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|国際人口開発会議|女性・女児の人権を守る道筋を示す

【ナイロビIDN=ジャスタス・ワンザラ】

ケニアの首都ナイロビで11月12日~14日の日程で開催されたナイロビ・サミット(ICPD+25)は、1994年の初の国際人口開発会議(ICPD:カイロ会議)が開催されてから25周年の節目となるもので、女性・女児の人権擁護に向けた大胆な公約が採択されて、幕を閉じた。

世界各地から首脳や学者、人権活動家、宗教者ら6000人以上が集ったこの会議では、パートナーらが、2030年までに、妊婦の死亡をなくし、家族計画に関するニーズを満たし、ジェンダーを基礎とした暴力や女性・女児に対する有害な行為をなくすことを誓った。

国連人口基金がデンマーク、ケニア両政府とともに招集したナイロビ・サミットは、包摂的なプラットフォームを提示し、政府や国連機関、市民社会、民間部門、女性団体や若者のネットワークなど幅広いステークホールダーが参加した。

参加者らは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、女性や女児、若者が自らの体と命をコントロールでき、暴力のない生活を送れない限り難しいと主張した。

国連人口基金のナタリア・カネム事務局長は、「ナイロビ・サミットは、刷新され一層エネルギーを得たビジョンと、行動し成果をもたらす協働コミュニティーの有り様を映し出したものです。」と指摘したうえで、「共に手を携えていけば、今後の10年を、女性と女児のために具体的な行動を起こし結果を生み出せる10年にすることが可能です。」と語った。

サミットではまた、設定された目標を達成するために必要なコストに関する新たなデータも示された。国連人口基金とジョンズ・ホプキンズ大学がビクトリア大学、ワシントン大学、アヴェニール・ヘルスと協力して行った分析によると、これらの目標を達成するために世界が必要とする額は全体で2640億ドルであるという。

カネム事務局長は記者会見で、こうした投資は3つの目標達成に寄与すると語った。①妊娠するか、するとすればいつか、子どもを何人産むかということに関して女性や思春期の少女が決定するための避妊という、未だに満たされていない目標を満たすこと、②予防可能な妊婦の死亡を防いで、リプロダクティブヘルス/ライツ(女性個人やカップルが子どもを、いつ、何人産むかを主体的に選択する権利)の欠如のために女性が命を失わないようにすること、③ジェンダーを基盤とした暴力と、女性器切除、児童の婚姻及び強制的な婚姻を完全になくすこと。

Natalia Kanem/ UN PHOTO/ MARK GARTEN
Natalia Kanem/ UN PHOTO/ MARK GARTEN

カネム事務局長はまた、「2640億ドルを『コスト』とは呼びたくありません。むしろ、人類への投資と捉えるべきです。それは、人類が負担を避けられないコストなのです。」と語った。この額には、ナイロビ公約の達成に向けて、今後数年における新規の投資750万ドルと、イノベーションをもたらす投資、民間部門の活性化が含まれる。

カネム事務局長は、「ICPDは包摂的で、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(LGBT)などの社会の片隅に追いやられたいかなる集団も排除されていない。」と強調した。

今回の会議は、若者や草の根活動家といった社会に無視されてきた集団に対して、いかにしてすべての人々の権利と健康を実現するのかという点に関して国家元首や政策決定者と共に取り組む機会を提供した。

カネム事務局長は、これまでの足跡を振り返りつつ、将来も見据えて、「これからの道のりは長いが、カイロ会議以来25年の間に進歩はみられた。」「妊婦死亡率は世界全体で44%も下がりました。つまり、妊娠や出産時に亡くなっていたかもしれない400万人の女性が、現在生きているということです。」「しかし、前進は十分ではありません。女児や女性、あらゆる人々に対してなされた約束が、果たされなければなりません。」と語った。

拠出金については、様々な国々―たとえば、オーストリア・カナダ・デンマーク・フィンランド・フランス・ドイツ・アイスランド・イタリア・オランダ・ノルウェー・スウェーデン・英国に加え欧州委員会―が10億ドルの拠出を公約した。またフォード財団、ジョンソン&ジョンソン、フィリップス、ワールド・ビジョン等の民間部門も、合計で約80億ドルの支出を約束した。

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は会議で演説して、人口と開発の分野において世界は1994年以来大きく変わりました。」「国家内でも国家間でも不平等は増加し、人口学的には多様性が増しました。一部の国は急速な高齢化を経験しつつあり、また別の国では若者層が史上最大に膨らみつつあります。」と語った。

President Barack Obama and First Lady Michelle Obama greet His Excellency Uhuru Kenyatta, President of the Republic of Kenya, in the Blue Room during a U.S.-Africa Leaders Summit dinner at the White House, Aug. 5, 2014. (Official White House Photo by Amanda Lucidon)

