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|アラブ首長国連邦|海洋専門家がフランス観測船「タラ」号を訪問

【アブダビWAM】

UAE環境水資源省海洋研究センター(MRC)の専門家・調査員チームが、オマーン・パキスタンに行く前にアブダビに寄港中のフランスの海洋観測船「タラ号」を訪問した。同観測船は、ドバイ寄港前には、欧州・中東・北アフリカの20港を訪問している。

これは、「タラ号海洋プロジェクト」が、国連環境計画(UNEP)をはじめ、多くの国々の研究所や専門家の協力を得て組織した「 Tara Oceans 」と呼ばれる海洋調査プロジェクトである。タラ号は、3年間に亘る大航海を通じて50カ国以上を訪問する予定である。

この事業には、航海中、環境・科学関連の諸課題について情報及び教育学的な観点から分析調査するミッションが含まれており、UAEにおいても同国の海洋科学調査の枠組みに則って海洋生物のサンプルが収集される予定である。

 環境水資源省のアーメド・アル・ジェナヒ上級研究員は、訪問団はタラ号関係者から、船上の研究施設について説明を受けたと語った。タラ号はアブダビ港に寄港中に同研究施設で海洋サンプルの分析調査を行うこととなっている。

訪問団の目的は、船上研究施設でタラ号に乗船している科学者や研究員と専門分野についての知識の共有を行うことである。

タラ号は3年間にわたって世界中を航海し、気候変動が海洋にもたらしたインパクトについて調査する予定である。特に本事業は、史上初めて、地上全ての生命体の起源であるプランクトン等の海洋微生物に及ぼす気候変動のインパクトを地球規模で調査する試みである。海洋微生物は全ての海洋有機物のおよそ90%を占めており、大気中の二酸化炭素の大半を吸収し、地球上の酸素の約半分を生成している。(原文へ

翻訳=IPS Japan戸田千鶴

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│キューバ│観光産業への大きな期待

【ハバナIPS=パトリシア・グロッグ】

今年1・2月におけるキューバ観光産業の好調ぶりは、この産業部門への熱い期待を甦らせている。1・2月期の観光産業は、前年比で5.2%成長した。昨年3回もハリケーンに見舞われ、さらには世界経済不況の只中にあっては、朗報だ。 

経済学者のパベル・ビダルは、米国政府による米国民のキューバ渡航禁止措置が解かれれば、観光産業はキューバ経済牽引の役割をふたたび果たすことができるだろう、と話す。 

先週、米国議会は、米国居住のキューバ人がキューバ国内の家族を年に1度訪問することを認める法案を成立させた。前ブッシュ政権が2004年にキューバ渡航規制を強化して以来、キューバ行きフライトは75%も減少していたが、また便数が復活することが見込まれる。

 米国による対キューバ渡航規制が緩和されれば、初年度で米国から少なくとも100万人の観光客が訪れるものと見込まれている。 

1990年以前のキューバの主要産業といえば、砂糖であった。東側諸国による需要も安定していた。しかし、共産圏崩壊に伴って、観光産業の重要性が増すことになる。1990~2006年において、観光産業は対キューバ投資の7分の1を占めていた。 

観光産業は、農業・建設・製造・通信など、他の産業部門の成長を誘発する性質を持っており、その分だけ期待も大きいのだ。 

他方、最近では、ベネズエラへの医師派遣などの例に見られるように、海外への技術輸出も注目されている。国家統計局によると、2008年度にはこの部門で84億ドルの収入があった。観光産業による収入の実に3倍である。しかし、同部門は、上で見たような他の産業部門の成長を促す効果が弱い。 

キューバ観光産業の成長ぶりは、他のカリブ海諸国と比べても際立っている。2008年には、230万人以上がキューバを観光で訪れたが、これは、前年比9.3%増であった。 

キューバ観光産業の成長について報告する。 

翻訳/サマリ=山口響/IPS Japan浅霧勝浩 


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│ハイチ│専門家らが「援助文化」の変化を求める

【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】

まもなく、人権に関する専門家らが、地震の被災にあえぐハイチを訪問して現地の人権状況を調査する。国際社会に対して、ドナー国が過去の過ちを乗り越えるためのガイドラインが必要だと訴える予定だ。 

訪問は3月9日から12日までの予定で、米州人権委員会が3月23日に公聴会を開くのに先駆けて行われる。米州人権委では、地震後の援助がハイチ国内の人権状況にどのような影響を与えているのかが審理される予定だ。

 さらに、3月31日には、ニューヨークの国連本部において、ハイチ援助会議が開かれ、ハイチに対する援助の今後について話し合われる。 

専門家らは、ハイチにおいて、住民の人権をベースにした援助が行われるべきだと訴えている。とりわけ、ドナー国が援助に関する透明性を高めて応答責任を果たすべきだとしている。そのためには、ハイチ政府と十分協力して、援助の実施状況に関する監視や報告の仕組みを作ることが重要だ。 

