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|UAE|2020年万博、ドバイに決定

【ドバイWAM】


博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)は27日の総会で、2020年の万国博覧会(万博)をアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催することを決めた。

2020年ドバイ万博のテーマは「心を繋いで、未来を創る」で、国際社会が一堂に集い、「持続可能性」、「機動性」、「機会」という国際展開の重要な要素である3つの副題について創造的で先駆的な解決策を探求するユニークな機会を提供することになる。

また同万博は、地球の進歩のための革新的なパートナーシップを記念する機会となるだろう。2020年万博のインフラ関連予算は約70億ドルとみられており、建物の一部は恒久的な施設として、万博閉会後も他の用途に活用する予定である。

また2020年ドバイ万博の開催が決定したことでUAEでは向こう7年間に、27万7000件の雇用創出が見込まれている。


また2020年ドバイ万博への訪問予想者は2千5百万人で、万博史上初めて、訪問者の70%以上が開催国外からの来場者になるとみている。


世界人口の3分の1が、ドバイ国際空港から旅客機で4時間以内、3分の2が、8時間以内のエリアに暮らしている。


2020年ドバイ万博の開催は、貿易と観光を中心にUAEに288億ドルの経済効果をもたらすと見られている。政府は、ドバイへの旅行者数を2020年までに2000万人を目指し、観光産業による利益を現在の1千億ディルハムの約3倍にする観光戦略を推進している。

環境面では、万博会場で消費されるエネルギーの50%を会場で生産するとしたり、施設に使用される建築材の30%にリサイクル部材を充てるなど、万博会場は環境に配慮した構成になっている。

開催予定期間は2020年10月から21年4月。この時期ドバイは観光のハイシーズン(冬季の平均気温は20度前後で過ごしやすい)にあたり、例年多くの国際イベントが催されている。

Read & Co. Engravers & Printers - View from the Knightsbridge Road of The Crystal Palace in Hyde Park for Grand International Exhibition of 1851. Dedicated to the Royal Commissioners., London: Read & Co. Engravers & Printers, 1851., Public Domain
Read & Co. Engravers & Printers – View from the Knightsbridge Road of The Crystal Palace in Hyde Park for Grand International Exhibition of 1851. Dedicated to the Royal Commissioners., London: Read & Co. Engravers & Printers, 1851., Public Domain


最初の万博は「全諸国の産業成果の大博覧会(Great Exhibition of the Works of Industry of All Nations)」と題して、1851年夏に英国のロンドンで25か国が参加して開催された。その後、1928年には国際博覧会条約が署名され、第二次世界大戦による空白期間があったものの、万博はこの条約を基準に世界各地で開催されてきた。前回の開催地は2010年の上海、次回は2015年ミラノで開催予定である。

2020年ドバイ万博は、中東で初めての万博開催となる。ドバイのほか、ロシアのエカテリンブルク、トルコのイズミル、ブラジルのサンパウロの3都市が立候補していた。ドバイは決選投票でエカテリンブルクと競い、116票対47票で圧勝した。(原文へ

翻訳=INPS Japan浅霧勝浩

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│ベネズエラ│領域画定を求めるアマゾン地域の先住民たち

【カニョデウーニャIPS=ウンベルト・マルケス】

「アマゾン流域の全ての国が『環境保護が大事』と言うが、実際にはいずれの国も多国籍企業と協定を結んで、地下資源の採掘や森林開発、道路建設を認めているのです。」とベネズエラ南部アマソナス州に住む先住民族クリパコの指導者グレゴリオ・ディアス・ミラバル氏は語った。

「ベネズエラでは先住民の権利を支持する50以上の法律や規定がありますが、適用が困難なため、先住民問題に関する決定については、主に政府に役職を有する先住民指導者に相談することになっています。」とアマソナス先住民連盟(ORPIA)の地域コーディネーターでもあるディアス・ミラバル氏は語った。

「しかしベネズエラのニコラス・マドゥーロ政権は、こうした手続きを経ることなく、ベネズエラ国内の採鉱調査を行う許可を中国企業『シティックグループ(中国中信集団有限公司)』に与える決定をしました。しかし私たちは採鉱場など望んでいないのです。また私たちは、(政府の決定に反対しているからと言って)政府から、犯罪者、社会に不安をもたらす者、米中央情報局(CIA)の手先呼ばわりされたり、或いは、あたかも他の外国の利益を擁護しているかのように、みなされたくありません。」

アマソナス州の11の先住民族団体が、6月以来、シティックグループによる採鉱調査の中止と先住民族の土地早期画定を求めて、マドゥーロ大統領に面会を要求している。

「私たちが唯一生き残る方法は、ここアマゾンの環境と生態系を守ることなのです。私たちはアマゾンの守護者として地球を救うお手伝いをしているのです。」とピアロア族の指導者ギジェルモ・アラナ氏はティラメリカの取材に対して語った。

アラナ氏は、ジャングルの奥地に切り立った台地が聳え立つアウタナ・テプイを背景に臨むカーノ・デ・ウーニャ村で暮らしている。

首都カラカスの南400キロにあるプエルトアヤクチョ(アマゾナス州都)からオリノコ川、クアオ川、アウタナ川をボートで数時間遡ると、ピアロア族の言葉で「ワハリ・クアワイ(生命の樹)として知られるアウタナ・テプイの光景が視野に入ってくる。

ピアロア族はジャングルの中に点在する川沿いの空き地で生活しているが、雨季(5月~9月)に当たる現在、川の水面は上昇し激しい濁流と化している。またこの地域の大地は花崗岩の岩盤でできており、表土層が浅く農作物の収穫が不安定である。

アマソナス州(184,000平方キロ)では、18万の人口のうち54%を先住民族が占めている。1989年の法律で鉱業は禁止されており、州内の大半の地域で何らかの環境保護法が施行されている。

他方、1999年憲法は、先住民族の領域を環境省の下に設置された委員会で画定するよう規定している。

委員会の最新の報告書によると、2009年以降、10の先住民族に属する73集落(合計人口1万5000人)に対して、40の集団的所有権が与えられた。

しかし、ベネズエラに40存在する先住民族のうち、部族全体に対して所有権が与えられたことはない。そのかわり、特定のコミュニティーを対象に所有権が与えられているが、アマゾナス州では依然として前例がないままだ。

「このプロセスに膨大な時間を要しているのは、先住民居住領域には環境、安全、開発、境界に関する様々な法規が決められている一方で、同じ地域内に複数の先住民族が居住しているという複雑な構造があるためです。ベネズエラ政府は、部族地域の領域画定問題について、まもなく進展を図るつもりです。私も年末までには進展があってほしいと望んでいます。」とアマゾナス州選出の国会議員(与党統一社会党)でクリパコ族出身のセサール・サンギネッティ氏は語った。