性の人権を損なうような慣行や政策、法をなくすべきと呼びかけたケニヤッタ大統領は、女性・女児に対する最悪の人権侵害であり続けている女性性器切除をなくす必要性を訴えるとともに、「この4月、ケニア・ウガンダ・タンザニア・ソマリア・エチオピア政府間で、女性性器切除の問題に対して共同で対処する画期的な宣言を行いました。」と語った。

ケニヤッタ大統領は、ジェンダー暴力や差別、虐待の被害者を念頭に、この場にいることができない「最も重要な参加者」のことを心に留めるべきだと訴えた。「私が言っているのは、おそらく最も近しい人からのジェンダーに基づく暴力に苦しむ世界のあらゆる場所の女性の5人に1人のことだ。また、妊娠や出産の際に毎日800人の割合で亡くなっている女性のこと、そして女性器切除のトラウマに苦しんでいる400万人の女性のことだ。」と語った。また、「今回参加していないが重要な人々には、18歳を待たずして婚姻させられている、一日あたり3万3000人以上の女児や、将来に展望を持つことのできない数多くの失業した若者も含まれる。」と語った。

デンマークのICPD25特別大使であるイブ・ピーターセン氏は、「この先ICPD50周年会議などというものは開催されないだろう。といのも、世界の女性と女児は自らの権利と選択肢を与えられるのを十分待ったので、もう待ちきれないからだ。」と指摘したうえで、「2030年を見据えて、私たちは今、ナイロビ・サミットでの公約を、責任をもって実行すべき10年に足を踏み込んだのです。」と語った。

Amina J. Mohammed/ UN Photo
Amina J. Mohammed/ UN Photo

「女性と女児こそが自らの身体の真の所有者であるべきだ。」デンマークのラスマス・プレーン開発協力相は、女性・女児へのさらなる支援を呼びかけ、「彼女らは持続可能な開発の中心に立つ存在だ。」と述べた。

国連のアミナ・モハマド副事務総長も同じ見方を示した。「数多くの女性や女児が、約束が果たされるのを待っています。彼女たちはあまりにも長く待ち続けています。」そのうえで事務次長は、「SDGsは、女性や若者が自らの体や命をコントロールでき、暴力のない生活を送ることができなければ、達成できません。」と付け加えた。

ケニア外務省首席秘書官であるカマウ・マチャリア大使は、「途上国として、低開発がもたらす代償、つまり、若すぎる結婚や、望まない妊娠をしたあげく危険な方法で中絶し、母親が命を落とし、孤児が生まれる、また、ジェンダー暴力により家庭が崩壊する等の問題に対処するコストが2640億という膨大な額になっているのです。」

マチャリア大使は、「前進している国々は、自ら資金を動員してグローバル・アジェンダの枠組みの中で独自のプロジェクトを遂行しています。」と述べ、途上国はドナーからの支援を待っているのではなく、自ら資金を動員して問題に取り組むべきだと主張した。(原文へ

INPS Japan

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ナシーム・ニコラス・タレブ氏が定義した「Antifragile」(=大きな衝撃や変化、混乱が起こった時に多大なる利益を上げられる)の概念を使って、グローバリゼーションが進展する今日の国際社会において、「Antifragile」な小さな国や都市が、いかにしてより大きな国々よりも大きな影響力を行使するようになったかを分かりやすく解説した記事。具体的な例として、スイス、ルクセンブルク、ケイマン諸島、或いは大国の中で独自の意思と影響力を持つニューヨークやモスクワ等の事例を挙げている。(原文へ)

INPS Japan

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Reconnecting with Tokyo

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Ramesh Jaura, Editor-in-Chief and Director-General of INPS and its flagship agency IDN-InDepthNews, spent five days (24-29 November 2019) to personally reconnect with long-term media partners in Tokyo, the Soka Gakkai International (SGI).

In warm-hearted meetings with Mr. Hirotsugu Terasaki, SGI Director-General, Peace and Global Issues, and Vice President and Chair of the Peace Committee of Soka Gakkai – with whom the first contact was established in 2009 – Ramesh Jaura was accompanied by Katsuhiro Asagiri, INPS Japan President, Multimedia Director of INPS.

We had equally warm-hearted meetings with Mr. Tamotsu Sugiyama, Vice President, Executive Director, International Office of Public Information, Soka Gakkai and his team headed by Ms. Yoshiko Matsumoto.

An additional highlight was Ramesh Jaura’s presentation on ‘The Role of Media in Contemporary Society’ at the Soka Gakkai World Seikyo Center in Tokyo, with about 100 professional journalists and communication experts in attendance, and another on ‘Disaster Risk Reduction and Climate Change: Turning Ambitious Goals into Action’ at the Soka Gakkai Kanagawa Peace Center in Yokohama to about 100 youth.

