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|UAE|除雪のための重機22台をヨルダンに寄贈

【アブダビWAM】

今月11日から中東地域の広いエリアが記録的な寒波と大雪に見舞われているが、アラブ首長国連邦(UAE)は大雪で都市機能が甚大な被害を受けたヨルダンに対して除雪用の大型重機22台を寄贈した。

アブダビ首長国皇太子で連邦軍副最高司令官のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下は、ヨルダン国民は厳しい天候に晒され、とりわけ高速道路や国内各所に降り注いだ積雪が市民生活を著しく阻害しているとして、救済の手を差し伸べるよう指示した。

今回の指示は、ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンUAE大統領とアブドラ・ビン・アル=フセインヨルダン国王が両国の民衆の間に育んできた強固な絆を反映したものである。

アブドラ国王は21日、UAEの善意に謝意を表明するとともに、フセイン皇太子とともに空港まで自ら赴き、重機の受け入れを見守った(上の写真)。

これらの重機は、積雪により寸断された交通・輸送インフラの復旧、さらには市民生活の改善に寄与するだろう。また、ヨルダン当局にとって、今後予想される大雪に対処するうえで、有効な戦力となるだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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「核兵器なき世界」実現を妨げる非核オーストラリア

【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ】

オーストラリアは「核兵器なき世界」への支持を繰り返し表明しているが、軍縮支持団体「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が入手した文書によって、オーストラリア政府が、国際社会が核兵器の非人道的な側面により注目するようになると、米国の核兵器に依存する自国の政策と「齟齬をきたす」とみていることがわかった。

ICANは、情報公開法によって機密解除された外交公電や閣僚説明メモ、電子メールを取得し、オーストラリア政府が核兵器禁止を目指す取り組みに反対する計画を持っていることを明らかにした。

ICANオーストラリアのディレクターであるティム・ライト氏は、IDNの取材に対して「情報公開法を使った調査で、国際社会がますます核兵器の非人道的影響に焦点を当てるようになってきており、このままでは核兵器禁止条約(NWC)実現に向けた交渉につながるのではないかとオーストラリア政府が懸念していることがわかりました。」と語った。

前労働党(ジュリア・ギラード)政権は、今年4月22日から5月3日までジュネーブで開かれた2015年NPT運用検討会議第2回準備委員会で80か国が署名した「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかった。ICANは、自由党・国民党による現連立政権(トニー・アボット)に対して、核軍縮分野でこれまでよりも積極的な役割を果たすよう求めている。

ライト氏は、「オーストラリアは核兵器を禁止し廃絶しようとする進歩的な国々の取り組みを阻害するのではなく、歴史の正しい側に立つべきです。」と語った。

今年10月、第68回国連総会の第一委員会で、ニュージーランドが125か国(日本を含む)を代表して「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」を発表した。

「残念なことに、オーストラリアは声明に署名しなかっただけではなく、同日、核兵器禁止から各国を遠ざけようとする別の声明を提出した。オーストラリアによるずっと薄められた内容の声明(核兵器の人道的影響への懸念を表明する一方で、「核兵器を禁止するだけでは、その廃絶は保障されない」と指摘。核兵器保有国の関与や、安全保障と人道の両方を考慮する必要性を強調する内容:IPSJ)には、わずかな数の米国同盟国(「核の傘」の元にあるNATO加盟国や日本など18か国)が署名しただけで、ほとんど影響力がなかった。ニュージーランド主導の声明が、核兵器の使用および所有の合法性を認めないとする多数かつ多様な政府からの賛同を得たことは、喜ばしいことです。」とライト氏は語った。

核兵器廃絶賛成派は、オーストラリアが、核兵器の破滅的な影響と、核が二度と使われないようにする必要性に焦点を当てようとする多くの国々による取り組みを妨げようと躍起になっていることを残念に思っている。

戦争防止医師会(オーストラリア)のスー・ウェアハム副会長はIDNの取材に対して「オーストラリアは、自ら核兵器を保有するか、使用の可能性を前提とした政策を維持するごく一握りの『核のならず者国家』のうちに自らを見出すことになります。軍縮に向けた現実的なステップを望んでいるとするオーストラリア政府の立場には、核ゼロに向けた計画が伴ったためしがありません。つまりそのレトリックとは真逆に、オーストラリア政府は、核を『持てる者』と『持たざる者』が並存する状況を単に支持しているにすぎないのです。」と語った。

核兵器は、すべての兵器の中で最大の破壊力を有しているにも関わらず、国際協定で禁止されていない唯一の大量破壊兵器である。軍縮運動は、国際赤十字・赤新月運動が核廃絶に関する法的拘束力のある国際協定に向けて努力するとの決議を採択したことによって、大きな弾みを得た。

オーストラリア国立大学核不拡散軍縮センターのラメシュ・タクール所長(教授)は、オーストラリアがニュージーランド主導の共同声明から距離を取らなければならない状況ではないという意見だ。

元国連事務次長でもあるタクール教授はIDNの取材に対して、「反対勢力と見られることで、オーストラリアは他の点に関する現在の取り組みを阻害しています。ニュージーランドが共同声明を出したころ、ギャレス・エバンス(オーストラリア元外相)と私は、インド・パキスタン(以前には、中日韓)の政策エリートに対して、核軍備管理および軍縮に向けた強い推進力を生むために、米上院が動く前にそれぞれの国が採れる措置(たとえば包括的核実験禁止条約[CTBT]の批准)について説得を試みていました。」と語った。

ほとんどのオーストラリア国民が核兵器に反対している。ICAN国際運営委員会の共同議長であるティルマン・A・ラフ准教授は、「オーストラリア国民は、自国の政府は核軍縮に関しては『よい勢力』だと信じようとしているのです。しかし、残念な事実は、オーストラリア政府には米国の核兵器配備や標的決定、さらに米国の核の使用可能性を支持・支援する意思があるため、問題解決に努力しているというよりも、むしろ問題の一部であり、軍縮を押し戻しているのです。」と語った。

1995年当時、オーストラリアの当時の外相は、地雷の完全禁止は非現実的であり受け入れられないと主張していた。これは地雷を禁止するオタワ条約が署名開放される2年前のことだった。

