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「性の健康」に関するサービスの普及を図るネパールの若者たち

【カトマンズIDN=ステラ・ポール

パビトラ・バッタライさん(21歳)は、柔らかな声の持ち主で、微笑みをたたえた若くてシャイな女性だ。しかし、彼女に「性の健康」に関するサービスについて尋ねたならば、シャイな表情はたちまち消え、彼女の国(ネパール)の若者たちがそうしたサービスを利用する権利を持っていることを熱く語り出す。

「私たちの国の未来は、若者たちの肩にかかっています。だから、HIVに感染した若者で溢れる国にしてしまうリスクは負えません。つまり、『リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(=性と生殖に関する健康・権利)』を完全に利用できるようにしなくてはなりません。」こう語る時のバッタライさんは、実年齢よりもずっと成熟してみえる。

しかし、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて数多くの若者(そのほとんどが高校生)の相談を受け、意識を高める活動をしているバッタライさんを特徴づけるのは、その話しぶりだけではない。「バクタプール、キルティプール、ラリトプールの20校を超える学校をすでに訪問してきました。」とバッタライさんは語った。

若者のために活動する若者たち

ある10月末の朝、IDNは公立高校に出掛けるバッタライさんと2人の若者に同行取材した。リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて活動する世界的組織である「マリー・ストープス・インターナショナル」(MSI)で訓練を受け同組織の支援を得ている彼らは、「ロケット・アンド・スペース」と呼ばれる10人から成るグループのメンバーである。このグループは、地域のすべての若者に対してリプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する教育を行い、利用する手立てを提供することを目的としている。

Marie Stopes International

彼らは、カトマンズの賑やかな市場であるパタリ・サダクでタクシーを拾おうとしていたが、まもなく街中でタクシー運転手のストライキが起きており、唯一の乗物と言えば、座席のない新聞運搬車だけであることに気付いた。しかし彼らはこれで意気阻喪することなく、その運搬車の床に座り、バウダ地区の公立高校に向けて1時間の道を揺られていった。

バッタライさんは、「校長から11年生と12年生の生徒に『性の健康』と『衛生』について話すように依頼されました。おそらく自分たちよりも私たちの方がうまく教えられると思ったのでしょう。」と、誇らしげな声で語った。

「タブーなし」の教育

1時間後、3人の若者は新聞運搬車から降りて、公立高校の建物に入っていった。3階建ての建物の薄暗い2部屋で座って待っていたのは約100人の男子及び女子生徒であった。チームのうち男性のスラジさんは男子生徒に話をし、女性のバッタライさんともう1人のディーパリ・プラダンさんは、女子生徒たちが待つ教室に向かった。

プラダンさんはまず、「学校当局からは、女子に対して生理に関する衛生の問題を話すよう特に要望を受けています」と説明したうえで、初潮後の身体の変化に関する質問を皮切りに、女子生徒らに月経の流れについて話をした。

生徒たちはたいてい、お互いの顔を眺めて緊張した笑顔を見せる。若い活動家たちは生徒に向かって「ごらん、私はあなたたちと何も変わらない。お姉さんのようなものだよ。」と語りかける。するとある女子生徒がゆっくりと立ち上がって、「胸が張ってきます」と答えた。バッタライさんは、この学生に拍手するよう皆に促した。こうして、当初張りつめていた教室の雰囲気は和んだものになっていた。

次の45分間、バッタライさんとプラダンさんは、予想される体の変化、激しい痛み、月経のサイクル、そして、それをどうやって数えるか、そのサイクルの間に清潔を保つことの重要性など、月経のあらゆる側面に触れる。「彼女たちの家族や先生たちは、こうしたことを進んで話したがりません。女の子たちも恥ずかしがって質問しない。でも、私たちが話をすれば、彼女たちは聞いてくれます。彼女たちは、私たちを友達として受け入れてくれるのです。」とプラダンさんは語った。

そのころ男子生徒の部屋では、「ロケット・アンド・スペース」の若いメンバーであるスラジ・カドカさんが、青年期、異性に身体的に惹かれること、自慰行為、コンドーム、安全なセックスの重要性について話をしていた。

障害者のために闘う

ダン・バハドゥールさん(19歳)は、身体的な問題を抱えている。今年5月以来、彼は、同じ街に住む障害を持った同年代の若者たちにリプロダクティブ・ヘルス/ライツについて教えている。

バハドゥールさんによれば、現在ネパールには300万人の障害者がおり、その半分が若者だという。「ほんの少し前まで、障害者は社会から疎外されていました。みんな障害者を見下し、他人に悪運をもたらす存在だと考えられていたのです。」と、バハドゥールさんは指摘した。しかし今日、教育機関や公務員に障害者枠が設けられるなど、障害者に配慮する仕組みが整いつつある。

SDGs Goal No. 3
SDGs Goal No. 3

それでもなお、「性の健康」に関して言えば、障害者、とりわけ若い障害者は忘れ去られた存在だ。バハドゥールさんは、この状況を変えようとしているが、今のところ、それは未だ遠い目標である。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツのことを話していると、笑われます。変なことを言っているという目で見て、『障害者が性のことで健常者と同じニーズを持っているの?』なんて聞いてくる人もいます。」

しかし、彼の支援者は少なくない。その多くが障害者自身だ。障害を抱えるスポーツ選手を支援しその権利向上を図る団体「全国車いすバスケット協会」の選手らも支援者だ。バハドゥールさんは数人の選手らと会い、避妊や中絶、性の健康・衛生に関する相談など、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについての意識を高めてきた。

MSI青年プロジェクトのマネージャーであるニリマ・ラウトさんは、「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の主要なスローガンは『誰一人取り残さない』です。障害を抱えた若者を支援することで、私たちはSDGs達成に向けて努力を続けていまする。」