Ramesh Jaura wrapped up his weeklong visit by reconnecting with Mr. Keiji Endo, an expert on environmentally sustainable transport initiative known as ‘Green Eco Project’, and INPS Japan board members Mr. Shigekazu Kobayashi, a lawyer, and Mr. Takaaki Ishida, Secretary General of the Ozaki Yukio Memorial Foundation.

Watch the following videos:

Presentation by Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS in Tokyo on 26 November 2019. > https://www.youtube.com/watch?v=abP980QN8d0

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

Presentation by Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS in Yokohama, on 27 November 2019. > https://www.youtube.com/watch?v=Ojo4MTknY-Y&t=302s

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

Since his visit coincided with the Pope Francis’s visit to Japan and the conference on death penalty, IDN-INPS carried an in-depth report and a viewpoint.

Below are the links:
Papal Visit to Japan Revives Debate About Death Penalty
|日本|ローマ教皇の来訪を機会に死刑制度を巡る議論が再燃

and
Defeating Hatred: For a World Without Death Penalty, a viewpoint by Mr. Adama Dieng, the United Nations Under-Secretary-General and Special Adviser of the Secretary-General on the Prevention of Genocide. [IDN-InDepthNews – in December 2019] FBポスト

極度の貧困をなくすには年間780億ドルで十分

「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」というのが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)17目標のうち第1目標となっている。最新のデータによれば、年間当たり、世界全体のGDPの0.1%弱に相当するわずか780億ドルがあれば、極度の貧困は根絶できるという。実際、地球温暖化対策よりも極度の貧困の根絶の方を優先すべきだという議論もあるぐらいだ。とりわけ再生可能エネルギーに焦点を当てたエネルギー問題に年間2.5兆ドルかかるという地球温暖化対策に比べれば、はるかに低額である。

【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】

「(世の中には3種類の嘘がある)嘘、大嘘、そして統計だ」「統計でどんな事実でも捻じ曲げられる」―たしかにこうした言い分にも一片の真実がある。しかし、ある種の統計は必要なものであり、私たちの目を見開かせ、驚きを与えるものでもある。米国の貧困層が置かれている状況について聞かれたならば、多くの人々が、この200年間たいして進歩はなかったと答えるだろう。しかし、現実を直視するには統計やデータを確認すべきだ。

たしかに、今でも多くの人々がスラムやゲットーに住んでいる。しかし今日、彼らには、水道管や暖房システム、電気、天然痘や結核のない生活、適切な栄養状態、幼児・妊婦死亡率の低下、平均余命の倍増、ますます高度化する医療、避妊手段、中等教育、バスや電車・乗用車・自転車、人種的偏見の減少、退職年齢の上昇、購入する商品の質の向上、労働環境の向上、参政権といったものがある。

これらはかつて、富裕層だけが手に入れられる「贅沢品」であった

貧困がそれほど構造化されていない欧州やカナダ、日本でも状況は同じだ。近年では、依然として人口の20%が貧困下にあるラテンアメリカのほとんどの場所でも、同様の状況がある。(戦争前のイラクやシリアを含む)中東もそうだ。中国やインド、パキスタン、スリランカ、東南アジア、北アフリカでは、進展著しい。アフリカはそれほどではないものの、南アフリカ共和国・ナイジェリア・コートジボワール・ガーナ・セネガル・ルワンダ・ガボン・エチオピア・タンザニア・ウガンダ・ケニアなどいくつかの国では状況が改善しつつある。 

President Barack Obama and President Hu Jintao of China watch the United States Army Old Guard Fife and Drum Corps pass on the South Lawn of the White House, Jan. 19, 2011./ By Pete Souza, Public Domain

『ブルジョワの平等』の著者であるディアドラ・マクロスキー氏はこれを「大富裕化」と呼んでいる。

1日2ドル以下の収入で生活する最貧困層もこうした状況の一部を享受しているが、まだそれほどではない。しかし、貧困層は急速に減りつつある。1993年からの20年間で、最貧困層の数は10億人以上減った。1990年から2010年の間に、5歳になるまでに死亡した幼児の割合はほぼ半減した。とりわけ、マンモハン・シン首相時代のインドと、胡錦涛主席時代の中国で、最大の減少がみられる。

『エコノミスト』誌によると、最貧層に属する人々は1日平均1.33ドルで生活している。つまり、極度の貧困を解消するには1日わずか0.57ドルあればいい。世界全体のGDPの0.1%弱に相当する年間わずか780億ドルが必要だということだ。実際、地球温暖化対策よりも極度の貧困の根絶の方を優先すべきだという議論もあるぐらいだ。現在の推計では、とりわけ再生可能エネルギーに焦点を当てたエネルギー問題に関して年間2.5兆ドルが必要であるという。

