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|世界未来エネルギーサミット|中東エネルギー危機のトンネル抜け、光明見出す

【アブダビIPS=タリフ・ディーン】

ヨルダンのラニア・アル・アブドラ女王は、アブダビで同時開催されたエネルギーと水に関するサミットで演壇に立ち、出席した世界の政財界リーダーに向かって「私は、エネルギー需要の9割以上を輸入に依存している国を代表してここに参りました。」と語りかけた。

アブドラ女王は、「中東アラブ世界は、石油資源に恵まれた地域であるにもかかわらず、明らかに深刻なエネルギー危機に直面しています。」と指摘し、次のような例を挙げた。

World Future Energy Summit

 「ガザ地区では停電が日常茶飯事であり、イエメンでは街灯の下でしか勉強することができませんが、女子にはそうした選択肢すらありません。スーダンでは、助産婦は出産が日のあるうちに済むことを祈らざるを得ない状況です。またイラクでは、停電があまりにも頻繁に起こるため、バグダッドのアルダキリ病院では、薬を一定温度で保管できなくなり、やむ無く貴重な薬を処分したのです。」
 
一方でアブドラ女王は、「しかし、トンネルの中にあっても、一条の光を見出すことができます。」と述べ、その根拠として、「持続可能なエネルギー政策を目指すアブダビ首長国の大胆なビジョンが、サミットをホストしたこの国(アラブ首長国連邦:UAE)を変革し、中東全体の励みとなっているのです。」と語った。(基調講演の映像

1月15日から17日にかけて、「第6回世界未来エネルギーサミット(WFES)」と「第1回国際水サミット(IWS)」が同時開催され、世界の政財界のリーダーやエネルギー・水問題で影響力を持つ専門家ら30,000人以上が参加した。アブドラ女王は、フランスのフランソワ・オランド大統領等とともに、サミットで基調講演者をつとめた一人である。

また両サミットは「アブダビ持続可能性週間」の一環として開催されたもので、いずれも国営の多角的再生可能エネルギー企業「マスダール」が主催した。

マスダール最高経営責任者(CEO)のスルタン・アーメド・アル・ジャベール博士は、各国代表団を前に、「UAE(確定石油埋蔵量で世界5位)の指導者は、水は石油よりも重要だと考えています。」と述べるとともに、「世界の指導者は、水問題とエネルギー問題に対して、同等の関心を払うべきです。」と訴えかけた。

さらにジャベール博士は、「こんにち、私たちが水を取り扱うには、その汲み上げ、処理、輸送に要するエネルギーも必ず考慮せざるを得なくなっています。また同様に、エネルギーを利用するためには、その掘削・生成に要する水を考慮しなければなりません。」と指摘した上で、「もはや私たちは、水とエネルギーの間にある密接な相互依存関係を過小評価できなくなっています。」と語った。

「現在、世界のエネルギー消費の約7%が水のためであり、世界の水の50%がエネルギーのために使用されています。そしてこの相互依存関係は、時間とともに今後益々拡大していくでしょう。」とジャベール博士は付け加えた。

また両サミットは、エネルギーと水関連の有力企業(シエル、カナディアン・ソーラー、スタトイル、スウェーデンエネルギー庁、三菱重工業、アブダビ国営原子力エネルギー公社、エクソンモービルを含む)にとって、自社の製品を展示し世界市場に技術を売り込む絶好の機会でもある。

再生可能エネルギー源の中で、もっとも伸びているものは何かとの質問に対して、インドのバンガロールに本拠を置く「オーブエナジー社」(太陽光発電の大手)のダミアン・ミラー会長は、「パーセントで見れば、これまでのところ、旧来の再生可能エネルギー源とみられている水力発電に比べて、風力発電が新たな再生可能エネルギー源として大きく伸びています。」と語った。

次にこの分野で最も進歩を見せた国はどこかとの質問に対して、ミラー会長は「ドイツです。」と答えた。また、主にマイクロクレジット(小規模融資)を通じて太陽光発電を大幅に普及させた国の一つとして、バングラデシュを挙げた。

ドイツエネルギー機関(DENA)のステファン・コーラー理事長によると、2011年のドイツにおいて、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合は12.5%、さらに、総電力消費量に占める割合は20.3%であった。ドイツ政府は、総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに35%、さらに2050年までに80%とする目標を掲げている。

トレド大学(米オハイオ州)のナギ・ナガナサン教授(機械工学)によれば、主要な再生可能エネルギー技術(太陽光、風力、バイオ燃料)の中でこの2年間で最も伸びたのは、発電力を大幅に向上させた一方で、発電モジュールの単価引き下げに成功した太陽光発電であるという。

「今では多くの地域において、太陽光発電の方が、従来の発電形式よりも低価格になっています。また風力発電の方が従来の発電形式よりも安く上がる場合も少なくなく、近年風力発電装置の設置が急速に拡大しています。」とナガサナン教授は付け加えた。

また、バイオ燃料の世界においても、リグノセルロース系バイオマスからのバイオ燃料のように、食糧と競合を起こさないバイオ燃料、技術開発が進められている。

同大学のアルヴィン・コンパーン名誉教授(物理学、天文学)は、IPSの取材に対して、「こうしたエネルギー技術の可能性を活用していく上で、今後も地理的・社会的関連が重要な役割を果たしていくだろう。」と指摘した上で、「今後最大の課題は、政府、電力産業、大学が、地球のより美しい自然環境を実現するために、こうした新たな電力源を最大限に生かす政策をいかに協力して策定するかです。」と語った。

風力も太陽光も断続的なものであるため、風力・太陽光発電は、蓄電技術や既存の発電方式と組み合わせることで、最大の能力を発揮する。

コンパーン名誉教授はこの点について、「移動手段の電化がますます進む中、車に搭載したバッテリーをスマートグリッド(多様な発電方法と電力機器を組み合わせて、電力の需給バランスの変化に柔軟に対応できるようにした電力網)に接続するといったことが考えられます。」と語った。

これらのクリーンエネルギー問題は、世界の若い頭脳にとって魅力的な課題である。コンパーン名誉教授は、「今回の『世界未来エネルギーサミット』においてもこうした課題と機会が議論の焦点となるだろう。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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【ドバイWAM】

 「アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設がテロリスト集団に襲撃された事件は、今後この地域にさらなる暴力と不安定要因を拡大させる可能性を含んでおり、危険である。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が警告した。

この事件は隣国マリで進行中の出来事と連動していることから、事態の収拾とともに、長期的な展望に立った解決策を講じることが重要である。」とガルフ・ニュースは報じた。

 「先週の16日、イスラム過激派武装勢力の一団がアルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設を襲撃・占領した。その際、外国人プラント作業員が殺害され、数十人が人質にとられた。(1月24日現在、犠牲になった外国人は日本人9人を含む8カ国39人にのぼった:IPSJ)。」
 
