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|カザフスタン|IAEAの低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンクが運営開始

【ウィーンIDN=ラインハルト・ヤコブセン】

国際原子力機関(IAEA)は、カザフスタンに設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」が運営可能になったと発表した。低濃縮ウラン(LEU)バンクは、ウラン濃縮能力のない国々が安定した核燃料提供を受けられるようにすることで、核不拡散条約が加盟国に認めている「核の平和利用」を保障すると同時に、核不拡散の強化に貢献することを目的としている。

IAEAは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運用可能になったと発表した。IAEAが保有しカザフスタンが管理する同バンクは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運営を開始した。IAEAは1957年の創立以来、最も意欲的かつ挑戦的なプロジェクトが本格的に始動したとしている。

「最初の納入を得て、IAEA低濃縮ウランバンクは開設され運営可能となりました。法律、運営、ロジスティクスの面でこれほど複雑な事業にIAEAが取組むのは初めてのケースとなります。」と、コルネル・フェルータIAEA事務局長代行は語った。

設立経費とその後20年間の運営費については、IAEA加盟国および、米国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、米国、欧州連合(EU)、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、カザフスタンから合計約1億5,000万ドルが拠出されている。さらにカザフスタン政府は、低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンクをホストすることで現物出資を行っている。

「このプロジェクトを実現するために寛大な貢献をしてくれた拠出国・団体と貴重な協力の手を差し伸べてくれたカザフスタン、中国、ロシア政府に感謝したい。」とフェルータ事務局長代理は語った。

NTI Co-Chair and CEO Ernest J. Moniz./Photo by Katshiro Asagiri
NTI Co-Chair and CEO Ernest J. Moniz./Photo by Katshiro Asagiri

「これはIAEAとカザフスタン政府にとって歴史的な偉業であるとともに、LEU備蓄バンクを実現するためにあてられた尽力に感謝したい。」「故天野IAEA事務局長が、彼の功績の主要な部分をなすこのプロジェクトが成就したこの瞬間に一緒にいられないのは残念だ。」とNTIのアーネスト・モニツ共同議長兼CEOは語った。

このプロジェクトを結実されるにはIAEAの活動が網羅する多くの分野において協調した取り組みが必要だった。プロジェクトには以下の内容が含まれる:

・IAEA低濃縮ウランバンクの法的な枠組みについて、カザフスタン政府及び施設の運用主体となるオスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)との交渉。

・IAEAの安全基準及びセキュリティ保障に沿って低濃縮ウラン貯蔵施設を設計及び建設。

・カザフスタン政府と協力して関連の法律や規制の枠組みを強化する作業

・低濃縮ウランの同施設への搬出及び同施設からの搬入について、中国及びロシアと運搬物の国内通過に関する最終合意の締結、また、カザフスタンのKTZ Express JSK社やロシアのTENEX JSC社との運搬契約の締結。

・ IAEAが入手する量としては史上最大規模となる90トンを2社から調達。

今回、オラノ・サイクル社から出荷されたシリンダー32本分のLEU(=典型的な100万kW級軽水炉に装荷される1回分の取替用燃料に十分な量)は、まずフランスの港までトラックで輸送され、その後海路でロシアに到着。そこから列車により、カザフスタン北東部オスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)の特設貯蔵施設に運ばれ、現地でIAEAの専門家らによる検査を受けた。IAEAは今年末までには、カザフの国営原子力企業カザトムプロムから2回目の積荷を受け取ることになっている。

IAEA Director-General Yukiya Amano (left) with Kazakh President Nursultan Nazarbayev with the symbolic key to the IAEA-LEU Bank. Credit: Official Site of the President of the Republic of Kazakhstan
IAEA Director-General Yukiya Amano (left) with Kazakh President Nursultan Nazarbayev with the symbolic key to the IAEA-LEU Bank. Credit: Official Site of the President of the Republic of Kazakhstan

現地で核燃料の引き渡しを監督し関連書類の署名したIAEAのマルタ・フェラーリ氏は、「運搬距離が膨大なことから、LEUを貯蔵施設まで運ぶのに4週間かかりました。これを成し遂げるには、このプロジェクトに参画している多くのパートナー間の調整が必要でした。今回の経験を通じて、実際に加盟国からLEUの提供要請があった場合、今回の運搬ルートを活用できるという自信と貴重な経験を得ることができた。」と語った。

このプロジェクトは今回の低濃縮ウラン搬入をもってようやく運営に漕ぎ着けたが、貯蔵施設そのものは2017年8月に故天野之弥IAEA事務局長(当時)とヌルスルタン・ナザルバエフ大統領(当時)が正式に開設していた。(開会式典をIDN/INPSが取材した映像はこちらへ)

IAEA理事会は2010年12月に、核燃料供給について予測不能で経済的事情とは関係のない問題が発生した場合でも、安定的にLEUを取得できるようIAEA加盟各国に保障を与える最終的なメカニズムとして、IAEA低濃縮ウランバンクの設立を決定した。一般的な軽水炉の燃料製造に適した低濃縮ウランを最大90トン(=大都市の電力を約3年間賄う量に相当)備蓄する予定だ。(IDN/INPSがIAEA低濃縮ウランバンクを取材した映像はこちらへ)

