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|カザフスタン|2026年の中央アジア非核兵器地帯条約の議長国に就任

【アルマトイThe Astana Times=アヤナ・ビルバエワ】

カザフスタンは、中央アジア非核兵器地帯条約(Central Asian Nuclear-Weapon-Free Zone=CANWFZ)の2026年議長国に正式に就任した。条約加盟国による年次協議会合を受けたものだ。

Image:Central Asia Nuclear Weapons Free Zones (CANWFZ) Participation.svg by Allstar86, CC 表示-継承 3.0

会合にはカザフスタン外務省の代表が参加し、各参加国が2025年に実施した活動を検証するとともに、翌年の計画を取りまとめた。

議論はまた、国連の枠組みにおける中央アジア諸国の調整強化にも焦点を当てた。外務省報道局が1月30日に伝えた。

新たな議長国となったカザフスタンは、今年が2006年に署名された「セメイ(セミパラチンスク)条約」の署名20周年に当たることを指摘した。カザフ代表団は、核軍縮・不拡散に関する国際フォーラムでの連携強化の重要性を強調し、核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議や、核兵器禁止条約(TPNW)に関連する取り組みへの関与を挙げた。

中央アジア各国の外務省は、条約の節目を記念する行事を年内を通じて開催する見通しである。

セメイ(セミパラチンスク)条約は、2006年9月8日、当時セミパラチンスクと呼ばれたカザフスタン東部のセメイ市で、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国が署名した。5カ国すべてが批准した後、2009年3月21日に発効した。

Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri
Semipalatinsk Former Nuclear Weapon Test site/ Katsuhiro Asagiri

同条約は、非核兵器地帯条約の中でも独自性が高いとされる。核兵器実験や軍事目的のウラン採掘が行われてきた地域において、北半球で初めての非核兵器地帯を創設したためだ。さらに、この非核兵器地帯は2つの核兵器国(=ロシアと中国)と最長の陸上国境を共有しており、世界の不拡散努力における戦略的・象徴的意義を際立たせている。(原文へ

INPS Japan

Original URL: Kazakhstan Takes Chair of Central Asian Nuclear-Weapon-Free Zone for 2026 – The Astana Times

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イランでいま起きている変化―富の偏りを強める政策と、異論を封じる動き

【ロンドンLondon Post=シャブナム・デルファニ】

こここ数カ月のイランでは、政府が経済に強く関与する政策が続き、結果として一部の大企業や富裕層に利益が偏りやすい状況が強まっている。動きは行政府にとどまらない。議会、司法、政策決定に関わる機関、国営放送、さらに改革派・保守派双方の支持層が支えるメディアまでが、こうした政策を支える構図がうかがえる。

同時に、政府の経済運営を批判する立場、特に「生活の公平」や「公的支援の必要性」を重視する見方に対して、政治的な攻撃が強まっている。批判者は「左派」や「共産主義者」などのレッテルで語られ、政策の見直しを求める議論が社会に広がりにくい環境が形づくられている。

Map of Iran
Map of Iran

最近は、社会不安や抗議行動が起きるなかで、政府の広報組織が、現行の経済政策を正当化する説明をいっそう強めたとも伝えられた。注目すべきは、政府が経済への関与を強める一方で、政治の場では同時に「国の役割を小さくし、権限を地方へ移すべきだ」という議論も勢いを増している点である。国が価格や通貨の仕組みに強く関与しながら、統治の権限は地方へ分散させる―この二つが並行して進めば、中央の統治力や公共サービスの担い手としての信頼が揺らぎ、社会の一体性が弱まる方向に働く可能性がある。

さらに、新しい政党も相次いで登場し、政治勢力が富の配分や利権をめぐって競い合う構図が強まっているように見える。

著者は、こうした一連の動きの背景に、国内の有力者たちが将来の政権変動や国の進路変更を恐れ、複数の「出口」を同時に用意している事情があるとみる。想定されている道筋は、大きく三つだという。
第一は、強い権限を持つ新しい指導者を前面に出し、反対意見を力で抑える道。
第二は、国のまとまりを少しずつ弱め、中央政府の統治力が及びにくい状態を広げていく道(軍事衝突ではなく、政治と経済の運びで国がばらばらになりやすい状態を作る)。
第三は、選挙を通じて政権を取り直し、欧米との関係改善を前面に出して国の方針を変える道である。

生活を直撃する経済政策の連続

著者が最も問題視するのは、短期間のうちに、生活に直結する価格や為替の仕組みが一気に変えられた点である。具体的には、次の三つが重なって起きた。
(1)通貨の価値が急に下がり、輸入品を中心に物価が上がりやすくなった。
(2)食料や医薬品など生活に欠かせない品目に対する優遇措置が縮小・撤廃され、家計負担が増えた。
(3)燃料や電力などの価格が上がり、暮らしと企業活動の両方に広く負担が広がった。

この変化は、一般の国民にとっては生活費の増大を意味する一方で、外貨を持つ人や輸出で収入を得る大企業には有利に働きやすい。国の政策が結果として「持つ側」と「持たない側」の差を広げる方向に動いている、というのが著者の見方である。

人々の生活不安が、社会全体の不安定化につながる

物価が急に上がると、国民の購買力は急速に落ちる。生活が厳しくなれば、人々は将来への不安を強め、社会の不満は高まる。だが同時に、生活維持に追われるほど、長期的に政治参加を続ける力は弱まりやすい。著者は、この状態が広がると、抗議が衝動的で不安定な形になったり、逆に社会があきらめムードに沈んだりして、政治の安定を支える土台が崩れやすくなると指摘する。

中央政府が「役に立たない」と見なされる危険

物価上昇は政府の支出も押し上げ、財政を苦しくする。財政が厳しくなると、公共サービスや支援策を十分に維持できなくなる。すると政府は、国民から「暮らしを守れない」「説明が信用できない」と見なされ、統治への信頼が低下する。著者は、その結果として「痛みを伴う改革は避けられない」「大きな決断しかない」といった言い方が広がり、国民に負担を押しつける政策が通りやすくなるとみている。

輸出企業や金融部門が「中央に頼らない」構図を強める

一方で、輸出で外貨を得る大企業や、外貨取引に関わる金融部門は、こうした状況で利益を得やすい。外貨で稼ぎ、外貨で資産を持てば、国内通貨の価値が下がるほど有利になる側面がある。著者は、こうした勢力が中央政府の監督を嫌い、「自由な市場」を掲げて国の関与を弱める方向に動くと指摘する。

それが進むと、地方の行政が有力企業や資産家の影響を強く受け、地域の経済や雇用が特定勢力に握られやすくなる。国全体としての統一的な政策より、地域ごとの利害が優先されやすくなり、国のまとまりが弱くなる恐れがある。

外からの圧力が効きにくくなり、国内で「危機」を作る方向へ

著者は、従来は制裁や外部からの圧力が、国内政策を正当化する理由として使われてきたとみる。しかし最近は、外部からの圧力が以前ほど決定的な効果を持たなくなり、むしろイランが中国やロシアとの関係を強める要因になっているという。そのため、外の圧力に依存した説明が通用しにくくなり、代わりに国内で危機感を高める政策が使われるようになった、というのが著者の問題意識である。

