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「ホワイト・クリスマス」は気候変動対策を促す警鐘となるのか

【ワシントンDC IPS=フィリップ・ブノワ】

White Christmas (1947 Version)

ククリスマスが近づくたびに、米国をはじめ世界各地の電波を席巻する一曲がある。「ホワイト・クリスマス」だ。ギネス世界記録によれば、この曲は累計販売枚数が5,000万枚を超え、史上最も売れたシングル盤である。

多くの人が、あの象徴的な冒頭の歌詞を知っている。

「白いクリスマスを夢見ている

昔よく知っていた、あの頃のような」

Bing Crosby, Public Domain 
Bing Crosby, Public Domain 

この米国のホリデー・クラシックは、作曲家アーヴィング・バーリンが第二次世界大戦のさなか、1942年に書き、ビング・クロスビーが録音した。そこには、より素朴な過去への郷愁と、より良い未来への希望が込められていた。

しかし、時代背景が変われば、意味合いも変化する。今日、私たちは新たな、そして異なる種類の地球規模の脅威―深刻な気候変動―に直面している。世界経済フォーラムの最近の報告書によれば、気候変動は2050年までに、追加で1,450万人の死亡と12兆5,000億ドルの経済損失をもたらす可能性がある。

近い将来、「ホワイト・クリスマス」の歌詞で最も際立つのは、かつて12月下旬には当たり前だった「雪のある風景」への郷愁かもしれない。気候変動の影響により、多くの地域でその体験は今後ますます希少になると予測されている。

もちろん、2025年12月の米国は極渦による厳しい寒波に見舞われている。しかし、世界の他地域では数十年で最も暖かい12月が観測されており、温室効果ガス排出に起因する大気中二酸化炭素濃度の上昇を背景に、今年は観測史上2番目に暑い年となる見通しだ。こうした傾向は、気候そのものを変えつつある。

2026年、2027年、あるいは2028年に雪の積もるクリスマスが訪れることはあるかもしれない。しかし、現在の気候予測が示すように、中長期的にはそれはますます稀な出来事となる。深刻な気候変動を回避できなければ、雪のあるクリスマスは多くの地域で「記憶の中の出来事」へと後退していく可能性が高い。

SDGs No. 13
SDGs No. 13

こうした状況のもと、「ホワイト・クリスマス」は新たな意味を帯び始めている。本来は郷愁と希望を喚起するために書かれた歌詞は、いまや文字どおりに読まれるべきだ。「白いクリスマスを夢見ている。昔よく知っていた、あの頃のような」という一節は、深刻な気候変動がもたらす異常と破壊を防ぐため、温室効果ガス排出を削減する必要性を私たちに警告している。

過去のホリデー・クラシックである「ホワイト・クリスマス」は、今日、気候変動対策を求める警鐘として聴かれるべきである。(原文へ

フィリップ・ブノワは、気候変動を専門とする「グローバル・インフラストラクチャー・アドバイザリー・サービス2050」のマネージング・ディレクターである。

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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ネパール内戦を「人びと」の目線で描く

モニカ・ラナ『The Paths We Choose』が照らす、戦争と日常の断絶

【カトマンズNepaki Times=サンギャ・ラムサル】

マオイスト戦争(ネパール内戦、1996年から2006年)の時代、現在の若い世代の多くは、その恐怖を体験として記憶していない。抗議行動、暴力、外出禁止令、政治的駆け引きが交錯した国家的危機の只中で、人びとはどのように暮らし、何を恐れ、何に希望を託していたのか。モニカ・ラナのデビュー小説『The Paths We Choose』は、20年前に終結した内戦を、指導者や武装勢力ではなく、名もなき市民の視点から描き出す。

本作は、歴史的事件の再構成や暴力の描写を主眼としない。焦点を当てるのは、戦争に巻き込まれた「普通の人びと」の人生である。紛争は、彼らの選択肢を狭め、ときに強制し、人生の進路そのものを変えていく。本作は、マオイスト側が「人民戦争」と呼んだ内戦を、人びと自身の目線で捉え直す試みと言える。

Map of Nepal
Map of Nepal

物語の中心に置かれるのは、姉妹のスムニマとリタだ。勇敢で機転の利く姉と、内気で従順な妹。二人は丘陵地帯の村で、笑いと冒険に満ちた幼少期を共有する。ディレ・ダイのマンゴーの木から実を盗み、ラト・マトへと駆け下りる日々。作家の言葉は軽やかで、穏やかな日常を丁寧にすくい取る。

しかし、その静けさは長くは続かない。村の生活は牧歌的に理想化されることなく、貧困や自給自足の厳しさ、都市との格差が現実として描かれる。その一方で、幸福が物質的な豊かさではなく、ささやかな日常の中にあったという事実が、対照的に浮かび上がる。

物語が進むにつれ、題名が意味を帯び始める。同じ家に育ち、同じ夢を抱いていた姉妹は、戦争によって異なる道へと引き裂かれる。一人は自らの選択によって、もう一人は生き延びるための必然に迫られて。

時代は2001年。内戦が激化する中で、二人の人生は決定的に分岐する。スムニマは「平等と自由」を掲げ、反政府勢力に加わる。一方、リタは、村が暴力的な襲撃によって「ゴーストタウン」と化した後、家族の切実な判断により、遠く離れた都市セト・バンガラへ送られ、上流階級の家で使用人として暮らすことになる。

物語には、王宮と農村、権力と貧困、イデオロギーと生存が交錯する。銀の皿で食事をする王族と、略奪を恐れて最後の穀物を隠す村人。その間に横たわる階級格差は、抽象論ではなく、日常のディテールとして描かれる。カースト、肌の色、ジェンダーによる差別もまた、人びとの人生を左右する現実として提示される。

