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新年の革命──王政復古を求める穏やかなデモにカトマンズの支持者が集結

【カトマンズNepali Times=シュリスティ・カルキ】

4月8日、ネパール王政復古を掲げる民族主義政党「RPP(国民民主党)」の指導者たちが再びカトマンズの街頭に立ち、力強い演説を行った。ただし今回は、放火や略奪は起きず、警察が実弾や催涙ガスを使用する事態にも至らなかった。

RPPの指導者たちは、3月28日のティンクネでの暴動に関連して逮捕された副党首ラビンドラ・ミシュラや国会議員ドワル・シャムシェル・ラナらの釈放を要求。暴動では2人が死亡しており、指導者たちは「抗議開始前から催涙ガスで挑発してきた政府こそが、犠牲者の責任を負うべきだ。」と非難した。

その後の調査で、警察が高性能のアサルトライフルから少なくとも100発の実弾を発砲していたことが明らかになった。負傷者120人のうち21人が銃弾による傷を負っており、その多くは通行人や帰宅途中の市民だった。

8日にバルクのリングロード沿いで行われた抗議活動は、それ以前のものに比べてかなり穏やかで、RPPの支持者の参加も少なかった。前回の放火や破壊行為によって、特に銀行債務不履行者で医療業界の大物ドゥルガ・プラサイを「司令官」に据えたティンクネ集会への支持が、ギャネンドラ元国王自身への信頼とともに損なわれた可能性がある。

一部の王政支持者は、ギャネンドラが2001年から08年まで国王であった際の過ちを認めているが、長い歳月を経て反省を深め、今ではより規律ある姿勢を見せていると擁護する。彼らはまた、一部のネパール人の間にある「王政時代の国内安定と国際的尊敬」への郷愁に訴えて支持拡大を図っている。

RPPのプラカシュ・チャンドラ・ロハニ氏は次のように述べている。「ネパール人はより良い公共サービス、社会的弱者への機会の提供、そして国家資源の誠実かつ効果的な運用を期待してきた。しかし現在の指導者たちは、その約束を果たせていない。言葉と現実の乖離は広がり、人々の期待は裏切られ、かつて抱いていた敬意は嫌悪へと変わった。」

実際、多くの論者が、過去30年にわたって政権を交代で担ってきた三大政党(UML、ネパリ会議派、マオイスト)とその歴代首相たちに対し、国民の怒りに真摯に向き合うよう警鐘を鳴らしている。

「UML、会議派、マオイストは、自らの姿勢を省みるべきだ」と、『ナガリク』紙の編集長グナラジ・ルイテルは今週の論説で述べた。「既得権益に固執するリーダーたちは、自分の身は守れるかもしれないが、この体制全体を守ることはできない。王政回帰の波を止めるには、若い指導者による統治改革を通じて、国民により良い政治の希望を与える以外にない。」

一方、パンチャヤト体制のような絶対王政復活を目指す急進的な王党派と、立憲君主制を支持する穏健派との間の路線対立が、王政運動全体の力を削いでいる。

RPPとRPPネパールの分裂は、2022年の総選挙において王党派の議席を減らす結果となり、両党は3月の暴動を非難したものの、その責任を政府に押し付ける形を取っている。

皮肉なのは、共和制憲法の廃止を主張する王党派自身が、2022年選挙でUMLと選挙協力していたことである。RPPネパールのカマル・タパ党首はUMLの候補として選挙に出馬したが、ここ最近の2回の集会には参加しておらず、「RPP党旗ではなく国家の旗のもとでの運動にのみ参加する。」と表明している。

RPPのラジェンドラ・リンデン党首は、プラサイ氏の影響力に懸念を示しながらも、党内の急進派を非難することに慎重になっているとされ、内部の亀裂を恐れている様子だ。

また、ギャネンドラ国王を象徴的な存在とするだけの制度に復帰するという主張に対し、果たして本人が形式的な立場に満足するのかという疑念もある。絶対的な支配を志向するギャネンドラが、儀礼的な国王にとどまるとは限らないという見方だ。

ロハニ氏はこう断言する。「今のネパールで、絶対君主制を国民が受け入れることはない。そしてそのことは国民も、ギャネンドラ国王自身も十分に理解している。封建時代のネパールであれば伝統的な王制の制度的機能は通用したかもしれないが、現代社会において絶対君主制は理念的にも現実的にも成立しない。」(原文へ

INPS Japan/Nepali Times

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密航対策─ヨーロッパは方針を転換すべきだ(ミシェル・ルヴォワ国際無登録移民協力プラットフォームディレクター)

【ブリュッセルIPS=ミシェル・ルヴォワ

ヨーロッパが人身密航に取り組むために採るべき唯一の合理的かつ人道的な方法は、人々が安全かつ尊厳を保ってヨーロッパに到達できる正規ルートを開くことである。

ヨーロッパの密航対策は、有害で不条理だ。

European Union Flag
European Union Flag

正規の移動経路が不足しているという根本的な問題を放置し、危険な旅を余儀なくされる移民たちを取り締まる代わりに、ヨーロッパ諸国は移民本人、支援者、人権擁護者、ジャーナリスト、弁護士、一般市民をターゲットにし、さらには国境監視産業に数十億ユーロを投じている。

多くの人々が密航に頼るのは、それ以外にヨーロッパへ到達する安全な手段が存在しないからである。だが、「密航者」とされる者への取り締まり(実際には移民自身であることも多い)を強化しても、より良い選択肢が生まれるわけではない。むしろ、人々をさらに危険なルートへと追いやり、支援者を脅かすことになっている。

そして、欧州連合(EU)が新たに提案している「ファシリテーション指令(Facilitation Directive)」は、状況をさらに悪化させるおそれがある。

「連帯」の犯罪化

欧州委員会が2023年末に提案したこの指令は、2002年に導入された「ファシリテーターズ・パッケージ」の更新を意図しているとされている。しかし実際には、古い問題の再生産にすぎない。

現行案は、2023年12月にEU理事会で概ね承認されたが、「密航」の定義を拡大し、刑罰の上限を引き上げている。

欧州議会では今月からこの指令に関する審議が始まり、最終的な採決は夏に予定されており、年末にかけて委員会・理事会との最終交渉に入る見通しだ。

問題なのは、この草案が不法滞在者との連帯的行為に対する刑事罰の回避を、明確に保障していない点にある。「人道条項」が法的拘束力を持つ形で盛り込まれておらず、各国には「連帯行為を犯罪化しないよう望ましい」といった曖昧な提案しかされていない。

これにより、法的な不確実性が高まっており、欧州委員会自身が依頼した調査でもその問題点が認識されている。いくつかの加盟国では極右や反移民勢力が政権を握り、他の国でも台頭している中で、このような曖昧さは、家族、NGO、人権活動家、一般市民による人道的支援が容易に犯罪扱いされる危険性を残す。

