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|キルギス|10代で略奪婚による花嫁となった母親の告白

【ナリンIDN=アクイラ・ハッサンザダ】

マイラム・ビビさんは、「息子には決して父親の真似をしてほしくない。」と語った。「父親」とは、かつて10代の少女だったマイラムさんを誘拐して暴力的な婚姻生活を強いた夫のことである。

現在41歳になるマイラムさんは小さな藁葺屋根の自宅に座って記者に身の上話を聞かせてくれたが、略奪婚を強いられた経験を語れるキルギス女性は少なくない。

彼女が10代だったある朝、登校していると突然古い車が目の前で急停止した。2人の男たちが車から出てきてマイラムさんに向かって突進してきた。彼女は恐怖で立ち竦んだ。マイラムさんは、若い女性が自分が住む街で突然誘拐されて結婚を強いられる風習「アラ・カチュー」について耳にしたことはあったが、この時までまさか自分が「アラ・カチュー」の犠牲者になるとは想像だにしていなかった。マイラムさんは、人助けができるよう、医学系の学校に進学して医者になるのが夢だった。

Map of Kyrgistan
Map of Kyrgistan

2年前、マイラムさんは(今回の取材時と同じく)この藁葺屋根の自宅で、黒いスカーフを被って座っていた。一瞬物思いに耽ったマイラムさんは、2000年の夏のある日のことを考えていた。それは、(略奪婚に遭遇する以前)かつて常に夢見ていた学校を卒業する日のことだ。

しかし突然耳に入ってきた誰かが嘆き悲しむ甲高い声で、マイラムさんは現実に引き戻された。目を開けると、夫の葬儀に伴う会食が行われている最中で、弔問客に囲まれて黒の服と黒のスカーフを纏った自分自身の姿が目に入ってきた。

絶望に打ちひしがれ言葉に詰まったマイラムさんは、自分の人生を台無しにした男が今やこの世を去ったことを実感したのだった。

「私は、17年前に自分を誘拐した男、つまり私の夫が今や心臓発作でなくなったという現実を喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのか、よくわかりません。」とマリアムさんは語った。

マイラムさんは、夫のことを思い出すと苦笑いし、「あの男は何年にもわたって私を虐待してきました。私は子供たちを守りたい一心で我慢するしかありませんでした。彼は建設現場の作業員で、その収入で自分と子供たちの生活を支えてきました。」と語った。

略奪婚「アラ・カチュー」については何年にもわたって警察に被害届が出されているにもかかわらず、キルギスでは未だに一部でこの風習が実践されている。人権問題の研究者らは、「キルギス政府は、略奪婚関連法を十分施行しておらず、高い確率で横行している女性や女児に対する家庭内暴力に対処できていない。」と語っている。

マイラムさんの夫が亡くなった翌年の2018年5月、当時大学生のブルライ・トゥルダーリ・クズさんが略奪婚を目的とする男に誘拐された。犯人は逮捕されたが、彼女が警察署で告訴手続きをしているときに、その犯人によって刺殺されてしまった。この事件を契機に、キルギスの女性たちは、既に非合法のはずの「アラ・カチュー」の問題をソーシャルメディアの各種プラットフォームにアップして国際機関にこの問題をとりあげるよう訴えた。しかし一方で、取材に応じたある匿名希望の女性は、「略奪婚の犠牲者の多くは、誘拐者らによって沈黙を守るよう強制されているか、家族の誇りを守るためとして声を封じられている。」と語った。

人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのヒラリー・マルゴリス研究員は、「キルギス政府は、本来女性や女児らの命を守るべき法律を施行するために最善を尽くしているとは言えない。」と指摘したうえで、「キルギス政府は、女性や女児に対する保護責任を他に転嫁することはできません。今のままでは、法律はあってもその施行を待っている間に、ブルライさんのような女性がこれからも犠牲になっていくことを意味します。」と語った。

キルギス政府の統計によると、2019年の最初の3か月だけでも2000件以上の家庭内暴力が警察に通報されている。

人権擁護団体がラジオ・フリー・ヨーロッパとラジオ・リバティーに述べたところによると、こうした家庭内暴力案件の60%が、キルギスで横行している略奪婚に起因する身体的な暴力を含んでいた。

国連開発計画によると、キルギスでは毎年1000人近い少女らが略奪婚の犠牲になっており、政府は、この非合法化されているはずの慣習を防止する法律の適用や安全対策はなされていない。

国連の女子差別撤廃委員会は、9月に「略奪婚」に関する調査報告書を発表し、その中で「キルギスにおける誘拐、強姦、強制結婚を強いる文化により、女性たちの人権が阻害されている。」と指摘するとともに、キルギス政府に対して、「とりわけ、あらゆる誘拐を防止調査するとともに誘拐罪を罰し犠牲者に賠償金を支払うことで、法律と法執行体制を強化するよう」呼びかけた。

a woman and four men on horseback. May be an example of the tradition of capturing or "kidnapping" a bride./ Public Domain
a woman and four men on horseback. May be an example of the tradition of capturing or “kidnapping” a bride./ Public Domain

「アラ・カチュー」は2013年に違法とされたが、一部のキルギス人は伝統の名のもとに今でも行動に移している。キルギス当局は、この風習が夫婦間レイプやトラウマに発展する暴力行為であると認定している。しかし、一部の地域では「アラ・カチュー」をソ連による支配以前からある伝統と呼び、なかには、略奪婚を実行に移す背景には部族の威信があるとさえ言うものもいる。ナルンで略奪婚を経験したある女性に取材した際、その女性は、「略奪婚は、伝統の名のもとに行われる誇るべき慣行」と語った。

