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|国連|開発資金の「隠れた財源」をターゲットに

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連は9月に世界の指導者らが採択した17の持続可能な開発目標(SDGs)を含むポスト2015開発アジェンダの履行には、年間3.5兆から5兆ドル(約432~676兆円)もの高額な財源が必要と見積もっている。

しかし未だに答えが出ていない重要な問題がある。それは国連がどのようにして裕福な国々や多国籍企業を説得し、2030年までの貧困飢餓の撲滅という目標を含むこのグローバル目標を達成するための、巨額な財源集めに協力を取り付けるのかという点である。

Illicit Financial Flows from Africa/ OECD

国連によると、主に世界で最も貧しい大陸(=アフリカ)の開発に充てる「隠れた財源」が少なくとも1つあるという。それは、年間500億ドルにものぼるとみられているアフリカ大陸からの不法な資金流出の流れを押さえるというものである。

国連貿易開発会議(UNCTAD)の投資・企業担当のジェームズ・ザーン局長は、各国の代表団に対して、「アフリカ諸国で持続可能な開発目標を達成するには、不法な資金流出の問題に取り組むことが不可欠」としたうえで、「2002年から2012年の間に不法な資金転送の形でアフリカから流出した金額は5300億ドル近くにのぼります。」と指摘した。

ザーン局長はさらに、「これらの資金は、本来ならばアフリカ諸国の経済開発や構造改革のために投資できたはずであったことを考えると、アフリカ大陸全体の開発にとって、これは巨額の損失にほかなりません。」「不法な資金流出は、組織を蝕み、国から本当に必要な経済資源を奪い、開発のための資源基盤を減らし、財源不足を補うために国民への税負担を重くする結果を招いてきました。」と語った。

17のSDGsにはまた、質の高い教育健康と福祉の増進ジェンダー平等持続可能なエネルギー環境保護持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップが含まれている。

第3世界ネットワーク(TWN)のブミカ・ムチャラ上級政策研究員はIPSの取材に対して、「不法な資金流出の三大原因は、脱税・犯罪活動・政府の腐敗だと広く考えられています。」と語った。

ムチャラ研究員は、資金流出の主な原因として、資金洗浄や麻薬密輸、人身売買等の犯罪活動と並んで、多国籍企業(とりわけ採取産業)による脱税、税金逃れ、送金時の不正経理処理などが挙げられます、と語った。

Bhumika Muchhala of Third World Network. Credit: UN Photo/Paulo Filgueiras

「多くの社会運動、非政府組織(NGOs)、学者、政策責任者が指摘しているように、こうした不正行為は偶然起こるものではありません。」とムチャラ研究員は語った。

多くの国々や組織が積極的にこうした違法行為を容易にし、途上国から吸い上げた巨額の資金から利益を享受している。

「こうした巨額の資金流出は、(先進国が)数十年に亘って実施してきた経済援助を台無しにするのみならず、将来の世代が経済援助への依存を乗り越えて育っていく機会を阻むものです。」とムチャラ研究員は付け加えた。

「アフリカからの違法資金流出に関するハイレベルパネル」は、昨年実施した調査の結果、違法資金の流れに対処していくことは、もはや選択肢ではなく急務であると結論付けた。

国連アフリカ経済委員会(ECA)が設置した同ハイレベルパネルは、アフリカ連合に対して、パートナー機関と協働して、不法な資金流出が明らかになった場合に資産を凍結・管理したりアフリカの本国に取り戻せる条件を定めたグローバル・ガバナンス枠組みを作るよう呼びかけた。

国連韓国政府代表部大使で国連経済社会理事会(ECOSOC)議長の呉俊(オ・ジュン)氏は、10月の国連ハイレベルパネル会議で各国代表団を前に、「アフリカも他の地域と同じように、大陸域内から資金を動員しなければならないだろう。」と語った。

Oh Joon, Ambassador and Permanent Representative of Republic of Korea
Oh Joon, Ambassador and Permanent Representative of Republic of Korea

呉大使はまた、「違法な資金流出は、アフリカ諸国にとって、貴重な外貨準備高の喪失、税収入基盤の浸食、天然資源投資機会の損失を意味します。」と指摘したうえで、「年間当たりの不法な資金流出金額が約500億ドルにのぼるなか、このような流れが続けば、国内で資金動員する有効性は大幅に減少することになるでしょう。」と語った。

セネガルのマッキー・サル大統領は、9月の国連総会ハイレベルセグメントにおける演説の中で、「アフリカからの不法な資金流出の規模は、アフリカ大陸全体に対する各国からの政府開発援助の総額(年間約5000億ドルから5500億ドル)を実質上回っています。」「もしこうした流出額の17%でも回収できれば、アフリカ諸国は現在抱えている負債を全額返済し、さらに自国の開発プロジェクトに対する資金供給を自らの手で行うことができるようになるでしょう。」と語った。

UNCTADのザーン局長は、「アフリカは世界で唯一、不法な資金流出額の規模が国民総所得(GDP)の5%に達している地域です。」と指摘したうえで、市民社会を強化して透明性と説明責任を明らかにするとともに、制度改革を進め、反腐敗委員会を設立するよう呼びかけた。

ザーン局長はまた、「アフリカ諸国はこの問題に立ち向かう大きな責任がありますが、その意味では国際社会も同じです。」と語った。

「アフリカ諸国の取り組みだけでは問題解決は期待できません。多国籍企業や外国直接投資もまた、解決に向けた重要な方策の一部です。UNCTADのような国連機関はアフリカ諸国の政府が投資政策を策定したり多国籍企業による税金逃れや違法行為に対処するためのアドバイスを提供することができます。」とザーン局長は語った。

ムチャラ研究員はIPSの取材に対して、多くの団体が欧州連合や米国における情報共有や政策の透明性を早急に改革する必要性を強調する一方で、多くのNGOsから成る主要な社会運動「租税正義ネットワーク」は、従来から脱税や税金逃れの問題に取り組むよう訴えてきた。

この点については、2014年から2015年にかけて第3回開発資金国際会議FfD3)に向けた交渉期間中に、(「税制関連の国際協力に関する国際専門家委員会」の権限を強化し)全世界の加盟国から権限を任された「徴税に関する政府間組織」の創設を呼びかけるキャンペーンが積極的に展開された。

しかし2015年7月にアジスアベバで開催された同国際会議では、この呼びかけは先進国の抵抗により、加盟国間のコンセンサスを得ることができなかった。

「この点は非常に残念でしたが、引き続き『徴税に関する政府間組織』の設置を求める開発途上国と世界各地の社会運動からの声は、今後も国連の内外で高まっていくでしょう。」とムチャラ研究員は語った。(原文へ

INPS Japan

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持続可能な開発のために世界市民教育を推進する

【パリIDN=A・D・マッケンジー

持続可能な開発目標(SDGs)が9月に採択されてから、持続可能な開発を促進したり、若者を「暴力的な過激主義者」に加わらせないようにするうえで世界市民教育(GCED)が果たせる役割について注目が高まっている。

「多くの国が、ますます暴力的な過激主義を問題視し、懸念を高めてきており、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)のアプローチは、世界市民教育を通じて加盟国に支援を提供するところにあります。なぜなら、世界市民教育は様々な価値観を重んじるものだからです。」とユネスコ保健・世界市民教育部門の責任者であるクリストファー・キャッスル氏は語った。

John Isaac/UN

キャッスル氏はIDNの取材に対して、「学校に通う子ども達が、全ての人を尊重することについて学び、『連帯や協力』といった価値観について考える機会をもつことは重要です。」と語った。

SDGsが「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」(目標4)を主要な目標にしていることについて、多くの政府が、この目標を履行するためには若者の声が考慮されなければならないと強調しており、それを達成する一つの方法が、世界市民教育を強化することである。

「暴力的過激主義への懸念は様々な国において『課題の最上位に』上りつつあり、各国政府は、過激主義を教育によっていかに予防するか様々な方法を検討しています。」とキャッスル氏はIDNの取材に対して語った。

「世界市民教育を通じて批判的に考える能力を伸ばしことが可能であり、その結果、学習者はお互いを尊重することのメリットを感じれるようになります。従って、SDGsの最終版が、持続可能な開発に向けた教育と世界市民教育に関する目標を含んでいることを嬉しく思っています。」

Christopher Castle, chief of UNESCO’s section for Health and Global Citizenship Education

「しかし、SDGsの実質的な意義は、ミレニアム開発目標でも叫ばれていた『教育へのアクセス』だけではもはや十分ではないという加盟国で高まっていた関心やコンセンサスを強調した点にあると思います。」

「これは引き続き重要なポイントですが、これに関連してユネスコが非常に関心を持っているのは、未だに学校に通えていない5700万人にのぼる子どもたちのことです。私たちはまた、こうした子どもたちが教育を受ける権利を行使できる機会を得た場合に彼らが学校で達成できる教育のタイプについても、もっと考え始める必要があると認識しています。」と、キャッスル氏は語った。

ユネスコによれば、世界市民教育の目的は、「人権や社会正義、多様性、ジェンダー平等、環境の持続性への尊重を基盤とし、それを涵養(かんよう)するとともに、さらに責任ある世界市民になるべく学習者を力づけるような価値観や知識、スキルをあらゆる年代層の学習者に授けること。」である。