激動の中にあっても、変わらぬものが一つある。離れ離れになった姉妹は、常に互いを思い、再会を願い続ける。いつか村でゲストハウスを開くという、かつて共有した夢。恐れずに生き、自由で、幸せで、共にあるという、ごく控えめな願いである。

Monica Rana's book
Monica Rana’s book

やがて姉妹は再会する。しかし、その先に待つ未来は、どちらにとっても想像していたものとは異なる。ラナは、運命として物語を美化することを拒み、戦争が最も重い代償を強いるのは常に無辜の市民であるという現実を静かに示す。人びとは敵対する双方の狭間に置かれ、飢え、強制移動、暴力に、何の責任もなく耐え続ける。

世界ではいまも戦争が続いている。本作は、戦争犯罪の凄惨さを直接告発するものではない。しかし、戦争が人びとの日常と人生をいかに深く損なうのかを静かに伝える点で、強い普遍性を持つ。そこには、パレスチナの詩人マフムード・ダルウィーシュの言葉が重なる。

「戦争は終わり、指導者たちは握手を交わす。老女は殉教した息子を待ち続け、子どもたちは英雄だった父を待ち続ける。誰が祖国を売ったのか、私は知らない。だが、誰が代償を支払ってきたのかは、この目で見てきた。」(原文へ

INPS Japan/Nepali Times

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中央アジア・日本首脳会合、トランス・カスピ回廊を後押し トカエフ大統領は核リスク再上昇に警鐘

【INPS Japan東京=浅霧勝浩】

日本と中央アジア5カ国の首脳は20日、東京で新たな首脳会合を初開催し、「東京宣言」を採択した。宣言は、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強靱化と、中央アジアと欧州をロシアを経由せずに結ぶトランス・カスピ回廊(トランス・カスピ国際輸送ルート)への支援を、協力の中核に据えた。|中国語版英語タイ語|スペイン語|

高市早苗首相が議長を務めた会合は、中央アジアがユーラシアの結節点に位置し、脱炭素化と先端産業に不可欠な鉱物資源を有するという戦略的重要性を背景に開かれた。地域をめぐっては主要国の関与が強まり、外交・通商の舞台としての重みが増している。

日本政府は、協力を「実装可能な案件」に落とし込む実務志向を強調した。中央アジア側にとっても、トランス・カスピ回廊は輸送の選択肢を増やし、特定の通過国への依存を下げる手段となる。港湾、鉄道、税関などの近代化投資を呼び込みつつ、通過・物流収益を取り込む余地も広がる。

“Central Asia plus Japan Dialogue” (CA+JAD). Credit: Prime Minister’s Office of Japan.

日本にとっては、回廊整備と鉱物分野の連携が経済安全保障上のリスク分散につながる。バッテリーや再生可能エネルギー、電子機器などに必要なレアアースやリチウムなどの重要鉱物について、調達先と輸送経路を多角化し、地政学リスクの高まりに備える狙いだ。あわせて、インフラ、物流、デジタル分野で日本企業の参画機会を広げる狙いもある。

日・カザフ共同声明が「軸」

Central Asia plus Japan Dialogue” (CA+JAD)
Central Asia plus Japan Dialogue” (CA+JAD)

首脳会合に先立ち、カザフスタンのカスムジョマルト・トカエフ大統領が公式訪日し、一連の外交日程が組まれた。

12月18日、高市首相とトカエフ大統領は首脳会談を行い、「将来に向けた拡大された戦略的パートナーシップの更なる相乗効果に関する共同声明」を発表した。共同声明は、法の支配に基づく国際秩序と国連憲章の諸原則を確認した上で、重要鉱物、エネルギー移行、輸送・物流の連結性などの分野で、具体的取組を通じて協力を推進することで一致した。

トランス・カスピ回廊に関して共同声明は、世界税関機構(WCO)と連携した税関職員研修や、カザフスタン西部アクタウ港での貨物検査用スキャナー(貨物検査機材)の整備支援など、通関・港湾のボトルネック解消につながる実務的措置を明記した。両首脳はまた、2026年の定期直行便就航計画を歓迎し、航空協定締結に向けた政府間交渉を開始することで一致した。さらに共同声明は、アルマトイに設立された「中央アジア及びアフガニスタンのための国連SDGs地域センター」について、情報交換を行い協力の可能性を探る意向を示した。

Trans-Caspian Route (Middle Corridor) Credit: TITR
トカエフ大統領、東京で核リスクに警鐘
Kassym-Jomart Tokayev delivered a lecture at the United Nations University

翌19日、トカエフ大統領は東京都内の国連大学で講演し、「核のリスクが再び高まっている」と警告した。

トカエフ氏は、広島・長崎への原爆投下に加え、旧ソ連が450回以上の核実験を実施したセミパラチンスク核実験場に言及し、日本とカザフスタンはいずれも核兵器がもたらす甚大な被害を知る国だと訴えた。その上で、核軍縮とリスク低減に向け、具体的な措置を積み重ねる必要があるとの立場を示した。

Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri
Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri

また、ソ連崩壊後に自国領内に残された核兵器(当時の規模で世界第4位)を放棄したカザフスタンの決断に触れ、安全保障は核抑止にのみ依存すべきではないとの認識を示唆した。

カザフスタンは、8月29日(セミパラチンスク核実験場閉鎖日であり、国連の「核実験に反対する国際デー」)前後に、核兵器の非人道的影響を前面に据えた会合をアスタナで開催し、中央アジア非核兵器地帯の規範強化を訴えてきた。これらの会合には、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)創価学会インタナショナル(SGI)などの市民社会団体も参加している。

