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ウズベキスタンにおける貧困削減と新たな社会保護モデルの形成

【INPS Japan/ ロンドンポスト】

2017年以降、シャフカト・ミルジヨーエフ大統領のもとで、ウズベキスタンは経済の自由化と社会福祉の強化を両立させる大胆な改革に踏み出した。これらの改革は2023年の新憲法に盛り込まれ、同国を「社会国家」と明確に位置づけたうえで、雇用の確保と貧困削減を国家の責務として定めている。さらに、国家戦略「ウズベキスタン–2030」では、2026年までに貧困率を半減させるという目標が掲げられた。こうした政策転換によって、経済成長と包摂的社会保護を両輪とする新たな国家モデルが形づくられつつある。

社会保護機構の整備と成果

2023年までに新設された国家社会保護庁(NASP)と地域コミュニティの「インソン(Inson)」サービスセンターは、約230万世帯の困窮家庭を支援しており、2017年比で約4倍に増加した。年金や障害者給付などの基礎的支援も拡充され、実質的に約1.5倍へと引き上げられている。

地域ごとのインソンセンターは「ワンストップ型」窓口として機能し、住民が社会給付や行政サービスを申請する際の支援を提供している。個々のケースに応じた支援と情報提供を行うことで、従来の縦割り型行政から、利用者中心の統合的支援体制へと転換した。また、障害者や高齢者を対象にした「支援を必要とする人々の全国登録簿」が創設され、2023年時点で約1万7,800件のケースが登録されている。各ケースは四半期ごとに見直され、必要に応じて支援内容が調整される。こうしたデジタルツールと組織改革により、ウズベキスタンは従来の断片的な福祉制度から脱却し、近代的かつ統合的な社会保護システムを構築した。

国際支援と制度拡充

世界銀行はこの改革を積極的に支援しており、2018〜2021年に約21億ドルの政策支援融資を実施した。2024年半ばには、脆弱層の社会ケアを改善するための「INSONプロジェクト」に1億ドルの追加融資を承認し、50以上の地域社会型福祉センターを新設、約5万人(高齢者、障害者、児童)へのサービス提供を目指している。

2024年11月1日に開始された「貧困から繁栄へ(From Poverty to Prosperity)」プログラムの下で、家庭は以下7分野の支援を受けている。

Map of Uzbekistan

1.安定した雇用と収入増加の確保
2.教育および職業訓練へのアクセス
3.国家保証による医療サービスへのアクセス
4.社会サービスへのアクセス
5.住宅環境の改善
6.国家によるマハッラ(地域共同体)インフラ整備
7.行政担当者との直接対話と関与

これまでに60万世帯以上が130万件の雇用・収入支援型サービスを受け、さらに220万件以上の医療サービスを享受しており、労働市場への持続的な参加を促している。

社会ケアサービスの拡充と民間活用

継続的な介護が必要な個人を対象に、民間事業者による新たなサービス提供モデルが導入された。これには家事支援、訪問介護、医療・社会リハビリテーション、個別介助などが含まれる。現在、全介護対象者の約76%にあたる1万3,800人が民間セクターのサービスを利用している。

大統領令は、2030年までに年間300万人以上が社会サービスを受ける体制を整備し、非政府セクターの提供比率を30%にまで高めることを目指している。これは、社会的連帯経済の理念に沿った取り組みである。

国家社会保護庁による改革の三原則
1.アクセシビリティ(Accessibility)

「貧困から繁栄へ」プログラムの一環として「全国貧困家庭登録簿」が設立され、家庭の識別と登録はマハッラ(地域共同体)レベルで行われている。現在、約66万7,000世帯(約280万人)が登録されており、各家庭の生活実態と貧困削減の可能性を包括的に把握できるようになった。

2.効果性(Effectiveness)

本年度最初の9か月間で、登録世帯の1人当たり平均月収は17万4,000スム(約14米ドル)から33万8,000スム(約27米ドル)へとほぼ倍増した。また、これまで収入のなかった7万3,000世帯が正式な賃金所得を得るようになった。同期間に15万世帯が貧困を脱し、そのうち約7割(10万5,000世帯)は主に雇用所得の増加によるものである。

3.持続可能性(Sustainability)

支援の的確化を図るため、家庭は以下の3カテゴリーに分類されている。

赤(Red):障害者を抱える世帯、稼ぎ手を失った家庭、ひとり親家庭
黄(Yellow):就労可能だが安定収入や職業スキルを欠く家庭
緑(Green):貧困を脱したが再転落のリスクがある家庭

この分類に基づき、「赤」家庭には優先的な福祉支援を、「黄」家庭には職業訓練と雇用促進を、「緑」家庭には再貧困防止策を適用している。

ケア経済と人材活性化

国家社会保護庁は「ケア経済(care economy)」の発展を重点課題とし、障害児向けのデイケアサービスや高齢者のための「アクティブライフへの一歩」プログラムを導入した。これにより、介護に従事していた家族が労働市場へ復帰できるよう支援している。

人的資本への投資

低所得家庭の子どもに対しては、教育・育成にかかる費用の最大90%を国家が補助している。2025年には12万5,000人の貧困家庭の子どもが優先的に就学前教育を受けることができた。これは社会保護制度が間接的に貧困削減へ貢献している好例である。

住民の声

タシュケント州ブカ地区「エズグリク」マハッラの住民オリマ・アルマトワ・コラベコヴナさんは、次のように語った。「夫は鉱山コンビナートで40年働きましたが、病気で続けられなくなりました。私は家族を支えるためにどんな仕事でもしました。医者が夫の心臓にステントを入れるよう勧めたとき、私は『私のことより家族を助けてください。私はもう67歳です。自分の人生に悔いはありません。どうか家族を助けてください。』と頼みました。
それから間もなく、大統領の決定に基づく支援が届いたのです。その時の喜びは言葉にできませんでした。『本当に、私の扉を開けてくれる人がいたのだ』と感じました。支援を受けて、私たちはキュウリやトマトを植えました。すぐに収入が入り、これまでに三度も利益を得ました。大統領には心から感謝しています。たった一家庭を養うことさえ難しいのに、彼は何百万もの家庭を支えているのです。困っている人々にとって、この支援は力を与え、喜びをもたらし、前進する勇気をくれます。その影響の大きさは計り知れません。」

結論

国家社会保護庁によるプログラムは、単なる物質的支援を超え、収入創出、雇用促進、人的資本育成のための環境を整えるものである。これにより、ウズベキスタンの持続的な経済成長と社会的安定に直接的な貢献を果たしている。(原文へ

INPS Japan/London Post:

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広範耐性結核(DR-TB)薬物治験参加者、成功を祝福し続ける