核なき防衛協力は可能

核戦争防止国際医師の会(IPPNW)の共同代表でもあるラフ氏はIDNの取材に対して「より悪いことに、オーストラリアがますます米国との軍事的関与を深めると、とりわけ、アリス・スプリングス近郊のパイン・ギャップにある米豪共同運営の軍事スパイ基地(1960年代以降、アジア諸国の各種通信を監視。近年、ここの高性能衛星通信機能が米国のミサイル防衛システムに利用されるようになった:IPSJ)が、米国が中国あるいは別の核武装国との戦争に巻き込まれた場合に、より重要な核攻撃の標的になってしまう。」と語った。

ニュージーランドが健全な防衛協力関係を米国と拡大させていることを見れば、核兵器なしで米国と軍事関係を結ぶことは完全に可能であることが明らかだろう。「そうした道を追求することは、世界から核をなくすためにオーストラリアができる最善のことだ」とラフ氏は語った。

非核世界の主唱者らは、核兵器の世界的禁止は、世論からの継続的な圧力と諸政府のリーダーシップによって可能になると主張している。ニュージーランドが提出した「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」にオーストラリアが賛同しなかったことに批判的だったマルコム・フレイザー元首相は、オーストラリアの現政権は前政権にもまして米国の歓心を買うことに勤しんでいるようだと見ている。

外務貿易省の報道官はIDNの取材に対して、オーストラリア政府はニュージーランドが提出した共同声明を歓迎し、そこに盛込まれたほとんどの内容に賛同するが、「実質的に共同宣言の内容作成に貢献する機会を与えられないまま準備され、議論の安全保障面における側面を適切に認識していない声明を支持する立場にない。私たちは、長きにわたって積極的に軍縮を推進してきた国として、核兵器なき世界という共通目標の達成と維持にコミットしつづける。」と述べている。

オーストラリア政府を核廃絶に取り組ませるためにどのような圧力をかければいいかについて、フレイザー氏は、「オーストラリア国民に、いかに私たちが米国に束縛され、いかに米国の決定に影響を受けているのかを理解させることが重要です。私たちが戦ってきた過去3回の戦争は、いずれも米国との関係ゆえに参戦したものです。彼ら(米国)に対して、次の戦争には参加しないと宣言し、独立の外交政策を確立すべきです。オーストラリアはそうしてはじめて、より効果的に軍縮に取り組むことができるでしょう。」と語った。

オーストラリアは、核兵器を保有していないが、国家安全保障へのカギを握るとみられる米国との同盟下で拡大核抑止ドクトリンを採用している国として、興味深い立ち位置にある。また、オーストラリアはウラン埋蔵量が全世界の約40%を占め、ウランの重要な輸出国である。

Map of Australia
Map of Australia

今日、世界には少なくとも2万発の核弾頭があり、そのうち約3000発が即応可能な状態にある。これらの潜在的破壊力は広島型原爆15万発分に相当する。

核軍縮に関する国際社会の焦点は不拡散から廃絶に移りつつあり、オーストラリアは、これによって、核兵器保有国やイランから拡大核抑止に依存するオーストラリアのような米同盟国へと焦点が移ってくることを懸念している。

今年3月、ノルウェー政府が、核兵器の人道的影響に関する画期的な政府間会議をオスロで主催し、(オーストラリアを含む)128か国の政府と、主要な国際機関や国際赤十字・赤新月運動の代表らが集った。

南アフリカ政府は、NPT運用検討会議準備委員会会合につながる動きとして、NPTの全ての加盟国に対して、「核兵器を違法化し核兵器なき世界を達成する取り組みを強化する」よう全ての国家に訴えた2ページの声明に賛同するよう呼びかけた。

核兵器問題に取り組む市民社会の結束が強まっていることは、ニューヨークで10月19~20日に開かれた「人道的軍縮キャンペーンフォーラム」に現れていた。メキシコは来年2月に諸政府や市民社会、学者らを集めた会議を主催するが、この会議が、核兵器の使用がもたらす人道的帰結を認識しそれに対応するための次の重要なステップとなるだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

※ニーナ・バンダリ氏は、シドニーを拠点に活動する記者で、IDN(インデプスニュース)やインドの「インド・アジアン・ニュース・サービス」(IANS)等の国際通信社や国内・国際出版社に寄稿している。

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核廃絶を求める広島・長崎

|UAE|マレーシア洪水被害者に1000万ドル相当の救援物資を供与

【アブダビWAM】

アラブ首長国連邦(UAE)のハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は、今月上旬にマレーシアを襲った集中豪雨に伴う洪水被害者に対して、3660万ドゥルハム(=約1000万ドル)相当の人道支援を行うよう指示した。

マレーシアでは半島東海岸部(パハン、ジョホールトレンガヌ、クランタン4州)を中心に豪雨の影響を受けて洪水が続いており、AP通信によると、15日現在で10万人以上が避難生活を送っている。

今回の支援は、多数の住宅地が流されるなど最も深刻な洪水被害がでたパハン州およびクランタン州の被災地を対象に実施される。


現地で支援活動を担当する赤新月社(RCAは、被災した20000棟以上の住宅を修理するとともに、マレーシア国内で調達した支援物資を被災者に届ける予定である。


この支援によって、10万人以上のマレーシア人が自宅へ帰還し、生活再建に向けて仕事を再開できるようになるとみられている。(原文へ

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【シャリジャWAM】


「イスラエルはこれまでも中東和平交渉を頓挫させるための策略を巡らしてきた長い歴史がある。米国のジョン・ケリー国務長官が今月2週連続してイスラエル入りする中、中東和平交渉を巡ってイスラエル政府が新たにどのような難題を持ち出してくるのか、そして米国がどのように交渉を前進させられるのかについて再び懸念の声が上がっている。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が13日付の論説の中で報じた。

「国際社会がイスラエルの策略を注視しているのは喜ばしいことだ。国連人道問題調整官(占領下パレスチナ担当)のジェイムス・ローリー氏は、ヨルダン渓谷のパレスチナ人所有の建物(30棟)を破壊し住民を強制退去させたイスラエル政府の措置を非難した。この措置によって24人の子どもを含む41人のパレスチナ人が住居を追われた。しかも破壊された建物の中には援助機関によって建てられたものが多数含まれていたほか、犠牲者の中には今月になって2度目の強制退去に遭遇した者もいた。」とガルフ・ニュース紙が12月13日付論説の中で報じた。