専門家は、ハイチ政府、市民社会、住民組織などを構成員としたマルチドナー型の支援を提唱し、ハイチ政府が自ら援助計画を実施できるようにすべきだとしている。 

1月12日の大地震以前になされていたハイチへの援助については、住民の援助ではなく、現地エリートへの援助に過ぎなかったという開発専門家もいるぐらいだ。 

ハイチへの援助に対する専門家の勧告について報告する。 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

大量の電子廃棄物が途上国に押し寄せる

【アックスブリッジIPS=スティーブン・リーヒ

有害な電子廃棄物が、世界で年間4000万トンも増え続けている。中国やインド、南アフリカでは、今後10年間で200~500%も増えるだろうという。しかもこれには、もっぱら先進国から違法に輸出されていく電子廃棄物は含まれていない。

「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」に関する会合(インドネシア・バリ)において発表された報告書『リサイクル―電子廃棄物から資源へ』で明らかにされた。

携帯電話からの電子廃棄物について、2020年までに2007年比で7倍(中国)、18倍(インド)になるとそれぞれ予測された。中国はすでに、2010年の推計で230万トンの電子廃棄物を生んでいる。これは、300万トンを排出している米国に次いで、世界第2位である。

 国連環境計画のアヒム・シュタイナー事務局長は、巨大で効率的な施設を中国に建設することで早急にリサイクルを進める必要性を力説する。

しかし、単純に施設を途上国に輸出すればいいというものではない。というのも、電子廃棄物のリサイクルは人力にかかっている部分が大きいからだ。国連大学のRuediger Kuehr氏によれば、携帯電話は40~60の異なる要素から構成されておりその中には金を含んでいるが、中国やインドでは金をわずか20%しか回収できていないという。

そこで報告書が提唱するのが、途上国で電子機器を解体したあと先進国に輸出してそこで最終的な処理を施す、という方法だ。

究極的に言えば、目指すべきはリサイクルよりも再使用であるという。Kuehr氏は、コンピューターや電話を買う人は、物理的な製品を欲しているというよりも、単にそれらによるサービスを利用したいだけだと話す。したがって、将来的には、コンピューターなどのハードは企業が保有し、必要に応じてアップグレードを加えていく、というのが究極の姿になる。ビンのデポジット製に似ていないことはない。

電子廃棄物問題の将来について考える。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

核なき世界実現には民衆の圧力が不可欠(尾崎咢堂塾特別シンポジウム)

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【IDN-InDepthNews東京=浅霧勝浩】

「世界の都市と市民の皆さん、団結を!核兵器のない世界実現のために団結を!」秋葉忠利広島市長が耳にしたいのは、まさに世界の隅々にまで響き渡るこのような行動の呼びかけである。 

なぜなら秋葉市長は、「都市同士が親しくなると姉妹都市になるが、国同士が親しくなると軍事同盟になってしまう。」と確信しているからである。 

「従って、諸都市が有する平和と協力を推し進める能力について、学術研究や教育の分野がもっと注目をすべきなのです。」と、(財)尾崎行雄記念財団が主催した咢堂塾特別シンポジウム『核なき世界の実現に向けて』に出席した秋葉市長は語った。

 秋葉氏は、尾崎行雄記念財団の理事であると同時に平和市長会議(Mayors of Peace)の会長でもある。平和市長会議は、世界の都市が緊密な連携を築くことによって、核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起し、人類の共存を脅かす飢餓、貧困、難民、人権などの諸問題の解決、さらには環境保護のために努力することによって世界恒久平和の実現に寄与することを目的として設立された非政府組織(NGO)である。 

世界市長会議は、2010年2月1日現在、134カ国・地域から3562都市が加盟している。また、1990年3月には国連広報局のNGOに、1991年5月には国連経済社会理事会よりカテゴリーII(現在は「特殊諮問資格」と改称)NGOとして登録されている。 

今年は1945年8月の広島・長崎原爆投下から65周年にあたり、秋葉市長は2020年夏季オリンピックの広島誘致の可能性を検討している。世界市長会議では、同年までの核兵器廃絶を目指す行動指針「ビジョン2020」を打ち出しており、その前段階として2015年までの核兵器禁止条約(NWC)の採択を目指している。 

また平和市長会議では、市民の意思を効果的に反映させる趣旨から国連システムに上下両院を設ける民主改革案を検討している。この案では、従来の加盟国が上院を構成し、下院は世界の200都市(人口の多い100都市と戦争・紛争の過去を持つ100都市)が構成するものとなっている。 

