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|アルゼンチン|Madres de Plaza de Mayo、スラムに住宅の夢を届ける

【ブエノスアイレスIPS=ルシアナ・ペカール】

Madres de Plaza de Mayoのシンボルである白いスカーフのマークが付いた青の作業服を着た男女約300人のスラム住民が自らの新居そして新たな人生の建設を行っている。 

人権擁護団体・Associacion Madres de Plaza de Mayoの活動家は、軍事独裁政権時代(1976-1983)に姿を消した反政府の息子や娘達に何が起こったのかを明らかにしようと30年に亘る活動を続けてきた。 

人権擁護活動で世界的に有名なMadres(母親)は、活動の範囲を広げた。彼らは昨年、アルゼンチンでは「villas miseries」(悲惨な街)として知られるスラムに住宅を建設する活動を開始したのだ。 

10月16日、Ciudad Oculta(隠された街)として知られるブエノスアイレス南ビラ・ルガノにおける第1プロジェクトを、280人のスラム住民と共に立ち上げた。同プロジェクトに参加した280人の労働者の内半数は女性である。 

彼らは、36ユニット、2棟の住宅建設を行っている。3部屋で構成される1ユニットの面積は62平方メートルで、浴室、台所、給湯/集中暖房装置が付いている。

 
建設中の建物は、基本的な衛生も確保されていないスラムの崩れんばかりの住居、泥道の真中に際立っている。 

Mardes de Plaza de Mayoの活動家は1970年代、姿を消した息子や娘の返還を求め、頭に白いスカーフをしてブエノスアイレス市庁舎前の広場で毎週木曜に無言の行進を開始した。住宅建設プロジェクトに参加している男女は、「decent housing」(まともな住宅)というロゴとこの白いスカーフのマークがついた青い作業服を着ている。(人権擁護団体によれば、独裁政権時代には約3万の左派、反政府活動家が拉致されたという。) 

同プロジェクトが採用したのはイタリア企業M2の工法で、塗装鉄骨で強化された構造パネルと波型のポリスチレン材、高速乾燥コンクリートを使用する。世界40カ国強で使用されてきたこの簡易コンクリート工法は経済的な上、夏は涼しく冬は暖かい。 

1棟当りのコストは約200万アルゼンチン・ペソ(65万ドル)で、これはブエノスアイレス市の人権省が負担している。プロジェクト参加者および入居者は、Ciudad Ocultaの住民、特に火災によりホームレスとなりトタンとボール紙の小屋に住むことを余儀なくされた者を主に選ばれた。 

10歳のヤミル、8歳のフェリックス、2歳のケビンの父親フェリックス・マルバエスさん(38)は、1年前の火災で焼き出された住民の1人である。彼は現在プロジェクトの電気工事主任であるだけでなく、将来はこの近代的な住宅のオーナーになる。 

彼はIPSの取材に対し「愛情を込めて建設している。ここでは、搾取されることも無く尊敬されており、人々が私の言うことに従ってくれるのであり難い。火災の日、息子のフェリックスはこれからどこで寝るのだと聞いた。それはこれまでで一番辛い質問だった。しかし今は、息子の質問に答えるために建設を行っている」と語った。 

人権擁護団体の労働方法は、民間企業のそれと明らかに違う。 

Plaza de Mayoのプロジェクト・ディレクターでエンジニアのエンリケ・リアレ氏はIPSの質問に対し、「我々は、長時間労働/低賃金の資本主義論理の下で利益を上げるのではなく、きちんとした住宅を建設し仕事を生み出すことにより小さな革命を起こそうとしているのだ」と語る。 

プロジェクトに参加しているスラム住民は一般に、スラムに暮らす故に仕事を見つけることが困難だ。 

プロジェクト参加者の半数は女性で、彼女達は男性支配の領域である建設の訓練を受けている。 

3人の子供を持つ26歳の母親ジェシカ・レタさんは、如何にして同プロジェクトが新たな可能性を広げるのに役立つかを示す好例である。 

彼女は、住宅建設を手伝いながら、「私の人生の唯一の目的は夫や子供、家庭に仕えることだった」 

「高校は卒業したが、スラムに住んでいるため仕事は見つからず、先に進むことは無理だと分かった時に野心や希望は消えてしまった」と彼女は言う。 

しかし、彼女は今では一日の仕事で疲れて家へ戻っても、新たな技術を学ぶことが出来て幸せだという。彼女は、「電気配線、配管、タイル貼りの訓練があり、失業中の男性隣人が先生」と説明する。 

リアレ氏は、「彼女達の仕事に対する熱意、意思、正確さは見事」と語る。 

同氏はまた、作業服、ヘルメットで仕事に来る母親達が多く、彼女達が働いている間に子供達の面倒を見る新たな保育所の建設が必要になった」指摘する。 

Associacion Madres de Plaza de MayoのHebe de Bonafini会長は、「住宅建設イニシアブは、地区の人々、ホームレス、疎外された人々に対する償いである」と語る。 