「国連当局によると、2013年の年初以来、ヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)の60%を占めるエリアC(行政権・治安権ともにイスラエルが掌握)と東エルサレム地区で630棟におよぶパレスチナ人所有の建物が取り壊され、526人の子どもを含む1035人のパレスチナ人が強制退去させられた。破壊された建物の約7割がヨルダン渓谷のパレスチナ人コミュニティーを対象としたものだった。」


パレスチナ解放機構高官のヤーセル・アベド・ラボ氏は、ラジオ局『パレスチナの声』の取材に対して、ネタニヤフ政権に対して融和策をとるケリー国務長官は、イスラエル政府が主張する安全保障措置にかこつけたヨルダン渓谷におけるイスラエル勢力の拡張要求に応じたことで、『中東和平交渉を危機的な状況に陥らせてしまった。』と語った。」

「国連総会は2014年を「パレスチナとの国際団結年」とする決議を圧倒的多数の賛成(賛成110、反対7、棄権56)で採択した。この動きはパレスチナ人にとって慰めとはなるが、国際社会にはイスラエルの動きを抑制する一層の努力が求められている。国連は1977年以来、11月29日を『パレスチナとの団結デー』として記念してきたが、1年を通じてパレスチナ人の苦境に焦点をあてる国際年の制定を決議したのは初めてのことである。」

「繰り返されるイスラエル政府による建物破壊措置により、多くのパレスチナ人が強制退去させられ土地や財産を失っている。立ち退きを強要され生活基盤を失った人々は、気候がますます厳しくなっている中で、住むあてもなく過酷な生活を強いられている。このような措置は国際法に反するものであり、イスラエル政府は一刻も早く破壊行為を止めるべきである。」とガルフ・トゥデイ紙は結論付けた。(原文へ

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娘が日本に運ぶケネディの平和の灯

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【東京IDN=浅霧勝浩】

キャロライン・ケネディ氏が1945年8月6日の米軍による史上初の原爆投下で14万人が犠牲になった広島市を叔父の故エドワード・ケネディ上院議員に同行して訪れたのは、若干20才の時であった。彼女は、駐日大使指名承認のための上院外交委員会公聴会で、広島平和記念資料館に立ち寄った1978年の被爆地訪問で深く心を動かされたと述べた。

ケネディ氏は11月12日の駐日大使就任前に日本国民に送ったビデオ・メッセージの中で、広島訪問で「よりよい平和な世界の実現に貢献したいと切に願うようになりました。」と語った。

50年前の11月にダラスで暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領の唯一の存命する娘であるキャロライン・ケネディ氏は、駐日大使として東京に着任してからひと月もしないうちに、1945年8月9日に(広島に続いて)米国の原爆投下を受けた長崎市を訪問した。

ケネディ大使は長崎市からの招待でハナミズキの植樹式に出席した。これは日本が友好のシンボルとして米国に3000本の桜を寄贈してから今年が100年目となることを記念して米国が日本に寄贈した3000本のハナミズキ(花言葉「返礼」)の一部で、式典は長崎への原爆投下によって亡くなった7万3000人(当時の人口26万3000人の4分の1以上にあたる)が記念されている平和公園で行われた。平和公園で紹介されている数字によると、原爆投下によって約7万5000人が負傷し、数十万人が放射線被ばくによって様々な健康被害を受けた。

Dogwood/ Public Domain

植樹式でケネディ大使は、「私はここを訪れて非常に心を揺り動かされました。そして、父のケネディ大統領が核軍縮プロセスを開始したことを非常に誇りに思っていたこと、私たち家族も全員同じ責任を共有していることが改めて思い出されます。」と述べ、さらに、「バラク・オバマ大統領もその目的に向かい、一生懸命尽力しています。」と付け加えた。

先の11月27日、ケネディ大使は、在日米国商工会議所と日米協会が東京で開いた歓迎昼食会で行った講演の中で、「父・ケネディ大統領は困難な時期に日米関係の強化に熱心に取り組みました。現職大統領として初の訪日を果たすことが父の望みであったと母から何度も聞かされました。」と語った。

さらにケネディ大使は、「子ども心にも大変印象深かったのは、父の乗組んだPTボート(米国が第二次世界大戦時に配備した哨戒魚雷艇)が日本の駆逐艦によって撃沈されたにもかかわらず、わずか15年後に行われた父の大統領就任式にその艦長を招待したことを父が誇らしく思っており、将来日本を公式訪問するときに、米国の魚雷艇と日本の駆逐艦の当時の乗組員たちが再会できるかもしれないと心を躍らせていたことです。」「この話は、より大きな日米関係を示す素晴らしいエピソードであり、私たちを分裂させる要因ではなく団結させる要因に注目すれば、また過去ではなく未来に目を向ければ、必ずより良い世界を創造できることを改めて思い起こさせてくれます。」と語った。

U.S. National Archives and Records Administration
U.S. National Archives and Records Administration

被爆者と平和活動家らは、原爆が投下された2つの日本の都市を米大統領に訪問してもらいたいと繰り返し訴えてきた。ある平和活動家は「オバマ大統領が私たちの呼びかけに応えてくれるといいのだが。」と語った。

ケネディ大使は、田上富久・長崎市長や市関係者らとともに長崎原爆資料館を訪れ、芳名録に記帳した。また、土山秀夫・長崎大学元学長や、日本赤十字社長崎原爆病院の朝長万佐男院長をはじめとした被爆者にも面会した。その際ケネディ大使は、「核軍縮に向けてさらに努力すべきだと感じた。」と語ったと報じられている。

ケネディ大使の長崎訪問には、原爆で倒壊し第二次大戦後に再建された浦上天主堂も含まれていた。平和公園では、恒久平和への希望を象徴している平和祈念像前で献花し、犠牲者の冥福を祈った。

長崎市によると、ケネディ大使は長崎市を訪問した5人目の駐日米国大使にあたる。前任者のジョン・ルース氏は、米国大使としては初めて、広島・長崎両市で原爆犠牲者慰霊のための式典に出席している。