A Group photo of participants of the regional conference on the humanitarian consequences of nuclear weapons and nuclear-free-zone in Central Asia held on August 29, 2023. Photo Credit: Jibek Joly TV Channel.
A Group photo of participants of the regional conference on the humanitarian consequences of nuclear weapons and nuclear-free-zone in Central Asia held on August 29, 2023. Photo Credit: Jibek Joly TV Channel.
重点3分野:強靱化、連結性、人づくり

20日の首脳会合には、トカエフ氏のほか、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの各大統領が出席した。高市首相は、人口増と急速な経済成長を背景に中央アジアの国際的存在感が高まっていると指摘し、地域協力と外部との連携が重要だと強調した。

日本は会合で「CA+JAD東京イニシアティブ」を発表し、重点協力として(1)グリーン・強靱化(エネルギー移行、防災、重要鉱物の供給網など)(2)コネクティビティ(トランス・カスピ回廊、AI協力など)(3)人づくり(奨学金、医療・保健分野の協力など)の3分野を掲げた。

東京宣言はまた、資源開発などへのAI活用を視野に「日本・中央アジアAI協力パートナーシップ」の立ち上げを明記した。会合に合わせて官民で150件超の文書が署名・披露され、今後5年間で総額3兆円規模のビジネス・プロジェクト目標も示された。

多極化する関与、カザフスタンの「マルチベクター外交」

東京会合は、中央アジアをめぐり各国の首脳外交が相次ぐ現実も映し出した。中国は今年、カザフスタンで5カ国との首脳会合を開き、米国も11月に同じ5カ国首脳をワシントンに招いた。

とりわけカザフスタンは、競合する大国と同時並行で関係を築き、主権と選択肢を確保する「マルチベクター外交」を掲げてきた。輸送回廊の多角化、鉱物・技術協力の拡張、国際機関を通じた開発協力の活用を組み合わせる東京での合意は、このバランス戦略と整合する。

日本にとって新たな首脳級枠組みは、資源、物流、技術を結節点として中央アジアとの関与を深める手段となる。一方、トカエフ大統領にとって今回の訪日は、核リスクが再び前面化する中で、ユーラシアの経済の将来像が安全保障の課題と切り離せないことを訴える場にもなった。(原文へ

UN Photo
UN Photo

INPS Japan

This article is brought to you by INPS Japan in collaboration with Soka Gakkai International, in consultative status with the UN’s Economic and Social Council (ECOSOC).

American Television Network(ATN), Inter Press Service(IPS), London Post, Nepali Times, AZVision

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雨水の収集がグアテマラ東部の干ばつを緩和

【サンルイス・ヒロテペケIPS=エドガルド・アヤラ】

干ばつに苦しむグアテマラ東部のドライ・コリドー(乾燥回廊)地域に暮らす農家の家族が、雨水収集という手法によって生計の糸口を見いだしている。この取り組みにより、これまで耕作が困難だった土地でも食料生産が可能になった。

スウェーデン政府の資金提供を受け、国際機関が実施するこの事業は、雨水貯留タンクの設置に必要な技術や資材を提供し、同国東部における水不足の緩和を目的としている。現在、約7,000世帯がこのプログラムの恩恵を受けている。

Map of Guatemala
Map of Guatemala

対象となっているのは、グアテマラ東部のチキムラ県とハラパ県にある7自治体の小規模流域周辺に暮らす家庭である。対象自治体は、ホコタン、カモタン、オロパ、サン・フアン・エルミタ、チキムラ、サンルイス・ヒロテペケ、サン・ペドロ・ピヌラである。

「ここはドライ・コリドーで、作物を育てるのが難しい。育てようとしても水が足りず、実が十分な重さまで育たない。」ハラパ県サンルイス・ヒロテペケ郡サン・ホセ・ラス・ピラス村で、支援を受ける家族の一人、メルリン・サンドバルはIPSの取材に対して語った。

全長1,600キロに及ぶ中米ドライ・コリドーは、中米全体の35%を占め、1,050万人以上が暮らしている。国連食糧農業機関(FAO)によると、この地域では農村人口の73%以上が貧困状態にあり、710万人が深刻な食料不安に直面している。

事業の一環として、サンドバルは自宅裏の敷地で雨水収集に取り組んでいる。底部に不透水性のポリエチレン製ジオメンブレンを敷いた円形タンクを設置し、容量は16立方メートルに及ぶ。

雨が降ると、屋根を伝って流れた雨水がPVCパイプを通じ、「集水槽」と呼ばれるタンクに集められる。蓄えられた水は、家庭菜園や果樹の灌漑に使われるほか、11月から5月にかけての乾季には生活用水としても利用されている。

家庭菜園では、セロリ、キュウリ、コリアンダー、チャイブ、トマト、青唐辛子を栽培している。果樹としては、バナナやマンゴー、ホコテ(熱帯果実)などが実を結ぶ。

さらに、500匹のティラピアの稚魚を育てる養魚池も設けられている。底部にポリエチレン製ジオメンブレンを敷いた構造で、長さ8メートル、幅6メートル、深さ1メートルである。

同様に支援を受けるリカルド・ラミレスも、設置した雨水収集タンクからの水を利用して作物を育てている。タンクの隣にはマクロトンネルと呼ばれる小型温室があり、そこでキュウリ、トマト、青唐辛子などを栽培している。灌漑は点滴方式で行われる。

「1畝からキュウリが950本、トマトは450ポンド(約204キロ)収穫できました。唐辛子も次々に実をつけています。雨水収集タンクに水があったからこそです。バルブを少し開いて30分ほど点滴灌漑するだけで、土壌がしっかり潤いました。」ラミレスは語った。(原文へ

INPS Japan/IPS

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コミュニティーラジオが支えるタンザニアの気候レジリエンス