異論を封じる攻撃が、政策の代替案を狭める

こうした流れの中で、生活の公平さや公共サービスを重視する立場が攻撃されるのは、単なる言い争いではないと著者はいう。国の政策を別の方向に変える選択肢を、最初から狭める効果を持つからだ。批判者が「危険な考えの持ち主」として扱われれば、政策の見直しを求める声は弱まり、同じ方向の政策が続きやすくなる。

Prof.Shabnam Delfani 
著者の結論――危険な流れを止めるには

著者は、このままでは国民生活の悪化、中央政府への不信、地方への権限移転を利用した統治の弱体化が重なり、軍事衝突がなくても国が不安定化する危険があると警告する。

その上で、危機を避けるために必要なのは、生活に直結する要求を軸に幅広い社会的な動きを作り、無秩序な暴発を防ぎ、政策転換の必要性を丁寧に説明し、選挙を含む政治的手段を閉ざさないことだと述べる。狙いは、特定の有力者に富が集中する流れを止め、国全体のまとまりと生活の安定を回復することにある。(原文へ

INPS Japan

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パリ協定からの米国離脱、世界の気候脆弱性を一段と深める

【国連IPS=オリトロ・カリム】

1月27日、米国は2015年に採択された国際条約「パリ協定」から正式に離脱した。パリ協定は、地球温暖化の抑制と、各国が気候変動の影響に備える強靭性(レジリエンス)の向上を目的とする。トランプ政権が1年にわたり規制を後退させ、連邦レベルの気候政策の解体を進めてきた流れの中での離脱であり、国際的な気候対策を弱めるとみられる。環境劣化や生物多様性の損失を加速させ、健康と安全、さらには長期的な開発にもリスクを広げるなど、影響は広範に及ぶ可能性がある。

パリ協定は採択以来、世界の気候行動を推進する中核的枠組みとして機能してきた。各国に対し、温室効果ガス排出の削減、再生可能エネルギーの拡大、適応策の強化、脆弱なコミュニティの保護を促してきたほか、排出削減目標の定期的な更新と、その実施計画の提出を義務づけている。こうした仕組みにより、国際的な取り組みの継続と透明性の確保、各国間の情報共有が支えられてきた。

アムネスティ・インターナショナルは、ドナルド・トランプ政権の一連の措置が、「主要な多国間・二国間の気候関連機関やプログラム」への資金を打ち切る方向に向かうおそれがあると警告した。その影響は米国にとどまらず、国際社会全体に及ぶ可能性があるという。さらに同団体は、米国による国際連合(UN)機関への資金拠出がまもなく停止する見通しで、気候の影響を受けやすいコミュニティへの生命に関わる支援が途絶えるほか、気候の監視・観測や、排出削減(緩和)に向けた重要な取り組みが中断しかねないと指摘している。

具体的には、米国の離脱により、気候変動に起因する避難・移住、災害復旧、インフラ再建への国際的な取り組みが弱体化する可能性がある。支援の縮小は、気候被害が拡大するなかで途上国のコミュニティの脆弱性を高め、気候による損失の負担がより重くのしかかると見込まれている。

離脱前から、国際連合は深刻な資金危機に直面していた。米国が通常予算の義務的分担金の未払いを続け、対外援助も大幅に削減してきたため、危機は一段と深まっている。さらに米国は、気候災害に直面する脆弱なコミュニティを支える重要な枠組みである国連の「損失・損害基金(FRLD)」の理事会からも離脱した。従来約束していた1750万ドルの拠出も不透明で、基金の運用に支障が出るとの懸念が強まっている。

Photo Credit: climate.nasa.gov
Photo Credit: climate.nasa.gov

今回の離脱により、米国はパリ協定の歴史上、唯一の離脱国となる。協定の締約国ではない国は、イラン、リビア、イエメンなど少数に限られる。気候交渉の主要アクターである米国が離脱したことで、他の富裕国に拠出拡大を促す外交的圧力が弱まる可能性もある。

アムネスティ・インターナショナルで気候正義と企業責任を担当するプログラム・ディレクターのマルタ・シャーフ氏は、「米国のパリ協定離脱は、いわゆる『底辺への競争(レース・トゥ・ザ・ボトム)』をあおりかねない不穏な前例だ。ほかの主要な国際気候枠組みからの離脱と相まって、気候行動をめぐる国際協力の仕組みを解体しようとする動きだ」と述べた。その上で同氏は、「米国は気候対策に後ろ向きな有力勢力の一つにすぎない。しかし影響力ある超大国として、化石燃料への回帰を促す圧力を各国や有力アクターにかけることは、とりわけ大きな害をもたらす。協定の下で10年以上積み上げてきた世界の気候対策の前進を後退させかねない」と付け加えた。

U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo
U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo

これに対し、国連事務総長報道官のステファン・デュジャリック氏は、「気候変動対策は続ける。公正な移行に向けた取り組みも継続する。とりわけ最も脆弱な国々に対し、排出削減(緩和)と適応のための資源を拡充する努力を続ける。この点で、私たちの取り組みが揺らぐことはない」と述べた。

1月22日には、国連環境計画(UNEP)が年次報告書「自然のための資金の現状(State of Finance for Nature)」を公表した。自然に基づく解決策(NBS)への世界の資金の流れを分析したもので、気候や自然を損なう活動への投資が、生態系の保全・再生への投資のおよそ30倍に上ると指摘した。

UNEPの推計によれば、環境を損なう資金の約7割は民間部門による一方、環境保護に向かう資金は1割程度にとどまる。2023年には、環境に有害な世界の活動に約7・3兆ドルが投じられ、そのうち約4・9兆ドルが民間、約2・4兆ドルが公的部門によるものだった。化石燃料利用の促進をはじめ、農業、水、輸送、建設分野への支援を最大化する性格を持つという。

これに、ドナルド・トランプ大統領が掲げる「掘れ、掘れ、掘れ(drill, baby, drill)」政策の復活が重なることで、世界の気候対策はさらに揺らぐ見通しだ。化石燃料依存を加速させ、排出削減目標の達成を損ない、緊急の適応と生態系回復に必要な資金ギャップを一段と拡大させる可能性がある。

ジェレミー・ウォレス氏(ジョンズ・ホプキンズ大学・中国研究)は、米国が化石燃料依存を深めることは国際社会に「気候目標の水準を引き下げてもよい」というシグナルを送ると記者団に語った。その結果、他の主要排出国が、より控えめなエネルギー転換や、より低い排出削減目標を選択することを後押ししかねないという。

たとえば中国は近年、今後10年で温室効果ガス排出を7~10%削減するにとどまる目標を掲げたが、気候専門家からは野心が不足し、世界の削減目標に照らして不十分だとして広く批判されている。

バサブ・セン氏(政策研究所(Institute for Policy Studies)・気候正義プロジェクト)は「米国内市場が(彼の言う)権威主義的な政府の命令によって化石燃料に支配され続けるなら、その影響は世界に及び続ける」と述べた。さらに、化石燃料の生産・輸出に依存する低所得国が移行を進めるのは、米国が資金拠出をしない姿勢を示すなかで、いっそう難しくなると指摘した。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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米「平和委員会」は国連を弱体化させる狙いか

【ニューヨークIPS=タリフ・ディーン】

ホワイトハウスから発せられる相反するシグナルを踏まえると、ドナルド・トランプ大統領が創設した「平和委員会(Board of Peace)」は、最終的に国連安全保障理事会、ひいては国連そのものを置き換えることを狙っているのだろうか。