また世界市民教育は、「全ての人々にとってより良い世界と将来を推進する権利と義務を実現する能力と機会」を学習者に授けるものでもある。またそれは、子ども、若者、大人と、すべての年齢層を対象としたものでもある。

世界市民教育はさまざまな方法で実施されるが、ユネスコによれば、ほとんどの国における主要な方法は、公的な教育制度を通じたものであるという。そうして諸政府は、世界市民教育という概念を既存のプログラムの一部として統合することもできるし、或いは、別個の課題とすることも出来る。

Global Education First Initiative
Global Education First Initiative

「世界市民」という価値は長年にわたって考えられてきたものだが、ユネスコは、「国連事務総長が「グローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ(GEFI)」を2012年に開始して以来、勢いが増してきた」としている。GEFIは、「世界市民の育成」を、「全ての子どもに学校教育を」と「学習の質の向上」に並ぶ3つの主要な任務の一つととらえている。

キャッスル氏は、「2017年にカナダで開催が予定されるユネスコの次の世界市民教育に関するフォーラムは、世界市民教育と持続可能な開発に関する教育の双方をテーマにすることになるだろう。」と語った。

「ユネスコは、たとえば米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のような高等教育機関と協力しています。UCLAはこのために教授職のポストを準備しました。またUCLAは、世界市民教育に関するサマースクールを計画しており、社会のさまざまな部門の人々が出会う機会を提供するでしょう。」とキャッスル氏は語った。

大学の重要な役割

大学はまた、保健とセクシュアリティに関する分野の学習においても、主要な役割を果たしている。ユネスコの専門家らは、「次の世代の指導者を抱える大学はきわめて重要だ」と指摘している。

「特定の問題に関する教育は国際的なものでなくてはなりません。なぜなら、たとえばHIVやエボラ出血熱のような疾病は国境とは関係なしに起きるからです。」と、キャッスル氏は語った。

キャッスル氏はまた、「女性の学生にとっては、早期の妊娠や望まない妊娠を避けるために、性教育を受けることがきわめて重要です。なぜなら、妊娠することで学業の妨げになったり、将来に響いてくることもあるかです。」と語った。

ユネスコは、「アジア太平洋国際理解教育センター」と協力して世界市民教育に関する情報センターを設立した。さらに、国際教育計画研究所(本部:パリ)を通じて運営される保健とHIVに関する情報センターにも市民はアクセスできる。

そこには、情報、政策文書、カリキュラム活動、行動計画、政府文書に関して、膨大な資料が収められている。

ユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長は、国々がミレニアム開発目標から持続可能な開発アジェンダへと移行する中で、世界が「若い人々のエネルギーを活用していく」必要があると語った。

Irina Bokova/ UNESCO/Michel Ravassard - UNESCO - with a permission for CC-BY-SA 3.0
Irina Bokova/ UNESCO/Michel Ravassard – UNESCO – with a permission for CC-BY-SA 3.0

「2030年にSDGsの期限を迎えるころには、若者人口は現在よりも7%増えているとみられています。したがって、SDGsを達成する可能性を高めようとするならば、彼らを今のうちに関与させておくことがきわめて重要です。」と、ボコヴァ事務局長は語った。

ボコヴァ事務局長は、学習の「人道的」側面を強調して、「教育とは単に情報や知識を伝えるためのものではなく、より『平和で、公正で、包摂的で、持続的な』世界に貢献できる価値観や能力、態度を提供するものである。」と、論じてきた。

ボコヴァ事務局長はまた、「教育は、文化間の尊重と理解を涵養し、学習者に『多様性を利用するツール』を与え、『すべての人々の利益のために若い男女のエネルギーを活用する』ことを可能にするものです。」と語った。

一方でユネスコの専門家らは、教育だけが「万能薬」となるのではないと認めている。世界の国々は、若者の失業を減らし、不平等を根絶し、包摂を促進するための努力をあわせて進める必要があるのである。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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闇に対する光の勝利を祝う

【テヘランIDN/イラン・レビュー=フィロウゼ・ミラザヴィ】

世界中のイラン人が、最も古くから続くペルシアの祭りの一つである「ヤルダー」を祝う。この祭りの起源は、ペルシア人のほとんどが、イスラム教が伝わる以前のゾロアスター教信者だった時期に遡る。

ヤルダーの祭りでイラン人は、冬の到来と太陽の再生、闇に対する光の勝利を祝う。

1年の内で最も夜が長いヤルダーの夜は、古代ペルシア人が、光の女神であるミトラの誕生を祝う夜である。

「誕生」を意味するヤルダーは、ペルシア語に引き継がれた古代シリア語である。これはまた、「シャブ・エ・チェレー」(Shab-e-Chelleh)とも呼ばれ、秋の終わりの夜でもあり、1年で最も長い夜でもある冬至(12月21日)の儀式である。

古代ペルシア人は、1年で最も夜が長い日には邪悪な力が支配的になるが、その翌日は「智恵ある神」である「アフラ・マズダー」(Ahura Mazda)に属すると信じていた。

イランに加えて、アフガニスタンやタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、それにアゼルバイジャンやアルメニアのような一部のコーカサス諸国にも同じ伝統があり、毎年この時期にはヤルダーの夜を祝う。

この夜、(通常はその最も年長者の家に)親族が一堂に会し、一晩を寝ずに過ごす。恩寵を与える神へのお供え物としてナッツやスイカ、ザクロが出され、古典的な詩や古くからの神話が読み上げられる。

イラン人は、冬の到来を夏の果実を食べることで迎えた者は、寒い季節の間、無病でいられると信じている。従って、メロンを食べることは、この夜の最も重要な伝統の一つなのだ。

フルーツの入った籠の一番上に盛られたザクロは、世代の再生と復活を意味する転生を思い起こさせるものだ。ザクロの外側を覆う紫は、誕生あるいは夜明けを、鮮やかな赤い種は人生の熱情を象徴する。

古代ペルシャ人は、日が長くなってくると、冬の最初の晩(今年は12月21日だった)に闇が光に打ち負かされ、一晩中その祝いをしなくてはならないと信じていた。13世紀のイランの詩人サーディが詩集『(果樹園)ブースタン』の中で、「真の朝は、ヤルダーの夜が過ぎるまでは訪れない」と書いている。

初期のキリスト教徒はこの古代ペルシアの祝いを、光の女王であるミトラと預言者イエス・キリストの誕生日に結びつけた。「太陽と預言者イエス・キリストはその誕生において互いに近づいた。」と、あるイランのヤルダーの物語は記している。

今日、クリスマスはヤルダーの夜から数日離れた日に祝われている。しかし、クリスマスとヤルダーは、一晩中特別な食べ物を共に家族や友人と過ごすという点で、似たような形式で祝われている。

ペルシアを含めたほとんどの古代文化では、太陽暦の始まりは、闇に対する光の勝利や太陽の再生の祝いでもってなされる。たとえば、4000年前、エジプト人は太陽の再生を1年のこの時期に祝っていた。その祭りは、陽暦が12分割されていることを反映して、12日間続いた。

古代ローマの祭り「サトゥルナリア」(農業の神サターン)と「ソル・インヴィクタ」(太陽神)は、西洋世界において最もよく知られた祝祭だ。

"Sunset 2007-1" by Alvesgaspar - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Commons
“Sunset 2007-1” by Alvesgaspar – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Commons

イラン人は、再生の祭りをバビロニア人から採り、ゾロアスター教の儀礼に組み込んだ。ペルシア月「アザール」の最後の日は、1年のうちで最も長い夜であり、邪悪な力が最もその力を増す日だとみなされている。

その翌日は、「コーラム・ルーズ」あるいは「コーレ・ルーズ」として知られる、「デイ」月の最初の日(太陽の日)であり、これは「智恵の神」であるアフラ・マズダーに属している。この日を境に日が長くなり夜が短くなっていくことから、この日は闇に対する太陽の勝利の日ということになる。この日は、「デイ」月の最初の日にアフラ・マズダーに捧げられる祭り「デイガン」として祝われる。

邪悪な力の敗北を確固たるものにするために火が一晩中焚かれる。祝宴や寄付行為、そして祈りが、太陽の完全なる勝利を確定するために催される。これは、冬の作物の保護のために絶対に必要なことなのだ。ミトラ(メール)への祈りとそれに捧げる祝宴がある。なぜならミトラは、「ハバンガ」として知られる「早朝の光」を守る責務を負ったアイザド(=神:Yazata)だからだ。アフラ・マズダーは、すべての儀礼がこの際になされたならば、とりわけ子供を授かることを望む者に対して望みを聞き入れるとされている。

祝祭の趣旨の一つは秩序の一時的な転覆というところにある。主人と従者は役割を交代する。白衣の王は市井の民と場所を替わる。偽の王が戴冠し、仮面舞踏会が街頭で行われる。古い日々が過ぎ去るにつれ、日常生活の規則は緩んだ。この伝統はササン朝以前まで生きており、有名な科学者で旅人のアル=ビルーニ氏やその他の人びとによって、イスラム以前の儀式と祝祭を記録するなかで言及されている。