これは想像上の話ではない。PICUMでは近年、移民支援に対する「連帯の犯罪化」が着実に増加していることを記録している。

  • 2021年1月〜2022年3月の間に少なくとも89人
  • 2022年には少なくとも102人
  • 2023年には少なくとも117人
    が刑事訴追された。

密航ルートがより危険で不規則になる中で、移民自身が仲間を助けたことを理由に訴追される例も増えている。

これらの数字は氷山の一角に過ぎない。密航に関連して起訴・有罪判決を受けた人の統計や公式データはほとんど存在せず、多くの事例は報道されず、特に移民当事者は報復を恐れて声を上げられない。

命を救った人々が犯罪者扱いされる現実

これらの事例の背後には、海上で命を救い、車に乗せ、シェルターや食料・水・衣類を提供した市民がいる。たとえばラトビアでは、ベラルーシ国境で立ち往生していた移民に食料と水を与えただけで、2人の市民が「不法入国の幇助」で起訴された。

ポーランドでは、ベラルーシ国境に取り残された人々に人道支援を行った5人が、最長5年の禁錮刑に直面している。

イタリアでは数週間前、クルド系イラン人の活動家で映画監督のマイスン・マジディ氏が、2023年に移民上陸に関与したとして人身売買の容疑で逮捕された。彼女は2年4か月の懲役を求刑され、裁判を受けるまでに300日以上も拘留された。

告発の根拠は、船内で食料と水を配ったことを「船長の補佐」と解釈した2人の乗客による証言だったが、のちに彼らは証言を撤回した。

ギリシャでは、エジプト人の漁師とその15歳の息子が密航罪で起訴された。父親が船の操縦を引き受けたのは旅費を払えなかったためだったが、父は予審拘留の末、280年の禁錮刑を宣告された。息子は父と引き離されたうえ、少年裁判所で同様の罪に問われている。

誰が利益を得ているのか?
Credit: Office of the UN High Commissioner for Refugees (UNOHCR)
Credit: Office of the UN High Commissioner for Refugees (UNOHCR)

こうした密航対策は、移民の安全を高めるどころか、むしろ状況を悪化させている。移民研究者のハイン・デ・ハース氏は「密航は移民の原因ではなく、国境管理の結果である」と述べている。

つまり、誰がこれらの政策で得をしているのか?短期的な選挙目当ての政治家だけではない。国境管理、査証、税関対策に充てられるEU予算は、2021~2027年の間に、前期比で135%増加し、28億ユーロから65億ユーロに拡大した。

この予算拡大の大部分は民間企業、とりわけ防衛産業大手(エアバス、タレス、レオナルド、インドラなど)に流れており、彼らは国境監視に経済的利害を持っている。

porCausa財団の調査によれば、スペイン政府は2014~2019年の間に南部国境管理に6億6000万ユーロを支出しており、その大半が10社の大企業に向けられ、国境監視(5億5100万ユーロ)、拘束・強制送還(9780万ユーロ)に使われた。

今、何が必要か?

EU理事会は、ファシリテーション指令の交渉段階において、移民および人道支援の犯罪化につながる余地を残した立場をすでに採用している。

欧州議会には、移民と連帯行為を刑事処罰から守る法的拘束力のある条項を導入するチャンスがまだ残されている。これが導入されなければ、どのような事態が待っているのか、欧州議員たちは十分に理解すべきだ。

指令の枠を超えて、ヨーロッパは理解すべきだ──人身密航に対処するための唯一合理的で人道的な方法は、人々が安全かつ尊厳をもってヨーロッパに到達できる正規ルートを開くことなのである。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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韓国は高齢化を乗り越えられるか?IMFが描く回復の青写真

【ワシントンDC IPS=ラフル・アナンド、ディア・ヌールエルディン、スン・ゼシー、シン・シンディ・シュー】

強固な経済基盤と健全なマクロ経済政策により、韓国経済はここ数年で複数のショックを乗り越えてきた。しかし、他の主要な先進国と比べて潜在成長率の低下がより速く進行しており、今年の経済成長もやや鈍化すると見られている。

さらに、韓国は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、労働供給の減少や投資需要の縮小を通じて、成長の鈍化と生活水準の低下をもたらすおそれがある。

最新のIMF第4条協議報告書(Article IV Report)によれば、2050年までに韓国の労働人口は4分の1以上減少し、潜在成長率は年間平均0.67ポイント低下する可能性があるという。

しかし、希望はある。以下のような改革が、高齢化の悪影響を和らげる助けになる。

労働参加率の向上

とくに女性や高齢者の労働参加を拡大することで、労働供給の減少を抑えることができる。他の先進国の経験を踏まえたシナリオでは、高齢者の労働参加率が3ポイント上昇し、女性の参加率の男女差が半減すると仮定している。この場合、2050年までの高齢化の影響のおよそ5分の1を相殺できるとされる。

資源配分の効率化

産業内の企業間で労働力と資本をより生産性の高い企業に移動させる改革により、総体的な生産性の向上が見込まれる。こうした改革には、企業の設立・廃業に関する規制緩和、資金調達の円滑化、歪んだ補助金の撤廃などが含まれる。上位企業と下位企業の生産性格差が縮小する改革シナリオでは、潜在成長率が年間平均0.22ポイント上昇し、高齢化によるマイナスの約3分の1を打ち消せると分析されている。

人工知能(AI)の活用促進

AIのより広範かつ効果的な導入は、潜在成長率を支える要因となる。AIは経済に次の3つの経路を通じて影響を与える:

1.労働の代替:AIが一部の仕事を人間に代わって担い、生産性は向上するが労働需要は減少する
2.労働の補完:AIが一部の業務を補完し、生産性を高めつつ雇用を維持する
3.総合的な生産性向上:AIが全般的な業務効率を引き上げ、労働需要も増加する

IMFが韓国銀行との共同研究として発表した論文「Transforming the Future: The Impact of Artificial Intelligence in Korea」によれば、これら3つのチャンネルすべてでAIの導入が進んだ場合、潜在成長率は年間平均0.44ポイント押し上げられる可能性があるという。

最終的に、労働参加率の上昇、資源配分の効率化、AIの導入促進といった対策を組み合わせれば、高齢化による経済へのマイナス影響を完全に相殺することも可能だ。

改革を加速させることは、早期の成長実現につながるだけでなく、国民の支持を得る上でも効果的であり、将来のショックへの備えにもなる。さらに、政府が高齢化社会への適応に向けた財政的な余地を確保する上でも重要である。(原文へ

※筆者紹介:ラフル・アナンド氏はIMF韓国担当ミッションチーフ。ディア・ヌールエルディン氏はリサーチ局エコノミスト。スン・ゼシー氏およびシン・シンディ・シュー氏はアジア太平洋局所属のエコノミスト。この記事は、IMFの2024年「韓国国別報告書」および韓国銀行と共同作成された「AIの韓国経済への影響に関する特別報告書」に基づいている。