人々はまさに今苦しんでいる。今後10年か20年後に厳しい影響が顕在化する気候変動問題と比べて、貧困問題はより緊急の課題だと言える。もちろん、どちらも対処すべき課題だ。そのための資源は手の届くところ、つまり、軍事費として確保している。軍事支出を正当化する理由が「防衛」ならば、「防衛」のなかで優先すべきは、最も貧しい人々の命と、地球の防衛ではないか。

通念とは異なり11年前に始まった世界的な金融危機以来、世界はより平等な場所になってきた。ブラジルやインド、中国の成長が、英国で産業革命が始まって以来最大規模の不平等の減少につながっている。

また、世界はより暴力的でない場所になりつつある。冷戦終結以降、戦争はほとんど起こっていない。心理学の世界的権威スティーブン・ピンカー氏が2011年に発表した「暴力の人類史」によると、戦争による死亡率を世界的に見た場合、第二次世界大戦時の10万人当たり300人が、1970年代・80年代には一桁、21世紀には1人以下に減ってきている。

世界の国々の6割は民主主義国家である(1940年には両手で数えられるくらいだった)。民主主義国家間では戦争になりにくい。

国連平和維持活動の件数は爆発的に増え、大成功をもたらしている。バラク・オバマとドナルド・トランプ両大統領の下で、シリアの場合で見せたように、世界の超大国である米国は戦争に対して臆病になってきている。この傾向は戦争からの退却において特にみられる。

殺人率や犯罪率は急激に低下している。貧しい人々は、特に犯罪被害に遭遇しやすい。欧州の殺人率は中世以来35分の1に低下した。1970年代から80年代にかけては、殺人発生率が19世紀末からの減少傾向から反転して一時的な上昇がみられたが、21世紀に入ると75カ国で急激に減少している。暴力的犯罪は、とりわけ先進国では急速に減っている。刑務所への収監が増えたためではなく、警察の戦術が顕著に向上したためである。DNA検査によって、犯罪者の追跡は容易になった。

SDGs Goal No. 1
SDGs Goal No. 1

中絶はより広くみられるようになった。子育てに対応できず、結果として犯罪を染める可能性の高い麻薬中毒者やアルコール中毒者、シングルマザーを親として生まれてくる子どもの数はかなり少なくなった。また、とりわけ大きな要素は、有鉛ガソリンが175カ国で廃止されたことである。鉛は人間の脳に害を与える。鉛によって傷つけられる脳の部分は、人間の攻撃的衝動を抑える部分だ。20世紀の中盤から末期にかけて、乗用車や大型トラックが世界中に広まり、犯罪率は急上昇した。

貧困や環境破壊、不正義、好戦的なレトリック、犯罪への恐怖に依然として取り囲まれている私たちは、つい最悪の事態を想像してしまう。真相を知ろうとしても、災害にフォーカスするメディアはあてにはならない。しかし、統計や事実を直視すれば、また別の物語が浮かび上がってくる。私たちはこれによって、闘い続ける力と希望を得られるのである。世界を、もっとよい場所にすることは可能だ。(原文へ

INPS Japan

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INPS編集長講演「自然災害に備える地域のネットワーク」

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

2019年11月下旬、INPSのラメシュ・ジャウラ編集長が、核廃絶及び持続可能な開発(SDGs)をテーマとしたメディアプロジェクトを推進している創価学会インタナショナル(SGI)の招きで、横浜で「自然災害に備える地域のネットワーク」と題した講演を行った。FBポスト

Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS made a presentation on ‘Disaster Risk Reduction and Climate Change: Turning Ambitious Goals into Action’ at the Soka Gakkai Kanagawa Peace Center in Yokohama to about 100 youth in late November 2019.

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[IDN-InDepthNews – in December 2019]

INPS編集長、東京で講演「現代社会におけるメディアの役割」

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

2019年11月26日、INPSのラメシュ・ジャウラ編集長が、2009年以来核廃絶をテーマとしたメディアプロジェクトを推進している創価学会インタナショナル(SGI)の招きで、東京で「現代社会におけるメディアの役割」と題した講演を行った。FBポスト

‘The Role of Media in Contemporary Society’ was the theme of the presentation by Ramesh Jaura, Director-General & Editor-in-Chief of INPS at the Soka Gakkai World Seikyo Center in Tokyo on 26 November 2019. Speaking to about 100 professional journalists and communication experts, he underlined in particular what distinguishes INPS – the International Press Syndicate Group – and its flagship IDN-InDepthNews from the other media. For example, INPS-IDN offer information based on facts and depth, providing context. Because informed public opinion is vital for peaceful co-existence in communities, nations and the world at large.

Since his visit coincided with the Pope Francis’s visit to Japan and the conference on death penalty, IDN-INPS carried an in-depth report and a viewpoint.