マイラムさんは現在、夫の遺族年金で4人の息子たちを育てている。また政府からは4人の子どもたちへの資金と、必需品の購入と公共料金の支払いを支援する援助を受けている。マイラムさんは、自分自身は略奪婚の犠牲となり誘拐者である「夫」から虐待を受けてきたが、自分の息子たちには教育を施し、より良い生活をさせたいと希望している。

マイラムさんは、一縷の望み託すかのように子供たちを見つめながら、「子供たちには父親の歩んだ道は行かせません。17歳になる長男のクバンは、父親が私にした仕打ちを知っていて、自分は女の子を傷つけたり力づくで迫ったりするようなことはしないと言っています。願わくば、彼には普通の結婚をして幸せな家庭を築くのを見届けたい。」と語った。(原文へ)

INPS Japan

※筆者は、中央アジア大学(キルギス)でメディア研究を専攻する学生。キルギスの特派員としてIDN・インデプスニューズのインターンシップをしている。

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来年の第10回NPT再検討会議に向けて不安高まる(セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮問題担当上級代表、パグウォッシュ会議議長)

【ニューヨークIDN=セルジオ・ドゥアルテ】

10月のニューヨーク、(軍縮を議論する)第74回国連総会第一委員会は波乱の幕開けを迎えた。核不拡散条約2020年再検討会議に向けて、そして、軍縮関連の国連多国間機関での困難を暗示させるものだ。

一部代表団に対するビザの発給拒否を巡る論争のために、委員会の会期が始まってから2週間で、一般討論を終了させ、作業計画を採択することしかできなかった。代表らは激しい非難の応酬に陥り、ある時点では、作業を無期限延期しなくてはならないかに思えた。

妥協的手続き案がようやく見いだされて、議題に関する実際の討議が再開され、通常通りの決議採択へと進んでいったが、決議は繰り返しが多かったり、互いに矛盾を含んでいたりした。

Sergio Duarte
Sergio Duarte

第一委員会の2021年会期を別の場所で行うという前例のない提案が出されたが、圧倒的な差で否決された。多数の棄権(72カ国)は、加盟国の大部分が、2つの超大国の関係悪化を反映した論争から距離を置いたことを示していた。

今年初めには、国連軍縮委員会が同じような事情から通常の会期をもつのではなく非公式に作業を行うことを余儀なくされ、2020年NPT再検討会議の第3回準備委員会会合で厳しいやり取りと対立が見られたことを想起しておかねばならない。一部の主要国間の敵対的な空気が、国際の安全と軍縮問題を扱う二国間・多国間機関の機能不全の固定化と悪化の主たる要因だと言えるかもしれない。

加盟国の間の激しい非難の応酬には、第一委員会とは関係のない問題に関するものも含まれていた。しかし、それに続く実質的議題に関する討論は、核兵器に依存する国々と世界のその他の国々との間のアプローチの違いが相も変わらず明白であることを示した。

軍縮分野における合意の多国間枠組みの将来に対して、全般的な懸念が高まっている。核兵器国の同盟国の一部を含めた多くの加盟国が、崩壊しつつある軍備管理・不拡散体制に関する懸念を表明している。とりわけ、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約や中距離核戦力(INF)全廃条約の失効がそうであり、同じような運命がイランとの包括的共同行動計画や新START条約にも降りかかるかもしれない。これらの加盟国は、規範を基盤とした国際プロセスへの信頼を取り戻す措置をとるよう訴えた。既存の国際法の効果と妥当性に対する疑いが強まれば、合意済みの原則や協議済みの合意が、大国による他を無視した一方的決定に取って変わられる傾向が益々強まる事態を招きかねない。

Trump ending U.S. participation in Iran Nuclear Deal. Credit: White House.
Trump ending U.S. participation in Iran Nuclear Deal. Credit: White House.

第一委員会で、「核戦争には勝者はなく、決して戦われてはならない」とするレーガン=ゴルバチョフ時代の格言を再確認する緊急の呼びかけがなされた。また、一部の国々は、包括的核実験禁止条約(CTBT)発効の必要性を強調するとともに、核兵器禁止(核禁)条約の署名・批准プロセスの進展について言及した。他方、一部の国々は、核禁条約はNPTと矛盾しそれを毀損するものであるとの主張を繰り返して、同条約に対する反対を表明した。

2020年の第10回核不拡散条約再検討会議で全会一致の成果を得ることの重要性も討論で取り上げられた。再検討会議は、国際の平和と安全のための主要な多国間枠組みとして、NPTの目標の再確認を促進する場だと一般には見られている。数人の発言者が、「NPTはまだ約束を果たしていない。」としてきた。

UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri

そのうちの一人は「NPTという文脈の下で核兵器なき世界を目指すという全般的な目標は数十年も達成されていない。」と述べ、また別の一人は「核兵器の完全廃絶というNPTの究極の目的は、核戦力を強化、近代化し、核兵器使用の敷居を下げる計画が発表されるなかで、かすんでしまった。」と語った。

実際、NPT採択以来、49年以上が経ち、9回の再検討会議で成果があがったりあがらなかったりしたことは、NPTがその約束を果たす能力への信頼感が広く欠如していることを示している。こうした状態が長引けば長引くほど、協定としてのNPTに対する疑問符が付されるようになり、それが持つ核不拡散上の利点にも関わらず、核兵器保有国がその核戦力を正当化し、その永久的な保有を正当化する手段だとみなされるようになってきている。一部の側面に関するものだけではなく、あらゆる条項が履行され効果的に尊重されるようにする措置が、緊急に求められている。再検討会議は、この任務を果たすのに適切な場である。

NPTは、冷戦期の米国とソ連との間の緊密な協力の結果として生まれたことを頭に入れて置かねばならない。相互の不信と敵対にも関わらず、核兵器の拡散をできるだけ少数の国にとどめることへの共通の利益が勝ったのである。両国は協議を行い、18カ国軍縮委員会にNPTの草案を提出した。両国は、委員会の共同議長として、草案が通過するよう会議を運営し、採択のために国連総会に送った。両国の継続的なリーダーシップが、NPTの強さと安定のために必要な要素となる。