トランプ氏は先週、スイス・ダボスでの式典で同委員会の憲章を正式に批准し、「公式の国際機関」として設立した。トランプ氏が委員長を務め、創設メンバーとして「ガザに、住民にとって永続的な平和、安定、機会をもたらす安全で繁栄した未来を築くことにコミットした各国代表」が参加したとされる。

米「インスティテュート・フォー・パブリック・アキュラシー(Institute for Public Accuracy)」事務局長で、RootsAction.org全国ディレクターのノーマン・ソロモン氏はIPSの取材に対して、トランプ氏の「平和委員会」は、2003年のイラク侵攻に正統性を与えようとした「有志連合」に類似する「グローバル同盟」として設計されていると語った。

ソロモン氏によれば、トランプ氏は自らの指導に従う政府を取り込み、支配と略奪のために世界を一層「戦争の方向」へ押しやっているという。同氏は、加盟国が支払う代償は各国が負担する「10億ドル超」とされる加盟費をはるかに上回るとし、トランプ氏の手法を「世界的なギャングのような振る舞い」になぞらえた。

「同時に、彼の手法は透明でもある。世界のできる限り多くを米国が支配するための新たな仕組みを作ろうとしているのだ。」

War Made Invisible: How America Hides the Human Toll of Its Military Machine
War Made Invisible: How America Hides the Human Toll of Its Military Machine

トランプ氏は、米国が経済的・軍事的な影響力を得るためのアジェンダを覆い隠す「二重話法(ダブルスピーク)」の境界を押し広げ続けている、とソロモン氏はみる。アンクル・サムが発するメッセージの骨子は、「もう“いい人”ではない」ということだ。

著書『War Made Invisible: How America Hides the Human Toll of Its Military Machine』の著者でもあるソロモン氏は、歴代の大統領が二枚舌や高尚な美辞麗句で実際の優先事項を覆い隠してきた一方、トランプ氏は婉曲表現を捨て去り、「米国政府こそ世界の光であり、他の国々は皆その後ろに並ぶべきだ」という考えを露骨に示していると述べた。

一方、国連のステファン・デュジャリック報道官は先週、記者団から「平和委員会」について問われ、次のように述べた。

「はっきりさせよう。われわれは安保理決議2803の完全実施を確実にするため、できる限りのことを行う。ご承知の通り、この決議はガザのための平和委員会の創設を歓迎した。」

U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo
U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo

同氏はまた、同決議とトランプ大統領が提示した計画の一部として、国連が人道支援物資の配送で主導的役割を担うことになっていると説明した。

「ガザには大規模な人道支援を届けてきた。許される範囲で可能な限りやってきた。制約についても話してきたが、停戦以降、どれだけ多くのことができるようになったかはご存じの通りだ。その一環として、われわれは米当局と非常に良好に協働してきた。今後もそうする。」

デュジャリック氏は、国連は普遍的加盟を有する唯一の国際機関であるとも改めて強調した。

「ダボスでの発表はもちろん見た。事務総長の仕事は、国際法と国連憲章に支えられ、われわれに与えられた任務を実行するために、引き続き断固として続いている。つまり、われわれの仕事は続く」

国連のロゴと「平和委員会」のロゴが似ている点について問われると、同氏は著作権や商標の侵害は見当たらないと述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の国連担当ディレクター、ルイ・シャルボノー氏は先週公表した声明で、米国は国連設立で主導的役割を果たした一方、いまトランプ大統領が国連の大部分を弱体化させ、資金を断っていると指摘した。

United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri
United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri

同氏によれば、この1年、米政府はトランプ政権が国連を「反米的」で「敵対的なアジェンダを持つ」組織だとみなしているため、国連のプログラムや諸機関に「大ハンマー」を振り下ろしてきた。

国連交渉では、米当局者が決議や声明から「ジェンダー」「気候」「多様性」といった言葉を排除しようとしてきたともいう。外交官らはHRWに対し、米当局者が「woke(意識高い系)」あるいは政治的に正しいとみなす人権関連の文言に、攻撃的に反対していると語った、とシャルボノー氏は述べた。

シャルボノー氏は、国連安保理を脇に追いやろうとする見え透いた試みとして、トランプ氏が自ら議長を務める「平和委員会」を提案したと指摘する。さらにトランプ氏は、ベラルーシ、中国、ハンガリー、イスラエル、ロシア、ベトナムなど、抑圧的な政府の指導者に議席を提示したと報じられているという。

もともと「平和委員会」は、イスラエル軍による2年以上に及ぶ攻撃と破壊の後、ガザの統治を監督するためのものとされた。米国はその行為に加担していた、とシャルボノー氏は述べる。ところが、委員会の憲章にはガザへの言及すらなく、当初の構想以降、この組織をめぐるトランプ氏の野心が著しく拡大したことを示唆しているという。

Louis Charbonneau, United Nations Director, HRW

同憲章案には人権への言及がない。さらに、委員長であるトランプ氏が「決議その他の指令を採択する」最高権限を、自身の判断で行使できることが明確にされている、とシャルボノー氏は警告した。

「平和委員会」の議席は安くない。加盟費は10億ドルである。フランスのエマニュエル・マクロン大統領のように、すでに参加の提案を拒否した例もある。トランプ氏はこれに対し、仏産ワインやシャンパンへの関税を大幅に引き上げると脅した。

シャルボノー氏は、国連システムには問題があるとしつつも、「世界版ポリトビューロー(政治局)」よりはましだと述べた。「トランプ氏の委員会に加わるために何十億ドルも払うのではなく、各国政府は国連が人権を守る能力を強化することに注力すべきだ。」

ソロモン氏はさらに、「平和委員会」構想全体が、危険な茶番であり、今世紀に入って経済面ではすでに大きく崩れた単極世界を再構築しようとする試みだと述べた。

Donald Trump, President of the United States of America, addresses the general debate of the General Assembly’s eightieth session in 2025. Credit: UN Photo/Evan Schneider.
Donald Trump, President of the United States of America, addresses the general debate of the General Assembly’s eightieth session in 2025. Credit: UN Photo/Evan Schneider.

同氏はまた、共和党が議会で多数を占める中でのトランプ氏のアプローチについて、「犯罪性を帯びた手法」として批判し、米軍の力によって裏打ちされていると指摘した。これまで以上に、米国の外交政策が世界に提供しているものは、ギャング的ふるまい、恐喝、脅迫であり、ときに国際法の外観すら粉砕する軍事攻撃へと転じる「大規模暴力の脅し」だ、という。

同氏は、今世紀のすべての米大統領が、従来通り実際の国際法を無視し、軍産複合体の好みを外交政策に置き換えてきたと批判する。トランプ氏はその政策を、恥じることなく極端な形に押し進め、ジョージ・オーウェルのディストピア的信条「戦争は平和なり(War Is Peace)」に露骨に従いながら、建設的な国際秩序の残滓を破壊しようとしている、と述べた。

前例として、インドネシアのスカルノ大統領が国連を脱退し、代替として「新興勢力会議(CONEFO)」を立ち上げようとしたことがあった。しかし、スカルノ氏の後継であるスハルト氏がインドネシアの国連参加を「再開」し、この試みは長続きしなかった。国連に永続的な害は生じなかった、とソロモン氏は指摘する。