「長崎アピール」

ケネディ大使を案内した長崎市の田上市長は、今年8月9日の長崎平和宣言でこう述べている。「核兵器保有国には、NPT(核不拡散条約)の中で核軍縮への誠実な努力義務が課されています。これは世界に対する約束です。2009年4月、米国のオバマ大統領はプラハで『核兵器のない世界』を目指す決意を示しました。今年6月にはベルリンで、『核兵器が存在する限り、私たちは真に安全ではない』と述べ、さらなる核軍縮に取り組むことを明らかにしました。長崎市は、オバマ大統領の姿勢を支持します。」

田上市長は「世界には今も1万7千発以上の核弾頭が存在し、その90%以上が米国とロシアのものです」と遺憾の意を示したうえで、「オバマ大統領、プーチン大統領、もっと早く、もっと大胆に核弾頭の削減に取り組んでください。『核兵器のない世界』を遠い夢とするのではなく、人間が早急に解決すべき課題として、核兵器の廃絶に取り組み、世界との約束を果たすべきです。」と語った。

キャロライン・ケネディ氏が駐日大使に着任する1週間ほど前、長崎市では、11月2日から4日にかけて「第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」が開催された。長崎市民は、2000年以来数年ごとに、このような地球市民集会を開催しつづけている。

会議の参加者は、国内外の非政府組織(NGO)関係者や科学者らである。参加者は、被爆者の体験談や、生きているうちに核兵器廃絶を実現してほしいという彼らの心からの叫びに耳を傾けた。また、核兵器なき世界を実現し維持する責任を引き受けようとする若い世代による希望に満ちた声にも耳を傾けた。

長崎市からの招請で第1回集会から参加している著名なゲストのひとりに「核時代平和財団」のデイビッド・クリーガー所長がいる。クリーガー所長は、これまで発表された全ての「長崎アピール」の起草プロセスに関わってきた。

クリーガー所長は、長崎アピール2013の注目点は、以下のような具体的な呼びかけをしていることだとIDNの取材に対して語った。①核兵器の全面禁止・廃絶に向かう外交交渉の開始、②米ロによる単独あるいは二国間での核軍縮措置、③全ての国の安全保障政策における核兵器への依存低減、④核廃絶キャンペーンへの市民の一層の参加奨励、⑤新たな非核兵器地帯の創設、⑥福島第一原発事故の被災者への支援、⑦人類が核兵器と同じく核エネルギーにも依存し続けることはできないという教訓を学ぶ。

北東アジア非核兵器地帯

またクリーガー所長は、今回の長崎アピールでは、世界唯一の戦争被爆国として日本が負うべき義務として次のような具体的な勧告をしている。つまり、「①米国の核の傘から脱却すること、②北東アジア非核兵器地帯創設に向けたリーダーシップをとること、③核兵器廃絶に向けたリーダーシップをとること、④福島の放射能危機を制御するにあたって国際支援を求め歓迎すること」である。

アピールはまた、日本の532自治体の首長が北東アジア非核兵器地帯への支持を表明していることを指摘した。日韓の超党派の国会議員83人からは2010年7月22日の共同声明でも支持を得ている。また今年9月には、モンゴル大統領が、北東アジアの非核兵器地帯を積極的に支援する意向を国連総会で表明している。

またアピールは、日本がリーダーシップを発揮するために、2014年4月に広島で開催される軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI外相会合の場を活用すべきだと述べている。また、2016年に日本で開催される主要国首脳会議に参加する政治指導者と政府関係者が被爆地広島・長崎を訪問するよう働きかけるべきだとも述べている。

地球市民集会ナガサキの参加者らはさらに、「核兵器のない世界の実現のための努力を一層強める」ことを誓い、「ナガサキを最後の被爆地に」と訴えた。クリーガー所長は、これは、人類と未来にとって必要な目標だと指摘するとともに、「これは、核時代に地球上に生きる我々すべてが直面している難題です。長崎はその道を切り開く役割を果たしています。成功するために我々の声と努力が必要なのです」と述べている。

ケネディ大使が言うように「変化には努力が必要」で「忍耐が必要」なものであるから、11月の「長崎アピール2013」が指摘するように、地球上に依然として1万7300発の核弾頭が存在し人類と地球上のほとんどの生命の生存そのものを何度でも破壊しかねないなか、ケネディ大使の平和と軍縮への誓約を実現するには、きわめて多くのことがなされねばならないだろう。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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【ドバイWAM】

ドバイのフセイン・ナセル・ルータハ市長は、「市当局は2020年までにドバイを世界で最も持続可能な都市トップ10へと変貌させるべく、開発目標と戦略ビジョンに沿ったグリーンビル条例や関連法規を遂行していきます。」と語った。

このコメントは市長が2020年に開催予定のドバイ万博に向けた準備計画について語った際のものである。ルータハ市長は、「私たちには、『ドバイ万博を通じて世界中の人の心を繋いで、素晴らしい未来を創る』とした国際社会に対する公約を実行に移す義務があります。今日、万博開催までのドバイの一挙手一投足に世界の目が向けられているのです。」と述べるとともに、「今日のドバイの繁栄と進行中の各種開発プロジェクトを見ても明らかなように、指導者による将来を見据えたビジョンと諸計画が評価され、ドバイは万博をホストする機会を勝ち取りました。市当局は、グリーンイニシアチブを研究・実施する持続可能性特別委員会を組織するなど、世界最高水準の持続可能な都市構築にむけた取り組みを開始しています。」と語った。

モハメド・ヌール・マッシュルーム事業局長は、「全ての新規プロジェクトに対してグリーンビル関連条例を厳格に適用し、市当局が管理する諸施設(街灯・公共の文化施設・駐車場・公園・家屋・商業施設・歩道など)の消費電力を大幅に節減すべく、旧システムから新システムへの入れ替え作業を進めています。」と指摘したうえで、「太陽光発電システムを導入することで、歴史的建造物や市内の主な建物に対する照明サービスを向上できるほか、公園や歩道の夜間使用がより便利になり、道路や交差点の照明環境も改善されます、市当局としては、こうした取り組みを通じて、夜間も安全で安心できる環境を提供したいと考えています。」と語った。

事業局ではこれまでに以下の施設において太陽光発電システムへの転換を完了している。ハムダン・スポーツコンプレックス、アル・ムシュリフ公園、アル・バーシャ第二池公園、アル・サフーク公園、アル・ワルカ第二近隣公園、ポート・サイード・プラザ、アル・ワルカ第3コミュニティ施設、アル・アウィール公園、レバフ CF、ハッタCF、ナズワCF。