その起源は、古代バビロニアの新年の祝いにまで遡る。彼らは、最初に創造されたのは、混沌の中から生まれた秩序だと考えていた。創造に感謝し祝うために、彼らは祝祭を催し、すべての役割がひっくり返された。その日は無秩序と混沌が支配し、その後、祝祭を終わらせるに際して秩序が回復された。

イラン最古の住人であるユダヤ人は、「シャブ・エ・チェレー」に加えて、ほぼ同時期に「イラナウト」(木の祭り)の祝祭を行う。

イラナウトの祝いは「シャブ・エ・チェレー」によく似ている。蝋燭が灯され、数々の乾燥あるいは生の冬の果実が食される。特別な食事が準備され、祈りが捧げられる。ロシア南部の一部でも祝祭があり、地域的なバリエーションを持った「シャブ・エ・チェレー」と同じものである。人間と動物をかたどった仔牛肉が焼かれる。焚火の周りで、収穫の動きに似せた踊りを人々は舞う。

これらすべての祝祭の比較と詳細な研究によって、にぎわいを主たる趣旨とした古代からのこの素晴らしい祝祭の忘れられた側面に光が当てられることになるだろう。

この数百年で加えられたヤルダーの夜の別の伝統は、14世紀イランの詩人ハフェズ氏の古典詩の朗読である。

家族の一人一人が願い事をし、適当に開けた本のページを家族の最年長者に音読するように依頼する。詩に表現されていることが、願い事の解釈であり、それが実現するか、どのように実現するかを表すと信じられている。これは、「ファアル・エ・ハフェズ」(或いはハフェズの占い)と呼ばれている。

冬の始まりと時期を合わせたヤルダーは、収穫期の終わりを祝う機会でもある。それは今日、神の全ての恩寵を感謝し、翌年の繁栄を祈る集まりになっている。(原文へ

※フィロウゼ・ミラザヴィは「イラン・レビュー」の副編集人。この文章は元々、12月21日の「イラン・レビュー」に「ヤルダーの夜を祝う」というタイトルで発表されたもの。

INPS Japan

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カザフスタン大統領、軍事費の1%を開発予算に充てるよう訴える

【国連IDN=ロドニー・レイノルズ】

17の持続可能な開発目標(SDGs)を含む国連のポスト2015開発アジェンダを成功裏に履行するには、資金をいかに調達するかが切実な課題となっている。SDGsには、2030年までに世界中から飢餓貧困を撲滅するという野心的な目標も含まれている。

しかしこの捉えどころのない目標を達成するには、国連が公的部門と民間部門双方から年間3.5兆から5兆ドルという途方もない額の開発資金を集める手助けができるということが前提条件となる。

潘基文国連事務総長は、9月の国連総会(193カ国が加盟)において、「なぜ人々や地球を守るための資金よりも破壊するための資金を見つけるほうが容易なのだろうか?」と問いかけた。潘事務総長は正しくも、世界が引き続き軍事支出に1兆ドルを超える莫大な予算を浪費している現実を指摘した。

昨年(2014年)、世界の軍事支出の合計は1.8兆ドルにのぼったが、これは世界全体の国内総生産の約2.5%に相当する。

カザフスタンのヌルスタン・ナザルバエフ大統領は、国連総会と「持続可能な開発に関するサミット」で演説した際、今日の新たな政治・経済秩序に焦点を当てながら、3つの提案を行った。

1つ目はSDGsに関するもので、全ての国が軍事費の1%を持続可能な開発目標を履行するための資金に回すよう強く訴えるとともに、それを国連が先導し、フォローアップするべきだと語った。

2つ目は国連の機構改革に関するもので、国連経済社会理事会(ECOSOC)をグローバル開発理事会へと改組し、新しい理事会の構成内容を従来の国連総会で選ばれる加盟国の他に、国際通貨基金(IMF)を含む国連の専門機関のトップを加えるよう提案した。

ナザルバエフ大統領は、グローバル開発理事会の役割について、「世界的な経済成長を促進する目的で同理事会が実施するプロジェクト関連の調整機関とするべきであり、そうすることによって、世界的な経済危機が発生するリスクを大幅に削減し、各国に対して国内の経済・社会政策を維持するうえで、責任ある行動をとらせる一助となる。」と指摘した。

そして3つ目として、公平な条件に基づくグローバル開発の新傾向を打ち出すことを主眼とした「グローバル戦略イニシアチブプラン」を提唱した。この構想では、全ての国々が、人間開発に関する包括的な説明責任を負うと同時に、世界のインフラや資源、市場への平等なアクセスが保障されるというものである。

そしてこれらの提案と同様に重要なことだが、ナザルバエフ大統領は、「核兵器なき世界の達成に関する普遍的宣言」を採択するよう提案した。

「カザフスタンは、自らの意思で核実験場を閉鎖し、当時世界第4位の規模の核兵器を放棄した最初の国であり、中央アジアに非核兵器地帯を創設するうえで重要な貢献をしました。」とナザルバエフ大統領は語った。

「その他の地域、とりわけ中東地域に非核兵器地帯を創設する緊急の必要性があります。核兵器保有国は、核兵器の保有を放棄した国々に対して核兵器を使用しない保証を与えなければなりません。」とナザルバエフ大統領は主張した。

ナザルバエフ大統領はまた、「差し迫った地球規模の諸課題(テロリズム、国家崩壊、難民問題等)は、経済危機、貧困、文盲、失業がもたらした結果です。」と指摘したうえで、「こうした地球規模の危機に対処するには、これまで正義、民主主義、競争力、有効性、国際管理といった基準を満たしてこなかった(温室効果ガスの)排出量や世界的な準備通貨の取引に関する明確なルール作りから始める必要があります。」と語った。

このために、ナザルバエフ大統領は、「世界危機管理計画」案を提唱した。このイニシアチブの草案は、昨年5月に開催された「アスタナ経済フォーラム」において活発に議論された。

ナザルバエフ大統領はまた、国際法の基本的原則を再確認する国連ハイレベル会議を2016年に開催する計画である旨を表明した。

Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.
Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.

「テロリズムと宗教的過激主義は、規模において世界的なものになりました。私は、国際テロや過激主義に対抗していくために、国連の後援のもとに統合されたグローバルネットワークを構築することを提案します。この目標を実現するためには、まずテロと闘うための包括的な国連文書を作成し採択する必要があります。」

さらに国連のイニシアチブ「万人のための持続可能なエネルギー」を支持して2017年には「未来のエネルギー」をテーマに国際博覧会がアスタナで開催される予定だ。

「この博覧会に全ての国が参加するよう勧めたい。未来を見据え、2017年国際博覧会のために設置されたインフラを活用して、国連の後援のもとアスタナにグリーン・テクノロジー開発と投資プロジェクトのための国際センターの開設を提案したい。」とナザルバエフ大統領は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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国連の報告書、テロ対策での女性の役割に注目

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国連の報告書、テロ対策での女性の役割に注目

【ニューヨークIDN=ファビオラ・オルティス】

2本の画期的な報告書が、ジェンダー平等そのものの実現を訴えるだけでなく、紛争の解決や暴力の克服、テロ対策、平和・安全の実現において女性が果たしうる、或いは現に果たしている重要な役割を強調することで、世界市民の涵養に貢献している。

「経済・平和研究所」が「2015年グローバル平和指標」で示しているデータによれば、紛争と暴力によって世界全体で14.3兆ドル(世界全体の国内総生産の13.4%にあたる)が浪費されているという。これは、カナダ・フランス・ドイツ・スペイン・英国のGDPの総額に等しい。

Global Peace Index 2015/ IEP
Global Peace Index 2015/ IEP

「世界は2008年よりも平和な場所ではなくなった」と同報告書は指摘している。状況を悪化させた指標は、難民と内地避難民の数、内戦やテロの影響による死者数である。2014年だけでも、2万人がテロによって死亡したと推計されており、10年前の年間平均2000人からするとかなり増えている。

男性への従属を強いられ、過激なイデオロギーの対象になる女性によって、この14兆ドルのコストのうちどれだけが担われているかは不明だ。また、過激イデオロギーの犠牲になった女性の数も、「2015年グローバル平和指標」は示していない。

しかし、「女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号(決議1325号)」採択から15年を記念して10月13日に国連が発表したグローバル調査では、平和構築の取組みにおいて女性をよりエンパワーすることによって得られた利益に注目している。

決議1325号は、女性の紛争経験を国際の平和と安全に結びつけた初めての宣言であった。

決議1325号の履行状況に関する15年目の報告書を準備する中で、播基文国連事務総長によって委託された新しい包括的な報告書を独立の立場から執筆したラディカ・クマラワスミ氏は、この調査は「疑いなく」、女性を排除した場合に比べ、「平和プロセスにおける女性の参加がそのプロセスを長続きさせる」ことを証明していると述べている。

クマワラスミ氏は「(決議1325号が採択された)2000年以降、世界情勢は大きく変わったと認識しています。より積極的な対話を通じて、このアジェンダを復活させ前進させる必要があります。」と語った。しかし、国際社会と国連がこの状況にどう対処したらよいか分からないという曖昧な状況が存在する。

Radhika Coomaraswamy/ UN Photo
Radhika Coomaraswamy/ UN Photo

クマワラスミ氏は、紛争予防、早期警戒システムの性質、武装・非武装部隊の存在、対話の必要性といった報告書の主な内容を引き合いに出しながら、「今日の世界の軍事支出レベルはあまりにも高い水準であり、紛争が拡大するサイクルを止めなければなりません。」「武力行使は、対話が不可能な場合の最後の手段に限定すべきです。」と語った。