【タンザニア・ダルエスサラームIPS=キジト・マコエ】

マングローブが密生するルフィジ河口の夜明け。木製カヌーの櫂が静かな水面を進むなか、穏やかな声が潮の上を流れていく。「今日は、洪水からマングローブを守るために、地域社会ができることをお話しします。」語りかけるのは、タンザニア放送協会(TBC)のTBC・FMで司会を務めるエヴァリリアン・マッサウェである。

ほどなく放送は現場の音へと切り替わる。ぬかるむ泥の音、長靴が擦れる音、マングローブの苗木が揺れる音。デルタで作業する女性たちの笑い声が重なり合う。

タンザニア各地の多くの地域社会にとって、コミュニティ・ラジオは、塩害の進行や干ばつ、洪水といった深刻化する気候影響の中で、重要な「教師」となっている。

レジリエンスの物語

マッサウェは毎週、荒廃したマングローブの再生に取り組む漁民や、護岸を築く沿岸住民、干ばつ耐性作物を導入する家族などの物語を伝えている。番組では、複雑な気候科学を日常生活の言葉に置き換え、多くのリスナーの関心を引きつけてきた。

気候正義、適応資金、最前線に立つ地域社会との連携強化が主要議題となったブラジルでのCOP30が閉幕するなか、洪水多発地帯や干ばつに苦しむサバンナ、脆弱な沿岸集落を抱えるタンザニアでは、コミュニティ・ラジオが気候変動への対応を担う重要な主体となりつつある。

ラジオ保有率が依然80%を超える同国では、これらの放送局が、科学的予測と一般家庭を結ぶ信頼の媒体として機能している。抽象的な気候リスクを、人々の暮らしに即した物語へと翻訳しているのである。

COP30で強調された議論とも響き合う形で、携帯録音機と地域の知恵を頼りに活動する放送人たちは、農民、漁師、牧畜民の声を国際社会へと届けている。

「ラジオは物語を語るだけではありません。行動を呼び起こすのです」
―コミュニティ放送人、アミナ・モハメド

水上の命綱

ルフィジ・デルタの茅葺き小屋で、漁師のファキル・ムスミは古いラジオに耳を傾けながら網を修繕している。そのラジオは、彼にとって信頼できる気象計だ。

「強風の知らせを聞いたら、仲間に待つよう伝える。潮位が上がると分かるからだ」

マングローブが嵐から家屋を守ることを、彼はラジオを通じて初めて知った。2024年の大洪水後、ムスミは近隣住民とともにインド洋沿岸で再植林に取り組んだ。それ以来、「バハリ・イェトゥ、マイシャ・イェトゥ(私たちの海、私たちの命)」を欠かさず聴いている。

気候を教えるラジオ

「ラジオはより親密な形で物語を伝えます」とマッサウェは語る。「インターネットにアクセスできない人々にとって、声は橋なのです」

彼女は「ゼロから学ぶ気候変動」というシリーズを制作し、専門用語を日常語に置き換えた。

「気候変動とは何かと聞くと、多くの人が『暑い天気』と答えました。そこで、伐採や木炭利用も天候に影響すると説明しました。」

乾いた土を踏みしめる音、内陸へ忍び寄る塩水の音。音そのものが物語となる。

「時に、統計よりも音の方が雄弁です。」

番組をきっかけに、トウモロコシからキャッサバへ転換する農家や、雨水貯留を学ぶ女性が増えている。

音で語られる気候の現実

北方数百キロに位置するモシFMでは、記者リリアン・ミハレが録音機を手首にぶら下げ、スタジオに入る。担当番組は「ウカメ・ササ・バシ(干ばつに終止符を)」だ。

彼女の脚本は、現場の音である。牛鈴の金属音、子どもたちの話し声、井戸で水を汲むマサイ女性の笑い声。

「音が私の台本です。干ばつが最も深刻な場所へ行きます」

家畜をすべて失った家族を取材した際には、その声ににじむ痛みが、そのまま伝わった。

信頼のメディア

不規則な天候、長期干ばつ、洪水、害虫被害。こうした状況下で、コミュニティ・ラジオは気候科学を実践知へと変換し、世界で交わされる議論と農村の現実を結びつけてきた。

「雨が遅れて不安だった農家に、土壌水分を保つ技術を伝えました。収穫は予想以上でした」

塩害に苦しむルフィジでは、台所や漁船、商店でラジオが鳴り、早期警戒やアグロフォレストリー、水管理に関する知識が、先祖伝来の知恵と並んで共有されている。

「以前はトウモロコシだけでした。」と農民のファトゥマ・ジュマは語る。「ラジオで果樹栽培を学び、今では雨が少なくても、食料と収入の両方を得られています。」

若者主導の団体も、TBC・FMなどの放送局と連携し、気候スマート農業や植林の推進を担っている。

沿岸の声、共有される運命

ザンジバルのカティFMでは、アミナ・モハメドが番組の冒頭で、まず住民の声を届ける。

「海の主は漁師であり、母親であり、若者ですから。」

かつて放送でマングローブ伐採を悔いた漁師フセイン・コンボは、現在では1万本以上の苗木を植えるボランティアグループを率いている。

「ラジオは行動を生みます。」とモハメドは語る。

命を救う警報

タンザニア気象局(TMA)は地域ラジオと連携し、予報を届けている。2024年のキロムベロ洪水では、早期放送により被害軽減が実現した。

ドドマの番組「キリモ・ナ・マバディリコ・ヤ・タビアンチ」は壁のない教室だ。

「マルチングは怠けだと思っていましたが、今は違います」と女性農民は語る。

マイクの裏側の課題

資金不足、停電、老朽化した設備。困難は少なくない。

「それでも伝え続けます。大切な物語だからです。」

レジリエンスの道具として

タンザニア気象局(TMA)の気候学者、ジョン・ムビセは指摘する。

「ラジオがなければ、適応は成り立ちません。」

レジリエンスの声

夕暮れのルフィジで、漁師は静かに言葉を選ぶ。

「気候は変わる。しかし、私たちも変われる。」(原文へ

この特集はオープン・ソサエティ財団の支援を受けて制作された。


INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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トカエフ大統領、初の日本公式訪問で徳仁天皇と会見