Below are the links:

沖縄を取材(世界に響く平和への想い)

世界政治フォーラムを取材
Papal Visit to Japan Revives Debate About Death Penalty
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武力紛争時における国際人道法の擁護(ルネ・ワドロー世界市民協会会長)

【ジュネーブIDN=レネ・ワドロー】

トルコ軍が「安全地帯(国境沿い東西約600km×幅30~40kmの地域)」と称するシリア東北部に越境侵攻し、とりわけ同軍の支援を得たシリア民兵組織による残虐行為が明らかになる中、国際人道法の尊重という問題が、急速に浮上している。名目上は、あらゆる国の正規軍が、1949年8月12日のジュネーブ諸条約と1977年に採択された同議定書の規則について周知されていることとなっている。

1949年にジュネーブ諸条約が起草・採択された際、戦時捕虜と民間人の保護に関する規則を相当に詳しく書き込むことが可能であった。とりわけ、ジュネーブ共通3条(4本の条約に共通する条文)は「各紛争当事者は、少なくとも次の規定を適用しなければならない:敵対行為に直接に参加しない者は、どのような状況下にあっても、人種、肌の色、宗教若しくは信条、性別、門地若しくは貧富又はその他類似の基準によるいかなる不利益を受けることなく、人道的に待遇しなければならない」と規定している。

Photo: German, French, and Spanish fighters of the People's Protection Units (YPG) in northern Syria call for people to join the Kurdish-Turkish conflict in Turkey. CC BY 3.0
Photo: German, French, and Spanish fighters of the People’s Protection Units (YPG) in northern Syria call for people to join the Kurdish-Turkish conflict in Turkey. CC BY 3.0

共通3条の重要性をおろそかにしてはならない。それは、あらゆる紛争当事者が尊重すべき重要な保護について、明確に規定したものだ。国際人道法は、さらなる保護の必要性を満たすために、国際的な武力紛争だけではなく、内戦をもカバーすべく発展してきた。今日、国際人権基準は国際人道法の一部を成し、女性や子ども、マイノリティといった脆弱な集団に対する更なる保護を提供するものとみなされている。

内戦状況が広がるにつれ、武装集団のような非国家主体による虐待行為がますます懸念されるようになってきている。国際人道法の根本的な標準は、あらゆる場面において人権を効果的に保護できるようなものとして意図されている。その基準は、明白なものだ。

国際人道法の効果については、2つの弱点がある。第一は、国際人道法というものが存在し、その規範に自分たちが拘束されていることを多くの人々が知らないという事実だ。したがって、啓発的な活動や、一般的な教育を通じた情報の拡散、軍人に対する特別訓練、武装集団への働きかけ、広範な非政府組織との協力には大きな役割がある。

第二の弱点は、国際人道法の違反がほとんど罰されることがない、ということだ。各国政府は、こうした違反行為をあまりにも野放しにしている。国際人道法違反のために、一般の裁判あるいは軍事裁判にかけられる軍人はほぼいない。政府に属しない民兵や武装集団に関しては、なおさらそうである。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

実際、国際人道法の違反事例の大半は、軍人や武装集団の構成員個人が、怒りや恐怖、復讐への欲望、あるいは女性をレイプしたいという突発的な性的欲求などの、急な衝動によって起きているのではない。国際人道法の規範を破る軍人や武装集団のそうした行為は、上官の命令で行われているのである。

こうして、唯一確実な対処法は、上官からの命令を拒否し、拷問や医療施設の爆撃、捕虜の射殺、子どもの虐待、女性への暴行を拒絶する良心に基づく行動しかないということになる。良心こそが善悪を識別し正しい行動を促す「内なる声」であり、国際人道法を順守する環境を築き上げる基礎となる価値観である。不公正な命令を拒絶する良心を擁護していくことは、法の支配による国際社会へと向かっていくうえで、困難だが決定的に重要な行動である。(原文へPDF

※国際人道法に関する有益なガイドとして、D・シンドラー、J・トーマン『武力紛争法』(マルティナス・ニジョフ出版社、1988年)、H・マコーブリー、N・D・ホワイト『国際法と武力紛争』(ダートマス出版、1992年)を参照。

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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INPS Japan

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【ニューデリーIDN=マニッシュ・アプレティ、ジャイネンドラ・カーン】

数字を扱うことにはマイナスもあり、他の領域での満足を得ようと考える者が出てくるかもしれない。20世紀で最も影響力のあった詩人(=後のノーベル文学賞作家T.S.エリオット)が、ロンドンの厳格なロイズ銀行の植民地外務部に勤めていた1922年に『荒地』を著したことは不思議ではない。

他に思い付く事例と言えば、ピーター・ボーン氏だ。彼は叩き上げの会計士であり、ウェリングバラ地区選出の保守党国会議員である。2018年11月、(かつての英国の植民地である)インドがどのように国家予算を使うべきかについて明け透けに語り、反発を招いた。ボーン議員の(時代錯誤的な)発言は、有名な格言の一つ「パル・アップデシュ・クシャル・バフテーレ(他者に教えを垂れる前に、自らそれを実践せよ)」を思い起こさせるものだ。

