けていきます。」と語った。

北朝鮮の核・弾道ミサイル開発をめぐる現在の緊張が協議に与えた影響について問われたホワイト議長は、「法的規範を確立すれば、国の行動に必ず影響を及ぼしますし、21世紀の新しい安全保障パラダイムを形成するうえで根本的な役割を果たすことになります。」「核兵器禁止条約は、核軍縮・不拡散体制の世界的な仕組みを補完し強化していくものに違いありません。これは人類にとって歴史的な出来事です。」と語った。

この「歴史的な出来事」の起源は、核兵器の全面的廃絶を目指し、法的拘束力のある核兵器禁止条約の交渉を行うための国連会議を2017年に開催することを決定した国連総会決議71/258に遡る。

UN conference to negotiate a legally-binding instrument to prohibit nuclear weapons/ Soka Gakkai.
UN conference to negotiate a legally-binding instrument to prohibit nuclear weapons/ Soka Gakkai.

国連総会は、すべての加盟国に会議への参加を推奨し、国際組織や市民社会の代表の参加と貢献も得つつ、会議が他の決定をしないかぎり、国連総会の手続き規則に従ってニューヨークで招集されるべきものと決定した。

こうして核兵器禁止条約交渉会議はニューヨークで3月27日~31日と、6月15日~7月7日に開催された。

この会議を招集する決定は、決議70/33に基づき招集された多国間核軍縮交渉の前進に関する国連公開作業部会の勧告に従ったものである。

タイのタニ・トーンパクディ大使が議長を務めた公開作業部会は、その報告書で、法的拘束力のある核兵器禁止条約を締結すれば、核兵器の原則的な禁止とそれに伴う義務のほか、核兵器のない世界を実現、維持するための政治的な確約も得られるだろうと明記していた。

公開作業部会の最重要マンデートは、核兵器なき世界を実現、維持するために締結する必要のある具体的かつ実効的な法的措置、法的条項、規範の問題を扱うことであった。(原文へ

翻訳:INPS Japan

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若者たちが包括的核実験禁止条約を実現させる決意を新たに

【ニューヨーク/ウィーンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

CTBTO青年グループ(Youth for CTBTO)のメンバーである若者らが「青年として、私たちは世界の将来を担うリーダーです。つまり、私たちは、やがてはこの世界を受け継いで生きていくとともに、子どもたちとその子孫に希望と夢を託することになる者たちである。」と宣言した。

包括的核実験禁止条約(CTBT)が署名開放されてから20年、核爆発実験に関する法的拘束力のある包括的な禁止を確立したこの条約が依然として発効していないことは遺憾である。」と、CTBTO青年グループは共同声明で述べた。

Youth for CTBTO/ CTBTO
Youth for CTBTO/ CTBTO

同声明はまた、「長年にわたって、CTBT発効に向けた外交的な努力が傾けられてきたにもかかわらず、国際社会は条約発効を成し遂げるには至っていない。」と指摘したうえで、「私たちは、従来のアプローチを見直す必要があり、未批准の発効要件国(「付属書2諸国」:中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・朝鮮民主主義人民共和国・パキスタン・米国)には、各々の国にとって、認識され対処されるべき懸案事項があることを認識している。私たちは、そうした各国の懸案に対処し溝を埋めるうえで、平等の原則に基づく建設的な対話が果たせる能力を信じている。」と述べた。

声明は、「核兵器なき世界」というCTBTO青年グループで共有された価値を確認した。「この目的のために、私たちは、CTBTは核軍縮に向けた重要な次のステップであり、国際核不拡散レジームの重要な要素であると考えている。」

2016年6月13日の声明で示されたこれらの見解は、CTBTOが(同機関の拠点である)ウィーンで主催した「平和と安全保障のための科学と外交:CTBT20周年」と題したシンポジウムでCTBTO準備委員会の事務局長であるラッシーナ・ゼルボ博士が青年グループを立ち上げてから17カ月後に、大きく打ち出されたものである。

ゼルボ事務局長は、「今日の若者は、気候変動や環境を巡る状況と同じく、過去の近視眼的な政策決定がもたらした結果に直面しています。」と論じた。

Dr. Lassina Zervo/ CTBTO
Dr. Lassina Zervo/ CTBTO

ゼルボ事務局長はさらに、「私たちの世代には、若者たちが将来の難題に対応する準備ができるように、教育機会と訓練を提供する責任があります。」と語った。こうした動機から、ゼルボ事務局長は2016年2月にCTBTO青年グループを立ち上げ、CTBTの教材、ネットワークやフォーラム、CTBTOのオウトリーチ活動に参加する機会を提供してきた。