保守的な社会で「性」の問題を取り上げること

しかし、婚前の性交渉がタブーである保守的なネパール社会において、課題は山積している。20才の大学生、ヴィヌカ・バスネットさんは、彼女が「性の健康」に関する活動をしていると両親が聞いた時、ショックを受けていたと語る。「両親は戸惑い、みんなが私を指さして『あいつは性の話をしている』と噂するのではないかと恐れていました。両親の理解を得るまでには時間がかかりました。」と彼女は振り返る。

スラジ・カドカさんは、「学校のカリキュラムに性教育が入っていないことから、学生たちは自分たちの授業を大事なものだとは考えていません。「生徒たちは笑って、無関係な質問をしてきます。」と語った。しかし彼には解決策がある。「彼らが笑うにまかせています。しかし、関係ある質問をするように促すのです。」

ダン・バハドゥールさんのような他の活動家らも、地元の言葉で「性の健康」について語ることは時としてきわめて難しいと感じている。たとえば「夢精」。ネパール語にはこれに該当する言葉がない。脊椎損傷の障害を抱えた若者は、腰から下が麻痺しているためにそれを感じることができない。このことは、障害者自身だけではなく、障害者を世話する人びとにとっても、清潔さを保つうえで重要なことだ。しかし、私がこれを説明しようとしても、言葉が出てこないのです。」

若者にやさしいツール

しかし、若者のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ教育家たちの取り組みがうまくいくかどうかは、同世代の青少年らとのコミュニケーションいかんにかかっており、彼らはこのコミュニケーションの壁を乗り越えるために革新的な方法を生み出してきた。

ヴィヌカ・バスネットさんは、男女の解剖図や生殖器をカラーで示した写真や、ポスター、「コンドームなしにセックスするな」とか「私はロックスター」などのスローガンが原色で書きこまれたTシャツやブレスレットなどのツールを見せてくれた。

彼らは、どんな会合にもこうしたツールを持参することにしている。ポスターや写真は若者を教育するのに使われ、シャツやブレスレットは、前向きで真剣な反応を示してくれた聴衆に配ることにしている。

満たされないニーズを満たす

ネパールは2002年、ミレニアム開発目標(MDGs)の第5目標を達成するために、中絶を合法化した。2000年から2015年のMDGsの時期に、ネパールの妊産婦死亡率は出生1万人あたり581人から281人まで下がった。

しかし最新の統計でも、ネパールは避妊のニーズが満たされない率がアジア地域のなかでも依然として高い国(27.5%)である。満たされていないニーズの指標に関して言えば、南アジアと東南アジアにおいて、出生可能な年齢にあって既婚あるいは内縁の状態にある女性のうち、それぞれ少なくとも14%と12%が、妊娠を遅らせるか避けることを望みながらも、そうすることができずにいる。また、人口の約半分が、自分の国では中絶が合法であることを知らない。

ここがまさに、保健問題の若いボランティアたちが大きな貢献をなし得る領域だ。移住労働者やスラムの住民、それに、夫が移住労働者として海外に出稼ぎに出ている女性など、社会の中でもっとも脆弱で支援を必要とする人々に対して、リプロダクティブ・ヘルス/ライツを提供しているのである。

Marie Stopes International
Marie Stopes International

郊外のスラムに住むカヴィタ・チュラガニさん(23歳)は、夫が中東で運転手として働いている若い母親である。チュラガニさんは、避妊のために膣内挿入のインプラントを使用している。彼女はこれを、マリー・ストープス・クリニックが運営している診療所で無料で受け取っている。「若い活動家らが私をここに連れてきてくれたおかげで、この避妊具を入手できますが、そうでなければ入手はとても困難です。今では私が、近所の女性たちにここに来るように促しています。」とシュラガニさんは語った。

ラウトさんによると、この青年プロジェクトが始まって以来、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに対する需要が100%以上増加したという。「手を差し伸べなければならない人はまだまだ多くいます。しかし、需要が増えているということは、私たちにとって大きな希望です。」とラウトさんは語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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第22回FAWA(アジア太平洋女性連盟)シンガポール大会

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

今年58周年を迎えるFAWA(アジア太平洋女性連盟)の総会が、2016年9月28日から10月1日の4日間にわたって「Our Heritage- Peace, Our Challenge – Sustainable Development」をテーマにシンガポールで開催された。日本、アメリカ、グアム、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、香港、インドネシア、マレーシア、マーシャルアイランド等、の地域から代表団が参加した。INPS Japanからは浅霧理事長が尾崎行雄記念財団の石田尊昭事務局長(一冊の会理事長)の招待で参加し、ドキュメンタリーの制作を担当した。FBポスト

The Federation of Asia Pacific Women’s Association (FAWA) cerebrated its 58th Anniversary when it held the 22nd Convention in Singapore, from September 28- October 1, 2016 with the theme: “The Future of Humanity – Leaving a Legacy”. 

Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director of INPS-IDN accompanied the Japanese delegation to cover this four day event at the invitation of the Secretary General of Ozaki Yukio Memorial Foundation, Takaaki Ishida, who is also President of ‘Issatsu no kai‘, a Japanese NGO. (INPS-IDN December 2016)

国連事務総長、軍縮の「慢性的停滞」を激しく批判

【ニューヨークIDN=ロドニー・レイノルズ】

「核兵器なき世界」の実現に向けて長年たゆみない取り組みを続けてきた国連の潘基文事務総長が、多国間軍縮の将来をめぐって国連の193加盟国の間に「深い亀裂」が生じていることに強い失望感を表明した。

「核兵器国とその多くの同盟国は、核戦力を削減する措置を実際に取ってきていると主張しています。一方非核兵器国は、軍縮交渉の不在、依然として数千発の核兵器が存在すること、1兆ドルをはるかに超すコストをかけて今後数十年で既存の核戦力を近代化する計画が存在する点を指摘しています。」と潘事務総長は、11月22日にニューヨーク大学プロフェッショナル学部で行った基調講演で語った。