【アスタナThe Astana Times=アイマン・ナキスペコワ】

カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領は12月18日、日本への初の公式訪問の一環として、徳仁天皇陛下と会見した。大統領府(アコルダ)広報が伝えた。

会談でトカエフ大統領は、日本側から受けた温かい歓迎に謝意を示すとともに、日本が規律と強靱さによって長年にわたりカザフスタン国民に感銘を与えてきたと述べた。

Emperor Naruhito hosted an official reception in honor of Tokayev. Photo credit: Akorda

また、両国は相互尊重を基盤に、幅広い分野で協力を重ね、長年にわたる友好関係を築いてきたと強調した。

これに対し徳仁天皇陛下は、トカエフ大統領の訪日が日カザフスタン関係にとって重要な節目となり、二国間関係を新たな段階へと引き上げる契機になるとの期待を示された。

両者は、主要な協力分野に加え、国際情勢についても意見を交わした。

また、トカエフ大統領は、1920年に創建され、皇室ゆかりの神社として知られる都内有数の神社、明治神宮を参拝した。

戦略的利害と貿易動向

今回の訪問期間中、エネルギー、再生可能エネルギー、デジタル化、鉱業、運輸分野を中心に、総額37億ドル超に上る40件以上の商業協定が締結される見通しである。

両国間の貿易額は2024年に18億ドルに達した。2025年最初の9か月では13億ドルとなり、前年同期比で1.9%減少したものの、貿易構造自体は概ね安定している。

カザフスタンと日本は1992年の国交樹立以降、首脳級の相互訪問、議会交流、共同委員会を通じて、安定した外交関係を維持してきた。日本はカザフスタンをユーラシアにおける安定したパートナーと位置づけ、カザフスタンは日本を、外交において一貫性と責任感を備えた重要な協力国と見なしている。

Kazakhstan-Japan
Kazakhstan-Japan

カザフスタンから日本への輸出は、引き続きフェロアロイが約95%を占める一方、農産品、水素、不活性ガス、銅などの輸出も徐々に拡大している。日本からの輸入品には、自動車、産業機械、ハイテク機器が含まれる。

カザフスタン外務省によると、過去20年間で日本企業は、主に石油・ガス、冶金、機械、物流、医療分野において、約90億ドルをカザフスタンに投資してきた。現在、60社以上の日本企業が同国で事業を展開しており、日本資本が関与する企業は約100社に上る。

INPS Japan/The Astana Times

Original URL: https://astanatimes.com/2025/12/president-tokayev-meets-japans-emperor-naruhito-during-first-official-visit/

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未来のための国連パクトは、地球規模の連帯と地域に根ざした解決策を求めている

国連IPSナウリーン・ホセイン

採択から1年以上が経過した「国連未来のための協定(UN Pact for the Future)」は、今日の課題に国際協力で取り組むための重要な枠組みとして位置づけられている。持続可能な開発とグローバル・ガバナンスに向けたその議題は極めて野心的であり、ゆえに、地域社会への直接的な影響という実施段階では大きな課題が伴う。協定の目標達成には、政府、市民社会、国際機関の連携が不可欠である。

Naureen Hossain
Naureen Hossain

英国を拠点とする国際 NGO「インターナショナル・コミュニティーズ・オーガニゼーション(ICO)」の活動は、その実践例と言える。ICOは2016年以来、紛争影響地域に暮らす少数派コミュニティのエンパワーメントに取り組み、教育や能力開発を通じて支援してきた。特に、代表性が低く歴史的に排除されてきた集団の関与を高め、外交対話や地域主導の取り組みに参加できる基盤整備に力を注いでいる。

ICOは12月3日、国連本部において旗艦報告書『私たちの未来のために:国連の協定実施に向けたベストプラクティス』を発表した。これは、各加盟国が「未来のための協定」の目標を実行に移すための実務的指針となる報告であり、バーレーン、ガイアナ、ハンガリー、クウェート、サモア、シンガポール、タジキスタン、ウガンダなど複数の国連常駐代表部が共催した。

同協定は、持続可能な開発、平和と安全保障、そしてグローバル・ガバナンスの再定義に向けた加盟国共通の約束である。しかし、理念を国家・地域レベルの実行に落とし込む過程には依然として大きな隔たりがある。ICOの「ベストプラクティス」報告書は、その知見を政策実装に応用可能な方法論として整理し、各国の意思決定者に具体的指針を示している。

ICO創設者で事務総長のジェームズ・ホームズ氏は、「協定は、国家の強さを軍事力や経済規模だけで測るのではなく、社会の包摂性や、そこに暮らすすべての人々の尊重によってこそ測られるべきだと示しています。少数派、脆弱な立場の人々、歴史的に周縁化されてきた人々をどう扱うかこそ、私たちの進歩の真価であり、協定が成功しているかを測る指標なのです。」と語った。

第76回国連総会議長を務めた ICO 国際大使アブドラ・シャヒド氏も、国家の結束と市民参加の重要性を強調した。「国連未来のための協定は、人類共通の課題に改めて団結して取り組むことを求めています。真の平和は交渉の場だけで築かれるものではなく、地域のコミュニティを力づけ、誰一人取り残さない取り組みを通じてこそ実現されます。」

The launch event of ICO’s flagship report on the UN Pact for the Future at UNHQ in New York. The event was attended by high-ranking UN diplomats. Credit: John Okyo Nyaku/UN