IAEAの承認の下で設置された他の核燃料供給メカニズムとしては、ロシア・アンガルスクの国際ウラン濃縮センターで同国がIAEAの監視下で運営するLEU備蓄や、英国によるLEU濃縮作業の提供保証などがある。

今日世界では約450基の原子炉が稼働しており、世界の電力需要の10%(低炭素発電の3分の1)を供給している。(原文へ)

INPS Japan

Video documentary filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

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【ヌルスルタン(カザフスタン)IDN=浅霧勝浩】

2019年は、ソビエト連邦の主要核実験場であったセミパラチンスクでの核実験に終止符が打たれてから30周年、また、中央アジア非核兵器地帯条約(セメイ条約)の発効より10周年にあたる。さらに、カザフスタンが核実験に反対する国際デー(8月29日)に核兵器禁止条約に批准し、26カ国目の批准国となった年でもある。

カザフスタンは世界から核兵器を廃絶すべく熱心に取り組んできた国として知られている。同国では1949年から40年にわたり、456回の核実験が行われ、150万人以上が健康被害を受けてきたとされている。

Map of Kazakhstan
Map of Kazakhstan

今年はまた、カザフスタンの首都ヌルスルタン市で、「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展(10月2日~13日)のロシア語版が初めて披露された年となった。この展示会は、長崎と並んで原爆が初めて使用された広島で2012年に開催されて以来、これまで20カ国90都市で開催されてきた。カザフスタンは21カ国目の開催国となった。

創価学会インタナショナル(SGI)と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)とカザフスタン共和国初代大統領図書館が共催した展示会は、環境、医療、経済、人権、エネルギー、精神性、ジェンダー、世代間、安全保障等幅広い視点から、核兵器の問題点を浮き彫りにし、一人一人が解決の担い手であるであると訴えている。

開幕式(映像)は10月1日に開催され、初代大統領図書館のアメルハン・ラヒムジャノフ館長、寺崎広嗣SGI平和運動総局長、笠井達彦駐カザフスタン日本大使、カザフスタンの元副首相で大統領府人権委員会のクアニシ・スルタノフ委員長が登壇した。

かつて日本に留学したというラヒムジャノフ館長は、日本語を交えつつ、「『核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択』展がSGIというパートナーのイニシアチブで開催できることは、非常に感慨深い。」としたうえで、「今回の展示は私が現在の任に就いて以来、最大規模の展示会です。初代大統領図書館は、国内外の志を同じくする人々との協力関係を重視しています。今年、私たちはSGIとの友好関係を育んできました。今後、一層協力関係を発展させていきたい。」と語った。

第6回世界伝統宗教指導者会議(2018年10月10日~11日)に出席するため昨年カザフスタンの首都アスタナ(当時の呼称)にSGI訪問団を引率して来訪したことがある寺崎総局長は、今回の開会式に際して池田大作SGI会長のメッセージを代読して、「幾多の試練を乗り越え、貴国が進めてこられた非核化の歩みに最大の敬意を表しますとともに、『核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択』展が、美しき平和の天地の貴国で開催されますことを、私はこの上ない喜びとするものであります。」と語った。

さらに池田SGI会長はメッセージの中で、「核兵器のない世界を求める新たな希望の連帯のうねりは、カザフスタンから大きく広がった。これは、世界中の人々の心に刻まれた平和創出の輝く歴史であります。」と語った。そして世界で初めて、核兵器実験場の閉鎖を断行したカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ初代大統領の言葉を引用して、「カザフスタンの人々にとって、核兵器と放射能は、どこか遠い世界の理論ではない。それは、私たちの土地が40年以上にわたり犠牲となってきた、残酷で、容赦ない悪である。」と語った。

展示会は、国や立場の違いを超えて、遠く離れた地に住む人々を団結させる運動の「重要な部分」であり、「この地球上で核兵器の脅威と非人道性に無縁でいられる場所などない」というメッセージを力強く発信するものとなった。

First showing of exhibition created by SGI and ICAN in Central Asia. Photo credit: The Seikyo Shimbun.
First showing of exhibition created by SGI and ICAN in Central Asia. Photo credit: The Seikyo Shimbun.

池田SGI会長のメッセージを代読した寺崎総局長は、「真に対峙すべきは、『核兵器を容認する思想』、すなわち、自国の優位や安全のために、他国の多くの民衆を犠牲にすることを厭わないばかりか、人類の生存基盤を破壊することも辞さないという、究極の生命軽視の思想である。」と語った。そして、「正義感を失うな。たゆまず善をなせ。」というカザフスタンの国民詩人アバイ・クナンバエフの魂の叫びを想起しつつ、「私どもSGIは、今後も、尊敬するカザフスタンの皆さま方と力を合わせ、核兵器のない平和と共生の地球社会を目指し、さらに邁進しゆくことを固くお誓いするものであります。」と語った。

駐カザフスタン日本大使の笠井達彦氏は、長崎で被爆した祖母の経験を紹介しつつ、「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展開催の尽力を讃えた。

Mr. Hirotsugu Terasaki, called on Kazakh Foreign Minister Mukhtar Tleuberdi at Ministry of Foreign Affairs on Oct 2, 2019. photo by Seikyo Shimbun
Mr. Hirotsugu Terasaki, called on Kazakh Foreign Minister Mukhtar Tleuberdi at Ministry of Foreign Affairs on Oct 2, 2019. photo by Seikyo Shimbun