こうした提案の背景には、広島、長崎、ゲルニカ、アウシュビッツといった都市の事例が象徴するように、「歴史を通じて、都市こそが、戦争が人々や環境にもたらす惨禍の矢面に立たされてきた。(だからこそ都市が、国連を舞台に平和構築に向けたや役割を積極的に果たすことができる)」との思いがある。 

「ベルギーには第一次世界大戦で史上初めて毒ガスが使用された街があります。」と秋葉市長は語った。「この街の人々は、過去90年に亘って、毎日、犠牲者への追悼行事を行ってきたのです。」 

また、広島にも1945年の原爆投下の時間である8時15分に、-平和への祈りを込めて-鐘を毎朝打つ寺院がある。「私たちは今や、世界を変えるために、国に代わって都市の市民がイニシアチブを発揮する時代に入っているのです。」と秋葉市長は語った。 

市民の力 

「もし市民の力が結集しなかったら、対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約、グラミン銀行は実現を見なかっただろう。」と秋葉市長は指摘した。 

2002年から2004年にかけてジュネーブ軍縮会議日本政府代表部特命全権大使を務めた猪口邦子氏は、「市民の力」の重要性を指摘した秋葉市長に賛同する一方、自身がジュネーブ軍縮会議議長在任中に経験したエピソードについて語った。「当時、小型武器、地雷、クラスター爆弾による年間の被害者は約50万人に上っていました。しかし各国代表は(被害者の問題が各国の軍事戦略に直接的な影響を及ぼさないことから)当初この問題に対してあまり関心を示さなかったのです。」 

「しかし、被害者たちが国連で体験を証言する局面になると、議論の流れが一転しました。こうした被害者たちはNGOの支援を得てはじめて国連に来ることができたのです。私はこの光景を見て、被爆者もNGOの支援を得て、国連で核軍縮の議論の流れに影響を及ぼせるのではないかと思ったものです。」 

猪口氏は、被爆者の方々はもとより、全ての武器による被害者に対する民衆の認識を高めること、そして、被害者間の絆を育んでいくことが極めて重要を考えている。 

また猪口氏は、バラク・オバマ大統領が、5月に開催予定の歴史的な核不拡散条約(NPT)運用検討会議に先立って、4月にワシントンで核安全保障サミットを主催する決定をしたことを歓迎した。 

「通常であれば、この種の会議は大使級レベルで開催するものですが、それを首脳級会合に引き上げていることから、今日の世界において核問題に向けられた優先順位の高さを窺い知ることができます。国際社会に最も効果的なインパクトを残す方策は各国の大統領や首相が共に連携して行動をおこすことですが、まさにそのような舞台が核兵器の問題に関しては、今日出来上がっているのです。」と猪口氏は語った。 

猪口氏は、「今後の大きな目標は、米国による包括的核実験禁止条約(CTBT)への批准を実現することです。」と指摘したうえで、「もし米国が批准すれば、CTBT発効に向けた大きな弾みとなるでしょう。もうひとつの重要な目標は、今年の協議期間中に兵器用核分裂物資生産禁止条約(カットオフ条約)の協議開始に向けた議論を進めることです。」と説明した。 

第二の核の時代 

韓国ウソン大学学長のジョン・エンディコット氏は、「世界はポール・ブラッケン氏が最近の著作で言及した『第二の核の時代』に突入していることを理解することが重要です。」と、本シンポジウムのテーマである「核廃絶」についてさらに異なる視点から見解を述べた 

過去200年にわたって、国際秩序は欧米諸国の軍事的優位の下で国際秩序が形作られてきた。その間、軍事力に裏打ちされた「国威の象徴」は、砲艦から戦艦に、そして巡航ミサイルやステルス爆撃機へと時代の流れとともに変遷を繰り返してきた。そして近年まで、こうした武器は欧州及び北米諸国の専売特許であった。「しかし、欧米諸国が最先端軍事技術を独占する時代は今や終わりを告げつつあります。」とエンディコット氏は強調した。 

通常弾頭を装着した弾道ミサイルといったいわゆる大量破壊兵器(WMD)は、最先端の軍事技術と共に、今や、イスラエルから北朝鮮に跨るアジア大陸の最大10カ国が入手しようとしており、世界の軍事バランスは大きく転換しようとしている。 

エンディコット氏は、こうしたアジアの軍事力の台頭は、第二次世界大戦直後の冷戦期に現出した従来の核の時代とは異なる、「第二の核の時代」の到来を告げるものであると説明した。これまで欧米諸国が作り上げてきた世界秩序は、軍事面のみならず、文化や哲学の側面からもアジア諸国からの挑戦に晒されているのが現状である。 