Farhan Haq, UN Deputy Spokesperson. Photo: UN
Farhan Haq, UN Deputy Spokesperson. Photo: UN

国連のファルハン・ハク副報道官は、追加の説明として記者団に対し、「平和委員会」はガザでの活動についてのみ、安保理によって権限付与されていると述べた。

「厳密にガザについてのものだ。ここ数日、メディアで取り上げられているような、より広い活動や側面について話しているのではない。われわれが話しているのはガザにおける活動である」

「われわれはガザの停戦と、それを支える措置―平和委員会を含む―を歓迎してきた。停戦が維持されるよう、現地のすべての当事者と引き続き取り組む。これはガザについての話だ。」

一方でハク氏は、より大きな側面については、この枠組みに参加したい者が検討すべき事柄だとした。そのうえで、国連には独自の憲章とルールがあり、両組織を比較することは可能だと述べた。

「国連はこれまでも数多くの組織と並存してきた。地域機構もあれば、準地域機構もある。世界にはさまざまな防衛同盟もある。関係協定を結んでいるものもあれば、そうでないものもある。」

「平和委員会が実際に設立され、どのようなものになるのか、詳細を見極めたうえで、われわれがどのような関係を持つことになるのかを判断する必要がある。」

先週ジュネーブで行われた署名イベントの参加者には、次の面々が含まれていた。

  • バーレーン:イサ・ビン・サルマン・ビン・ハマド・アル・ハリーファ(首相府長官)
  • モロッコ:ナセル・ブリタ(外相)
  • アルゼンチン:ハビエル・ミレイ(大統領)
  • アルメニア:ニコル・パシニャン(首相)
  • アゼルバイジャン:イルハム・アリエフ(大統領)
  • ブルガリア:ローゼン・ジェリャズコフ(首相)
  • ハンガリー:ビクトル・オルバン(首相)
  • インドネシア:プラボウォ・スビアント(大統領)
  • ヨルダン:アイマン・アル・サファディ(外相)
  • カザフスタン:カシムジョマルト・トカエフ(大統領)
  • コソボ:ヴィヨサ・オスマニ=サドリウ(大統領)
  • パキスタン:ミアン・ムハンマド・シェhbaz・シャリフ(首相)
  • パラグアイ:サンティアゴ・ペニャ(大統領)
  • カタール:ムハンマド・ビン・アブドゥルラフマン・アル・サーニ(首相兼外相)
  • サウジアラビア:ファイサル・ビン・ファルハーン・アル・サウード(外相)
  • トルコ:ハカン・フィダン(外相)
  • UAE:ハルドゥーン・ハリーファ・アル・ムバラク(対米特使)
  • ウズベキスタン:シャフカト・ミルジヨエフ(大統領)
  • モンゴル:ゴンボジャビン・ザンダンシャタル(首相)

カナダ、フランス、ドイツ、イタリアを含む欧州諸国など、多くの国は署名に参加しなかった。招待を明確に拒否した国もある。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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カザフスタン―アゼルバイジャン間フェリー、2026年前半に運航開始へ

【ローマThe Astana Times=ナジマ・アブォヴァ】

カスピ海で、カザフスタン西部のクルィク港とアゼルバイジャンのアラト港を結ぶフェリー航路が、2026年に開設される見通しとなった。貨物取扱量の拡大と地域の海上連結性強化が期待されるとして、カザフスタン国営通信カジンフォルムが12月23日に報じた。

マンギスタウ州のヌルダウレト・キリバイ州知事(アキム)は、中央コミュニケーション・サービスでの会見で、「2026からジョージア側の企業と協力し、クルィク港とアラト港の間でフェリー6隻の就航を計画している。すでに2隻がカスピ海に入り、2026年前半に運航を開始する。その後は毎年2隻ずつ追加し、2028年までに6隻すべてが運航する。」と語った。

キリバイ知事は、この取り組みがカザフスタン独自のフェリー船隊の形成につながるほか、貨物量の増加と、カスピ海域の海上輸送の発展を後押しするとの見通しを示した。

また、中国から中央アジアとカスピ海経由で欧州までを結ぶトランス・カスピ国際輸送ルート(TITR、ミドル・コリドー)について、今年マンギスタウ州を経由する貨物輸送は前年比20%増の250万トンに達したという。

運航会社セムルグ・インベストは船隊を2027年までに6隻へ拡充する計画で、今年は積載能力7000トンの船舶1隻を同ルートに追加投入した。

マンギスタウ州では新港の建設も計画されている。着工は2026年で、投資協定は最終段階にあり、2025年内または26年初めの署名が見込まれる。建設は2026年第2四半期に開始予定で、港湾用地はすでに指定され、登録手続きが進められている。

新港整備は、中国、カザフスタン、アクタウ、バクー、ポティを経て欧州へ至る新たな国際輸送回廊の形成を後押しすると期待されている。

トランス・カスピ国際輸送ルート(TITR、ミドル・コリドー)

INPS Japan/The Astana Times

Original URL: https://astanatimes.com/2025/12/ferries-between-kazakhstan-and-azerbaijan-to-launch-in-2026/

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トカエフ大統領が懸念する「核の脅威の増大」はどこまで正当化されるのか

【ロンドンLondon Post=ラザ・サイード】

国際安全保障と中央アジア地政学を取材する立場から、また、ソ連時代にセミパラチンスク核実験場の被害を受け、1990年代に世界第4位規模の核兵器を自発的に放棄したカザフスタンの経験に照らせば、カシム=ジョマルト・トカエフ大統領が繰り返し発してきた「核の危険が高まっている」との警告は、十分に正当化される。カザフスタンは450回を超える核爆発を経験し、長期にわたる環境破壊や健康被害、社会的トラウマを抱えてきた。この歴史は、核不拡散を訴えるうえで同国に道義的な重みを与えている。|ヒンドゥー語版タイ語英語

Map of Kazakhstan
Map of Kazakhstan
Central Asia Nuclear Free Zones
Central Asia Nuclear Free Zones

トカエフは一貫して核リスクの高まりに警鐘を鳴らしてきた。とりわけ2025年9月の国連総会演説では、軍備管理条約体制の崩壊に強い懸念を示し、破局を回避するため核保有国間の高官級対話を呼びかけた。さらに同年12月、東京の国連大学での講演では、世界の安全保障を核抑止に依存させることはできないと改めて強調し、日本と共有する核の惨禍を踏まえつつ、核の脅威を低減するための多国間行動を訴えた。
カザフスタンの立場から見れば、これらの懸念は扇情的な警鐘ではない。ロシアと中国という核大国に隣接し、経済的相互依存を抱えつつ、核不拡散条約(NPT)や中央アジア非核兵器地帯条約(セミパラチンスク条約)にコミットしてきた国としての現実に根差すものである。

世界の核情勢も、トカエフの警告を裏づけている。2025年には、誤算や意図的使用の危険を高める具体的なエスカレーションが顕在化した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の『年鑑2025』によれば、核兵器保有9カ国の核弾頭総数は約12,241発にのぼり、そのうち9,614発が軍用備蓄に含まれる。さらに、軍備管理体制が弱体化するなか、各国は一斉に核戦力の近代化を進めている。これは、冷戦後の削減局面から、新たな軍拡競争へと転じつつあることを示している。