Madres de Plaza de Mayoは今年1月22日、ブエノスアイレスVilla Soldatiの別のスラムLos Piletonesでも住宅建設を開始した。 

同プロジェクトの特徴は、ブエノスアイレス市の入札に民間企業と共に参加し、M2 Emmedeue工法による432ユニットの建設契約を獲得したことにある。 

Madres de Plaza de Mayoのプロジェクトは、社会的負荷価値により公共入札に勝利した。同計画には、地域住民のための職業訓練、適切な労働条件の提供と保育所、学校2校、コミュニティー・センター、病院の建設が含まれる。 

この様に、Madres de Plaza de Mayoは、アルゼンチン史の悲劇のシンボルだけでなく将来の希望のシンボルでもある。 

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩 

|ソマリア|対テロ戦争の境界拡大

【ヨハネスブルグIPS=モイイガ・ヌドゥル】

2006年12月28日、エチオピア軍は、ソマリアの暫定連邦政府を支援し、首都モガデシュからイスラム民兵グループを追放した。(ソマリアは、1991年の独裁者シアド・バーレ失脚以来内戦状態にあり、昨年7月にはイスラム系部隊が米国寄りの軍事指導者を打ち負かし、首都を占拠していたもの)

エチオピア軍のイスラム民兵攻撃は10日に及び、その後もケニア国境地帯に潜伏したイスラム兵の追跡を行っている。

米国は、これを対テロ戦争の一環と捉え、同地での空爆を行っているが、専門家は、米国の介入は、8000人の治安部隊派遣を提案しているアフリカ諸国の立場を危うくするものと語っている。南アフリカ・ウィットウォーターズランド大学のデイビッド・モンヤエ講師は、「米国の介入により、ソマリアへ派遣された者は皆、米国の代理人と見られてしまう」と指摘する。

 
ソマリアのアリ・モハメド・ゲディ首相は1月16日、暫定議会において、1月末までに少なくともウガンダ、南アフリカ、ナイジェリア、マラウィ、セネガルの5カ国から部隊が派遣される予定と語った。しかし、1500人の派兵を約束したウガンダを除く4カ国は、1月29~30日にエチオピアで開催されるアフリカ連合(AU)サミットでの決定を待つとしている。

プレトリアを拠とする南アフリカ・アフリカ研究所(Africa Institute of South Africa)のコルワ・アダル氏は、「治安維持部隊は中立を旨とし、米国は、治安活動や和平交渉に参加すべきではない。また、米国の同盟国と看做されているエチオピアやジブチは除外すべきである」と語っている。

エチオピアは、国境を接するイスラム国スーダンおよびソマリアを警戒すると共に、エチオピアのオガデン地域、ジブチの一部、ケニア北部を含んだ統合を主張するイスラム派の「Greater Somalia 」構想の復活を警戒している。
 
翻訳/サマリー=IPS Japan

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平和支援軍投入案に内戦激化の懸念

|インド|癌治療薬独占をもくろむノバルティス社の訴訟に怒り高まる

【バンガロールIPS=ケヤ・アチャルヤ

スイスの巨大製薬会社ノバルティスAGが、インド特許法がWTOに違反し、同社の営業権を制限しているとマドラス高裁に訴えたことに人々の非難が高まっている。 

インド政府はWTO加盟国として、また知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)の署名国として2005年4月、国内法を修正し、製品特許の保護期間を20年に延長、7年間のプロセス特許を破棄した。 

それ以来、修正インド特許法の条項にあるように特許申請の「新規性」あるいは革新的分子構造を否定することができず、多くの重要ジェネリック医薬品、特許失効後の薬品が市場から駆逐されることとなった。

修正特許法を初めて問うものとして、ノバルティス社は白血病治療薬「グリーベック」の特許を申請した。しかし、新規性が不十分としてチェンナイ市南部特許庁から申請を却下された。そこで同社は、チェンナイのマドラス高裁に却下の取り消しを求める訴えを起こした。 

ノバルティス社が、特許性の問題に関する報告書の採択を要請したため、審問は2月15日に延期された。この報告書はインド議会の委託により科学産業研究委員会のマシェルカー前理事長がまとめたもので、「1つ以上の」進歩性を有する薬品に特許を与えることが「国家の利益」にかなうとし、革新的分子構造が見られない製品にも特許を付与することを求めている。 

マシェルカー・レポートは企業の利益に内通するものだとして、幾つかの法律家団体、市民団体は怒りをあらわにした。これら団体は、2004年にノバルティス社が「グリーベック」の販売独占権を獲得して以来、1ヶ月の薬価が175米ドルから2,000ドルに急騰し、インドの2,500万人の白血病患者が即座に影響を受けたと激しく非難している。 

ピープルズ・ヘルス・ムーブメント(PHF)のインド支部(Jan Swasthya Abhiyan)のテルマ・ナラヤン議長はIPSの取材に応じ、「これはインドのあいまい性の実例。ノバルティス社は最近、『企業の社会的責任』が認められて国連から世界的な賞を受けた。しかしノバルティス社がジェネリック医薬品の市場を独占しているために、インドや貧しい国々で何百万人もが治療を受けることができず、亡くなっている。巨大多国籍企業のこのような行状は公にされてしかるべきだと思う」と語った。 