「襲撃を行った武装組織『イスラム聖戦士血盟団』は、声明の中で『今回の犯行動機は、マリのアルカイダ系グループに対する(フランス)の軍事介入にある』として、即時攻撃停止を要求した。これに対してアルジェリアのダフ・ウルドカブリア内相は、『アルジェリアは決してテロリストの要求に屈しないし、あらゆる交渉を拒否する。』と語った。」

「これらの一連の予期せぬ出来事は、アルジェリアのみならず近隣諸国にとっても危険な兆候である。犯行グループの行動が、隣国マリにおける出来事と連動していた事実は、この地域(北アフリカ・マグレブ地域)に類似した組織が活動を展開ており、相互に協力し支えあっている可能性を示唆している。」と同紙は報じた。

「従って、各国の関係当局は、アルカイダの拠点が再びこの地域に復活しないよう、連携していく必要がある。従来、北アフリカ・マグレブ地域では、各国によるイスラム原理主義勢力を封じ込める徹底した対策が取られていたため、アルカイダ関連勢力は影を潜めていた。しかし、アラブの春によりアルジェリア、エジプト、リビアの長期独裁政権が崩壊し、政治空白が生じると、アルカイダにつながる各種グループが息を吹き返し、地域全体にとって深刻な脅威となってきている。ひとたび過激主義の拠点になってしまえば、暴力の拡散が、膨大な費用と人的被害をもたらすことは明らかであることから、アルジェリアをはじめこの地域のどの国も、規模や範囲にかかわらず、こうした武装組織による勢力拡大を許容することはできない。」と結論づけた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|米国メディア|選挙、暴力、天災が2012年報道の首位を占める

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

権威あるティンドール・レポートが発表した最新の報道年次報告によると、2012年の間に米3大ネットワーク(ABC, CBS, NBC)が取り扱ったイブニングニュースで首位を占めたのが、大統領選挙(1位)、米国内及び中東における暴力事件(2位)、米国を襲った天災に伴う事件(3位)であることが明らかになった。

また同レポートによると、ロンドンオリンピックと英王室関連のニュースが、シリア内戦関連のニュースを除いて、いかなる国やニュースよりも大きく取扱われるなど、2012年は英国が注目を大きく浴びたことがわかった。

 年間で海外報道のトップを占めたシリア内戦関連の報道時間は461分で、3社合計総放送時間の約3%を占めている。米国ではこれら3大ネットワークによるイブニングニュースが、国民の大半にとって最も重要なニュース情報源となっている。
 
ロンドンオリンピックと英王室関連の報道時間は、シリア内戦関連報道とほぼ同じの377分であった。これはシリアの次に海外報道で首位を占めた「ベンガジにおける駐リビア米国大使と3名の駐在員の殺害事件(163分)」と「アフガニスタンにおける戦闘関連の報道(158分)に関する報道時間の合計を上回っている。

なお、これらのニュースを除けば、海外関係のニュースに関しては最低限か或いは全く取り上げられていなかった。ティンドール・レポートは、過去20年以上に亘って、3大ネットワークで平日に放映されるイブニングニュースの内容を統計にして蓄積している。 

メキシコについては、移民問題と麻薬関連の話題が議論を呼んでいるにもかかわらず、集計によると、3大ネットワークが2012年に放送した時間は合計で44分に過ぎなかった。しかしそれでもラテンアメリカのどの国よりも遥かに取り上げられていた。

ティンドールの創設者で発行人のアンドリュー・ティンドール氏は、「(震災後の復興が遅々として進んでいない)ハイチや(ベネズエラのウーゴ・)チャベス大統領の病気と選挙に関するニュースはほとんど報じられませんでした。また、コロンビアについては、大統領警護隊(シークレット・サービス)によるスキャンダル以外では、全く報じられていません。」と指摘した。

コロンビアのカルタヘナで行われた米州首脳会議で、バラク・オバマ大統領の警護隊員11人が夜にホテルへ売春婦を連れ込んだとされるスキャンダルについて、3大ネットワークは54分を割いて報じた。この報道時間は、メキシコ関連の全報道時間を10分上回っている。

またティンドール氏は、「同様にアフリカのサブサハラ地域についても、昨年新たに誕生した南スーダンや、『神の抵抗軍』の指導者ジョセフ・コニーの逮捕を目的としたビデオキャンペーン『Kony2012』について割かれた報道時間は2012年を通じて僅か30分以内に留まっています。」と語った。

オバマ政権が高らかに宣言したアジア・太平洋重視の外交政策や同地域における緊張の高まりについても、3大ネットワークの関心は最低限のものに留まった。

米国経済に深刻な影響を及ぼし、今も依然として高いリスクをもたらしているユーロ圏危機に関する報道は、総計で87分だった。この数値は、英国王室関連に割かれた報道時間の4割減に過ぎない。

「私たちは、グローバル化する経済と文化の中に生きています。最新年次報告の結果が示しているのは、アメリカ人が相互依存を深める世界の現状を理解する能力が、いかに主流メディアによる表面的でかすめるような海外報道により阻害されているかという現実です。」と、ジョージ・ワシントン大学のロバート・エントマン教授(コミュニケーション・国際問題)は指摘した。

フォックスニュースCNNMSNBCといったケーブルテレビチャンネルも今日では重要なニュース情報源として幅広く認知されてきているが、3大ネットワーク(ABC, CBS, NBC)の平日のイブニングニュースの視聴者数は、依然としてケーブルテレビ視聴者総数の約7倍にのぼり、両者の視聴者総数は2000万人を上回っている。

ティンドール・レポートが集計対象としているABC、CBS、NBCの3大ネットワークは国内/国際ニュースに年間合計約15,000分を、あるいは夜の30分ニュース番組のうち約22分を費やしている。前回の大統領選挙の年(2008年)の際と同じく、2012年も大統領選挙関連の報道が全体の15%を占める2016分でトップとなった。ティンドール・レポートは、「選挙期間中に国内関連の報道が増える分、海外報道に割かれる時間が犠牲に傾向にあるが、2012年も例外ではなかった」と分析している。

さらに個々のトピック毎に2位以下を見ていくと、「シリアにおける暴力」(461分)、「ハリケーン・サンディ」(352分)、「ロンドンオリンピック」(246分)、「連邦赤字を巡る党派間の論争」(206分)が続いている。なお、「リビア危機」は8位、「アフガニスタン」は10位、そして「英国王室」関連報道は、国内・海外報道総合トップ20の中の16位だった。

天災関連の報道では、「ハリケーン・サンディ」以外では4つのトピック、すなわち「全米各地に発生したトルネード被害」、「夏に西部を襲った山火事」、「年初の大寒波」、「昨年8月にカリブ海地域と米国のメキシコ湾地域に甚大な被害をもたらしたハリケーン・アイザック」がトップ20入りした。