Bulletin President and CEO Alexandra Bell moves the minute hand on the Doomsday Clock. (Image by Jamie Christiani)
Bulletin President and CEO Alexandra Bell moves the minute hand on the Doomsday Clock. (Image by Jamie Christiani)

また、「原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)」は2026年1月、終末時計を「午前零時まで85秒」に進め、史上最短とした。理由として核リスクの高まりを挙げ、ウクライナなどの紛争における核使用を示唆する発言の増加にも警鐘を鳴らしている。

東西の架け橋を自任するカザフスタンにとって、この趨勢は地域の安定そのものを脅かしかねない。セミパラチンスク核実験で放射線が土地と人々を世代を超えて汚染した記憶は、いまも国家の安全保障観に強い影響を及ぼしている。トカエフが提唱する「生物学的安全保障・安全に関する国際機関(International Agency for Biological Safety and Security)」構想も、威嚇ではなく信頼醸成を優先する、こうした国際的潮流への実務的対応として理解できる。

Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0
Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0

正当化の最大の根拠は、軍備管理の枠組みが崩れつつある点にある。米露の戦略核を法的に制限する最後の拘束的枠組みである新戦略兵器削減条約(New START)は、2026年2月5日に期限を迎える見通しだ。ロシアは2023年に条約履行への参加を停止し、査察やデータ交換は中断された。米国も同様に運用上の対応を取り、検証の仕組みは機能不全に陥っている。プーチン大統領が2025年9月に、上限を自主的に1年間延長する案を提起したとも報じられたが、現時点で合意枠組みは確立していない。

2019年の中距離核戦力(INF)全廃条約の失効や、オープンスカイ条約をめぐる一連の後退に続くこの流れは、不透明性を高め、危機管理を難しくする。透明性が失われれば相互不信が強まり、近代化競争を加速させかねない。SIPRIが指摘するように、核保有国は例外なく戦力を更新しており、とりわけロシアと米国が世界の核弾頭の約9割を占める。

カザフスタンから見れば、この枠組みの弱体化は、近隣に冷戦期のような不安定さを呼び戻しかねない。核放棄を選択した背景には、安全保障上の保証と多国間規範への信頼があった。しかし、その前提が揺らぎつつある。トカエフが2025年のアスタナ国際フォーラムなどで訴えた対話再開の呼びかけは、こうした空白を埋めようとする試みである。超大国間の緊張が続くなか、透明性の低下は誤算の余地を広げ、事故やエスカレーションを通じた核使用リスクを押し上げる。多国間規範に依拠してきた旧ソ連圏国家として、こうした後退はとりわけ切実であり、代理戦争や核を伴う威嚇の余波が中央アジアに及ぶ可能性も高まる。

ウクライナ戦争におけるロシアの核を伴う威嚇は、こうした懸念の現実味を示す具体例である。戦争は2026年に入って4年目を迎え、ロシアは西側の支援を抑止する狙いで戦術核に言及するなど、核をちらつかせる発信を繰り返してきた。さらに2023年には、核不拡散条約(NPT)上の非核兵器国であるベラルーシに非戦略核戦力を配備し、核態勢の外縁を広げた。2025年には言辞が一段と強まり、10月に核動力巡航ミサイルを試験したとの報道や、ノヴァヤゼムリャでの核実験再開をめぐる議論が伝えられた。加えて、核保有国に支援された通常戦力の脅威を想定し、核使用の敷居を下げる方向でドクトリンを見直したとの指摘もある。NATO領域へのドローン侵入が欧州の警戒を高めるなか、米側の評価では、ロシアは「存在的脅威」と認識した場合に「受け入れがたい損害(unacceptable damage)」を与え得る能力を誇示しようとしているという。

こうした動きは、核の威嚇を日常化し、使用タブーを侵食する。核の規範を研究してきたニーナ・タンネンウォルドは、この戦争が規範的制約を「深刻に損なった」と論じている。ロシアと約7,600キロの国境を接し、集団安全保障条約機構(CSTO)を通じて結びつくカザフスタンにとって、これは実存的問題である。エスカレーションは、セミパラチンスクを想起させる放射線影響の危険を生み、エネルギー連携や中立外交にも打撃を与えうる。トカエフが第8回世界伝統宗教指導者会議などで繰り返してきた警告は、「核戦争の確率が数十年で最も高い水準にある」とする専門家の見立てとも重なり、緊張緩和を促すカザフスタンの働きかけを正当化する。

Group photo of delegates. Photo credit: Akorda
Group photo of delegates. Photo credit: Akorda

第二の重要な根拠は、中国の核戦力が急速に拡大している点にある。2024年半ばまでに中国の核弾頭数は600発を超え、2019年の約300発前後から倍増したとされる。さらに2030年までに1,000発を超え、2035年に向けても増勢が続くとの見立ても示されている。中国は運搬手段の「三本柱(トライアド)」を整備しつつ、複数のサイロ建設や新拠点の整備も進めていると報告されている。

米国防総省などは、こうした増強が大国間競争のもとで中国の能力を多様化させ、米露との間で軍拡の連鎖を生みかねないと指摘する。能力の拡充は対抗措置を誘発し、偶発的なエスカレーションのリスクを高める。アジア太平洋の緊張が高止まりするなかで、危機管理の難度は増している。

London Post
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中国と約1,700キロの国境を接するカザフスタンにとって、これは直接のリスクである。米中、あるいは中露の緊張が地域に波及すれば、多角外交(マルチ・ベクトル外交)やウラン輸出にも影響が及び得る。トカエフが東京での講演で強調した「完全軍縮」や、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進は、核実験再開の動きを抑える観点からも、この流れに歯止めをかける提案と位置づけられる。加えて、中国を含む大国によるミサイル技術の拡散をめぐる懸念(イランや北朝鮮との関係を含む)がくすぶることも、地域の不安定化要因として、核の過去を持つカザフスタンの「ゼロ容認」姿勢を補強している。

カザフスタンが軍縮の提唱国であると同時に、原子力の平和利用を進める国でもある点は、トカエフの主張の信頼性を高めている。国際原子力機関(IAEA)の低濃縮ウラン(LEU)バンクを受け入れ、非核兵器地帯の拡大を促してきた同国は、抑止ではなく協力を通じた安全保障のあり方を示してきた。他方、国内では原発建設計画が議論されており、厳格な保障措置の確保が不可欠となる。世界的に軍事化の潮流が強まるなかで、現実の安全保障と国際規範の両立を図ろうとする姿勢も浮かび上がる。こうした「被害国から先導国へ」という位置づけは、かつて自国が経験した核リスクの再来を警告する根拠ともなっている。

結論として、トカエフの懸念は正当であるだけでなく、緊急性が高い。条約体系の弱体化、ウクライナ戦争におけるロシアの核を伴う威嚇、中国の核戦力の急拡大は、核リスクが増大していることを示す具体的要因である。世界が分断へ傾くなかで、中堅国カザフスタンは理性に基づく対応を訴える。対話の再建、NPT体制の補強、そして軍備ではなく平和への投資―それが同国の呼びかけだ。これを単なる外交辞令として退ければ、2025年に顕在化した緊張の連鎖と、終末時計が示す危機感を過小評価することになる。求められているのは、警告を受け止め、実際の行動につなげることだ。対応が遅れれば、トカエフが指摘する危機は不可逆的な局面に入りかねない。(原文へ

This article is produced to you by London Post in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC. 