また同じく与党の先住民出身(ぺモン族)議員で国会先住民委員会の議長を務めるホセ・ルイス・ゴンザレス氏は、「私たち(先住民出身国会議員)が、もし必要ならば、先住民代表とマドゥーロ大統領の面談に向けた連絡役を務められると思います。たしかに、先住民の領域が確定すれば、各々のコミュニティーが共有財産に対する所有権を強めることができ、先住民の権利要求を強めることができるでしょう。しかしそれが実現したとしても、アマソナス州で横行している違法な採鉱活動を終わらせることはできないでしょう。」と語った。

シティクグループの専門家がベネズエラ各地で地下資源の調査を進めている一方で、複雑に入り組んだ地形をもつアマソナス州各地で、ブラジル、コロンビア等周辺諸国からアマソナス州に侵入したガリンペイロ(金鉱採掘者)らによる小規模な採掘作業が、急速に広がりをみせている。

「ティエラメリカ」が収集した事例証拠によると、数百もの金採掘業者がベネズエラ領内に侵入し、採掘地周辺の熱帯雨林を根こそぎ伐採するとともに、金分離の際に用いられる水銀で河川を汚染し、先住民を搾取している。

ブラジルと国境を接するオノリコ川上流のある場所で取材に応じたヤノマニ族の活動家ルイス・シャティエ氏は、「私たちは不法金鉱採掘者によって腕に数字の焼印をされた先住民らを見つけました。金鉱採掘者らは、先住民を所有物のように扱い、僅かな食料、ラム酒とマチェテ(山刀)の他はほとんど何も与えず、強制労働に従事させていました。先住民の男たちは荷役用の家畜のように扱われ、女たちも金鉱採掘者に奉仕することを強要されていたのです。」と語った。

ホセ・アンヘル・ディヴァソン(ローマカソリック教会)アマソナス代牧区長は、「ここの先住民たちは、憲法の規定にも関わらず、ベネズエラ政府がシティックグループに採鉱調査を認めた件について何の相談も受けていません。この地域、とりわけオリノコ川上流地域では過去30年以上に亘って違法な採掘作業が繰り返されてきました。今回の政府決定は、この地域の状況をさらに悪化させることになります。」と語った。

オリノコ川は690キロわたってベネズエラ・アマソナス州西部と隣国コロンビアを分かつ国境の役割も果たしている。アマソナス州側の国境地帯では、基本的な生活物資(食料、移動に不可欠なボート用の燃料、様々な器具、機材等)が不足しているため、住民は、両国間の物価の違いを利用して、様々な物資を密輸している。

ベネズエラでは、1リットルのガソリン価格が1.5セントに過ぎないが、越境してコロンビアに入るとその価格は100倍に跳ね上がる。

また、アマソナス州の先住民族らは、「コロンビア革命軍」(FARCが隣国コロンビアから越境侵入してきて、野営地を設置して物資を備蓄したり、果ては自前の法律を先住民居住地に施行したりすることに不満を持っている。

アマソナス州のリボリオ・グアルージャ知事(マドゥーロ政権に反対の立場をとる)は、「金とゲリラは、先住民らにとって極めて深刻な頭痛の種です。ゲリラは違法な採掘ビジネスの用心棒のように振る舞い、先住民族の居住区を侵し環境を破壊しているのです。」とティエラメリカの取材に対して語った。

ピアロア族の人びとは5月にFARCと会談し、地域からの撤退を求めた。

「カニョデウーニャ長老評議会」の指導者ホセ・カルモナ氏は、「この地に来たゲリラ達は、『自分たちは帝国主義と闘う革命家だ』と主張していました。しかし、私たちは平和に暮らす人々であり、武器など必要ないのです。私たちはただ、自分たちの土地で平和に暮らしていきたいだけなのです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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馬の持つ癒しの力を身体障害者支援に

【アブダビWAM】

アラブ首長国連邦(UAE)では、馬の持つ癒しの力を障害者支援に活用しようと、障害者用の乗馬センターが来年オープンする予定である。

乗馬センターは「ザイード人道ケア・特別ニーズ高等機構(ZHO)」が運営する予定。乗馬センター長に就任予定のクルード・アブドゥル・ラヒミ氏は、「馬は、自閉症などの病状を持つ人々のコミュニケーション能力向上に役立つと確信しています。」と指摘したうえで、「障害者の人々の身体・認知能力及び社交・行動技能を向上させる取り組みとして、来年首都アブダビのアル・マフラク地区に新たな乗馬センターを開設します。センターには21頭の馬と厩舎が配置され、諸外国から招聘された専門トレーナーが自閉症患者をはじめ特別な支援を要する障害者に対する支援を行います。トレーナーはとりわけ、障害者と馬の信頼関係構築を念頭に入れた(癒し効果があるとされる)乗馬セラピーに重点的に取り組んでいく予定です。」と語った。

乗馬センターは、ZHOが運営する治療・リハビリセンターの自閉症その他の患者に無料サービスを提供するほか、UAE全土の障害を持つ学生に対してもサービスを提供する予定である。

「また乗馬センターでは、障害者らが有する独自の能力を見出し、生産力のある一員として社会に統合できるよう、いくつかのコンテストを開催する予定であ。(本文へ

翻訳=IPS Japan

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【マライタ県アウキ(ソロモン諸島)IPS=キャサリン・ウィルソン】

ニューギニア東方の南太平洋国家・ソロモン諸島(人口約52.3万人)では、5年間に亘った民族紛争(エスニック・テンション:1998~2003年)で行方不明になった近親者を巡る、残された者たちの苦難が未だに続いている。今日、この多民族多文化国家で恒久平和を実現するには、行方不明者の遺体を捜索することが不可欠となっている。

「眠れません。私は真実を知りたいのです。村のあの男が酔っぱらって『皆殺しにした』と言うのを耳にします。本当のところはわかりません。しかし(行方不明になった)兄の子ども達の目を見つめていると、犯人に対する怒りが心の底から沸いてきます。私は真実を知りたいのです。」

記者はこの訴えをマライタ島のある村で耳にした。この村では民族紛争の中で7人の村人が失踪した。今日に至るまで、彼らは行方不明のままだが、村のある男が、酒に酔うと自分が犯人だと自慢するのだ。