3大ネットワークは、これらの天災関連のトピックに合計で年間報道時間全体の約7%にあたる1000分近くを割いている。しかし、「ハリケーン・サンディ」が報道される以前の段階で、こうした天災と気候変動の関連性を追求する報道は全く見られない。

「しかも、該当する報道は、ハリケーン・サンディ関連報道の一週目に、海面上昇と地球温暖化の関連性を取り扱った1コマのみで、この気象コーナーの視点は、他ではほとんど報じられませんでした。」と、ティンドール氏は語った。
 
一方、欧州の大寒波、オーストラリア・ブラジル・中国・フィリピンの洪水、アフリカサヘル地域の旱魃といった全米以外の天災を取り扱ったトピックについては、3大ネットワークでは、せいぜい2次的な取り扱いを受けるに留まった。

また、北極及びグリーンランドを覆っている氷が予想を上回るペースで溶けている現象を3大ネットワークが取り上げた報道時間は、合計で僅か9分であった。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のダン・ハリン教授(コミュニケーション)は、気候変動に関するトピックが3大ネットワークの報道に欠落している点について、「もう長年に亘って状況は変わっていません。『ハリケーン・サンディ』は、この問題についてなにがしかの議論をはじめる契機になったようですが、報道全体をみるかぎり、依然として気候変動に関する議論は驚くほど欠落しています。」と語った。

純粋な海外報道(明白な米国の外交政策の視点を含まなかったもの)では、「シリア情勢」がトップを占め、2位が英国関連の2つの報道(「ロンドンオリンピック」「エリザベス女王即位60周年記念」)、3位は「エジプトの政治的混乱」(93分)であった。エジプトは、ムバラク大統領が失脚した2011年版の集計では2位にランクインし、放送時間も今回より5倍長かった。

海外報道6位は「イタリア豪華客船沈没事故」で、以下、「イスラエルーパレスチナ紛争(主にイスラエル軍によるパレスチナ侵攻)」(76分)、「2011年東日本大震災・津波のその後」(45分)、「ギリシャ反緊縮デモ」(38分)、「イラン核開発疑惑」(37分)、「パキスタンの女子就学キャンペーン」(34分)が続いている。

「(3大ネットワークの海外報道だけを見ると)米国以外の世界では、あたかもオリンピック・ゲームと王室の儀式や暴力しかないかのような印象を受けてしまいます。もちろんこうしたトピックに注目するのは当然ですが、世界にはもっとはるかに重要な出来事が起こっているのです。」と、エントマン教授は指摘した。

また、メディア報道の公平さ正確さを求める監視機関FAIRのピーター・ハート解説者は、「米国のニュース放送で報じられる世界情勢は、極めて範囲が限られたものと言わざるを得ません。昨年英国王室にかなりの注目が注がれたことは、米国の企業メディアが海外ニュースについて何が重要だと考えているかを、よく物語っています。」と指摘した。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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|UAE|国家戦略資源としての地下水の重要性が強調された

【アブダビWAM】

アブダビ環境庁(EAD)は、今週アブダビで開幕した第一回国際水サミット(IWS)において、地下水の問題を取り上げ、UAEの長期的な持続可能性及び国民の福祉全般にとって地下水が果たしている極めて重要な役割について議論した。

現在アブダビでは、農業や林業を含む様々なニーズを、大半が再生不能資源である地下水に依存している。また地下水は、新鮮な飲料水として戦略的に備蓄されている。

地下水資源は、(人口過剰、農業と経済の成長、持続不可能な消費パターンなどのさまざまな要因によって)益々大きな圧力に晒されている。EADは、首長国の環境保護を付託された政府機関として、戦略資源であるアブダビの地下水保全・保護に優先課題の一つとして取り組んでいる。


 
水不足の問題は、世界経済フォーラム(WEF)においても、深刻なグローバルリスクとして焦点があてられた。WEFが発行している「グローバルリスク報告書」には、世界の有識者が、50のグローバルリスクについて、発生の可能性とインパクトの両面から評価した総合ランキングが記載されている。これによると、「水供給危機は」はインパクト部門で2位、発生の可能性部門で5位であった。一方、「食糧不足危機」もインパクト部門で3位を占めており、水と食の安全保障が相互に密接に関わっている現実を浮き彫りにしている。

IWSで登壇したラザン・アル・ムバラクEAD長官は、アブダビは地下水の使用に関して既に「転換点」に達しているとの見方を改めて表明した。
 
UAEの皇太子で国軍副最高司令官のムハンマド・ビン・ザイード・アール・ナヒヤーン殿下は、UAE並びに世界の福祉を確保することを目指した持続可能なビジョンの一環として、2012年1月18日に国際水サミットを立ち上げた。「UAEにとっては石油より水の方が大切です。」との大胆な発言の背景には、歴史的に石油に依存してきたUAE経済が、今では、水問題を国家戦略の最重要課題に据えている現実がある。

UAE政府は、既に農業や公共の場で水の使用を最小限に抑える種々の新たな解決策を実行に移している。UAEでは2012年の間、温室の普及や水耕法の活用により水耕農産物の収穫高が前年比で12%増大した。またアブダビでは、多くの実験農場において、地下灌漑を含む給水量を節約できる様々な灌漑技術の検証が行われている。

アル・ムバラク長官は、「私たちは、UAE全土で実施した地質調査結果に基づいて、国内でどこに最も肥沃な土地が存在しているかを把握しています。これを水資源に関する知識と照合させ、使用された一滴一滴の水が、最大限に農産物の収穫に繋がるよう、パートナーと協力して取り組んでいきます。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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チャド軍、マリ北部の戦闘に加わる

【ニアメIPS】

アフリカ地域で最も戦闘経験が豊かなチャド軍が、1月22日、マリ北部をイスラム武装勢力の支配から開放するために戦っているフランス及びアフリカ諸国の軍隊と合流するため、待機していたニジェールの首都ニアメから北上を開始した。 

この一年間、マリ国土の3分の2を占める北部は、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQUIM)」、「西アフリカ統一聖戦運動(MUJWA)」、「アルサン・ディーン」所属のイスラム武装勢力の実効支配下にある。これらの勢力は、支配地域に厳格なイスラム法を適用する一方で、住民に対する人権侵害を行っている。

 ニジェール人学生のブバカル・ティジャニさん(国際関係論専攻)は、18日にチャド軍が二アメに到着する報に接して「現在のところ、チャド軍がアフリカ最強の軍隊です。彼らは、常に実践で鍛えられてきた誇り高い兵士たちなのです。僕はチャド軍に敬服しています。」と興奮気味に語った。 

チャド政府はマリ北部でイスラム武装勢力と戦っているフランス及びマリ国軍を支援するため、最終的には2000人規模の兵士を配置する予定である。また、すでにマリ支援軍を派遣している西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)も、最終的に兵士を増派する予定である。 