ジュマ・カリファ・アル・フカエ営繕局長は、「市が管理する諸施設の照明を新たにLED技術を用いたものに変換する作業を進めており、最終的には55%のエネルギー消費削減を目指しています。ドバイ市はこのイニシアチブによって環境保全、エネルギー消費削減、経費削減を同時に実現しており、世界トップクラスの持続可能な都市作り戦略を前進させています。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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ランペドゥーザという名のアフリカ人にとっての夢

【トリポリIPS=カルロス・ズルトゥザ】

ナイジェリア出身のユーセフ(28)さんは、ポケットに折りたたんだ欧州の地図を入れてサハラ砂漠を横断してきた。「この地図でランペドゥーザがどこだか指さしてもらえますか? 私にはわからないのです。」と語った。

ランペドゥーザとは、ここリビアの首都トリポリの北西600キロに位置するイタリア領の島の名前である。ユーセフさんは、このランペドゥーザ島にいつか辿り着くことを目指して、ナイジェリアの首都アブジャから過酷な道のりを経てリビアへとやってきたのだった。

「アブジャからトリポリまで直行便がないから、陸路できたんだ。ぎゅうぎゅう詰めのトラックに揺られて砂漠を縦断する5日間の旅に800ユーロ(約112,800円)掛かった。ドラックでは、運び屋から『誰かが落ちても止まらないからしっかり体を結びつけておけ』と言われたよ。」とユーセフさんはIPSの取材に対して語った。

欧州最短地点であるランペドゥーザ島への道のりには、暴力的な民兵や過酷な収容所、そして超満員のオンボロ船に搭乗しての命がけの航海が待ち受けているが、こうしたリスクを冒しても欧州への移住を試みる必要証明書類を持たないアフリカ人にとって、リビアは長らく中継地点であり続けている。中にはアジアからこの移住ルートを頼ってリビアにやってくる者もいる。

こうしてリビアにたどり着いた移民らは、新天地での良い生活環境を夢見ながら、島へ密航するための費用を捻出するために様々な雑務に従事している。

ユーセフさんはローラーペイントを手に、その日の仕事を求めてガルガレシュ橋(トリポリ市南部)のたもとの道端にいる数十人のサブサハラアフリカ出身労働者に交じって立っている。

この種の仕事で1日に稼ぐことができるのは、せいぜい20ディナール(約1,690円)だが、これだけの賃金にありつけることができないものも少なくない。

トリポリの街を一刻も早く「永遠に」あとにしたいというマリから来たスレイマン(23)さんは、「先週は連続で10時間も働かされた末に、何も払ってくれないので、不平を口にしたところ、頭に銃を突きつけられて追い返されてしまいました。」と語った。

「ここでは民兵間の衝突は日常茶飯事だし、自分は黒人だから時々彼らに絡まれて酷い目にあう、できれば故郷に帰りたいよ。でもお金が溜まり次第、ランペドゥーザ島行きの密航船に乗るのさ。急がないと手遅れになってしまうからね。」

しかしもともと仕事口が限られているなかで、ガルガレシュ橋のたもとに集まる移民の数が増え続けているため、競争がますます激しくなっている。彼らがこうまでして働いても、時には1000ドル(約103,000円)もするランペドゥーザ島への渡航費用を稼ぐには、気の遠くなるような時間がかかる。

さらに、密航船に乗り損ねるリスクも常に付きまとっている。

「密航船は地中海の天候が冬になると不安定になるため、通常11月頃には出港なくなります。でもこれから年末にかけてまだ一縷の望みはあります。」と27歳のクリスチャンさんは語った。

彼によれば、リビアの治安が悪化し続けるなか、多くの移民がやむなく、冬の荒れる海のなかを出港するリスクを冒しているという。

ムアンマール・カダフィ政権期(1969年~2011年)に、リビアは欧州を目指すアフリカ移民にとっての主要な中継地となった。カダフィ大佐が、欧州諸国に対して移民の(リビアからの)流入を止めたければカネを払うよう要求したのは周知のとおりである。

しかし2011年に独裁政権が崩壊してカダフィ大佐が殺されると、人身売買組織への取り締まりも甘くなり、リビア北岸から逃れる移民の数が増えた。「政情不安が続く中、現在のリビア政府には海岸国境地帯に十分な注意を払う余裕はないのさ。今や我々にとっての主な障害は(国境/沿岸警備隊ではなく)冬の高波だ。」とある人身売買組織の関係者が匿名を条件にIPSの取材に応じて語った。

この人物は、ランペドゥーザ島への1回あたりの密航手引きから得られる収入について、成功報酬でトリポリの仲介者から20,000ユーロ(約282万円)支払われると明かした。

しかしリビア当局の監視がなくなったわけではない。

パキスタンが実効支配しているカシミールからはるばるリビアまで来たイムラン(21)さんはランペドゥーザ島行きの密航船に乗込めたものの、結局3時間に亘って波間を漂っているところを沿岸警備隊に拿捕され、3ヶ月の禁固刑に処せられた。「船長が航路を把握しておらず方向を見失ったのです。」とイムランさんは語った。

リビアの収容所での待遇は過酷なものだったが、イムランさんはそれでも自分は比較的幸運な方だったという。「私たちの房にはおよそ50人が収監されていましたが、少なくとも私は看守に殴られることはありませんでした。しかし黒人の囚人の場合、待遇が全く異なるものでした。彼らは連日、最も陰惨な方法で拷問され殴られていました。」

またイムランさんは、「囚人が女性の場合、看守との性交と引き換えに釈放を認められることもありました。」と付け加えた。

イムランさんの証言は国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナル(AI)が6月に公表した報告書の内容と裏付けるものである。同報告書はリビア政府に対して、難民、亡命希望者、移住目的でリビアに辿り着いた子供を含む移民に対する無期限拘留を止めるよう求めている。

アムネスティ・インターナショナルは、リビア国内7カ所の収容所を訪問したあと、女性を含む抑留者らに対して「リビア当局による水道管や電線を使った残忍な殴打が繰り返されていた。」と記録している。