【ブラチスラバIPS=エド・ホルト】

ツォロフェロ・ムシマンゴさんが10年前、新しい結核(TB)治療薬の治験に参加したとき、彼女はその薬が本当に効くかどうかを知る由もなかった。

しかし、当時すでに最も致死性の高い広範耐性結核(DR-TB)を発症し、6か月の入院治療を経ても回復の兆しが見えなかった彼女にとって、もはや失うものはなかった。当時、DR-TB患者の4分の3は診断を受ける前に死亡し、治療を受けた患者でも3人に1人しか生き延びられないと考えられていた。

「正直言って、効果があるかどうか半信半疑でした。」「でも、あのとき私が考えていたのは、これで良くなるかもしれない、退院して家に帰れるかもしれないということだけでした。挑戦する価値があると思いました。今では本当にあの治験が命を救ってくれたと確信しています。」と、ムシマンゴさんはIPSの取材に対して語った。

当時21歳だった南アフリカ・ブラクパン出身のムシマンゴさんは、2015~2017年に国内3カ所で実施された新薬治療B-Pal療法(プレトマニド、ベダキリン、リネゾリドの3剤併用)の治験「Nix-TB試験」の109人の参加者の一人であった。

それ以前の重度耐性結核治療では、患者は時に数十錠に及ぶ強力な薬剤を毎日服用し、2年間にもわたって注射を受けることもあった。副作用は耳の聴力喪失、腎不全、精神障害など深刻で、途中離脱率も高く、それが病状悪化や感染拡大を招いていた。

Nix-TB試験では、すべて経口薬による6か月治療が試された。その結果、治癒率は90%に達し、世界最悪の感染症との闘いにおける画期的成果として専門家に歓迎された。

ムシマンゴさんは試験に参加するまで「大量の錠剤と注射」を受けていたが、それらはもはや効かなくなっていたという。治験に入って間もなく、彼女は体重が増え始めた。「体重が増え始めたとき、治療が効いていると感じました。毎週の検診で体重が増えるのを見て、治っていると確信しました。」

半年後、検査結果は陰性となり、結核は消失していた。

「薬をやめられること、そして健康を取り戻し、普通の生活に戻れることが本当にうれしかった。でも何よりうれしかったのは、1年ぶりに退院できることでした。治験前にすでに7か月入院していたので、家族から離れて暮らすのがつらかった。病院は自宅から遠く、母もなかなか来られませんでした」と語る。

JTsholofelo Msimango and her son at her home in Brakpan, near Johannesburg. Credit: TB Alliance/Jonathan Torgovnik

現在、ムシマンゴは健康を取り戻したものの、結核は彼女の人生に今も影響を与えている。彼女はTB患者支援活動に携わり、治験参加者の募集などに協力している。
「もし治験に参加できる機会があるなら、ぜひ挑戦してみてほしい」と彼女は言う。

今では幼い息子の母でもあるムシマンゴは、自身の経験を息子に話している。
「息子には、なぜ私が入院していたのか、なぜ今TBの仕事をしているのかを話します。息子やその友達には、せきをするときは口を覆うなど、感染を防ぐ方法も教えています。自分の話をするのは、誰かの助けになればと思うからです」。

同じく治験に参加したボンギスワ・ムダカも語る。
「私は結核の経験についてオープンに話します。2週間以上せき込んでいる人を見かけたら、すぐに検査と治療を勧めます」と彼女はIPSに語った。

ムダカは当時27歳で、南アフリカ・ハウテン州ヴェレニヒン在住だった。
「治験は命の恩人でした。私の人生を変えただけでなく、救ってくれました。あれがなければ今は生きていなかったでしょう。10年前、XDR-TB患者の見通しは最悪でした。最初は多剤耐性(MDR)TBと診断されましたが、症状が悪化して入院したところ、XDR-TBだと告げられました。まるで死刑宣告のようでした。だから治験の話を聞いたとき、神様の恵みのように思えました。今は健康で家族もいて、普通の生活を送っています。本当に幸せです」。

Nix-TB試験に関わった専門家らに話を聞くと、この試験が後のTB治療を根本的に変える第一歩になるとは当初誰も予想していなかったことがわかる。

ジョハネスブルクのシズウェ熱帯病院で患者を担当したポーリーン・ハウエル医師はこう語る。
「Nix試験以前の治療は長すぎて毒性が強く、半数以上の患者に効果がありませんでした。XDR-TB患者の5年生存率は20%にすぎませんでした。2015年当時、私はまだ臨床試験の経験が浅く、注射薬を含む延長治療を3剤のみに置き換えることに不安もありました」。

Tsholofelo Msimango’s late mother, Zeldah Nkosi. She says her mother was a “pillar of support” during her time when she had TB. Credit: TB Alliance

しかし、患者の変化はすぐに現れたという。
「入院中の患者たちが、新規患者を連れて『この治験を受けた方がいい』と言い出したとき、その効果の確かさを実感しました。2年以上も治療して効果のなかった人が回復し始めたのです。東ケープからわざわざ移住してまで治験を受けに来る患者もいました。そのとき、私たちは『自分や家族にもこの治療を受けさせたい』と思いました」。

「この治療がなければ助からなかった患者もいますが、大多数はより早く社会復帰でき、感染拡大を抑え、孤独や経済的打撃も軽減できました」とハウエルは続けた。

治験結果はただちに影響を及ぼしただけでなく、その後のTB治療を一変させた。
「この試験が世界の薬剤耐性TB治療を変える第一歩になるとは、当時想像もしていませんでした」と彼女は言う。

「結核は致死的ですが、治せる病気です。BPaL/M療法の副作用はある程度予測でき、管理も可能です。10年前、患者たちは家の賃貸契約を解約し、仕事を辞め、家族に別れを告げ、葬儀保険に入るしかありませんでした。いまでは、患者が『もう2週間も入院しています、早く帰りたい』と言う時代です。この変化の大部分はNix試験のおかげです」と語った。

世界保健機関(WHO)は2022年にBPaL療法、またはモキシフロキサシンを加えたBPaL(M)療法を正式承認し、現在では耐性結核治療の第一選択となっている。

開発主体である非営利団体TBアライアンスのデータによれば、これらの療法は現在、世界の薬剤耐性TB治療の約75%を占めており、まもなく90%に達する見込みだ。すでに1万1000人以上の命を救い、医療費約1億ドルを節約したとされ、2034年までにさらに19万2000人の命と13億ドル近い医療費を救うと予測されている。

特に高負担国では状況を一変させている。
「南アフリカでは、2023年9月にBPaL/Mガイドラインを採用して以来、治療離脱率が初めて1桁台にまで下がりました」とハウエルは語る。

ただし、この成果は脆弱でもある。富裕国による援助削減が進み、貧困国の医療プログラム資金を圧迫しているためだ。
「結核は常に貧困やアクセス不足と結びついています。政治的意思や資金が欠ければ、結核は社会の影に生き続けます」とハウエルは警鐘を鳴らす。

ムシマンゴさんも、「資金削減のせいで、薬を手にできない人がいます。それは人の命を奪っています。」と訴えた。(原文へ

This article is brought to you by IPS Noram in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International in consultative status with ECOSOC.