1998年末、当時のガダルカナル州知事エゼキエル・アレブア氏の発言により、ガダルカナル島民が長く抱き続けてきた同島に多数居住するマライタ島出身者に対する不満が政治的問題へと発展し、これに後押しされるように武装組織「ガダルカナル革命軍」(のちにイサタブ自由運動と改称)が、マライタ島出身者に対して武力を用いた威嚇と排斥行動を始めた。当時ガダルカナル島に移住していたマライタ島出身者は、コミュニティーを形成して定住し、首都ホニアラの公務員をはじめとする給与所得者の多数を占め、実業界にも多く進出していたことから、地元ガダルカナル島民は、彼らに対し潜在的に反感を募らせていたのである。一方、マライタ島民及びマライタ島出身者らは、対抗措置として武装組織「マライタの鷲軍」を結成してイサタブ自由運動に対する反撃を開始した。このため、両武装勢力間の衝突は恒常化し、紛争は2003年7月にオーストラリア主導の「ソロモン諸島地域支援ミッション」が駐留を開始するまで、泥沼の様相を呈した。

2009年に設立されたソロモン諸島真実和解委員会(SITRCが収集した証言(2年間で約2290件の証言聴取と10回の公聴会を開催:IPSJ)によると、この紛争中に同じ村や部族グループの中で、対立武装勢力や敵の部族に協力する内通者がいるとの噂が飛び交ったために、多数の誘拐・失踪事件が発生したという。

マライタ平和・和解局のフランシス・カイリ次長は、今後聞き取り調査が継続されていく中で、これまで語られることがなかった事実が明らかになると確信している。

失踪者の行方が分からないままで、残された近親者が絶え間ない精神的ストレスに晒される「あいまいな喪失(ambiguous loss)」の問題は、紛争後の社会回復を著しく遅らせる要因となっている。

国家統合・和平・和解省のリューベン・リロ平和・和解担当官は、ホニアラでIPSの取材に応じ、「多くの国民の見方は、行方不明者の所在地か、或いは埋葬地が明らかにならない限り、本当の意味での和解など受け入れることはできない、というものです。」と語った。

ソロモン諸島真実和解委員会の委員長で牧師のサム・アタ氏は、「失踪者の近親者が抱えるいつ終わるとも知れない苦悩やトラウマに対応しなければなりません。さもなくば、紛争後の社会再建を目標に開始されたプロジェクトが、報復の目標になりかねません。」と語った。

今年に入って、マライタ島中部で4つの村が放火され、500人が家を失った。同島で真実和解調停人を務めるレズリー・フィロメア氏によると、癒されないトラウマのために、依然として地域で起きる小規模の対立がすぐに大規模な報復合戦へとエスカレートしてしまうのだという。

5年間に亘った武力衝突は主にガダルカナル島とマライタ島の人々の生活に深刻な影響を及ぼした。紛争期を通じて、双方で最大5万人が難を逃れるため移住を余儀なくされたと見られている。ガダルカナル島では、多数のガダルカナル人が流血を逃れるため島内の他の地域への移住を余儀なくされた一方で、同島各地に長らく住んでいたマライタ島出身者推定2万人が、土地・家財を残したまま、大挙してガダルカナル島を脱出し故郷マライタ島で避難民となった。

紛争期間中、村や職場、道端で拉致された被害者の多くが、拷問され殺害された。ソロモン諸島真実和解委員会は、2010年から11年の2年間に行った証言聴収を通じて、武装勢力及び治安部隊による拷問について1413件、拉致・不法監禁について300件の情報提供を受けている。

しかし失踪者に関する公的な調査活動は行われていないことから、実際の死亡者数は、ソロモン諸島真実和解委員会の最終報告書に記載されている数字をはるかに上回るものと考えられている。

アタ委員長は、「(死亡者数については)証言をもとに200カ所の埋葬地を特定しました。しかしこれらには集団墓地も含まれていますし、証言があったものの埋葬地を特定できなかったケースや住民が調査に協力しようとしなかったケースもあります。住民は、紛争終結後も武器を隠し持っている元武装勢力のメンバーの存在を恐れており、行方不明者に関する情報提供をすれば自分たちの身に危険が及ぶのではないかと警戒して私たちに積極的に協力しようとはしないのです。」と語った。

しかし一方で、近親者の遺体を遺族に返すことは「あいまいな失踪」問題に取組むうえで欠かすことができないプロセスだという点については、双方のコミュニティーの間で幅広いコンセンサスが存在する。

「適切な埋葬がなされない限り死者の魂が安らぐことはありません。それは残された遺族も同じことです。従って、死者の魂と残された遺族双方のためにも、遺体の返還は不可欠なのです。」とマライタ平和和解局のフランシス・カイリ次長は語った。

ソロモン諸島真実和解委員会は、2011年8月、失踪者の家族からの要請に基づいて、新たにガダルカナル島で死体の発掘作業を始めた。その結果、4人の男性被害者(2人がガダルカナル出身者、残りの2人がマライタ出身者)の遺体が掘り起こされ、同年11月、首都ホニアラの教会で、遺体を近親者に引き渡す「国民葬」が5年に亘った民族紛争に関与した全ての関係勢力が参加する中、厳粛に執り行われた。

それまでアルゼンチンからの法医学者らの支援を得ながら、各地のコミュニティーを廻り、村長や目撃者らとの長く複雑で慎重さを要する交渉に従事してきたソロモン諸島真実和解委員会にとって、紛争の加害者と被害者双方が参列する中で失踪者の遺体を遺族に引き渡せた「国民葬」は、それまでの活動の集大成とも言えるものだった。

アタ委員長は、「厳しい財源状況にありますが、地域住民に受け入れられる形で失踪者の遺体発掘作業を継続し、遺族に引き渡すまでの作業をやり抜くことが、民族紛争で深く傷ついた社会を真に再建するうえで、不可欠だと確信しています。」と語った。

またアタ委員長は、「委員会ではこれまでも全ての当事者が参加する形で和解を象徴するイベントを開催してきましたが、それだけでは十分とは言えません。」と指摘したうえで、「ソロモン諸島の社会が真の意味で傷を癒し、再建に向けたプロセスを歩んでいくためには、民族紛争で被害を蒙った双方の住民一人一人の苦痛に対処していく必要性があります。」と強調した。

国家統合・和平・和解省は、「国連人間の安全保障基金」の支援を得て、近親者喪失の悲しみに対処するための取り組みを始めている。今年、200人のトラウマ・カウンセラーがマライタ島と首都ホニアラを含むガダルカナル島各地のコミュニティーで活動を開始した。

カイリ次長は、「失踪者の調査・遺体発掘作業を継続していくことで、今後少しずつ民族紛争期に失われた人的損失の実態が明らかになり、それに伴ってトラウマを抱えて苦しんでいるなお多くの人々に手を差し伸べる機会が開けていくでしょう。このような対策がなされて初めて、被害者と加害者双方のためになる真の平和構築が可能になると確信しています。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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【シャリジャWAM】

「米国が提案している『2国間安全保障協定』に対してアフガニスタンがどのように応じるかによって、2014年末(国際治安支援部隊撤退期限)以降のアフガニスタンに対する米軍の関与のありかたが決まるだろう。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。