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労働搾取に挑み、すべての菓子で環境保護を掲げるベーカリー

飲食店での搾取経験を踏まえ、パトリシア・フィゲロアは、適正な労働条件と環境配慮にこだわるプロジェクトを立ち上げた。

【メキシコ市INPS Japan=ギレルモ・アヤラ・アラニス】

菓子づくりは創造性と情熱がものを言う営みだと語られがちだ。だが、この業界の労働環境が注目されることは多くない。長時間労働や低賃金、権利の侵害が起きることもある。|英語版中国語ポルトガル語インドネシア語スペイン語

6年前、フランスとメキシコの高級レストランで10年以上の経験を積んだパティシエ、パトリシア・フィゲロアは、社会と環境に配慮したデリバリー型のパティスリー事業を立ち上げた。材料は「メキシコ産100%」にこだわる。国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、目標8「働きがいも経済成長も」に通じるディーセント・ワーク(適正な労働)と、目標12「つくる責任 つかう責任」に通じる責任ある生産と消費を柱に据える。

「『Ñam(ニャム)』は新型コロナのパンデミックのさなかに生まれた。私はレストランでパティシエをしていたが、辞職届に署名するよう求められた。これまでの職歴でも、権利を認められないまま長時間働かされ、賃金も低い―そんなことが少なくなかった。だから思った。なぜ、こんなに好きな仕事が、こんな形でしか成り立たないのか。変えられるなら、変えていこう、と。」

この経験を転機に、彼女は製造のあり方だけでなく、働き方そのものを見直した。注文が増える時期には、スタッフを正式な手続きを踏んで雇用するという。「契約書に署名してもらい、法律に基づき必要なことはすべて説明する」。労働搾取の連鎖を自らの事業で再生産しないための「約束」だとしている。

メキシコの風味を、ケーキとペストリーに

このプロジェクトの倫理的な姿勢は、商品づくりにも反映されている。Ñamは受注生産を基本とし、食品ロスを抑えながら鮮度も保つ。メニューには、イチゴとホワイトチョコレート、ハイビスカスを組み合わせたケーキや、赤ワインを効かせたピンクグアバのチーズケーキ、バジルを添えたマンゴームースなど、印象的な組み合わせが並ぶ。

Mango and Basil Tart. Credit: Paulina Figueroa Garduño (@p_fig_)
Mango and Basil Tart. Credit: Paulina Figueroa Garduño (@p_fig_)

さらに、メキシコらしさを前面に打ち出した菓子も用意する。米、シナモン、砂糖、牛乳、水で作る伝統飲料「オルチャータ」を取り入れたケーキは、9月の祝祭シーズン向けに考案されたものだ。11月の「死者の日」の時期には、伝統菓子「パン・デ・ムエルト」も提供する。

こうした社会・環境への配慮は、仕入れ先との関係にも及ぶ。フィゲロアは「互いに利益を分かち合う」経済の循環を重視する。

「自分の商品と、その影響に自信を持っている。購入してくれる人が私を支え、私もまた別の人を支える。こうした互恵的な関係はとても良いものだ。人々はおいしいデザートを楽しみ、その購入が誰かの幸せにもつながる。」と、彼女はINPS Japanの取材に語った。

現在、使用する食材のおよそ70%は、環境再生型農業(アグロエコロジー)によるもので、国内各地から調達している。ベラクルス州トトナカパン地方からはシナモンやゴマ、ミカンを仕入れ、米とピンクグアバはモレロス州トラヤカパン産を使用する。地域の生産者と直接つながることが、地域経済の活性化にもつながるという。

Range of desserts Ñam desserts. Credit: Paulina Figueroa Garduño (@p_fig_)
Range of desserts Ñam desserts.
Credit: Paulina Figueroa Garduño (@p_fig_)
責任ある生産・消費と、オンデマンド製造のモデル

Ñamは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に通じる「責任ある生産と消費」にも力を入れる。受注生産のモデルは、食品ロスを減らすだけでなく、調理に伴うガスや水の使用、過剰な包装も抑えやすい。外食産業には、こうした廃棄や資源消費が構造的に生じやすい側面がある。

国連環境計画(UNEP)の「Food Waste Index Report 2024」によれば、メキシコでは家庭部門だけで年間約1,337万トンの食品廃棄が発生していると推計される。

プロジェクト名は、スペイン語で「おいしい」を表す擬音的な表現「ñam」に由来し、英語の「yummy」に近い意味合いだという。現在は主にウェブサイトとインスタグラムで注文を受け付け、菓子の情報とともに、事業に込めた物語も発信している。

フィゲロアはメキシコ市で事業を続ける一方、「社会・環境ビジネス管理」の修士課程で学んでいる。中期的には、店頭で菓子を味わえる拠点へ移行し、ディーセント・ワークと責任ある生産という原則を、より日常的に体現できる場にしたい考えだ。

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国連が直面するAIをめぐる新たな試練

【国連ATN=アハメド・ファティ】

私がアントニオ・グテーレス国連事務総長に対し、選挙や紛争の行方を左右し得るほど強力な技術を、いまなお各国政府が制御できているのかと問うと、返答は異例なほど率直だった。国連には、事態を左右できるだけの決定的な手段(レバレッジ)がない、と語ったのだ。つまり国連には、仕組みやプラットフォーム、プロセスはあるが、結果を強制する力はないという。

Ahmed Fathi
Ahmed Fathi

その瞬間が重要だったのは、意外だったからではなく、率直だったからだ。人工知能が政治や法律の仕組みを追い越す速さで進歩しているという現実を、事務総長がはっきりと言葉にしたからである。

事務総長は続いて、包括的な規制を求める主張ではなく、国連に何ができ、何ができないのかを冷静に説明した。そして、国連がAI分野で現実的に果たせる役割を挙げた。専門家を集め、科学パネルを設け、評価報告を作り、世界規模の対話を開く。いずれも重要な取り組みだが、国連には、ルール違反を取り締まったり罰したりする強制力はない。国連が築けるのは「統治の土台」までで、規則を押し付ける権限までは持たない。

この隔たりこそが、世界のAI議論の核心にある。国連が目指しているのは、人工知能をめぐる共通理解と共通言語をつくることだ。罰則を伴う拘束力のある国際ルールを作り、守らせることではない。これは制度の弱さというより政治の現実を反映している。AIは国家安全保障、経済競争、そして国の力の源泉と直結するため、各国は主導権を手放したがらない。その結果、国連は結論を決める場ではなく、議論の枠組みを整える場にとどまっている。

近年の国連のAI関連の取り組みでも、この「野心」と「権限」の差ははっきりしている。声明や決議は倫理、包摂、協力を強調する一方で、有力国や巨大企業を縛り得る強い約束は意図的に避けてきた。だから国連は、リスクを可視化し、社会の規範を形づくることはできても、影響力のある主体が抵抗すれば変化を強制できない。

Photo: Killer robot. Credit: ploughshares.ca
Photo: Killer robot. Credit: ploughshares.ca

実効的な歯止めは何かと問われると、事務総長は一つの考え方を強調した。つまり、「人間が意思決定の主導権を握ることである。とりわけ命に関わる場面では、人間が決定権を手放してはならない。誰を、どこで、なぜ殺すのかを機械が自律的に決める「自律型兵器」を認めないという事務総長の発言は、記者会見で示された最も明確な倫理的な一線の一つだった。