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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サウジアラビアとUAEが一線を画す―ハマスが武装解除するまでガザ再建はなし(アハメド・ファティATN国連特派員・編集長)

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】

Ahmed Fathi, ATN
Ahmed Fathi, ATN

率直に言えば、私はサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が、ハマスの武装解除と完全な民政回復が実現するまで、ガザ再建への資金拠出を凍結するという決定を全面的に支持する。これは残酷な行為ではない。むしろ、この二十年以上にわたって繰り返されてきた破壊と再建の終わりなき循環を断ち切るための、現実的で必要な措置である。犠牲を払ってきたのは、いつの時代もパレスチナの人々だ。

ハマスはもはや純粋な「地元の運動」ではない。いまやイランが資金提供者、訓練者、武器供給者として関与する複雑な地域ネットワークの一部となっている。その現実のもとでは、「抵抗」を名乗るいかなる武装組織も、真の進歩と発展への脅威である。なぜなら、戦争と和平の決定がパレスチナ人の福祉ではなく、外国の思惑に従って行われるようになるからだ。この構図のなかでガザは、自らの国民のための国家的事業ではなく、代理戦争の戦場と化している。

同じことはレバノンのヒズボラにも当てはまる。いまなお「抵抗」と呼ばれているが、すでに国家的な目的を失い、イランの手先となって久しい。彼らは終わりなき紛争の論理を維持し、人々の苦しみの上に成り立つ存在となっている。悲劇を影響力に変える術を心得た彼らは、資金と政治的な後ろ盾がある限り、誰の戦争でも請け負う傭兵のように振る舞う。そして、パレスチナ人、レバノン人、シリア人―埋葬し、ゼロからやり直すのはいつも彼ら民衆である。

私はガザの人々への支援に反対しているわけではない。むしろその逆だ。しかし、援助には明確な条件が伴うべきだ。すべての武装勢力を解体し、統治と軍事活動を切り離し、説明責任を確立し、再建が次の無謀な行為で再び破壊されないよう長期的な計画を策定すること。そうでなければ、再建は開いた傷口に貼る絆創膏にすぎない―国際社会の自己満足にはなるが、真の癒しにはならない。

ガザにいま必要なのは、コンクリートやスローガンの再生産ではなく、それを「守る」と称して利用する者たちからの保護である。(原文へ

INPS Japan/ATN

Original URL: https://www.amerinews.tv/posts/saudi-arabia-and-uae-draw-the-line-no-gaza-reconstruction-until-hamas-disarms

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【国連IPS=オリトロ・カリム】

2025年、前例のない規模の対外援助および人道支援資金の削減が世界的な飢餓危機を悪化させ、数百万人が食料や基本的サービスへのアクセスを失っている。資金不足のため、支援機関はグローバルサウスを中心とする食料不安の最も深刻な地域で、命を救うための支援事業を縮小または停止せざるを得ない状況に追い込まれている。これらの地域では、紛争、避難、経済不安定、そして気候変動による衝撃がすでに深刻な事態を引き起こしている。

10月15日、世界食糧計画(WFP)は報告書『命綱が危機に瀕している:瀬戸際に立つ食糧支援(A Lifeline At Risk: Food Assistance At A Breaking Point)』を発表し、アフガニスタン、コンゴ民主共和国(DRC)、ハイチ、ソマリア、南スーダン、スーダンの6か国を事例に、資金不足が同機関の事業に与える影響を示した。これらの国々では、資金削減が壊滅的な結果をもたらし、地域社会全体が飢餓の瀬戸際に追いやられている。

「我々およびパートナー団体の活動は大幅に縮小しています」と、WFP緊急事態準備対応局長のロス・スミス氏は述べた。「それは、支援対象者を完全に外さざるを得なかったり、配給量や支援期間を短縮したりすることを意味します。現在、多くの脆弱な人々は安全網も着地点も失っているのです。」

報告書によると、2025年に緊急的な食料および生計支援を必要とする人々の数は過去最高の2億9500万人に達した。一方で、米国を含む主要ドナー国による対外援助・人道支援の大幅削減が進み、WFPはおよそ40%の資金カットに直面している。その結果、同機関は活動を大幅に縮小し、世界で最も飢餓に苦しむ人々への命綱となる支援を届ける能力が深刻に制限されている。

WFPは、こうした資金削減が「世界の食料安全保障を著しく損なうおそれがある」と警告している。推定では、WFPの食糧援助に依存する約1370万人が緊急レベルの飢餓に陥る可能性があり、特に子ども、女性、難民、国内避難民が不均衡に影響を受けている。

「これらの削減は、国家および地域レベルの食料不安をさらに引き起こすおそれがあります」と、WFP食料安全保障・栄養分析局長のジャン=マルタン・バウアー氏は述べた。同氏は、資金削減の影響はすぐには表面化せず、今後数か月かけて現れると指摘した。「報告書で『スローバーン(ゆっくり燃える)』と呼んでいるのはそのためです。削減の影響がすべての国や地域に完全に波及するまで、まだ時間がかかります。」

バウアー氏は、支援の縮小に伴う飢餓の拡大が、児童婚の増加、就学率の低下、社会不安の拡大、避難民の増加、経済的・政治的不安の深刻化など、既存の危機を悪化させる広範な影響をもたらすおそれがあると警鐘を鳴らした。また、難民コミュニティでは子どもの栄養失調率が上昇しており、多くの子どもたちが生涯にわたる健康被害に苦しむことになると報告している。

WFPが直面する最大の課題のひとつは、限られた資源を最も影響を受けた人々への緊急食糧支援に充てざるを得ないため、災害対策プログラムが削減されている点である。ハイチでは、避難民への温かい食事提供プログラムが停止され、月次配給も半減された。同国は過去最悪の飢餓レベルに苦しんでいる。

バウアー氏によれば、ハイチの人道支援用備蓄は完全に枯渇しており、2016年のハリケーン・マシュー以来初めて、WFPはその補充ができない状態にあるという。

同様に、スミス氏は、アフガニスタンの状況も年内に著しく悪化したと述べた。現在、同国の1千万人に及ぶ食料不安者のうち、支援を受けられているのは10%未満だという。「11月には食料供給の中断が予想されており、冬期支援もごく一部しか提供できません。冬季対策支援を受けられるのは必要としている人々の8%未満です」と同氏は語った。

コンゴ民主共和国(DRC)では、支援対象を230万人から60万人にまで縮小せざるを得ず、追加資金がなければ来年2月までに資源が完全に枯渇する見込みである。ソマリアでも支援規模は劇的に縮小され、昨年の4分の1以下の人々しか援助を受けられなくなった。