シャリジャに本拠を置くガルフ・トゥデイ紙は22日付の論説の中で、「ハミド・カルザイ大統領は米国との『安全保障協定』締結を支持しているものの、調印は来年4月に予定されているアフガン大統領選挙後になると明言している。」と報じた。

米軍が2015年以降もアフガニスタンに駐留し続けるには、この『安全保障協定』が現在開催されているロヤ・ジルガ(国民大会議)で承認され、アフガニスタン国会によって批准されたのち、カルザイ大統領が調印しなければならない。

「(新協定の年内調印を求めている)バラク・オバマ大統領は、ロヤジルガ開催を前にカルザイ大統領に書簡を送り、その中で『米国は、新たな協定においても引き続きアフガニスタンの主権を尊重する。』と明言したうえで、特に懸案となってきた米軍による民家を対象とした軍事作戦について、『米国人に差し迫った危険が及ぶような状況を除いて、米軍は民家に対する襲撃は行わない。』と約束した。この書簡は、ロヤジルガで同協定案承認を訴えるカルザイ大統領にとっては心強いものとなっただろう。」とガルフ・トゥデイ紙は報じた。

またジョン・ケリー国務長官もロヤジルガ開催を前に、数か月に亘る困難な交渉を経て米政府とカルザイ政権の間で「安全保障協定」に盛り込む文案についてようやく合意に達した旨を明らかにしていた。

「しかしアフガニスタン政府が発表した新協定の文案の中に『米兵が罪を問われてもアフガニスタンの法律で裁けない』と米国の裁判権を認めている条項が含まれていることがアフガニスタン国内で問題視されている。アフガニスタン人にとってこの条項を認めることは、カルザイ大統領が米国の要求に屈したように映るからだ(この点が退任後も影響力を保持したいカルザイ大統領が協定の調停を大統領選挙後に遅らせたい動機と考えられている:IPSJ)。この裁判権を巡る問題は米国とイラクの間でも紛糾し2011年には交渉が決裂して米軍の撤退へとつながった前例がある。」と同紙は指摘した。

「タリバンは、今回のロヤジルガ開催は(この新協定を認めさせるための)米国の陰謀であるとして非難するとともに、新協定を承認するならば、ジルガ参加者を標的にすると警告していた。そして先週、ジルガ会場付近で車載爆弾による自爆テロを行い、12人の死者(大半が民間人)がでている。

「今年に入ってアフガニスタンの治安状況は悪化の一途をとどっており2010年以来最悪の状況が続いている。こうした中、大統領二期目のカルザイ氏は憲法の規定により再出馬できないため、来年4月5日の大統領選挙は、カルザイ氏の後継者を決める選挙となる。アフガニスタンの安定を確保するのは公正な選挙が実施されることが重要である。この国では十分な血が流されてきた。今こそ、アフガニスタンの人々は(内戦ではなく)平和共存と国の再建に向けて歩みを進める時にきている。」とガルフ・トゥデイ紙は結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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地球市民集会ナガサキ、核廃絶への具体的ステップを提案

【ベルリン/長崎IDN=ラメシュ・ジャウラ】

米国のロナルド・レーガン大統領(当時)と旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長(当時)とのあいだで行われた歴史的なレイキャビク・サミット以降、5万発以上の核兵器が廃棄された。両者の会談は1987年12月の中距離核戦力(INF)全廃条約につながった。しかし、依然として1万7300発の核兵器が存在し、それは、「長崎アピール2013」が指摘するように、人類の文明と地球上のほとんどの生命の生存そのものを何回でも危機にさらすことができるものである。

米国科学者連盟(FASは9か国による核兵器保有数を次のように推定している。米国(7700発)、ロシア(8500)、英国(225)、フランス(300)、中国(250)、イスラエル(80)、インド(90~110)、パキスタン(100~120)、北朝鮮(10)。

欧州の5か国(ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ)がNATOの核共有協定の一部として、米国が自国に核兵器を置くことを認めている。また、おおよそ20以上の国家(アルバニア、オーストラリア、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、韓国、スペイン)が、自国の安全保障のために米国の核に依存している。さらに、約40か国が、兵器生産に転換可能な能力を持つ発電用原子炉あるいは研究炉を保有している。

今日、「核兵器の爆発による絶滅の危険が、偶発的、あるいは計算違いにせよ、意図的にせよ、人類の未来に暗い影を投げかけ続けている」のが現状である。にもかかわらず、専門家によると、核兵器製造のノウハウが拡散することで、より多くの国が核開発を行うリスクが高まってきているという。

さらに、「長崎アピール2013」は、「核軍縮への『明確な』約束の不履行が、不拡散体制の信頼を低下させた。そしてその破綻すら招きかねない。」と述べ、核兵器なき世界に向けた核保有国の怠慢が、核不拡散条約(NPTの正当性を低下させていると警告している。

この画期的な「長崎アピール2013」は、11月2日から4日に開催された「第5回核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」で出されたものである。長崎は、広島と並んで68年前に核攻撃を経験した2番目の都市であり、今までのところ地球上最後の被爆都市でもある。長崎市民らは2000年以降数年ごとにこのような市民集会を開催しつづけている。

今回の市民集会には、国内外の非政府組織(NGO)の代表や科学者らをはじめ3280人の市民が参加した。参加者は、被爆者の体験談や、生きているうちに核兵器廃絶を実現してほしいという彼らの心からの叫びに耳を傾けた。また、核兵器なき世界を実現し維持する責任を引き受けようとする若い世代による希望に満ちた声にも耳を傾けた。

Breakout Session/ 核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会提供
Breakout Session/ 核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会提供

長崎市からの招請で第1回集会から参加している著名なゲストのひとりに「核時代平和財団」のデイビッド・クリーガー所長がいる。クリーガー所長は、これまで発表された全ての「長崎アピール」の起草プロセスに関わってきた。

クリーガー所長はIDNに寄せたコメントの中で、「『長崎アピール2013』は異例の文書です。なぜならこの文書には、地球上で2番目に被爆した長崎の精神と、この街を今後も原爆の悲劇を味わった地上最後の都市にしてほしいという被爆者らの切実なる願いが反映されているからです。私は、これこそ世界の全ての市民が読み、若い人たちが勉強すべき文書だと確信しています。」と述べている。

またクリーガー所長は、今回の長崎アピールの注目点のひとつとして、2011年3月に福島県で発生した原発事故について言及している点を指摘した。同アピールは、「私たちは、福島の人々の健康や生活の不安と苦悩について知り、核兵器であれ原子力であれ、放射能の危険性を改めて認識した。福島の事故と、長崎・広島の原爆被爆の経験は、核の惨事の影響が、時間的にも空間的にも制御できないことを示した」と述べている。