とりわけ途上国の場合、開発領域で大きな難題に立ち向かう上で、利用可能な多くの政策オプションや見解がある中で、より真摯に問題に取り組まざるをえないだろう。資源は有限であり、それを生み出す手段も限定的であるからだ。

2015年、世界の指導者らは、2030年までにより良い世界を目指す17の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」に合意した。貧困を根絶し、不平等と闘い、気候変動の緊急事態に対処し、政府や企業、市民社会、一般市民の参加を促してより良い未来を構築することを目指すものだ。

これは「古いワインに新しいラベルを貼る」の典型に見えるかもしれない。2000年の国連ミレニアムサミットと、国連ミレニアム宣言の採択に続いて、当時の国連加盟191カ国すべてと、少なくとも22の国際機関が、2015年までに国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成することを誓った。各目標には特定の指標とその達成期限が付されていたが、残念ながら目標は達成されなかった。

批評家らはMDGsで選択された目標には十分な分析と正当な理由が欠けており、一部の目標に関しては測定が困難あるいは不在、なかには進展具合が不均衡なものもあると批判した。いずれにせよ、2015年9月25日には、「私たちの世界を変革する:2030持続可能な開発アジェンダ」と題された国連総会決議70/1によって、8つのMDGsが17のSDGsと169のターゲットに生まれ変わった。

しかし、MDGsの経験に学ぶことは、とりわけ開発援助の利用に関して、多くの意味において典型的であった。MDGs実現のために先進国が行った支援のうち半分以上が債務返済支援に回され、残りのほとんどが、開発支援ではなく災害救助と軍事支援に向かった。

人間開発の進展を測るために「脆弱性」と「強靭性」の概念を初めて検討した『人間開発報告書』を国連が2014年に発表した際、国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁は、あらゆる社会がリスクに対して脆弱ではあるが、困難な状況が起こった際に、より少ない害しか受けず、より早く復興に向かう社会があると指摘した。

Human Development Report 2014/ UNDP
Human Development Report 2014/ UNDP

社会で問題になるのは、その経験だ。欧州諸国による植民地化は、アフリカやアジアの社会に対して、拭いがたい影響を残した。その悪影響は現在でも見られ、開発の指標によって測定されうるものである。

SDGsが2015年に発表された際、極度の貧困の撲滅に関する目標1の成功は、アフリカの状況いかんにかかっていると理解された。しかし、国連や世界銀行の最近の予想では、アフリカがこれに成功する見通しはない。

なぜ、史上最高の経済成長を享受しているにも関わらず、アフリカの貧困はこれほどまでに執拗になくならないのだろうか。この点について、歴史的な経験はいかなる役割を果たしうるのだろうか。

世界銀行の報告書によると、アフリカの貧困には3つの主な理由がある。

①アフリカの成長のほとんどの部分が貧困撲滅に向かっていない。低いレベルの資産保有や、公的サービスへのアクセスが限定されているなど、当初からの高いレベルの貧困によって、機会をつかむことができないからだ。

②アフリカの収入増が、農業よりも天然資源に依存する傾向があること。農村開発は農村地帯の貧困層の85%を排除している。

③アフリカの高い出生率と、その結果として起こる高い人口成長率のために、高い経済成長があっても一人あたりの収入増は少なくなる。アフリカに関する議論の中で、米国ではしばしば忘れ去られている論点である。

当初からの高いレベルの貧困と天然資源への依存、農業開発の不在が、欧州による植民地化の歴史とつながっていることは、たやすく見て取れる。

アジアに関しては、1600年には、1990年時点の米ドルと購買力平価で換算したところ、世界のGDPの51.4%を中国とインドが占めていた(中国が29%、インドが22.4%)と、英国の著名な経済史家アンガス・マディソン氏が推計している。

その100年後、中国のGDPは低下したが、インドは世界全体の24.4%まで成長した。しかし、1820年までには、インドの割合は16.1%まで低下する。1870年までにはさらに下がって12.2%になった。

また、著名な経済学者ウトサ・パトナイク氏は、これまでの約200年で、東インド会社と英国領インド帝国が少なくとも9.2兆ポンドをインドから絞り出したと計算した(44.6兆米ドル相当。植民地期のほとんどにおいて、為替レートは1米ドル=4.8ポンド。)

植民地期には、インドの外国為替収入のほとんどはロンドンに直接向かい、インドが機械や技術を輸入して、明治期の日本(=1870年代)と同じような近代化への道をたどることを著しく阻害した。

ハーバード大学で学んだ統計学者でインドの国会議員でもあるサバルマニアン・スワミー博士は、ノーベル賞受賞者のサイモン・クズネッツ氏、ポール・サミュエルソン氏と共同で、英国がインドから強奪した総額は71兆米ドルに上ると推計している。