「現在の平和創出のモデルが機能していないのは明らかです。」と語るのは、UNウィメンのプムジレ・ムランボ‐ヌクカ国連ウィメン事務局長である。

1990年から2000年の間に結ばれた和平協定のうち、女性に言及しているのは僅か11%にすぎない。国連安保理が決議1325を採択した時点では、女性に言及した和平協定は27%であった。2014年中に国連が支援した和平協議や国民対話プロセスから生まれた6本の協定のうち、67%が女性や平和、安全の問題に言及している。

にもかかわらず、1992年から2011年の31件の主要な和平プロセスのうち、交渉人が女性であったのはわずか9%である。国連ミッションの部隊のうち女性隊員は3%に過ぎず、その大部分が支援要員である。「こうした状況は受け容れがたい」とムランボ‐ヌクカ事務局長は語った。

UNWOMEN
UNWOMEN

女性が和平交渉のテーブルにつけば、その参加が平和実現の可能性を向こう15年間で35%増大させることになるだろう。

UNウィメンの代表や、100ページに及ぶ世界的な報告書の主要著者らは、女性のエンパワメントは平和に貢献するだけではなく、経済成長を加速させ、人道支援を強化するとの見解で一致している。ムランボ‐ヌクカ事務局長は、「この15年間の進展はあまりにも遅々としたものでした。」と指摘したうえで、「和平プロセスに関与する指導者の少なくとも半分は女性でなければなりません。」と強調した。

女性問題は依然としてアジェンダの最下位にあると、2008年に創設された「国連平和を求める女性協会」のムナ・リハニ=アルナセル会長は語った。同協会は、女性・女児に対する暴力の予防や、暴力に対抗する法や政策の履行強化の問題に取り組んでいる。また、「国連女性に対する暴力撲滅トラスト基金」の資金集めも行っている。

「諸政府に対して、女性問題を最優先の課題とするよう圧力をかけていかなければなりません。女性は、和平プロセスの議論に参画すべきです。女性は男性よりも平和に貢献できます。私たちは人口全体の55%を占めているのですから。」とリハニ=アルナセル会長はIDNの取材に対して語った。

アルナセル会長は、警察官や裁判官、テロ対策の政策決定者として働く女性が今のところあまりにも少ないと考えている。「もし私たちが門戸を開放すれば、女性は関与してくるでしょう。女性は、適切な訓練を受け、平等な機会という意味において、男性と等しい取り扱いを受けるべきです。私たちは、状況がさらに悪くなるまで座視していることを望みません。テロは人道に反するものであり、私たちも共に(テロと)戦わなくてはなりません。それは政府を通じて行うだけではなく、市民社会も積極的な役割を果たすべきです。」とアルナセル会長は語った。

紛争地帯の女性

「テロ行為を伴う紛争が勃発すると、しばしば女性と子どもが最も脆弱な立場に立たされ最大の被害を受ける、とアルナセル会長は強調した。このことは、紛争地帯に生きる女性・女児が直面している現実を特集したグローバル調査の内容からも明らかです。」とアルナセル氏は語った。

通学年齢にも関わらず学校に通っていない子どもの半分は、紛争地帯に住んでいる。初等教育における純就学率(調整後)が紛争地帯およびポスト紛争地帯では77.5%にしかならない女児が、特に悪影響を受けている。

紛争国およびポスト紛争国では、妊婦死亡率が平均して2.5倍高い。世界の妊婦死亡のうち半分以上が、紛争によって影響を受けている国家や脆弱な国家で発生している。妊婦死亡率の世界のワースト10ヶ国は、すべて紛争国あるいはポスト紛争国である。

グローバル調査報告書はまた、「資金は現場の女性に影響を及ぼすプロジェクトに対応しなくてはならない」と訴えている。アルナセル会長は、カリフの地位を名乗る過激主義集団ISIS(イラク・レバントのイスラム国)がマイノリティに対して行ったテロ行為を、激しく批判している。ISISは特に、ヤズィーディーの人々を攻撃対象としている。

イラク北部の、民族的・宗教的な少数派が住んでいるシンジャル山脈をISISの武装集団が2014年8月3日に攻撃し勢力下に収めて以来、約3000人の女性や子どもが囚われていると考えられている。

Yazidi women/ UNHCR
Yazidi women/ UNHCR

ヤズィーディーは民族的にはほぼクルド人で、イラクのクルド人地区(ドホーク、エルビル、スレイマニヤの各県)にほとんどが住んでいる。ISISの部隊は、イスラムに改宗しない人々を暴力的に攻撃し、非ムスリムのヤズィーディーに対しても虐殺を行っている。

パリ・イブラヒムさん(26)は伝統的なヤズィーディーの家族に属する若い法学生である。ドホーク県カンケ地区から90年代に逃げてきた。ISISが彼女の居住地区を攻撃してのち、彼女は、現在住んでいるオランダで「ヤズィーディー解放財団」を立ち上げた。

「現在のところ、ヤズィーディーのためにできていることは何もありません。多くの男性が殺され、女の子たちが性奴隷にさせられています。彼女たちの証言内容は恐ろしいものです。ヤズィーディーは殺されるか、イスラム教に改宗させられています。いったい何人が殺されたが依然として正確なデータは不明ですが、ISISが支配している地区のシンジャルには集団墓地が点在しています。」とイブラヒムさんはIDNの取材に対して語った。

ある推計値によると、ISISによって誘拐された女性・女児は5000人から6000人にのぼるという。それ以降、2000人が救出されたが、依然として膨大な数の被害者がこの過激主義集団の支配下に捕われたままとなっている。

イブラヒムさんは、「ISISから逃れてきた女の子たちにはトラウマが残っています。多くの医者は彼女たちをどう治療していいのか分からないのです。女の子たちは帰ってきても、支援を受けられない状況に置かれています。これまでのところ、国際社会の反応はきわめて不十分と言わざるをえません。ISISを止めようとの真剣な取り組みがなされていないのです。」と指摘するとともに、世界的な行動の必要性を訴えた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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ケニアの結核撲滅を支援する日本の開発機関

【ナイロビIDN=ロバート・キベット】

キャサリン・ンドゥタ(26)さんは、2012年に、多剤耐性結核(MDR-TB)と診断された。彼女は当時、土木工学を学ぶケニアの大学3年生だった。

「私はほぼ妊娠6か月に達していましたので、結核の治療を受けることができませんでした。治療をするために妊娠状態を終わらせるか、出産まで通常の結核治療で済ませるか、そのいずれかしかなかったのです。」と、ンドゥタさんは、ケニアの国会議員も参加して開催された「ストップ結核パートナーシップ・ケニア」のフォーラムでこう語った。

「私は結局、赤ちゃんをあきらめ治療を受けることにしました。12か月にわたる注射、24か月にわたる毎日18錠の服用義務は、とてもつらい時期でした。」と、今は1人息子がいるンドゥタさんは語った。

MDR-TBに苦しんでいるのは彼女だけではない。ケニアの二大都市であるナイロビモンバサには、都会の貧しい居住環境や高い人口密度のために、通常の結核患者が最も多く住んでいる。

ナイロビの人口350万人の6割がスラムに住んでいる。住宅や衛生、栄養状態が不十分な中、多くの住民が結核感染のリスクに晒されている。

「ケニアでは、診断や治療が困難な薬剤耐性結核(DR-TB)の脅威が増しています。治療には20か月もかかり、最大300万ケニアシリング(約2万8000米ドル)もの治療費がかかるのです。」と、ケニア保健省結核・ハンセン病・肺病部門のトップであるエノス・マシニ博士はIDNの取材に対して語った。

「しかし結核患者のほとんどが貧しく、治療費を払えないのです。」とマシニ博士は付け加えた。

国際協力機構(JICA)はこうしたことに鑑みて、ケニアの結核撲滅を支援している。南アフリカ共和国やザンビアと並んで、この東アジアの国はアフリカの三大結核流行国となっている。

ケニアの保健当局は、2013年に薬剤耐性型の結核が出てきたことを大いに懸念したが、JICAは3200万ケニアシリング(約31万3528ドル96セント)の高度な結核検査機器を贈呈した。

「実験室及びそのネットワークの能力を強化すること(蛍光顕微鏡の使用のような新たな実験室試験手法の適用、薬剤耐性結核発見のための薬剤感受性試験の改善、品質保証・試験の向上)がJICAの近年の結核対策支援の主要領域でした」と佐野景子JICAケニア事務所長はIDNの取材に対して語った。

JICAはまた、102台のLED蛍光顕微鏡をケニア公衆保健省に提供した。それまでケニア全土の公衆保健施設にLED蛍光顕微鏡は20台しかなかった。

ケニアは2014年、多剤耐性結核(MDR-TB)に対応する薬剤不足というジレンマに立たされ、マラウィや近隣のウガンダからの貸与に頼る事態に陥った。「それは大変恥ずかしい事態でした。」と、結核撲滅を目指すパートナーシップ構築を進めている「ストップ結核パートナーシップ・ケニア」の全国コーディネーターであるエブリン・キブチ氏は、当時を振り返って語った。

