【キーウ(ウクライナ) IPS=ミハイロ・サヴァ、オレフ・マルティネンコ】
ロシアによるウクライナ侵略戦争は、しばしばドローンやミサイル、変化する前線、領土問題といった観点から語られる。しかし、この戦争にはもう一つの側面がある。それは人間の問題である。|英語版|
現在、9万人を超えるウクライナ人が「特別な事情のもとで行方不明」とされている。これは公式統計に基づく数字である。その一部は現在もロシアに拘束されている。そこには捕虜となった兵士だけでなく、民間人も含まれる。民間人の多くは、自らが暮らしていた地域がロシア軍の占領下に置かれたことで拘束された人々である。
2026年3月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は米メディアAxiosとのインタビューで、ドナルド・トランプ米政権はドンバス全域をロシアに引き渡す以外に戦争を終結させる道はないとみていると語った。
しかし重要なのは、これは単なる領土の問題ではなく、そこに暮らす人々の問題でもあるということだ。そして、占領は決して平和ではない。


「迫害の連鎖」
民間人への恐怖支配は、ロシアがウクライナとの戦争で用いている戦術の一つである。占領当局が定めた規則に従わない者に対する処罰として、拘束と投獄が常態化している。
この仕組みの中核にあるのが、「迫害の連鎖」と呼ぶべきシステムである。このパターンは、すべての占領地域で繰り返されている。
第1段階:標的の特定
地方公務員、教師、ジャーナリスト、ボランティア、さらにはごく普通の住民であっても、わずかでも親ウクライナ的な考えを示せば占領当局の監視対象となる。
時には、偶然聞かれた会話やSNSへの投稿だけで十分である。
ロシアは2014年以降、この手法を用いてきた。まず占領下のクリミアで試し、その後すべての占領地域へと拡大した。
例えば2026年3月、クリミアのアルプカ在住の男性が、メッセージアプリへの投稿を理由に「テロ行為を正当化した」としてロシア治安当局に逮捕された。

第2段階:強制失踪
拘束された人々は公式に登録されない。
その所在は隠されるか、あるいは当局によって否定される。家族は何の情報も得られないまま取り残される。
これは、その後に起こるすべての出来事を家族の管理や監視の及ばないものにするため、意図的に行われている。
第3段階:残虐な扱い
拷問は例外ではなく、組織的に行われている。解放された人々は、殴打や電気ショック、模擬処刑、長期間にわたる食料や水の剥奪について証言している。性的暴力もまた、男女を問わず行われている。
「彼らは人を廊下へ連れ出した。そこには監視カメラがなく、周囲にいるのは皆、彼らの仲間だった。誰一人として止めようとはしなかった。そして彼らは気の済むまで殴り続けた。スタンガンも使った。そこには10人から12人、あるいはそれ以上の人間がいた。彼らはこう言った。『人生を少し味わえただろう。それでもう十分だ。どんなものかは経験したのだから、もう二度と味わうことはできない』と。」
そう語るのは、2022年9月25日、両親の自宅から占領当局によって連行された教師のヴィクトリア・アンドルシャ氏である。
家宅捜索の際、彼女の携帯電話からロシア軍の装備移動に関する通報ボットとのやり取りが見つかった。
ヴィクトリア氏は「スパイ行為」の容疑をかけられ連行された。まず隣村ノヴィ・ビキウのボイラー施設内に設けられた臨時拘束施設に収容され、その後、ロシア・クルスク州の勾留施設へ移送された。
彼女が解放されたのは2023年10月であった。
第4段階:見せかけの裁判
拘束者はしばしば遠方へ移送される。
こうした移送によって地域社会とのつながりは断たれ、所在の把握は困難となり、法的保護を受ける権利もさらに損なわれる。
その後に行われるのが「裁判」である。しかし、それは法的正当性を装った見せかけにすぎない。
民間人は、過激主義やテロリズム、スパイ活動といった捏造された罪で起訴される。
例えば、テレグラム・チャンネル「メリトポリはウクライナだ(Melitopol Is Ukraine)」の管理者ヤナ・スヴォロワ氏は、約2年間にわたる不法拘束の後、2025年10月23日、ロストフ・ナ・ドヌーの南部管区軍事裁判所から一般収容所での14年の刑を言い渡された。
第5段階:収監
人々は監視がほとんど、あるいは全く及ばない拘禁施設のネットワークに収容される。

施設の環境はしばしば非人道的であり、家族との連絡は厳しく制限されるか、完全に禁止される。
多くの人々にとって、この段階は終わりの見えないものとなる。
これを止められなかった場合、世界は何に直面するのか
これらの各段階は、それぞれが人権と国際規範に対する重大な違反である。
しかし、それらが組み合わさることで、さらに深刻なものとなる。すなわち、人道に対する罪が連続的に発生し、互いを補強し合う一つのシステムが形成されるのである。
迫害、不法拘束、強制移送、強制失踪、拷問、性的暴力、投獄――これらは個別に起きている事件ではない。
それらは、統合され、意図的に構築された一つの抑圧システムを構成する要素なのである。
このシステムの目的は、占領地域に対する支配を強化し、恐怖を植え付け、人々に法制度、行政制度、教育制度を通じて押し付けられたルールへの服従を強いることにある。
そのメッセージは明白だ。人々には従順であることが求められている。
実際には、占領統治そのものが犯罪的な支配体制へと変質しつつある。
ここで国際社会は一つの問いを突き付けられる。もしこのような仕組みが何の責任も問われることなく機能し続けることを許せば、それは将来の紛争にどのような前例を残すことになるのだろうか。
「迫害の連鎖」を常態化することは、こうした手法を現代戦争の手段として定着させる危険をはらんでいる。

そして、その支配モデルはウクライナの国境をはるかに越えて広がっていくだろう。
したがって、責任追及の問題はウクライナだけの問題ではない。
課題は複雑だ。しかし、法は明確である。
残されているのは、行動する意思だけだ。
もしその意思が欠如すれば、このような行為は例外ではなく常態となる。
その代償を支払うことになるのは、現在獄中にいる人々だけではない。
国際法そのものの根幹が、その代償を負うことになるのである。
INPS Japan/ IPS UN Bureau Report
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