「アジア諸国は、1960年代と70年代に経済分野においてそうであったように、今や軍事分野で自己主張を始めています。こうしたアジア諸国の自信は、欧米の介入に対して―たとえそれが平時であっても―かつてとは比較にならない高い代償を強いるほどの強大な軍事力に裏打ちされたものなのです。」 

「もちろん、長期的な目標は核兵器の全廃でなくてはなりません。そして、どんなに小さなものであったとしても、その目的に向かってあらゆる手段を講じていくことが重要なのです。こうした試みの一例として、限定的非核地帯(LNWFZ)とそれに伴う新たな地域機関の創設といった方法が挙げられます。」、とエンディコット氏は語った。 

こうした地域機関は、当該地域の政治・経済・社会開発に関する諸課題を調整する役割を付与されるべきものである。そして「第二の核の時代」に新設されたこうした国際機関は、完全に包括的なものでなければならない。 

現存する全ての非核地帯と限定的非核地帯は、国際原子力機関(IAEA)や国連安保理との取引ができるようにすべきである。「つまり、東アジア、南アジア、及び中東を統括する地域機関がこの全体構想の中に含まれなければなりません。」と、エンディコット氏は提言した。 

エンディコット氏は、いかなる安全保障システムも、成功裡に機能し続けることができるか否かは、ありのままの現実を直視し変化し続ける環境に適応できる能力の有無にかかっていると指摘した。 

「今日の世界において5カ国以上の国々(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)が核兵器を保有していることは厳然たる現実です。国際機関もこの現実を直視し受け入れる時期にきています。NPT体制は冷戦期から成功裡に存続してきたイニシアチブではありますが、今日の新たな世界の現実に合わせて自らを再定義しなければならないところにきているのです。」 

「国際社会は20世紀とは異なる今日の新たな現実に適応し損ねたとき、恐ろしい代償を払わされることになるでしょう。核なき世界の実現が私たちの手に届こうとしているこの素晴らしい機会を、見過ごすことのないよう、この緊急を要する作業にともに着手していこうでありませんか。」とエンディコット氏は強く訴えた。 

絶好の機会 

エンディコット氏の提言に、「今こそ核なき世界に向けて行動する絶好の機会です。」と、モデレーターをつとめた梅林宏道氏が賛意を表明した。核廃絶問題の権威である梅林氏は、「今では一般にオバマ大統領の有名なプラハ演説が核廃絶に向けた議論の契機となったと見られるようになったが、実はその源流は2006年にフーバー研究所(マサチューセッツ大学内)で開催されたシンポジウムに遡るのです。」と指摘した。 

そのシンポジウムは、当時、ロナルド・レーガン米大統領ミハイル・ゴルバチョフソ連大統領が、核戦争の勝者はなく核兵器は地上から廃絶されるべきという点で合意に至った1986年のレイキャビック首脳会談から20周年を記念して開催されたものであった。 

「核廃絶はどちらかというと複雑な問題です。」「米国のオバマ大統領が核なき世界の実現に向けた努力を公約したこと自体、素晴らしい出来事だが、重要なことは、世界が本当に核兵器の廃絶に向けて動くかどうかは、結局のところ世界の民衆、すなわち私たち一人一人の力にかかっているということを忘れてはなりません。」と、NPO法人ピースデポ特別顧問をつとめている梅林氏は語った。ポースデポは、軍事力に依らない安全保障システムの構築を目指す非営利の独立平和研究、教育、情報機関である。 

一方、猪口元大使は、「国連システムの中で、軍縮問題に唯一の常設機関として取り組むことができるがジュネーブ軍縮会議です。そしてそこでは、次期軍縮条約がカットオフ条約になると考えられています。ところが、全ての構成国である66カ国が『作業文書』に合意しなければ、条約締結に向けた議論を開始できないという規則が大きな障害となっているのです。」と語った。 

この全会一致規則を見直そうという議論もあったが、核保有国の同意を伴わない条約を結ぶことの有効性について疑問が投げかけられ、今もこの原則が適用されている。「私が2003年にジュネーブ軍縮会議の議長を務めていた当時、日本政府がカットオフ条約の作業文書を提出して実質的な作業を進めました。この作業文書は、カットオフ条約に向けた公式協議が開始された際には、議論の土台として使用されるものです。」と、猪口氏は語った。 

猪口氏は、「ジョージ・W・ブッシュ政権当時、軍縮議論を進めるのは極めて困難でした。ましてやそのような状況下でNPT体制に参加していない核保有国に働きかけることは不可能でした。」 