「国連の軍縮制度は慢性的な停滞に陥っています。」と潘事務総長は嘆いた。

UN Office Geneva
UN Office Geneva

12月31日に退任する潘事務総長にとって今回の講演は、会場を埋めた主に学者や平和活動家、反核団体の関係者に対する退任演説となるものだったが、ジュネーブ軍縮会議(CD)に対して改めて批判的な立場を表明した。ジュネーブ軍縮会議は、潘事務総長の任期10年間を含むほぼ20年にわたって停滞している。

潘事務総長は2007年1月に事務総長に就任して以来、ジュネーブを訪問しジュネーブ軍縮会議で演説する機会が何度もあったという(2009年10月24日の国連デーには、5項目の核軍縮提案を行っている)。

この国連の軍縮機関は「慢性的な停滞の中にあります。」と潘事務総長は嘆いた。

「驚くなかれ、ジュネーブ軍縮会議はもう20年以上作業計画を採択することすらできていません。信じられますか? 言うまでもなく、作業に進展は見られません。」

潘事務総長は、ジュネーブ軍縮会議はアジェンダを採択することすらできていないと激しく批判した。

「20年間このような状態が続き、私はジュネーブ軍縮会議に対して一貫して警告してきました。こんなことを続けるなら、ジュネーブ軍縮会議の議論をどこか別の場所に移す必要が出てくるでしょう。しかし、彼らは聞く耳を持っておりませんでした。全会一致ルールのために、わずか1国が193の加盟国を阻止することが可能なのです。これは、まったく受け入れがたい状況です。」と潘事務総長は警告した。

「(軍縮協議を妨げている)この種の現状維持、不作為を許している状況は依然として続いており、極めてゆゆしき事態です。」と潘事務総長は不満を打ち明けた。

だが潘事務総長は、「軍縮は危機に瀕している」と警告しつつも、米国の次期大統領ドナルド・トランプ氏による核兵器にきわめて肯定的なレトリックに対しては、外交上の配慮として直接的に反応することを避けた。トランプ氏は、韓国や日本のような国々は、米国に依存するよりも自ら防衛するために核武装すべきだと示唆したことがある。

プリンストン大学科学・グローバル安全保障プログラムのM・V・ラマラ博士は、軍縮の現状について「軍縮に関してすぐに進展がみられそうな状況ではありません。軍縮を語るにはあまり良い時期ではありません。」と、IDNの取材に対して語った。

「米国は、核兵器の使用を検討すると示唆しているドナルド・トランプ氏を次期大統領に選出したばかりです。トランプ氏は、米ロ関係は悪化しており、両国間の軍備管理の将来の見通しは暗いと述べています。」と、ラマラ氏は指摘した。

核兵器を保有するほとんどの国々、とりわけ米国は、核戦力の近代化あるいは拡張の過程にある。

「潘基文事務総長が間もなく退任するなか、今後の国連の役割も見通せません。そうした中、もし楽観的な見方を取りえるとすれば、核兵器を禁止する条約の交渉開始に国連の過半数の加盟国が賛成票を投じたことでしょう。」とラマラ氏は語った。

「トランプ氏の発言内容から、次期大統領の軍縮に関する行動を予測することは、信憑性という点では、かつてルーン文字や鶏の内臓を用いて未来を予測した古代の呪術的な方法とさほど変わらないといえるでしょう。」と語るのは、「アクロニム軍縮外交研究所」のレベッカ・ジョンソン博士である。

「彼は異色の事業家ですが、外交官ではありません。当選によって今や強化されたかに見える彼の信条体系は、短期的に勝ちを得られるものであれば、そのためにどんなものが犠牲になり、長期的な帰結がどんなものになったとしても、重要なのは成功するかどうか、というものなのです。」

ジョンソン博士は、トランプ氏はナルシスト的な例外主義の持ち主であるという。

Donald Trump/ The White House
Donald Trump/ The White House

トランプ氏は、実業家として、環境や租税などに関する規制や立法に従わされることを明確に嫌っていたことから、暴力から弱者を守り大量破壊と人道的な大惨事を防ぐために軍事的な行動の自由を抑制することを主目的とする国連や軍縮条約といったような集合的な安全保障取り決めを拒否したとしても驚くにはあたらない。

トランプ氏は「目的が手段を正当化する」式の現実主義者ではあるが、必ずしも、核兵器の有用性を根っから信じているというわけでもない。楽観的に予測すれば、(ロシアのウラジミール・)プーチン大統領と新たな核軍備管理協定を結ぶことに前向きな姿勢を見せるかもしれない。

その目的は、軍縮ではなく、余剰備蓄とダブついた核兵器のコストを削減して、21世紀型の兵器開発のために資源を振り向けることであろう。

他方、悲観的に予測すれば、「トランプ氏は、核兵器は『使用可能』なものだと見ているように思えます。核のタブーを強化する旧来的な抑止の観点だけではなく、もし彼が米国の戦力の採算を取ろうと決意したなら、恐ろしい過ちを犯し、自らがコントロール不能な危険を解き放ってしまうかもしれません。」とジョンソン博士は語った。

「いずれにせよ、トランプ氏は、非核兵器国が長らく論じてきた、核兵器に安全性などないということを証明しています。」

ジョンソン博士は、「トランプ氏は、今日の核体制を変え、核兵器の使用・配備・生産・輸送・拡散・資金提供を禁止する必要性がいかに正当なものであるかを、いわば自らの行動と発言を通じて世界に知らしめているような存在です。」と語った。

しかし、「トランプ大統領誕生」の可能性が、国連での(核兵器禁止に向けた)交渉に120カ国以上の政府を賛成させた主要因ではなかった。

(10月27日、国連総会の軍縮・国際安全保障委員会[第一委員会]は、多国間の核軍縮交渉を前進させる画期的な決議を採択した。決議は「核兵器を禁止する法的拘束力のある文書を交渉し、その完全廃絶を導くような」国連の会議を2017年に招集することを定めている。)

Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.
Photo: The writer addressing UN Open-ended working group on nuclear disarmament on May 2, 2016 in Geneva. Credit: Acronym Institute for Disarmament Diplomacy.