スーダンでは、8月に約400万人に支援を提供したものの、その半数はダルフールや南コルドファンといった到達困難地域の住民であった。「かつては政府支援がほとんど存在しない大規模プログラムを展開していましたが、現在は限られた資金の中で、飢饉を防ぐためにホットスポットからホットスポットへと移動するような緊急対応に切り替えています」とスミス氏は述べた。隣国の南スーダンでも、WFPは極度の飢餓に直面している市民を最優先に限られた資源を再配分している。

報告書によると、WFPは縮小する援助予算と人員削減の中で、支援対象を絞り、飢饉防止を最優先にした食糧援助に重点を置いている。バウアー氏は、支援団体が現地の関係者と連携し、飢餓のレベルを継続的に監視することの重要性を強調した。「データと分析は、人道コミュニティにとっての“GPS”です」と同氏は述べた。「データが失われれば、我々は道を見失うことになる。だからこそ、データの流れを絶やしてはならないのです。」(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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【国連IPS=タリフ・ディーン】

米国の国連への敵意が高まるなか、資金難にあえぐ世界機関・国連は経済的な生存をかけてもがいている。先週、国連の行政・予算委員会で演説したジェフ・バートス米国大使(国連管理改革担当代表)はこう述べた。「トランプ大統領の言う通りだ。国連は国際的な課題を解決する上で重要な機関になり得るが、創設時の目的から大きく逸脱してしまった。」

「この80年の間に、国連は肥大化し、焦点を失い、しばしば非効率であり、時には問題の一部にさえなっている。国連が本来の使命を果たしていないことは、憂慮すべきであり否定できない事実だ」と。

米国は創設以来、国連における最大の資金拠出国であり、最新の分担率に基づけば「米国の拠出額は他の180カ国の合計を上回る」と彼は指摘した。

「米国にとって、“これまで通り”の時代は終わった。本会期中、我々はこの委員会と協力して、無駄な支出を一層削減し、説明責任を強化し、結果重視の改革を進めていく。」

彼は、特別政治ミッションの予算削減や不要な現地事務所の閉鎖、執行部局の統合など、すでに提案されている措置を「例外ではなく、標準にすべき決定だ」と述べた。

先月、トランプ大統領は国連総会で次のように発言した。

「国連の目的とは何か? その潜在力をまったく発揮していない。」
彼は国連を時代遅れで非効率な組織として切り捨て、こう誇った。
「私は7つの戦争を終結させ、それぞれの国の指導者と直接交渉したが、国連から“和平をまとめる手助けをしよう”という電話は一本もなかった。」

しかし、国連の政治的非効率の最大の要因は、安全保障理事会の5常任理事国―米国、英国、フランス、中国、ロシア――存在にある。これらの国々はしばしば、自国の同盟国が人権侵害や戦争犯罪、ジェノサイドで非難されても、迅速に擁護に回る。

一方で、米国はすでに世界保健機関(WHO)と国連人権理事会(UNHRC)から脱退、または脱退手続き中であり、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)と国連教育科学文化機関(UNESCO)への資金拠出も停止している。

では、攻撃的なトランプ政権のもとで、国連はどう生き残るのか?

ニューヨーク大学グローバルアフェアーズ・センターの国際関係学教授(退職)であるアロン・ベン=メイル博士はIPSの取材に対し次のように述べた。
「トランプ政権の国連への扱い方を形容するなら、自滅的であり、米国の国益を著しく損ね、同時に世界における米国の影響力を大きく蝕んでいる、というほかない。」

「『アメリカを再び偉大にする』と訴えるトランプ大統領が、国連という、米国が創設以来他のどの国よりも主導的役割を果たしてきた唯一の国際機関に対し、これほどまでに露骨な敵意を示すとは理解に苦しむ。」

バートス大使の発言は「よくて不正確、悪く言えば全くの誤り」だと彼は指摘する。

確かに、国連には安全保障理事会をはじめ多くの機関で大幅な改革が必要であることは周知の事実だ。

しかし、国連が世界各地で果たしている重要な人道的活動を一括して否定し、貧困国の何百万人もの命を支える支援を削り、主要機関から脱退することは、「非人道的であり、米国の指導力と国益を深刻に損なう」とバートス大使は語った。

「パンデミックなどの危機対応や国際的な保健基準の策定を担うWHOから撤退することを、どんな論理で正当化できるのか? 米国はむしろこのような機関を強く支援すべきであり、その活動を主導することで米国の影響力を高めるはずだ。」

また、世界的な人権の促進と保護を目的とするUN人権理事会からの脱退も理解し難いとし、
「この離脱によって米国は人権侵害を防ぐ国際的役割を放棄し、結果的に国際的な監視体制を弱体化させている」と批判した。

「トランプは人権侵害など意に介さないのかもしれない。だが、このような離脱が米国の国益にどのように資するというのか?」と彼は問いかけた。

国際NGO「コンシエンス・インターナショナル」のジェームズ・E・ジェニングス博士もIPSの取材に対し次のように語った。「国連機関への支援は、世界の保健と安定にとって不可欠である。戦争、自然災害、飢饉の最前線で国連機関とともに活動してきた者にとって、赤ん坊の口から食べ物を奪い、子どもたちの教育を拒み、病気と疫病を放置するような非人道的行為は想像すらできない。これは政治ではない。いじめだ。世界はその本質を見抜くべきだ。」

ジェニングス博士は、トランプ氏の行動には一貫した「パターン」があると指摘する。
「例えば民主党支持州のカリフォルニアやイリノイを“犯罪まみれで無法地帯だ”と攻撃し、ICE(移民・関税執行局)の部隊を送り込み、見せしめのように“治安回復”を演出する。数日後には『ほら、ポートランドもシカゴも平穏になった』と自慢するが、実際には何の改善もなく、普通の市民が暴力を受けただけだ。」

ジェニングス博士はこう続けた。「国際舞台でも同じ手法が見られる。国連の和平努力を軽視・排除したうえで、紛争寸前の国の指導者に電話をかけ、『7つの戦争を終わらせた』と誇る―まったくのナンセンスだ。」

「トランプの狙いは国連を排除することではなく、支配することだ。米国は最大の資金拠出国であるため、彼の意のままに国連を屈服させる可能性がある。各国指導者、米国民、そして世界の人々が、彼の計画に断固反対しない限り」とジェニングス博士は警鐘を鳴らした。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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パレスチナ問題に対するオーストラリアの姿勢が外交政策を再定義している

【メルボルンLondon Post=マジッド・カーン】

オオーストラリアのパレスチナ国家承認は、西側外交の再構築に向けた重要な転換点を示している。2025年9月21日に発表されたこの決定は、イスラエル・パレスチナ紛争への新たなアプローチを求める国々の潮流と足並みをそろえるものであり、歴史的同盟よりも人道的要請を優先する方向への転換を意味する。