元特許庁技監でグジュラル前首相率いる市民委員会のB.K.ケヤラ氏はIPSの取材に応じ、「マシェルカー・レポートが発明を適切に定義していれば、このような状況には陥らなかった」と語る。ケヤラ氏は特許に関する委員会を4つ立ち上げ、影響力のある人物の参加を仰いだが「重要性を認識する人はいない」と言う。 

昨年は、PHFならびに国境なき医師団(MSF)と共に、少なくとも7つの民間、司法、保健団体がノバルティス社の「グリーベック」特許申請に反対キャンペーンを行った。 

裁判でノバルティス社と闘う癌患者支援協会(Cancer Patients Aid Association)の法律アドバイザーを務める法律家協会(Lawyers’ Collective)は、問題を公にして対象を必須医薬品に広げてきた。それというのも、ノバルティス裁判の判断は白血病のジェネリック医薬品の製造、安価な価格のみならず、他の癌、HIV/AIDS、途上国特有の幾つかの病気にも間接的な影響を及ぼすからだ。 

法律家協会のアーノルド・グローバー弁護士は、インド政府の一見企業よりの姿勢を非難し、西欧とりわけアメリカの貿易利益追求に影響されていると指摘する。「政府の政策は国内の貧困層のニーズを無視し、インドの経済大国としての地位を宣伝する行為だ」 

ケヤラ氏も企業の思惑、とりわけ巨大多国籍医薬品会社の影響を認めながらも、反対運動にはもっと効果的な戦略があったと指摘する。 

「HIVを国家緊急事態と認定させるよう運動する必要がある。その後にジェネリック医薬品を特許の規制枠からはずせばよい」とケヤラ氏は言う。グローバー弁護士によれば、同程度に不可欠な医薬品が幾つもあるが、国の緊急事態の治療薬と定義することはできないと言う。 

インド国内法ならびにWTOドーハ宣言で、公衆衛生の緊急事態にあってはジェネリック医薬品の製造が許可される。 

バンガロールに本部を置く全インド医薬品アクション・ネットワーク(All India Drug Action Network)のナビーン・トマス氏は「付与前異議申立制度により、特許庁で勝利することが大切」と言う。 

医薬品アクション・フォーラムバンガロール州支部のプラカシュ・ラオ博士は「まだ闘い続けることはできる。すべてを失ったわけではない」と言う。 

ノバルティス社の特許申請の影響について人々が抱く不満に対して、インド医師会は際立って口を閉ざしている。インド南西部プーン所在の保健問題合同テーマ審理センター(Centre for Enquiry into Health and Allied themes)アナンス・ファドケ氏は、インドの医師は医学部教育課程で医薬品の歴史と特許について十分学んでいないだけでなく、製薬会社から優遇を受けていると指摘する。 

インド国内に17万8,000人の会員を有するインド医師会(IMA)会長のアジェイ・クマール博士はIPSの取材に応じ、ジェネリック医薬品と特許付与による薬価高騰について「重大なことと感じている」とインド東部のパトナ市から電話取材に応えた。また、「企業が医薬品を独占すると、人口の1%にしか行き渡らない。薬価とインド製薬会社のジェネリック医薬品製造許可について政府に働きかける」と述べた。 

インドにおける次の法廷闘争は、別の医薬品大手多国籍企業が「新薬データ独占権」を組み込むよう、医薬品販売を管理する薬品化粧品法の修正を政府に働きかけていることである。これが通れば、薬品管理局が治験データを使用することができなくなる。 

WHOは2006年3月の速報で「独占権が続く限り、結果的にジェネリック製薬会社は安全性と効能について独自のデータの提出を求められることになり、治験を繰り返すことが必要となる。多くのジェネリック製薬会社は、このような時間をかけることができない」と指摘している。 

デリーの法律家協会が進める適正価格の医薬品および治療キャンペーン(Affordable Medicines and Treatment Campaign)はシン首相に懸念を伝え、データ独占権が公衆衛生の緊急事態における特許強制実施許諾の対処を困難にすること、薬品管理局がジェネリック医薬品の認可作業で、すでに入手した薬品データを利用できなくなる恐れを伝えた。(原文へ) 
 
翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

|米国|摘発で移民家族バラバラ

【ニューヨークIPS=アリッサ・ジアチノ】
 
米移民局は6つの州で不正な身分証明で働く移民の一斉摘発を行い、精肉工場で1000人以上を逮捕してから1週間。残された家族は、いまだに愛する人の消息を求めて躍起になっている。

「逮捕された家族が、どこに行ったか分からない人が多い」とミネソタ州ワージントンで小さな食料品店を営むオリヴィア・フィゲオラはIPSの取材に応えて語った。移民税関執行局(ICEは拘留された者の家族のためにホットラインを設けているが、提供される情報は不正確なことが多いとフィゲオラは言う。

