【国連IPS=タリフ・ディーン】
国連事務総長の任期を「更新なしの単一期・7年」とする案(1996年にさかのぼる長年の提案)が、潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長によって再び持ち上がった。この原案は、ダグ・ハマーショルド財団とフォード財団が支援した研究の一部であった。同提案によれば、7年任期は「望ましくない圧力から自由な形で、事務総長が踏み込んだ計画に取り組む機会を与える。」
潘氏は、更新を認めない単一期の7年任期は、事務総長職の独立性を強化すると述べている。現行の「5年×2期」という慣行は、潘氏によれば、事務総長を「延長(再任)を得るために安保理常任理事国への依存を過度に強める」結果になりかねない。

エジプト出身のブトロス・ブトロス=ガリ元事務総長は、安保理で15票中14票の支持を得ていたにもかかわらず、米国が唯一の拒否権行使国となり、2期目(2度目の5年任期)を阻まれた。
研究は、「国連の最高の政策決定機関であり、最終的な任命機関でもある総会は、事務総長の任期を単一期7年とすること、および事務総長任命手続の改善に関わる主要要素を包括的に定める決議を採択すべきである」と提言した。
さらに同研究は、更新なしの7年任期という考え方を事務総長だけに限らず、UNDPやUNICEFなど国連の基金・計画、さらにはWHOをはじめとする専門機関を含む、国連システム各組織のトップにも広げるべきだと提言した。研究の題名は『指導力を必要とする世界:明日の国連――新たな評価(A World in Need of Leadership: Tomorrow’s United Nations. A Fresh Appraisal)』。執筆したブライアン・アーカート卿は、国連事務次長(特別政治担当)を務めた人物で、アースキン・チルダーズは国連の開発・国際経済分野で上級顧問として活動してきた。

バングラデシュの国連常駐代表を務め、国連事務次長および上級代表(High Representative)も歴任したアンワルル・K・チョウドリ大使は、IPSに対し、国連という「普遍的な多国間組織」の運用上の信頼性という最善の利益にかなうものとして、また「良心ある国連内部の人間」として、「事務総長の任期を更新なしの単一期7年とするという、長年の、しかし驚くほど過小評価されてきた提案には、実質的な価値があると強く、そして安心して確信している。」と語った。
同大使は、潘氏の2期目に関する2011年6月20日付のIPSの論考で、再選プロセス一般にも触れ、「不明確で、非公開で、舞台裏の、排他的なこの手続は、就任初日から2期目再選を夢見る人物の推薦へとつながる。」と書いている。
チョウドリ大使はさらに、「2期目へのこのきわめて人間的な誘惑は、あまりに圧倒的で、あまりに陶酔的であるため、新任事務総長の最大の努力は、この欲求によって全面的に条件付けられてしまう。」と強調した。拒否権という要素を十分に踏まえるなら、常任理事国(P5)の意向と傾向が、国連の「最高行政責任者(Chief Administrative Officer)。」たる事務総長にとって最優先の関心事となる。
「私は全面的に同意する」と同大使は述べ、国連の廊下で共有される通念として、「事務総長が1期目にP5から再選のために負った“借り”は、2期目に返済される。」という見方があると指摘した。「この取り決めは、事務総長にとってもP5にとっても都合がよい。」
しかも、国連加盟国の大多数が、事務局トップを選ぶ不適切な選出過程の改革という「長年の宿題」について、結局合意できないことを、彼らは熟知している――同大使はそう述べた。その結果、指導力に乏しいリーダーが登場し得る余地が温存される。とりわけ、P5の代表が、本国の指示に基づき、国連のグローバルな役割の中核性を支持しない立場で選考に関与する場合、その可能性は高まるという。