同時に、ハマスがドナルド・トランプ米大統領による20項目のガザ和平案を条件付きで受け入れたことも、地域情勢の変化を象徴している。最も強硬な当事者でさえ、人道的・外交的圧力の高まりにより、交渉の場へと追い込まれつつある。

この二つの動きは、中東における転換点の可能性を示唆している。象徴的承認と現実的外交が、いま初めて交差し始めているのである。

オーストラリア外交の転換 ― 同調から自立へ

数十年にわたり、オーストラリアの中東政策は親イスラエル路線に基づき、国連や他の多国間機関でも米国の立場をほぼ踏襲してきた。歴代政権は「イスラエルの自衛権」を最優先とし、パレスチナ国家の承認は単なる理念的目標にとどまっていた。

Map of Australia

アンソニー・アルバニージ首相によるパレスチナ承認の決断は、戦略的かつ道義的な転換を意味する。ペニー・ウォン外相が発表した声明では、この承認が「二国家解決へのオーストラリアの揺るぎない支持と、国際法および人権へのコミットメントを反映する」と強調された。この動きは、2023年10月以降、数万人の民間人の命を奪ったガザ人道危機をめぐる国民的抗議や議会での激しい論争を経て実現したものである。

オーストラリアは、これにより英国、カナダ、アイルランド、スペインをはじめとする欧州連合(EU)諸国など、140か国以上の「パレスチナ承認国」に加わった。この承認は象徴的な正統性と地政学的重みを併せ持ち、主要な西側民主主義国家が、暴力や米国の政策停滞によって和平プロセスを無期限に人質に取らせることをもはや容認しないという意思を示した。

人道危機が転換の触媒に

この政策転換の引き金となったのは、ガザにおける壊滅的被害である。2023年10月のハマスによる攻撃への報復として開始されたイスラエルの長期軍事作戦は、地域の街区を瓦礫と化し、数百万人を避難民に追いやった。

イスラエルが「ハマスの軍事インフラの完全破壊」を主張する一方で、国際社会の世論は急速に「人道的責任追及」へと傾いている。

これまで中東外交に慎重だったオーストラリアにとって、ガザの惨状はもはや中立を保つことが不可能なほどの道義的重みを持った。したがって、今回の承認は単なる外交的立場変更ではなく、正義を軸にした「道義的覚醒」であり、国内外に向けて「安全保障」一辺倒から「人間の尊厳」へと視点を広げる意思表示である。

世界外交への波及効果

オーストラリアの決断は単なる象徴では終わらない。米国政府の慎重姿勢に縛られてきた他の西側諸国に連鎖的な影響を与える可能性がある。

同様の動きが他の同盟国にも広がれば、「西側ミニブロック」としてパレスチナを承認する流れが形成され、パレスチナ国家の国際的正統性を加速させ、今後の和平交渉における外交的バランスを一変させうる。

ただし、この動きはイスラエルや米国との関係を一時的に緊張させるリスクも孕む。テルアビブはこの承認を「交渉を損なう一方的行為」とみなし、ワシントンも同盟国による独自行動をこれまで抑制してきた。

それでもオーストラリア政府は、この転換を「同盟関係の否定」ではなく、「価値に基づく原則的外交政策」として位置づけており、新たな自立外交の方向を明確にしている。

Scarcity of food in Gaza is increasingly causing malnutrition and severe hunger among the population as the war continues. Credit: WHO
Scarcity of food in Gaza is increasingly causing malnutrition and severe hunger among the population as the war continues. Credit: WHO
ハマスによるトランプ和平案の条件付き受諾

同時に、ハマスは2025年9月下旬に発表されたトランプ政権のガザ和平案(20項目)を一部受け入れる姿勢を示した。エジプト、サウジアラビア、カタールの協力を得て策定されたこの枠組みは、即時停戦、イスラエル人全人質の解放、そして国際管理下でのパレスチナ暫定統治機構の設立を柱としている。

ハマスは、人質解放と統治移行の項目は受け入れたが、完全武装解除には応じず、「占領が終わるまでは抵抗する権利がある」と主張した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は国内外からの圧力の中で、「ガザの非武装化と国境管理にイスラエルの監督権を維持する」という条件付きで賛意を示している。

米政府はこの部分的受諾を「建設的な一歩」と位置づけ、カイロでの即時対話を促しているが、安全保障上の保証、東エルサレムの地位、復興資金の管理をめぐる溝は依然として大きい。

それでも、主要国の仲介のもとでイスラエルとハマスが同時に交渉に臨むのは2021年以来初めてのことであり、微妙ながらも外交的進展を示している。

広がる再編の兆し

オーストラリアの承認とハマスの柔軟姿勢という二つの動きは、国際社会によるイスラエル・パレスチナ問題への取り組みが新たな段階へと入ったことを象徴している。

前者はパレスチナ国家の正統性を国際的に認める動きであり、後者はパレスチナ側の政治行動が対決から対話へと変化しつつある兆候だ。

この両者の動きが重なることで、国際社会には新たな多国間外交の余地が生まれた。もし西側の承認の流れと現地での交渉の動きが並行して進めば、「承認」と「交渉」が相互補完的に進行する新しい和平アプローチが形成される可能性がある。

リスクと展望
Donald Trump/ The White House
Donald Trump/ The White House

オーストラリアにとって今回の承認は、アラブ諸国やイスラム圏との関係強化、貿易・エネルギー協力の拡大、そしてグローバル・サウスにおけるソフトパワーの向上など、多面的な好機を開く可能性がある。

一方で、イスラエルや米国との戦術的摩擦を招く恐れもあり、両国から「時期尚早」あるいは「政治的動機による判断」と見なされるリスクもある。

ハマスとイスラエルにとっても、トランプ和平案は「最後の外交的チャンス」となりうる。もしこの機会を逸すれば、再び衝突が激化し、芽生えつつある国際的信頼が失われる危険がある。

結論

オーストラリアによるパレスチナ承認と、ハマスのトランプ案への関与は、ガザの人道的緊急性と長期膠着への疲弊が生み出した新たな外交モメンタムを象徴している。

この動きが継続すれば、中東和平に対する世界のアプローチは根本的に再定義されるかもしれない。危機の「管理」から、主権の「構築」へ―。

この瞬間が真の転換点となるのか、それとも長い紛争の一時的な小休止に過ぎないのかは、国際社会と地域の指導者たちが「承認」を「解決」へと結びつけられるかどうかにかかっている。(原文へ