しかしオバマ氏は、大統領候補の頃からカットオフ条約の早期交渉開始に努力するとの公約を一貫して表明し、この公約は、2009年4月のプラハ演説でも確認された。 

「こうしてオバマ大統領の登場で、軍縮を巡る議論の流れは一転し、カットオフ条約に向けた公式協議が開始されることが合意されました。その後、オバマ大統領は、医療保険改革など(国内の)多くの難題に忙殺されているようですが、日本の役割は、オバマ大統領に自身の公約を思い出させる努力を継続しながら、米国と協力してカットオフ条約の実現を目指すことだと思います。」と、猪口氏は結論付けた。 

核廃絶という極めて重要な問題を取り扱うシンポジウムが、故尾崎行雄(咢堂)の名に因んだ財団で開催されたことには、特別な意味合いがある。「憲政の父」咢堂の生涯は、日本が、近代主権国家としてのアイデンティティと見出し、議会制民主主義の基礎を構築した19世紀半ばから20世紀半ばの約100年の歴史と重なり合っている。 

翻訳=IPS Japan

核軍縮に向けた統合的アプローチの必要性(ジャヤンタ・ダナパラ)

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【IPSコラム=ジャヤンタ・ダナパラ】

核兵器に関する唯一の実行可能な規範的アプローチは、厳格な検証措置の下でそれらを完全かつ普遍的に廃絶することである。これは、漸進的なステップではなく、国連事務総長も推奨している核兵器禁止条約(NWC)の交渉によってのみ、成しうることである。

今日、核軍縮と核不拡散とを破局状態から救う希望があると私は思っているが、それにはいくつかの根拠がある。

米国のオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は、「核兵器なき世界」の達成を目指すと繰り返し表明している。我々は、拡散から脱却する新たな時代へ向かいつつあるのかもしれない。それは、核兵器の拡散と、その永続、さらなる改善からの転換である。

 核兵器の「拡散」という概念には2つの次元がある。水平的拡散(他の国への拡散)と垂直的拡散(既存核兵器の改善)である。核兵器保有国―それは北大西洋条約機構(NATO)諸国と「核の傘」に依存する国々に支えられてもいる―は、長い間、水平的拡散の防止と垂直的拡散の推進を同時に行ってきた。

つまりはこういうことだ。「核兵器保有国は、新たな核兵器保有国の出現の可能性(現実であれ想像上のものであれ)に対して、警告を発する。そして、それを防ぐために、(イラクへの違法な侵略のようなことが)必死に追求され、それが水平的拡散に対するさらなる制限を必要とする。」という関係なのである。

しかし、こうして作られた外国の脅威は、二重の意味で使われる。つまり、核兵器保有国にとっては、自国の核戦力を改善(=「近代化」)し、核軍縮を無限に先送りすることを正当化する根拠になる。

イスラエルの未申告の核兵器能力―それは核兵器保有国の一部が支えてもいる―をめぐっては共謀して沈黙が保たれている。核兵器保有国が持ち出すこうした選択的なストーリーによって、事態はより不透明化することになる。さらに、「良い」拡散国と「悪い」拡散国という恣意的な区別も導入されている。そして、それなしには核不拡散条約(NPT)の無期限延長はなかったであろうと言われている、1995年の中東に関する決議は、無視されている。

こうして、長きに渡ってNPT入りを拒んでいるが「良い」拡散国だとされているインドが、米国との核協力合意によって、核技術と核物質の供給という見返りを得ている。同様に、世論からの批判にもかかわらず、米国の核兵器が欧州の5ヶ国に置かれていることは、「核共有」の名の下に正当化されている。

今日の新たな次元は、テロ集団による核兵器の取得・使用の可能性だろう。こうした可能性は、恐るべきまでに現実のものとなっている。と同時に、核兵器保有国がそれを利用して、自らの核兵器の問題から世界の目をそらせるためのものでもある。しかし、核兵器保有国の核自体には、テロと闘うための明確な軍事的価値はない。基本的な問題は、核兵器は誰の手にあってもそもそも危険なものだということだ。

こうして核兵器の「持てる者」と「持たざる者」との間で上段/下段の責任を分割することは、核軍縮と核不拡散が同じ物事の両面であるという現実を覆い隠す有害な働きしかない。その二つは、互いに補強しあう並行的なプロセスでなければならないのだが。

20世紀になって核兵器がもっとも破壊的な大量破壊・恐怖兵器として登場したことは、時代を画することになった。この兵器は、長期にわたって生態系と遺伝子に影響を与え、人間の生を破壊するものであることがわかってきたのである。こうして、核兵器の削減・制限は、国連と国際社会の優先すべき問題となった。

世界最大の2つの核兵器保有国(世界の核兵器の95%を保有する米露)の間の2国間条約や、核実験を禁止したり(包括的核実験禁止条約=CTBT)、拡散を禁止したり(核不拡散条約=NPT)する多国間条約は、垂直的拡散と水平的拡散の両方を規制しようとしてきた。非核兵器保有国によって結ばれる非核兵器地帯条約も同様である。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、今日の世界には2万3300発の核弾頭が存在し、米国・ロシア・英国・フランス・中国・インド・パキスタン・イスラエルが、数分以内に発射可能な核弾頭を8392発配備していると推定している。