ジョンソン博士は、「(11月上旬の)トランプ氏の大統領選挙勝利が、核廃絶が人道上絶対に必要であることを国際社会に再確認させることとなりましたが、10月の国連総会で世界の3分の2以上の国々が核兵器禁止条約交渉に賛成票を投じた背景には、ロシアの(ウラジミール)・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩最高指導者、インドの(ナレンドラ・)モディ首相、英国の(テリーザ・)メイ首相の存在がありました。また、2009年に格調高いプラハ演説を行ったにも関わらずオバマ大統領に軍縮面で前進をもたらすことを許さなかった「核クラブ」と米国の守旧派の既得権を念頭に置いていたためでもありました。」と語った。

「したがって、トランプ大統領が誕生するかどうかに関係なく、世界の民衆の大多数が責任を取ろうとすれば軍縮は実現します。ただ、そうなったら、トランプ氏はそれを自分の功績にすることでしょうね!」とジョンソン博士は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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The Beauties of Mikimoto Pearl Island

Visit to Mikimoto Pearl Island located off the coast of Toba City in Mie Prefecture, some 150 kilometres west of Nagoya. Manager Noburu Shibahara briefed us on the life and works of its founder Kokichi Mikimoto and activities of the company.

To adorn the necks of all women in the world with pearls: this was the “humble ambition” of Kokichi Mikimoto, who died in September 1954 at the age of 96, says Noboru Shibahara, Manager of the Mikimoto Pearl Island, as we stand in front of a bronze statue of the man after whom Japan’s famous island is named.

Mikimoto was fully aware that “in order to realize his ambition, peace and trusted relations among nations have to exist based on democratic principles as advocated by Yukio Ozaki”, adds Shibahara.

An Island Where World’s First Cultured Pearls Were Created

By Ramesh Jaura and Katsuhiro Asagiri

TOKYO (IDN) – To adorn the necks of all women in the world with pearls: this was the “humble ambition” of Kokichi Mikimoto, who died in September 1954 at the age of 96, says Noboru Shibahara, Manager of the Mikimoto Pearl Island, as we stand in front of a bronze statue of the man after whom Japan’s famous island is named. JAPANESE

Photo: The Pearl Globe, which had its pride of place in Kokichi Mikimoto's office. When guests would come to see him, he would often spin the globe and say, "I go around the world everyday!'' Credit: Mikimoto Company.
Photo: The Pearl Globe, which had its pride of place in Kokichi Mikimoto’s office. When guests would come to see him, he would often spin the globe and say, “I go around the world everyday!” Credit: Mikimoto Company.

Mikimoto was fully aware that “in order to realize his ambition, peace and trusted relations among nations have to exist based on democratic principles as advocated by Yukio Ozaki”, adds Shibahara.

Also remembered with his pseudonym ‘Gakudo’, Ozaki served in the House of Representatives of the Japanese Diet for 63 years (1890–1953), and is still revered as the “God of constitutional politics” and the “Father of the Japanese Constitutional Democracy”.

Mikomoto was one of the ardent supporters of Yukio Ozaki. Both Mikimoto and Ozaki were born in 1858 and died in 1954.

Kokichi Mikimoto/ Mikimoto Pearl Island
Kokichi Mikimoto/ Mikimoto Pearl Island

“We at Mikimoto Pearl Company will continue to play a part of popular diplomacy in cooperation with organizations and groups concerned while succeeding the wills of the two gentlemen,” assures Shibahara.

Mikimoto Pearl Company donated the ceremonial Mikimoto Crown placed since 1957 on the head of a newly selected U.S. Cherry Blossom Queen during a National Cherry Blossom Festival. Mikimoto has also been welcoming the Cherry Blossom delegations at the island, and presenting pearls to the Cherry Blossom Queen.

The Gakudo Kofu, a not-for-profit organisation (NPO) launched in 2006 and tasked since 2010 with administration of the historic Ozaki Gakudo Memorial House supported by the Ise City, coordinates all such activities.

In fact, Gakudo Kofu’s President Takako Doi arranged – and accompanied us on – our visit to the Mikimoto Pearl Island, located off the coast of Toba City in Mie Prefecture, some 150 kilometres west of Nagoya.

The island – connected to the mainland by a bridge – belongs to Mikimoto Pearl Island Co., Ltd., which runs it as a tourist attraction, exhibits pearls and pearl craft goods, and holds shows featuring women divers’ performance.

It was an important item on Partners’ Programme during the May 2016 Ise-Shima Summit of the Group of 7 (G7) heads of state and government comprising the United States, Canada, Britain, France, Germany, Italy and Japan.

A few days later, Shibahara treated us to the fascinating performance of women divers famed for their underwater feats and for their diving prowess. The few true remaining ‘Ama divers’, as they are traditionally known, provide year-round demonstrations of their skills. The island is said to be the only place where they continue to wear the original white that covers the body from the feet to the head.

The Women Diver or Ama San Pearl Diver Stand is one of the island’s four main pavilions, which include the Pearl Plaza, Pearl Museum, and the Kokichi Mikimoto Memorial Hall – all set amongst lush greenery and the beauty of Toba Bay.

The Memorial Hall depicts Kokichi Mikimoto’s life full of hardships and achievements, and underlines his close relationship with his hometown through exhibits, such as the replica of the house where he was born, displays showing his “footprints” which remain in Toba, and a panoramic model showing a complete view of Toba during the Meiji Period, which extended from October 23,1868 through July 30, 1912.

Born as the son of a noodle restaurant owner in Toba City in 1858, he recognized the beauty and value of the pearls from his local Shima region at an early age and after first trying to increase the number of pearl oysters, turned his hand to creating cultivated pearls. In 1893 he finally succeeded in determining the best method to cultivate pearls, the patent of which was awarded in 1908.

Shibahara shows us some of the intricate artworks on display in the Pearl Museum that include the five-storied Mikimoto Pagoda, a scale model of the ancient Pagoda of the Horyuji Temple of Nara, using 12,760 pearls, which was made for display at the 1926 Philadelphia Exposition.