この関連で、NPT上の5つの核兵器国が、NPTへの信頼性を強化しうる共通の提案を出すことができず、世界全体に影響を及ぼす安全保障問題の多国間での取り扱いを再活性化できてこなかったことは、非常に残念だ。非核兵器国はNPTをあきらめるべきだという望ましくない提案が、こうして一部の学者らから発せられることになる。

NPTは歴史を通じてその強靭さを証明してきた。たしかに、ジョン・F・ケネディ大統領が1961年に恐れたように、NPTの誕生が核兵器の拡散を防いできた唯一の理由とはいえない。しかしながら、核拡散をごく少数の国々に留めてきた点は称賛に値する。条約の採択を勧告した1968年の決議2373の採決にあたって国連加盟国の4分の1が反対あるいは棄権したという事実に現れているように、国際社会の多くの構成国がNPTに対して抱いていた初期の疑いやためらいは徐々に解消し、NPTは軍備管理分野において最も加盟国の多い条約になったのである。1995年には無期限延長という試練を乗り越えたが、今の時点からみてみると、非核兵器国は、条約第10条2項に規定されている25年間の延長という形で外交上のテコを得た方が賢明だったかもしれない。

核軍備管理と軍縮の分野における現在の悲観的な空気が2020年NPT再検討会議にどのような影響を与えるかについて、相当の不安がある。多くの当事者が、2回連続で会議が失敗に終わることの負の影響を案じている。幸いにも、第3回準備委員会会合は、必要な手続き的決定に合意し、次の再検討に向けた実質的な非公式協議が行えることになった。

2020年再検討会議の議長に就任する予定だったラファエル・グロッシ大使が天野之弥・国際原子力機関(IAEA)事務局長の逝去を受けて同職に選出されたため、その代わりを見つけるための協議が行われている最中だ。実質的な問題については、第3回準備委員会会合議長の要約的結論が、前進の基礎として有益なものを提供してくれている。

軍拡競争の再来と、それが宇宙やサイバー空間に広がりつつある現状、それに、新しくより脅迫的な戦争技術開発の見通しは、NPTの多くの加盟国にとって根底的な不安となっている。あらたな運搬手段が探知不能な場所から発射され、核兵器を搭載して、音速の数倍の速さで、わずか数秒で標的に到達するという状況に直面して、防衛システムが突如として機能不全に陥り無力化する状況を想像するのは困難なことではない。

そうしたシナリオにおいては、現在の核抑止ドクトリンの価値は消滅してしまうだろう。皮肉なことに、そうした技術の開発が近い将来、この問題に対する解決策を提供することになるかもしれない。すなわち、完全なる破壊と、攻撃を受けた国で反撃のボタンを押す人間が不在の状況の下で、人工知能が自動的に報復核戦力を発動し、敵と、そしておそらくは世界全体を絶滅させる、というシナリオである。

近代核兵器の巨大な破壊力を考えれば、「相互確証破壊」は「一般的確証破壊」と言い換えられるべきだろう。すなわち、私たちが知っているような人類文明は、地球上から一掃されうる、ということだ。人間の愚かさが、これまた別の人間の愚かさの産物である野放図な気候変動が数十年かけて成しうること(=人類の絶滅)を、わずか数分で成すことになるのだ。

ICAN
ICAN

こうした不吉な現状を反転させるのに、遅すぎることはない。先見の明を持ったリーダーシップ、とりわけ最も多くの核を保有する国からのそれが緊急に求められている。米国とロシアは対話と建設的な協力を再開して、冷戦期ですら可能であった核戦力の大規模な削減に取り組むべきだ。さらなる削減を交渉・合意し、核兵器そのものの廃絶を導くべきだ。他の核兵器国は、手をこまねいて見ているのではなく、世界の安全保障環境の改善に対する責任を果たすべきだ。国際社会全体は、軍縮の公約履行を促進し、現在の行きづまりを打開する解決策を見つけ、多国間の軍縮機関で協議を行うよう、積極的な取り組みを行うべきなのだ。この点で、市民社会と世論からの激励と支援が肝心である。

核軍縮の方向に向けた建設的なイニシアチブが、122カ国が核兵器禁止条約を交渉・採択するという形で2017年にやってきた。国際社会は、同条約とNPTが両立可能かという点に関して不毛な議論に興じるよりも、両者の相補的な側面を強化して、すべての大量破壊兵器のない世界という高い目標の達成に向かわねばならない。

Civil Society Applauds UN nuclear ban treaty adoption 7th July 2017. Credit: Clare Conboy | ICAN.
Civil Society Applauds UN nuclear ban treaty adoption 7th July 2017. Credit: Clare Conboy | ICAN.

すでに述べたように、「核戦争には勝者はなく、決して戦われてはならない」とNPT再検討会議が厳粛に宣言することの重要性が、2019年の国連総会第一委員会でも強調されていた。NPTに盛り込まれた核不拡散、原子力の平和利用、核軍縮という目標へのコミットメントを全ての加盟国が再確認することは、より具体的な合意に向けた望ましい出発点になるだろう。

たとえば、米国とロシアは新STARTの5年延長に合意して、核戦力のさらなる削減に向けたあらたな協議の土台を作ることも可能だ。また、NPT上の5つの核兵器国は、(a)核兵器やその他の戦争手段における技術的手段の凍結を約束する、(b)計画的であれ偶発的なものであれ、核紛争のリスクを減じることを目的としたあらたな信頼醸成措置を交渉し採択することに合意する、(c)既存の提案に関する実質的協議を始めることによって、とりわけジュネーブ軍縮会議などの国連の軍縮諸機関の再活性化を図る、といったことも可能だろう。加えて、NPT再検討会議は、包括的核実験禁止条約(CTBT)発効の重要性を、NPTの目標実現の一部として取り上げることもできる。