すべての兵器に関する規範的な構造には、2つの側面がある。ひとつは、非人道的な兵器を完全に禁止したり、あるいは、人道的理由、集団的な安全保障上の理由によって、特定のカテゴリーの兵器を禁止することである。もうひとつは、戦力のレベル、あるいは新保有国の出現防止に関する軍備管理を目指すことである。軍縮のためには、既存兵器の検証可能な形での破壊、生産・販売・貯蔵・移転・取得の停止を必要とする。

こうして、生物兵器や化学兵器、対人地雷、クラスター爆弾、レーザー兵器などを、(たんに制限したり削減したりするのではなく)非合法化することが、グローバルに実現してきた。一方で、こうした目的のために交渉されてきた多国間条約が、普遍的なものでもないし、検証措置が必ずしも信頼に足るものではないのにもかかわらず、である。

軍縮と軍備管理を組み合わせようとしているひとつの条約は、NPTである。これは、世界で最も加入国の多い軍縮条約だ。NPTが明文上認めているのは、核兵器保有国と非核兵器保有国という2つのカテゴリーだけである。

核兵器保有国は、条約加盟国として、自国の核兵器の削減と廃絶に関する交渉を行う義務を負う。非核兵器保有国は核兵器を取得することが完全に禁じられ、国際原子力機構が、非核兵器保有国が核を平和利用する際に当該国と「保障措置協定」を結ぶ権限を与えられている。

軍備管理に関して言えば、核兵器保有国は、他の二国間・多国間条約を通じて適用される制限を受けつつ、核兵器を保有すること自体は認められている。しかし、核兵器保有国は、NPTの下における義務を果たすのではなく、2010年のNPT運用検討会議に向けて、非核兵器保有国にさらなる制限を課すことばかりを行おうとしてきた。たとえば、条約10条にある条約脱退の権利を制限したり、条約4条にある原子力平和利用の権利にあらたな条件を課す、といったことである。

イラクにおいて1990年代初頭に秘密の核開発計画が発覚したこと、朝鮮民主主義人民共和国がNPTを脱退しその後核実験を行ったこと、リビアがNPTに従っていなかったがその後事態は是正されたと判明したこと、イスラエルがシリアの原子炉を破壊したとされる疑惑についてさまざまな疑問が残っていること、イランの核開発計画に関して依然として緊張があること―これらによって、核不拡散体制としてのNPTは弱体化させられている。

こうした岐路にあって、核軍縮と核不拡散という2つのアプローチを再統合することによってのみ、NPTを救うことができるのである。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

ジャヤンタ・ダナパラ:スリランカの外交官で元国連大使。1995年核不拡散条約(NPT)運用検討会議の議長。1998年-2003年、国連軍縮担当事務次官。現在は、科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議会長。本コラムは、ダナパラ氏の個人的見解である。

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service(IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|軍縮|エジプト、米国の「核の傘」を拒絶する

|レバノン-シリア|ベイルートに見られる明らかな変化

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【アブダビWAM】

「デモに参加した人々の人数が明らかに減少したことだけが、2月14日に暗殺から5周年を迎えたラフィーク・ハリリ首相(当時)の追悼集会において見られた明らかな変化ではなかった。集会で披露された4つの演説のトーンも従来とは異なるものだったのだ。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。

「演説では、反シリアのシュプレヒコールや、2005年同日に起きたレバノン首相暗殺の背後にはシリアの存在があっとする非難声明はなかった。その代わり、故ハリリ元首相の子息で現首相のサード・ハリリ氏を含む全ての登壇者が、協力とパートナーシップに基づく、シリアとの新たな関係の幕開けを訴えた。」とドバイに本拠を置く英字日刊紙「ガルフニュース」は2月16日付の論説の中で報じた。

 「このようなレバノン人の対シリア感情の変化は、昨年12月にハリリ新首相のシリア公式訪問が実現して以来、ある程度予期されたことであった。この歴史的なシリア訪問の期間中、若いハリリ首相(39歳)は、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領(44歳)と何時間にも亘り談笑と夕食会を交えた。

「シリア政府はハリリ前首相の暗殺の嫌疑について一貫して否定しており、首謀者としてイスラエルの犯行説を主張してきた。」

「5周年目となったハリリ前首相暗殺追悼集会は、数十万人が参加してハリリ陣営への支持とシリア政府の非難を繰り返してきた過去の集会とは明らかに様相を異にしていた。警察当局の推計によると、今回の集会参加者数は僅か35,000人とみられている。このことは、レバノンの人々が事件を乗り越えて隣国シリアとの未来志向の関係構築に動き出したことを示している。」