ロイター通信社によると、チャド軍はマリの首都バマコを通過せず直接マリ北部の戦闘地域に入るため、1月22日にマリ国境から約100キロのテイラベリ県ウアラムに向かう道路に沿って北上した。 

チャド軍の勇猛さについて前評判が高いマリでは、チャド軍の参加により今般の危機が早期に収拾するのではないかとの期待が高まっている。 

チャド軍は、これまでマリ北部の気候と酷似した半乾燥地帯を舞台に数多くの国内反乱勢力を鎮圧してきた実績があり、砂漠戦を数多く経験してきている。またチャド軍は、1983年から87年にかけて戦われた反政府軍及びそれを支援したリビアとの戦争にも勝利し、カダフィ大佐のリビア軍に大きな損害を与えた(チャド内戦トヨタ戦争)。 

チャド軍の総数は3万人で、これまで度々周辺諸国の内乱鎮圧に参加してきた。つい最近も、中央アフリカ共和国政府の要請で政府支援軍を派遣し、反政府勢力「中央反乱同盟」(SELEKA)と戦った(今年1月11日に停戦合意」IPSJ)。 

またチャド軍は、空軍戦力としてスホーイ戦闘爆撃機6機とMi17及びMi24攻撃ヘリコプターを実戦投入する能力を擁している。 

チャド軍関係者は、18日になってAFP通信に対して、「我々の部隊は3機のチャド航空機(トウマイ・エア・チャド)に分乗してチャドを発った。なお、戦車はC-130輸送機、ピックアップトラックはアントノフ輸送機で輸送された。」と語った。 

新たな戦線? 

1月19日にニアメで開催された、マリ北部への軍事介入が地域に及ぼす影響について協議した会議において、主催した市民社会組織「オルタナティブ・ニジェール」のムーサ・チャンガリ事務局長は、フランス軍とマリ国軍に追い詰められているテログループを補足するため、ニジェール北部に第二戦線を構築する可能性について言及した。 

また、ニアメに本拠を置く「実験室での研究と社会的なダイナミクスと、ローカルの開発に関する研究(LASDEL)」のオリヴィエ・デ・サルダン研究員は、会議の中で、「マリ北部とニジェール北部は隣接しており、麻薬テロリストが(マリの)次に狙うのはニジェールではないかとの懸念がニジェール国民の間で広がっています。」と語った。 

ニジェール軍については、その有効性についてチャド軍のような名声は聞かれない。マリ-ニジェール国境を越えて侵入してくるAQUIMやMUJWA戦闘員との戦闘を度々経験しているにもかかわらず、ニジェール政府が「アフリカ主導マリ国際支援ミッション」(AFISMA)に派遣する兵士は500名に留まっている。そうした背景からも、「(ニジェールへの)チャド軍の増強は歓迎です。」とサルダン研究員は語った。 

一方、チャド軍の参加を巡っては2つの懸念事項が持ち上がっている。そのひとつは、チャド軍にかけられている民間人に対する人権侵害容疑に関わるものである。人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、2008年にチャド軍が中央アフリカ共和国の内紛に介入した際の人権侵害に関する証言を集めている。 

2つ目は、軍事介入がチャド本国に及ぼす影響についてである。アーノルド・ベルクストレッサー研究所(本部:ドイツフライブルク市)の政治学者ヘルガ・ディコウ氏は、ドイチェ・ヴェレラジオの番組において「すでにボコ・ハラムは、チャドの(イドリス・)デビ大統領に対して、チャド軍をマリに派兵すれば、チャド本国の安定が脅かされることになるとの脅しをかけています。」と語った。ボコハラム(別名:ナイジェリアのタリバン)は、現在ナイジェリア北部に勢力を展開しているイスラム系テロ組織で、マリのAQUMとの繋がりがある。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan 

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モルヒネは痛みを殺すが、その値段は患者を殺す

【ブラワヨIPS=ブサニ・バファナ】

ギリー・ヌクベさん(仮名)が4時間ごとに必要とするモルヒネの錠剤60錠分を買うために18ドルを稼ごうとすると、娘の鶏肉売りでは2週間もかかってしまう。

失業率が70%にも達している国で、モルヒネ錠剤(1錠10mg)60錠入の瓶が18ドルというのは法外な金額である。これだけあれば、パン6斤を買うことができる。

しかし、農村部に暮らすヌクベさんのような患者には、選択の余地がない。彼女が痛みから解放されて夜眠るためには、モルヒネに頼る以外の手段がないのである。

 ヌクベさんは、第4期(=末期)の頸ガンを患っており、既にほぼ寝たきりの状態にある。彼女はガンの治療よりも、むしろ末期ガンに伴う苦痛を少しでも和らげる処置を希望している。

アヘン由来の規制薬であるモルヒネには、ヌクベさんのような末期ガン患者の苦痛を多少なりとも和らげる効果がある。彼女は、一日当たり40mgのモルヒネ錠剤を服用できれば、ベッドから起き上がるのみならず、家の周りである程度の家事さえこなすことができる。

しかし現在の市場価格では、モルヒネ錠剤を購入できる人々は殆どおらず、必要な時でもほとんど手が届かないのが現状である。

ヌクベさんは、「ジンバブエ第二の都市ブラワヨ(首都ハラレの南西430キロ)にあるムピロ病院で放射線治療を受けるためにもう半年も待たされています。」と、苦痛を顔全体に浮かべながら、現在の心境について語った。ムピロ病院では、治療のための器材が半年以上前から故障しており、現在、ようやく新しいものを据え付けている途中とのことだった。

自宅で取材に応じたヌクベさんは、「痛みは想像を絶するものです。」と言って、パラセタモール(鎮痛解熱剤)が入った瓶を指差して、「病院から入手できたのはこれだけです。」と語った。

ジンバブエ国内には推定7000人のガン患者がいると見られているが、少なくともブラワヨ・アイランド・ホスピス(1982年創立)からの何らかの支援を得ているヌクベさんはまだ幸運な方だ。

ホスピス職員らはIPSの取材に対して、ジンバブエの医療制度はあまりにも不十分で、患者の多くが、ガン専門医とのアポを待っている間に、死亡していると語った。中には、モルヒネ錠剤の処方箋を所持しながら、薬を取得できないまま、激しい痛みに苦しんだ挙句に亡くなったケースも少なくないという。

ブラワヨ・アイランド・ホスピスに勤務するシスター・アデレード・ニャティは、90人のガン患者を担当している。彼女は一週間に一度のペースで患者たちを巡回往診しているが、その際できる限り鎮痛剤と僅かながら食料を携行することにしている。しかし、大半の場合、苦しむ患者に彼女が提供できるのは、笑顔と抱擁、そして希望をもたせることぐらいである。

