SDGsGoal4(質の高い教育をみんなに)人類共通のグローバル・フィールド―持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためのゲーム

人類共通のグローバル・フィールド―持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためのゲーム

日々、もう一つのゲームが繰り広げられている。その勝利は一国だけのものではなく、人類全体のものだ。このゲームの目標は、より公正で、健やかで、公平かつ持続可能な社会を築くことである。

メキシコシティーIPS=ギレルモ・アヤラ・アラニス

サッカーは、世界で最も多くの人々に観戦されているスポーツである。35億人を超える人々を魅了する世界最大のスポーツであり、国境や文化、言語の壁を越えて人々を結ぶ共通言語でもある。2026年には、カナダ、メキシコ、米国の北米3カ国でFIFAワールドカップが共同開催され、スタジアムの内外で数百万人の人々を魅了した。|スペイン語版英語版|

サッカーのピッチでは、対戦する二つのチームが、戦略、規律、チームワークを駆使して勝利を目指す。最終的に勝敗を決めるのはスコアである。

しかし、日々繰り広げられているもう一つのゲームがある。そのフィールドは私たちの地球であり、勝利を手にするのは一国ではなく、人類全体だ。このゲームが目指すゴールは、より公正で公平な、人々が健やかに暮らせる持続可能な社会を築くことである。

こうした発想を出発点として、国連メキシコ事務所はメキシコ市政府と協力し、ワールドカップの熱気と持続可能な開発目標(SDGs)を結び付けるイベント「アルデア・グローバル2026」を開催した。

写真:アルデア・グローバル2026 撮影:ギレルモ・アヤラ

会場では、30カ国以上が料理や民族衣装、観光資源、伝統、香りなどを通じて、それぞれの文化を紹介した。さらに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連食糧農業機関(FAO)、国連女性機関(UN Women)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連児童基金(UNICEF)をはじめとする15の国連機関・基金・計画が、会期中に訪れた300万人近い来場者に向けて、さまざまな催しを行った。

これらの催しの中には、SDGsに着想を得たものもあった。その一つが、参加型壁画「未来へのゴール」である。ここでは数千人の来場者が、SDGsへの支持を表すメッセージを書き込んだほか、国連の「フットボール・フォー・ザ・ゴールズ」プログラムの一環として、平和と平等への願いを込めた象徴的なペナルティーキックに挑戦した。

「フットボール・フォー・ザ・ゴールズ」は、サッカーが持つ世界的な影響力を活用し、サッカーに関わる幅広い人々の参加を促すとともに、SDGs達成に向けた協働を広げる取り組みである。

写真:参加型壁画「未来のためのゴール」 撮影:ギレルモ・アヤラ
写真:「未来のためにゴールを決めよう」 撮影:ギレルモ・アヤラ

子どもの人身取引と搾取にレッドカード――SDGs 8・5・16

人身取引の被害者である可能性のある人に気づき、疑わしい状況を通報することは、その人が搾取され続けるのを防ぐことにつながる。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)メキシコ事務所のフェルナンダ・ルイス氏は、人身取引は通報されないケースが多く、その被害は特に子どもや青少年に及んでいると指摘した。

ルイス氏はまた、人身取引との闘いにおいて、市民は誰でも、その防止に向けて声を上げ、行動する担い手になれると強調した。そうした市民一人ひとりの行動は、ジェンダー平等(SDG 5)を促進するとともに、平和と公正が行き渡り、強固な制度が機能する社会(SDG 16)を築くことにもつながる。

写真:UNODCメキシコ事務所のフェルナンダ・ルイス氏 撮影:ギジェルモ・アヤラ

ルイス氏は、メキシコはその地理的条件から、人身取引の送出国であると同時に、通過国、目的国にもなっていると説明した。主な搾取の形態は、性的搾取と強制労働である。

このため、人身取引が疑われる兆候を市民に周知することが、対策の一つとなっている。例えば、本人が自分の身分証明書を管理できない、おびえた様子を見せている、別の人物が本人に代わって意思決定している、あるいは旅行中に通常とは異なる不自然な状況が見られる、といった場合である。

