尾崎財団設立60周年特別記念復刻
■「尾崎記念会館・時計塔建設記」
-建設の想いでと忘れ得ぬ人々-/川崎 秀二
■特別寄稿
尾崎財団設立の追憶/高橋大輔
■INPS JAPAN
国連、レソトの貧困撲滅支援強化へ
■連載『尾崎行雄伝』
第六章 改進・自由の泥仕合
■財団だより

日本と世界の将来像に鋭く迫ります。また、海外からの意見や有権者・政治家の声なども掲載しています。
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■「尾崎記念会館・時計塔建設記」
-建設の想いでと忘れ得ぬ人々-/川崎 秀二
■特別寄稿
尾崎財団設立の追憶/高橋大輔
■INPS JAPAN
国連、レソトの貧困撲滅支援強化へ
■連載『尾崎行雄伝』
第六章 改進・自由の泥仕合
■財団だより

【ウランバートル/アスタナIDN-INPS=ジャルガルサイハン・エンクサイハン】
核兵器の廃絶は、この大量破壊兵器をなくそうという70年におよぶ人々の熱意と希望を反映した、野心的な目標だ。ポスト冷戦期のパラドックスは、核兵器の数自体は削減されたものの、核兵器を保有する国の数は増えたという点にある。
また、核抑止ドクトリンをはじめ、冷戦期のレトリックや時代精神の復活、超音速の核兵器運搬手段の実験、(核使用)決定までに僅かな時間しかない高度な警戒態勢、核使用のハードルを引き下げる「爆発力調整」技術の導入によって、核使用のリスクは高まっている。
核兵器は人類を破滅させる兵器であり、従ってすべての人々にとっての脅威である。過去の記録を振り返れば、人類が核の破滅を逃れることができたのは、抑止政策のためではなく単なる偶然によるものであったことがわかる。人類の将来を、運や一部の人間の政策に委ねることはできない。
「人道主義的アプローチ」は、そうした核兵器のごく一部分でも使用されれば、医療、環境、人道の面で壊滅的な帰結を引き起こすことを、あらためて強調した。核兵器は人類にとって危険な自爆爆弾であり、核を保有する国々は、いってみれば潜在的な「自爆テロ犯」だとみなしてよいだろう。従って、核兵器の廃絶を目指す闘いにおいては、核保有国やその同盟国だけではなく、あらゆる国の積極的な参加が必要となる。
モンゴルの意義