INPS Japan

廃墟から承認へ:ガザ

G7が動く―パレスチナ国家承認に向けた西側の外交転換

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国連総会80周年:嘘は真実よりも速く広がる

ニューヨークINPS Japan/IPS=ベン・マロー

⚠️ 警告――危険信号――警報:
ノーベル平和賞受賞者マリア・レッサ氏は、嘘が意図的に武器化され、世界の人々を操作する手段として利用されていると警告している。

巨大な営利主義的企業がテクノロジーを駆使し、事実と真実の神聖性を軽視または踏みにじりながら、AIを用いた偽情報の拡散を加速させている。その結果、真実は瞬く間にかき消され、人々は巧妙に操作されているという。

いまや民主的選挙そのものが操作され、世界の約72%の人々が、「民主的に」選ばれたはずの自由を制限する、または権威主義的な政権の下で暮らしている。

ジャーナリズム、ファクトチェック、そして公共の信頼が、情報の真正性を意図的に歪める勢力によって攻撃されている。

本稿では、筆者がマリア・レッサ氏に行ったインタビューを紹介する。

(制作・監督・編集:国連ニュース・メディア部のポリーナ・クビアク氏およびアルバン・メンデス・デ・レオン氏)

ベン・マロー氏は、国連ニュース編集部チーフ・エディター(Chief Editor, UN Dailies)である。

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気候変動時代に「時代遅れ」となる印パ水利協定

【ニューデリーランジットSciDev.Net=ランジット・デブラジ】

印パ間の水利を定める協定が、気候変動など新たな課題を考慮して強化されるべきか、あるいは完全に破棄されるべきか――両国の緊張が高まるなかで、水資源専門家の間で議論が起きている。

インダス川水利協定(Indus Water Treaty)は、65年間にわたりインダス川の水をインドとパキスタンで分配してきたが、両国の北部地域はいずれもその水に大きく依存している。しかし今年4月、パキスタンから越境したとされる武装勢力によるインド支配地域カシミールでの観光客26人殺害事件を受け、インドはこの二国間協定を停止した。

スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相は、「パキスタンが越境テロ支援を信頼できるかたちで、かつ不可逆的に停止するまで、協定は凍結される」と述べ、今後のインダス川水の行方をめぐって専門家たちの間で憶測を呼んでいる。

長期的にはパキスタン下流域に影響も

スリナガルのイスラーム科学技術大学学長で、水文学・氷河学の専門家であるシャキール・アフマド・ロムシュー氏は、協定停止が短期的にインダス川の流量に大きな影響を与える可能性は低いとする一方で、「しかし10年を超える長期的な視野で見れば、上流国であるインドが流量をより強力に調整する能力を持つようになり、現在の行き詰まりが続けば下流のパキスタンの水利用に影響が及ぶ可能性がある」と指摘する。

ロムシュー氏によれば、中国やアフガニスタンを含めた流域全体の新たな多国間条約の構築は「政治的緊張を考えると非現実的」であり、「むしろ、現行の枠組みの中で、気候変動、地下水、汚染、水資源の変動性など共通の課題を盛り込み、協定を強化するのが現実的な道筋だ。」と述べた。

再交渉か、条件付き再開か、破棄か

ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)のリスク・災害削減学部のダン・ヘインズ准教授は、「最も現実的な解決策は協定の再交渉である」と述べたうえで、「他の選択肢としては、条件付きの協定再開、または完全な破棄が考えられる。」としている。

パキスタン国民の10人中9人がインダス川流域に居住しており、カラチやラホールなどの大都市は飲料水をインダス川とその5つの支流に依存している。国の灌漑農業の約80%も同流域の水に頼っている。

インド側の改定要求とデータ交換の断絶

インドはここ10年以上、気候変動、ヒマラヤ氷河の融解、最新の工学技術などを協定に反映させるよう求めてきたが、パキスタンはこれを拒否し、結果として協定で義務付けられたデータ交換や意思疎通が途絶えている。

ロンドン大学キングス・カレッジのクリティカル地理学教授ダーニッシュ・ムスタファ氏は、「これはひどい協定だ。もはや時代遅れであり、カシミール人を含むすべての利害関係者の意見を取り入れた新たな協定が必要だ。」と語る。

Map showing Indus River Basin without boundaries of disputed region. (By Kmhkmh and boundaries of disputed regions removed by Fowler&fowler).
Map showing Indus River Basin without boundaries of disputed region. (By Kmhkmh and boundaries of disputed regions removed by Fowler&fowler).

「この協定はすでにインダス川の脆弱な生態系を破壊し、何百万人もの漁民から生計を奪っている。」

協定の構造的欠陥と国際法の視点

インダス川水利協定は、主にカシミールを流れる水をめぐる両国の領有権争いに常に影を落とされてきた。1960年、世界銀行の仲介で長年の交渉を経て締結された同協定は、5つの支流を分割し、東部のスートレジ川、ベアス川、ラヴィ川をインドに、西部のインダス川、ジェルム川、チェナブ川をパキスタンに割り当てた。インドには航行、水力発電、農業など非消費的利用の限定的権利のみが認められたため、両国間の争いが長く続いている。

ムスタファ氏は「敵対と分離がこの協定のDNAに刻まれている」と述べ、「土地の分割(1947年のインド・パキスタン分離独立)とは異なり、水は分割できない」と指摘する。結果として「壊滅的な洪水、デルタ地帯の環境悪化、パキスタン灌漑地帯での栄養失調の蔓延」という現実が生まれたと語った。

国際法に基づく再設計の可能性

もし再交渉が行われれば、国際法上の国際水資源に関するルールを明文化した2014年の国連水系条約(UN Watercourses Convention)が参考になる可能性があるとヘインズ氏は述べる。

「インドとパキスタンが協力し、インダス川流域全体の水資源の共有のあり方を根本から再考することに合意すれば、国連水系条約を出発点にできるだろう。しかし、両国とも現行の水利用モデルに強く固執しているため、実現の可能性は低い。」と付け加えた。

ムスタファ氏はまた、インドに東部3河川の独占利用権を与えたことは、下流国としてのパキスタンに一定の権利を認める国際法の原則と矛盾していると指摘する。「インドがこれらの河川の水を容易に転用することはできない。モンスーン期には国内で洪水を引き起こすおそれがあるからだ」と述べた。

軍事的緊張の激化と停戦

パキスタンは4月22日の殺害事件への関与を否定し、協定の停止を「宣戦行為」と非難した。これに対しインドは、パキスタン国内の武装勢力訓練キャンプを標的とした空爆で報復し、戦闘機、ミサイル、無人機が応酬する4日間の激しい衝突が発生した。5月10日に停戦が成立するまで戦闘は続いた。(原文へ

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太平洋の気候共同戦線に深海鉱物資源めぐる分断の兆し

【Global Outlook=コライア・ライセレ、エイダン・クレイニー 】

この記事は、2025年9月1日に「The Conversation」に初出掲載され、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で再掲載されたものです。

太平洋島嶼国は近年、気候行動の旗手として世界的な信頼を得てきた。太平洋のリーダーたちは、海面上昇を存亡の脅威と見なしている。

しかし、この共同戦線が今、緊張下にある。一部の太平洋諸国が、物議をかもす新産業、深海鉱業に乗り出しているからだ。ナウル、クック諸島、キリバス、トンガは、新たな収入源に惹かれ、深海採掘の実現化に向けて最も先を進んでいる。しかし、フィジー、パラオ、バヌアツなどの国々は、公海における深海採掘の一時停止を求めている。(日本語)(英語)

環境への影響不明確であるものの重要になり得る産業について、経済的利益の可能性とリスクを天秤にかけて太平洋地域の世論が割れることはしばしばある。緊張が高まれば、太平洋地域の分断を招き、気候問題に関するこの地域の道徳的権威を損なう恐れがある。

深海採掘に対する懸念は何か?