シスター・ニャティは、ホスピスの活動は、多くの苦しむガン患者にいくばくかの休息を提供できるモルヒネの寄付に依存していると語った。

「患者の大半はガンの末期段階にあり、アヘンを成分に含まない薬では、もはや痛みを軽減できない状況にあります。患者らは、私に、痛みに慣れるよう努力すると言いましたが、それは難しい試みだと思います。」とシスター・ニャティはIPSの取材に対して語った。

ジンバブエ政府は国内のガン患者数を約7000人と見積もっているが、介護関係者らは、多くの患者が医者の診断さえ得られないまま死亡していることから、実際の患者数はそれを遥かに上回っているとみている。

ガン患者に対する公的支援は極めて限られており、しかも貧しい人々にとって僅かに残された選択肢の一つであるブラワヨ・アイランド・ホスピス(ジンバブエで最も古いホスピスの一つ)が、運営費がかさむ一方でドナーからの支援が少ないため、閉鎖の危機に瀕している。

同ホスピスには看護師が5人しかおらず、しかもこの人数でブラワヨ市内の200人近いガン患者を看ている。彼女たちの活動によって患者らの苦痛はある程度軽減されているが、末期患者の抱える深刻なニーズにはとても応えられる状況にはない。

セセカイ・ヅィヴァさん(仮名)は、2010年に喉頭ガンと診断されてから、苦難の日々を過ごした。息子は彼女の命をかろうじてつなぎとめていた化学療法錠剤の購入費84ドルを捻出するために、昼夜の別なく働いた。

それでも資金が底をつくこともしばしばあり、そうした際には、ヴィヴァさんは何日間も呆然としながら激しい苦痛に耐え続けるしかなかった。結局、ヴィヴァさんは6ヶ月前に3人の十代の子供たちを残して息を引き取った。

モルヒネの錠剤や注射剤はジンバブエ国内でも製造されているが、あまりに高価すぎてほとんどの患者には手が出ない。しかし、モルヒネの粉から作られる液体(霧状)モルヒネを利用することで、事態は大きく改善するという意見が医療関係者の間にある。薬剤技師や看護師が訓練を受けることで、各医療機関でその製造が可能だというのだ。

「私たちは、多くの患者にとって、モルヒネ錠剤一瓶の費用18ドルはあまりにも高額で、手が届かないということをよく理解しています。しかも、この18ドルという費用は、4時間毎に1錠(10mg)という少ない服用量で換算しても一月あたりの費用は54ドルを上回ることになるのです。」とハラレにあるアイランド・ホスピス・サービス院長のディクソン・チファンバ博士は語った。

またチファンバ博士は、「もし医療従事者を訓練して、モルヒネ粉から液体(霧状)モルヒネを生成する環境を整えられるのならば、液体(霧状)モルヒネは、有効な選択肢だと思います。液体の方が固形に比べて(薬の)費用を低く押させることが可能ですし、公的病院を通じて薬剤を配布するうえでもより便利なのです。」と語った。
 
現在、ジンバブエ内外のパートナーとの協力のもと、主に地方の医療機関における医療従事者を対象に、液体(霧状)モルヒネの生成を訓練する試みが進められている。

ジンバブエ医薬品管理局(MCAZ)によると、病院や薬局は、ガンの症状が進んで錠剤を服用できない患者に有効な液体モルヒネを製造するために粉のモルヒネを備蓄することを認められている。

MCAZは、国際麻薬統制委員会(INCB)と協力して、毎年ジンバブエ国内で配布するモルヒネの量を割り当てるため、同物質の国内消費に関わる統計を集積・分析している。

MCAZのググ・マーラング事務総長によると、2012年にはジンバブエ全体で11.25キログラムのモルヒネが配分されたが、実際に使用されたのは3.6キロであった。

またマーラング事務総長は、「アフリカにおけるモルヒネのような鎮痛剤の使用率は、南アフリカ共和国は例外として、他の地域と比較して極めて低い。」と指摘した上で、「おそらく、医療関係者は、疼痛管理に対する姿勢を変えていく必要があります。」と語った。

世界保健機構(WHO)によると、激しい苦痛に苛まれながもら、治療を受けられないでいる重症がん患者は、世界で年間480万人にのぼるという。またINCBによると、世界のモルヒネ全体の8割が先進国で使用されているという。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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【ドバイWAM】

「イスラエルのシモン・ペレス大統領がパレスチナとの和平問題について述べたコメント、とりわけ和

平プロセスにイスラム原理主義抵抗組織ハマスを加える必要性について言及したことが、大きな賛否両論を呼んでいる。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。

ペレス大統領は、年末の30日に行った演説でパレスチナ暫定自治政府のマフムード・アッバス大統領を賞賛する発言をして与党リクード党及び同じく右派政党『イスラエル我が家』からの非難に晒されていたが、翌日の演説では、さらに踏み込んで次のように語った。『何故イスラエルはハマスと(和平)交渉を行っていないのか?という質問をよく耳にします。ハマスからの回答さえあれば、それは真っ当な疑問だと思います。』つまり、ペレス大統領は、イスラエルとハマス間の和平交渉を実現するには、ハマスが、中東カルテットグループ(米国、欧州連合、国連、ロシア4者からなる)が提示している調停案を、まず受け入れなければならないと明言したのである。」とガルフ・トゥディ紙は1月2日付けの論説の中で報じた。

 「ペレス大統領は、新年を前にキリスト教諸派の指導者らを前に行った演説の中で、『ハマスとガザ地区のパレスチナ人は、はたして戦争と平和のどちらを望むのか自ら決めなければなりません。イスラエルはガザ地区の発展と成長は喜ばしいことと思っており、同地の市民が苦しむ様を見るのは本意ではないのです。すなわち彼らが(イスラエルにミサイルを)発射しなければ、彼らも空爆されることはないのです。』と述べた。ペレス大統領はさらに、『我々はハマスと積極的に対話をする用意があるが、彼らの方にその意思がないのです。また、彼らはカルテットが提示した条件を受け入れなければなりません。それらの条件は、我々によってではなく、国際社会によって提示されたものだからです。彼らは、平和を望むのか戦火を望むのか、決断しなければなりません。』と語った。

「またペレス大統領は、その前日、『(イスラエルと独立パレスチナ国家が共存する)二民族二国家の原則は、今や明らかに大半の市民の支持を獲得している』と述べるとともに、アッバス大統領を『堂々と武装抵抗を否定し平和を支持する唯一のアラブ指導者』と褒め称えた。この発言を巡っては、イスラエルの政治家の間で白熱した議論が巻き起こったが、これによって、パレスチナとの和解に全く関心を寄せていないイスラエル強硬派の見方が浮き彫りになった。」とガルフ・トゥディ紙は報じた