NPTは多国間軍備管理枠組みとして重要な位置を占めている。欠陥はあるものの、現在の国際的な岐路にあって必要なものだ。NPTは、拡散を防ぎ、原子力の平和的利用に対するすべての国々の権利を認め、核兵器廃絶の約束を保つことに成功してきた。さらに、NPTは、核軍縮に向けて誠実に努力することを核保有国に法的に義務づけている唯一の法的文書である。すべての加盟国が、再検討会議において、NPTの能力を完全に活かし、核兵器なき世界への道を切り拓くとの国際社会全体の長年にわたる望みを前進させるべく、努力を傾けることが肝要だ。(原文へ)

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※セルジオ・ドゥアルテ氏は、パグウォッシュ会議議長で、元国連軍縮問題上級代表。

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|日本|ローマ教皇の来訪を機会に死刑制度を巡る議論が再燃

【東京IDN=浅霧勝浩】

「いのちなきところ正義なし〜日本の死刑制度の今後について〜」と題した国際シンポジウム」が開かれ、日本政府に対してオリンピックが開催される2020年に一切の死刑執行を停止する呼びかけがなされた。日本は死刑制度を維持している56カ国の一つである。また先進国(=OECD加盟36カ国)の中では死刑制度を維持しているのは米国と日本と韓国のみである。

この国際シンポジウムは、23日から4日間にわたり日本滞在するローマ教皇フランシスコの到着を前に、来訪のテーマである「いかなる状況においてもすべての生命と人間の尊厳を守ることを中心に据える」を支持する意味合いを込めて、22日に開催された。

死刑廃止世界連盟共同設立者で聖エジディオ共同体のマリオ・マラッツィーティ氏は、フランシスコ教皇の訪日が、日本に死刑制度について再考する契機となることを希望すると語った。

Photo: Mario Marazziti, co-founder of the World Coalition Against the Death Penalty in 2002 and Member of the Italian Chamber of Deputies. Credit: Katsuhiro Asagiri | INPS-IDN Multimedia Director.

聖エジディオ共同体は、カトリック教会と現代社会の関係を協議した第二バチカン公会議直後の1968年、当時高校生だったアンドレア・リッカルディ氏とその仲間たちによってローマの高校で設立されたカトリックのコミュニティーである。その後共同体は大きく成長し、現在、70カ国以上にひろがっている。

聖エジディオ共同体は、社会の周辺に追いやられた人々に寄り添い、年齢や生活環境に関わらず、福音に耳を傾け貧しき人々と平和のために自主的で無償の支援を差し伸べる兄弟愛で団結した人々が集っている。

死刑制度に断固反対の立場のマラツィティ氏は、「罪を犯した人の命を奪っても、死がさらに増えるだけであり、新たな犠牲者を生みます。」と語った。「犠牲者の家族はしばしば、死刑が『正義』を施し『苦痛からの癒し』を約束するという『嘘』をつかれているのです。このようなものの見方が、日本人の大半は死刑制度の継続に好意的、という世論調査の結果に反映されています。」

「しかし現実には『恨みを固定し、復讐の時を窺う人生へと人々を置き去りにします。』と、死刑制度廃止に専念するイタリア人ジャーナリストでもあるマラッツィティ氏は語った。

オリンピックが開催される2020年に一切の死刑執行を停止するというマラツイッティ氏の提案は、駐日イタリア大使館、日本の死刑制度の今後を考える議員の会、日本弁護士連合会など幅広い支持を得た。この国際シンポジウムは、生命山シュバイツァー寺、創価学会平和委員会の協力を得て衆議院議員会館で開かれた。

「いのちなきところ正義なし」という国際シンポジウムのテーマは、死刑が確定している袴田巌(83歳)さんと姉の秀子(86歳)さんが参加したことで一層強調されることとなった。袴田氏は、日本で死刑制度に反対する運動の象徴的な存在となっている。

Iwao Hakamada/  Photo credit: Katsuhiro Asagiri| INPS
Iwao Hakamada/ Photo credit: Katsuhiro Asagiri| INPS

死刑囚として収監中にカトリック教徒に改宗した袴田氏は、姉とともにフランシスコ教皇が主宰するミサに参加した。2014年に、静岡地裁は、DNA鑑定により犯人の血液と一致しないとして袴田巌氏を釈放した。しかし昨年、東京高等裁判所はDNA型鑑定を信用できないとして 静岡地裁の決定を取り消した。現在、審議は最高裁に持ち込まれている。

袴田氏の支援者や弁護士らは、同氏は「人質司法」として知られるようになった自白強要を偏重する日本の刑事司法制度の被害者だと述べている。

袴田氏は、一旦は殺人を自白したが、初公判で全面否認に転じた後は一貫して無罪を主張し続けた。公文書によると、袴田氏は弁護士の立ち合いを許されないまま連日10時間以上にわたり警察の尋問、殴打、虐待に晒された。彼は味噌製造会社の上司と妻、2人の子どもが殺害された1966年の事件の犯人として起訴され、1968年に死刑判決を受けた。

AP通信の報道によると、当時袴田氏の死刑判決に関与した裁判官の一人は、後にこの事件について当初から疑念を拭いきれなかったと認めている。警察は証拠として味噌タンクの中で発見された血染めの衣類を提出したが、その味噌タンクは以前に警察が徹底的に捜索していたものだった。

この裁判官は(無実の心証を持ちながら死刑判決文を書いた)罪の意識から自殺未遂を図っている。のちにキリスト教に改宗し、袴田氏と同じ洗礼名パウロに日本人殉教者三木の名を加えたパウロ三木を名乗った。また、プロボクシング協会も(元プロボクサーの)袴田氏を支援する意向を表明している。