グテーレス国連事務総長が2024年9月の「未来サミット」で述べた言葉も引用された。
「21世紀の課題には、ネットワーク化され、包摂的で、人類すべての知見を活かす21世紀型解決策が必要です。」シャヒド氏は、ICOの報告書はこの理念を体現していると指摘した。

報告書発表の場には、国連加盟国代表や市民社会関係者が多数出席し、協定およびICOの活動に対する支援を表明した。

United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri
United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri

「国連未来のための協定採択から1年が経ち、この議論はまさに機が熟しています。」と、未来のための協定実施担当国連局長テンバ・カルア氏は語った。「世界は採択時より複雑化していますが、協定は依然として多国間主義を支え、地政学的困難を乗り越える羅針盤であり続けています。」

カルア氏はさらに、AIガバナンスに関するパネル設置、カタールでの社会開発、スペインでの開発資金会議など、協定に沿った国連の取り組みを紹介し、事務総長にとっても協定は「戦略的最優先事項」であると語った。

ICOの国連プログラム・マネージャー、ミア・サウジャーニ氏は、報告書で示された結論と提言について説明した。各国には、地域社会の主体性強化と能力育成が不可欠であり、特に紛争環境では、制度や社会構造が急速に変化する現実に適応する柔軟性が求められると語った。

「協定は、特に周縁化されたコミュニティにとって、実現可能な変革の機会です。そのためには、私たち全員の責任ある行動が求められています。」

イベント後、ホームズ氏は各国から寄せられた支援に手応えを感じていると語り、今後さらに多くの国と共同プロジェクトを進める見通しを示した。「少数派コミュニティの支援に焦点を置くことで、ICOは協定実施において大きな役割を果たせます。」

シャヒド氏は、「コミュニティ間の橋渡しが進むほど、国家が外交(いわゆるトラックI外交)を効果的に展開できる。」と語った。

実施にあたっては、島嶼国が直面する特有の課題も共有された。サモアやトンガのような太平洋島嶼国にとって、気候変動やエネルギー問題、そして途上国に不利な国際金融構造は依然深刻である。

トンガ常駐代表ヴィリアミ・ヴァインガ・トネ氏は、「私たち太平洋島嶼国にとって、進展とは言葉ではなく、村々や離島、脆弱な人々が実際に恩恵を感じられる変化なのです。」と語った。

進捗を測定する透明性と説明責任を担保する仕組みも不可欠だと指摘された。

報告書の公表時期は、今年始動した「UN80改革イニシアチブ」と一致する。協定が「何を達成するか」を示すなら、UN80は「どう実行するか」を示すものだ。

サモア常駐代表 ファトゥマナヴァ=オ=ウポルⅢ世 ルテル博士は、「地球規模、国連、地域、国家の各レベルの行動がすべて連動しなければなりません。もはや沈黙の中で個別に動く時代ではありません。構造はつながっており、重複を避け、協力しなければなりません。」と語った。

マラウイ常駐代表アグネス・チンビリ=モランデ博士は、市民が国連の存在意義を問う今こそ、地域社会との信頼関係を再構築する必要があると強調した。「私たちは地域社会のために働いているのであり、自分のためではありません。その声に耳を傾け、私たちの活動が生活に変化をもたらしているかを確かめなければなりません。」と語った。

シャヒド氏は、国連の成功は市民社会との協働にかかっていると指摘した。

パンデミック下での2021~22年の総会議長任期を「希望の議長職」と定義づけ、国際協力を擁護し、総会を幅広い市民社会に開く取り組みを進めたのも同氏である。

UN Photo
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「希望のメッセージは1年で終える必要はありません。ICOは私が地域の家庭レベルで人々に働きかけ、あきらめず前進する力を届けるためのプラットフォームです。」とシャヒド氏は語った。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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デジタル時代におけるZ世代の抗議行動の再定義

【国連ATN=アハメド・ファティ】

私はこれまで、タハリール広場からタイムズスクエアに至るまで、数々の抗議運動を至近距離から見てきた。そこにはある種の“振付け”が存在する。労働者がストに入り、学生が集結し、政党が流入する。指導者が台頭し、逮捕され、あるいは妥協する。その後に訪れるのは疲弊と沈黙、そして次なる周回である。

Ahmed Fathi, ATN
Ahmed Fathi, ATN

しかし、何かが変わった。リズムが狂っている。
新世代―Z世代は抗議の教本そのものを書き換えた。
彼らの運動は、より速く噴出し、より広く拡散し、国家が息を整える前に霧散する。

彼らが構築しているのは革命ではない。
彼らは社会のバグを修正しようとしているのだ。

無視できないパターン

各地の単発事象に見えた動きは、いまや地球規模の反響装置となった。

  • ネパールでは、若者が政府のソーシャルメディア禁止令に抗い、首相を退陣へ追い込んだ。
  • モロッコでは、《GenZ 212》が医療崩壊と格差是正を掲げオンライン運動を展開。
  • マダガスカルの若者は停電抗議のメッセージをアニメ表現に包み込んだ。
  • ケニアではTikTok発の反課税デモが政府を撤退へ追い込んだ。

国は違えど、怒りは共通し、テンポも一致する。
私はこれらを長く追跡し、ひとつの反復法則に気づく。
それは、あまりにも正確すぎる「定型」だ。

デジタル着火 → 怒りの爆発 → 分散型動員 → 世論圧力 → 政府の動揺

自発的にも見える。だが同時に、設計されているようにも見える。

シグナルに潜む疑念

長年取材してきて学んだのは、「あまりに滑らかに拡散する現象を疑う」ことだ。
ここで気がかりなのは、真の声と並走するもうひとつの存在である。

匿名アカウント、瞬時に統一されるハッシュタグ、プロ仕様の動画編集――
草の根もあれば、出自不明の波もある。

政府は「操作」と呼び、
活動家は「デジタル戦略」と呼ぶ。
真実は、例によってその緊張の中間にある。

これは怒りの正統性を否定するものではない。むしろ示しているのは、情報戦と市民動員が融合した現代性だ。
Z世代の抗議は政治であると同時にアルゴリズムでもある。

本物の怒りと演出されたノイズの境界は曖昧になり、
その不確実性を権力側はいま確かに感じ取っている。

抵抗のOS(オペレーティングシステム)