希望の理由

「このような困難な問題」の一方で、「長崎アピール2013」は、とりわけ、核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的影響に改めて国際的な注目が集まっていることに、希望の理由を見出している。「このアピールは、人間の安全保障と世界の安全保障が核兵器によって危機にさらされている今日の世界において、核抑止が自国の安全を保障するという考えは『幻想』に過ぎない点を指摘しています。」とクリーガー所長は述べている。

国際赤十字・赤新月社代表者会議が採択した2011年11月の決議は、核兵器の非人道性について、「国際条約を通じ核兵器の使用禁止と廃絶のための交渉を完結する」必要性を明確に訴えた。

核兵器の使用がもたらす人道的影響について、2010年以来、国連総会や2015年NPT運用検討会議に向けた準備委員会で議論されている。さらに今年3月には、ノルウェー政府主催において「核兵器の人道的影響に関する国際会議」が開催された。この後継会議が、2014年2月にメキシコ政府の主催で行われることになっている。

クリーガー所長は次のような一連の具体的な行動を呼びかけた「長崎アピール2013」のもう一つの側面にも焦点を当てている。つまり、①核兵器の全面禁止・廃絶に向かう外交交渉の開始、②米ロによる単独あるいは二国間での核軍縮措置、③全ての国の安全保障政策における核兵器への依存低減、④核廃絶キャンペーンへの市民の一層の参加奨励、⑤新たな非核兵器地帯の創設、⑥福島原発事故の被災者への支援、⑦人類が核兵器と同じく核エネルギーにも依存し続けることはできないという教訓を学ぶ。

アピールは「福島の事故は、原子力に依存し続けることができないことを私たちに教えた」としたうえで、山口仙二さんが「ノー・モア・ヒロシマ/ノー・モア・ナガサキ/ノー・モア・ヒバクシャ/ノー・モア・ウオー(戦争)」と叫んで、被爆者の体験を1982年に国連で訴えたことを想起し、さらに、「福島の事故は『ノー・モア・フクシマ』と叫ぶことを要求している。」と述べている。

またクリーガー所長は、今回の長崎アピールでは、世界唯一の戦争被爆国として日本が負うべき義務として次のような具体的な勧告をしている。つまり、「①米国の核の傘から脱却すること、②北東アジア非核兵器地帯創設に向けたリーダーシップをとること、③核兵器廃絶に向けたリーダーシップをとること、④福島の放射能危機を制御するにあたって国際支援を求め歓迎すること。」である。

Opening/ 核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会提供
Opening/ 核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会提供

アピールはまた、日本の532自治体の首長が北東アジア非核兵器地帯への支持を表明していることを指摘した。日韓の超党派の国会議員83人からは2010年7月22日の共同声明でも支持を得ている。また今年9月には、モンゴル大統領が、北東アジアの非核兵器地帯を積極的に支援する意向を国連総会で表明している。

またアピールは、日本がリーダーシップを発揮するために、2014年4月に広島で開催される軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合の場を活用すべきだと述べている。また、2016年に日本で開催される主要国首脳会議に参加する政治指導者と政府関係者が被爆地広島・長崎を訪問するよう働きかけるべきだとも述べている。

地球市民集会ナガサキの参加者らはさらに、「核兵器のない世界の実現のための努力を一層強める」ことを誓い、「ナガサキを最後の被爆地に」と訴えた。クリーガー所長は、これは、人類と未来にとって必要な目標だと指摘するとともに、「これは、核時代に地球上に生きる我々すべてが直面している難題です。長崎はその道を切り開く役割を果たしています。成功するために我々の声と努力が必要なのです。」と述べている。

具体的措置

これを実現するために、「長崎アピール2013」はいくつかの目に見えるステップを勧告している。その多くは、創価学会インタナショナル(SGI)池田大作会長がすでに提案してきているものだ。例えば:

核兵器の包括的禁止・廃絶に向けた交渉を2014年に開始すること、それらの交渉を2015年のNPT運用検討会議で支持すること、2018年よりも前にハイレベル会議を開くこと。

米ロが、戦略および非戦略、配備済みおよび未配備の双方において、単独あるいは二国間措置を通じて核備蓄を相当に削減すること。すべての核兵器国が核兵器システムの開発・近代化を停止し、毎年100,000,000,000ドルを社会的経済的必要に振り向けるために道を切り開くこと。

核兵器国と核の傘依存国の軍事・外交政策において核兵器の役割と重要性を低減させること、国内法の制定や核兵器産業への投資中止によって核兵器の価値を下げること。

核兵器廃絶に向けた運動にさらに世界の市民が参加し若い人たちを巻き込むこと。例えば、平和首長会議核不拡散軍縮議員連盟(PNND核兵器廃絶アボリション2000ネットワーク核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN核戦争防止国際医師の会(IPPNWなどである。(原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|イスラエル|「核の曖昧政策」というタブーに挑んだ会議

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【占領下東エルサレムIPS=ピエール・クロシェンドラー】

イスラエル・パレスチナ間の和平交渉やイランの核開発疑惑に関する協議が続けられる中、エルサレムのノートルダムホテルにおいて「大量破壊兵器(WMD)のない中東」と題したユニークな国際会議が開催された。

これはイスラエルにおいては従来タブーとされてきたテーマである。なぜなら、イスラエルは自国の核兵器保有疑惑について、あえて「意図的に曖昧にする」政策をとり続けているからだ。

この会議では、軍備管理・地域安全保障(ACRS)多国間協議へのパレスチナ代表団元団長のジアド・アブザヤド氏や、元平和調停人で元駐イスラエル・エジプト米大使のダニエル・クーツザー氏、WMD拡散に反対するさまざまな年齢層の活動家等、特異なメンバーが一堂に会した。

また、モルデハイ・ヴァヌヌ氏も出席していたが、彼は外国人に話をすることやイスラエルを離れることを禁止されている。

かつて核兵器開発技術者だったヴァヌヌ氏は、1986年、WMDに反対する動機から、イスラエルの核兵器開発の実態の詳細を英国の『サンデー・タイムズ』紙に内部告発した人物である。ヴァヌヌ氏はその後、イスラエル諜報特務庁(モサド)によってローマで拉致され秘密裏にイスラエルに連行されたのち、裁判の末、国家反逆罪で有罪を宣告された。18年に及んだ監獄生活のうち、独房での重禁固は11年以上に及んだ。

クーツザー元大使は「10年前なら、現実離れした抽象的なテーマの会議ですら(イスラエルで)開催することはできなかったでしょう。」と指摘したうえで、「しかし『WMDのない中東』はもはや絵空事ではなく、この会議は、イスラエルでこれまで強制的に世間の関心から遠ざけられてきた、まさにこのテーマに関する公開イベントなのです。」と、興奮気味に語った。