「毎晩9時から10時半までイエス・キリストに祈りを捧げ、無罪を訴えています。この祈りの時間、私は苦しみから解放されて自由になれます。神の愛と祝福のお陰で私はここに存在し真実を叫び明日に向かって歩くことができます。」と袴田氏は獄中で記している。

Hideko Hakamada/ Photo credit: Katsuhiro Asagiri| INPS

袴田氏の姉秀子さんは、シンポジウムの参加者らに向かって、「弟はあまりにも長い間、死刑囚として過ごしてきました。今も死刑囚のままです。」「よくぞ元気で出てきたと、私は喜んでいます。でも、拘留時のトラウマから妄想を引き起こす傾向があり、まだ全然まともではありません。」と声を詰まらせながら語った。

国際シンポジウムでは、袴田氏の再審請求などに携わる弁護士らからは、「人権上、国家が国民の命を奪うことは許されるのか。」「一旦死刑が執行されれば、取り返しがつかない。冤罪で処刑された人を生き返らせることはできない。」など、死刑制度への批判が次々と上がった。

日本の死刑制度の今後を考える議員の会会長の河村健夫元官房長官は、「死刑制度が維持されている背景には国民の根強い肯定論があるが、冤罪の可能性から廃止の声も上がっている。改めて国民的議論を喚起する必要がある。」と語った。

この国際シンポジウムが、フランシスコ教皇の訪日の前日に開催されたことは、教皇フランシスコが、昨年、死刑は「許容できない」と述べ、『カトリック教会のカテキズム』中の、死刑に関する記載変更を承認した事実を想起させる狙いがあった。

獄中でカトリックの洗礼を受けた袴田氏はフランシスコ教皇が執り行う東京ドームでのミサに招待され、姉とともに参列した。しかし教皇の謁見は叶わなかった。フランシスコ教皇は、「袴田氏の事件については後ほど知った。」と述べている。

International Symposium
International Symposium

しかしフランシスコ教皇は、東京からバチカンに戻る特別機の中で開いた記者会見で、25日に行った安倍晋三首相との会談で死刑問題についても(多くの議題の一部として)言及したと語った。

Pope Francis in a meeting with President Christina Fernandez de Kirchner of Argentina in the Casa Rosada./ By Casa Rosada (Argentina Presidency of the Nation), CC BY-SA 2.0
Pope Francis in a meeting with President Christina Fernandez de Kirchner of Argentina in the Casa Rosada./ By Casa Rosada (Argentina Presidency of the Nation), CC BY-SA 2.0

共同通信によると、フランシスコ教皇は、死刑問題について「(世界での死刑廃止へ)少しずつ取り組んでいかねばならない。」と述べ、進展には時間がかかるとの見方を示した。

フランシスコ教皇は世界で初めて原爆が投下された広島と長崎も訪問した。この点について、東京からバチカンに戻る特別機の中で開いた記者会見で、「広島での経験は心を動かされた。」と語った。広島では被爆者と言葉を交わし証言に耳を傾けた。そして、カトリックの教えの中で核兵器の使用と保有が倫理に反すると明記することを明らかにした。

NHKワールドの報道によると、フランシスコ教皇はまた、「(個人的な意見だが)完全に安全性が確認されるまでは原子力は利用しない」と語った。(原文へ)PDF

Opening keynote address by Mario Marazziti “No Justice Without Life”/ filmed by Katsuhiro Asagiri

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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Opening keynote address by Mario Marazziti “No Justice Without Life”/ filmed by Katsuhiro Asagiri

この国際シンポジウムは、2019年12月23日から4日間にわたり日本滞在するローマ教皇フランシスコの到着を前に、来訪のテーマである「いかなる状況においてもすべての生命と人間の尊厳を守ることを中心に据える」を支持する意味合いを込めて、22日に開催された。INPS Japan

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【ナイロビIDN=ジャスタス・ワンザラ】

ケニアの首都ナイロビで11月12日~14日の日程で開催されたナイロビ・サミット(ICPD+25)は、1994年の初の国際人口開発会議(ICPD:カイロ会議)が開催されてから25周年の節目となるもので、女性・女児の人権擁護に向けた大胆な公約が採択されて、幕を閉じた。

世界各地から首脳や学者、人権活動家、宗教者ら6000人以上が集ったこの会議では、パートナーらが、2030年までに、妊婦の死亡をなくし、家族計画に関するニーズを満たし、ジェンダーを基礎とした暴力や女性・女児に対する有害な行為をなくすことを誓った。

国連人口基金がデンマーク、ケニア両政府とともに招集したナイロビ・サミットは、包摂的なプラットフォームを提示し、政府や国連機関、市民社会、民間部門、女性団体や若者のネットワークなど幅広いステークホールダーが参加した。

参加者らは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、女性や女児、若者が自らの体と命をコントロールでき、暴力のない生活を送れない限り難しいと主張した。

国連人口基金のナタリア・カネム事務局長は、「ナイロビ・サミットは、刷新され一層エネルギーを得たビジョンと、行動し成果をもたらす協働コミュニティーの有り様を映し出したものです。」と指摘したうえで、「共に手を携えていけば、今後の10年を、女性と女児のために具体的な行動を起こし結果を生み出せる10年にすることが可能です。」と語った。

サミットではまた、設定された目標を達成するために必要なコストに関する新たなデータも示された。国連人口基金とジョンズ・ホプキンズ大学がビクトリア大学、ワシントン大学、アヴェニール・ヘルスと協力して行った分析によると、これらの目標を達成するために世界が必要とする額は全体で2640億ドルであるという。