冷戦期、モンゴルはある核兵器国(=ソ連)と同盟を組み、軍事基地を置くことを許していた。そのためモンゴルは核兵器国間の緊張関係の人質となり、その軍事紛争に容易に引き込まれる構造になっていた。
しかし冷戦が終焉し国際情勢が変化すると、モンゴルはそうした同盟に依存することを止め、共通の安全保障の論理と要請に従って、もっぱら政治的・外交的手段によって安全保障を確保する選択をしてきた。
こうして、1992年、モンゴルは「一国非核兵器地帯」の地位を宣言した。一貫性のある継続した政策、そしてそれへの広範な国際的支持を得て、今日のモンゴルは、国際的に認められた非核地位を享受している。
2012年、核保有五大国(P5)はその共同宣言で、モンゴルの非核地位を尊重し、それに違反するような如何なる行為も行わないことを誓った。この共同宣言は、モンゴルの地政学的な位置を反映して、モンゴルに特化した保証を与えたものである。それは、将来の地政学的な核の対立状況においてモンゴルを手駒として使うことはないと宣言したものであった。
実際上は、それは、150万平方キロという広大な領域が、「グレーゾーン」あるいは不安定要素になるのではなく、信頼と安定の地帯になるということを意味する。このことは、一国および地域の安全保障を強化するうえで国際社会のそれぞれのメンバーの役割が大変大きいことを示している。地理あるいはその他の要因によって、既存のあるいは新規の非核兵器地帯の加盟国になることができない約25の国や地域が、モンゴルの経験から利益を得て、「グレーゾーン」になることを避けることができるかもしれないのである。ここに、モンゴルの貢献と経験の実際上の重要性がある。
モンゴルの立法
モンゴルの非核地位は、単にP5による政治的了解、あるいはP5との取り決めであるにとどまらない。それは、国益と国の立法を基盤としたものでもある。こうして、2000年、モンゴルは一国レベルで非核地位を定義する立法を行い、その地位を犯すような行為を犯罪化した。モンゴル政府は、議会に対して定期的にその実施状況を報告しなくてはならない。この報告を基礎として、モンゴル政府は2015年、非核地位を地域安全保障の取り決めの不可欠の一部とすることを目的とした決議を可決した。
北東アジア非核兵器地帯
モンゴルは、自らの経験をもとに、北東アジアに非核兵器地帯を創設することが可能か、そしてそれはいかにして達成可能か、を検討する非公式ベースの作業を北東アジアの国々と行う用意があるとの意思表示をしてきた。これは、このデリケートで予断を許さない北東アジア地域において、安全保障の包括的なアプローチの本質的な要素となるものである。モンゴル大統領が2013年の核軍縮に関するハイレベル会合で既に指摘していたように、北東アジア非核兵器地帯の創設は決して容易な課題ではなく、勇気と政治的意志、忍耐を必要とするものだ。それは実現可能だが、いますぐできるというわけでもない。この地域の地政学と地域的な軍拡競争の可能性を考えると、北東アジア非核兵器地帯創設の道筋と手法を編み出すには特別の努力が必要とされるだろう。
「ブルーバナー」の活動
2005年に創設された独立の市民組織である「ブルーバナー」は、政府と協力して、モンゴルの地位を国内的にも国際的にも高める取り組みを進めてきた。今日、ブルーバナーはいくつかの問題に関する研究を進めている。ひとつには、モンゴルの地位を東アジア地域の安全保障や安定とつなげる適切な措置の策定について検討している。また、北東アジア非核兵器地帯創設への包括的アプローチについて、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)のような域内の他のNGOやシンクタンクと協力している。
ブルーバナーは、今日において、ある国の領土に核兵器が単に存在しないということは、核の対立関係や紛争に巻き込まれたり、その状況の中で利用されたりする、ということにはならないと考えている。軍事計画において時間と空間が決定的な要素である場合には、非核兵器地帯の領域は、軍事の計画や準備、実行において利用されることになるかもしれない。
従って、ブルーバナーは、非核兵器地帯の意味合い(たとえば、単に核兵器が物理的に存在しないということだけではなく)を理解・解釈するための、より広範なアプローチの実行可能性について研究している。それはまた、核兵器使用インフラの追跡への関与、自国内への設置、あるいはそれへの関与を排除するという意味も含むだろう。
ブルーバナーは、「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ」の一員として、北東アジアの他の市民団体と協力して、最近立ち上げられた「トラックII(=民間対話)ウランバートルプロセス」の枠組みにおいて、包摂的な地域のトラックII対話に向けた空間と場を作り出し、実践的な考え方を生み出すための取組みを行っている。すなわち、朝鮮半島の状況や、北東アジア非核兵器地帯の創設といった問題への対応に貢献する有益な考え方や提案の「実験室」として機能したいと考えている。