CTBTO青年グループは、世界の平和と安全に貢献する職種を志向し、CTBTとその検証体制を積極的に推進することを望んでいるすべての学生と若手社会人に門戸を開いている。

現在、同グループには、世界全体から200人以上の学生と若手社会人らが集い、CTBT発効の実現という目標を共有している。メンバーらは、各自にとってのCTBTの意義を明確にし、自らの声でそのメッセージを同年代の若者層や社会全体に伝えるべく、能力構築(キャパシティビルディング)を通じて力をつけている。

さらに、CTBTOによって青年グループに提供される資源は、ブレーンストーミングや知識の共有、プロジェクト開発のためのメンバー間の連携を促進する役割を果たしている。

CTBTOが6月26日から30日までウィーンの絢爛豪華なホーフブルク宮殿で開催した「CTBTO科学技術会議」において、2016年2月に立ち上げられたCTBTO青年グループは成熟しているように見えた。これは、ゼルボ事務局長が設定した目標を可能な限り早期に達成できるようにとCTBTOの広報部長が努力したためでもあるだろう。

50カ国以上の出身者70人が代表参加したCTBTO青年グループは、科学技術会議の議論の不可欠の部分を構成していたいただけではない。彼らはまた、自らの論文とアウトリーチのためのプロジェクトを発表したほか、ワークショップや討論に参加し、「青年記者室」プロジェクトにおいて「市民ジャーナリズム」の実践を試みた。

5日間の一連のイベントにおいて、CTBTO青年グループのメンバーらは、核兵器なき世界に向けた活動へのコミットメントを再確認した。すべての核爆発を、地上・大気圏・水中・地下など世界中どこでも、誰によるものであっても禁止するCTBTの発効に間違いなく関連している目標である。

彼らは、政策責任者や学者、学生、専門家、メディアの間でCTBTを巡る議論を再活性化させ、核実験禁止の重要性への意識を高め、若い世代への知識移転の基礎を築き、ソーシャルメディアやデジタルによる視覚化、情報伝達のための双方向的な手段といった新しい技術をCTBT促進に取り込む自らの能力と、CTBTを世界で最も重要な核関連の課題に押し上げる能力を証明した。

加えて昨年、CTBTO青年グループのメンバーたちは、関連イベントや活動に定期的に参加したり貢献したりしてCTBTの役割について意識を高め、法的拘束力のある核実験の禁止の重要性を伝えた。なかでも、ワシントンやニューヨーク、ブリュッセルなどで注目されるイベントに出席した。

CTBT20周年を記念する2016年6月の閣僚会合で、CTBTO青年グループのメンバーは共同声明を発表した。彼らは、「若者との対話―核実験を終わらせる:なぜこれが自分の問題なのか」においてゼルボ事務局長だけでなく国連の金垣洙(キム・ウォンス)軍縮問題高等代表にも質問し、「CTBT20年:潘基文国連事務総長とのパネル討論」においては、潘事務総長とも対面する機会を得た。

6月会議の青年グループのイベントでの声明では、「この普遍的な目標に対して貢献し、長く待ち望まれている条約の発効を私たちの世代が目撃するための努力を惜しまない」と決意を述べている。

これは、核不拡散・核軍縮措置について真の進歩を達成するには若者の関与が必要であり、さまざまなレベルにおいて教育に投資することが解決の根本的要素であり、それを包摂的かつ協調的なやり方でなすべきとする、ゼルボ事務局長が繰り返し述べてきた信念を再確認するものであるかに見える。

ゼルボ事務局長は、CTBT発効を前進させる「革新的で焦点を絞ったアプローチ」の強固な推奨者である。ゼルボ事務局長は、このことを視野に入れて、事務局長職就任から2カ月にも満たない2013年9月に、ニューヨークの国連本部において賢人会議(GEM)の創設を発表した。

CTBT Science and technology 2017/ CTBTO
CTBT Science and technology 2017/ CTBTO

関連筋によると、賢人会議のメンバーらは、CTBTO青年グループの活動に感銘を受け、彼らに何をどのようになすべきかを教えるよりも、むしろ彼らの話を聞いてみたいと望んでいるという。