この会議は、中東地域の平和を目指してパレスチナ・イスラエル双方の進歩的なジャーナリストによる共同編集で刊行されている『パレスチナ・イスラエル・ジャーナル(PIJ)』が主催した。

さらに現在はプリンストン大学で教授(中東政策)を務めるクーツザー元大使は、「こうしたトラック2外交(市民団体や大学の研究者等による「民間外交」)は、いずれトラック1(国家間の政府外交)に影響を及ぼすようになるでしょう。」「それは今年ではないにせよ、来年か再来年にはそうなると思います。」と語った。

この会議は、11月7日にイランと「P5+1」(英国、中国、フランス、ロシア、米国+ドイツ)間の協議第2弾が始まる数日前に開催された。第1弾は前向きな雰囲気の中で終了している。

イランが核武装に向かっているという疑いが国際社会において依然根強い中、中東で唯一核兵器を保有しているとされているのがイスラエルである。

「保有していると『されている』」というのは、イスラエルが、海外の情報源によるこの問題に関する報道を、一度も肯定も否定もしたことがないためである。イスラエルは、「意図的な曖昧さ」のベールを維持するために、核不拡散条約(NPT)にも署名していない。

イスラエルの核政策は、「中東で最初に核兵器を導入する国にならない。」という一文で表現される。

この点について、イスラエルの軍事評論家ルーベン・ペダツール氏は、「イスラエルは(中東で核兵器を導入する)一番目の国にならないとしても、二番目に甘んじることもないだろう。」と皮肉交じりに語った。

ヴァヌヌ氏は、この問題に関する厳格な検閲規定を破ればどうなるか、自身の経験を通じてよく知っている。(イスラエルでは自国の核保有に関する)公論は依然として存在しないのである。「核問題は、イスラエルにおける最後のタブーといってもいいでしょう。」とペダツール氏は語った。

プリンストン大学の主席研究物理学者フランク・フォン・ヒッペル氏は、「中東における核分裂性物質の管理」と題した発表の中で、プルトニウム分離・使用の禁止、高濃縮ウラン燃料使用の停止、6%以上のウラン濃縮の停止、新規ウラン濃縮施設建設の禁止を提案した。

(「WMDのない中東」がテーマのこの会議で)イスラエルの核計画が最も関心を集めたのは自然な成り行きであり、(同国の核開発の中心地とみなされている)ディモナの核施設が俎上にのぼった。フォン・ヒッペル氏の世界的な提案に対して、イスラエルがなさねばならないのは、「イスラエルのプルトニウムや高濃縮ウラン備蓄の凍結、宣言、そして段階的な削減」である。

しかしパネリストらは、世界でもっとも不安定な地域からもっとも不安定な兵器をなくす必要性については総論的に見解の一致を見たものの、中東で核兵器を保有しているとされる唯一の国(=イスラエル)に焦点を当てることの実践的な意義については、一致に至らなかった。

ペダツール氏は、「素晴らしい提案だが時期尚早だ。」と指摘したうえで、「イスラエルの核問題から議論を始めるべきではありません。もし米国がイスラエルに圧力をかけることがあるとしても、おそらくだが、残念なことに、米国がイスラエルにインセンティブを与えられるとは思えません。」と語った。

この点については同意見のクーツザー元大使は、「米国はとりわけ核兵器拡散を止めることに関心を抱いています。イスラエルに関しては、同国が核保有を公式宣言していないという問題と、所与の前提である米国との強力な二国間関係にあるという厳然たる現実に立ち返らざるを得ません。」と語った。

イスラエルは、マドリッド平和会議(1991年)ののち、ACRS多国間協議に加わった。しかし、イスラエルが地域の安全保障という要素を議論の優先課題としたのに対して、(エジプト率いる)アラブ諸国が軍備管理の要素、すなわち保有疑惑のあるイスラエルの核兵器の管理を優先課題とした。その結果、両者間の協議は1995年に頓挫した。

イスラエルは、自国の核保有に関して「決して明らかにしない」という自国のみに都合の良い立場を前提に、中東非WMD地帯について議論し、いわゆる永遠の敵に対する究極の抑止力を放棄する用意があるとしている。しかもこの提案には、「パレスチナやシリア、イランなどの隣国全てとの包括的和平合意の枠内で」という前提条件が課されている。

これは、およそ仮想的で実現しそうにない前提条件である。

「イスラエルは国際社会にその事実上の核保有国の立場を認めさせようとしているのです。しかし、『イスラエルが核兵器を保有していないとの前提ならば中東非核地帯に反対しない』という論理は、まったく馬鹿げているというほかありません。」とアブザヤド氏は嘆いた。

アブザヤド氏の意見は従来のパレスチナの立場を代弁するものである。つまり、核兵器の問題と和平の見通しが「順番にではなく、同時に関連付けられながら」アプローチされねばならない、というものだ。

それでは核兵器の問題と中東和平の見通しの問題の間に、あるいはそれらの中に、何らかの連関はあるのだろうか?

「外交官による公式回答であれば『ノー』ということになるだろう。ところが、妨害で中止に追い込まれることなく、このような市民団体の集会で議論が行われてしまえば、両者の間には何らかの関連があるということになるのです。」とクーツザー元大使は語った。

イスラエルは、自国の核計画と現在芽生えつつある中東地域の緊張緩和との間にはいかなる関連性もないと主張している。

アブザヤド氏とPIJを共同編集しているヒレル・シェンカー氏は、「シリアから化学兵器を移動させるとの米ロ合意、1979年以来初となった米国・イラン大統領の会談、3年ぶりに再会されたイスラエル・パレスチナ間の和平交渉…」等の事例を挙げながら、「これらの出来事により、中東非WMD地帯の実現に向かって前進していくための建設的な下地が形成されつつあります。」との見解を示した。

これに対してペダツール氏は、会議の楽観主義的な雰囲気に冷水を浴びせるかのように、逆の要素を挙げていった。「シリア内戦での化学兵器使用、イラン核危機が今日まで解決されていないこと、イスラエルが依然として核兵器を保有し、パレスチナ占領を続けていること。中東非WMD地帯がすぐにでも実現しそうにないこと。」

クーツザー元大使は「米国がその影響力と権力を行使する用意に応じて、中東非WMD地帯の可能性に関する議論を行うだけではなく、実際にこれらの問題への取り組みを始めることを容易にするような地域安全保障に関する新たな局面が開かれる可能性があります。」と語った。