INPS Japan

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ロヒンギャ難民、バングラデシュにもミャンマーにも安全な居場所はない

【国連IPS=オリト・カリム】

4月4日、ミャンマー当局は、バングラデシュに滞在している約18万人のロヒンギャ難民が帰還の対象となることを確認した。だが、ドナルド・トランプ米統領によるUSAID(米国国際開発庁)支援の削減、そしてミャンマーで深刻化する人道危機の中で、帰還が本当にロヒンギャ難民にとって最善の道なのかは不透明なままである。

Location of Bangladesh
Location of Bangladesh

ラカイン州でミャンマー軍が行った一連の武力攻撃と人権侵害を受け、100万人以上のロヒンギャが民族迫害から逃れ、バングラデシュのコックスバザールに避難した。ロヒンギャはミャンマー政府により市民権を否定されており、現在、世界最大の無国籍民族とされている。コックスバザールは「世界最大の難民居住地」とも言われている。

過去1年間だけで、7万人以上のロヒンギャがバングラデシュへ逃れた。バングラデシュ政府は2018年以降、80万人以上のロヒンギャ難民の名前を帰還対象者として提出してきた。ミャンマー政府はこのうち18万人を帰還対象として認め、さらに7万人については審査中であると発表。さらに、残る55万人についても確認作業を加速するとしている。

しかしながら、2017年の軍事攻撃以降、ミャンマー国内の人道状況はさらに悪化しており、ロヒンギャにとって安全な帰還環境とは到底言えない。ミャンマー国内で続く内戦は、数千人の市民の命を脅かし続けており、政治的・経済的な混乱に加えて、地震によって打撃を受けた保健医療体制も大きく損なわれている。支援団体や政府が安全な帰還を実現することは困難な状況だ。

そもそも、帰還プロセスは、100万人のロヒンギャがバングラデシュへ逃れることとなった根本原因に対処していないという批判もある。

ロヒンギャ難民のシャフィクル・ラフマン氏はこう語る。「何年も待たされた挙げ句、確認されたのは18万人だけ。これはただの目くらましにすぎません。私たちは本当の解決策を求めています。ミャンマーは私たち全員を受け入れるべきであり、市民権と尊厳、権利を保障して帰還させるべきです。それがなければ、このプロセスに意味はありません。」

現在、バングラデシュ国内のロヒンギャ難民は、過密状態、不十分な基本サービス、暴力、気候変動、そして搾取の中で暮らしている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、バングラデシュは自然災害による被害を最も多く受けた国の第3位にランクされている。猛暑、サイクロン、洪水、大雨といった気候変動の影響はロヒンギャに特に深刻な影響を与えている。

「この難民キャンプと、それを受け入れている地域社会は、気候危機の最前線にいます。夏は灼熱で火災のリスクが高まり、モンスーンとサイクロンの季節には洪水や地滑りが家屋や命を奪います」と、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は語った。

コックスバザールの過密も治安悪化を招いている。UNHCRの推計によれば、キャンプ内の避難民の50%以上が女性と少女であり、性暴力や搾取のリスクに常にさらされている。

「夜になると暴力が増す」と、難民たちは国境なき医師団(MSF)に訴えている。あるロヒンギャ難民は「大きな物音を聞くと、ミャンマーにいたときの恐怖がよみがえります。誰かが来て、連れ去られるんじゃないか、もっと酷いことが起こるんじゃないかって。心臓がドキドキして眠れません。安全を感じたいけど、それが難しいんです。」と語った。

MSFの推定によれば、2024年には1,000人以上の若者がミャンマーで武装グループに徴用されたという。暴力の被害者たちは報復を恐れ、正義を求めたり医療を受けたりすることすらできない。

ジャムトリ・クリニックのメンタルヘルス・カウンセラーはこう語る。「多くの患者が暴力を恐れて避難所から出られません。医療施設に行けば家族が狙われるのではと不安なのです。実際に過去に起きたシェルター放火などの暴力が、その恐れの根底にあります。」

USAID
USAID

人道団体や報道機関は、トランプ政権によるUSAID(米国国際開発庁)資金の削減が、帰還支援とロヒンギャの保護体制に深刻な影響を与えていると警告している。グテーレス国連事務総長は、コックスバザールを「資金削減の最も深刻な影響が出る“震源地”」と表現し、「無制御な人道的災害になる」と語った。

国連児童基金(UNICEF)バングラデシュ代表ラナ・フラワーズ氏は、「米国の補助金削減により、ロヒンギャの子どもたち向けサービスが大幅に縮小され、命や安全、将来が危機にさらされている。」と警鐘を鳴らした。また、医療制度の弱体化によって「致死性の高い感染症の発生リスクが増加し、公衆衛生全体が脅かされる。」とも述べている。

ロヒンギャが平和的に帰還するには、彼らを追い出した根本問題に対処しなければならない。フラワーズ氏も「彼らは安全に帰国できる状況にない上に、働く法的権利もありません。」と語った。

Prime Minister of the Republic of the Union of Myanmar Min Aung Hlaing

ロヒンギャ難民の安全な帰還のためには、ミャンマーでの保護体制を強化するための資金が持続的に必要である。ロヒンギャに対する迫害の問題は、法的に解決されなければならない。とりわけ、彼らにミャンマーの市民権を付与するための法改正は、平和的かつ恒久的な帰還に向けたカギとなる。また、国際人道法違反に対する説明責任と透明性の確保も必要だ。

国連ミャンマー人権特別報告者のトム・アンドリューズ氏は次のように述べている。「ロヒンギャの苦しみに対する責任は国家のトップにある。ジェノサイドを主導したミン・アウン・フライン氏は今や非合法かつ正統性のない軍事政権の頂点に立ち、ミャンマー全土の市民に攻撃を加えている。彼は責任を問われ、法廷に立たねばならない。」

そしてこう続けた。「ロヒンギャはもはや空虚な約束にうんざりしている。彼らの子どもたちは政治的な美辞麗句や無意味な国連決議では生きていけない。世界はこの無関心という致命的な麻痺状態を終わらせねばならない。ジェノサイドの責任者に対する即時の措置、そしてロヒンギャの命と未来を救うための行動が今すぐに必要だ。」(原文へ

INPS Japan/IPS UN BUREAU

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【国連IPS=タリフ・ディーン】

トランプ政権による国連やその他の国際機関への敵対姿勢が高まる中、先週ニューヨーク・タイムズのコラムニストが「ちょっと過激かもしれない」として提案したのは、米国が国連から完全に脱退するという案だった。

このコラムニストは、国連本部ビル(39階建て)の「素晴らしいイーストリバーの眺め」を皮肉交じりに称賛し、それを高級マンションに転用したらどうかと提案した。

United Nations Headquarters in New York City, view from Roosevelt Island. Credit: Neptuul | Wikimedia Commons.
United Nations Headquarters in New York City, view from Roosevelt Island. Credit: Neptuul | Wikimedia Commons.