ゼルボ事務局長も同様の観点から、「あなたたちの世代は、明日のリーダーではなく、今日のリーダーです。若い世代はソーシャルメディアで世界を牽引しています。私たちは、自らと将来世代のために設定した目標を達成するためにも、あなた方とともに歩み、ビジョンを共有し、青年がもたらす新鮮な力を活用してともに行動しなければなりません。」と語った。(原文へ

 翻訳:INPS Japan

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強制的な子どもの妊娠が「小説の世界」ではない場所

【ローマIDN=フィル・ハリス】

彼女が母親の交際相手の男にレイプされ妊娠したのは、10歳の時のことだった。妊娠中の彼女は、きわめて体調が悪く、栄養不良で体重も少なかった。母親は中絶を要望したが、母体が危険にさらされていると当局が判断した場合は法律が妊娠中絶を認めているにも関わらず、政府はこの要望を却下した。

女児の母親は、娘に対する監護義務を怠ったとして逮捕され、一時的に収監されている。母親は以前に虐待を警察に通報したこともあったが、警察は動かなかった。

当局はこの女児を本人の希望に反して施設送りにし、子どもを産むまで留まるように強制した。彼女は誰との面会も許されず、唯一許されたのは、伯母との週1回・2時間の面会だけであった。

予想に反して彼女は妊娠期を乗り越え、女児を出産した。

現在12歳の母となった彼女は、自身と娘の生活のために、わずか50ドル相当の生活支援金を政府から受けるのみである。彼女は、金銭的に苦しい生活を送るだけではなく、妊娠や病気、そして学校でのひどいいじめによる不登校のために逃した教育機会を得るためにも、苦労している。

DNAテストによればこの女児を虐待していたのは、彼女の子どもの父親であることが分かっているが、当人は、収監されているものの、いまだに裁判待ちの状態だ。

これは小説の世界ではない。女児の名はメイナンビー(仮名)ちゃんで、パラグアイに住んでいる。彼女のケースは決して特異なものではない。「女性の権利擁護のためのラテンアメリカ・カリブ委員会」(CLADEM)によると、強制的な児童妊娠はパラグアイだけではなく、ラテンアメリカ全体で問題になっている。

Report "Child Mothers"/ CLADEM
Report “Child Mothers”/ CLADEM

14カ国の調査を基に2016年に書かれた報告書『子どもの母親たち―ラテンアメリカ・カリブ海地域における強制的な子どもの妊娠と母親としての生活』において、CLADEMは、パラグアイやラテンアメリカ全域において数万人の女児がレイプされ妊娠していると指摘している。

パラグアイでCLADEMの地域コーディネーターを務めるエルバ・ヌニェス氏は、「強制的な子どもの妊娠はこの地域において深刻な問題となっていますが、各国政府からはまだ効果的な対応策が出てきていません。」と指摘したうえで、「ラテンアメリカ全体で、15歳未満の女児数千人が性的暴力の被害を受け、意思に反して母親になっています。これは、深刻な保健・人権の問題です。女児が直面するマイナスの影響は、身体面、感情面、社会面と多岐にわたります。」と語った。

ヌニェス氏はまた、「メイナンビーちゃんのような多くの女児が、カトリック教会の関連した宗教団体が運営する慈善施設に『収監』されており、妊娠を続けるように義務づける裁判所の命令下に置かれています。彼女たちの母親の中には、娘に対する性的暴行を当局に通報し当局が十分な対応をできなかったにもかかわらず、子どもの監護義務を果たしていないとして逮捕・収監される者もいます。」と語った。

「強制的な子どもの妊娠は性的虐待とレイプの結果であり、暴力以外のなにものでもありません。」と、Equality Now(今こそ平等を)の米州局長であるシェルビー・カスト氏は語った。同団体は1992年に設立され、世界中の女性・女児の人権の擁護と向上のために活動している非政府組織である。

「妊娠に至るまでに起こった出来事と妊娠そのものは、子どもにとって深いトラウマとなり、心理的にも身体的にも生涯を通じた傷を残します。こうした幼い母親たちの身体は十分に発達していないため、妊娠は、出産のためにまだ十分な準備ができていない生殖器及びその他器官にダメージを及ぼします。」

パラグアイ保健省の最近の報告によると、2014年に10~14歳の684人の女児が出産しており、2015年の人数はこれよりももっと多いという。パラグアイは10~14歳の少女の妊娠率がラテンアメリカでもっとも高い国のひとつであり、同国の女児のうち約3分の1が、19歳までに身体的暴力、感情的暴力、性的暴力を受けている。