佐野所長は、「結核のような負担の大きい疾病に対する持続可能な対応を図るには、JICAだけではなく国際社会全体が、国内での資金調達がカギを握るとの見解を持っています。」と語った。

JICAが優先する伝染病対策

「私たちは、ケニア政府が国内の資金調達を徐々に増やす意向であることを歓迎しています。また、結核関連のサービスをその他の保健サービスと統合することでコストを削減することができます。この文脈で統合されたサービスの質を維持することが重要なのです。」と佐野所長はIDNの取材に対して語った。

「日本は、9月に採択されこの12月に今後15年間にわたる目標としてミレニアム開発目標(MDGs)に取って代ることになる17の持続可能な開発目標(SDGs)を履行していくことになりますが、結核を含めた伝染病対策はJICAの目標の中で引き続き高い優先順位を与えられています。」と、佐野所長は語った。

「日本は最近、5年計画の国際保健政策(2016~20)を立ち上げました。私たちは、ケニアが国民皆保健を達成する支援を行い、疾病ごとの対策がよりよく実施される基礎となる保健システムが強化されるものと考えています。」と佐野氏は付け加えた。

ケニアの国会議員で国会の保健委員会委員であるジェイムズ・マーガー氏は、ケニアが中所得国になって、「援助疲れ」が出てくるのではないかと懸念している。彼は、政府が結核対策の予算を増やすよう求めている。

マーガー氏が言及しているのは、世界銀行が最近発表した単位人口当たりの国民総所得(GNI)の推計である。これによると、多くの低所得国で経済状況の改善がみられ、バングラデシュやケニア、ミャンマー、タジキスタンなどが、年間所得が1046ドルから4125ドルとなって、低中所得国の仲間入りを果たした。

マーガー氏は、「ケニアでは、結核対策は4割が国費、6割が海外援助に頼っており、危機的な状況にあります。」と懸念の背景を語った。

保健省によると、「結核はケニアの罹患、死亡の主要原因の一つであり、すべての年齢層に影響を与えるが、15歳から44歳という最も生産性が高い齢層での死亡者数が最も多い」という。ケニアでは結核のために毎日60人が死亡していると推計されている。

さらに、キブチ氏が指摘するように、「結核は職場にとって非常に高くつく。欠勤や作業の停滞、生産性の低下、患者への直接的コストなどの問題が発生する。」

結核のために世界は130億ドルを損失し、ケニアは1.1億ドルを損失していると見られている。

JICAの結核問題アドバイザーである三浦隆史氏もキブチ氏と同意見だ。治療が2年にも及ぶ多剤耐性結核の場合、患者に与える金銭的な負担は相当なものになる。

「仮に治療が無料であったとしても、患者は治療の間、生産的に働くことができなくなるので、収入の損失は避けられません。」と、三浦氏はIDNの取材に対して語った。

ケニアの保健関連予算のうち、死亡原因4位の結核対策はわずか1.3%でしかない。

結核に関する国家戦略計画

ケニアは今年3月19日、2015年から18年を対象とした「結核・ハンセン病・肺病に関する国家戦略計画」(NTLDプログラム)を立ち上げた。250億ケニアシリング(2.5億米ドル)の予算を含む。

Map of Kenya
Map of Kenya

ケニア政府が5億ケニアシリング、グローバルファンドが7億ケニアシリングを提供する一方、PEPFAR(米大統領のエイズ対策緊急計画)から7億ドルが支出される。これでもなお6億ケニアシリング(約5900万米ドル)の資金が不足するが、ケニア保健所のマシニ博士は、このために目標達成が危ぶまれると訴えている。

JICAの結核問題アドバイザー三浦氏は、薬剤耐性結核の蔓延につながるような状況を避けるためにも、高い質の「直接監視下治療」が必要であることを強調した。

さらに三浦氏は、薬剤耐性結核患者や難民、囚人、結核症状を持つ人々との接触を過去に持った、かつて結核患者として治療を受けた経験のある高リスク集団の間で早期に薬剤耐性結核のケースを監視・発見するために、患者サンプル参照システムを確立し新たな実験技術を導入することが必要だと訴えている。

ケニアが1963年に独立して以来初となる結核調査が今年7月初めから始められ、全土での結核の拡大状況が把握されることになる。前回調査は、現在のケニア国民の8割以上がまだ生まれていない1958年から59年に行われたものであった。

「7万2000人の住民を調査する予定で、現在1万2000人を終了しています。目的は、結核が社会にどれだけ広がっているかを調べ、それを基に結核撲滅に向けた適切な計画を作ることにあります。」と保健省のマシニ博士は語った。

JICAの結核問題アドバイザー三浦氏は、「1958年から59年の最初の調査結果と現在の調査結果は簡単に比較可能なものにはならないだろう。」と指摘した。調査の方法論が異なっているし、当時はまだHIV感染がなかったからだ。

「現在の調査は、ケニアが直接管理下治療戦略を採用して以降の結核対策の影響を測るうえで有益です。また、これまで発見されなかったケースを見つけることにも役立つでしょう。」と三浦氏は語った。

「また、結核症状を持つ人々が治療を求める行為への理解を深めることにもなるし、調査結果は今後の結核対策の方向性を示唆することにもなります。」と三浦氏は語った。

「ストップ結核パートナーシップ・ケニア」のキブチ博士は、JICAがケニアの結核対策から手を引こうとした2011年、同団体がJICAに対して再考を促す要請を行ったとIDNに取材に対して語った。

「私たちはJICAに撤退しないよう求める覚書を提出し、JICAは2年間の事業継続に同意しました。結核の蔓延を防ごうと私たちが努力する中、ドナー機関が撤退するのには適切な時期ではないのです。」と、キブチ博士は語った。

2014年、英国は、結核蔓延へのより効果的な対策を推し進めるために結核に関する国際的な議員連盟を創設したが、その創設を謳った「バルセロナ宣言」に署名した国会議員を158名も要するケニアを、世界の結核対策をリードする国だと賞賛した。

ケニアの国会議員スティーブン・ミュール氏は、結核撲滅という世界の課題への支持を示すために同宣言に署名するよう他の国会議員に促すうえで主導的な役割を果たした。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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世界の大国、核決議に「恥ずべき」棄権

【国連IDN=ロドニー・レイノルズ】

世界の主要な核兵器国は核軍縮への支持を表明してはいるが、その政治的レトリックに見合う行動はたいていはなされない。それどころかこうした国々は、核戦力の近代化すら続けている。これにひるまず、軍縮及び国際安全保障に関する国連委員会(国連第一委員会としても知られる)は従来、主に軍備管理と核軍縮に関する毎年15本から20本の決議案を採択してきた。

今年は重大な例外があった。世界の主要な核大国のうちの3か国である米国、英国、フランスが、日本が毎年主導してきた、核兵器の完全廃絶に向けた共同行動に関する決議を棄権したのである。3か国は、昨年は同決議に賛成しており、米国と英国に至っては共同提出国でもあった。しかし今年、両国はその道を選ばず、主要な西側の同盟国である日本を大いに失望させた。

国連で飛び交っている憶測は、今年の決議が、70年前の広島・長崎への原爆投下の生存者を意味する「ヒバクシャ」という言葉を決議に含めることで、核兵器が及ぼす人道的帰結の問題に焦点を当てたため、棄権を招いてしまったのではないか、ということだ。

決議案は11月2日、賛成156、反対3、棄権17で採択された。

3票の反対は、他の主要核兵器であるロシアと中国、それに北朝鮮によるものである。

M.V.-Ramana
M.V.-Ramana

物理学者で、プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン公共国際問題学部「核未来研究所科学・安全保障プログラム」の講師でもあるM・V・ラマナ博士は、IDNの取材に対して、「核兵器使用の人道的な帰結について言及しているからといって、核兵器廃絶を呼び掛けた決議に賛成すらできないというのならば、これは核兵器国の恥ずべき行為だと言わざるをえません。」と指摘したうえで、「核爆発がもたらす恐るべき影響についてはよく知られています。核兵器国がこの現実に向き合おうとしないとすれば、それは、核兵器に関して彼らが抽象的にしか考えて来なかったということであり、核兵器に関するいかなる議論も受け付けたくないということなのでしょう。」と語った。

さらに、ラマナ博士は「軍事計画立案者と外交官は、自分たちが取り扱っているのは大量殺人の道具なのだということを、市民社会と活動家によって常に思い出させてもらわねばなりません。」と付け加えた。ラマナ博士には、著書『約束された力:インドの核エネルギーを検証する』があり、『原子科学者紀要』科学・安全保障理事会、「核分裂性物質に関する国際パネル」の元メンバーでもある。

また、米国の棄権は、バラク・オバマ大統領が2009年にプラハで行った歴史的な演説の中で「核兵器なき世界」を呼び掛けているだけに、意外な展開であった。

長崎で開催された、第61回パグウォッシュ会議世界大会で発言したレベッカ・ジョンソン博士(核問題分析家、核兵器廃絶国際キャンペーン[ICAN]運営委員)は、「日本は板挟み状態になった。」と指摘したうえで、「必要なのは核軍縮に関してどんな立ち位置を採りそれを追求するかを決めることでしたが、今回の結果は、核保有国と非保有国の橋渡しをしようとしてきた日本政府の試みが行き詰まったことを示しています。」と語った。

20世紀に取り残された巨岩

またジョンソン博士は、「核戦力を維持しその近代化を図ることに依存しつづける米国は、言わば20世紀に取り残された巨岩です。従って、日本は、(核兵絶に対する)自らの立場を空虚なレトリックでうやむやにしない限り、米国政府を満足させられないのです。」と語った。

Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.
Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.