アブザヤド氏は、「イスラエルの話をすれば、イスラエルはイランの話をします。するとイランはパキスタンの話をし、パキスタンはインドの話を…といった具合に、核の連鎖は続いていくことになるのです。」と指摘したうえで、「(核兵器廃絶に関する)世界的な取り決めが必要です。」と主張した。

会議は、イスラエルの事実上の核保有をめぐる検閲を破ることには成功したかもしれないが、実効性のある中東非WMD地帯を創設するというイスラエルにおけるタブーを破るところまではいかなかったようだ。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|パキスタン|「米国は無人機攻撃作戦の影響を理解すべき」とUAE紙

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【ドバイWAM】

「米軍はパキスタン北西部の部族管轄地域でパキスタン政府の提案に応じて和平交渉に赴いてきた『パキスタンのタリバン運動』の指導者ハキムラ・メスード司令官を無人機で攻撃して殺害した。しかしこの行動は、米国が想定しなかった副次効果、つまり、アフガニスタンに駐留する北大西洋条約機構(NATO)軍を危機に陥れかねないリスクを招くこととなってしまった。」とUAEの英字日刊紙「カリージ・タイムス」が報じた。

「今日、アフガニスタン駐留NATO軍に対する補給物資は、カイバル・パクトゥンクワ州を通過しており、この補給ルートは多国籍軍の兵が撤退した後も、重火器や戦車などの装備を撤収する際、極めて重要な役割を果たすことになる。しかし、クリケット選手から政治家に転身したイムラン・カーン氏が率いる同州議会の与党『パキスタン正義運動』は、この米軍による無人機攻撃を激しく非難し、作戦を中止しなければ、NATO補給物質の同州通過を差し止める意向を明らかにした。もしこれが実行に移されれば、NATO軍は撤退前に補給物資を断たれて窮地に陥るリスクが出てくる。」

カリージ・タイムス紙は、「ナワズ・シャリフ政権は、アフガニスタン駐留NATO軍への物資補給ルートを提供している見返りに、50億ドルを超える通行料収入を得ているとみられている。しかし米軍との協力を巡ってカイバル・パクトゥンクワ州政府との対立が深まっていることから、この収入源が失われる可能性がでてきている。もし州議会が警告を実施に移した場合、11月20日から全てのNATO補給物資が同州を通過できなくなるだろう。」と報じた。

しかしシァリフ政権は、この州議会の動向を全く無視するわけにはいかない事情がある。それは州議会の与党が連邦下院にも影響力をもっていることと、民間人に多くの犠牲者を出してきた米軍による無人機攻撃に対する非難が国内で高まっており、その批判の矛先の一部が、『弱い者いじめをする外国勢力と共謀している』というイメージとともにシャリフ首相自身に向けられているからである。

シャリフ政権は、国民の怒りを鎮めるために今回の無人機攻撃を非難する声明を発したが、単なるリップサービスでは、カーン氏率いる州議会与党が本気で対決姿勢を貫こうとしている場合、それを思いとどまらせる効果はないだろう。万一の場合、代替えルートとして想定されるのは、パキスタン南西部のバロチスタン州を経由するルートだが、同州ではパキスタンからの独立を目指すグループや同州の自治拡大を目指すグループ等による反政府闘争が行われているため、州内は極めて不安定な治安状況にあり、NATO補給物資が直面するリスクは現行ルートよりもさらに悪化するものと見られている。

「NATO軍撤退期限が迫る中、安全な撤収ルートを確保するためにも、パキスタン中央政府とカイバル・パクトゥンクワ州間の和解が必要である。従って、同州における無人攻撃機による作戦を今後も継続することは、米国の敵のみならず、同盟諸国も危険にさらすことになりかねないのである。」とカリージ・タイムス紙は結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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【アックスブリッジ(カナダ)IPS=スティーブン・リーヒー

欧米の環境保護団体による最新の報告書によると、インドネシア、アルゼンチン、ナイジェリアの一部が、地球上で最も汚染された場所トップ10にランクインした。これらの汚染地域では、数百万人が生活し労働に従事しているが、概ね住人の寿命は短く、各種病気への罹患率も高い。またこうした地域では、より裕福な国で使われる製品が製造されていることが少なくない。

汚染関連の環境問題に取組んでいる「ブラックスミス研究所」(本部ニューヨーク)のジャック・カラバノス研究チーフは、「美しい宝石が、このような環境で作られていると知ったら、人びとは驚くでしょう。」と語った。同研究所は、11月4日、「グリーンクロス・スイス」とともに報告書『毒物の脅威トップテン2013(Top Ten Toxic Threats 2013)』を発表した。

インドネシア・カリマンタン島では、地元の人々が、きわめて毒性が強く神経を侵す可能性がある水銀を使って金を抽出している。

「彼らは、危険性について認識しないまま、この作業を家屋内で行っているのです。私たちのスタッフが実際に家屋に立ち入って水銀量を計測したところ、安全基準より350倍の高い水銀が検出されました。」と、ブラックスミス研究所主任で汚染地域のリスク評価を指揮したブレット・エリクソン氏は語った。

このような労働慣行により世界で1000万から1500万の人々が、深刻な健康被害のリスクに晒されている。エリクソン氏は、「これは、世界各地で大規模な水銀公害の発生源にもなっています。水銀は、ひとたび環境中に放出されると、魚など人間が食べるものに蓄積していくのです。」と指摘したうえで、「低コストで水銀を利用しない金採掘の方法は確かに存在するのですが、あまり広く知られていないのが現状です。」と語った。

『毒物の脅威トップテン2013』は、世界の汚染問題を記録した年次報告書の最新版である。この報告書には、旧ソ連チェルノブイリ原発事故の放射性物質による汚染が続くウクライナのチェルノブイリなど、有害物質による環境汚染が最も深刻な世界の10地点が収録されている(健康被害リスクの深刻さと被害を受けた人々の数に応じて分析・評価されている。なお、東京電力福島第1原発事故によって放射線量が高くなった地域は今回10地点に含まれなかったが、特記事項として「放射性物質漏れが続いている」と指摘している:IPSJ)。

報告書はこれまでも、公害による健康被害者数が世界で2億人にものぼり、規模ではマラリア結核症の被害に相当する現実を明らかにしてきた(前者と異なり後者の場合、世界の関心と数十億ドルの資金が注がれている:IPSJ)。また報告書は、「世界的に見れば、ガン患者の2割と子どもの疾病の33%が環境への曝露が原因であり、その傾向は国民総所得(GDP)レベルが低い国ほど、被害が大きい。」と記している。

ブラックスミス研究所は、「グリーンクロス・スイス」と共同で最初の報告書を発表した2007年以来、49か国において3000以上の汚染地域で危険性評価を実施してきた。今回の報告書では、2007年版に掲載した「ドミニカ共和国ハイナ市の自動車用バッテリーリサイクル用溶鉱炉跡地(数少ない成功事例として23頁に掲載)」など当時の「トップテン」地域についての、追跡調査の結果も報告されている。