ヌニェス氏は、パラグアイでは「性的虐待の犯人が処罰されないという深刻なパターンがあります。」と指摘したうえで、「その理由は第一に、加害者が近親者であることが多いことから、被害者の女児が被害を訴えることに恐怖を覚えるため。第二に司法制度が、虐待を捜査し適切に対処していない状況があります。」と語った。

「パラグアイにはまた、性的虐待を防ぎ、女児のエンパワーメントと事件の早期発見を図るための性教育の枠組みが学校にありません。これに加えて、さらなるリスクを避け、適切な保護を与えるための、児童妊娠のケースに対処する一般基準もないのです。」

カスト氏は、そうした基準が必要だと強調し、「明確な基準の策定がきわめて重要であり、警察や医師、教員のような専門家が、いかに性的暴力に適切に対応し報告するかについての訓練が必要です。加害者と責任を持つ者の双方が、責任を追及されるシステムが構築されなくてはなりません。」と語った。

カスト氏によれば、「性的暴力と暴行を経験したパラグアイの女児は国家からの適切な保護を受けていません。それどころか、宗教的原理主義者と、一部の官僚を含むその他の集団が、被害者や人権活動家を黙らせようとしているのです。」と語った。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

「多くの人々が中絶問題だけに焦点をあてようとしている中で、Equality NowやCLADEMは、女児に対する性的暴行やレイプを免責するような根深い社会規範や慣行に焦点をあてています。」

カスト氏は、「前向きな変化を成し遂げるためにも、議論や行動に『予防』の視点が含まれねばなりません。また政府は、恐るべき暴力の結果としての妊娠にのみ集中するのではなく、女児がレイプされた際に総合的に対応できる方策を改善しなくてはなりません。」と語った。

「政府は、被害者、とりわけ性的暴力に遭った子どもの被害者、それに被害者を支援する人権活動家を強力に支援する必要があります。女児に対する性的暴行の問題が拡がっていることへの意識を高め、地域指導者や宗教指導者らは性的暴力に反対する声をあげねばなりません。」(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】

夕暮れ時になると、ゴミで満杯の袋を抱えたペティーナ・ドゥーブさん(43歳)が家から現れた。ジンバブエの首都ハラレの多くの住宅地区で市のゴミ収集車が燃料不足のために収集ができないと報じられる中、自分の家の庭に放置されていたゴミをかき集めたのだった。

ハラレ郊外の人口密集地区ワレン・パークの住民であるドゥーブさんは、ゴミを捨てた後それがどうなるかについて、全く気にしていないようだ。「正直言って、このゴミが最終的にどうなるか心配していません。ここからあまり遠くない小川に捨てるつもりです。」とドゥーブさんは語った。しかし、ジンバブエのミッドランズ州立大学で環境学の学位を取得したハプソン・チコワさんのような環境専門家からすれば、どこで捨てられたゴミであっても、結局海に流れていくことになり、海洋生物に被害をもたらすとんでもない事態だ。

SDGs Goal No. 14
SDGs Goal No. 14

チコワさんはIDNの取材に対して、「所定の場所以外でゴミを捨てる人々が気づいていないことは、それらのゴミは投棄した場所に留まるのではなく、雨に流され、川に沿って流れを下り、国境を越えて海に流れ込むということです。人々がゴミをあちこちに捨てる限り、こうしたことは何度も繰り返されるのです。そしてその結果として、海洋生物が脅威に晒されているのです。」と語った。

チコワさんは、アフリカの海洋生物に対して高まっている脅威は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」とする、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の第14目標に関連するという。

持続可能な開発目標第14目標の履行を支援するハイレベル国連会議が、6月5日~9日までニューヨークで開催された。その目的は「民衆や地球、繁栄のための海洋の保全状態が低下している状況を根本的に逆転させる」というものだった。

しかし、モザンビークのベイラ海岸近くに住むファウジア・シノリタさんのような多くのアフリカ住民からすれば、自分の行動が海にどういう影響を及ぼしているかについてはほとんど気にしていないようだ。

シノリタさんはIDNの取材に対して、「私たちは海で釣りをします。つまり、海は私たちに食べ物を与えてくれるし、近くに移動するときのルートにもなります。しかし私たちは同時に、海をゴミ捨て場としても使っています。」と語った。