「リクード党のギラド・エルダン環境保護大臣は、ペレス発言について『大統領が国際社会によるイスラエル非難を促すような政治的立場をあえて選んで表明したことは残念だ。』との声明を発表した。しかし、ペレス大統領の発言内容は明らかな事実の追認であり、この環境保護大臣の声明は殆ど意味をなさない。労働党のシェリー・ヤヒモヴィッチ党首はこの点を指摘して『リクード党による大統領への非難は、攻撃的で卑劣なものです。とりわけ大統領が国際社会によるイスラエル非難を促しているとの(的はずれな)主張には、驚愕せざるを得ません。ペレス大統領は、これまでもイスラエルに対する攻撃を阻止してきた功績ある人物であり、(イスラエルの利益を代弁する人物として)最も適任な方です。』と語った。中道左派の新党「Hatnua(動き、運動の意)」のツィッピー・リヴニ党首も、ペレス大統領の発言を擁護して、『ベレス大統領は、国民に対して今日イスラエルが置かれている立場について、責任を持って正直に語ったのです。実際に、イスラエルは既に孤立状態にあり、今後外交交渉において進展がなければ、益々孤立しかねない立場にあるのです。』と語った。まさにこれこそが、イスラエル保守派が抱えている致命的な問題点である。彼らは、これまで遂行してきた政策や国際法、国際条約、行動規範に違反する行為により、イスラエルが既に孤立している現実を理解していないのである。そして、パレスチナとの公平で公正な平和合意を拒否することで、イスラエルは孤立を益々深めているのである。」と同紙は報じた。

「我々にできることは、イスラエル強硬派の考え方が2013年には多少なりとも変化することを期待することぐらいだろう。」と、ガルフ・トゥディ紙は結論づけた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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核兵器の廃棄―南アフリカ共和国からの教訓

【ヨハネスブルクIPS=ジョン・フレイザー】

南アフリカ共和国(南ア)のアパルトヘイト体制については、あまりいい話はでてこない。国民の多くに厳しい抑圧を加えた、人種差別的で暴力的な体制であり、世界中で蔑まれていた。

しかし、南ア政府は、アパルトヘイトが間もなく終わるころ、同国自身とアフリカ大陸にとって大きな意味合いを持つ措置を取った。つまり、核兵器計画を放棄したのである。

アフリカ諸国政府に対する顧問として活動する研究機関である「ブレントハースト財団」(本拠:ヨハネスブルク)のグレッグ・ミルズ代表は、「第一段階は、南アの6つの完成した(および、1つの部分的に組み立てられた)核装置を解体することでした。」と語った。

「この決定はフレデリック・W・デクラーク大統領(当時)によって、1990年2月になされました。それは、ネルソン・マンデラ氏が刑務所から釈放され、アフリカ国民会議(ANC)、汎アフリカ会議、南アフリカ共産党が合法化された直後のことでした。」

南アは、1991年7月10日、核不拡散条約(NPT)に加盟した。その7週間後にあたる9月16日、同国は国際原子力機関(IAEA)と包括的保障措置協定を結び、同国内の施設をIAEAが査察することを認めた。

またミルズ氏は、「南ア政府は、検証プロセスを通じてIAEAに完全に協力し、当時のIAEA事務局長であるハンス・ブリクス博士が1992年に語ったところによると、保障措置協定に定められた範囲を超えて、査察官に施設への立ち入りを認め、データを提供した。」と付け加えた。

「第二段階は、1992年に開始された南アの弾道ミサイル計画の廃棄で、これには18か月を要しました。」

「このプロセスは結局、最後のミサイルエンジンの破壊が確認されたのち、1995年9月のミサイル技術管理レジーム(MTCR)加盟につながりました。」

「第三段階は、南アの生物・化学戦争計画を廃棄することでした。」

ミルズ氏は、南アは「こうして、核能力を自発的に解体した初めての国になったという点で、世界で独自の地位を占めているのです。」とまとめた。

「(南アの)経験は、各国が安心して武装解除し、それを継続できるような適切な環境を作り上げることの重要性を指し示しています。」

このように南アのアパルトヘイト期の指導者の行動は、たしかに賞賛すべきものではあった。しかし、その動機については疑う声もある。

彼らは、アフリカ大陸を非核の地にするという信念から、核兵器を放棄したのだろうか。

あるいは、彼らの動機はもっと打算的なものだったのだろうか。黒人による権力奪取が避けられないとみた彼らは、ネルソン・マンデラ氏や同氏が率いるANC政権の手から核兵器を遠ざけるためにそれを廃棄したのだろうか。

ミルズ氏の同僚であるテレンス・マクナミー氏(ブレントハースト財団副会長)は、『ヨハネスブルク・スター』紙に、核兵器を解体した南アとは「(現在のジェイコブ・)ズマ大統領の南アではなく、当時は国際的に孤立し、現在はなくなってしまった別の国であった。」と書いている。

「ズマ大統領は、民主化への移行期に活躍した同僚の多くと同じように、南アの核戦力を作り上げた人びと、つまりアパルトヘイト体制は、ANCに核に触れてほしくないがゆえに核を破壊したのだと、確信している。」

マクナミー氏は、デクラーク大統領は南アの核兵器解体について1993年3月になって初めて世界に知らせた。そしてその時まで、「誰も、ネルソン・マンデラ氏すらも、核計画が廃棄されたことはおろか、それがかつて存在したことすら知らされていなかった。」と書いている。

南アから、あるいはアフリカ大陸から核兵器は消え去ったが、大陸におけるエネルギー・ミックスの拡大を支えるために原子力が必要だとの認識が高まっている。

ミルズ氏は、「スペインの20倍の人口を持ちながら同国と同じぐらいのエネルギーしか産出できないアフリカ大陸では、急拡大するエネルギー需要に原子力で対応することができるかもしれません。」「しかし、アフリカにおいて原子力を利用することへの懸念は、そもそもなぜエネルギー不足が生じているのか-つまり、ガバナンスの問題と関係しているのです。」と語った。

イメージに関する専門家であるジェレミー・サンプソン氏(イメージに関するコンサルタント会社「インターブランド・サンプソン」[本拠:ヨハネスブルク]の代表)は、イメージの問題で言えば、核計画を放棄するとの南ア政府の決定は、不拡散問題に関する同国の道義的権威を高めることとなった、と指摘した。

「この20~30年の間に、イメージと評判の問題の重要性が非常に高まってきています。そしてそれは、単に企業や製品、サービスのみに当てはまるというのではなく、今日、人間や国ですらもその対象となっているのです。」とサンプソン氏はIPSの取材に対して語った。

また、南アの核計画放棄の真の理由について疑念を抱いているサンプソン氏は、南ア政府は、この決定によってなんらかの見返りを得ており、そのことが未だに明るみに出ていないのではないか、と推測している。

「南ア政府は本当に核兵器を開発したのだろうか、誰がいったい南アを支援したのだろうか、南大西洋の奥深くで予行演習があったのだろうか、そして彼らはそれをどうやって使用したのだろうか。」と、サンプソン氏は疑問を呈した。