「よいニュースは、インドなどの国が次第に公害問題に対処するようになっていることです。」とエリクソン氏は語った。インドはクリーンエネルギーの導入を推進する資金(4億ドル規模)を捻出するため、2010年7月から新たに「クリーンエネルギー租税(石炭税)」を導入した。インド政府はこの資金で、国内の汚染地域の一覧を作成し除染作業を進めていく予定である。

一方、汚染地域周辺で持ち上がっている問題の一つに、今日多くの国で見かけるようになった、国による規制の行き届かない小規模事業所の存在がある。インドネシアチタルム川沿いには2000以上の事業所があり、これらから排出される鉛・水銀・ヒ素などの毒物によって、面積にして1.3万平方キロメートルにおよぶ広大な地域が汚染されている。

「世界銀行から5億ドルの融資が出たおかげで、ようやく除染作業が始まりました。しかし、作業を完了するには十数年はかかるでしょう。」とエリクソン氏は語った。

また同報告書によると、アルゼンチンのブエノスアイレス近郊では、推定5万の小規模事業所が、大気中や土壌中、水中に毒性が強い化学物質や金属の混合物を排出している。そしてマタンザ・リアチュエロ川沿いでは、少なくとも2万人が危険な毒物に曝されている。ここでも、世界銀行が資金を提供し、ブラックスミス研究所が技術的支援を行って、浄化作業が進められている。

グリーンクロス・スイスのステファン・ロビンソン氏は、「最悪の環境汚染地域の中には、規模があまりにも広範囲にわたり、除染するには数十億ドルの資金と数十年の作業期間を擁するものも含まれています。こうした地域は、今後も長年に亘ってこの年次報告書にランクインし続けていくでしょう。」とIPSの取材に対して語った。

ロシアにはこうした最悪の環境汚染地域が2カ所存在する。ロシア政府は、こうしたソビエト連邦時代の負の遺産がもたらす深刻な状況についてようやく認め、除染予算として30億ドルを割り当てた。一つは旧ソ連時代に約半世紀にわたってサリン、VXガス、マスタードガス、ホスゲン等の化学兵器の生産拠点であったジェルジンスク(人口約30万人)である。ここでは少なくとも30万トンにのぼる工場からの廃棄物が地下水に流れ込んだとみられている。

この街では先天性欠損症などの出生異常の発生率が高く、住民の平均余命も40歳代にまで低下している。これと類似した状況は、シベリアのノリリスク(人口約13万5千人)でも見られる。ここでは、世界最大のニッケル製錬所から排出される二酸化硫黄等により周辺30キロの木々が枯れるなど、住民は深刻な公害問題に直面している。

「ノリリスクの公害防止の必要性については多くが語られていますが、対策はほとんど行われていないのが現状です。」と、ロビンソン氏は語った。

今回新たにトップテン入りし、今後長年に亘って掲載され続けるであろう汚染地域が、ナイジェリア最大の産油地帯「ニジェールデルタ」である。ここでは1976年から96年にかけて、250万バレル石油が土地と運河に流出しており、国連環境計画(UNEP)も2011年に発表した調査報告書の中で、史上最大規模の除去作業(除染費用10億ドル、作業期間30年)が必要だとの認識を示している。石油およびその副産物は極めて毒性が強く、この地域に暮らす約3000万人の貧しい住人の健康に深刻な被害(呼吸障害、皮膚や消化器疾患、腫瘍やがん)をもたらしている。(原文へ

翻訳=INPS Japan浅霧勝浩

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「アラファト氏の毒殺説、裏付けられる」とUAE紙

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【アブダビWAM】

アラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙は11月8日、「ヤーセル・アラファトパレスチナ自治政府議長(当時)の死因については、2004年の死亡以来、様々な憶測がとびかってきたが、放射性物質ポロニウム210を用いた毒殺であったことを裏付ける決定的証拠が発見されたようだ。」と報じた。

パレスチナの真相解明委員会は同日、記者会見を開き、「アラファト氏の遺体から採取した検体を鑑定していたスイスの研究所が、『ポロニウムを通常より高い水準で検出した』と発表したのを受けて、同氏の死は暗殺によるものとの見方を示した。」

しかし、ポロニウム210がどのような経路でアラファト氏の体内に送り込まれたかについては、同氏が使用した歯磨き粉に混入されていたという説や、食べ物の中に混入されていたという説、はたまたアラファト氏が病院で着ていた服に付着させたという説など様々である。

PLO Chairman Yasser Arafat / By Government Press Office (Israel), CC BY-SA 3.0
PLO Chairman Yasser Arafat / By Government Press Office (Israel), CC BY-SA 3.0

しかし少量で継続的な激痛をもたらし死に至らしめるポロニウムをどのような方法でアラファト氏の体内に送り込んだのかという問題よりは、誰の仕業であったかという点の方が重要である。この点について主犯として名指しされているのがイスラエルである。

「アラファト氏は、過激派・政治指導者としての生涯を通じて、イスラエルによる占領と抑圧からパレスチナの民衆と土地を解放し、パレスチナを独立国として国際社会の中で本来あるべき地位に復帰させるという悲願を妥協なく追求した人物だった。」とガルフ・ニュース紙は11月8日付の論説の中で報じた。

イスラエルの指導者はアラファト氏の生前、同氏を公然と「敵とみなしている」と語り、口封じの対象であることを示唆していた。アラファト氏の存在は、パレスチナ民衆に加えられている非合法かつ不道徳なイスラエルの行為を国際社会に訴える生きた象徴であり、パレスチナ人の大義を中東和平問題の中心課題に据え続けたアラファト氏の手腕は、イスラエルにとっては困惑の元凶であり、アラファト氏は文字通りイスラエル政府にとって不倶戴天の敵であった。

ポロニウムは、核開発プログラムを通じて人工的に生成しない限り自然界にはほとんど存在しない(ウランの100億分の1程度)放射性物質であり、イスラエルは2004年当時、(自国の核開発プログラムを通じて)容易に入手できた。イスラエルの保安・諜報部員は、このパレスチナ人活動家に対して、最も非道な手段を講じたのである(イスラエルは関与を否定:IPSJ)。なお、同国は、2010年にもここUAEの主権を侵して偽造外国人旅券で保安・諜報部員をドバイに入国させ、ハマス幹部マフムード・マフブーフ氏を暗殺するという非道な手段を実行した経歴がある。

しかし、米国および国連安保理(における米国の拒否権)によってイスラエルが今日の地位を保証されている限り、アラファト氏を殺害した実行犯らが公正な裁きを受ける日は、決して訪れないだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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