  フィゲオラの夫はワージントン所在のスイフト社の精肉工場で働いている。従業員が逮捕されたために生産ラインが滞っているという。また捜査が入ることを恐れて、出勤してこない従業員もいる。

ICEは12月12日、コロラド、ネブラスカ、テキサス、ユタ、アイオワ、ミネソタの6州でスイフト社の精肉工場を一斉捜査。何千人もの従業員に居住権あるいは市民権の法的書類の提示を求めたために、生産ラインが停止した。ICEによれば、この摘発は「何百人ものアメリカ市民を被害者とする大掛かりな身分証明の窃盗事件」捜査の一環である。

ICEは数時間のうちに、行政上の移民法違反で1282人を逮捕。これまでに144人を身分証明の偽造、違法再入国などの罪で刑事告発した。

今回の強制捜査は、2006年初期に政治問題となりながら、議会で結実しなかった移民法改正の論議を再燃させることとなった。

何百万人もの不法滞在労働者の合法化を擁護する人々と、移民法の厳格な適用を求める人々の間の断絶はこの強制捜査で際立つこととなった。

「連邦政府が暴徒鎮圧用のフル装備でラテン・コミュニティを脅かすというおろかな行為」と言うのはコロラド州グリーリーの支持団体ティノス・ユニドス(Latinos Unidos)のシルヴィア・マルチネス代表。

対極にあるのが不法移民の取り締まり強化を求めるコロラド移民改革同盟(Colorado Alliance for Immigration Reform)のマミク・マクガリー代表代理。強制捜査は連邦政府がやっと重い腰を上げたしるしと評価。
 
 「精肉産業は不法移民に甘い」と批判すると共に、政府機関が強制捜査を行ったことで影響が拡大する可能性も指摘。

「大規模でなくてもよいから、目立つような摘発を常時行うことは、象徴として重要。甘い考えを捨てさせる、帰国を促すといった効果が出ている」と述べた。

全国のスイフト社精肉工場の従業員が加盟する北米合同食品商業労働者組合(United Food and Commercial Workers Union:UFCW)は、ICE に逮捕された組合員のために食料と法的支援を組織。

230人が逮捕されたミネソタ州ワージントンのUFCW代表ダリン・レネルト氏は、組合会館が家族支援のグラウンドゼロになっていると語った。17日にはミネアポリスから7トンの食糧支援が届いたという。

地域社会においても、摘発への賛意も表明する人々がいる。一方、支援行動を起こす人も多いとレネルト氏は言う。
 
 「皆が善人というわけではない。多くの教会から、すばらしい支援を受けている」と語った。

各人の事情が異なるので、連邦判事が全ケースを審査するには何週間もかかるだろう。その一方で、UFCWはICEを公民権と憲法上の権利の侵害で訴えている。

UFCWの広報官ジル・ケイシン氏は「ICEは公民権を尊重せず、組合代表や弁護士との面会を認めていない」と指摘した。

ミネアポリスのジョン・ケラー弁護士はIPSの取材に応じ、「人的被害のトリアージを行っている状態だ」として、逮捕者への接見がかなわず、残された子どもたちが両親といつ再会できるか分からないと語った。

当初、およそ600人がアイオワ州のキャンプ・ドッジに収容され、弁護士が接見する前に別の場所に移送されたとケラー弁護士は語った。

「移送は驚くほど早く、政治的圧力と訴訟でようやく門が開いたときには、60人から90人しか残っていなかった」

ミネソタ州が本部のICEティム・カウンツ報道官は、勾留者の一部は移民担当判事の審判を受ける権利を留保する書類に自主的に署名し、即座に送還されたと語った。

擁護派によると、勾留者は署名前に弁護士に相談することが許されなかった。アイオワ州マーシャルタウンのスイフト社工場では90人が逮捕された。セントメリー教会のヒスパニック教区シスター・クリスティーナによれば、逮捕者は逮捕直後にメキシコに送還された。

「逮捕された人は、誰にも連絡することができなかった。私たちも接見が許されなかった。逮捕が火曜日で、私たちが面接に行って断られたのが水曜日。木曜日には逮捕者本人がメキシコから電話してくるようになった」とインタビューで語った。

コミュニティ活動家のシルヴィア・マルチネス氏は「もっと上手なやり方があったはず。移民の問題を超えて、市民権の問題になっている」と語る。

世界第2の牛豚肉加工業者であるスイフト社は、先週の強制捜査は驚きだとして、政府の行動は会社との合意に反するとするプレスリリースを発表した。スイフト社は減産に追い込まれ、供給元にも消費者にも被害が及んでいる。同社は、長期的に見れば回復可能と語っている。

1997年より、スイフト社は労働者の連邦政府による認可プログラム「ベーシック・パイロット」に参加している。これは雇用しようとする者の氏名と社会保障番号を連邦政府のデータベースで照合する就労許可プログラムである。

ICEのティム・カウンツ報道官は、スイフト社は何の罪も問われていないとする一方、「ベーシック・パイロットは不法移民を1人残らず取り締まる特効薬ではない」と言明した。