今年2月、ホワイトハウスが発表した大統領令のタイトルは「米国の国連機関からの脱退および資金拠出の終了、ならびにすべての国際機関への支援の見直し」であった。

Donald Trump/ The White House
Donald Trump/ The White House

トランプ大統領は、これまでに国連人権理事会、世界保健機関(WHO)、気候変動枠組条約から脱退し、さらに国連教育科学文化機関(UNESCO)やパレスチナ難民支援のための国連機関(UNRWA)からの脱退も示唆してきた。また、ローマに本部を置く世界食糧計画(WFP)との契約を打ち切ると発表したが、これは後に「誤り」だとして撤回された。

トランプ氏が関税政策を一部撤回したように、国連機関からの離脱も覆す可能性はあるのか? それは非常に考えにくい。

世界中に広がる米国の関税措置は、長年にわたり築かれてきた国際貿易の基本原則を脅かし、ジュネーブに本部を置く世界貿易機関(WTO)の信用をも損ねている。WTOは国際貿易のルールを扱う唯一の国際機関とされている。

貿易専門のシンクタンク「Hinrich Foundation」の政策部門トップであるデボラ・エルムス氏は、「WTOはもう終わったようなものだ。ただ、今後重要なのは他の加盟国がどう対応するかだ」と語る。「制度を守る姿勢を示すのか? それとも重要な原則や規則を無視するのか?」

トランプ大統領は先週、90日間の猶予を設け、関税の一部を撤回したと発表した。ただし中国はその対象外で、中国からの輸入品には125%の関税が課される。

他国に対しては、10%の一律関税を導入するが、カナダとメキシコは別枠の関税措置となる。欧州連合(EU)には20%、日本には24%、ベトナムには46%の関税が課されていたが、それら一部が撤回された。

中国政府は報復措置として、米国からのすべての輸入品に対して関税を課すと表明。「これは国際貿易のルールに反し、中国の正当な権益を損なう、典型的な一方的ないじめの手法だ」と中国財政部は非難した。

CIVICUS(市民社会組織の世界的連合)の暫定共同事務局長マンディープ・S・ティワナ氏は、「我々は国際秩序の崩壊を招く、価値なき取引外交の時代に入っている」と警鐘を鳴らした。権威主義とポピュリズムの台頭によって、情報を操作し、個人崇拝によって統治する指導者が増え、国際的な規範が破壊されつつあるという。

「市民社会と独立メディアは権力の乱用を抑制する重要な役割を担っているが、前例のない攻撃にさらされている」と彼は指摘する。これは第1次・第2次世界大戦前の状況に類似しており、人類はすでにこの道をたどったことがある。

ティワナ氏は、「市民の組織化と行動こそが、憲法と国際法に刻まれた理想を守る最後の砦である」と述べた。

Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain
Antonio Gutierrez, Director General of UN/ Public Domain

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、関税による経済的影響について記者団に対し、「貿易戦争は極めて否定的な結果をもたらす。勝者はいない。全員が損をする」と語った。

「とりわけ、脆弱な開発途上国が最も深刻な影響を受けるだろう。世界経済が景気後退に陥れば、最も貧しい人々に壊滅的な影響が及ぶ」とも警告した。

Conscience International会長で米国平和学者のジム・ジェニングス博士は、関税を巡る「Hands Off」抗議運動の広がりが、19世紀の保護主義論争を再燃させる恐れがあると述べた。

当時、ウィッグ党(現在の共和党)は高関税を支持し、民主党は労働者階級に配慮し自由貿易を主張していた。リンカーン大統領もかつて関税支持を公言していたが、1860年にはその主張が政治的に不利だと悟って撤回している。

「今日のトランプ氏の言動は市場を混乱させ続けており、ウォール街が求める“安定性”は失われている。アマチュアが経済を操っているようなものだ」とジェニングス氏は批判した。

また、グローバル経済が第3次世界大戦の瀬戸際にある今、貿易戦争は「最も避けるべき事態だ」と強調した。

Democracy Without Bordersの事務局長アンドレアス・ブンメル氏も、米議会が大統領の貿易戦争を静観していることに懸念を表明した。

Ngozi Okonjo-Iweala, Managing Director, World Bank.

一方、米国務省は4月9日、14カ国での国連世界食糧計画(WFP)の緊急支援事業に対する予算カットの一部を「誤って行った」として撤回したと発表した。

中国はWTOに提訴し、米国の関税は「国際経済と貿易秩序の安定を脅かす典型的な一方的ないじめ行為」だと非難している。

WTOのオコンジョ=イウェアラ事務局長は、「今回の措置と、今年初めから導入されたその他の措置を合わせると、今年の世界の物品貿易量は1%程度縮小する可能性がある」と警告した。

これは当初の成長予測から約4ポイントの下方修正に相当する。「このような関税の応酬がさらなる貿易縮小を招く恐れがある」と述べ、WTO加盟国に冷静な対応を呼びかけた。

なお、現在でも世界貿易の約74%は、WTOの「最恵国待遇(MFN)」の下で行われており、これを守ることが重要だと強調した。(原文へ

INPS Japan/IPS UN BUREAU

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家畜への置き換えで有害な害虫が増加

【ニューデリーINPS Japan/ SciDev.Net=ランジット・デブラジ

野生動物を家畜に置き換えることで、ダニやダニ媒介性疾患のリスクが増加する可能性があり、動物と人間が共存する環境では病気を媒介する昆虫のリスクをより監視する必要があると研究者たちは指摘している。

SDGs Goal No. 15
SDGs Goal No. 15

ヒマラヤ地域における家畜の影響について、研究者たちはクモや他の小型捕食者に対する影響を調査した。これらの捕食者は、吸血性のダニや草を食べるバッタなどの害虫を捕食することで生態系のバランスを維持している。

この研究は、インド北部スピティ地方のキバー村(Kibber Village) で14年間にわたり行われ、フェンスで囲った区画でアリ、ハチ、ダニ、クモ、バッタ、甲虫などの節足動物(関節のある足と外骨格を持つ生物)の動向を追跡した。分析の結果、家畜が放牧されている区画では、野生動物が生息する地域と比べてダニの数が多いことが明らかになった。

ダニは野生動物と家畜の両方の間で病気を広めており、世界の牛の80%以上に影響を与えていると研究は指摘している。さらに、ダニは人間にも脅威を与えている。

調査対象地域の野生動物には、バルアル(青羊)、野生のヤク、アイベックス(野生のヤギ)、野生のロバ などが含まれていた。一方、家畜には牛、馬、ロバ、ヤギ、羊 が含まれていた。

Photo: Desert Locusts in Isiolo County, Kenya. Source: FAO
Photo: Desert Locusts in Isiolo County, Kenya. Source: FAO