「この状況では、安倍政権は、核兵器の禁止と廃絶を訴えて困難な立場にある被爆者と日本国民を支持すべきです。」と、ジョンソン氏は語った。

原爆が広島・長崎を破壊してから70年、日本の人々は、日本政府が、核軍縮と核近代化との間の違いを埋めようとしていると主張する一方で、その実は、感傷的な決まり文句ばかりを口にし、核の同盟上必要として日本の名において米国が核兵器を使用することに依存し続けている状況に飽き飽きしています。」

ジョンソン博士はまた、「(核兵器の使用がもたらす)人道的な帰結に関する懸念を高める決議案を支持することで日本は賞賛されるだろうと。」と語った。

オープン参加国作業グループを来年設置することを求めたメキシコ主導の決議案が第一委員会で圧倒的多数で採択された今、日本は、「効果的な法的措置の問題に実質的に対処する」ことを建設的に行うべきだ。

「被爆者と日本の人々は、核兵器を維持しようとする(国連安保理の)P5に迎合することをやめ、核兵器の使用・配備・保有を禁止しその完全廃絶を義務づける法的拘束力のある条約に向けて努力することを自国の政府に期待しています。」と、ジョンソン博士は語った。

ニュージーランド全国軍縮諮問委員会の元議長で、化学兵器・核兵器や米外交政策に関する著作もあるボブ・リグ氏は、「日本は米国が第二次世界大戦末期に2回にわたって行った壊滅的な原爆攻撃の被害国ですが、その後日本の歴代保守政権は、皮肉にも、この問題をあえて矮小化することで、米国の『核の傘』の下で戦略的な利益を得ようとしてきたのです。」と語った。

「米国政府は、これへの見返りとして、きわめて一般的な表現で核軍縮への賛同求める日本主導の穏健な決議案を支持してきたのです。」

Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.
Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.

「たとえあやふやなものであったとしても、核軍縮に向けた実際的措置を履行すると受け取られかねないことに対して、米英仏は頑強に反対してきました。こうしたことに国際社会は忍耐を失いつつあるのです、それへの不安感が、今回の3か国による日本決議案への棄権という形で現れたのでしょう。」と、リグ氏は語った。

「ロシアと中国はよく、米国が軍縮を支持しないといって激しく批判します、今回両国は表立って日本決議案に反対票を投じました。」

「すべての核保有国は核爆弾を持ち、頑強にこれに固執しています。非保有国は、保有国に対して、軍縮を納得させることも強要することもできないのです。」と化学兵器禁止条約機関(OPCW、本部ハーグ)の元主席職員のリグ氏は語った。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

「2009年4月のオバマ大統領によるプラハ演説は国際メディアが過剰に評価したものであり、米国の軍部や産業界はこれを黙殺したのです。」とリグ氏は語った。

「その同じオバマ大統領は、穴の開いた風船のように萎んでしまい、今や米国の核戦力を強化してその打撃能力を向上させるための予算を積み増しています。」

「2016年の米大統領選に向けて、核軍縮への措置はおろか、軍事予算の削減をあえて主張する候補者は誰もいません。」とリグ氏は指摘した。

ジュネーブ軍縮会議国連総会第一委員会(軍縮・安全保障)は、墓場と化してしました。大言壮語で怒りを示してはいるが、その実、何の意味も持たない決議が、繰り返し、過剰に提出され、その山の下に、自国政府によって代表されていない日本の人々や、戦争に飽き飽きした世界の人々の願いが埋もれてしまっているのです。」とリグ氏は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan浅霧勝浩

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【ハラレIPS=ジェフリー・モヨ】

南部アフリカでは、核軍縮というテーマがとりわけ主要な関心事とはなっていない。それは、アフリカでは核兵器を保有している国が一つもないことと関係がある。アフリカでは、ペリンダバ条約(1996年署名開放、2009年7月15日発効)により、大陸全体が非核兵器地帯となっている。

アフリカ諸国では、専門家らの間に、「核兵器に焦点を当てるよりも、むしろ深刻なエネルギー不足の問題を背景に、いかに原子力を電力確保のために利用できるかに労力を傾けた方がよい」と考える向きがある。

 こうした専門家らの電力利用に対する関心は、「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」と謳った、国連の「持続可能な開発目標」の第7項目と一致する。

サブサハラアフリカ地域の国々は、原子力の利用を認められるべきです。なぜなら、原子力発電が、この地域に蔓延する深刻な電力不足に対する解決策となるかもしれないからです。ただし、人間の生命を危険に晒す核廃棄物の長期的な影響の問題も考慮に入れなければなりません。」と、ジンバブエの首都ハラレで環境や原子力の問題に取り組む独立の専門家ハッピソン・チコワ氏はIDNの取材に対して語った。

核廃棄物は、放射性物質で極めて毒性が強い。核燃料処理工場や核医学、核兵器産業から出る副産物である。核廃棄物は数千年も放射線を出し続けるため、厚いコンクリート製、或いは鉛・ステンレス製金属のコンテナに入れて、地中あるいは海中深くに埋設しなくてはならない。

原子力利用に伴うこうしたリスクにもかかわらず、アフリカでは深刻なエネルギー不足を背景に、一般の人々までもが、チコワ氏のような多くの専門家の見方に同調している。

「私個人としては、電気がどこから来るかについては、たとえ政府が、多くの人々が兵器の生産にも利用されかねないとして恐れる原子力から引っ張ってきたものだとしても気にしません。素人の知識で言えることは、原子力を発電に使えるなら、他の手段よりも安くできるということです。」と、ジンバブエの首都ハラレ郊外の(人口密集地区)ハイフィールドに住むメビオン・チメザ氏はIDNの取材に対して語った。

またサブサハラアフリカにおける気候変動の専門家らにとってみれば、この地域で原子力の民生活用(原発は二酸化炭素を排出しない)を強調することは、気候変動がもたらしている悲惨な影響に対処する一つの方策になりうると考えている。

Georgia's Vogtle nuclear power station/ Public domain
Georgia’s Vogtle nuclear power station/ Public domain

「原子力の利用には、気候変動がもたらす影響を軽減したり、農業生産を向上させる効果を期待できます。もし投資額を抑えられるならば、発電に原子力を採用すべきです。この場合、原子力発電によって、農業などの生産方法を機械化することが可能になります。」とジンバブエの気候変動問題専門家ジスンコ・ヌドロブ氏は語った。

世界の軍事強国の間では、「核軍縮」に関する議論が盛んになっているにも関わらず、アフリカでこうした見解が表明される背景には、今日まで核兵器を保有している国が皆無というアフリカ大陸の特殊事情があるようだ。

こうしたアフリカ大陸の現状とは対照的に、世界に目をやると、(「軍備管理協会」によれば)9つの核兵器国が合計で約1万6000発の核兵器を保有し、そのうち9割以上がロシアと米国によって保有されている。

米ロ両国は、中国とフランス、英国とともに、国連安全保障理事会の5つの常任理事国を構成し、同時に、核不拡散条約(NPT)上の「核兵器国」としても知られている。これに加え、今ではインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮が核兵器を保有しているとみられている。

アフリカ南部では、南アフリカ共和国(南ア)だけがかつて核兵器を保有したことがある。同国は、1990年代に民主選挙で選出されたアフリカ民族会議(ANC)の政府に政権交代する前にそれまで開発していた全ての核兵器を放棄する決定をしたため、世界で初めて自主的に核兵器を放棄した国となった。

南アは1975年に生物兵器禁止条約、1991年に核不拡散条約、1995年に化学兵器禁止条約にそれぞれ署名している。

「私は南ア国民として、この国の政府が、核兵器能力を1990年代に自発的かつ一方的に放棄したことを念頭に置いています」と語るのは、2007年から14年にかけて「反原子力同盟」の議長を務め、現在は「ウォーターコースメディア開発社」の社長であるマイク・キャンティー氏である。

キャンティー氏のような反核活動家・専門家の見方によると、この地域、とりわけ南アは、原子力の危険性について理解しているという。

被爆者との出会い

「反核活動家、そしてかつての反アパルトヘイト闘争の闘士として、私たちは、21世紀初頭に光栄にも広島からの代表団を迎え、被爆者から直接体験談を伺う機会がありました。」とキャンティー氏は語った。

キャンティー氏によれば、日本からの代表団は普遍的な核軍縮を目指す運動を展開しており、南アジアや中東、北朝鮮における核拡散の防止に向けて共に行動してほしいと、南アの人々に訴えたという。

「イスラエルによる(核兵器を最初に使用する国にはならないという)単独での誓約や、中東非大量破壊兵器地帯を創設しようとする動きから、私たちは、南アジアでも同様の行動を起こすよう大きなプレッシャーをかけ、最終的には、核兵器5大国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)に対して、すべての核兵器と劣化ウラン弾の世界的な廃絶に向けて同じように努力するようプレッシャーがかけられると考えています。」とキャンティー氏は語った。