「ベーシック・パイロット」は、氏名と社会保障番号が合致するかどうか連邦政府のデータベースで照合するものだが、そのデータベースも絶対確実ではなく、齟齬があったとしても必ずしも違法行為を示すものではない。

拘留者の何人が身分証明偽造の罪に問われるか明らかではない。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan 

|ネパール|前進が見られぬ政府に市民社会が抗議

【カトマンズIPS=マーティ・ローガン】

王制打倒を主導し、現政府の政権奪取を支援した市民社会活動家が、投獄の危険を冒して現政府への抗議を展開している。

1月1日には首相官邸の前で座り込みデモの参加者少なくとも70人が逮捕され、内務大臣が3日、禁止区域での抗議活動には警察が引き続き介入すると警告した。

「ネパールNGO連盟」のアルジュン・カルキ会長は、IPSの取材に応え、政府が暫定憲法をまとめ、元マオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)反政府勢力を含む暫定政府を樹立するまで同連盟は抗議運動を組織し続けると述べている。

6月の憲法制定議会の選挙まで統治に当たる暫定政府の樹立を求めた包括的和平合意(CPA)が11月に政府・主要7政党(SPA)と毛派指導者の間で締結されたものの、和平プロセスは多難を極めている。毛派はまた、全国にある28のキャンプに兵士と武器を置いて管理することになっているが、国連の監視団の到着が遅れ、これも進んでいない。

コイララ首相は、国連の監視が始まるまで元反政府勢力は政権に加わることはできないと主張しているが、「ネパール農村復興」のカルキ会長は、「首相は時間稼ぎをしたいだけ」と言う。

カルキ会長は、「マオイストは都市におり、私たちは彼らが武器を所有していることを知っているが、彼らは首相と連携しており、意思決定プロセスに加わっている。私たちがいつまでも彼らを政府外に置き続けると、平和は脆弱になるばかりである」とIPSの取材に対し述べた。

会長は続けて、「マオイストが加われば、武器などの問題はすべて彼ら自身の問題となり、責任も増す。政府はこの点をわかっていないのか、あるいは内外の勢力からマオイスト排除の圧力を受けているかのいずれかだ」と語った。

各方面から政府への圧力が高まっているネパールの現況を報告する。(原文へ

翻訳/サマリー:IPS Japan浅霧勝浩

IPS関連ヘッドラインサマリー:
|ネパール|見えないところでの闘い
|ネパール|武装解除はまだできないと国連に主張するマオイスト
|ネパール|国連は和平プロセス実現の救世主となるか

米移民法改正に新たなはずみ

【シアトルIPS=ピーター・コンスタンチーニ】

1月4日、第110連邦議会が開会。民主党が両院を支配するなか、移民をめぐる議論で風向きが変化している。

議会開会を前にアリゾナ州の共和党ジョン・マケイン上院議員とマサチューセッツ州民主党エドワード・ケネディ上院議員をはじめとする超党派議員団が、新しい移民法案の策定を開始。不法滞在者が市民権を得るまでの滞在期間の短縮、臨時雇用制度などを策定中である。

 民主党指導部は包括的移民法改正を視野に入れ、最低賃金の引き上げを最初に実行するだろう。

米移民局弁護士協会は、米国土安全保障省傘下の移民税関執行局(ICE)が12月中旬にスイフト社の精肉工場で一斉捜査を行った見せしめ的摘発を批判。低賃金の未熟練労働者の需要は年間50万人であるのに、現行法では毎年5,000人にしか永住ビザを発給していないと指摘した。

IPSは2人の専門家に意見を聞いた。
 
 グアダラハラ大学のデュランド(Jorge Durand)博士は、プリンストン大学と共同でメキシコ移民プロジェクトを実施。過去20年間のメキシコ移民6,000人の追跡調査を行っている。

デュランド博士は、メキシコの労働者は従来アメリカとメキシコを頻繁に往来していたが、国境警備が厳しくなり、不法入国の金銭報酬と危険性が増し、アメリカに入国後は長く留まることになったと指摘。米政府は不法移民にビザを提供するなどの見返りを与えて帰国を促す策を講じたほうがよい。あと20年もすればメキシコ経済も堅調に転じ、人口増加に歯止めがかかって出国者が減少するだろう。アメリカの移民問題の中心は中国、バングラデシュ、アフリカ諸国に変わっていくだろうと述べた。

アメリカ唯一のナショナルセンター、 AFL-CIO (アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)の移民労働者プログラム担当のアヴェンダノ(Ana Avendaňo)氏は、労働者と地域社会に利する「フェアな移民」が必要と指摘。移民には賃金や保障を与えずに働かせるなど、不正なシステムから利益を上げる雇用者を厳格に取り締まるべきだと述べた。

AFL-CIOは、移民に米国人労働者と同一の権利を認めない臨時雇用制度には反対し、他の労組、NGOと協力して議会でロビー活動を行っている。しかし、移民法関係者の意識も足並みが揃っていないという。