「故ラフィク・ハリリ氏は、レバノンの偉大な指導者であった。レバノンは1975年から90年まで続いた内戦のあと、ようやく国土の再建に着手したが、ハリリ氏はレバノン復興と統一の象徴として多くの国民の支持を集めた。しかし2005年2月14日に起きた同氏の暗殺事件を契機に、レバノンは再びかつての政治対立と経済混乱の時代に逆戻りした。その後、反シリア派と親シリア派の対立は深刻化したが、(2008年のシリアとの国交正常化により)辛うじて内戦の再現は回避することができた。」と同紙は報じた。

「今日のレバノンは平静を取り戻しつつある。隣国シリアとの新たな協調関係が、レバノン国内の緊張緩和に有効に作用している。ハリリ前首相の暗殺犯は、必ず特定し法の下の裁きを下さなければならない。しかし、その時まで、レバノンは対立を乗り越えて前に進むしかない。」とガルフニュース氏は締めくくった。(原文へ

翻訳=IPS Japan戸田千鶴


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人権へのあたらな脅威(ブトロス・ブトロス・ガリ)

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 【IPSコラム=ブトロス・ブトロス・ガリ】

12月10日で、世界人権宣言が採択されて61年になる。宣言がこの間世界に進歩をもたらしたことは否定すべくもない。とりわけ、人権を擁護する法的仕組みができたことは大きな意味を持ち、これはその後世界に広まり続けている。

しかし、同時に、人権を人類の共通言語にしようという努力に反する危険な傾向もみてとれる。

まず、宣言の普遍性を否定しようという観念的な議論があることだ。宣言は個人をなによりも重視しているが、アジアやアフリカなどの第三世界においては集団や部族の方がより重要だというのである。この見方によれば、個人の権利の擁護は部族の集団的権利を守って初めて可能となる。そうすると、民族的・宗教的・言語的マイノリティ集団の権利を国家が効果的に守れない状況下で、権力の「部族化」や、調和や安全といった観念を部族の存在と関連づけて考える傾向がそうした集団の中から出てくることになる。その意味合いを無視することは誤りだということになろう。

 第二に、人権の普遍性と折り合うことのできない、宗教に関連した脅威が存在する。すなわち、宣言の内容とシャリーア(イスラム法)との間にある矛盾である。特に、女性の基本的権利や改宗の自由、身体刑の利用に関してこうした矛盾があることは明らかだ。より深刻なのは、イスラム教の原理主義的なサラフ主義だ。人権の擁護を、最終的にはイスラム教への新しい十字軍につながる新植民地主義の遺制だとみているのだ。2001年9月11日にニューヨークでテロ攻撃が起こり、その後、イスラム教徒とみればテロリスト(あるいはテロリスト予備軍)だとみなす傾向が強まった。こうした反イスラム的な風潮が西洋に広まることで、右のような感情はより悪化することになる。

人権への第三の脅威は、最近いくらか弱まっているが依然として重要であり、2つの新しい超大国である中国とインドの勢力拡張に伴って強まる可能性があるものだ。それは、いわゆる「アジア例外主義」と呼ばれるものである。これは、1993年6月の世界人権会議の2ヵ月後にバンコクで開かれたアジア太平洋人権会議において支配的だった考え方である。アジア太平洋の40ヵ国以上の代表によって採択されたバンコク宣言は、人権に対するアジア的アプローチを確認したものであり、アジア各国の歴史・文化・宗教といった文脈との関係でみられねばならないものである。

最後に、修正主義的な潮流がある。世界人権宣言はすでに採択から61年を経ており、グローバル化に直面する政府間機構の受けた変化など、これまでに起こってきた前進と進化を織り込んだ上で更新・改定されねばならないという。この潮流は、技術の進化が社会的・経済的・文化的変容をもたらしつづけるにしたがって、より強まっていくことになるだろう。

これらすべての危機は、地球の社会・経済の断裂という、人権の普遍性への最大の挑戦が発生する中で生じている。約20億人が1日あたりたった1~2ドル以下でなんとか生き延びようとしているという事実を想いだすべきだろうか?あるいは、1日あたり3万5000人の子どもが栄養不良で死んでいることを想いだすべきだろうか?途方もない数の男女や子どもが悲劇的に苦しみ、死に至っている。すべての人間が平等であるにもかかわらず、歴史はそれをあざ笑い、私たちの間に経済的・社会的障壁を設けるかのようだ。これはよりいっそう受け入れがたいことではないか。

こうした不正義の感覚が生じること自体、人間の良心が進歩したことの証だ。そして、不平等を認識することからそれを正す行動へと向かうことは、人権というものが普遍的に認められていることによって可能になる面もある。