イルマンさんは、次回に密航するときは異なる船を試したいと語っている。

「前回の密航時に支払った額は相場より格安の500ディナール(約42,300円)でしたが、大半がソマリア人が運転する安物の船で、成功率は低いものでした。次回は値段がはりますが、大半が目的地に到達するという、シリア人が運転する船でチャレンジしようと考えています。」と、今ではホテルで清掃人の仕事をしているイムランさんは語った。

職場の同僚エライジャさんは、イムランさんが次回密航を試みる際に同行すべきかどうか検討しているところだ。ただ最後まで引っかかっている点は、海が荒れるこの時期に渡航するリスクだ。

「もし相場の1000ドル(約103,000円)を支払っても、本当に出港する瞬間まで自分の運命を託す密航船を確認することができないのです。そして確認できたときは、後戻りは許されません。」とニジェール北部アーリット出身の青年(28)は語った。

移民や現地の漁師は、粗末で人員超過のオンボロ船に乗込んで地中海の荒波に出ていくことが何を意味するかをよく知っている。

「時折、私の網に死体がかかっていることがあります。」と、地元の小さな漁村で働くアブダラ・ゲルヤニさんは語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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テヘランから東京へ、米国の地政戦略シフトが動き出す

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【ワシントンIPS=ジム・ローブ

このところ、中東から東シナ海へと、米オバマ政権の外交政策の重心変化を顕著に示すような出来事が立て続けに起こっている。

11月24日、イランと「P5+1」(米国、英国、フランス、ロシア、中国+ドイツ)が、イランの核開発に関する歴史的な暫定合意を結んだ。多くの専門家は、この暫定合意を契機に、長年対立関係にあった米国とイランの和解が進むのではないかと見ている。

一方、イスラエルをはじめとする米国の中東における友好国の一部や米国内の保守強硬派からは、この合意は、仇敵に対して「懐柔策」で臨んだオバマ大統領の「弱腰」を露呈したこれまでで最も憂慮すべき事例だとの厳しい批判が出ている。

また26日には、東シナ海における防空識別圏の設置(沖縄県尖閣諸島及び中国が韓国と管轄権を争っている離於島の上空を含む)を一方的に発表した中国に対して、米国がB-52戦略爆撃機2機を問題の空域に送り出して、日韓両同盟国との連帯を示した。

中国に対して即座に軍事力を誇示し現状変更を断固認めない意志を示した米国のこの措置に対しては、つい2日前にはイランとの暫定合意に対する一斉批判をリードしていた保守系のウォールストリートジャーナル紙をはじめ、各方面から称賛の声が上がった。

他方、スーザン・ライス国家安全保障問題担当大統領補佐官は、アフガニスタンのカブールに赴いてハミド・カルザイ大統領と会談し、国民大会議(ロヤ・ジルガ)で承認されたばかりの「2国間安全保障協定」にカルザイ大統領が年末までに署名しなければ、米国はアフガニスタンを見捨てる(完全撤退する)ことになりうると直接警告した。この協定が合意されれば、2014年末の国際治安支援部隊(ISAF撤退期限後も、最大10,000人の米兵がアフガニスタンに残留し、アフガン国軍に対する訓練・助言とアルカイダ及び関連組織に対する作戦に従事することになっている。

これらの出来事を総合すると、米国が戦略的な機軸を、10年以上紛争が続く大中東圏(=ブッシュ政権が作り出した政治用語でアフガニスタンも含まれる:IPSJ)から、非常に複雑な関係にある中国への関与を念頭に、アジア太平洋地域へと移そうとしていることが見て取れる。

米国は世界唯一の軍事超大国であることから、このような機軸の移転は、従来米軍のプレゼンスと支援に依存してきた国々に、新たに変化する環境の中で自国の権益を守るための姿勢転換を迫るなど、必然的に関係地域に大きな影響を及ぼすことになる。

そのような影響が最も顕在化してきているのが中東地域である。この地域では1979年に勃発したイラン革命により、米国のかつての戦略的パートナーであったパフラヴィー朝イランが崩壊した。その結果誕生したイラン・イスラム共和国は、一転して米国にとっての不倶戴天の敵となり、対照的に(同じくイランと敵対してきた)イスラエルとサウジアラビアをはじめとする湾岸諸国との同盟関係が一層強化された。

それから34年間、米国はイスラエルとスンニ派が多数を占める湾岸諸国に対して、時折これらの国々の政策(イスラエルによるパレスチナ占領地へのユダヤ人居住区設立や、サウジアラビアによるイスラム教原理主義「ワハービズム」の推進)が米国の利害に悪影響を及ぼすことがあったにもかかわらず、事実上無条件の支援を提供し続けてきた。こうして中東における力の均衡は、イランを敵視する超大国米国の支援を得たイスラエルと湾岸諸国に有利に傾いた状態が維持されてきた。

しかし、イラン・「P5+1」間の合意は暫定的なものとはいえ、今後地中海東部から南アジア亜大陸に至る地域における重要課題について、米国とイラン間の協力関係が進展していった場合、中東の地域バランスが大きく変わってしまうだろう。

メディアが暫定合意に対する恐怖と警戒を盛んに報じる一方で、政府は数日の沈黙を経て表面的には歓迎の意思を示したサウジアラビアだが、とりわけ同国にとって西側諸国とイラン間の暫定合意は不吉な前兆とみられている。

バーモント大学のサウジ専門家グレゴリー・ゴース教授は、11月26日版ニューヨーカー誌への寄稿文の中で、「サウジアラビアは単にイランの核開発問題を憂慮しているのではない。中東における地政学的な動向が、自国に不利に働いており、域内における自国の地位や国内の治安に悪影響を及ぼしているのではないかという、より強い恐怖感を抱いているのだ。」と記している。

またゴース教授は、「サウジアラビアは、イランはイラクとレバノンで優位を確立しているうえに、シリアでも同盟関係にあるバシャール・アサド政権が持ちこたえており、さらに(今回の暫定合意で)米国との新たな関係を構築しつつある…つまりこのライバル国は、障害に阻まれることなく、中東覇権への道を進んでいる、とみている。」と記している。

イスラエルに関しては、中東における同国の軍事的優位性は(とりわけ暫定合意が事実上イランの核開発を不可能にする包括的合意へと発展した場合)当面確保される見通しである。

しかし年来のイランの核開発を巡る緊張が取り除かれ、国際社会の注目が再びイスラエルによるパレスチナ占領問題に向けられるようになれば、米国とイラン間の関係改善は、イスラエルに悪影響を及ぼす可能性がある。