「伝えたいのは、私たちも『ボールを次につなぐ』ことができるということです。市民である私たちには、何が犯罪に当たるのか正確には分からないかもしれません。それでも、不審な状況に気づき、その情報を専門機関につなぐことはできます」とルイス氏は語った。

UNODCの『人身取引に関する世界報告書2024』によれば、確認された被害者の大半を女性と少女が占めている。

沈黙の敵、高血圧――SDG 3

SDGs Goal No. 3
SDGs Goal No. 3

自分の血圧を把握することは、いわば試合開始のホイッスルが鳴る前に勝利を手にするようなものだ。

汎米保健機構(PAHO)は「アルデア・グローバル2026」に参加し、慢性疾患の予防に焦点を当てた取り組みを展開した。

PAHOのコンサルタント、アリエド・ベンコモ氏は、高血圧が心血管疾患や脳血管疾患の主要な危険因子の一つであると説明した。また、「すべての人に健康と福祉を」を掲げるSDG 3は、疾病の早期発症を防ぐことも目指していると指摘した。

来場者の血圧を測りながら、ベンコモ氏は次のように語った。

「高血圧は、自覚症状がほとんどない『沈黙の病気』です。早期に発見できれば、その診断は一つの贈り物といえます。それによって、質の高い生活を送れる年月を自分自身に贈ることができるからです」

リカルド・ペレス・オソリオ氏は、「アルデア・グローバル2026」で行われた血圧測定などの活動は、健康管理と予防に対する意識を高めるうえで重要だと語った。

「私は高血圧なので、自分の状態を確かめたくて測ってもらいました。でも、きちんと管理できていますし、毎日自分で血圧を測っています」

公式データによると、メキシコでは人口の70%が過体重で、国民の3人に1人近くが肥満に該当する。肥満は主に、糖尿病や高血圧を含む心血管疾患、骨や筋肉の障害、特定の種類のがんなどと関連している。

また、大勢の人々が集まる会場とメキシコ市の夏特有の暑さを踏まえ、SDG 3を推進する取り組みでは、水分補給の重要性も繰り返し強調された。

ベンコモ氏は次のように注意を促した。

「熱中症や脱水症状には十分に警戒することが重要です。特に高齢者と5歳未満の子どもには注意が必要です。成人であっても危険があることを、私たちは過小評価しがちです。また、子どもが脱水状態に陥りつつあることに気づかず、見過ごしてしまう場合もあります。子どもの脱水症状は命に関わるおそれがあり、熱中症は死に至ることもあります」

サッカーは多様性への理解も育む

文化交流は、世界を見る視野を広げる機会となった。

メキシコで暮らし始めて3年になるブラジル出身のファビオ・ガルシア氏は、異なる文化に触れることは、特に若い世代にとって有益だと強調した。

「私たちは非常に多様な世界に生きています。他の文化について少しでも多く知ることで、物事をより広い視野から捉えられるようになり、偏見にとらわれにくくなります」

一方、コロンビアのカリから8人の家族とともにメキシコ市を訪れ、スタジアムで母国代表の試合を観戦したラウル・ガジェゴ氏は、イベントに集まったさまざまな国の人々との間に生まれた親しみや一体感を楽しんだ。中でも最も心に残ったのは、人々の温かいもてなしだったという。

写真:ラウル・ガジェゴ氏と息子 撮影:ギジェルモ・アヤラ
写真:ファビオ・ガルシア氏と家族 撮影:ギレルモ・アヤラ

このゲームは、90分を迎えて試合終了のホイッスルが鳴っても終わらない。平等、健康、平和、そして持続可能な開発の実現に向けた一つひとつの行動が、人類全体のスコアを着実に押し上げていく。

「アルデア・グローバル2026」は、サッカーが人権を守り、国際協力を促す架け橋にもなり得ることを示した。

持続可能な開発目標というフィールドに、対戦相手はいない。私たちは皆、同じチームの一員だからだ。そして、私たちが勝ち取るべき唯一の栄冠は、より良い世界の実現なのである。

This article is brought to you by INPS Japan in collaboration with Soka Gakkai International in consultative status with UN ECOSOC.

INPS Japan

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