人権の擁護は、私たちに脅威を与えている一般的な社会の崩壊現象への最善の反応であることは疑いがない。しかし、それは、それ自体を目的とした、他から隔絶された闘いであってはならないと思う。(原文へ
 
翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

*ブトロス・ブトロス・ガリ氏は元国連事務総長、IPS国際評議員。
 

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│マーチン・ルーサー・キング・デー│人種関係に関する省察

【ワシントンIDN=アーネスト・コリア】

米国がマーチン・ルーサー・キング・デーを迎えようとする中、ひとりの重鎮上院議員の人種に関する発言が論争を巻き起こしている。

マーチン・ルーサー・キング・デーは、1986年に始められた。米議会でこの日の新設に関する決議が否決されたこともあったが、歌手のスティービー・ワンダーからの強力なプッシュや600万人の署名の力もあり、ようやく議会が認めたのである。日にちは、1月の第3月曜日と設定された。今年は1月18日である。

ところが、この日を前にして、米上院のハリー・リード院内総務(民主党)が、昨年の大統領選挙のさなか、オバマ候補に関して差別的な発言をしていたことが、『タイム』誌のマーク・ハルペリンと『ニューヨーク』誌のジョン・ハイルマンの新著『ゲーム・チェンジ』のなかで明らかになった。リード氏は、「ニグロ(黒人)なまりがなく」、「浅黒の」アフリカ系アメリカ人であることがオバマ候補の利点だと発言していたのである。

この発言は、オバマ氏の能力よりも人種的な特性だけを問題にしていること、いわゆる「N」ワードを用いている点などからして、きわめて不適切なものであった。

 しかし、オバマ大統領は、リード院内総務からの謝罪があったとして、彼を赦すとのコメントを出した。不思議なことに、リード発言は、[通常は有色人種に対してより非寛容だと見られている]共和党からの強い批判を喚起することになった。それが政治というものだ。

ピュー研究センターの世論調査によれば、「5年前よりも状況がよくなった」と回答した黒人が2007年の20%から39%にまで急増したという。

他方で、黒人に白人と平等の権利を与えるべきだと考える黒人が80%超であったのに対して、白人でそう考えたのはわずか3分の1ほどである。また、アフリカ系アメリカ人とヒスパニックの収入の中央値は2万7800ドル、白人は17万400ドルであった。

キング牧師はかつて、聴衆にこう語りかけた。「過去を振り返ってみると、私は約束の地を夢見てきました。私は皆さんとともにそこにたどり着けないかもしれません。しかし、われわれ人民はその約束の地にたどり着くことができるということ、このことを今夜はぜひ胸に刻んでもらいたい。私は今夜うれしく思います。私には何の心配もありません。私は誰をも怖れません」。彼が暗殺されたのは、この翌日のことであった。

黒人の状況はたしかによくなった。しかし、まだ、乗り越えるべき困難は大きい。

翻訳/サマリー=IPS Japan

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内戦への対処に失敗してきた国連

【国連IPS=タリフ・ディーン】

英国の人権調査団体「グローバル・ウィットネス」は、内戦への国際社会の対応を論じた報告書を発表した。それによれば、この60年間の内戦のうち少なくとも40%が、ダイヤモンドや金、木材、石油、ガス、ココアなどの天然資源をめぐって争われたものか、それらの収入によって経済的に支えられていたものだという。

しかしながら、国連加盟国、とくに安全保障理事会の常任理事国は、自国の国益を優先する立場から、国連による制裁決議などの実行にあまり熱心でなかった。

アフリカの「世界戦争」とも称されるコンゴ民主共和国での内戦はまさにその典型例だ。英国のような国々は、内戦に関与する自国企業の制裁に不熱心であったり、ルワンダのような当該地域の同盟国に制裁を加えることに消極的であった。なぜなら、鉱物資源等の取引によってえる利益は莫大なものだからだ。

 今世紀に入ってからも、安保理は、シエラレオネ、リベリア、コートジボワールなどで起こった資源がらみの内戦を、対処することなく眺めている。

また、2007年1月には、ロシアと中国がビルマ制裁決議に拒否権を発動した。2008年7月には、同じくロシアと中国が、ジンバブエへの武器禁輸や同国のロバート・ムガベ大統領の渡航禁止などの制裁にやはり反対した。米・英・仏も、イスラエルによる人権侵害と戦争犯罪に対してきわめて寛容な態度を取っている。

グローバル・ウィットネスの調査は、国連に対して、資源によって資金を自己調達するような内戦への対処に関してハイレベル調査委員会を設置するよう求めている。

内戦への対処をめぐるNGOの報告書について伝える。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan


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