カネム事務局長は記者会見で、こうした投資は3つの目標達成に寄与すると語った。①妊娠するか、するとすればいつか、子どもを何人産むかということに関して女性や思春期の少女が決定するための避妊という、未だに満たされていない目標を満たすこと、②予防可能な妊婦の死亡を防いで、リプロダクティブヘルス/ライツ(女性個人やカップルが子どもを、いつ、何人産むかを主体的に選択する権利)の欠如のために女性が命を失わないようにすること、③ジェンダーを基盤とした暴力と、女性器切除、児童の婚姻及び強制的な婚姻を完全になくすこと。

Natalia Kanem/ UN PHOTO/ MARK GARTEN
Natalia Kanem/ UN PHOTO/ MARK GARTEN

カネム事務局長はまた、「2640億ドルを『コスト』とは呼びたくありません。むしろ、人類への投資と捉えるべきです。それは、人類が負担を避けられないコストなのです。」と語った。この額には、ナイロビ公約の達成に向けて、今後数年における新規の投資750万ドルと、イノベーションをもたらす投資、民間部門の活性化が含まれる。

カネム事務局長は、「ICPDは包摂的で、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(LGBT)などの社会の片隅に追いやられたいかなる集団も排除されていない。」と強調した。

今回の会議は、若者や草の根活動家といった社会に無視されてきた集団に対して、いかにしてすべての人々の権利と健康を実現するのかという点に関して国家元首や政策決定者と共に取り組む機会を提供した。

カネム事務局長は、これまでの足跡を振り返りつつ、将来も見据えて、「これからの道のりは長いが、カイロ会議以来25年の間に進歩はみられた。」「妊婦死亡率は世界全体で44%も下がりました。つまり、妊娠や出産時に亡くなっていたかもしれない400万人の女性が、現在生きているということです。」「しかし、前進は十分ではありません。女児や女性、あらゆる人々に対してなされた約束が、果たされなければなりません。」と語った。

拠出金については、様々な国々―たとえば、オーストリア・カナダ・デンマーク・フィンランド・フランス・ドイツ・アイスランド・イタリア・オランダ・ノルウェー・スウェーデン・英国に加え欧州委員会―が10億ドルの拠出を公約した。またフォード財団、ジョンソン&ジョンソン、フィリップス、ワールド・ビジョン等の民間部門も、合計で約80億ドルの支出を約束した。

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は会議で演説して、人口と開発の分野において世界は1994年以来大きく変わりました。」「国家内でも国家間でも不平等は増加し、人口学的には多様性が増しました。一部の国は急速な高齢化を経験しつつあり、また別の国では若者層が史上最大に膨らみつつあります。」と語った。

President Barack Obama and First Lady Michelle Obama greet His Excellency Uhuru Kenyatta, President of the Republic of Kenya, in the Blue Room during a U.S.-Africa Leaders Summit dinner at the White House, Aug. 5, 2014. (Official White House Photo by Amanda Lucidon)

性の人権を損なうような慣行や政策、法をなくすべきと呼びかけたケニヤッタ大統領は、女性・女児に対する最悪の人権侵害であり続けている女性性器切除をなくす必要性を訴えるとともに、「この4月、ケニア・ウガンダ・タンザニア・ソマリア・エチオピア政府間で、女性性器切除の問題に対して共同で対処する画期的な宣言を行いました。」と語った。

ケニヤッタ大統領は、ジェンダー暴力や差別、虐待の被害者を念頭に、この場にいることができない「最も重要な参加者」のことを心に留めるべきだと訴えた。「私が言っているのは、おそらく最も近しい人からのジェンダーに基づく暴力に苦しむ世界のあらゆる場所の女性の5人に1人のことだ。また、妊娠や出産の際に毎日800人の割合で亡くなっている女性のこと、そして女性器切除のトラウマに苦しんでいる400万人の女性のことだ。」と語った。また、「今回参加していないが重要な人々には、18歳を待たずして婚姻させられている、一日あたり3万3000人以上の女児や、将来に展望を持つことのできない数多くの失業した若者も含まれる。」と語った。

デンマークのICPD25特別大使であるイブ・ピーターセン氏は、「この先ICPD50周年会議などというものは開催されないだろう。といのも、世界の女性と女児は自らの権利と選択肢を与えられるのを十分待ったので、もう待ちきれないからだ。」と指摘したうえで、「2030年を見据えて、私たちは今、ナイロビ・サミットでの公約を、責任をもって実行すべき10年に足を踏み込んだのです。」と語った。

Amina J. Mohammed/ UN Photo
Amina J. Mohammed/ UN Photo

「女性と女児こそが自らの身体の真の所有者であるべきだ。」デンマークのラスマス・プレーン開発協力相は、女性・女児へのさらなる支援を呼びかけ、「彼女らは持続可能な開発の中心に立つ存在だ。」と述べた。

国連のアミナ・モハマド副事務総長も同じ見方を示した。「数多くの女性や女児が、約束が果たされるのを待っています。彼女たちはあまりにも長く待ち続けています。」そのうえで事務次長は、「SDGsは、女性や若者が自らの体や命をコントロールでき、暴力のない生活を送ることができなければ、達成できません。」と付け加えた。

ケニア外務省首席秘書官であるカマウ・マチャリア大使は、「途上国として、低開発がもたらす代償、つまり、若すぎる結婚や、望まない妊娠をしたあげく危険な方法で中絶し、母親が命を落とし、孤児が生まれる、また、ジェンダー暴力により家庭が崩壊する等の問題に対処するコストが2640億という膨大な額になっているのです。」

マチャリア大使は、「前進している国々は、自ら資金を動員してグローバル・アジェンダの枠組みの中で独自のプロジェクトを遂行しています。」と述べ、途上国はドナーからの支援を待っているのではなく、自ら資金を動員して問題に取り組むべきだと主張した。(原文へ)

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ナシーム・ニコラス・タレブ氏が定義した「Antifragile」(=大きな衝撃や変化、混乱が起こった時に多大なる利益を上げられる)の概念を使って、グローバリゼーションが進展する今日の国際社会において、「Antifragile」な小さな国や都市が、いかにしてより大きな国々よりも大きな影響力を行使するようになったかを分かりやすく解説した記事。具体的な例として、スイス、ルクセンブルク、ケイマン諸島、或いは大国の中で独自の意思と影響力を持つニューヨークやモスクワ等の事例を挙げている。(原文へ)

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Reconnecting with Tokyo

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Ramesh Jaura, Editor-in-Chief and Director-General of INPS and its flagship agency IDN-InDepthNews, spent five days (24-29 November 2019) to personally reconnect with long-term media partners in Tokyo, the Soka Gakkai International (SGI).