Another eminent artwork is the Pearl Crown made in 1978 to commemorate the 85th Anniversary of the discovery of the method of producing cultured pearls.. The design is similar to the State crown of Queen Mary, which was made for the consort of George V at his coronation in 1911. The Crown is made of 18-carat gold studded with 872 lustrous Mikimoto Cultured Pearls.

Pearl Crown II with its delicately dangling pearls of grandeur is designed similar to the medieval crowns. A sixteen millimetre silver coloured pearl adorns the peak of the crown. Some select dainty pink coloured pearls resting lightly on the red velvet potion of the crown, give a sense of cheerfulness. This crown is comprised of 796 meticulously chosen Mikimoto pearls and 17 lustrous diamonds.

A reproduction of the Liberty Bell, made with 12,250 pearls and 366 diamonds is yet another fascinating artwork on display. The famous bell’s crack has been reproduced using blue pearls. The bell caused a sensation when displayed at the 1939 World Exposition in New York, where it was titled “The Million Dollar Bell”, Shibahara tells us.

Then there is the Pearl Globe, which as we are told, had its pride of place in Kokichi Mikimoto’s office, and when guests would come to see him, he would often spin the globe and say, “I go around the world everyday!” Thus, the globe symbolizes his philosophy; his global view of the pearl industry.

Shibahara tells us that the Pearl Globe was created to enhance human awareness of the concern about environment. It is an example of Mikimoto’s finest workmanship. “This globe with its unique design and ornamentation makes it like no other globe ever made before.”

At first glance, the globe appears unstable, but when viewed from different angles, it reveals different aspects. The arm connecting the Pearl Globe to the base is made of bronze and inclines at the same angle as the earth’s axis. It displays the twelve zodiac constellations inlaid with pearls and pure gold through a technique called the high relief inlay. This effectively gives them a three dimensional appearance.

The base is made of bronze. Each side of the twelve-sided base displays a different Japanese flower embossed in copper and set into the base, signifying the twelve months of the year.

At the Mikimoto Pearl Hall, we also come across a 1927 letter from famous American inventor and businessman Thomas Edison, to Kokichi Mikimoto, written after they visited together Edison’s West Orange, New Jersey home.

Addressing him as “Dear Kokichi”, Edison remarked: “It is one of the wonders of the world that you were able to culture pearls; it is something that is supposed to be biologically impossible.” Mikimoto responded: “If you were the moon of the world of inventors, I would simply be one of the many tiny stars.”

Pearls are composed of many thousands of layers of crystalized calcium carbonate and a hard protein called conchiolin. Size, shape, colour, lustre and degree of imperfection determine the value of each individual pearl. Most important however, is nacre thickness. For items such as necklaces and multi pearl brooches, consistency for matching purposes is also very important.

The Pearl Plaza offers a rich selection of pearls, pearl jewellery and accessories and pearl products in the Pearl Shop, while the second floor restaurant provides a fine view of Toba bay.

Kokichi Mikimoto’s ambition to adorn the necks of women around the world with pearls has meanwhile become a reality. Mikimoto stores stud not only Tokyo and other cities in Japan, but also Paris, New York City, Chicago, Boston, Los Angeles, San Francisco, Shanghai, Singapore and Mumbai. And the historic company’s manager Shibahara is on his toes exploring new buyers and markets around the world.

Mikimoto is fully aware of its environmental responsibility and the Mikimoto pearl culturing operations have achieved zero-emission status, with all akoya oyster waste and residue from the culturing process recycled or reused. [IDN-InDepthNews – 02 December 2016]

Top photo : The Pearl Globe, which had its pride of place in Kokichi Mikimoto’s office. When guests would come to see him, he would often spin the globe and say, “I go around the world everyday!” Credit: Mikimoto Company.

Second Photo: Kokichi Mikimoto. Credit: Mikimoto Pearl Island.

IDN-INPS Southeast Asia’s Director Focuses On More Than Funds

Kalinga Seneviratne, Director of INPS Southeast Asia, has left no stone unturned in 2016 not only to explore funding sources but also to widen the outreach of IDN-INDPS in Indonesia, Laos, Malaysia, Myanmar, Philippines, Singapore, Thailand, and Vietnam.

Crossing the frontiers, he has been sounding out potential sources in India, Sri Lanka, Vietnam and even the South Pacific. In Vietnam and India he has been drawing young journalists’ attention to Western prejudices, which very often tend to get implanted in the minds of the youth – much to the detriment of their independent thinking.

Central Station in New Delhi crowded as always

Commenting on his report SDGs in Asia Risk Hijacking by Western Activists, he warns on his Facebook: “We need to be alert. Sustainable Development Goals (SDGs) are the new fad in the UN system and many ‘donor’ agencies are pouring money into this. We cannot afford to let a bunch of westerners to monopolise this funding especially in Asia and throw some crumbs to their Asian partners who will do the bidding for them.”

He calls these people “dollar chasing democracy vendors”, who might perhaps soon become “dollar chasing SDG vendors”. He adds: “What is ‘Sustainable Development’ needs to come from the Asian grassroots not something to be imposed from the West. The Asian media need to monitor such attempts and be able to critically report about it. Unfortunately most of the Asian media is unable to do it. Not because they don’t have the media skills …they don’t seem to have the critical thinking skills. Lets wake up.”

As he took different countries and communities in his stride, Kalinga has been contributing at least two articles a month that found their way into numerous newspapers among others in each of those countries. It was a fascinating mix of off the beat reports and analyses – challenging the mainstream media.

Notable are his Lotus News Features and a series of features on the South Pacific produced in collaboration with Wansolwara, an independent student newspaper of the University of the South Pacific:

South Pacific: Climatic Disaster Recovery a Rights Issue

South Pacific: ‘Sea-Level Rise’ Migrants Posing a Problem

South Pacific: Foreign Logging Spurs Child Sex Fears

Steeped in Buddhism, politically alert and a sharp analyst, Kalinga has known to talk to his interlocutors about supporting IDN-INPS in whatever way they can.