英国支配(東インド会社英国領インド帝国)の下で、インドでは数えきれないほどの飢饉が発生した。最悪のものはベンガル地方を1770年に襲った飢饉であり、これに、1783年、1866年、1873年、1892年、1897年、最後に1943~44年の飢饉が続いた。それ以前に飢饉が国を襲った際には、現地の為政者らが適切な対応を行い、大きな災害は避けられてきた。他方、ヨーロッパによる植民地化の顕著な特徴は、無謀な経済政策のみならず、現地住民に対する容赦ない態度であった。

Map, “Political Map of the Indian Empire, 1893” from Constable’s Hand Atlas of India, London: Archibald Constable and Sons, 1893. / Public Domain

1770年の飢饉だけでもおよそ1000万人が亡くなったが、これは、第二次世界大戦時のユダヤ人虐殺(ホロコースト)やコンゴでのベルギー国王による虐殺よりも数百万人多い。この飢饉によってベンガルの人口の3分の1が消滅してしまった。米国の歴史家ジョン・フィスク氏は『見たことのない世界』において、「ベンガルの1770年の飢饉は欧州を14世紀に襲った黒死病よりもずっとひどかった。」と書いている。

私達の誰もがこれに懸念を持つべきだが、しかし、何がなしうるだろうか? 世界銀行の最近の報告書『アフリカにおける貧困削減を加速する』では、各国政府や利害関係者に対して従来の方策に関する提案や勧告を行っている。しかし、報告書は、欧州の植民者による被植民地への賠償や、賠償が開発のプロセスを加速し、国連のグローバルな目標を達成する上で果たしうる役割についても、検討すべきであった。

2013年、カリブ海諸国の元首らは「カリブ共同体損害賠償委員会(CRC)」を立ち上げた。大量虐殺や奴隷、奴隷貿易、人種的アパルトヘイトといった「人道に対する罪」の犠牲になった先住民族やアフリカ出身者の子孫に対する賠償責任を果たす必要性を訴えることを任務としている。

CRCは、「人道に対する罪」の犠牲者とその子孫には、過去の不正に対して補償を求める法的権利があり、これらの罪を犯した者や、これらの罪を通じて利益を得た者には、被害者の要求に応じる賠償責任が生じると主張している。

現在、人間開発指標で世界130位に位置し、栄養不良に苦しむ4660万人の子どもをもつインドのような発展途上国が、英国から賠償として71兆米ドルを得ることができたならば……と想像するほかはない。

資金的な注入には、社会において好ましい経済的・開発的プロセスを起動させる能力がある。そのよい例が、1948年のマーシャル・プラン(欧州回復計画)だ。マーシャル・プランの下で、130億米ドル以上が欧州各国経済の回復を支援し、保護主義と自己利益の追求ではなく、開放的な市場と自由貿易を基盤とした政治経済をもつ「新しいヨーロッパ」の建設に寄与した。数多くの成果に結びついた出来事を連鎖的に引き起こす刺激となったのである。しかし、援助は常に、ドナーがその条件を設定するものであった。

したがって、CRCは、すべての元植民地宗主国政府とそれらの国々の関連機関による、植民地化された国々に対する賠償支払いの道徳的・倫理的・法的正当性を確立する素晴らしい前例を作ろうとしているのである。

実際、CRCは、アジアやアフリカ諸国の「貧しい人々のための資源を動員する」としてGDPの割合に対する税金を引き上げる呼びかけを高らかに行ったり、海外にひも付き支援を行ったりといった従来のやり方よりも、はるかに望ましい方策である。

時は2019年11月。ピーター・ボーン議員や、国際機関を含むその他の人々は、現存する歴史的な過ちを正し、貧困を根絶して国連のグローバルな目標を達成するために賠償に主たる役割を与え、より公正で人道的な世界への道を切り開くつもりがあるだろうか。(原文へ

※マニッシュ・アプレティ氏は元外交官。ジャイネンドラ・カーン氏はインド人民党の幹部。

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忘れられた感染症:肺炎が5歳未満児の死因第1位に

【ニューヨークIDN=ショーン・ブキャナン】

肺炎は予防可能な疾病であるにも関わらず、昨年は39秒に一人に相当する80万人以上の5歳未満の子どもが命を落とした。しかし、最新の分析によると、引き続き肺炎対策に割り当てられる資金不足から、子供たちの生存率は改善できていない。

国連児童基金(UNICEF)が、WHO(世界保健機関)および母子疫学推計グループ(MCEE)の中間推定値と2018年の子どもの死亡率推計に関する国連の機関間グループ推定値に基づいて9月に発表した分析報告によると、亡くなった子供の大半が2歳未満であり、約153,000人が生後1か月以内の新生児が命を落としている。

この忘れられた感染症について警鐘を鳴らすため、保健や子どもの専門機関6団体(ISGlobal、セーブ・ザ・チルドレン、ユニセフ、Every Breath Counts、ユニットエイド、GAVI)が、11月12日に、世界規模での行動を呼びかけた。