In warm-hearted meetings with Mr. Hirotsugu Terasaki, SGI Director-General, Peace and Global Issues, and Vice President and Chair of the Peace Committee of Soka Gakkai – with whom the first contact was established in 2009 – Ramesh Jaura was accompanied by Katsuhiro Asagiri, INPS Japan President, Multimedia Director of INPS.

We had equally warm-hearted meetings with Mr. Tamotsu Sugiyama, Vice President, Executive Director, International Office of Public Information, Soka Gakkai and his team headed by Ms. Yoshiko Matsumoto.

An additional highlight was Ramesh Jaura’s presentation on ‘The Role of Media in Contemporary Society’ at the Soka Gakkai World Seikyo Center in Tokyo, with about 100 professional journalists and communication experts in attendance, and another on ‘Disaster Risk Reduction and Climate Change: Turning Ambitious Goals into Action’ at the Soka Gakkai Kanagawa Peace Center in Yokohama to about 100 youth.

Ramesh Jaura wrapped up his weeklong visit by reconnecting with Mr. Keiji Endo, an expert on environmentally sustainable transport initiative known as ‘Green Eco Project’, and INPS Japan board members Mr. Shigekazu Kobayashi, a lawyer, and Mr. Takaaki Ishida, Secretary General of the Ozaki Yukio Memorial Foundation.

Watch the following videos:

Presentation by Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS in Tokyo on 26 November 2019. > https://www.youtube.com/watch?v=abP980QN8d0

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

Presentation by Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS in Yokohama, on 27 November 2019. > https://www.youtube.com/watch?v=Ojo4MTknY-Y&t=302s

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

Since his visit coincided with the Pope Francis’s visit to Japan and the conference on death penalty, IDN-INPS carried an in-depth report and a viewpoint.

Below are the links:
Papal Visit to Japan Revives Debate About Death Penalty
|日本|ローマ教皇の来訪を機会に死刑制度を巡る議論が再燃

and
Defeating Hatred: For a World Without Death Penalty, a viewpoint by Mr. Adama Dieng, the United Nations Under-Secretary-General and Special Adviser of the Secretary-General on the Prevention of Genocide. [IDN-InDepthNews – in December 2019] FBポスト

極度の貧困をなくすには年間780億ドルで十分

「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」というのが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)17目標のうち第1目標となっている。最新のデータによれば、年間当たり、世界全体のGDPの0.1%弱に相当するわずか780億ドルがあれば、極度の貧困は根絶できるという。実際、地球温暖化対策よりも極度の貧困の根絶の方を優先すべきだという議論もあるぐらいだ。とりわけ再生可能エネルギーに焦点を当てたエネルギー問題に年間2.5兆ドルかかるという地球温暖化対策に比べれば、はるかに低額である。

【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】

「(世の中には3種類の嘘がある)嘘、大嘘、そして統計だ」「統計でどんな事実でも捻じ曲げられる」―たしかにこうした言い分にも一片の真実がある。しかし、ある種の統計は必要なものであり、私たちの目を見開かせ、驚きを与えるものでもある。米国の貧困層が置かれている状況について聞かれたならば、多くの人々が、この200年間たいして進歩はなかったと答えるだろう。しかし、現実を直視するには統計やデータを確認すべきだ。

たしかに、今でも多くの人々がスラムやゲットーに住んでいる。しかし今日、彼らには、水道管や暖房システム、電気、天然痘や結核のない生活、適切な栄養状態、幼児・妊婦死亡率の低下、平均余命の倍増、ますます高度化する医療、避妊手段、中等教育、バスや電車・乗用車・自転車、人種的偏見の減少、退職年齢の上昇、購入する商品の質の向上、労働環境の向上、参政権といったものがある。

これらはかつて、富裕層だけが手に入れられる「贅沢品」であった

貧困がそれほど構造化されていない欧州やカナダ、日本でも状況は同じだ。近年では、依然として人口の20%が貧困下にあるラテンアメリカのほとんどの場所でも、同様の状況がある。(戦争前のイラクやシリアを含む)中東もそうだ。中国やインド、パキスタン、スリランカ、東南アジア、北アフリカでは、進展著しい。アフリカはそれほどではないものの、南アフリカ共和国・ナイジェリア・コートジボワール・ガーナ・セネガル・ルワンダ・ガボン・エチオピア・タンザニア・ウガンダ・ケニアなどいくつかの国では状況が改善しつつある。 

President Barack Obama and President Hu Jintao of China watch the United States Army Old Guard Fife and Drum Corps pass on the South Lawn of the White House, Jan. 19, 2011./ By Pete Souza, Public Domain

『ブルジョワの平等』の著者であるディアドラ・マクロスキー氏はこれを「大富裕化」と呼んでいる。

1日2ドル以下の収入で生活する最貧困層もこうした状況の一部を享受しているが、まだそれほどではない。しかし、貧困層は急速に減りつつある。1993年からの20年間で、最貧困層の数は10億人以上減った。1990年から2010年の間に、5歳になるまでに死亡した幼児の割合はほぼ半減した。とりわけ、マンモハン・シン首相時代のインドと、胡錦涛主席時代の中国で、最大の減少がみられる。