Kalinga never rests – and plans his contributions in the blog THROUGH ASIAN EYES to yield a book Globe Trotting though Asian Eyes “to counter all these travel books from Anglo-Saxon perspectives”, he says.


Photo: Venerable Saranankara (4th from left) with some of the donors and recipients at the ceremony on Sunday in Kuala Lumpur. Credit: Kalinga Seneviratne.

Talk With Hideaki Domichi, Former Vice President of JICA

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Interview with Hideaki Domichi – Former Senior Vice President of Japan International Cooperation Agency (JICA), and Former Ambassador to India – on 30 November 2016 in Tokyo with questions by Ramesh Jaura DG, Chief Editor IDN-INPS, and Executive President of Global Cooperation Council. Mr. Domichi is a recipient of Higashikuninomiya International Culture Award.

Video footage on the Interview Filmed & Edited by Katsuhiro Asagiri, Bureau Chief INPS Japan

Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

気候変動問題の効果的な解決になぜ女性が関係するのか

【マラケシュIDN=ファビオラ・オルティス】

明確な前途を確立し、気候変動に関する世界的取り組みに女性を巻き込むことは、マラケシュで開かれた国連気候変動会議で政府代表や非政府主体の代表らが直面した最大の課題のひとつであった。

正式には「第22回締約国会議」(COP22)として知られるこの会議では、11月14日に特別日を設け、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)内でのジェンダー問題を特に取り上げて論議した。

「多くの研究から、女性が気候変動の悪影響を最も受けている実態が明らかになってきており、この問題に取り組む強いリーダーシップが必要とされています。」とUNFCCCのパトリシア・エスピノーサ事務局長は語った。

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「女性リーダー・持続可能な開発協会」(AFLED)のマリアム・ディアロ=ドラーメ会長は、「私たちは女性の要求をもっと重視し、気候変動に対して適切な対応を行っていく必要があります。」とIDNの取材に対して語った。AFLEDはマリのバマコを拠点にしており、15才か35才までの女児や若い女性をエンパワーする活動を行っている。

ディアロ=ドラーメ会長は、「気候変動への適応は教育へのアクセスと密接に結びついていることから、気候への適応は、女性を教育し女児を学校に通わせる全体的な解決策を視野に入れたものでなくではなりません。私たちは女児の市民権をエンパワーし、彼女たちを意思決定に関与させ、マリの政治的シナリオに取り込もうと活動しています。」と語った。

ディアロ=ドラーメ会長はまた、「サヘル地域の女性は、家族の暮らしに責任を負っており、水や食べ物を得るために危険な道路を長距離歩かねばならないこともあります。資源に乏しいサハラ地域では、男性はたいてい、女性に農業をまかせています。女性たちはこうした環境に適応のための伝統的な術を身につけてはいますが、不十分であり、支援が必要です。」と語った。

マラケシュの国連気候会議においてジェンダー問題を盛り込むべきだというアフリカの声を代表して、ディアロ=ドラーメ会長は、この問題が会議で適切に取り上げられていない、と嘆いた。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5


「サヘル出身のアフリカ女性である私たちは、こうしたハイレベル会合では交渉のテーブルにつくこともできず、取り残されていると感じています。なぜなら、私たちはそれぞれの国でジェンダー問題に対処することができず、政府は理解しようとせず、ジェンダーと人権に関するあらゆる立法は文言の上だけで実際には履行されていません。気候変動について語られるとき、それは欧米先進国の問題であって私たちの問題にはなっていません。」とディアロ=ドラーメ会長は語った。


COP22ではこの2週間(11月7~18日)、国の代表らがパリで2015年に採択された気候変動に対処するための新たな世界的協定の履行について協議を行った。パリ協定はジェンダー平等に配慮した文言を含み、気候変動行動を通じた人権義務を尊重し促進する加盟国の責任を認識し、「ジェンダーに配慮した気候変動適応措置と能力開発活動」を呼びかけている。

またCOP22では、2014年のCOP20で立ち上げられたジェンダーに関する2年間の作業計画である「ジェンダーに関するリマ作業計画」を加盟国が発展させることが期待されている。市民団体は、UNFCCCの枠組みでのジェンダーに関する明確な行動計画の策定と、リマ作業計画の下での活動に対する財政的支援を強く要求している。

中米「グアテマラ財団」コーディネーターのマイテ・ロドリゲス・ブランドン氏はIDNの収財に対して、「私たちは被害者ではないという点から始めたい。私はいま、エンパワーメントという言説の上で前進しています。」と指摘したうえで、「気候変動への対応の強さは、社会で女性をエンパワーすることに由来します。女性は地方レベルでは非常によく組織化されており、自分たちの役割をよく知っています。被害者であることから、変化の主要な担い手・主唱者になることへ向けた認識の変化に焦点をあてたい。」と語った。

ブランドン氏は、ニカラグア・グアテマラ・エルサルバドル・コスタリカ・ホンジュラスからの草の根女性団体を組織した「中米女性平和ネットワーク」を率いている。彼女の仕事は、この10年間、土地の権利や女性の権利、女性にとっての安全な都市を求めて闘ってきた草の根女性運動に光をあてることであった。彼女は、「COP22では対話は大いになされたが、行動が伴っていない。」と語った。

「先住民族や女性団体の参加は増えています。これは、一昔前なら考えられないことです。『ジェンダーに関するリマ作業計画』は短い文書であり、文面に女性のエンパワーメントは登場しません。この作業計画は間違いなく進化し、より高いレベルの意識が醸成されてきましたが、私たちは隅っこに追いやられる気はありません。より具体的な行動が必要なのです。」とブランドン氏は強調した。

Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples
Victoria Tauli-Corpuz/ UNSR on the rigts of indigenous peoples