シノリタさんのような多くのアフリカ住民が海の生き物が生息する環境を圧迫し続ければ、海洋生物は急速に消滅していくと専門家らはみている。「その多くが最近発見されたばかりの海の生き物や海洋の種が危機にさらされるなか、海洋生物は急速に消滅していっています。」と南アフリカ共和国を拠点にする科学者ジャン・リューベン氏は語った。

結果として、国際海洋研究所南部アフリカ支部(IOI-SA、本部:南アフリカ・ケープタウン)によると、アフリカにおいて中核となる専門家を安定的に育成していくために、海のガバナンスに関する様々な学問体系において意識を高め訓練を進める必要がますます高まっている。

IOI-SAは、国際海洋研究所(IOI)のアフリカ地域における訓練センターとして機能している。IOIは、沿岸や海洋に関連した権限や機能、関心を持つ中堅の専門家や教育関係者、研究者、市民社会組織のメンバーを教育することを目的にした機関だ。

南アフリカ共和国には目をみはるような3000キロにも及ぶ海岸線がある。冷たく、栄養豊富な大西洋が亜熱帯のインド洋と交わり、近くには多くのクジラが生息する南氷洋がある。これらのお蔭で、海洋の生物多様性の点において、南アフリカ共和国の経済面での地位は非常に高いものになっている。

そして、2003年以来の協調的な取り組みにより、南アフリカ共和国の海岸線の2割近くが公的な海洋保全区となっている。この値は、国際自然保護連合(IUCN)が推奨する数字に近いものだ。

しかし、ケープタウンのムイザーンバーグ砂浜で活動する環境保護家のムジテリ・クマロさんによれば、同国の海岸線では密猟が横行しており、その他多くのアフリカ諸国と同様に、南アフリカ共和国においても、安全基準以下の船舶の使用や低レベルな運用実態のために、海洋汚染や被害が大規模に起こっている。

アーマンド・チカンダさん(63歳)は元船長で、モザンビークのベイラ海岸に住んでいる。「インド洋は、モザンビークからの物品を運び出す航海路です。しかし、正直に言うと、ここを日々通過する船は、油漏れを起こし、座礁をし、錨で海底を傷つけ、ゴミや油脂廃棄物を捨てています。そのために、ここだけではなく、世界全体で海洋生物が危機にさらされているのです。」とIDNの取材に対して語った。

「未処理の下水、ゴミ、殺虫剤、産業用化学薬品、プラスチックなど、陸上のあらゆる汚染物質が海に流れ込み、この汚染が海洋の食物連鎖全体に深刻な悪影響を及ぼし、それは人間にさえ及んでいるのです。」とチカンダさんは付け加えた。

ニューヨークで開催された国連海洋会議で、海洋の利用に関してパラダイムシフトが起こったかどうかは未知数だ。しかし、ナミビアのサリタ・インベニさんのようなアフリカの多くの環境活動家は、「海は既に大きな被害を被っており、今回の会議開催はあまりに遅すぎたかもしれない。」と感じている。

「海に近い他のアフリカ諸国ですでに起きていることについては言うまでもなく、ここナミビアにおいても過剰漁獲がなされ、海が無節操に汚染されるのを見てきました。それでもなお、海自体は、地球で最大の、生命が生きる場なのです。」とインベニさんはIDNに語った。

このナミビアの活動家にとっては、地球でもっとも生産的で生物的に多様な海岸地帯が、人間の無謀な収奪によって急速に消滅していっているのである。

非政府組織(NGO)「Sea sense(海の感覚)」によれば、タンザニアでは海洋の危機が重大なレベルに達しているという。「Sea sense(海の感覚)」は、ウミガメやジュゴン、クジラ、イルカ、サメなどの絶滅危惧海洋種を保全・保護するために、このタンザニアの沿岸地域と緊密に協力している。

「Seas sense(海の感覚)」は、タンザニアにおける、海洋生態系と漁業を基盤とした生活に対する最大の脅威は、ダイナマイトを使用した漁業だと報告している。これは、漁獲を容易にすべく、魚の大群を殺したり驚かしたりするために爆発物を用いるというものだ。ダイナマイト漁法は、爆発を起こすたびに、多くの海洋種を無差別に殺害している。

他方で、ドゥーブさんのようなジンバブエ国民にとっては、海洋生物のことを考慮するなど二の次だ。ドゥーブさんは、「近くで見たこともない海の生き物を守るために、裏庭のゴミで病気にならないといけないのかね?」と問いかけてきた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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