家畜が放牧されている地域では、草を食べるバッタが大量に発生しており、これらを捕食するクモの数が減少していた。

このことは、在来の野生動物の犠牲による家畜の増加が、生態系に異なる影響を与えることを意味すると、研究の筆頭著者であり、インド科学研究所バンガロール校(Indian Institute of Science Bangalore)の生態科学センターの准教授スマンタ・バグチ(Sumanta Bagchi)氏は指摘している。

「これらの違いは、土地管理と家畜管理の改善に向けた課題と機会の両方を提供しています」とバグチ氏は述べている。

バッタの大量発生は、放牧動物が利用する植生の劣化につながり、ダニやダニの増殖は媒介性疾患のリスクを高める可能性があるという。

ワンヘルス・アプローチの必要性

このような影響に対応するためには、計画的な介入が求められる。バグチ氏は、これは国連の「ワンヘルス(One Health)」アプローチ と一致しており、人間、動物、生態系の健康のバランスを取り、動物から人間に感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)を抑制することを目的としていると述べている。

同氏は、野生動物、家畜、人間が密接に共存する生態系では、媒介性疾患のリスクを監視し、サーベイランスを強化する必要があることを強調した。

クモやその他の節足動物は、栄養循環、受粉、種子散布 などの生態学的機能を果たすと同時に、バッタやダニなどの害虫を捕食している。

放牧動物は、節足動物の食物資源を減少させることで直接的に影響を与えるだけでなく、植生を変化させることで間接的にも影響を及ぼす。

「クモは捕食者として、森林のオオカミや海洋のサメと同様に物質とエネルギーの流れに影響を与えています」と研究では指摘している。「つまり、人間の土地利用は、大型捕食者によるよく知られたカスケード効果(生態系への連鎖的影響)だけでなく、クモのような小型捕食者を介しても影響を及ぼす可能性があるのです。」

インド国立農業科学アカデミー(India’s National Academy of Agricultural Sciences)のフェローで、天然資源管理の専門家であるクリシュナ・ゴパール・サクセナ(Krishna Gopal Saxena)氏は、SciDev.Net の取材に対して、「今回の研究を含め、家畜の影響下でなぜクモの個体数が減少するのか、あるいはどのタイプのクモが影響を受けるのかについて、確定的な説明をした研究はまだ存在していません。」と述べている。

「季節、種、実際の場所など、変数が多すぎるのです。」

バグチ氏も、今回の研究データは、家畜が放牧されている地域でクモや昆虫捕食者が減少し、バッタが増殖する現象について、明確な説明を提供していないことを認めている。

同氏は、植生の変化がクモの餌の捕獲能力に影響を与えている可能性を示唆している。

Ranjit Debraj
Ranjit Debraj

サクセナ氏は、スピティ地域ではバルアル(青羊)などの野生動物が家畜と一緒に放牧している光景がよく見られると述べている。
「家畜と野生草食動物の間で病気が交差感染することは珍しくなく、ダニの拡散だけでなく、消化管寄生虫(胃腸線虫) への懸念もあります。」

同氏は、「家畜、野生動物、植生、害虫、クモなどの捕食性節足動物を結びつける正確なメカニズムを明らかにするために、さらなる調査が必要である」と述べている。

今回の研究は、家畜への依存が増えることで、クモや他の小型捕食者の減少を招き、それが害虫の増殖と生態系のバランスの崩壊につながる可能性があることを示している。この影響は、媒介性疾患のリスク増加や放牧地の劣化など、人間の健康と生態系の維持に関わる課題をもたらす。今後は、さらなる調査を通じて、この複雑な関係性の解明と持続可能な土地管理のための対策が求められる。(原文へ

INPS Japan/ SciDev.Net

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米国および中国との豪州の貿易:現状と今後の展望

【メルボルンLondon Post=マジッド・カーン博士】

オーストラリア(豪州)の米国および中国との貿易関係は、同国の経済繁栄にとって極めて重要である。米国と中国は、豪州の最大級の貿易相手国であり、輸出入の動向を大きく左右している。
豪州経済は国際貿易に大きく依存しており、米国と中国がその貿易量の大部分を占めている。中国は依然として豪州の最大の貿易相手国であり、米国は重要な同盟国であると同時に、投資と技術の主要な供給源でもある。2024年から25年の会計年度では、地政学的緊張、パンデミック後の経済回復、トランプ政権の保護主義政策の影響といった要因により、世界の貿易動向に大きな変化が見られた。

豪州と中国の貿易

中国は依然として豪州の貿易において主導的な役割を果たしており、2024年から25年の会計年度には、豪州の総貿易額の約28%を占めた。豪中間の総貿易額は2,850億豪ドルに達し、豪州から中国への輸出額は1,950豪ドル、輸入額は900億豪ドルだった。豪州の中国向け輸出は依然として天然資源に大きく依存しており、鉄鉱石、石炭、天然ガスが輸出総額の75%以上を占めている。特に鉄鉱石は1,200億豪ドルを占め、二国間貿易における重要性が際立っている。

地政学的緊張が続く中でも、豪州の天然資源への中国の需要によって貿易量は堅調に推移している。ただし、豪州は輸出市場の多様化に力を入れており、東南アジアやインドへの注力が強まっている。2024年から25年の会計年度には、大麦やワインといった豪州産農産品の中国向け輸出が部分的に回復し、貿易制限の一部が緩和された。

豪州と米国の貿易

米国は依然として豪州の第2の貿易相手国であり、外国直接投資(FDI)の重要な供給源でもある。2024年から25年の会計年度には、豪州と米国の総貿易額は約850億豪ドルに達し、豪州から米国への輸出額は270億豪ドル、輸入額は580億豪ドルだった。豪州の主な対米輸出品には、牛肉、アルコール飲料、機械類が含まれ、米国からの主な輸入品は航空機、医療機器、医薬品が占めている。

米国は引き続き豪州の最大のFDI供給国であり、鉱業、技術、金融セクターへの投資額は1.2兆豪ドルを超えている。豪州・米国自由貿易協定(AUSFTA)は、二国間貿易関係の基盤であり、円滑な貿易および投資フローを促進している。

トランプ政権の保護貿易政策の影響
Donald Trump/ The White House
Donald Trump/ The White House

トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策は、関税の引き上げ、貿易障壁の増加、貿易赤字の削減に焦点を当て、世界の貿易動向に大きな影響を与えた。主な施策には、中国製品への関税導入、貿易協定の再交渉、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱などが含まれていた。これらの政策は豪州の貿易関係にも波及効果をもたらした。