要するに、核兵器なき世界を作り出すためにはすべての国々の貢献が必要なのである。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
※ジャルガルサイハン・エンクサイハン博士は、モンゴルを国内外で代表する政府の一員として印象的な経歴の持ち主である。2013~14年、多国間問題担当大使。モンゴルで2013年に開かれた「民主主義国共同体」の閣僚会合に向けた組織委員会の顧問。2008~12年、モンゴルの駐オーストリア大使、国際原子力機関(IAEA)大使。1996~2003年、モンゴルの国連大使(駐ニューヨーク)。1978~1986年、外交官として国連代表部に勤務。
関連記事:
北東アジアに非核兵器地帯?(ジャヤンタ・ダナパラ元軍縮問題担当国連事務次長)
エンクサイハン大使と8月31日に同行したセメイ(旧名:セミパラチンスク)訪問の映像ドキュメンタリーはこちら。
【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」。ユネスコ憲章前文はこのように謳いあげている。これはまた、「脱軍事!平和の気運醸成へ向けて:行動アジェンダを生み出す」と題された世界大会での中心的なメッセージでもあった。大会は、ベルリンで9月30日から10月3日にかけて開かれた。
「世界は過剰に武装しており、平和には過少な投資しかなされていない」という潘基文国連事務総長の言葉は、ベルリン工科大学のホールにも鳴り響いていた。
国際平和ビューロー(IPB)がドイツやその他の欧州諸国の団体、国際団体と協力して組織したこの集まりには、世界中の平和・軍縮・開発問題の活動家だけではなく、現職および元職の国連関係者、研究者、政府関係者、市民社会、宗教組織からも多数の参加があった。
IPBのインゲボルグ・ブレイニス共同代表は「過剰な軍事支出は、飢餓や苦しみに耐える人々からの『盗み』であるにとどまらず、人間の安全保障や平和の文化を確保する手法としては非効果的なものです。」と述べて、会議の方向性を示した。
1兆米ドル以上にも上る恐るべき軍事支出を大幅に削減することで、貧困削減につながるだろう。現在、人類の約3分の1は耐え難い状況下で暮らしており、その大多数が女性や子ども、若者たちだ。
「軍事部門から資金を移転し、気候変動、核兵器、行きすぎた不平等の問題等、地球や人類の生存そのものを脅かす真の安全保障問題に取り組まねばなりません。」とブレイニス氏は語った。
ブレイニス氏はまた、「すべての国々は、国連持続可能な開発目標が実施されている15年間(2015年~30年)で、1年あたり10%の軍事支出を削減しなくてはなりません。それで力の不均衡が是正されるわけではありませんが、民衆のニーズや希望を満たすうえではかなりの成果が得られるでしょう。」と指摘したうえで、「1年間の(世界の)軍事支出は国連の年間予算615年分に相当するため、軍事支出を削減すれば『戦争の惨禍から次の世代を救う』国連の取組みと可能性を強化することにつながるだろう。」と訴えた。

1987年から99年までユネスコ事務局長を務めたフェデリコ・マヨール・サラゴサ氏は、開発のための軍縮と、平和と非暴力の文化に向けて戦争の文化を転換することを訴えた。
マヨール氏は、「重要なのは国連の193の加盟国であって、G7やG8、G10、G15、G20、G24といった派閥的なグループではありません。」と述べ、国連強化の必要性を情熱的に訴えた。
サラゴザ氏は現在、「平和文化財団」の会長であり、「世界の子どもたちのための平和・非暴力文化促進の10年」の名誉理事会のメンバー、「平和アカデミー」の名誉議長でもある。
「1972年の生物兵器禁止、1996年の化学兵器禁止の場合とは異なり、核保有国は核兵器の禁止に激しく反発し、現在もその反発は続いています。」とジャヤンタ・ダナパラ氏は語った。ダナパラ氏は、1998年から2003年にかけて国連事務次長(軍縮担当)を務め、現在、「科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議(1995年にノーベル平和賞を受賞)」の議長を務めている。
ダナパラ会長は、「偽薬的な核軍縮」から「核兵器なき世界」へと移行する緊急の必要性を強調した。現在、広島・長崎を71年前に破壊した米国の原子爆弾よりもはるかに爆発力の大きい推定1万5850発の核兵器が9カ国によって保有され、そのうち4000発が高度な警戒態勢に置かれているのだから、なおさらである。

9カ国すべてが多大な費用をかけて核兵器の近代化を進める一方、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、核実験禁止という国際規範に反して、5回目の、そしてこれまでで最も強力な核実験を9月9日に強行した、とダナパラ会長は語った。
カザフスタンのエルラン・イドリソフ外相の代理で参加したエルボラト・センバエフ大使は、中央アジアに位置するカザフスタンの例に核兵器国が倣い、すべての大量破壊兵器を廃棄する必要を強調した。
平和と対話、国際協力を強調したカザフスタンの外交政策は、核兵器の「非道義性」の認識、「安全保障のビジョン」、「健全な環境の保持」に導かれています、とセンバエフ大使は指摘した。
「カザフスタンが、核実験を終わらせ、核兵器の危険性を警告する世界的なキャンペーンの先頭に立っているのは、このことを視野に入れているからです。」とセンバエフ大使は語った。
他の登壇者らも、2009年9月9日にメキシコシティで開かれた第62回DPI/NGO会議「平和と開発に向けて:今こそ核軍縮を!」の開会あいさつで潘基文国連事務総長が指摘した残念な事態(「世界は過剰に武装しており、平和には過少な投資しかなされていない」)は依然として続いている、と語った。