深海採掘がターゲットとする鉱物資源には三つのタイプがある。深海底平原に散らばる多金属団塊(マンガン団塊)、海山のコバルトリッチクラスト、熱水噴出孔周辺の鉱床である。

これらを採掘するため、採掘企業は無人採掘機を使って鉱石を海面まで汲み上げ、排水を海に戻す。このため海底の堆積物による海の濁りが生じ、海洋生物を窒息させる恐れがある。陸上採掘による種への悪影響を最小限に抑える方法は、深海ではほぼ実行不可能である。

深海生態系はほとんど解明されていないが、その回復に時間がかかることは分かっている。40年以上前に試験掘削を行ったエリアには今なお物理的損傷が残り、固着性のサンゴや海綿は依然としてまばらであることを、研究者らは明らかにしている深海採掘への関心はなぜそれほど高いのか?

深海採掘は、国際海底機構が採掘に関する規則をまだ最終決定していないことから、まだどこでも本格的には開始されていない。同機構は、領海を除いて、世界の海域の54%を管轄している

しかし、それでもなお、そのような規則がなくとも、海底採掘事業の計画を提出し、検討することはできる。

海底鉱物資源は30兆豪ドルという巨額の価値を有する可能性があると、アナリストらは推定している。最も豊かな鉱床の一部は、太平洋諸国から数千キロメートル離れたハワイとメキシコの間にある公海のクラリオン・クリッパートン海域に存在する。国際法に基づき、企業は公海で独自に採掘を行うことができない。国家政府が企業を公的に後援することが必要であり、国家はその操業に対して実効的な管理を維持しなければならない。

深海採掘企業が太平洋諸国をこれほど有用なパートナーと見なす理由の一つは、これらの国々が開発途上国のために確保された国際海底の保留区域を利用でき、また、多くの島嶼国周囲の非常に広大な領海に眠る潜在的資源を利用できるからである。

ナウルトンガクック諸島キリバスの支援者らは、マンガン、コバルト、銅、ニッケルの需要が拡大することで、大きな経済的利益がもたらされ、経済の多様化が実現する可能性があると主張する。

ナウル

ナウルには海鳥の排泄物の化石グアノが大量に堆積し、長い間肥料として需要があったため、かつては国が豊かであった。しかし、グアノはほとんど枯渇し、それ以外の資源はこの小国では限られている。

ナウルは、海底採掘企業The Metals Companyの完全子会社であるNauru Ocean Resourcesのスポンサーとなっている。2011年、同社はナウルから8,000 km以上離れたクラリオン・クリッパートン海域における多金属団塊の探鉱を許可する契約を国際海底機構と結んだ。

それ以降ナウルは、国際海底の団塊採掘に関する国際的な法的枠組みを策定するうえで「主導的な役割を誇らしく果たして」きた。 2025年6月、ナウル政府は、Nauru Ocean Resourcesが開発ライセンスを申請する見込みであることを示唆した

トンガ

トンガ政府も同様に、クラリオン・クリッパートン海域における採掘探査のためにザ・メタルズ・カンパニーと提携して海底採掘を行うことを支持している。

2025年8月、トンガは、ザ・メタルズ・カンパニーの子会社であるトンガ・オフショア・マイニング社との契約更新に署名した。この契約が最初に締結されたのは2021年、国民との協議がないことに対する大規模な批判のさなかであった。

採掘企業は、経済的利益から、奨学金、コミュニティープログラムまで多岐にわたる新たな便益を約束している。それでもなお、改定された契約に対して、市民社会、若者、法律専門家から反対の声が上がっている。トンガの有力者らは納得しておらず、環境リスク、法的リスク、透明性のリスクを挙げている。

このような状況の背後には経済的圧力がある。トンガは、中国輸出入銀行に推定1億8,000万豪ドルの負債がある。これは、トンガの年間GDPのおよそ4分の1に当たる。

クック諸島

クック諸島を構成する15の島は広く散らばっており、そのため政府はほぼ200万平方キロメートルの海域に対する排他的権利を有している。政府は、排他的経済水域内の探査ライセンスを、Cook Islands ConsortiumCIIC Seabed Resources LimitedMoana Mineralsの3社に付与した。クック諸島政府は 国内の規制枠組みを確立しており、現在は研究能力の構築を行っている。

キリバス

キリバスの環礁や島は、それ以上に広く散らばっている。同国の排他的経済水域は約340万平方キロメートルに及ぶ。国有のMarawa Research and Exploration社は、海底機構と15年間の探査契約を結んでいる。キリバスは、協力の可能性を検討する目的で中国との協議を開始した

太平洋地域の分断
Pacific Islands Map/ Pacific Islands Forum Secretariat
Pacific Islands Map/ Pacific Islands Forum Secretariat

収益は太平洋地域にとって大きなものになる可能性がある一方で、コスト、技術、環境に対する責任は極めて不確かである。

パプアニューギニア(PNG)の経験は教訓となる。2019年、PNGの深海採掘ベンチャーSolwara-1が地域社会を受けて倒産した。その結果、政府は推定1億8,400万ドルの損害を被った。PNG政府は、領海内の深海採掘に対して現在は反対している

深海採掘を今や明確に支持する人々がいる一方で、はるかに慎重な国々もある。

2022年、パラオは公海での採掘の一時停止を求める同盟を発足させた。早期の署名国は、フィジーアメリカ領サモアミクロネシア連邦である。それ以降、ツバル、バヌアツ、マーシャル諸島のほか、数十カ国が加盟している。PNGはまだ加盟していない。

これら太平洋諸国の反対は、知識が限られ悪影響が起こり得る状況では警戒を優先するべきであるという予防原則に基づいている。

深海採掘に対する最も顕著な反対者の中に、太平洋の若者たちがいる。市民社会、信仰集団、女性組織、若者のネットワークをまとめる地域連合Pacific Blue Lineは、同地域における全面禁止を一貫して求めている。若者たちは公然と声を挙げており、例えばトンガでは若い活動家が協議不足を批判し、計画反対の声を結集しており、また、クック諸島では若者たちが透明性を要求している。

評判に暗雲?