  1. 豪州・中国貿易への影響:
    トランプ政権の対中貿易戦争は、豪州にとって課題と機会の両方をもたらした。中国の対米報復関税によって、豪州産農産物への需要が一時的に増加したものの、その後の地政学的緊張の高まりにより、豪州産品への貿易制限が発動された。しかし、2024年から25年の会計年度では、貿易関係の部分的な正常化が見られ、いくつかの制限が緩和された。
  2. 豪州・米国貿易への影響:
    トランプ政権の保護貿易政策は、豪州・米国間の貿易にも複雑な影響を与えた。AUSFTAは安定した枠組みを提供していたものの、トランプ政権下での世界貿易の不透明感は、投資および貿易行動に慎重さをもたらした。しかし、バイデン政権下では、同盟関係の再構築と自由貿易の促進に注力したことで、2024年から25年の会計年度には貿易および投資フローが再び活発化している。
今後の豪州・中国および米国との貿易展望
  1. 豪州・中国貿易の展望:
    今後も中国のインフラ開発や産業成長による豪州の資源需要は強いと予測される。ただし、豪州は依存度を減らすために輸出市場の多様化を引き続き推進していくとみられる。中国と豪州が加盟する地域包括的経済連携(RCEP)は、貿易拡大の新たな機会を提供する可能性がある。また、豪州が注力している再生可能エネルギーやリチウム・レアアースなどの重要鉱物の分野では、中国のグリーンエネルギー政策との協力の余地がある。
  2. 豪州・米国貿易の展望:
    米国は引き続き豪州にとって重要なパートナーであり、特に技術、防衛、投資分野での関係強化が期待されている。バイデン政権の同盟関係強化と自由貿易推進の方針は、二国間関係をさらに強化するだろう。米国がサプライチェーンの強靭性や重要鉱物の確保に注力する中、豪州の豊富な資源は引き続き注目される。また、AUKUS(豪州、米国、英国の安全保障パートナーシップ)は、豪州・米国関係の戦略的重要性を強調しており、経済協力の強化につながる可能性がある。
  3. 地政学的考慮事項:
    今後も続く米中対立は、豪州の貿易動向に大きな影響を与えるだろう。豪州が米中双方とのバランスの取れた関係を維持する能力は、今後の貿易関係の鍵となる。中国は依然として豪州にとって欠かせない経済パートナーであるが、戦略・安全保障面での米国との提携強化は、貿易および投資のさらなる多様化を促進する可能性がある。
結論

豪州の米国および中国との貿易関係は、同国の経済成功に欠かせないものである。中国は主に天然資源の輸出市場として豪州の貿易を支配している一方で、米国は投資や技術分野での重要なパートナーである。
今後、豪州が米中間の複雑な関係を巧みに乗り切り、貿易ポートフォリオを多様化し、新たな機会を活かすことが、両国との貿易関係の将来の軌道を決定するだろう。世界の貿易動向が進化し続ける中、豪州は経済パートナーシップを強化しつつ、自国の国益を守るために機敏かつ積極的に対応していく必要がある。(原文へ)

INPS Japan/London Post

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インパクトある革新:中国代表団がCSW69でSDGs推進を牽引

【ニューヨーク国連本部ATN=アフメド・ファティ

第69回国連女性の地位委員会(CSW69)において、中国の代表団は革新、共感、そしてより持続可能で公平な未来に向けた大胆なビジョンを携え、注目の的となった。

国連事務総長アントニオ・グテーレス氏は「困難に直面しながらも平等の推進に貢献する市民社会」を称賛し、中国のグローバル・アライアンス・フォー・サステナブル・デベロップメント財団は、医療、教育、テクノロジー、文化の分野で人々の生活を変革している20人以上の中国人起業家を紹介した。

代表団を率いたのは、同財団の会長である張啓華(Zhang Qi Hua)氏だ。彼は市民社会のパートナーシップの重要性を強調し、「優れた中国企業を国連に紹介し、女性や子どもたちを支援し、芸術、文化、イノベーションを通じて国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)を推進していきます。」と語った。

ヘルスケアから心身の癒しまで、多様な戦略を披露

代表団は、女性のエンパワーメントと地域社会の保護に向けた多様な戦略を提示しました。セント・クレア・グループの創設者兼CEOであるダニー・シャン(Danny Xiang)氏は、アジアの伝統的な証拠に基づくウェルネスを世界の医療システムに統合することで、女性の心身両面でのサポートと経済的支援の強化を提唱した。同様に、郭炎堂科学技術(Guoyantang Science & Technology)の総経理である董順珠(Dong Shunzhu)氏は、デトックスと栄養を通じて数百万人の健康を向上させ、1万人以上の女性を健康推進者として育成するミッションについて語った。

起業家健康クラブ(Entrepreneur Health Club)の会長である周潔(Zhou Jie)氏も同様のテーマに触れ、彼女の健康技術が世界のNGOをサポートし、より多くの女性と子どもたちに貢献していることを強調した。さらに、ガミガ・メディカル・ビューティー・グループ(Gamiga Medical Beauty Group)の創設者で、医療美容業界で20年以上の経験を持つ羅慧萍(Luo Huiping)氏は、彼女の目元若返り治療が多くの人々に自信を取り戻し、生活の質を向上させていることを語った。

メンタルヘルスと教育分野でも活躍

メンタルヘルスと教育分野でも、優れた活動が紹介されました。上海妙知海文化コミュニケーション(Shanghai Miaoz Hihai Culture Communications)の袁萍(Yuan Ping)氏は、1,300人以上のメンタル成長メンターを育成し、女性と子どもの健全な発達を支援していることを説明した。同僚の張超(Zhang Chao)氏は、「東洋の知恵と西洋の心理学を融合させることで、人々が自分自身を理解し、障害を乗り越え、有意義な人生を創造する手助けをしていた。」と語った。

長沙霊智慧教育コンサルティング(Changsha Lingzhihui Education Consulting)の周慧玲(Zhou Huiling)氏も、精神的な知恵教育への情熱を語り、「これまでに30万人以上の女性を成長させ、成功に導いてきました。中国の女性たちは、その独自の強みで世界に影響を与えるべきだと信じています。」と語った。

文化と創造性もフォーラムの中心に

文化と創造性も、フォーラムの重要なテーマでした。**麒麟共同創造ブランドエージェンシー(Qilin Co-Creative Brand Agency)のCEOである孫燕秋(Sun Yanqiu)氏は、CSW69の女性たちを称えるために彼女のチームがデザインした特製のシルクスカーフを披露した。「5,000年の中国の伝統模様と『四時如意(Sisi Ruyi)』というテーマを取り入れた。これは、すべての女性への祝福です」と説明した。

環境革新とAIの未来へのビジョン

環境革新の分野では、億米吧海洋科技(Yimiba Ocean Technology)の鄧中華(Deng Zhonghua)氏が、子どもたちが強く、賢く、健康に育つことを願う母親の願いから着想を得たと語った。同社はそのビジョンを実現するために、栄養豊富なシーフードを生産し、健康的で手頃な価格の食事を提供している。

Ahmed Fathi.
Ahmed Fathi.