IPB世界大会は、その「行動アジェンダ」において、「変革が必要な仕組みのリストの上位には、戦争体制を支える経済がある。私たちの主要な焦点は、軍事費に充てられる高いレベルの税収の問題である」と述べた。
「世界の諸政府は、軍事費に年間で1兆7000億ドル以上を割り当てており、これは実に冷戦期のピークを上回っている。この莫大な金額のうち約1000億ドルは核兵器関連のものであり、その生産や近代化、使用は、軍事、政治、法、環境、道徳の各観点からして、禁止されるべきものである。」
「行動アジェンダ」は、この1兆7000億ドルのうち7割以上が北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国によるものだと指摘する。「NATOが進めているこの危険な流れを反転させるために、私たちは、NATO諸国に対して、『GDP2%目標』を撤回し、軍事予算をさらに増やせとの圧力に断固として抵抗することを求める。」IPBの見解では、NATOは、解決策ではなく問題の一部であり、ワルシャワ条約機構の解散と共に解体されるべきものであった。
IPB行動アジェンダは、法の支配の軽視も指摘している。これは、混乱状態にある世界が直面している重大な事象のひとつである。「軍隊が繰り返し病院や学校を爆撃し、民間人を攻撃するとき、ある国が他国を侵略しその正当性に対する疑問が付されないとき、軍縮に対する長年の約束が果たされないとき、国連やその他の政府間機関のよき統治が大国間ゲームの狭間で脇に追いやられるとき、市民の行動こそが緊急に求められるのだ。」
「アジェンダ」は、人間のニーズを満たすための着実な取り組みを求めている。すなわち、支配的な成長モデルの拘束から解き放たれた持続可能な緑の経済に向けた資金移動である。そうした経済は、膨大な軍事支出と折り合うことはない、と「アジェンダ」は論じている。
「経済の脱軍事化には、民主主義、透明性、参加が要求される。このことは、軍事システムと、それに取って替えるために推進される平和構築・開発モデルの両面にわたって、ジェンダー視点を稼働させることを意味する」。
「軍事支出に関するグローバルキャンペーン」は、単に軍事予算削減以上のことを意味する、と「アジェンダ」は宣言する。それはまた、▽民需志向の経済への転換、▽軍事研究の廃止、▽平和を積極的に推進する技術革新、▽人間的解決と持続可能性を一般的に適用するための機会の創出、▽開発協力、暴力的紛争の予防・解決、▽心の脱軍事化、をも意味している。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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【ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】
包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名開放20周年を翌日に控えて、国連安保理は、20年前に確立されている核実験の事実上の世界的禁止を強化する決議を採択した。
拒否権を持つ米国・ロシア・中国・英国・フランスの5大国(P5)と、ローテーションで選出され2年の任期を持つ非常任理事国10カ国からなる国連安保理は、9月23日の集中審議の後、賛成14・反対0・棄権1で決議を採択した。エジプトは、決議の文言が核軍縮の必要性を強調していないとして、棄権した。
安保理は、「条約の死活的な重要性と、その早期発効を図ることの緊急性」を強調し、「すべての加盟国に対して、核爆発実験あるいはその他のいかなる核爆発も実施することを控え、この点に関するモラトリアムを維持することを呼びかけ」た。
そうしたモラトリアムは、「条約の早期発効と同じような、恒久的で法的拘束力のある効果を持つものではない。」と決議は指摘した。
決議は、9月15日の5大国による条約に関する共同声明に言及した。この声明は、「核爆発実験あるいはその他のいかなる核爆発も、CTBTの目標と目的を損なうもの」だと述べていた。
国連の潘基文事務総長は、条約を支持する安保理の行動を歓迎し、事態を主導した米国とそれを支持した安保理理事国、とくに常任理事国を賞賛しつつも、決議は「CTBT発効の代わりにはならない」と語った。
安保理決議採択直後に記者会見した包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)のラッシーナ・ゼルボ事務局長は、「核実験に反対する規範の強化につながるあらゆる取り組みをCTBTOは歓迎します。」と語った。
「非常に時宜を得た決議です。というのも、今年は包括的核実験禁止条約の署名開放20周年にあたるからです。と同時に、北朝鮮の行動が、核実験のモラトリアムを強力かつ確固たるものにすることでこの条約を発効させる絶対的な必要性を国際社会に思い起こさせたからです。」とゼルボ事務局長は語った。
ゼルボ事務局長が言及しているのは、北朝鮮が最近実施した核実験のことである。CTBTO、国連事務総長、安保理、それに国際原子力機関(IAEA)がこの実験を非難している。
ゼルボ事務局長はまた、「今日の安保理における決議採択は、包括的核実験禁止条約が依然として意義のあるものであることを示している。」と指摘した。
「この(安保理)決議が条約批准プロセスの代わりにはならないという、一部の国々の懸念については理解しています。引き続き批准プロセスが条約を発効させるための究極の方法であることには変わりありません。しかし、イラン合意が成立した今、この決議は、軍備管理・不拡散・そして究極的には核軍縮へと前進するための次の主要な要素になるという点で、重要なステップと言えるでしょう。私たちは、今後も軍縮に向かってさらなる措置が採られることを期待しています。なぜなら、国際社会はつまるところ、核兵器なき世界を追求しているのですから。」とゼルボ事務局長は語った。