『エコノミスト』誌によると、最貧層に属する人々は1日平均1.33ドルで生活している。つまり、極度の貧困を解消するには1日わずか0.57ドルあればいい。世界全体のGDPの0.1%弱に相当する年間わずか780億ドルが必要だということだ。実際、地球温暖化対策よりも極度の貧困の根絶の方を優先すべきだという議論もあるぐらいだ。現在の推計では、とりわけ再生可能エネルギーに焦点を当てたエネルギー問題に関して年間2.5兆ドルが必要であるという。

人々はまさに今苦しんでいる。今後10年か20年後に厳しい影響が顕在化する気候変動問題と比べて、貧困問題はより緊急の課題だと言える。もちろん、どちらも対処すべき課題だ。そのための資源は手の届くところ、つまり、軍事費として確保している。軍事支出を正当化する理由が「防衛」ならば、「防衛」のなかで優先すべきは、最も貧しい人々の命と、地球の防衛ではないか。

通念とは異なり11年前に始まった世界的な金融危機以来、世界はより平等な場所になってきた。ブラジルやインド、中国の成長が、英国で産業革命が始まって以来最大規模の不平等の減少につながっている。

また、世界はより暴力的でない場所になりつつある。冷戦終結以降、戦争はほとんど起こっていない。心理学の世界的権威スティーブン・ピンカー氏が2011年に発表した「暴力の人類史」によると、戦争による死亡率を世界的に見た場合、第二次世界大戦時の10万人当たり300人が、1970年代・80年代には一桁、21世紀には1人以下に減ってきている。

世界の国々の6割は民主主義国家である(1940年には両手で数えられるくらいだった)。民主主義国家間では戦争になりにくい。

国連平和維持活動の件数は爆発的に増え、大成功をもたらしている。バラク・オバマとドナルド・トランプ両大統領の下で、シリアの場合で見せたように、世界の超大国である米国は戦争に対して臆病になってきている。この傾向は戦争からの退却において特にみられる。

殺人率や犯罪率は急激に低下している。貧しい人々は、特に犯罪被害に遭遇しやすい。欧州の殺人率は中世以来35分の1に低下した。1970年代から80年代にかけては、殺人発生率が19世紀末からの減少傾向から反転して一時的な上昇がみられたが、21世紀に入ると75カ国で急激に減少している。暴力的犯罪は、とりわけ先進国では急速に減っている。刑務所への収監が増えたためではなく、警察の戦術が顕著に向上したためである。DNA検査によって、犯罪者の追跡は容易になった。

SDGs Goal No. 1
SDGs Goal No. 1

中絶はより広くみられるようになった。子育てに対応できず、結果として犯罪を染める可能性の高い麻薬中毒者やアルコール中毒者、シングルマザーを親として生まれてくる子どもの数はかなり少なくなった。また、とりわけ大きな要素は、有鉛ガソリンが175カ国で廃止されたことである。鉛は人間の脳に害を与える。鉛によって傷つけられる脳の部分は、人間の攻撃的衝動を抑える部分だ。20世紀の中盤から末期にかけて、乗用車や大型トラックが世界中に広まり、犯罪率は急上昇した。

貧困や環境破壊、不正義、好戦的なレトリック、犯罪への恐怖に依然として取り囲まれている私たちは、つい最悪の事態を想像してしまう。真相を知ろうとしても、災害にフォーカスするメディアはあてにはならない。しかし、統計や事実を直視すれば、また別の物語が浮かび上がってくる。私たちはこれによって、闘い続ける力と希望を得られるのである。世界を、もっとよい場所にすることは可能だ。(原文へ)

INPS Japan

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INPS編集長講演「自然災害に備える地域のネットワーク」

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

2019年11月下旬、INPSのラメシュ・ジャウラ編集長が、核廃絶及び持続可能な開発(SDGs)をテーマとしたメディアプロジェクトを推進している創価学会インタナショナル(SGI)の招きで、横浜で「自然災害に備える地域のネットワーク」と題した講演を行った。FBポスト

Ramesh Jaura, DG & Editor-in-Chief of INPS made a presentation on ‘Disaster Risk Reduction and Climate Change: Turning Ambitious Goals into Action’ at the Soka Gakkai Kanagawa Peace Center in Yokohama to about 100 youth in late November 2019.

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[IDN-InDepthNews – in December 2019]

INPS編集長、東京で講演「現代社会におけるメディアの役割」

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

2019年11月26日、INPSのラメシュ・ジャウラ編集長が、2009年以来核廃絶をテーマとしたメディアプロジェクトを推進している創価学会インタナショナル(SGI)の招きで、東京で「現代社会におけるメディアの役割」と題した講演を行った。FBポスト

‘The Role of Media in Contemporary Society’ was the theme of the presentation by Ramesh Jaura, Director-General & Editor-in-Chief of INPS at the Soka Gakkai World Seikyo Center in Tokyo on 26 November 2019. Speaking to about 100 professional journalists and communication experts, he underlined in particular what distinguishes INPS – the International Press Syndicate Group – and its flagship IDN-InDepthNews from the other media. For example, INPS-IDN offer information based on facts and depth, providing context. Because informed public opinion is vital for peaceful co-existence in communities, nations and the world at large.

Since his visit coincided with the Pope Francis’s visit to Japan and the conference on death penalty, IDN-INPS carried an in-depth report and a viewpoint.

Below are the links:

沖縄を取材(世界に響く平和への想い)

世界政治フォーラムを取材
Papal Visit to Japan Revives Debate About Death Penalty
|日本|ローマ教皇の来訪を機会に死刑制度を巡る議論が再燃