太平洋のリーダーたちは、首尾一貫した気候外交で世界的な評判を築いてきた。彼らは1.5°C目標を擁護し、南太平洋大学の学生たちが提起した要請には、国際司法裁判所が気候変動に関する重要な勧告的意見を新たに発出した。

太平洋のリーダーの一部が深海採掘に門戸を完全に開いた場合、それは環境問題に対する地域の共同戦線を弱体化させる危険を冒し、その信頼性を脅かすものだ。

この状況がどのように展開するかは、今後世界が気候と海洋の問題に関する太平洋の声にどこまで耳を傾けるかを方向付けるだろう。

コライア・ライセレは、ラトローブ大学の人類学博士候補生である。
エイダン・クレイニーは、ラトローブ大学の人類学および開発学の研究員である。

INPS Japan

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人権抑圧国家が国連人権理事会の議席を獲得へ

【ニューヨークIPS=ヒューマン・ライツ・ウォッチ】

エジプトとベトナムが、国連人権理事会の議席を確保しようとしている。だが両国は、その資格を著しく欠いている。国連総会は10月14日、2026年1月から始まる3年任期の理事会メンバーを選出する予定であり、今回の選挙は競争のない形で行われる。

「国連の非競争的な投票は、エジプトやベトナムのような抑圧的な政府を人権理事会に送り込み、理事会を形骸化させかねない。加盟国は、人権侵害を繰り返す政府に、議席を“銀の皿に載せて差し出す”ようなことをやめるべきだ。」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のルイ・シャルボノー国連ディレクターは警鐘を鳴らした。

今回の選挙では14か国が立候補している。エジプト、アンゴラ、モーリシャス、南アフリカがアフリカ4議席を争い、インド、イラク、パキスタン、ベトナムがアジア4議席に立候補している。ベトナムは現在も理事会メンバーで再選を目指す。ラテンアメリカ・カリブ諸国からはチリとエクアドル、西欧グループからはイタリアと英国が、それぞれ2議席を無競争で狙う。中・東欧グループではエストニアとスロベニアが2議席を競う。

2006年に人権理事会を設立した国連総会決議60/251は、投票国に対し、候補国の「人権促進および保護への貢献を考慮するよう」求めている。理事会加盟国には、国内外で「人権の促進と保護において最高水準を維持し、理事会に全面的に協力する」義務がある。しかし、加盟に必要なのは193か国中の単純過半数による秘密投票のみであり、実際には全候補がほぼ確実に当選する見通しだ。

それでもHRWは、明らかに不適格な国に投票すべきではないと訴える。

エジプトとベトナム:抑圧の実態

アブデルファッターフ・アル=シーシ大統領率いるエジプト政府は、平和的な批評家や活動家を体系的に拘束・処罰し、言論の自由を事実上犯罪化している。治安部隊はほぼ完全な不処罰のもとで深刻な人権侵害を行っており、主に平和的な抗議者数百人を殺害し、被拘禁者に対して組織的かつ広範な拷問を加えている。これらの行為は、人道に対する罪に該当する可能性が高い。さらに政府は、自国民がジュネーブの人権理事会と関わることを妨害し、関与した者を報復的に処罰している。国連専門家の訪問要請も無視している。

ベトナムでは共産党が政治権力を独占し、指導部へのいかなる挑戦も認めていない。表現、集会、結社、信教の自由は厳しく制限され、活動家やブロガーは警察による威嚇、嫌がらせ、移動制限、恣意的拘束などに直面している。

他の候補国の問題点

モーリシャスと英国は、チャゴス諸島の主権をモーリシャスに認める条約に署名したが、1965年から1973年にかけてチャゴス人を強制移住させた人道に対する罪や帰還権を未解決のまま放置している。両国は国際人権義務を遵守し、チャゴス人に効果的な救済と補償を提供すべきだ。

アンゴラのジョアン・ロレンソ大統領は人権保護を誓っているが、治安部隊による政治活動家や平和的抗議者への過剰な暴力行使が続いている。南アフリカはパレスチナ問題などで責任追及の姿勢を示しているが、ロシアや中国による人権侵害にも同様に毅然と対応すべきである。

インドのナレンドラ・モディ首相率いる人民党(BJP)政権は、国連専門家の入国を拒否している。モディ氏の政党幹部や支持者は、ムスリムやキリスト教徒を繰り返し中傷・攻撃しているが、当局はしばしばそれを放置し、抗議した側を処罰している。

パキスタンは、反テロ法や扇動罪を用いて平和的批評家を威嚇するのをやめ、冒涜罪を撤廃すべきだ。少数派や社会的弱者への暴力を扇動・実行した者を訴追する必要がある。

UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri

イラクでは2024年に同性愛関係やトランスジェンダー表現を犯罪化する法律が制定され、LGBTの人々への暴力と差別が横行している。活動家やジャーナリストへの弾圧も強まっている。

エクアドルでは、ダニエル・ノボア大統領が2024年1月に「国内武装紛争」を宣言して以降、司法の独立が脅かされ、治安部隊による深刻な人権侵害が発生している。

チリではガブリエル・ボリッチ大統領が世界の人権侵害に対し積極的に発言しているが、国内では人種差別や移民への虐待が依然として課題だ。

英国では、パレスチナ支持や気候変動対策を訴える平和的デモ参加者が多数逮捕・投獄され、集会の自由が抑圧されている。

イタリアは、海上救助活動の刑事化や阻止をやめ、リビア当局による難民送還を容認すべきではない。リビアでは送還者が恣意的拘禁や深刻な虐待にさらされている。また、2025年の国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状に違反し、容疑者をハーグではなくリビアへ送還したことも問題視されている。

理事会の役割と資金危機

人権理事会は、シリア、ミャンマー、北朝鮮、ロシア、ウクライナ、イスラエル/パレスチナなどの人権侵害を調査してきた。最近では、アフガニスタンのすべての当事者による重大犯罪を調査する任務を設置し、スーダンの実態調査団の任期も延長した。

しかし、まだ多くの国と事案が精査を要する。理事会は、中国による新疆ウイグル自治区での人道に対する罪、米国による麻薬密輸容疑者への超法規的殺害など、大国の責任追及にも踏み込むべきだ。

こうした調査を信頼性のあるものにするためには、資金が不可欠である。各国は国連分担金を速やかに納付し、任意拠出金を増やす必要がある。これは、トランプ前政権による国連への拠出停止や、中国などによる遅延支払いで深刻化した財政危機の中で、独立した人権調査を守るために重要である。

「人権理事会は、数々の調査活動を通じて多くの命を救ってきた。これらの調査は、政府や武装勢力による新たな虐待を抑止している」とシャルボノー氏は述べた。「すべての政府は、理事会が職務を果たせるよう、国連分担金を速やかに支払うべきだ。」(原文へ

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