このグループは、肺炎の蔓延率が高い国々およびドナーによる具体的な行動を求めるため、ラ・カイシャ財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国国際開発庁(USAID)とともに、1月29日から31日にスペインで小児肺炎に関するグローバルフォーラムを開催する。

World pneumonia Day  Logo/ WHO
World pneumonia Day Logo/ WHO

ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務局長は、「毎日、5歳未満の子ども約2,200人が、治癒可能でほとんどが予防可能な肺炎で亡くなっています。この病気と闘うためには、世界規模での積極的な取り組みと投資の増加が不可欠です。子どもたちの元へ、費用対効果の高い保護、予防、治療の支援を届けることによってのみ、何百万人もの命を真に救うことができます。」と語った。

肺炎は細菌やウィルスといった病原菌によって引き起こされる病気で、肺に膿や水分が溜り呼吸困難を引き起こす。

2018年の5歳未満児の死因第1位が肺炎だった。なお、5歳未満の子ども43万7,000人は下痢、27万2000人はマラリアにより命を落としている。

セーブ・ザ・チルドレンのケヴィン・ワトキンス代表は、「これは国際的に緊急の対応を要する世界的に蔓延しながら忘れ去られた感染症です。数百万人もの子供たちが、ワクチンや安価な抗生物質の不足、さらに、酸素吸入治療さえできない環境が原因で命を落としています。肺炎危機は、国際社会がこの疾病を軽視しヘルスケアへのアクセスが弁解の余地がないほど不平等な現実を映し出しています。」と語った。

2018年は、ナイジェリア(16万2000人)、インド(12万7000人)、パキスタン(5万8000人)、コンゴ民主共和国(4万人)、エチオピア(3万2000人)の僅か5か国が、世界で肺炎で亡くなった子供の半数以上を占めていた。

HIV/AIDSなどの感染症や栄養失調で免疫力が低下した子どもや、大気や水が汚染された地域に暮らしている子供は、はるかに大きなリスクに晒されている。しかし、肺炎は、ワクチンによる感染予防が可能だし、感染しても適切な診断を受けられれば安価な抗生物質で容易に治療できる疾病である。

UNICEF
UNICEF

しかし依然として数千万人に及ぶ子供がワクチンを接種できないでいるほか、発症しても3人に1人が最低限の医療さえ受けられないでいる。

2018年、7100万人の子どもが、3回にわたる接種が推奨されている肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)を受けられず、肺炎に感染する高いリスクに晒された。世界全体では、肺炎の疑いがある子どもの32%が、医療施設に連れて行ってもらえていない。中低所得国の場合に限定してみると、この割合は40%に跳ね上がる。

深刻な肺炎を患った子どもには、酸素吸入による治療が必要になることもあるが、最貧国ではそういった設備があるのは稀である。

ワクチンと予防接種のための世界的同盟(GAVI)のセス・バークレー事務局長は、「この予防可能で、治療可能で、診断が容易な病気が、依然として世界の幼児の死因の1位であることは、率直に言って衝撃的です。過去10年間で大きな進歩を遂げ、世界で最も貧しい国々の数百万人もの子どもたちが今、命を救う肺炎球菌ワクチンを接種しています。主にGAVIの支援のおかげで、低所得国における肺炎球菌ワクチンの接種率は世界平均を上回りましたが、すべての子どもがこのワクチンを接種できるようにするためにはさらなる取り組みが必要です。」と語った。

肺炎に対処するために運用できる資金は、他の病気よりもはるかに限られている。5歳未満の子どもの死亡の15%を引き起こす病気にもかかわらず、肺炎対策に割り当てられている感染症研究における世界の支出は僅か3%に留まっている。

SDGs Goal No. 3
SDGs Goal No. 3

Every Breath Countsのリース・グリーンスレード氏は、「数十年にわたって、この忘れられた感染症が子供たちの死因の首位を占めてきました。そして最も脆弱な立場にある子どもたちがその代償を払わされてきたのです。今こそ、各国政府、国連、国際機関、企業、NGOsが力を合わせて肺炎問題に取り組み、こうした子どもたちを助けることが求められています。」と語った。

6団体は共同声明の中で、「最も肺炎の影響を受けている国々の政府は、小児肺炎による死亡を減らすために肺炎を予防・治療する戦略を策定・実施するよう、そして、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の一環として、プライマリ・ヘルスケア(地域保健)へのアクセスを拡大するよう」呼びかけた。

共同声明はまた、「より所得の高い国々、世界のドナー、民間企業の力を借り、主要なワクチンの費用を削減し、GAVIによる予算の補充を確保することで予防接種率を高めるよう、また、肺炎の調査や革新的な取り組みのための資金を増やすよう」呼びかけた。(原文へ

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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