さらに、テクノロジーの視点からは、上海書苑知AI科技(Shanghai Shuyuanzhi AI Technology)の朱暁玲(Zhu Xiaoling)氏が、世界中の女性と機関を支援するためのグローバルAIプラットフォームを構築していると語りました。「私たちはフォーラムを視覚化された、つながりのあるネットワークに変え、人類に貢献し、持続可能な発展を促進することを目指しています。」と述べました。

行動と共感で未来を築く

この素晴らしい代表団は、単なる参加者ではなく、リーダーとしてCSW69に臨んだ。彼らの言葉、行動、そして存在は、持続可能性が単なる理論ではなく、行動、共感、そして未来へのコミットメントであることを世界に思い起こさせました。

CSW69の会議が続く中、彼女たちの声は、「女性が立ち上がれば、社会は繁栄する。そして、共に築くことで、世界の進歩はより強固なものになる。」というメッセージを世界に届けている。(原文へ

INPS Japan/ATN

Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/innovation-with-impact-chinese-delegates-drive-sdg-s-action-at-csw69

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欧州と中央アジアの水と食料安全保障:持続可能で公正な未来に向けた共通の課題(ヴィオレル・グトゥFAO事務次長兼欧州・中央アジア地域代表)

【ローマIPS=ヴィオレル・グトゥ】

土壌の劣化、大気汚染、生物多様性の喪失、植物や動物の健康問題の増加など、多くの危機が同時に進行しています。水の安全保障は、個人、各国、そして世界全体が直面する数多くの課題の1つに過ぎません。しかし、私たちは、水が人間の体の大部分を占めているのと同様に、動植物、さらには地球の表面にも欠かせない要素であることを忘れてはなりません。水の不安定性は決して小さな問題ではなく、今世紀最大の課題の一つです。

Public Water tap. Credit: Caribbean Community Secretariat.
Public Water tap. Credit: Caribbean Community Secretariat.

水の安全保障は、人々が食卓に食料を確保するために不可欠です。それだけでなく、水の安全保障は、食料と農業セクターの効率性、包摂性、回復力、持続可能性を高める変革の原動力でもあります。1945年の設立以来、国際連合食糧農業機関(FAO)は自然資源管理の向上を提唱してきました。そして最近では、持続可能な水管理の実践を促進することが、農民のレジリエンス(回復力)を確保し、食料安全保障を守るための必須条件であると、ますます強く訴えています。

ヨーロッパと中央アジアの50カ国以上も、この状況の例外ではありません。水の不安定性が農業・食料システムを脅かし、不平等を悪化させ、持続可能な未来への進展を妨げています。こうした理由から、2024年4月2日に発表予定の「ヨーロッパ・中央アジア食料安全保障と栄養に関する地域概観報告書」では、水の安全保障を主要テーマに掲げ、農業、食料安全保障、栄養との関係に光を当てています。

拡大する水の不安定性と不平等な影響

この地域の水の安全保障は、厳しい格差によって特徴づけられています。欧州連合(EU)加盟国の一部では比較的水の安全が保たれていますが、中央アジア、コーカサス、西バルカン地域に住む人々は大きな課題に直面しています。特にタジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンは、この地域で最も水の安全保障が低い国々であり、時には水の消費量が利用可能な資源を上回ることもあります。さらに、老朽化した灌漑インフラによる非効率性や水の損失が状況を悪化させています。

Map of Central Asia
Map of Central Asia

人々への影響も深刻です。洪水や干ばつは100万人以上に影響を及ぼし、地域全体で140億ドルの損害をもたらしています。そして、ここで重要なのは気候変動です。

気候変動と水需要の増加は、この地域全体で水不足をさらに悪化させています。降水パターンの変動、氷河の融解、干ばつの頻発と激化は、農業、特に農民に大きな打撃を与えています。また、この地域の一部では、上流国(キルギス、タジキスタン)での水力発電のエネルギー需要と、下流国の灌漑需要が競合し、協調的かつ国境を越えた水管理の必要性が浮き彫りになっています。

水の安全保障は「量」だけでなく「質」にも関係しています。この側面を見過ごしてはなりません。多くの地域では、農業が肥料や農薬の流出を通じて水質汚染の大きな要因となっており、食料安全性や土壌の健康を損なっています。特に農村地域では、適切な水、衛生、衛生設備の確保が食料安全保障にとって極めて重要です。

解決への道筋:イノベーションとガバナンスの強化

FAO Logo

食料と水の安全保障に関する課題の複雑さと相互関連性は、革新的な解決策と強固なガバナンスを必要としています。FAOは、「水・エネルギー・食料・生態系の相互関係(ネクサス)」 アプローチを提唱しており、統合的な資源管理と関係するすべてのセクターのニーズを考慮することを重視しています。

この包括的アプローチには、次のような革新的な手法がすでに貢献しています。

  • 精密農業とデジタル農業
  • エネルギー効率の高い灌漑システム
  • 処理済み排水の再利用
  • 自然に基づいた解決策(例:キルギスの人工氷河プロジェクト)

FAOは、80年の経験を活かして、ヨーロッパと中央アジア諸国が気候レジリエンス(回復力)と水のガバナンスを強化する支援を続けています。その取り組みの一環として、「地域水不足イニシアティブ」 を通じて、灌漑の近代化、干ばつへの対応力強化、水質改善を推進しています。また、タジキスタンやトルクメニスタンでは、「ワン・ヘルス(One Health)」 アプローチのもと、水・衛生・衛生基準の向上が図られています。さらに、「水不足に関する地域間技術プラットフォーム」 によって、グローバルな協力と知識の共有が促進され、各国の食料と水の安全保障に貢献しています。

水の管理に持続可能な形で投資することは、食料安全保障、平和、そして繁栄という形で、ヨーロッパ、中央アジア、そして世界中の将来世代に大きな恩恵をもたらします。(原文へ)

INPS Japan/IPS UN BUREAU

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最初はベトナム、そしてアフガニスタン: 次はウクライナか?

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=バシール・モバシェル】

ウクライナで継続中の戦争が、米国の外交政策に難題を突き付けている。サウジアラビアで米国とロシアの高官が紛争の今後について直接協議したのを受けて、多くの人は、ウクライナ危機がアフガニスタンやベトナムの二の舞になるのではと危惧している。いずれも、米国が現地政府を置き去りにして敵対国との和平協議を行おうとし、破滅的な結果をもたらした紛争である。これらの過去の交渉や1975年における南ベトナムと2021年におけるアフガニスタン共和国政権の最終的な崩壊から得られる教訓を踏まえると、米国がより包摂的なアプローチで慎重にこれらの協議の舵を取らない限り、ウクライナは同じような運命に直面するのではないかと思わずにはいられない。() 