カザフスタンの元副首相で大統領府人権委員会のクアニシ・スルタノフ委員長は、同国の反核市民運動の歴史に触れながら、「人々の連帯は核兵器よりも強い」と力説するとともに、人類の英知は必ず核の脅威打開への道を見つけると確信していると語った。

10月2日、寺崎総局長を団長とするSGI訪問団はムフタール・ティレウベルディ外務大臣を表敬した。ティレウベルディ外相は、昨年10月の第6回世界伝統宗教指導者会議への出席に続くSGI訪問団の来訪を歓迎した。また、同国で開幕した「核兵器なき世界への連帯」展に触れ、核軍縮の取組みでカザフスタンは日本との協力関係を重視していると語った。

10月3日、SGI訪問団は2007年までセミパラチンスクの名称で知られたセメイ市に空路で向かい、かつてセミパラチンスク核実験場の運営を担ったクルチャトフの国立原子力センターに移動した。そこから、1949年にソ連が初の核実験を実施したポリゴンと呼ばれる旧核実験場の爆心地を訪問した後、同センター内の博物館を見学した。

翌日、SGI訪問団はセメイ市医科大学解剖学博物館を訪問した。この施設には近隣のセミパラチンスク核実験場からの放射性降下物がこの地域や住民の健康にもたらした計り知れない影響について知ることができる資料が展示されている。

カザフスタンのナザルバエフ初代大統領が1991年に核実験場を閉鎖する前に、ソ連当局が核実験関連のあらゆる医療データを持ち去ったため、出生異常や癌等の症例と核実験の直接的な関連性を断定することはできない。しかし旧核実験場周辺地域における症例は他の地域よりも圧倒的に多い。

SGI delegation 3km from the ground zero at Semipalatinsk former Nuclear test site. Photo credit: Katsuhiro Asagiri | IDN-INPS

SGI訪問団はまた、セメイ市内の核医療癌センターやボルコヴニチー島の平和公園内にある記念碑「(母の愛は)死よりも強し」を訪問した。これは核実験の犠牲者を悼む記念碑で、きのこ雲の形にくり抜かれた碑の上部にある星形の球体(核爆発の模様を表現)から、身を挺して我が子を守ろうとする母親像が彫られている。(映像はこちらへ)

これに先立ち、SGI訪問団は1997年までカザフスタンの首都だったアルマトイで、国際的な反核運動「ネバダ・セミパラチンスク」の創始者で詩人のオルジャス・スレイメノフ氏と会見した。同氏の呼びかけで1989年に始まった抗議活動は、旧ソ連圏の国々で初の反核運動として知られ、1991年のセミパラチンスク核実験場の閉鎖に主要な役割を果たした。スレイメノフ氏は核兵器のない世界という共通の目標に向けてSGIと協力していきたいと語った。

寺崎総局長は戸田城聖創価学会第2代会長の「原水爆禁止宣言」に言及し、自らの欲望のために他者の殲滅も辞さない思想にこそ核兵器の問題の本質があると語った。これに対してスレイメノフ氏は、「核兵器は『絶対悪』であり、完全に廃絶されなければならない。」と語った。(原文へ)FBポスト

INPS Japan

Video Documentary filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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国連事務総長、反転する核軍縮への動きに懸念

【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】

国連が「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」を迎えた9月26日、アントニオ・グテーレス事務総長は、世界が直面している2つの政治的現実について強調した。

事務総長は第一に、核軍縮の進展が停滞しているどころか、むしろ「反転している」と警告した。そして第二に、「核保有国間の関係が不信に塗れており、核兵器の有用性に関する危険なレトリックが強まってきている。」と指摘した。

事務総長はまた、第74回国連総会の開会時にもたれた核軍縮に関するハイレベル会合での挨拶の中で、「質的な意味での核軍拡競争は続いている」と警告し、「大変な苦労をして構築されてきた軍備管理体制がほころびを見せてきている。」と語った。

しかし、反核活動家や市民団体は、核軍縮に関する進展が停止し、右翼的なレトリックが高まり、米国や英国、インド、パキスタンといった核保有国の間での好戦的雰囲気が高まっている最近の動きに対して、懸念を表明し警告を発した。

Joseph Gerson
Joseph Gerson

この日の会合で核戦争の危険について世界の指導者らが警告を発する中、「平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン」のジョセフ・ガーソン代表は、「残念で、醜く、危険な真実は、国連で外交協議が続いている一方で、すべての核保有国が核兵器と運搬手段の強化を続け、核の終末をもたらす準備に手を染めていることだ。」と語った。

「こうした国々の動きは核不拡散条約(NPT)の基盤を損ない、拡散の誘因となる。原子力科学者らが、人類の生存は真夜中(=人類の絶滅)まで『あと2分』と言っていることも頷ける。」とガーソン氏は語った。[訳注:世界終末時計のこと]。

ガーソン氏は、「多くの人々が、現在と第一次世界大戦前夜の時期との間に共通項を見出している。」と語った。

「しかし、現在は、世界の大国が虐殺的で皆殺しも可能な核兵器・サイバー兵器で武装しているという違いがある。」とガーソン氏は指摘した。彼は、アメリカフレンズ奉仕委員会の軍縮コーディネーターと、国際平和ビューロー副代表も務めている。