しかも、比較的教育水準が高い8000万の人口と豊富な石油・天然ガスの埋蔵量を擁するイランは、「中東のどの国よりも遥かに大きな潜在力を持っている。」とハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授は自身の「外交政策」ブログに記している。

またウォルト教授は、「イスラエルとサウジアラビアは、強大になったイランが、そのうち大国がこれまで振る舞ってきたように中東における影響力を行使すると恐れているのではないか。」と指摘したうえで、「イスラエルとサウジ両国の観点からすれば、両国の戦略目標は、イランをできるだけ長期にわたって孤立させて友好国の出現を防止するとともに、国力を人為的に弱体化させる、封じ込め政策を維持し続けるということになるだろう。」と記している。

しかし、イランとの関係が改善し新たな地域安全保障の枠組みにイランを組み込むことができれば、米国の中東及び世界戦略における外交目標にとっては、大きな前進となる。

地域全体でみれば、米国‐イラン間のそのような関係改善は、米国が中東で再びイスラム国(=イラン)を相手に戦争をするという可能性を払拭するのみならず、域内の同盟国との綿密な相談に基づいて両国が協力した場合、長引くシリア内戦をはじめ中東地域全体の不安定化をもたらしているスンニ派、シーア派間の紛争を鎮静化させることが可能になるだろう。

この1年、とりわけイランの支援を得ているシリアのアサド大統領の政権維持能力が以前の予想を上回り強固であることが明らかになって以来、オバマ政権は中東地域の安定を確保するにはむしろイランの協力が必要だという結論に達したようだ(中東における同盟国トルコも同様の結論に達したようで、この数週間に急遽イランとの和解に向けた歩みを進めている)。

ウォルト教授は、「確かに、スンニ派とシーア派間の抗争が今後さらに拡大し深刻化すれば、中東への関与から徐々に後退し、かつて1945年から1990年まで採用していた『オフショア・バランシング』政策(米国以外の他の地域で地域覇権国となりうる国家が勃興してきた場合、周辺地域の国々と連携してバランスを取ったり、また自らの軍事力や経済力といった多様なアプローチによって封じ込めたり牽制したりする戦略:IPSJ)を復活させようとしているオバマ政権の戦略は、大きな危機に直面することになるだろう。シリア内戦は、イランが国際的に孤立し経済が弱体化していても、なおこうしたオバマ戦略を頓挫させるだけの影響力を保持していることを明らかにした。」と述べている。

中東地域における『オフショア・バランシング』戦略の一部としてイランとの協力関係を構築していくことは、オバマ政権がグローバルなレベルで推進しようとしているアジア・太平洋地域への「ピボット(軸足)」政策にとっても決定的に重大な意味を持つ。そしてその緊急性は、先般中国が新たに防空識別圏を設定して近隣諸国、とりわけ米国が安全保障条約を結んでいる最重要同盟国日本との間にさらなる緊張関係を作り出したことで立証された。

「ピボット(軸足)」(あるいは「リバランス(再均衡)」)政策はヒラリー・クリントン前国務長官が2年前に公表していたが、その後もアフガニスタンへの軍事関与、シリア内戦への軍事干渉を求める動き、そしてなによりもイランに対する戦争の威嚇などが続いたため、今後も米外交の重心は大中東圏に深く関与したままになるのではないかとの懐疑的な見方が、とりわけアジアの専門家の中に根強く存在していた。

しかし、米国によるシリア攻撃を土壇場で回避したシリアに化学兵器放棄を迫る9月の米ロ合意、11月24日のイラン・「P5+1」暫定合意、ライス大統領特別補佐官のカルザイ大統領への要求などを合わせてみると、オバマ政権は、大中東圏への軍事的肩入れと資金支援を今後は最低限に留め、新たに外交政策の重心を他地域(=アジア・太平洋地域)に移す決意をしていることがわかる。

その意味で、11月26日の尖閣諸島上空へのB-52戦略爆撃機派遣には、そのような思惑が透けてみえる。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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イランとの暫定合意に不満のサウジ、核オプション検討の可能性も

南シナ海と中国の海軍戦略(ロジャー・ベイカー米民間情報機関ストラトフォー東アジア専門家)

|視点|ボリウッドに映る中印愛憎関係(クーノール・クリパラニ香港大学アジア研究センター名誉研究員)

イランとの暫定合意に不満のサウジ、核オプション検討の可能性も

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【国連IPS=タリフ・ディーン】

11月24日のイラン・『P5+1』暫定合意にサウジアラビアが激しい反発を見せたことで、サウジが中東に軍事力を展開しようとしているのではないかとの観測が出ている。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』が同日付の記事の中で指摘したように、国際社会がいかなる形であれイランの原子力開発を認めるようなことがあれば、サウジ政府は「購入手段によって自国の核兵器能力を追求する」という結論に傾くかもしれない。

その場合有力な調達先は、核計画の一部をサウジが財政支援したパキスタンとみられている。

しかしこれは、米国とサウジ間の長期にわたる政治的・軍事的関係が悪化しつづければ、という限定つきでの最悪のシナリオだと考えられている。

サウジアラビアが核取得の野望を持っているのではないかという疑惑が最初に浮上したのは、2011年に元駐米サウジ大使のトゥルキ・ファイサル王子が、イスラエルやイランからの核の脅威によってサウジもやむなく両国に倣らざるを得ない(=核武装する)かもしれない、と警告した際のことだった。

Prince Turki al-Faisal, a former Saudi ambassador to the United States, warned in 2011 that nuclear threats from Israel and Iran may force Saudi Arabia to follow suit. Credit: cc by 2.0
Prince Turki al-Faisal, a former Saudi ambassador to the United States, warned in 2011 that nuclear threats from Israel and Iran may force Saudi Arabia to follow suit. Credit: cc by 2.0

サウジの首都リヤドで開催された「安全保障フォーラム」で発言したファイサル王子は、「核兵器の保有も含めすべてのオプションを検討するのが、サウジアラビアの国家と民衆に対する責任です。」と述べたとされる。

これが本気の発言か空疎な脅しかどうかは、イランに核兵器能力を放棄させるために行われている協議の行く末が、暫定合意が期限を迎える半年後にどうなっているかにかかっている部分もある。