ウクライナの状況は、多くの点でアフガニスタンやベトナムとは異なる。例えば、ウクライナは欧州に位置しており、欧州は同国の安全保障と主権に対して既得の利害を有している。また、ウクライナは外国から直接侵略を受けており、従ってその指導者は国民のより幅広い支持を受けている。南ベトナムとアフガニスタン共和国は代理勢力を相手にしていた。しかし、問題は、このような違いがあるからといってウクライナがアフガニスタンやベトナムと同じ道をたどらずに済むのかという点だ。ウクライナの事例がアフガニスタンやベトナムと異なるのと同じように、アフガニスタンの戦争はベトナム戦争と異なっていたということを心に留めなければならない。従って、三つの事例の類似点は必ずしも社会政治的状況や地政学ではなく、和平調停がこれらの国々に関してどのように処理されているかという点である。見たところ、ウクライナに関する進行中の交渉は、1975年にベトナムの運命を決し、2021年にアフガニスタンの運命を決した交渉と同じパターンをたどっている。これらのパターンには、次のようなものがある。

  • 交渉対象国の合法政府が和平協議の場に不在であること。
  • 現地政権を弱体化し、腐敗し、反平和的であるとして合法性を否定し、敵対勢力を信頼できる交渉パートナーとして持ち上げる新たなナラティブの登場。
  • ゆくゆくは現地政権にも和平協議に参加する番が回ってくるという約束。少なくともベトナムとアフガニスタンという二つの事例では実現しなかった約束である。

これらの交渉は通常、現地政権の希望に反した捕虜交換や、現地政権への財務的・軍事的支援の打ち切りを含むか、あるいは伴う。和平協定と銘打っていても、このような協定は米国撤退後の現地政権崩壊を防ぐことができず、むしろ権力の空白を生み出した。そこに敵対勢力がすかさず付け入ったのである。ウクライナは、主権が危機に瀕するなか、同様の帰結に直面する可能性があるのではないか?

頭越しの和平協定: 最も合法的な和平のステークホルダーを排除するパターン

これらは通常であれば2国間協定であるが、最も合法的なステークホルダーが不在であり、彼らが無視されたまま交渉が行われるという点で、頭越しの和平協定と呼んだほうが良いだろう。例えば、1973年のパリ和平協定は主に米国と北ベトナムとの間で結ばれ、南ベトナム政府は直接協議からおおむね排除された。ニクソン政権は、南ベトナムが和平への最大の障害であり、南ベトナム政府の頭越しに交渉を行うことで解決を迅速化できるという信念のもと、この排除を正当化した。同政権は、南北ベトナム間の和平協議が行われるようにすると約束した。しかし、主要な合意から南ベトナムを排除したことにより、米国撤退後は北ベトナムが支配権を握り、最終的に1975年のサイゴン陥落へと至った。

アフガニスタンでも、2020年のドーハ和平合意が同様のパターンをたどった。米国はタリバンと直接交渉し、アフガニスタン政府を和平協議から排除した。この合意は、タリバンがアフガニスタンの地でテロを発生させないよう取り組むことと引き換えに米軍が撤退することを約束するものだった。和平への道という体裁が取られたものの、アシュラフ・ガニ大統領率いるアフガニスタン政権は完全に蚊帳の外に置かれた。その結果結ばれた合意はアフガニスタン政権の崩壊を防ぐことができず、2021年、米軍撤退からわずか1カ月後に政権はタリバンの手に落ちた。

パリ和平協定とドーハ和平合意の両方に見られる顕著な特徴の一つは、南ベトナムとアフガニスタンの現地政権が和平協定に抗議し、全面的に拒否したことである。南ベトナムのグエン・バン・チュー大統領は、パリ和平協定を拒否した。協定が政権の地位を損ない、不利な和平をもたらすと感じていたからである。アフガニスタンでも同様に、アシュラフ・ガニ大統領はドーハ和平合意に極めて批判的で、協定が彼の政権を排除し、アフガン首脳部の合法性を損なうと主張した。これらの抗議は、現地政権が米国に見捨てられたと感じ、交渉は彼らの正当なニーズを考慮しない不当な妥協をもたらすと考えていることを浮き彫りにした。どちらの事例でも、米国高官は現地政権を、腐敗し、対立を生み、無能力であると批判し、敵対勢力との直接交渉を正当化した。どこかで聞いたような話ではないか?

米国はウクライナの頭越しにロシアと交渉しようとしているが、ウクライナ政府を無能力である、あるいは腐敗していると非難し、その権威を無視することの危険性に気付くことが極めて重要である。このような非難は、現地政権が最初から合法性を欠いていたのだという敵対勢力の主張にいっそう拍車をかける。ベトナムにおいてもアフガニスタンにおいても、現地政権は脆弱化し、合法性を損なわれ、支援を受けられない状態に置かれ、その後、和平協定のことなど気にもかけない敵対勢力の攻撃を受けている。興味深いことに、同盟勢力が崩壊した後、米国の政権は自国の野党や蚊帳の外に置かれた外国政権を非難し、自らに非はないと主張した。

ウクライナは、似たドラマの次のエピソードになるのか?

米国とロシアはすでに協議を開始しており、ウクライナ政府は蚊帳の外に置かれている。この動きは、米国が合法政府の頭越しに敵対勢力と交渉することを選んだ過去の北ベトナムやタリバンとの和平協議と幾分似ている。

ウクライナは、この悲劇的なドラマの次のエピソードになるのだろうか? 答えは、恐らく二つの要因にかかっている。第1に、ウクライナは心理的にも軍事的にも、米国の支援なしに戦闘を継続する準備ができているか? 第2に、欧州は、ウクライナに対する既得の利害が米国の利害とはますます乖離していくなかで、それを積極的に維持しようとするだろうか、あるいはベトナムとアフガニスタンの事例でそうしたように米国の主導に従うだろうか?

ウクライナは、ロシアと欧州の両方にとって玄関口にあたる。そこにロシアが入ってくる、しかも米国のお墨付きを得て入ってくることは、他の欧州諸国にとって警鐘である。欧州は、ベトナムやアフガニスタンとの交渉がもたらす悪影響については全く心配しなかった。しかし、ウクライナに関する米ロの交渉については違う感情を抱いているようだ。地域の安定は、欧州に直接関係する問題である。欧州にとって、ウクライナの主権と領土保全は、単に地政学的利害にかかわるだけでなく、欧州の安全保障にとって極めて重要な問題である。近頃パリで行われた欧州首脳会議がそれを物語っている。

バシール・モバシェル博士は、アメリカン大学(DC)社会学部、ニューヨーク大学(DC)、アフガニスタン・アメリカン大学政治学部で教鞭を執る。アフガニスタン法政治学協会の現会長(亡命中)である。専門は、比較憲法、アイデンティティー政治と人権。憲法、選挙制度、アイデンティティー政治に関する多数の研究プロジェクトの執筆、レビュー、監修を行っている。最近の研究プロジェクトは、地方分権、社会正義、オリエンタリズムをテーマとしている。カブール大学法政治学部で学士号(2007年)、ワシントン大学ロースクールで修士号(2010年)および博士号(2017年)を取得。

INPS Japan

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