M.V.Ramana

ブリティッシュ・コロンビア大学リュー国際問題研究所長で、軍縮・グローバル・人間の安全保障プログラムの代表を務めるM・V・ラマナ博士はIDNの取材に対して、「グテーレス事務総長がこのイベントのホスト役となり、こうしたアピールをすることそのものに意義があり、重要なのだ。」と指摘したうえで、「その重要性を理解するためには、世界の多くの人々や国々が既に表明した感情や考えを事務総長が繰り返しているに過ぎないという点を理解するところから始める必要がある。」と語った。

「これは、事務総長の呼びかけという形を通じた、まとまりをもった人々の声であり、核兵器の廃絶を最終的にもたらすものは、彼らの行動と圧力だ。事務総長が明確に『核兵器の脅威をなくす唯一の現実的な方法は、核兵器そのものをなくすことだ。』と述べたのは注目に値する。」とラマナ氏は語った。

「これは非常に重要な見立てだ。というのも、現在の状況、言い換えるならば、一部の国だけが核兵器を保有し、他の国々は保有できない現状は長続きしないということを事務総長が明確にしたからだ。」とラマナ氏は語った。

核分裂性物質に関する国際パネル(IPFM)に関わり、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員を務める核問題専門家のレベッカ・ジョンソン博士は、IDNの取材に対して、「核兵器の廃絶に関するグテーレス事務総長の短い発言を歓迎したい。しかし、事務総長が最大の核戦力を保有する『核兵器国の指導層』に対する賛辞を送ったのには、耳を疑った。」と語った。

Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.
Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.

「たしかに、米ロは冷戦期に溜め込んだ膨大な核戦力を削減はしたが、既存の軍縮条約を損ない、軍備や核戦力を継続的に強化していることについて責任を問われるべきだ。」とジョンソン氏は語った。

「この数年間で私たちが唯一目にしたリーダーシップは、トランプ大統領とプーチン大統領が軍備管理を放棄し、最終的に核兵器禁止条約の採択につながった国連の任務として与えられていた多国間交渉をボイコットしたことぐらいだ。」とジョンソンは語った。

「気候変動の緊急事態に対する行動を要求して子供達が街頭に繰り出す中、私たちの世界は、9つの核武装国とその同盟国、共犯者の政治のために核の脅威の再来に直面している。」とジョンソン氏は主張した。

互いに繋がっているこれらの人類生存上の危機に対しては、集合的かつ効果的で、人道的な原則に則った安全保障上の行動が必要とされている。

核保有国の指導層は自国の兵器技術や軍事的脅威にあまりに依存し過ぎている。彼らは、気候変動に対する行動と人道主義的な軍縮を追求する21世紀型のリーダーシップを世界が必要としているときに、20世紀型の防衛思想に縛られている。

「核兵器禁止条約に今週、署名・批准した国々に対して、代わりに賛辞を送ってはどうだろうか?」とジョンソン氏は疑問を呈した(「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に12カ国が同条約に加入した)。

ガーソン氏はIDNの取材に対してさらにこう説明した。「私たちに必要なのは行動であって、責任逃れのための言葉ではない。国連での、耳触りの良い、本質から目を逸らすようなレトリックによって、核による脅迫という無謀で極めて危険な行為が強まっている。これはとりわけ、カシミールを巡るインドとパキスタンの対立、トランプ政権による世界の核軍備管理枠組みの破壊、米国・ロシア・中国の間で高まる緊張関係などに現れている。」

UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri

ガーソン氏によれば、高まる核の脅威を避けるための3つの行動があるという。1つ目は、何十年にも及ぶカシミール危機の解決を促進する国際的な行動。2つ目は、「核の傘」依存国のうち1カ国以上が核兵器禁止条約に署名・批准する行動(核の無秩序に楔を打ち込む根本的な効果が期待される)。そして3つ目は、1980年代のように、ただし今回は気候変動対策や社会正義を求める運動と連携した核軍縮を求める大衆的な要求を再現する行動。

「核兵器禁止条約が発効することを期待しているが、核大国と対峙し、これらの国々を孤立化させ、制裁を与える覚悟が加盟国になければ、9つの核保有国に真の影響を与えることはできないだろう。力は、抵抗なしには何も生み出さない。」とガーソン氏は語った。

国連総会議長に選出されたばかりのティジャニ・ムハンマド=バンデ氏は、ハイレベル会合で各国代表に対して、「まもなく国連創設75年周年を迎える中、国連が破壊と不信の時代に生まれ出たことを想起する必要がある。」と指摘したうえで、「(国連創設当時)核兵器が初めて使用されるという悲劇を経て、そうした兵器が二度と使われることのないよう、あらゆることを成すことが決定的に重要になった。今日の私たちも『二度とこの悲劇を繰り返すな』という教訓を胸に刻んでいかなければならない。」と語った。(原文へ)

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【ニューヨークIDN=J.ナストラニス】

近年貧困の削減率が鈍化していることに加えて、地球上には全ての人類の需要を満たす食糧が生産されているにもかかわらず、慢性的に栄養不良に苦しむ人々の数(現在8億2100万人)は増加傾向にある。栄養不良が5歳以下の子供の死亡率の半分(年間310万人)を占めている。国連はこのままではSDGsの目標1、2の達成は困難と警鐘を鳴らしている。(原文へ)FBポスト