議会多数派を民主党が占めるなかで、風向きが変わった移民法改正議論ついて報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan 

関連記事:
|米国|移民改革の期待をくじくフェンス

|中国|歴史の教訓に学ぶ、ただし選択的に

【北京IPS=アントアネタ・ペツロヴァ】

世界の次の超大国になる準備を整えている中国が、歴史の教訓を学ぼうと他の大国の盛衰を検討し始め

た。ただし、省かれている1章がある。中国自身の歴史だ。

中国経済はこの20年にわたる市場改革を通じて急速に成熟し、今や世界4位を占めるまでに至った。しかし一方で、10億人を超す国民に教えられている中国の近代史の多くは訂正されぬまま、依然として共産主義の教義に支配されている。中国の世界における影響力が高まる中、専門家は、検閲された歴史を基盤に国を育てることの影響について深く考え始めている。

「文化大革命」の発生原因とその結末や、3,000万人の命を奪ったと言われている「大躍進運動」中の大飢饉をはじめ、中国の近代史の多くは、検閲されあるいは一般に知らされぬままである。研究者による精査は継続されているものの、彼らの研究の多くは香港や台湾で発表されるに留まり、中にはまったく公表されないものもある。

中国共産党は、政治的失敗を精査されることをおそれ、自国の過去の苦難よりは将来の偉大さについて国民の関心を呼ぼうとするばかりだ。12月中国中央テレビで放映されたドキュメンタリー新番組「諸大国の台頭」もまさにそうした意図であった。

番組は、15世紀の新興ポルトガル帝国から現在世界を支配する米国に至るまで世界の大国9カ国の台頭を検証して、こうした国を成功に導いた要因を明らかにしようという内容だった。中国はこの9カ国に含まれていなかったが、番組は、現在の中国指導者が国民に訴えたいと願っているソフトパワーの重要性を説くものであった。

ドキュメンタリー番組は、中国共産党の中央委員会の委託であったにもかかわらず、歴史の描写からはマルクス主義の視点がまったく排除されており、世界の諸大国がいかにしてソフトパワーを構築したかを重点的に描いている。

従来の中国の歴史本のように帝国の圧政を強調するのではなく、番組はそれら帝国が理念、制度、文化の魅力によって他に影響を及ぼすその力を掘り下げて検討している。

このシリーズ番組のチーフ・プロデューサーRen Xue’anは、中国日報の取材に応えて、「中国が世界に門戸を開く中、私たちは世界についてもっと合理的な理解を身につけることが必要です」と述べている。

ドキュメンタリーは、英国とその産業革命の紹介に当たっては、経済発展における同国の偉大な科学者ニュートンとワットならびに経済学の天才アダム・スミスの貢献に時間を割いている。米国を扱った部分では、台湾との再統一を目指すことを誓っている中国共産党自身の中核理念である国の結束に功績を上げたフランクリン・ルーズベルト大統領に焦点を当てている。

12部構成のドキュメンタリーは高視聴率を上げ、中国中央電視台(CCTV、中央テレビ)で2回連続して放映された後、現在では地方テレビネットワーク各局で放映されている。

「世界の大国の台頭にとって理念や哲学、文化がいかに大切であったかを見ることはすばらしい」とインターネット掲示板に匿名で書き込んだあるネチズンは、「しかしそれら大国が恐ろしい軍事力なしに大国になったと考えるのは間違いだ」と記している。

もうひとりのネチズンは、「従順に知識を深めることがすべてと考える上で儒教の伝統の影響を排除する必要がある。米国や日本の例から明らかなように、技術と科学を全面的に推進することによってのみ、国家は大きな権力を達成することができる」と書いている。

中国の将来の台頭を見据えたこの番組は、国のソフトパワーがいかに重要であり得るか、あるいは経済力ははたして軍事力なしに実現可能なのかどうかについて十分な議論を巻き起こした。ただし真正な歴史の欠如またはその重要性について意見の分かれる問題を提起することはなかった。

中国が最後に自らの自己分析をテレビで放映したのは、18年も前のことになる。1988年に放映された6部構成のテレビシリーズ「黄河哀歌」は、放送後直ちに中国全土にセンセーションを巻き起こし、その結果放送禁止となった。

論議を呼んだこのシリーズは、黄河の緩やかな不変の流れに形作られた中国文明が極度に安定した抑圧的な「封建的」政治文化を生み出したのだと示唆し、西側世界はこれと対照的に、科学と民主主義に教え導かれたものとして描き、そして変革を呼びかけた。

中国共産党の保守派の多くは、「黄河哀歌」放送禁止後の激しい議論が、学生の民主化運動に影響を及ぼし、後に天安門広場でのデモと政治改革の要求にまで至らしめたと考えている。中国共産党長老のひとりWang Zhenは、このドキュメンタリーを「文化的ニヒリズム」と呼び、全面的な西洋化を提唱したとして番組を非難したと言われている。