現職のアントニオ・グテーレス事務総長がこの提案に同意しているかと問われ、国連のファルハン・ハク副報道官は先週、記者団に次のように述べた。
「現職事務総長は、加盟国間の議論のプロセスから距離を置くべき立場にあることを尊重している。明らかに、事務総長の任期に変更を加えるには加盟国の合意が必要であり、(事務総長は)加盟国が相互に協議し、解決策を見いだすことを信頼している。」
ハク副報道官は、グテーレス事務総長が「改革として取り得る手段はいくつもある。」と考えていることにも触れた。ただし、現職である以上、加盟国が検討している最中に自らの見解を表明することはしないだろう、とした。さらに、グテーレス事務総長が「初の女性事務総長」という理念を支持してきたことにも言及したうえで、「しかし繰り返すが、これらは私たちの手の中にある決定ではない。」と述べた。

国連条約課の元課長(Chief)であるパリタ・コホナ博士は、事務総長の任期を7年に延長することに一定の意義を見る向きがある一方、その延長が本当に付加価値をもたらすのかと疑問を呈した。効果的な事務総長であれば、現行制度の下でも再選を目指すことはでき、総会は大半の事務総長に2期目を与えてきた。
加盟国は、能力に欠ける事務総長を再任しない、という選択もできる。しかし、仮に非効率な事務総長に7年任期を与えてしまえば、「世界で最も重要な国際機関」が、不当に長く、苦痛に満ちた期間、その人物の重荷に耐えねばならなくなる―博士はそう指摘した。
政治的・財政的制約の下でも、有能な事務総長は5年で多くを成し得る。必要なのは、変動の激しいグローバル環境で行動できる能力、卓越した経営管理能力、そして、とりわけ事務次長(USG)や事務次長補(ASG)として優れた人材を選び抜く才覚である。大国が事務総長に押し付ける人物を受け入れ、精彩を欠く人材を任命してしまう現在の傾向は、この尊厳ある機関のリーダーとしての評価を損ない、加盟国は高い代償を払うことになる―スリランカの元国連常駐代表でもあるコホナ博士はそう述べた。
「真に必要なのは、P5の気まぐれに依存せずに、国連が潜在的に有能な人材を選べる制度を制度化することである。大企業はそのように運営している。優れた成果を出す者は5年や10年留任し、失敗した者は外される。加盟国こそが最良の審判である。」と博士は述べた。
国際市民社会行動ネットワーク(ICAN)の創設者兼CEOであるサナム・B・アンダーリニは、IPSの取材に対して次のように語った。「私は7年任期は素晴らしい案だと思う。事務総長が、ビジョンと実務の両面で、勇気と想像力を持って行動できるようになる。加盟国に取り入ることや、2期目のための票集めの選挙運動に煩わされることがなくなるからだ。」
さらに彼女は、7年という時間軸があることで、変化と成果を確実に生み出そうとする動機付けにもなると指摘した。誰しも最終的には良いレガシーを残したいからである。
ただし鍵は、選ばれるリーダーが必要な勇気、ビジョン、価値観を備えていることだ――とも述べた。
また、国連システム全体の指導部が一度に入れ替わってしまわないよう、7年任期は「段階的(staggered)」に設定すべきだとした。事務総長の在任期間を延長するという発想は、改革案として議論されてきたが、現在の標準は「5年で、1回更新可能」のままである、とアンダーリニは述べた。
チョウドリ大使は、自身の論考に触れながら、「事務総長の独立性を確保するもう一つの重要な考え方は、各事務総長を1期に限定することだ。」と強調していたと振り返った。
同大使は、7年任期は、名に値するいかなるリーダーにとっても、肯定的な成果を出し、グローバル機関として何が達成できるかを示すのに十分であると述べた。一方で、任期や再選プロセスを変更するには国連憲章の改正が必要であり、そのためにはP5の同意が不可欠であるとも指摘した。チョウドリ大使は、2000年3月に安保理議長として国連安保理決議1325の発議者となり、総会の主要委員会(行政・予算問題)の議長、さらに「平和の文化のためのグローバル運動(GMCoP)」の創設者でもある。
さらに、チョウドリ大使は、2023年10月30日付のIPSの別の論考で、「将来、事務総長は1回限りの7年任期とすべきである。現行のように、事務総長の業績評価すら行わないまま、2期目の5年任期がほぼ自動的に更新される慣行とは異なる形が望ましい。」と提言している。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Bureau Report
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