先住民族女性の声に耳を傾けることは、「先住民族の権利に関する国連特別報告官」のビクトリア・タウリ=コルパス氏にとっても重要なことであった。「先住民族の女性にはきわめて重要な役割があります。というのも、低炭素のサブシステンス食料生産に本当に関わっているのは女性たちだからです。自分たちの土地で環境を守る役割を担っているのは女性です。彼女らの役割は、生物多様性を維持することです。」とタウリ=コルパス氏はIDNの取材に対して語った。

タウリ=コルパス氏は、COP22では確かにジェンダーに着目されたと感じている。「女性たちは、まとまろうとしている決定の中に女性の権利の問題を入れ込もうとしています。先住民族女性は、気候変動の解決に向けた強力な連携相手であり、議論の中心に据えられるべきものです。」とタウリ=コルパス氏は語った。

COP22で市民社会側のチームの調整役を務め、「モロッコ全国人権協議会」の会長でもあるドリス・エルヤザミ氏は、「市民団体と非政府主体はCOP22で重要な役割を果たしました。」と指摘したうえで、「複数の国の女性団体がここに集い、『気候正義を求めるアフリカ女性ネットワーク』の基礎を築きました。パリ協定に合意したことは、市民社会や非政府主体の影響でもありました。パリ協定は、非政府組織を含めたさまざまな主体の重要な関与について認識しています。」と語った。

114カ国780以上の国・地方政府を代表した約1500人の地方・地域指導者らがマラケシュに集い、気候変動関連資金を2017年に地域に根付かせ、2020年までに「気候変動関連資金を地域化するグローバル行動枠組み」を実行する世界的なキャンペーンを開始する行動に向けたロードマップを発表した。(原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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Getting To Know ‘Issatsu no Kai’ (One Book Association)

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INPS-IDN visited Issatsu no kai, a Japanese NGO, dealing with gender empowerment for 50 years, at its office in Tokyo on November 29 to assess recent cooperation including FAWA convention in Singapore in September and the official visit of King and Queen of the Kingdom of Lesotho in November, co-organized by them. Both parties explored further cooperation in connection with Sustainable Development Goals, particularly the empowerment of women. 一冊の会FB

憲政の父・尾崎行雄に学ぶ「一票の価値」(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

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【東京IDN=石田尊昭】

国会議事堂の向かい側にある憲政記念館で、11月9日~12月2日まで特別展「普通選挙をめざして―犬養毅・尾崎行雄」が開催されている。同館の前身は、1960年に、憲政の父・尾崎行雄を記念し建てられた「尾崎記念会館」である。1970年に増築・拡大し現在の形となった。

「憲政二柱(ふたはしら)の神」と呼ばれ、日本の憲政とデモクラシーをリードしてきた犬養と尾崎を、「18選挙権元年」となった今年、同館が取り上げる意義は大きい。

18歳選挙権施行にあわせて、学校での主権者教育に注目が集まっている。「何をどこまで教えるか」「政治的中立性をどう確保するか」――施行から5カ月を経た今も、現場では試行錯誤が続くと聞く。

主権者教育の目的は、政治・政策について自分の頭でしっかりと考え、意見を出し合い、異なる意見や少数意見にも耳を傾けるという民主的態度を生徒に身に付けてもらうことである。

それは授業の中だけで完結するものではない。むしろ授業以外のところで、政治・政策について生徒たちが日常的に考え、議論することが求められる。授業はそれを促すための「きっかけづくり」と考えるべきだろう。

そして何より「一票の価値」を知ってもらうことだ。その一票が自分の政治的意思の表れであり、一票を大事に扱うことは、自分という存在を尊び、大事にすることであるという自覚を持つことが重要だ。

尾崎行雄は、日本国憲法が施行された1947年、若者向けの「憲法と民主主義のテキスト」として『民主政治読本』を著した。その中で、「この一票こそ、人間の生命・財産その他の権利・自由を確保する最後唯一の自衛権である」と述べている。また、投票にあたっては「何よりもまず、自分はいかなる政治を希望するかという自分の意思を、はっきり決めてかかることが大切である」と述べている。

尾崎は、多くの国民が民主主義を理解しないまま普通選挙を実施するのは時期尚早だとして、選挙権の拡大には長年否定的な立場だった。同時に、だからこそ民主主義の精神を根付かせようと、立憲政治・議会政治のあり方について国民に説き続けた。

Ozaki Yukio
Ozaki Yukio
Takaaki Ishida/ Ozaki Yukio Memorial Foundation
Takaaki Ishida/ Ozaki Yukio Memorial Foundation

そうした尾崎の信念や取り組みを憲政記念館で振り返りながら、多くの若者に「一票の価値」を再発見・再認識してほしい。

特に若者に期待を寄せ、青年の政治教育(今で言う主権者教育)の大切さを訴えた。そして「民主主義とは何か。選挙・政党・議会はどうあるべきか」について、講演や著作を通じて若者に説き続けた。いわば「主権者教育の実践者」でもある。

憲政記念館の入口に立つ、帽子を掲げた尾崎行雄(像)が、皆さんの来館を待っている。

INPS Japan

石田尊昭氏は、尾崎行雄記念財団理事・事務局長、INPS Japan理事、「一冊の会」理事長、国連女性機関「UN Women さくら」理事。 

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国連の新開発アジェンダ、若者に重要な役割を与える

【国連IDN=ロドニー・レイノルズ】

2030年までの実現を目指す17の分野からなる国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の実行において若者が果たす主要な役割を強調し続けている潘基文事務総長は、世界中の多くの若い人々が経済危機や不況によって不釣り合いなほど大きな影響を受けていると指摘した。

「新しい開発アジェンダを先頭で導くものとして、皆さんには、貧困や不平等、飢餓、環境悪化を終わらせるうえで重要な役割があります。皆さんの行動は、『誰一人取り残さない』時代を招来するうえで中心的なものとなるだろう。」と潘事務総長は会場の若者らに呼びかけた。