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ロヒンギャに対する恐怖の陰で暮らす仏教徒たち

【コックスバザールIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】

ロヒンギャ難民キャンプの長期化が予測されるバングラデシュの地元コミュニティーは、イスラム教徒が大半を占める同国にあって歴史的に仏教徒が多い(全国の半数近くがこの地域に暮らしている)地域でもある。ロヒンギャ問題を宗教間対立構図に単純化して報道してきた海外大手メディアの弊害をはじめ、かつてはイスラム教徒と仏教徒コミュニティーが互いに尊重して共存してきた関係がいかに変質してきたかを分析した記事。(原文へ)

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【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

米国国勢調査局の最新統計によると、アフリカの諸言語( スワヒリ語、ヨルバ語、アムハラ語、トウィ語)が米国で最も話されている上位10言語内に入っている。米国に暮らす黒人人口のうち、外国生まれの黒人が占める割合は39%(2000年時の24%から大幅増加)、米国に難民として入国してくる人々の主な出身国はコンゴ民主共和国とアンゴラ。米国に移民として入国してくる人々の主な出身国は、ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、タンザニアである。(原文へ) FBポスト

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アイスランドで基地増強に懸念

【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】

米軍は2006年に、アイスランドにあるケフラビク国際空港に附属する基地(同国南西端)を放棄し、撤退したとみなされていた。

しかし、マイク・ペンス副大統領の今年9月初めのアイスランド訪問、マイク・ポンペオ国務長官の2月の訪問といった最近の出来事は、それとは違う動機を明らかにしている。

Mike Pompeo, 70th United States Secretary of State, official photo/ Public Domain
Mike Pompeo, 70th United States Secretary of State, official photo/ Public Domain

ポンペオ国務長官は同国滞在中に安全保障問題について協議し、同国の祝日である6月17日には、「アイスランドは北大西洋条約機構(NATO)のゆるぎなき同盟国」であり、「アフガニスタンでの『確固たる支援任務』と『ISISに対抗する有志連合』にアイスランドが協力していることに感謝する。」との声明を発した。

ペンス副大統領の訪問に先立って、核兵器を搭載したB-2ステルス爆撃機がアイスランドに飛来している。米国の欧州空軍/アフリカ空軍の8月の報道発表は「アイスランドでの戦略爆撃機の運用によって、ケフラビク海軍航空基地をB-2の前進配備地として利用することが容易になり、ますます複雑化する安全保障環境において我が国とその同盟国に安心を供与し、抑止し、防衛するために、B-2が信頼性をもって関与し、準備態勢を整えることができる。」と述べている。

同爆撃機が、エンジンを切らずに航空機に給油することを意味する「ホットピット給油」の訓練のためにアイスランドに送られたことは明らかだ。

改革党の党首でアルシング(アイスランド国会)外務委員会の委員でもあるトールゲルドゥル・カトリン・ギュナルスドッティル氏は、この爆撃機が核兵器を搭載していないとの確認を同委員会は得ていないが、なぜそれがアイスランドにいるのか、核兵器を搭載しているのかを確認することが重要だと述べた。

2016年に策定されたアイスランド国家安全保障政策は、「軍縮と平和を促進するという我が国の国際公約に従って、我が国とその領海には核兵器が存在しない状態にしなくてはならない。」と記している。

アイスランドのグドゥロイグル・トール・トールダルソン外相との会談中、ペンス副大統領は、米国はアイスランドの防衛を強化し安全を確保する決意であり、ケフラビクの保安地帯はこの点で重要な要素だと述べた。

Vice President Micheal Pence poses for his official portrait at The White House, in Washington, D.C., on Tuesday, October 24, 2017.  (Official White House Photo by D. Myles Cullen)
Vice President Micheal Pence poses for his official portrait at The White House, in Washington, D.C., on Tuesday, October 24, 2017. (Official White House Photo by D. Myles Cullen)

同氏はアイスランド滞在中、2006年の基地閉鎖決定は正しかったかとメディアから質問された。彼は直接答えず、同基地の職員と話をし、状況についてドナルド・トランプ大統領に報告したいと述べた。

米軍がアイスランドを撤退して以来、基地跡地のほとんどはハイテク産業のために再開発された。しかし、保安地帯となっている一部の土地は、依然として立ち入り禁止になっている。アイスランド沿岸警備隊の管轄下にあるが、ペンス副大統領の同国訪問に帯同した『ワシントン・ポスト』の記者はこの地区についてこう書いた。「灰色で窓がない。高度に安全が保たれている。ホワイトハウスの意向に沿って、軍やNATOの活動が多くみられる。」

ペンス副大統領は「司令センターを簡単に視察した。センターはアイスランドや北極海の空と海の動きを追跡するスクリーンであふれている。ここは、海軍ケフラビク航空基地の一部なのである。」しかし、記者団は立ち入りを禁じられ、「副大統領は機密情報に関するブリーフィングを受けることができた」。

アイスランドは、自らの軍隊は持たないがNATOに加入しており、1951年にアイスランド防衛協定に署名している(現在も有効)。トランプ大統領は最近、アイスランドはNATOの予算に十分貢献していないと不平を口にしている。