「諸大国の台頭」は、こうした公認されない領域にまでは踏み出していない。チーフ・プロデューサーRenの言葉を借りれば、ドキュメンタリーは、大国を構成する要素と大国に至った過程とを明らかにする「答探し」にすぎない。

過去の亡霊を追い払い、厄介な過去の説明を試みることは、ドキュメンタリーで推奨されていることではない。有識者は、共産党は依然、過去を問題にすることで古傷を開き、政治改革への要求を再び呼び起こす結果になることをおそれていると見ている。

中国の歴史書におけるナショナリズムを批判する論文を掲載したことで2006年初頭に週刊紙『氷点』の編集長を解任された李大同は、「物事に疑問を呈し始めれば、それがどのようなことに行き着くか誰もわからない。ひとつの疑問が別の疑問を生み、尽きることはない」と述べている。(原文へ

翻訳=IPS Japan

IPS関連ヘッドラインサマリー:
アフリカに友人と影響力を持つ中国
ネパールに逃げ込むチベットの人々

|エジプト|労働者の反乱、功を奏する

【マハラ・エル・コブラIPS=エマド・メカイ】

エジプト北西部にあるアル・マハラ繊維公社の労働者は、会長のボーナス支払い停止決定に抗議し5日間のストを決行した。ムバラク政権の度重なる圧力で弱体化していた労働組合にとって、ストライキは1988年以来初のことである。

労働者は、年額35ドルという小額ボーナスの支払いを停止するのは、世界銀行の民営化提案に従い入札企業の便を図るためだとして、直ちに抗議行動を開始。集会では、数千人の労働者が会長の名前が書かれた棺を担ぎ、会長退陣と役員/業績の調査を要求した。

 いつもは乱暴なエジプト警察も、デモ参加者の数に圧倒されたのか鎮圧行動に出ることなく、政府の介入もなかった。メディアも同事件を大きく取り上げ、反政府スローガンを叫び、棺を担いだ労働者の写真が新聞の一面を飾った。

同デモは、労働活動家/労働者にとって様々な問題を提起するまたとない機会となった。

マハラ工場で働くサイード・アブダラ氏は、「羊毛の屑で汚染された空気で喘息になった。我慢にも限界がある」と抗議。アイマン・タハ氏は、「政府は、ストはイスラム同胞団が指揮していると批判しているが、同胞団メンバーは組合選挙の前に逮捕され誰も残っていない。彼らは自らの行動を省みることなく、何でもイスラム同胞団のせいにする」と語った。

また別の労働者は、「経営側は厳しい労働により肝臓病になった同僚を首にしたが、本来なら保健または年金を給付すべきだ」と指摘。多くの労働者は、劣悪な労働条件、低賃金、管理者と労働者の給与格差に不満の声を上げた。

労働者が一様に批判するのが不正である。彼らは、「管理者は数百万ドルで会社の資産/土地を売却したが、労働者には何の保障もない。経営トップは、正規の手続き無しに親族/友人を経営に参加させている」と批判した。

ストの結果、政府は約束したボーナスの支払いを認めると共に提起された問題への対応を約束した。ある労働者は、最初からデモに参加すれば良かったと残念がっている。

政府に大幅な譲歩を認めさせたエジプト繊維公社のストライキについて報告する。(原文へ

INPS Japan

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|アフガニスタン|タリバン勢力の復活にNATOが苦戦

【カブールIPS=サイード・ザブリ(Pajhwork Afgan News)】

トニー・ブレア英首相は、北大西洋条約機構(NATO)軍によるイスラム原理主義勢力、タリバン掃討作戦の任務は着実に成功へ近づいてきていると主張。しかし、この驚くべき発言は実際のアフガニスタンの現場で実証する必要があるだろう。

ブレア首相はNATO首脳会議が閉幕した29日、ラトビアの首都リガで報道陣に対し「アフガンでのNATOの任務について(現在はまだ大きな成果は見られないが)今後必ず目に見える成果をもたらすだろう」と楽観的見方を示した。

 この記者会見のわずか数時間前、南カブールの道路で反政府勢力による待ち伏せ攻撃を受けたNATO軍兵士2名が負傷。会見ではこの銃撃戦に関する詳細は明らかにされなかったが、最近アフガニスタンの首都カブールやその周辺地域で連合軍の車列を狙った襲撃が多発している。

昨年12月、米軍が(イラクへの派兵増員により)アフガニスタンで活動を展開する4,000人の兵士を撤退させることを発表して以降、多国籍軍・アフガニスタン国軍とタリバンの間での攻撃は激化している。米軍から指揮権を移譲したカナダ・英国・オランダ、さらにNATO主導の国際治安支援部隊ISAF(International Security Assistance Force)は、南部ヘルマンド州やカンダハール州のタリバン拠点地域で戦闘を行っている。

月曜日(27日)、警備の厳しいカンダハール空港でNATO軍車列への自動車による自爆攻撃でカナダ兵2名が死亡した。これによりカナダ人の犠牲者数は今年に入って36人になった。