この暫定合意は、イランと、国連安全保障理事会の五大国(米国、英国、フランス、ロシア、中国)にドイツを加えた「P5+1」との間で10月と11月に計3回の協議を経て、結ばれたものである。

エルサレムに拠点を置く『パレスチナ・イスラエル・ジャーナル』の共同編集人で中東の核開発情勢に詳しいヒレル・シェンカー氏は、「サウジアラビアの批判は、ジュネーブ合意(=暫定合意)を非とする立場が前提となっています」と指摘したうえで、「しかし、この暫定合意を基礎として、イランによる核の軍事利用を防止するための合意に進むことができれば、サウジ政府も核武装による対抗手段をとる必要性を感じなくなるでしょう。」と語った。

さらにシェンカー氏は「イランとの最終合意において、(レバノンのシーア派武装集団)ヒズボライスラム聖戦機構に対するイランの支援の問題を取り扱うべきだとイスラエルが主張するのと同様に、(スンニ派が支配する)サウジアラビアや湾岸諸国は、イランによるシーア派中東支配の野望に対して安全を保障するよう米国に求めるでしょう。」と語った。

今回の暫定合意によって他の中東諸国が核兵器開発・取得に走ることがあるかどうかという問題に関して、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI核軍備管理・軍縮・不拡散プロジェクトのシャノン・N・カイル上席研究員は「それは長期的な合意の内容次第だろう」と語った。

この長期的合意は、暫定合意の期限が終了する半年後に結ばれることになると目されている。

カイル氏は、制裁解除と引き換えに機微の核燃料サイクル活動を制限ないし減少させる意思をイランがどの程度持っているか、あるいは、イランの核インフラをほぼ解体する合意なしに制裁を解除する用意が米国と欧州連合(EUのパートナー国にあるかどうかは、今のところ不明であるという。

さらにカイル氏は、「イランの核計画に対する技術的制約を相当程度に大きくし、(とりわけイランが付属議定書に署名することによって)国際原子力機関(IAEAによる検証体制を強化してイランにおける未申告の核活動が存在しないとの確証を提供するような合意が結ばれると想定すれば、イランによる核兵器製造が困難になるため、米国やイスラエル、アラブ諸国の不安は軽減されることになるだろう。」と指摘したうえで、「そうすることで、中東における核拡散のインセンティブと圧力を弱めることに資するのです。」と語った。

サウジアラビアに加えて中東で核の野望を持っていると観測されているのが、現在政治的に混乱しているエジプトである。

シェンカー氏は、「中東の覇権を巡ってイランをライバル視しているエジプトも、(サウジアラビア同様)イランと西側諸国の間の歩み寄りを歓迎していないかもしれないが、現在は国内問題で手一杯な状況にある」と指摘したうえで、「もし(6か月後の)最終合意を合理的なものと判断すれば、エジプトが核兵器を保有する決断を下す可能性はないだろう。」と予測した。

しかし、今年7月に追放されたムハンマド・モルシ前大統領も、それを引き継いだ現在の暫定政権も、イランの原子力計画に対抗してか、休止状態にあった原発建設計画を復活させることへの関心を示している。

さらに、中身のある最終合意がイランと結ばれたならば、エジプトは、中東非核地帯を追求する決意と、イスラエルの核計画を協議のテーブルに乗せようとの希望を強めるだろう、とシェンカー氏は語った。

またシェンカー氏は、「イランが過去の核活動に関してあまり前向きでなく、時には積極的に嘘をつこうとしてきたことを考えると、11月24日のイラン・『P5+1』暫定合意に対する悲観論がイスラエルやサウジアラビア、米国議会の一部から出ていることは理解できます。しかし今回の暫定合意が、イラン核計画の範囲に関する国際社会の懸念に応えていくための重要な第一歩であることを考えると、こうした懐疑的な勢力も暫定合意を歓迎すべきなのです。」と語った。

ジュネーブ合意は、暫定期間中にイランが核施設を利用して核兵器製造に向けた進展を図ることを実質的に不可能にするような技術的制約(5%を超える濃縮の停止、手持ちの20%を超える濃縮ウランの解体、アラク重水炉の建設停止)や検証上の要請(濃縮設備へのIAEA査察官のアクセス拡大)を課している。

「従ってこの合意によって、仮にイランが将来において核兵器開発を決断することがあったとしても、核開発に要する時間は引き延ばされることになるのです。これは重要な成果であり、無視したり軽視したりすべきものではないのです。」とカイル氏は付け加えた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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サウジ政府が国連安保理を非難

|パキスタン|ポリオ根絶への歩みを止めてはならない

【アブダビWAM】


「パキスタン北西部のアフガニスタン国境部族地域を拠点とする『パキスタンのタリバン運動』が、オサマ・ビンラディン暗殺の報復と予防接種活動に対する疑念から、ポリオ根絶運動に従事する関係者の殺害を相次いで行っており、予防接種活動が事実上停滞している。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙「ガルフ・ニュース」が報じた。

パキスタンは、ナイジェリア、アフガニスタンと並んでポリオが依然として根絶されていない3か国の一つで、世界保健機構(WHO)の最新データによると、発症件数は58件から72件へと急増している(ナイジェリアは50件、アフガニスタンは9件)。

タリバンは、ビンラディンの居場所を特定する手段として偽の予防接種運動が利用されたとみており、米国が無人攻撃機による攻撃を止めない限り、予防接種を妨害し続けると宣言している。


「パキスタンでは、予防接種プログラム従事者が相次いで殺害され、何千人もの子供たちがポリオワクチンの接種を受けられない現状に、無力感と今後に対する悲観論が広がっている。」と同紙は報じた。

またガルフ・ニュース紙は、「タリバンは、次世代を担う子供たちの健康を奪うことで、理解者や支援者を獲得することはできない。ポリオ予防接種が子供たちの健康とよりよい未来を保障するという基本的な事実をイデオロギーで捻じ曲げるような行為をやめ、人道的な顔を見せるべきだ。」と付け加えた。


「どんなことがあっても、ポリオ根絶への歩みを止めてはならない。ポリオを根絶した世界の実現こそが、それを目指して弛まぬ努力を重ねている全ての人々にとっての最後の勝利となるだろう。」と、ガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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