だが他方で、アイスランドは、基地跡地の保安地帯にある施設を更新して1000人の兵士が居住できるようにし、格納庫を2棟更新して2飛行大隊(戦闘機18~24機)を一度に収納できるように、3000億クローネ(33億7000万ドル)を拠出することを約束している。

この増強ははじめ、現在とは異なる政党が政権にあった2016年に議論され合意されたが、その詳細が明らかになってきたのは最近のことである。

現在、国会の第二党は、軍隊とNATOに敵対的な左翼緑運動党である。

2018年の文書によると、レイキャビクの米国大使館は「ケフラビク海軍航空基地が2006年に突如として閉鎖されたことで、米国・アイスランド関係は根本的に変わってしまった。米国はアイスランドの防衛に責任を持つ点で法的な縛りがあるが、その約束を物理的に表現する手段は消滅した。」

大使館は、金融危機以後のアイスランドの政治状況が「平和主義的な政治の傾向を強化」し、「現在の政府は、一般的に言って米国との緊密な連携を望んではいるものの、『左翼緑の運動』の指導層は、安全保障問題に関する米国やNATOの方針にあまり前向きではない。連立政権内でこの問題が微妙であることを特に認識したうえで、この領域におけるコミットメントを維持する綱渡りを強いられるだろう。」と述べている。

確かに、国会の中で唯一の反NATO政党である左翼緑運動党は、旧基地の一部分を再開発する予算を認めたことで、批判の嵐にさらされている。しかし、カトリン・ヤコブスドッティル首相がペンス副大統領に語ったように、彼らは反撃を始めており、旧基地の開発が将来的に進むようなことがあれば、まずは国会で民主的かつ透明な形で議論がなされねばならないだろう。同党は今後数カ月以内に、この方向での提案を出す予定でいる。

Katrín Jakobsdóttir at Göteborg Book Fair 2012 03/By Arild Vågen - Own work, CC BY-SA 3.0
Katrín Jakobsdóttir at Göteborg Book Fair 2012 03/By Arild VÃ¥gen – Own work, CC BY-SA 3.0

保安地帯を管轄するアイスランド沿岸警備隊は、海洋の安全や、アイスランド周辺の海洋の監視、法執行をその任務としている。安全や防衛の問題がこの地帯内で議論されたものの、ペンス副大統領はまた、ロナルド・レーガン大統領とソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏が1986年に会談し、最近失効した中距離核戦力(INF)全廃条約への第一歩を築いた場所である「ホフディ」でも会談を行っている。

この場所でペンス副大統領は、レイキャビクのダグール・B・エガートソン市長と会談した。エガートソン市長は、INF条約の失効を「残念に思う」と述べた。その歴史を考えれば、エガートソン市長はこの建物を軍縮に関する議論を将来的に行う場所として提供したわけである。「なぜなら、もし核兵器の問題に関連して人々がふたたび協力することがあるとするならば、ホフディは最高の場所になるはずだ。」とエガートソン市長は説明した。

ペンス副大統領はこのアイディアを否定しなかったが、「もし新しい協定を作るならば、中国や、さらにはインドが議論に参加しなければならないと米国政府は考えている。」と語った。

トールダルソン外相との会談でペンス副大統領は、北極海におけるロシアの軍事行動の強化に懸念を示し、ヤコブスドッティル首相とも安全保障問題について話し合いたいと述べた。首相は、北欧貿易同盟評議会の会議に出席していたスウェーデンから戻って、すぐにペンス副大統領と会談した。

ペンス副大統領は後にこうツイートしている。「今日のNATO管制センターの訪問はとてもよかった!ケフラビク航空基地からのNATOの作戦に関するアイスランド沿岸警備隊司令官のすばらしい説明に感謝。

ヤコブスドッティル首相には別の大事な問題もある。アイスランドは北欧での軍備増強に反対する政策を掲げるだけではなく、気候変動やジェンダー平等、LGBTQ+の権利が政権の重要課題だと首相は述べている。ロシアの北極海における活動よりも気候変動の方が大事だという立場だ。(原文へ)

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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北欧の「2030世代」がSDGに取り組む

SGI Anti-Nuclear Exhibition in Kazakhstan, Field Trip to Former Nuclear Test Site

2019 marks the 30th anniversary of the end of nuclear weapons testing in Semipalatinsk, the primary testing venue for the Soviet Union’s nuclear weapons, the 10th anniversary of the entry into force of the Treaty on a Nuclear-Weapon-Free Zone in Central Asia, and the ratification by Kazakhstan as the 26th country to ratify the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons.

This year also marks the first showing of the Russian-language version of the exhibition ‘Everything You Treasure – For a World Free from Nuclear Weapons’, from October 2-13 in Nur-Sultan city, the capital of Kazakhstan.

The exposition which Soka Gakkai International (SGI) made in collaboration with International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN) was first shown in 2012 in Hiroshima, the sight of first ever nuclear bombings along with Nagasaki. It has since been seen in 90 cities in 20 countries. Kazakhstan is the 21st country to host it.

IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri, after covering the opening ceremony of the exhibition at the Library of the First President of the Republic of Kazakhstan – Elbassy, joined the SGI delegation headed by Mr. Hirotsugu Terasaki, Director General of Peace and Global Issues of the SGI, a two-day field trip to Semey city and Kurchatova town in East Kazakhstan Region, once the center of operations for the adjoining Semipalatinsk Nuclear Test Site.

Below are print and video coverage by INPS and its partner media Kazinform:

Read Articles:

Nuclear Abolition Exhibition Boosts Japan-Kazakh Relations (by IDN-InDepthNews)

Antinuclear policy consolidates Japan and Kazakhstan (by Kazinform)

SGI Japan delegation visited Semey (by Kazinform)

The International Traveling Exhibition “Everything You Value – For a World Free of Nuclear Weapons” Opened in the Library of Elbassy  (by Elibassy)

Watch Videos: 

Opening Ceremony of the Exhibition “Everything You Treasure – For a World Free from Nuclear Weapons”

Remark by Mr. Gennadi Shipovckih, member of the Mazhilis of the Parliament of the Republic of Kazakhstan

Field Trip by SGI Delegation to Semey City and the former Nuclear Test site of Semipalatinsk.

[INPS-IDN – October 2019]

「気候変動との闘いの道は長い」―国連事務総長の嘆き

【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】

国連が主催して9月23日に開催された「気候行動サミット」は、世界の指導者らが集うハイレベル会合であると謳われていたにも関わらず、それほど印象的な結果を残すことなく終わった。

ハリケーン・干ばつ・洪水・熱波といった、差し迫った「気候の緊急事態」に関して国連のアントニオ・グテーレス事務総長からの警告があったにも関わらず、そのほとんどが元首であるサミットの発言者は、わずかに64人であった。

この画期的な会合は、地球温暖化に対処し、CO2排出を削減して気候変動と継続的に闘うための拠出金増額を誓うためのプラットフォームを提供すべく戦略を策定することが任務だったが、国連の193加盟国中、129カ国が不在であった。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

世界のCO2排出国ワースト5は、中国・米国・インド・ロシア・日本である。しかし、日米両国はこの会合には参加しなかった。

オックスファム・インターナショナルのウィニー・ビャナイマ代表は、サミットに関して「気候行動サミットの残念な状況を見るにつけ、来たるCOP25(チリで12月2日~12日に開催予定)とCOP26(英グラスゴーで2020年末に開催予定)の重要性が増したと言えます。これらの会議で指導者らは、事態を前に進めるのかそれとも押しとどめるのか、改めて問われることになります。決定を先延ばしにしているわけにはいきません。時間はなくなりつつあるのです。」と総括し、警告した。

「公正な安全2020」の代表で、スチムソンセンター(米ワシントンDCの政策研究シンクタンク)の主任研究員でもあるリチャード・J・ポンジオ氏は、今回のサミットで意義のある公約や具体的な行動があったのかという問いに対して、「ドイツやカタールなど一部の国は資金提供を約束したが、全体として見れば、最大のCO2排出国が、パリ気候協定に定められた目標に達するのに必要な課題を実行に移していません。」と語った。

しかし、学生や若者の活動家が中心となって、気候の危機に対する懸念が世界的に高まっているにも関わらず、ほとんどの指導者が、2050年までのCO2純排出ゼロという目標を達成するために必要な経済構造改革(民間部門に排出削減のインセンティブと罰を与えるもの)を行う意思を見せていない。

ポンジオ博士は、今後のことに関連して、国連のグテーレス事務総長をはじめとして一部には良識のある指導者もいるが、「私たちの気候変動対策ガバナンスは、ほとんどの科学者が支持している1.5度以下の目標はおろか、2度以下に抑えられそうにもありません。」と語った。

「1945年に設立された国連そのものが、失敗に終わった前身組織である国際連盟に対するグローバル・ガバナンス上の革新であったように、世界が必要としているのは、国連の大きな構造改革であり、気候変動という難題に対して世界の集合的行動がいかに対処していくのかということです。」と、ポンジオ博士は語った。

国際環境開発研究所(IIED)のアンドリュー・ノートン所長はIDNの取材に対して、「サミットは不十分だった」とコメントした。

ノートン所長は、科学的知見は明確であり、「1.5度の上昇を超えてはなりません。『2度』の目標設定は、放棄すべき時にきています。」と語った。

「(気候行動サミットは)気候変動の緊急性というメッセージを受け取り、行動を起こす意思を、すべての指導者が明確にする大事な機会であったにも関わらず、経済力があり、歴史的にも気候変動の原因を作ってきた国々は責任を果たしていません。」と、ノートン所長は批判した。

ノートン所長は、「『貧困国の中の最貧国』と称される後発開発途上国(LDCs)47カ国が、気候変動に対する強靭な社会を2030年までに作り、CO2純排出ゼロを2050年までに達成すると宣言して、真のリーダーシップを発揮しました。」と指摘した。また、「数十億ドルをかけた新しい取り組みが無数に提起されたが、そのほとんどが、気候変動に対して脆弱な立場にいる人々のニーズに対処できていません。」と語った。

「多くの富裕国が『緑の気候基金』への資金提供を倍増すると約束しているが、それが効果的であるためには、資金が直接に草の根レベルに届き、貧困国がそれを直接に利用できるようにすべく、根本的な改革がなされねばなりません。」