このような自爆テロ行為が行われたのは、アフガニスタンの30年にわたる紛争でも初めてのことである。今年は102件を超える自爆テロが発生したが、これによる死者のほとんどは民間人であった(このうち外国人兵士の死亡者数は17人)。

木曜日(30日)には、ヘルマンド州でタリバン兵との戦闘中にNATO軍兵士1名が負傷。軍のスポークスマンは1名のISAF兵士が(近接支援機と軍の支援を受けた)軍事行動の際に軽症を負ったことを確認した。

2001年に米国主導の連合軍によりカブールからの撤退を余儀なくされたタリバンは、アフガン政権の奪還と海外からの治安部隊の崩壊を目指して、僅か5年で勢力を回復させた。この戦闘により、今年は約4,000人もの死亡者が出たと見られている(死亡者数の4分の1は戦争による被害を最も多く受けている南部の民間人)。

アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領は、同国全土に3万2,000人もISAF兵士を配備することでテコ入れを図った。主な派遣国の内訳は、米国が1万1,800人、英国が6,000人、ドイツが2,700人、カナダが2,500人、オランダが2,000人、イタリアが1,800人、フランスが975人である。

しかし、(域外活動として初めてとなる)NATOが指揮するアフガニスタンでの軍事任務は、NATO26の加盟国の立場を真っ二つに分けることになった。フランス・スペイン・イタリア・ドイツなどの加盟国はタリバン掃討作戦で自国の兵士を犠牲にすることを拒否した。タリバンによる外国人兵士の犠牲者は今年、英国人兵士36人を含めおよそ100人に上っている。

NATO加盟各国は、アフガニスタンの復興を目指した平和維持活動の役割においてそれぞれが異なる立場をとっている。このため治安の悪化する同国の各地域では復興支援がほとんど進んでいない状況である。この加盟各国が独自に決めた自国部隊の展開地域や行動規範が障害となり、首都カブールではNATOの機能が麻痺している。

この長い戦争を体験するなか、アフガニスタンの人々は同国の治安回復や資金面の援助などの実現に向けた西側諸国の復興支援活動に大きな期待を抱いた。しかし、部隊の配備や航空機の移動範囲の決定をめぐるNATO加盟国の間の論争は、アフガンの人々を落胆させる結果となった。

ジャーナリストで『タリバン~イスラム原理主義の戦士たち~』の著者であるアハメド・ラシッド氏は「カブール周辺の紛争多発地域で暮らす住民のNATOに対するイメージは決して良くない」と述べた。
 
 NATOは今回の首脳会議で、フランス・スペイン・イタリア・ドイツの首脳から、緊急時に限り南部の治安への関与を行うとする僅かな譲歩を得ることができた。しかし、この『緊急時』に関する詳細な定義も未だに不透明なままである。

比較的平和な西部地域を拠点としているスペイン軍がこれまで妥協することはなかったが、今回の会議でホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相は、緊急時における負傷したNATO軍兵士を避難させる手段として同国のヘリを用意することを申し出た(ただし激しい戦闘が続く南部での使用は認めていない)。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、現在アフガニスタンで展開する2,900の強力部隊の要員をさらに増やすことを求めたNATOの要請を拒否した。しかし同首相は、時限的なものとして(情勢の不安定な)南部への支援を確約した。

フランスのジャック・シラク大統領は、アフガン上空に多数の戦闘機やヘリを配備すること、さらに1つの大隊をカブールから派遣させることに同意した。一方イタリアのロマノ・プロディ首相は「兵士を西部から最も治安の悪い南部や西部に移動させるかどうかについては、臨機応変に決断していくつもりだ」と述べた。

アフガンに要員を派遣しているその他の国々も、大幅な増派を表明した。活動規制の緩和については、オランダ・ルーマニアの派遣部隊はすべての規制を解除するものと報じられている。一方、チェコ・デンマーク・ハンガリー・ギリシャも規制を緩める方向で同意している。

NATOは、各国に対して派遣中の部隊への活動制限の緩和と大規模な増員を求めるなかで、今回は僅かではあるが動きが見られたことを高く評価した。

NATO幹部のJaap de Hoof Scheffer氏は「アフガニスタンに駐留する3万2,000人の兵士のうち2万人が戦闘地域・非戦闘地域での軍事行動が可能である」と述べたものの、未だに軍の要求を満たしてはいないことを認めた。アフガンの現状を考えると、ブレア首相の『勝利予測』はあまりにも楽観的過ぎると言わざるを得ない。(この記事はPajhwork Afgan Newsの同意を得て発表されたものである)(原文へ

翻訳=IPS Japan

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「世界と議会」2006年12月号

特集:地方分権のゆくえ

■論文
「第二次地方分権改革に何が問われているのか」

新藤宗幸(千葉大学法経学部教授)

■議員に聞く
逢坂誠二(衆議院議員)

■解説
地方交付税改革

■咢堂政経懇話会
「日本の課題と展望」
片山虎之助(参議院自由民主党幹事長)

■IPS特約
市場取引は森林破壊を防げるか?

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