しかし、再びジンバブエに目を転じてみると、2012年、民生用の原子力発電と核兵器開発のいずれにとっても欠かせない未発掘のウラン鉱床をジンバブエが保有していると広く考えられている中で、同国の電力供給公社のジョシュ・チファンバ代表が、「(恐らくは国際的な注目を集める目的で)原子力発電事業の実行可能性調査を行うための専門家チームが招集されることになる。」と語った。

チファンバ氏は、「核のオプションを検討するために専門家チームからなる委員会を立ちあげます。ジンバブエは、原子力による大規模な電力生産を2020年以降に実現することを目指します。」と昨年(2014年)ブラワヨで開催された国際ビジネス会議で語った。

ジンバブエでは、ザンベジバレーに未採掘のウラン鉱脈が確認されている。また同地のカンエバ鉱山には、2万トン以上が抽出可能なウラン鉱石4万5000トン以上が眠っているとされる。

イランと中国は、ジンバブエのウラン鉱脈に大きな関心を示しているとされる。ただし、イランはウラン濃縮計画の停止を拒んだため、国連が2013年に新たな制裁を課している。

明らかに原子力エネルギーの利用に熱心なジンバブエ政府は、核が環境に及ぼす危険に対して無関心なように見える。

Uranium/ Wikimedia Commons

2013年、シンバラシェ・ムンベンゲグウィ外相がイランの報道機関に対して、ジンバブエは、議論を呼んでいるイランの核計画に利用するためにジンバブエのウラン資源を採掘する点で同国と協力する意向を表明した。

ジンバブエと同じく、ナミビアもまた、原子力を通じたエネルギー不足の解消に望みをかけている。

昨年、ナミビア政府は、原子力利用に関して市民を訓練する目的で、将来的に原子炉のシミュレーターを建設したいとの意向を示した。このことは、同国のイサーク・カタリ鉱山・エネルギー相(当時)によっても確認されている。

「私たちは現在ウランを採掘し、原料のまま輸出しています。原子力発電は安価で安全なものです。」とカタリ鉱山・エネルギー相は当時、記者団に語っていた。

他方、南アは、商業原子炉を有するアフリカ唯一の国である。原子炉は2基あり、同国の電力生産の4%を占めている。実際、南ア政府は、核施設の建設と製造に関して相当程度の国産化を図りたいとの意向を示していた。

しかし、南アの原子力専門家はこれに納得したわけではない。

「南アには膨大な核廃棄物が生まれ、建設と同じぐらい高価な廃炉作業が発生することになるだろう。」と南アで活動する独立の原子力専門家トニー・ハフィング氏はIDNの取材に対して語った。

しかし昨年、南ア政府は、同国の放射性廃棄物の管理と廃棄について所管する「国営放射性廃棄物処理研究所」を立ち上げた。

ジンバブエのチコワ氏のような多くの原子力専門家にとっては、アフリカに核兵器を保有する国が一つもない現状では、「核兵器なき世界」が最重要議題ではないようだ。

「アフリカでは、議論の対象となるような核兵器が存在しないことから、核軍縮に関する議論に時間を取られる必要はないのです。それよりも深刻なエネルギー不足の現状に向き合い、地域の環境に悪影響を与えないようにしながら、原子力を如何に活用するかについて、むしろ精力を傾けるべきなのです。」とチコワ氏は語った。(原文へ

INPS Japan

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【国連IPS=タリフ・ディーン】

米国のジョン・ケリー国務長官は最近行った講演のなかで、近年世界各地で見られる「記録的な数の」異常気象に注意を促した。

ケリー長官は、パリで開催される第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(気候変動会議:COP21)を念頭に、「南太平洋の島嶼国では、主に海面上昇により島全体が水没の危機に直面しています。」と警告した。

「ブラジル南東部は、過去80年で最悪の旱魃に見舞われており、我が国でもカリフォルニア州は、過去100年で最悪の旱魃が続く中、大規模な山火事も頻発しています。」

Secretary Kerry Delivers a Speech About U.S. Foreign Policy at Indiana University in Bloomington/ US State Dept
Secretary Kerry Delivers a Speech About U.S. Foreign Policy at Indiana University in Bloomington/ US State Dept

「また、アフリカ南部のマラウィが記録的な水害に見舞われている一方で、北極圏でも温暖化の影響で村全体が水没の危機に直面しています。」と、ケリー長官は、インディアナ大学世界と国際関係学院で行った講演の中で語った。

ケリー長官のこうした警告をよそに、間もなくパリで開幕する気候変動会議では、主に炭素排出量の問題に焦点があてられる予定で、水の問題は比較的軽視されているテーマである。

英国に本拠を置くNPO「ウォーターエイド」で水の安全保障と気候変動の分析を担当しているルイス・ホワイティング氏はIPSの取材に対して、「気候変動の影響を最も受けるのは世界の最貧層の人々であり、彼らは主に水を通してそれを実感することになります。つまり、水が多すぎる現象(洪水、海面上昇)、少なすぎる現象(旱魃)、誤った降水時期(天候不順)や誤った水質(塩害、汚染水)に悩まされる現象です。」と語った。

世界には6億5000万を上回る貧しく社会の片隅に追いやられた人々が、依然として安全でない水源に依存して生活しているが、そうした水源が気候変動に関連した脅威に晒されているため、こうした人々の生活は今後ますます不安定な状況に陥っていくとみられている。

「例えば、洪水が発生すれば井戸が浸水し真水の供給源が汚染させることになります。」とホワイティング氏は指摘した。

11月30日から12月11日にかけて開催されるパリ気候変動会議に向けた準備が進む中、ウォーターエイドは、国際社会に対して、何よりもまず水、つまり(トイレなどの)下水設備と(安全な水を確保する)公衆衛生へのアクセスを確保する「水の安全保障」を、貧しい国々が気候変動に適応するのを支援する際に優先事項とするよう呼びかけている。

「上下水道と公衆衛生へのアクセスが確保できてはじめて、人々の健康と教育の充実を図り、経済を安定させ、気候変動に強いコミュニティーを育んでいくことが可能となります。」とホワイティング氏は語った。

「私たちはまた、(気候変動につながる)問題を引き起こした人々からその影響に最も脆弱な立場の人々へと開発資金が流れるようにしなければなりません。」

2010年、国連総会は「安全な水と基礎的なトイレを利用する権利」を人権と決議した。

そして播基文国連事務総長は、安全な水と衛生環境を確保することは、貧困削減、持続可能な開発、そして今年12月末に期限を迎えるミレニアム開発目標のいずれの目標を達成するうえで、不可欠だと再三にわたって述べている。

今年9月に世界の指導者らが採択した17項目からなる持続可能な開発目標(SDGs)もまた、安全な水と衛生環境の確保を国連のポスト2015開発アジェンダにおける重要な問題と指摘している。

国連は2030年までに、以下の施策(①公害を減らして水質を向上させる、②危険な化学物質の不法投棄を根絶し危険物資の拡散を最小限にとどめる、③全ての分野で水使用効率を飛躍的に引き上げる、④水不足に取組むために持続的な淡水の取水・供給を行う、⑤水不足に苦しむ人々の数を大幅に削減する)を通じて、全ての人々に安全で手頃な飲み水への普遍的なアクセスを確保しようとしている。

ホワイティング氏はIPSの取材に対して、「ウォーターエイドは、貧しいコミュニティーの安全な水と基礎的なトイレへのアクセスを向上させることに力を入れていきます。」と指摘したうえで、「水不足に悩む地域では、旱魃の兆候を早めに察知できるよう、貯水能力の拡充とともに、村人による雨量や水位のモニタリング能力強化(=水専門家育成訓練)を図っています。一方、バングラデシュのように水害に苦しむ地域では、必要に応じてインフラの強化を図るとともに、村落住民が政府に対してより良いサービスを要求できるよう、互いに集まってコミュニティーの脆弱さを話し合い自ら把握できるよう支援を行っています。」と語った。

Louise Whiting/ Water Aid
Louise Whiting/ Water Aid

ウォーターエイドはまた、西アフリカの29のコミュニティーを対象に、水不足対策を支援している。ここでは、とりわけ村落住民が気候変動の脅威により良く立ち向かっていけるよう、水資源管理のありかたを改善する指導を行っている。

1年のうち8カ月が乾季となるブルキナファソでは、多くの村落住民が不安定な生活を送っており、気候変動は彼らをとりまく状況をさらに悪化させるものとみられている。ウォーターエイドは、住民を対象にした水専門家の育成訓練と並行して、既存の井戸の改善、新たな井戸の掘削、水を溜め地下水の水位を上げるための砂防ダムの建設を進めている。

こうして訓練を受けた水専門家らは、コミュニティーの水管理能力を飛躍的に改善している。彼らは、雨量や水位をモニタリングし、観測データを分析することで、水不足の危険を事前に察知するとともに、年間を通じて水を確保するための給水量やタイミングを常に調整している。

彼らはまた、このデータを政府のモニタリング計画に提供することで、ブルキナファソ全土を網羅した、より信頼性の高い気候パターン図を作成する取り組みにも貢献している。

「自然は、あなたがブルキナファソの自給自足農民か、カリフォルニアの会計士かは問いませんから。」とホワイティング氏は語った。

「気候変動は全ての人々に影響を及ぼしますが、その原因に最も関わっていない人々が最大の被害をこうむることになるのです。」

「COP21に出席のためパリに集まる世界の指導者は、貧しい国々が来たる気候変動に適応するために必要な技術的・財政的支援を行うことを約束しなければなりません。」とホワイティング氏は力説した。