テクノロジー企業の影響力拡大についての答えも、控えめながら示唆に富むものだった。事務総長は、「規制は最終的に各国政府の責任であり、国連が直接取り締まるものではない。」と語った。競争や独占を取り締まる法律は、デジタル時代に合わせて見直す必要があるかもしれない。だが、法律を実際に適用し、企業を監督し、必要なら是正を求めるのは各国政府の役割である。

こうしたやり取りの根底には、権力そのものが変わりつつあるという、より大きな問題がある。今日の権力は、領土や軍事力、経済規模だけでは測れない。データ、そしてそれを集め、処理し、活用する仕組みを誰が握っているかが、影響力を左右するようになっている。その変化は、公的機関から民間の巨大企業へと力を引き寄せ、世界の制度やルールが追いつけない速さで進んでいる。

これは規制の問題にとどまらない。社会の正当性、つまり「誰が、どのように決定するのか」という根本を問い直す。社会を形づくる重要な選択が、民主的な監視が届きにくい場所で設計されたアルゴリズムによって下される度合いが増せば、従来の説明責任の考え方は揺らぎ始める。事務総長はこれを陰謀や道徳の崩壊としてではなく、制度が理解しきれず、是正にも至っていない構造的な偏りとして捉えていた。

United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri
United Nations Headquarters Photo:Katsuhiro Asagiri

さらに、公平性の問題も解決していない。多くの国は、AI政策を形づくり、その恩恵を十分に受けるための資金や人材、制度を欠いている。技能、インフラ、制度への継続的な投資がなければ、国際的な議論は、すでに力を持つ国や企業に左右されかねない。資金や人材、インフラといった基盤が不足したままでは、格差は埋まらず、むしろ広がってしまう。

総じて、このやり取りは、人工知能をめぐる国連の立ち位置をはっきりと示した。国連は、リスクを明らかにし、価値を言葉にし、規範を議論する場であり続ける。だが、結果を強制する場ではない。事務総長はその現実を隠さずに語り、率直さが印象に残った。

残るのは、会合を開き、警告し、助言することを主な役割としてきた国連の仕組みが、実際に各国や企業の行動を変えられる枠組みへと発展できるのか、という問いだ。いま国連のAI対応が映し出しているのは、より広い世界の現実でもある。権力は法より速く動き、制度はそのスピードに追いつけずにいる。(原文へ

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将軍たちを擁護した彼女を、その将軍たちが投獄する―国際司法裁判所がミャンマーの「ジェノサイド」事件の審理を開始

【ミャンマー・ヤンゴン/タイ・チェンマイIPS=ガイ・ディンモア】

厳しい刑務所環境のもとで約5年にわたり外部と遮断され、連絡も取れないまま拘束され続けるアウンサンスーチー氏は、国際司法裁判所(ICJ)が今週、ミャンマーによるロヒンギャ少数派へのジェノサイド(集団殺害)をめぐる画期的な審理を開始したことを、知らない可能性が高い。

仮に独房の外から何らかの情報が届いたとしても、ノーベル平和賞受賞者で、民選政権の指導者として失脚した同氏は、2019年にハーグで予備的手続に臨み、自ら擁護した将軍たちが、いまや自分の「看守」となっているという皮肉を、思い起こさずにはいられないだろう。

ICJで争われる本件は、ガンビアが提訴した。争点は、2016~2017年にかけて軍と仏教徒民兵が、主としてイスラム教徒のロヒンギャ少数派に対して行った掃討作戦をめぐるジェノサイドの疑いである。数千人が殺害され、村は焼き払われ、女性が性的暴力を受け、最終的に70万人を超える人々が国境を越えてバングラデシュへ逃れた。

スーチー氏の評価は、ハーグ行き以前から西側で大きく損なわれていた。2017年には、母校である英オックスフォード大学セント・ヒューズ・カレッジが、同氏の肖像画を公の場から撤去した。2018年には、アムネスティ・インターナショナルが、同氏が政府首班として暴力を非難する道義的影響力すら行使しなかったことに失望し、他の多くの機関や自治体とともに、授与していた賞を取り消した。1991年のノーベル平和賞は維持されたが、これは取り消す規則が存在しなかったためである。

Photo: Proceedings instituted by the Republic of The Gambia against the Republic of the Union of Myanmar on 11 November 2019. Source: ICJ.
Photo: Proceedings instituted by the Republic of The Gambia against the Republic of the Union of Myanmar on 11 November 2019. Source: ICJ.

一方、国際刑事裁判所(ICC)の検察官は昨年11月、ロヒンギャに対する人道に対する罪の疑いで、ミン・アウン・フライン最高司令官の逮捕状を請求した。

こうした中で、スーチー氏がミャンマーの法務チームを率いてICJに立ったことは、軍と文民の間にあった不安定な権力共有の均衡を保つどころか、結果的に将軍たちが彼女の運命を決定づける一因となった可能性がある。

「その時点で彼女の信認は崩れ、西側を失った」。ヤンゴンのベテラン分析者はそう語る。「その時、軍は彼女に手を打つと決め、クーデターの準備を始めたのだ」とも述べ、ミン・アウン・フライン氏が「国際社会はスーチー氏を支えない」と見込んだことが、クーデターの判断に織り込まれていたと説明した。

スーチー氏は昨年6月、拘禁下で80歳を迎えた。1988年に英国から帰国して以来、投獄または自宅軟禁下に置かれた期間は通算で約20年に及ぶ。2年前から弁護士とも面会できず、支持者が「捏造だ」とする汚職など複数の罪状で、有罪判決に基づく刑期は合計27年に達する。

国外では忘れられ、あるいは「もはや無関係」と見なされがちだが、国内では「マザー・スー」として、少なくとも仏教徒のバマー(ビルマ)多数派の間で、いまなお広い支持を保ち、象徴的存在であり続けている。彼女の運命は、ミャンマーの将来の行方にも影を落とし続ける。

軍政は、支配地域で段階的な選挙を進めている。多くの国民はこれを出来レースだと退けるが、それでも人々の間には、4月に名目上の民政が発足した後、次期大統領になる可能性があるミン・アウン・フライン将軍が、スーチー氏や、失脚したウィン・ミン大統領を含む政治犯の一部を釈放するのではないか、というかすかな期待が残る。軍の代理政党が、名目上の政権移行に合わせて何らかの譲歩を示すかもしれない、という見方である。

だが、抵抗勢力や、軍政の支配外で活動する「国民統一政府(NUG)」関係者は懐疑的だ。

Min Aung Hlaing
Min Aung Hlaing

「ドー・アウンサンスーチー氏の釈放は、現在の勢力均衡に強く左右される。ミン・アウン・フラインにとって、彼女の自由は体制の権威を根本から揺るがす。したがって、軍が実権を握り続ける限り、彼女を隔離し続ける動機は強い」。NUGのデービッド・グム・アウン副外相は、国外からIPSにそう語った。

同氏によれば、「信頼できる前進の道筋」とは、スーチー氏が収監されているとみられる首都ネピドーを掌握し、軍政を解体すると同時に、抵抗勢力の間で幅広い政治合意、あるいは連立を形成することである。