「今から2020年までにできることはたくさんあります。指導者らは腕まくりして、遅くとも、グラスゴーで2020年下旬に国連気候サミットが開かれるまでの計画を練り直さねばなりません。」

ノートン所長は、「各国政府は、援助、貿易、農業などあらゆる政策領域が気候変動対策に向けられたものにしなければなりません。現在の各国の公約を積み重ねても、今世紀末には地球の温度は3度上昇し、壊滅的な影響が出かねない状況にあるのです。」と指摘した。

「子供達の声は権力者らの耳には依然として届いていないし、科学的知見も活かされていません。指導者らはもっとスピーディーに前進すべきで、来年を無駄にしてはなりません。」

世界的な危機に対処する民衆の能力を付けることを目的としたグローバルな運動体である「アバーズ」(Avaaz)のキャンペーン担当イアン・キース氏は、最近の状況についてこうまとめた。「気候変動への異議申し立ての声が高まっています。子どもたちは勇気をもって学校をボイコットし、国連は加盟国に厳しい要求を出し、先住民族はアマゾンの山火事と闘っているのです。」

「世界のすべての人々が、気候変動への行動を『今こそ』求めているのです。新しい道に向けて第一歩を踏み出すのは大変なことだが、汚染を排出している指導者らはそのことに気付くべきです。さもなくば、15歳からの要求で行動を強いられるまでだ。」とキース氏は語った。

「公約ばかりがたくさんありますが、パリ協定で決まった『2度』の上限を下回るようにするには、具体的な計画があまりにも足りません。しかし、これをパリ協定と比べるならば、正しい方向への進歩がみられます。とはいえ、IPCC報告が『1.5度』を主張していたことに比べれば、まだまだ目標としては不十分と言わざるを得ません。」

グテーレス事務総長によれば、今回の国連気候行動サミットではいくつかの好ましい結果があったという。

Photo: UN Secretary-General António Guterres speaks at the University of Geneva, launching his Agenda for Disarmament, on 24 May 2018. UN Photo/Jean-Marc Ferre.
Photo: UN Secretary-General António Guterres speaks at the University of Geneva, launching his Agenda for Disarmament, on 24 May 2018. UN Photo/Jean-Marc Ferre.

「いくつか具体的に述べよう」とグテーレス事務総長はまとめの会合で語った。

グテーレス事務総長が指摘したのは、その多くが先進国である77カ国が、2050年までのCO2純排出ゼロを約束したということだ。さらに、世界の10地域・100都市以上がこれに加わっているが、この中には世界最大の都市もいくつか含まれている。

他方、70カ国が2020年までに国別目標(National Determined Contributions)を強化すると表明し、民間部門のリーダー100人以上が、グリーン経済に向けて対策を加速すると述べた。

2000以上の都市が気候危機問題を政策決定の中心に置き、利益を生みうるような環境スマート都市事業が1000件以上打ち出されている。

今日、パキスタンからグアテマラ、コロンビア、ナイジェリア、ニュージーランド、バルバドスに至る世界の多くの国々が、110億本以上の植樹を行うことを公約した。

また、合計で2億ドル以上の資産運用を行っている世界の資産保有者らのグループが、2050年までにCO2排出ゼロの投資を行うことを表明した。

多国籍・国家開発銀行も公約を行った。国際開発ファイナンスクラブが、後発開発途上国20カ国において2025年までにクリーンエネルギーに対する投資を1兆ドル以上行うことを発表した。

同クラブはまた、化石燃料を減少させることでCO2排出ゼロを目指し、石炭火力向け金融からの出口戦略を策定する予定だ。

UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building/ Katsuhiro Asagiri

世界の銀行部門の3分の1にあたる130の銀行は、パリ協定と「持続可能な開発目標(SDGs)」にあわせて事業を行うことを約束した。

世界の投資資本の半分以上(約340兆ドル)を占める資産運用者らによる明確な呼びかけに加えて、これらのすべてが、気候に関する緊急の行動を求め、世界の指導者に対して、CO2排出に適切な価格をかけ、化石燃料と石炭火力発電への補助から脱却するよう呼びかけている。

「気候関連の資金援助を増やすと約束した国々、とりわけ、緑の気候基金に対する分担金を倍増することを約束した国々に対して、あらためて感謝を申し上げたい」とグテーレス事務総長は述べたが、こうした公約のうちどれだけが実際に実行されることになるのかという、いつもの問題が残されている。

そのことは、グテーレス事務総長の次の言葉が裏付けている。「雰囲気づくり、協力、意欲においては、前向きな姿勢を見せていただいた。しかし、実現までの道のりは長く、私たちまだそこに到達していません。」(原文へ)PDF

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SGI代表団が旧セミパラチンスク核実験場とセメイを訪問

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

創価学会インタナショナル(SGI)は、10月2日に、展示会「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展をカザフスタンの首都ヌルスルタンで開催した後、ソ連時代の40年間に456回の核実験が繰り返されたクルチャトフ(当時は秘密都市)、旧セミパラチンスク核実験場跡、セメイを訪問した。INPSからは、INPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターが同国の提携メディアKazinformと協力して、展示会開会式並びに、SGI一行のクルチャトフ、旧セミパラチンスク核実験場跡、セメイ訪問を取材した。FBポスト

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