最近の国連統計によれば、世界全体で7300万人以上の若者が失業している。

それでもなお、今日世界には、史上最大数の若者がいる。つまり、世界人口の実に約46%が25才以下である。「中でもアフリカと中東では若年層の割合が最大であり、人口の6割にも達します。」「これは、平和と開発に向けた革新的な解決策を生み出す特異な機会が存在することを意味します。」とヤン・エリアソン国連副事務総長は指摘した。

Deputy Secretary-General Jan Eliasson/ UN Photo/Rick Bajornas
Deputy Secretary-General Jan Eliasson/ UN Photo/Rick Bajornas

こうした状況を背景に、創価学会インタナショナル(SGI)と地球憲章インタナショナル(ECI)は、「青年こそがSDGsの普及と推進をレベルアップさせる」と題する会議を共催し、市民社会組織(CSO)、若者代表、外交官、国連高官など約100人が参加した。

スリランカ政府国連代表部が主催したこの会議は、11月10日にニューヨークの国連本部で開催された。

パネリストは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」担当のデビッド・ナバロ国連事務総長特別顧問、スリランカ政府国連代表部のサバルッラ・カーン次席代表、国連事務総長青少年問題特使事務所のサスキア・シェレケンス特別顧問、国際NGO「SOS子どもの村」のソフィア・ガルシア国連代表の4人。司会は、マヘル・ナセル国連広報局アウトリーチ部長がつとめた。

ナバロ特別顧問は開会あいさつで、2030アジェンダの普遍性を強調し、「若者は持続可能な開発の一部でなければならない。」と強く訴えるとともに、SDGsのメッセージを世界に伝える役割をもった若者の重要性と、このプロセスにおける新しい技術の有用性について特に指摘した。

サバルッラ・カーン次席代表は、スリランカ政府が若者を特に重視している点を改めて指摘して、「スリランカが2030アジェンダを国家レベルで実行しようとする中で、『誰一人取り残さない』というアジェンダの主要なビジョン実現のため、女性や若者、子ども、障害者を国家計画の中心に据えています。」と語った。

カーン次席代表はまた、「SDGs実現において若者には独自の役割があり、スリランカ政府もその役割について認識しています。」と指摘したうえで、「SDGs達成を支持するうえで、若者が特に果たし得る役割とは、世界の民衆に対してその(=2030アジェンダの)メッセージを伝えることにあります。」と語った。

カーン次席大使は、スリランカ政府は、この意識喚起キャンペーンにおいて、若者を動員することでプラスの効果が出てきている、との見方を示した。

「SDGs実現のために若者を完全に巻き込むには依然としていくつかの障害があるものの、こうした障害は、教育や能力開発、イノベーションを通じて若者をエンパワーする(=内発的な力を開花させる)ことによって、乗り越えることが可能です。」とカーン次席大使は語った。

カーン次席大使はまた、「スリランカは、若者の教育と能力訓練の促進に関して包摂的な戦略を作成してきました。また、若者のための能力開発の重要性を認識しているスリランカ政府は、7月15日を『世界青年スキル・デー』に指定するにあたって尽力しました。」と指摘した。

若者に関する国連事務総長特使特別顧問のサスキア・シェルケンス氏は、若者問題を前進させるうえでスリランカが国連において果たしている重要な役割に感謝の意を述べるとともに、SDGsに関する意識喚起と、この目的のために若者を関与させることの重要性を強調した。また、若者をエンパワーする手段として「青年問題・技能教育省」を強化することが必須課題だと語った。

国際NGO「SOS子ども村インターナショナル」のソフィア・ガルシア国連代表は、SDGsに関連した意思決定構造に若い人々を巻き込む重要性について語った。

ガルシア国連代表は、「個人でも社会でも、幼少期の質が将来の発展を左右します。」「すべての子どもが重要なはずなのに、必ずしもすべての子どもが重要だとはみなされていません。子どもたちの関与に関しては、容認しがたいデータ不足の問題があります。」と述べ、SDGsに関する各国及び国際的履行監視システムにおいて子どもを関与させることを訴えた。

Tadashi Nagai/ SGI

パネルディスカッションに先立って公表されたSGIとECIが準備したコンセプト・ペーパーには、SDGsの履行と達成には、市民社会、とりわけ若い世代の積極的な参加が必要とされる、と述べられている。

SDGsを通じて対処しようとする世界的な課題は、今日の若者に深刻な影響を与えているだけではなく、その将来にも影響を与える。さらに、若者は技術的なツールやソーシャルメディアの扱いに通じており、こうした資質は、SDGsを促進し、それを支持する取り組みを促すためにも活用することが可能である。

SDGs達成における若者の役割の重要性は、『私たちの世界を転換する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』でも強調されており、「我々が今日発表しようとしている、今後15年間のグローバル行動のためのアジェンダは、21世紀の人々と地球のための憲章である。」と述べられている。

「子供たち、若人たちは、変化のための重要な主体であり、彼らはこの目標に、行動のための無限の能力を、また、よりよい世界の創設にむける土台を見いだすであろう。」

イベントでは、「マプティング(Mapting:マップとアクティングを合わせた造語)」と呼ばれる新しいスマホアプリも発表された。SDGsに関して若者を教育し関与させることを目的として、SGIとECIの2人の若者代表が開発した双方向型アプリである。

Dino De Francesco/ ECI

SGI平和運動局の副主任で、「マプティング」共同プロジェクトマネージャーでもある永井忠氏は、アプリ発表にあたって、「『マプティング』を国連で発表する機会を得て光栄です。」と語った。

永井副主任はまた、このプロジェクトはSDGsの推進が開始された1月に始動したが、開発には10カ月の歳月を要した、と語った。

他方で、国連によって制作された「SDGs・イン・アクション」をはじめとするSDGs普及のためのアプリも発表されているが、「マプティングが、一般市民、特に若者の意識を草の根レベルで喚起する点で他のアプリを補完するようなものになることを願っています。」と永井副主任は語った。

マプティングを共同開発したECIの・デジタルコミュニケーション担当のディノ・デ・フランチェスコ氏も参加して、アプリのビジュアルプレゼンテーションも行われた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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