「それには、途方もない総力と大規模な連携、そして、はるかに強固な政治・軍事同盟と協定が不可欠だ」。同氏はそう付け加え、NUGが、数十年にわたり軍政に抵抗し、ときに相互に戦ってきた多様な少数民族武装勢力との合意形成に苦闘している現状にも言及した。

また、軍から離反し、国外で市民抵抗勢力に加わった元陸軍大尉はIPSの取材に対し、家族そろって2020年総選挙で、スーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)に投票したと語った。NLDは圧勝したが、将軍たちは2021年のクーデターで選挙結果を無効にした。

「自分は『マザー・スー』が好きだ」。元兵士はそう述べたうえで、こう続けた。「だが、いま彼女が指導者になるのは非常に難しい。何も変化が起きていない。ミン・アウン・フラインは可能な限り長く彼女を拘束する。私は彼と仕事をし、性格を知っている。あの人物は絶対に釈放しない。執念深い男だ」。

2021年初頭の大規模な街頭抗議は軍に弾圧され、その後、各地で立ち上がった抵抗勢力に合流した若い世代の間では、スーチー氏の時代から前に進むべきだという見方も強まっている。

「新しい指導者の時だ。彼女は高齢だ。Z世代は彼女の言うことを聞かない」。そう語ったのは、あるホテル従業員である。ただし同氏は、スーチー氏の歴史的功績自体は評価していた。

NUGと新世代の一部は、歴代のミャンマー指導者が、国籍を持たない人々が多いロヒンギャ共同体に対して重ねてきた虐待と不正にも、目を向け始めている。今週のICJ審理の動きを追う者の中には、2019年にスーチー氏が軍を擁護したことは道義的に誤っており、結果的に自らの立場を弱めた――と率直に語る者もいる。

「いま、彼女は彼らを守るためにそこにいない」。軍が活動家の父親を追い詰めたため国外へ逃れたという若者は、そう語った。

一方で、彼女を長年知る人々の間では、スーチー氏がハーグ行きを決断した動機をめぐり、いまなお見方が分かれている。

独立の英雄で、現代ミャンマー軍の創設者でもあるアウンサン将軍の娘として、国家を守るという矜持だったのか。将軍たちの権力を抑え込みつつ政治・経済改革を進めるため、これしか道がないと誤算したのか。あるいは彼女自身が、バマー多数派の仏教ナショナリストとして実質的な連邦制に懐疑的で、ロヒンギャを「ミャンマーに属さない移民」と見なし、支配的宗教への脅威と捉える点で、将軍たちと同質だったのか――。

強大な一勢力が、国民の多数が退ける「過去」に固執し続ける国において、ミャンマーの未来像をめぐるこれらの問いは、いまなお重い意味を持つ。ひとりの女性の運命もまた、その問いの只中にある。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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【ダボスATN=ATNチーム】

ドナルド・トランプ米大統領は木曜日、スイス・ダボスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、新組織「平和委員会(Board of Peace)」の発足を正式に発表した。新組織は、ガザを皮切りに停戦と紛争解決を促す国際的な枠組みとして位置づけられる。ただ、式典と周辺の外交的演出は、国連の役割をめぐる根強い緊張を浮き彫りにし、複数の主要国が非公開で抱く不安も明らかにした。

トランプ氏はダボス会議センターで厳重に管理されたイベントを開催し、支持国の外相や高官に囲まれて設立憲章に署名した。壇上で同氏は、この構想を「既存の仕組みが機能しなかった現場に、安定と実務的な解決策をもたらす真剣な取り組み」と説明し、「可能な限り国連や他の機関とも連携する」と強調した。

一方、国連は引き続きガザの人道支援の調整を担い、安全保障理事会や事務総長特使を通じた外交努力も主導している。ダボスに出席した複数の外交官は非公式に、平和委員会は補完的と位置づけられているものの、すでに複雑化した紛争環境において権限の境界を曖昧にしかねないと語った。

カメラのない非公開会合では、複数の国連加盟国の外交官が、委員会の活動が国連の権限とどのように関係づけられるのか、具体的な説明を求めていると述べた。停戦監視、人道支援の調整、復興に向けた調整など、国連の任務との整理が焦点だ。匿名を条件に取材に応じた欧州の高官は、懸念の対象は「平和という目的」ではなく、それを取り巻く「制度設計」だと語った。

「国連憲章の下に、国際的に承認された制度がすでにある」と同氏は述べた。「並行する仕組みが立ち上がれば、責任分担が明確でない限り、実務上の混乱を招きかねない」。

署名式典に主要国の姿がなかった点も目立った。中東、アフリカ、小規模な欧州諸国の代表団は参加した一方、フランス、英国、ドイツ、中国は憲章に署名しなかった。ロシアは「提案を精査中」としている。

ダボスにいた国連関係者は、直接的な批判を避けつつ、国連の中心的役割を強調した。国連高官は記者団に対し、国連は国際法の下で平和維持、紛争仲介、強制措置を担ううえで「普遍的な正当性」を持つ唯一の機関だと述べ、いかなる取り組みとも協力するかどうかは、既存の権限(マンデート)を尊重するかにかかっていると付け加えた。

ただ舞台裏では、より率直な声も出た。複数の小国の外交官は、参加に圧力を感じたと認めた。

「私たちは平和の取り組みに反対しているわけではない」と、会場近くのホテルでアフリカの当局者は述べた。「しかし、米大統領からの個人的な招待を断ることには政治的コストが伴う。」

アラブ諸国の高官も同様の認識を示し、参加は委員会の制度設計を全面的に支持するというより、戦略的判断として受け止められていると述べた。「ワシントンが新しいテーブルを作るとき、その場にいないわけにはいかない。」と同氏は語った。

湾岸諸国の代表団は、イベントに伴う対応が特に組織的だった。署名直後には、補佐官らが会合や写真撮影の調整を次々と進めた。署名後も名刺交換を続け、作業部会の可能性について協議する外交官がいた一方、早々に会場を後にする者もいた。

ロシア代表団は目立たない行動に終始した。複数地域の相手国とサイド会合を行う姿は見られたものの、ロシアが参加するかどうかについて公の場での発言は避けた。協議内容を知る外交官の一人は、ロシアがこの委員会がウクライナや中東をめぐる継続中の外交に与える影響を慎重に見極めていると述べた。

中国代表団は式典自体を回避した。中国側はその後、別のパネルで「国連を中核とする多国間主義」の重要性を強調したが、これは意図的なシグナルだと広く受け止められた。

プレスセンターでも、委員会発足は記者や外交官の間で非公式な議論の中心となった。国連関係者の中には、委員会の将来の実効性は式典の演出ではなく、運用面での信頼性を築けるかどうかにかかっていると指摘する声もあった。

「ダボスでは毎年、多くの構想が発表される」と、安全保障理事会メンバー国の外交官は語った。「重要なのは、これが国連と連携して機能する実務組織になるのか、それとも競合する別の枠組みになるのかという点だ。」

現時点で、平和委員会は、正統性、調整、権限範囲をめぐる未解決の課題を抱えたまま、政治色の濃い注目度の高い構想として国際社会に加わった。国連関係者は、各国政府が新組織への関与の是非や方法を検討する中で、今後数週間にさらなる協議が行われるとの見通しを示している。(原文へ

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