UNICEF
UNICEF

国連の統計によれば、1990年以来23年の間に、新たに26億人が安全な飲み水(改善された水源からの飲み水)を手に入れたが、2015年現在、依然として6億6300万人が安全な飲み水を利用できていない状態に置かれている。

1990年から2015年の間に、安全な飲み水を使用している世界の人口の割合は、76%から91%(66億人)に増加した。

国連はまた、水不足は世界の人口の実に4割以上に影響を及ぼしているが、今後この割合は増えていくと指摘している。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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インドとの核合意で批判されるオーストラリア

【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ

オーストラリア議会は、2014年に署名された豪印核協力協定をまだ批准していないが、市民社会、環境活動家、軍縮活動家らが、インドへのウラン輸出は、南アジアにおける核軍拡競争に拍車をかけ、原子力の保障措置政策を主唱してきたオーストラリアの信用を失うことになると警告している。

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)豪州支部は、豪印協定における脆弱な保障措置、インド核施設における安全管理の貧弱さ、同協定が核不拡散体制に対して持つ意味あいなどに関して、深い懸念を表明してきた。豪州政府が、核拡散防止条約(NPT)の未署名国に対してウランを輸出するのは初めてのことである。

Tilman Ruff/ ICAN

「NPT上の不拡散義務に従っているNPT締約国に対して適用されるものよりも厳格でない条件でインドと核取引を行うことは、NPTの目的や信頼性、価値を損なうものです。南太平洋非核兵器地帯条約の下で豪州が負っている義務にも違反しているこのインドとの取引は、オーストラリアを、核の危険という問題の解決ではなく、問題の一部としてしまうでしょう。」と語るのは、ICAN豪州支部創設時からの議長であるティルマン・ラフ氏である。

1986年12月11日に発効した南太平洋非核兵器地帯条約の第4条は、フルスコープ型の保障措置に従っていないインドのような国に対して、核関連機器や核物質を提供することを締約国に禁じている。

オーストラリア以外の同条約の締約国は、クック諸島、フィジー、キリバス、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツである。5つの核兵器国のうち、フランスと英国だけが3つの議定書すべての批准を済ませているが、ロシアと中国は、議定書Ⅱと議定書Ⅲだけを批准している。米国は、3つの議定書すべてに関して、批准プロセスが滞っている。

オーストラリアのウランは南アジアにおける核軍拡競争をさらに煽ることになると警告するラフ氏は、「インド国内分だけでは軍用・原発用として不十分なウラン資源を補強することによって、間接的に、あるいは直接的にこうした軍拡競争を助けることになるだろう。」と指摘したうえで、「インドの軍事活動・民生活動の混交、効果的な独立核規制機関の不在、インドによっていつでも変更可能な極めて限定的な保障措置の適用、保障措置それ自体のかなりの限界、こうしたことが、これらのリスクに寄与することになります。」と語った。

「カナダが提供した原子炉と米国が提供した燃料を使って、1974年に行われたインド初の核爆発実験のためにプルトニウムをインドが製造したことは、原子炉と核燃料が平和目的でのみ利用されるという保証に違反したものでした。」とラフ氏は語った。

「他方で、インドの核取引開始に対するパキスタンの反応は、予想されたものであると同時に、警戒すべきものでもあります。パキスタンは、他の国よりも速いペースで核分裂性物質を増産し、核戦力を拡大しています。」と、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の共同議長でもあるラフ博士はIDNの取材に対して語った。

IPPNWは、「信頼できる情報を提供し、核戦争の壊滅的な帰結に関する意識を高めることによって、人類に相当の貢献を為した」ことを理由に、1985年にノーベル平和賞を受賞している。

前提条件としてのNPT署名

Uranium/ Wikimedia Commons
Uranium/ Wikimedia Commons

インドに対するウラン輸出の交渉は2006年に始まり、2014年に合意がなされた。「条約に関する合同常設委員会」(JSCOT)は、今年9月8日に提出した豪印核協力協定に関する報告書の中で、条約の批准を勧告したが、一方で、インドへのウラン輸出がなされる前に、インドの核施設における原子力安全及び保安規制の問題に対処すべきと勧告している。JSCOTはまた、豪州政府に対して、核実験禁止条約への署名など、軍縮に関する真の前進をもたらすようインドに対して圧力をかける外交努力をすべきだと求めている。

「オーストラリア保護基金」(ACF)マルコム・ターンブル首相に対して、この計画された行動に伴う重大な懸念を念頭に入れ、JSCOTの報告書と勧告で打ち出された慎重なアプローチを尊重すべきだと訴えた。

「私たちは、豪印ウラン取引がリスクを増大させるのではないかと深く懸念しています。特に、インドの核産業は、引き続き解決されない安全上の問題と、規制上の欠陥を抱えています。2012年、インドの総括監察官は、「原子力安全の問題に対処しなければ、福島第一原発事故チェルノブイリ原発事故のような大惨事が起こりかねない」と警告する恐るべき内容の報告書を発表しています。不十分な規制、脆弱なガバナンス、安全文化の欠如など、この報告書で指摘されている懸念は、依然として対応されないまま残っています。」と、ACFの非核キャンペーン担当のデイブ・スウィーニー氏は語った。

では、オーストラリアのウランが、インドの既存のウラン備蓄の余地を拡大して核兵器用に使われる真の危険性があるだろうか?スウィーニー氏は、「その可能性は増しています。インドは、ウランの濃縮能力増強、複数の兵器発射手段への注目、潜水艦からの発射能力の向上を通じて、核戦力と核兵器の能力を積極的に向上させています。提案されている条約には、こうした活動に対する現実的、政治的、心理的な障壁が何も含まれていません。むしろ、インドの核の野望にゴーサインを与えるものです。こうした軽率なアプローチは、オーストラリアや南アジアにとっての利益になるものではありません。」と語った。

オーストラリアには世界のウラン備蓄の4割が眠っており、重要なウラン輸出国となっている。同国のウランのかなりの部分は、北部準州の[先住民族]ミラー族の土地からこの30年以上の間に採掘されたものである。

アボリジニからの警告

ミラー族の代表組織「グンジェイミ・アボリジニ団体」のジャスティン・オブライエン事務局長は、「『伝統的所有者』は、ウランがひとたび輸出された場合の影響、それが核兵器に使用される可能性について長らく懸念してきました。ミラー族は、原子力発電用とされたウランが核兵器用に転用されないようにする執行可能な保障措置が存在しないことを懸念しています。また、保障措置は、この協定においては通常のものよりも弱くなっているように見受けられます。」と語った。

オーストラリア政府は、このウラン取引によって17.5億オーストラリアドル(12.7億米ドル)に相当する輸出と、4000人の雇用機会を増やすことができるとしている。

しかし、「地球の友」豪州支部の全国核問題キャンペーン担当ジム・グリーン氏は、この説に対して次のように語って疑念を表明した。「インドへのウラン輸出は、豪州の貿易収入を拡大したり、遠隔地の先住民族社会における雇用増にはほとんど、或いは何の関係もありません。この取引は、豪州のウラン輸出による収入をたかだか3%増やし、数十人の雇用を増やすにすぎません。」

インドにとっては、ウラン輸出によって、新興経済大国として伸び続ける国内エネルギー需要を満たすことが可能になる。しかし、『戦争防止医師の会』(オーストラリア)の副代表であるスー・ウェアハム博士は、「原子力では気候変動の問題に対処できなません。原子力が今後さらに伸びることがあっても、実際に原子炉で電力を生産するまでには10年から15年かかります。特に重要なのは、核兵器とのつながりです。民生用と軍事用の核燃料サイクルの間には明確なつながりがあり、核原子炉が存在する限り、これは問題であり続けるのです。」と語った。

『2014年版世界原子力産業の現況報告書』によると、世界の商業的発電に占める原子力のシェア(2013年)は、前年比-0.2%とほぼ一定だが、ピーク時(1996年)の17.6%から10.8%へと下落している。.

ウェラハム博士は、「核のゴミの問題もあります」と指摘したうえで、「技術的、実際的現実は、核のゴミを環境から分離する、信頼性がありかつ永続的な方法をまったく持ちあわせないということです。世界は、あまり利用されず、あまり資源が投入されていない太陽光、風力、地熱、バイオ燃料などの再生可能エネルギーの促進・開発・利用のために、相当大きな資金を投入する必要があります。」と、語った。

WWFインド及びTERI(エネルギー・資源研究所)による詳細な報告書は、インドが2050年までにいかにして第一次エネルギーの9割を再生可能エネルギーで賄えるかについて予測している。

核兵器をもたないオーストラリアは、国として興味深い状況に置かれているが、米国との同盟の下で拡大核抑止のドクトリンを採っている。

ICANは豪州政府に対して、核兵器の完全廃絶達成に向けたもっとも望ましい次のステップとして、核兵器を禁止する法的拘束力のある条約を交渉する外交プロセスを支持するよう求めている。

翻訳=IPS Japan

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