さらにサンプソン氏は、南アが自発的に核オプションを放棄したという点にも多くの疑問が付きまとうとして、「はたして、当時アパルトヘイト体制は本当に必死だったのだろうか?制裁は効果をあげていたのだろうか?何が引き換えにされ、どんな保証が与えられたのだろうか?第二次世界大戦末期のドイツで起こったように、体制の主要人物を逃がすための秘密資金が世界中で準備されたのだろうか?」そして、「やろうとすれば長い時間と膨大な費用がかかる核オプション放棄を、自発的に行った国が他にあるのだろうか?」と語った。

またサンプソン氏は、もし[核オプション放棄への]何らかの見返りがあったとすれば、それは「極めて大きなもの」だったに違いないと指摘した上で、「アンゴラでの軍事活動や、(同国の反体制指導者)ジョナス・サビンビ氏の強化が、リストの上位にあったに違いない。」と語った。

同じくヨハネスブルクにあるシンクタンク「南アフリカ人種関係研究所」のフランス・クロンイェ副所長は、当時アパルトヘイト体制は、核計画を放棄するように、西側社会から、そしておそらくはロシアからも、強いプレッシャーを受けていただろう、とみている。

「事のすべてが、核のアフリカからの名誉ある撤退という描かれ方をしているのです。」また、「西側諸国のみならずロシアも、アフリカの独立国が核兵器を持つことへの懸念を持っていたきらいがあります。」とクロンイェ氏はIPSの取材に対して語った。

またクロンイェ氏は、南アは、もし核戦力を維持し続けていたならば、今日の国際社会でより強い発言力を持ったであろうと考えている。

「アフリカの核兵器国の言うことなら真剣に受け取られ、より強力なリーダーシップをとることができたでしょう。核兵器を保有すれば、人びとに耳を傾けさせることができるのです。」と、クロンイェ氏は語った。

「リーダーシップの観点から言えば、核兵器の放棄は逆の結果を生みます。つまり、核を放棄することによって、外交政策と国際政治への影響力は低下してしまうのです。」

「もし核兵器を放棄することで影響力を増すことがあるとすれば、他国もまた核戦力の放棄へと雪崩を打つことでしょう。」

結局のところ、真相が明らかになることはないかもしれないが、南アは、核兵器を放棄したことで、今日まで続く道義的な利得を得たのは確かである。

核放棄によって、南ア政府は、核不拡散問題に関する世界的な発言力を確保し、昨今のイランのように世界からの疑念を招くことなく、原子力発電産業を育成する道義的権威を獲得した。(原文へ

翻訳=IPS Japan



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中国で高まる大豆需要を背景に変貌を遂げる西半球の農業(レスター・ブラウン、アースポリシー研究所創立者)

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【ワシントンINPS=レスター・ブラウン】

この数十年の間に、世界における大豆の需要は、中国を筆頭に急増してきた。今日、国際貿易で取扱われる大豆の80%が中国向けのもので、中国は群を抜いて世界最大の大豆輸入国になっている。

大豆栽培は、今から約3000年前に中国東部で始まったとされている。しかし大豆が小麦、米、トウモロコシと並んで世界4大穀物の一つに数えられるようになったのは、第二次世界大戦後、しばらく経ってからであった。

大豆の需要が高まった背景には動物栄養学者による画期的な発見があった。つまり、家畜や家禽に与える飼料穀物(通常トウモロコシ)4に対して、大豆ミール(大豆油を絞り取ったあとの大豆の粕を粉砕して作られた粉末)を1の割合で混ぜ合わせることで、穀物の動物性タンパク質への変換効率が飛躍的に高まることが明らかになったのである。

 中国における肉、ミルク、卵に対する需要が急激に高まるにつれて、大豆ミールの消費量も急増してきている。世界の豚の約半数が中国で飼育されているため、大豆ミールの大部分が豚の飼料に使われているほか、成長著しい家禽産業も大豆ミールに支えられている。また中国は、養殖魚の飼料として大量の大豆を使い始めている。

中国における大豆消費需要が、いかに爆発的に増加したかを示す興味深い数字がある。1995年当時、中国の年間大豆生産量と消費量はいずれも1400万トンで、拮抗していた。ところが2011年になると、生産量が引き続き1400万トンに留まっているのに対して、消費量が7000万トンに膨れ上がったため、不足分の5600万トンの大豆を輸入せざるを得なくなっている。

大豆生産が中国において軽視されてきた背景には、穀物の自給自足を目指すとした1995年の政府による政治判断があった。1959年から61年にかけて中国が見舞われた「三年自然災害」(大躍進政策の失敗と重なって2000万から5000万人の餓死者をだしたとされる大飢饉)を生き延びた多くの人々にとって、穀物の自給自足は至上命題であり、中国政府は主食を海外に依存するのを嫌ったのである。

中国政府は、潤沢な補助金で穀物増産を強力に推し進める一方で、大豆生産に関しては事実上無視した。その結果、穀物の収穫高が大きく伸びる一方で、大豆の収穫高が停滞するという事態を招いたのである。

もし仮に、中国が2011年に消費した7000万トン相当の大豆すべてを自国で生産するという選択をしていたとしたら、国内の穀物用農地の三分の一を大豆生産に振り向けたうえで、国内穀物消費量の実に三分の一以上にあたる1億6000万トンの穀物を輸入せざるを得なかっただろう。中国の13億5千万の人々の食生活が食物連鎖を上る動きを示している中で、大豆の輸入需要は今後もほぼ確実に上がり続けるだろう。

このように大豆消費が世界的に急拡大した結果、西半球の農業は構造的に大きな影響を受けることとなった。米国では、今では大豆の耕作地が、小麦の作付地を上回っている。またブラジルでは、大豆の耕作地が他の全ての穀物作付地の合計を上回っている。さらにアルゼンチンでは、全ての穀物作付地の2倍近くを大豆耕作地が占めるなど、危険なほど大豆の単作栽培に近い状況が顕在化している。

これらの国々が世界の大豆の実に5分の4を生産している。中でも米国は、60年に亘った世界最大の大豆生産・輸出国であり続けた。しかし2011年にはブラジルが米国を大豆輸出量で僅かに上回った。

世界の穀物生産量が20世紀半ば以来増加したのは、作付面積当たりの収穫量を3倍に向上させることに成功したことに起因している。一方、同じ期間に16倍も拡大した大豆の生産量は、主に作付農地を拡大させることで実現した。しかし穀物の場合と異なり、大豆の収穫効率は作付面積7倍に対して収穫量は2倍足らずに過ぎない。つまり、国際社会はより多くの大豆を収穫するために、より多くの大豆を植えなければならないという、深刻な問題に直面している。