Z世代の運動を特徴づけるのは次の3点である。

  1. 分散性:指導者も階層構造も持たず、逮捕・拘束による鎮圧モデルが成立しないネットワーク型の動員。統合拠点が存在しないため、国家権力は「交渉相手」や「責任主体」を特定できない。
  2. ミーム化:かつて抗議運動が掲げたのは政策綱領だったが、Z世代の言語は皮肉・ユーモア・視覚引用である。短尺動画やTikTokリミックスは、演説よりも共感生成と拡散速度で優位に立つ。
  3. 速度:深夜のDiscord上のチャットが、翌朝には全国規模の集会へと転化する。承認階層と手続に依存する官僚制国家は、瞬発的な動員サイクルに対応できず、結果として速度競争を強いられる。

その背後には、失望がある。
経済停滞、腐敗、そして「生まれた場所が違うだけで未来が変わる」という冷徹な比較認識だ。

Explainer created Notebook LM

弱点:持続性

彼らの強みは俊敏性であり、弱点は持続性である。
組織なき動員は、瞬間的な可視化と世論圧力を生み出すが、その熱量は持続的交渉や制度転換に転化しにくい。制度的器(代表組織・政策要求・交渉窓口)を欠く限り、勝利は法制度や政策に定着せず、勢いは時間とともに拡散・希薄化する。

同時に、AI監視とデジタル浸透技術は急速な高度化を遂げ、国家の対応能力も進化しつつある。
それでも抗議は反復し、大陸規模で同一の動員プロトコル(デジタル着火→ミーム拡散→非中央集権動員→圧力形成)が再生される。各国政府はその都度「突発」と認識するが、実際にはすでに定型化されたサイクルが稼働している。

より大きな視座

Z世代を「未熟」と片付けるのは誤りだ。
彼らは理想主義の担い手というより、機能しない統治システムを前に苛立つ実務者である。
既存制度を継承する意思はなく、リアルタイムで社会OSをデバッグしようとしている。

しかし同時に警戒も必要だ。
拡散する抗議がすべて真正とは限らず、匿名アカウント、急増する運動系サイト、影響力を帯びた“インフルエンサー的指令塔”の背後に、情報工作・PR演算・外部利害が潜む可能性がある。

インターネットは誰にでも拡声器を与えた。
しかしその音声は、ノイズ化し、増幅され、意図的に操作される。

それでも――
火種の一部が設計されたとしても、燃焼している社会的不満は本物であり、延焼は止まらない。

権力への警告

国家は依然として、アプリ禁止やプラットフォーム遮断、個人拘束といった強制措置を行使し得る。
しかし接続性を基盤に育った世代から、結びつきの回路そのものを剥奪することは不可能だ。

Z世代は許可を待たない。
彼らはすでに、いわゆる「安定」の外装を揺さぶることで主導権を握っている。

彼らは未来の担い手ではなく、現在の危機の出資者=株主である。
緊急会議はすでに街頭で開かれている。

これは混沌ではない。
未来がリアルタイムでβテストを実行している過程である。

もしこれらの抗議を単なる騒音と見なすなら――
次の「更新通知」を待つことだ。(原文へ

アハメド・ファティは国連記者、国際情勢アナリスト、American Television News(ATN)編集長。

INPS Japan/ATN

Original URL:https://www.amerinews.tv/posts/gen-z-and-the-new-operating-system-of-protest

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乱立する『国際デー』に歯止め:国連総会、新規記念日制定を一時凍結

【国連IPS/Nepali TImes=タリフ・ディーン】

国連の最高意思決定機関である193か国加盟の国連総会は、日常的に「〇〇の国際デー」を制定してきた。その対象は崇高なテーマから滑稽さすら帯びたものまで幅広く、切迫した国際課題が時に軽薄で奇妙な記念日に変質してしまうことすらある。

記念日には、広く知られる「国際女性デー」や「イスラモフォビアと闘う国際デー」から、「国際月(ムーン)デー」「世界自転車デー」までが含まれる。「世界マグロデー」「世界ミツバチデー」「国際ポテトデー」「世界馬デー」「世界マメ類デー」「アラビアヒョウの国際デー」などもある。

Photo: The UN General Assembly Hall. Credit: Manuel Elias/UN.
Photo: The UN General Assembly Hall. Credit: Manuel Elias/UN.

国連は、365日しかない暦のうち、毎年218もの国際デーを(しかも増加傾向のまま)運用している。

最初期の制定例の一つは、1947年に国連総会が10月24日を「国連デー」と宣言したことだった。この日は国連憲章採択の記念日であり、国連創設を祝う日と定められた。

その後、加盟国は200を超える記念日を提案し、草案決議の形で総会に提出。193か国全体の採決を経て制定が積み重ねられてきた。

しかし、総会の活性化を目的とする新たな決議は、「国際デー、国際週間、国際月間、国際年、国際10年を宣言する提案が著しく増加していることに懸念を表明する」と指摘した。

決議は、第81会期および第82会期の期間中、新規提案の検討を一時停止すると決定した。

さらに決議は、第81会期(2026年)から、総会議長に対し、国際的な記念制定に関する全提案を、議題ごとに1本の決議にまとめるよう要請した。各提案は、制定に特化した独立のオペラティブ・パラグラフ(実施項)として盛り込む形をとる。

international days
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原文へ

INPS Japan/Nepai Times/IPS UN Bureau Report

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中東におけるジェンダー平等とSDG5:前進、政策、そして文化的障壁