そうすると「大豆をどこに作付するのか?」という問題が必然的に浮上している。米国では既に全ての耕作地が活用し尽くされているため、新たに大豆の耕作地を拡大するには、トウモロコシや小麦といった他の穀物農地を切り替えるしかない。ブラジルでは、アマゾン盆地や南部のセラード(総面積約200万平方キロのサバナ)を開拓して新たな大豆の耕作地が確保されている。

簡単に言えば、アマゾン熱帯雨林を救えるかどうかは、いち早く人口を安定させて大豆需要の増加を抑制できるかどうかにかかっているのである。また、世界のより豊かな人々にとっては、食べる肉の量を減らせば、大豆需要を抑制できることを意味する。こうした事情を考えれば、最近米国で肉の消費量が減っているというのは歓迎すべきニュースである。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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核実験禁止に期待されるあらたな契機

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【ウィーンIDN=ジャムシェド・バルアー】

包括的核実験禁止条約機関(CTBTOとしてよく知られる)準備委員会は2013年、新型大量破壊兵器到来の先駆けとなる核実験を禁止するこの条約の発効に向けて、あらたな契機が生まれることを期待している。

こうした楽天的な期待の背景には、昨年12月3日の国連総会において、包括的核実験禁止条約(CTBT)への支持が圧倒的多数の加盟国により、ほぼ満場一致でなされた事実がある。「アクロニム研究所」のレベッカ・ジョンソン氏によると、CTBTは「核時代に(人類が)やり残した仕事の中で、主要な部分を占めるもの」だという。

 このCTBT決議にはかつてない支持が集まり、184か国が賛成した。一方、反対は北朝鮮のみで、棄権はインド・モーリシャス・シリアの3か国であった。決議は、「CTBTに署名していない国家、とりわけ批准が同条約発効の要件とされている国々に対して、速やかに署名・批准するよう」促している。

核技術を持つ44か国のうち依然としてCTBTに加盟していない8か国は、中国・北朝鮮・エジプト・インド・イスラエル・イラン・パキスタン・米国である。

この投票結果は、CTBTを支持する国家の数がかつてない規模に拡大したことを示している。昨年(2012年)のCTBT決議の賛成国は174であり、反対・棄権国は同数であった。パキスタンは未署名国ではあるが、決議には賛成した。

国連総会はまた、核兵器の完全廃絶に関する決議も採択している。日本政府が起草したこの決議には、「包括的核実験禁止条約に署名・批准していない国に対して、できるだけ早い機会にそうするよう求める」という文言が入っている。この文言には165か国が賛成し、唯一、北朝鮮だけが反対した。決議全体は賛成174・反対1・棄権13で採択されている。
 
国連総会の決議には法的拘束力はないが、関連する問題についての国連加盟国の政治的立場を示す重要な勧告となる。他にも、「核軍縮」「核兵器なき世界に向けて」「核兵器の使用およびその威嚇の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見に関するフォローアップ」の3本の決議がCTBTの重要性を強調している。
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国連総会会合はCTBT閣僚会合の2か月後に行われたが、この閣僚会合では、CTBTは核軍縮に向けた「死活的な措置」であるとした共同声明を発している。国連の潘基文事務総長は、CTBT未署名・未批准国に対して「国際社会の一員としての責任を果たしていない」と訴えかけている。

成功の15年

核能力をもつ44か国中8か国がCTBTに加盟していないが、CTBTが1996年に署名開放されて以来、世界の国の95%が、全ての核爆発を禁ずる規範に准じている。

2012年2月に創設15周年を迎えたCTBTO(本部:ウィーン)によると、[世界の]核実験は事実上の停止状態にあるという。条約の前例のない検証体制―10億ドルが投資された「諸システムのシステム」と呼ばれる―はほぼ完成され、探知されない核実験が行われないようすでに始動している。

技術的背景:CTBTOは、加盟国からの支援を得て、さらに9つの監視施設を設置することができたという事実を誇っている。これによって、国際監視制度(IMS)は85%完成した。7つの新規施設の設置も始まっている。米国では、国家研究評議会が、2012年3月、検証体制の探知能力に関する技術的・科学的評価を行っており、肯定的評価を下している。

財政的支援:CTBTOはまた、183の加盟国からの定期的分担金支払いが、世界の経済状況の悪化にも関わらず、昨年よりも多かったと指摘している。さらに、CTBTOによると、欧州連合(EU)があらたに500万ユーロ(約700万ドル)の自発的支払いを行った。これは、核爆発を探知する監視能力の向上のためと、途上国を支援して共同の取り組みにより積極的に参加してもらうために使われることになる。

「とりわけ緊縮財政下にあるときにこの規模の負担がなされたということは、EUのCTBTとCTBTOに対するゆるぎない支持を示すものだ」とCTBTOのティボール・トート事務局長は語った。

また、CTBTOによれば、日本からなされた73万7000万ドルの自発的支払いにより、より精度の高い空中放射能測定の能力向上が図られるという。

今年の見通し

CTBTOは、今年6月から9月の間に3つの重要行事を予定している。

2013年科学技術会議」(SnT2013)は、ウィーンのホーフブルク宮殿で6月17日~21日に開催される。この科学会議では、科学者たちがCTBTの検証体制をさらに強化する方法を討論する場が与えられる。

8月1日には、加盟国によってCTBTOの次期事務局長として選出されたラッシーナ・ゼルボ氏が、7月31日に任期を終了するティボール・トート事務局長に代わって、任務を開始する。ゼルボ氏は現在、CTBTO国際データセンターの所長を務めている。
 
9月の国連の閣僚ウィークの間、加盟国は、CTBT早期発効へ向けた勢いを生むために、次の「第14条会議」を開催する。前回(第5回)会議は2007年9月18日に閉会したが、未署名・未批准国家に早期に署名・批准するよう緊急に呼びかけた。このときは、2つの未署名国を含む106の加盟国が2日間の会議に参加した。

2013年の間、CTBTOは、次の大きな現地査察演習の準備へと進むことになる。次のいわゆる「統合現地演習」はヨルダンで2014年に開かれる。前回の査察からは3年ぶりとなる。

現地査察は、加盟国が包括的核実験禁止条約に従っているかどうかを検証するために実施される。つまり、現地査察は核爆発が(加盟国によって)実際に引き起こされたどうかを立証するために実施されるのである。こうした査察の間、条約違反の可能性を確かめるために証拠が収集される。したがって、現地査察は、CTBTの下における最後の検証手段なのである。

こうした前提の上で、潘基文国連事務総長のCTBTO創設記念における次の発言は意義のあるものとなる。「私は、外交官として、CTBTによるものも含めて、軍縮・不拡散にかなりのエネルギーを割いてきました。国連事務総長として私は、この大義に、そして、『核兵器なき世界』というビジョンを実現するためにますます努力する所存です。」(原文へ

翻訳=IPS Japan

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