【カラチINPS Japan/London Post=ナビル・タヒル】

国連持続可能な開発目標(SDGs)のうち、目標5「ジェンダー平等の達成とすべての女性・少女のエンパワメント」は、最も変革的である一方で、最も実現が難しい目標として広く認識されている。なかでもMENA(中東・北アフリカ)地域ほど、そのパラドックスが鮮明な場所はない。世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ報告書2024」、UNDP「ジェンダー不平等指数2025」、世界銀行「Women, Business and the Law」指標によれば、同地域は依然として経済参加、政治的エンパワメント、法的権利の面で世界最大のジェンダー格差を抱える。だが同時に、過去10年で最も急速な女子教育の進展、大胆な法改正、そして公共圏の言説を刷新するデジタル世代のフェミニスト運動が台頭している地域でもある。|ヒンドゥー語

2015年のSDGs採択以降、MENA地域の女性就業率は世界最低の19%から約24%(2025年、ILO)へ上昇し、とくに湾岸諸国の伸びが著しい。サウジアラビアの「ビジョン2030」は女性就業率を2016年の18%から現在ほぼ36%へと押し上げ、カタールとUAEでは女性が公務員の40%超を占める。法改正も画期的で、サウジアラビアでは2018年の女性運転解禁と2019〜23年の後見制度の段階的撤廃、UAEとバーレーンでの育児・介護法整備とセクハラ防止法、チュニジアの2017年女性暴力防止法、レバノンの2024年国籍継承権改革など、女性の自律を縛っていた可視的障壁が除去されつつある。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

教育は最も顕著な成功領域である。初等・中等教育の男女就学率は0.97を超え、高等教育ではバーレーン、クウェート、カタール、チュニジア、アルジェリア、ヨルダン、レバノン、UAEで女子が男子を上回る。多くの国で30歳未満女性の識字率は事実上「普遍的」である。これらはSDGs目標5.4(無償ケア労働の承認)・5.5(意思決定参画)達成を直接支えるものだが、経済・政治権力への反映は依然として比例しない。

一方で、重要な法的欠陥はなお残る。10カ国が依然として結婚に後見人同意を要求し、7カ国はイスラーム法解釈に基づく不平等な相続規定を維持する。配偶者間性暴力(marital rape)は全面的に犯罪化されていない国もあり、湾岸諸国の個人身分法は離婚、親権、移動の自由における男性優位を制度化したままである。

ただし、最も強固な制約は法制より文化規範である。家族名誉(sharaf)と貞節(‘ird)は法令以上に行動規制力を持ち、多くの社会で「女性は主要な介護者であるべき」とする規範が支配的である。産休制度が整備されても、男性育休は極めて限定的で、ケア労働=女性の役割が再生産されている。アラブ・バロメーター2024によれば、依然として62%が「女性の最重要役割は家庭」と回答(2011年比9ポイント減に留まる)。

進歩的改革は保守反発を誘発し、ジェンダー平等は「西洋由来でイスラームと相容れない」との主張も根強い。しかし、Musawahなどのイスラーム・フェミニズム潮流、アズハル(2023)やアルジェリア高等イスラーム評議会(2024)の進歩的ファトワは、相続、複婚、後見制度、DV禁止をイスラーム法目的(maqasid al-sharia)に沿う正統改革として位置づけ、宗教的正統性を更新している。

今後を左右する決定因は若年人口の規模とデジタル・ネイティブ性である。30歳未満女性は、全てのアラブ国家でInstagram、TikTok、Xを最も利用する層であり、#LanSaktut(レバノン) #Undress522(チュニジア) #IAmMyOwnGuardian(サウジ)はフェミニズムをNGO領域から大衆文化へ押し上げた。激しいオンライン攻撃にもかかわらず、この可視化は逆に影響力を増幅させている。

また、経済要請は理念以上の推進力となっている。湾岸諸国は、人口の半分を労働市場から排除することが競争上の不利であると認識し、McKinseyはジェンダー格差解消が2030年までに2.7兆ドルのGDP押上げ効果をもたらすと試算する。ヨルダン、モロッコ、エジプトはジェンダー予算編成と取締役会クオータ(モロッコ30%、UAE20%)を導入し、ジェンダー平等を社会正義の問題ではなく経済競争力の課題として位置づけている。

SDG5加速には、以下の6つの戦略的行動が不可欠である。

  1. 後見制度撤廃と相続・国籍法の平等化
  2. 配偶者間性暴力の全面刑事化
  3. 手頃な保育・介護・共同育休投資
  4. 初等教育段階からのジェンダー固定観念解体
  5. 農村女性向けデジタル・金融リテラシー拡充
  6. 宗教改革派の正統言説の制度的支援
    アラブ連盟は拘束力ある地域ベンチマークの設定と年次報告を検討すべきだ。

中東は、ステレオタイプ的な「不変の父権体制」でも、北欧型の平等達成に近づいた地域でもない。むしろ急速かつ不均衡な転換期にある。世界最下位のジェンダー格差指標を示す国々が、同時に最速の女子教育進展と最大級の法改革を進めている事実こそが、SDG5の核心である。つまり、文化変容の速度が、法改革や女性自身の期待値に追いついていないのである。

2030年までに完全な平等が達成される可能性は低い。だが、現在の軌道はこれまでで最も明確で、希望を抱かせるものとなっている。もはや問われているのは「変化は起こるのか」ではなく、「若い女性たちのエネルギーを国家、宗教指導者、社会が十分な速度で受け止め、活用できるか」である。(原文へ

Note:This article is produced to you by London Post, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

INPS Japan

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