ゼルボ事務局長は、「核なき世界への第一歩は核実験禁止から」と指摘したうえで、「まずは核実験を停止すること。それから、既存の合意内容を強化するであろう諸措置を採ること。そのうえで、誰もが望んでいる世界、つまり、今日一部の者が口にしている核兵器近代化の試みなどない世界へと、国際社会を導いていくことによって、核兵器なき世界は実現されるだろう。」と語った。
ゼルボ事務局長はまた、ウェブサイトに掲載したメッセージのなかで、「今年の(CTBT署名開放から)20周年は、CTBTに関連した数多くの国際会議やイベントが既に開かれており、スワジランドとミャンマーの2カ国が最近批准を済ませて、批准国は全体で166カ国になりました。一方で今年という年は、北朝鮮による2度(1月と9月)にわたる核実験によって、国際社会は、条約発効を前進させる緊急性を思い知らされることになりました。」と記している。
8月、アスタナ(カザフスタン)、ニューヨーク、ウィーンで、「核実験に反対する国際デー」とセミパラチンスク核実験場閉鎖25周年の国際会議が開催された。
「核実験禁止に向けたアート」という取り組みが、例えばニューヨークで9月21日に行われた国連郵政局切手の発表等、今年1年をかけていくつかの展示会において行われている。
潘事務総長は、安保理の行動は「核実験に反対する国際的な規範が、ある国によって何度も挑戦を受けている中では、きわめて時宜を得たものだ。」と語った。

ある国とは、(公式には朝鮮民主主義人民共和国と呼ばれる)北朝鮮を指したものだ。北朝鮮は、2006年、2009年、2013年、2016年に、安保理決議に違反する形で核実験を強行している。
5回目の、おそらくはこれまでで最大級の核実験は9月9日に行われた。北朝鮮政府は、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の爆発に成功したと主張している。
潘事務総長は、CTBTを批准していない2つの核兵器国、すなわち中国と米国に対して、「CTBT附属書2に記載されている他の6カ国と共に、核実験モラトリアムへのコミットメントを緊急の行動に変換して速やかにCTBTに加入するよう」をあらためて呼びかけた。
実際、この8か国がCTBTの発効を妨げているのである。中国、エジプト、イラン、イスラエル、米国は、署名は済ませたが依然として批准していない。インド、北朝鮮、パキスタンは署名すらしていない。「条約の普遍性を実現するには、一つ一つの批准行為が重みを持っています。」潘事務総長は語った。
米国の主導の背後にあるもの
国連事務総長による米中両国への条約批准呼び掛けは、次の事実によって裏付けられている。すなわち、米国は、CTBTに関する決議を最初に安保理に対して提示した際、その目的について、CTBTとその検証体制に対する世界的な支持を強化するとともに、「核実験を続け、国際行動の事実上の規範に反する形で行動する国々を非難することだと説明していた。しかし一方で、決議はあらたな法的義務を創出するものではない、ともしていた。
こうした米国の取組みは、米国内の政治と、バラク・オバマ大統領の核不拡散政策のレガシー(政治的遺産)を強化しようとの願望に動機づけられたものではないか、と広く考えられている。米国は条約を初期に署名しているが、米議会は1999年に条約批准を否決し、継続的な努力がなされているにも関わらず、オバマ政権は米議会を条約批准に賛同させることに成功していない。
識者によると、CTBT関連決議という考えに対する安保理理事国の当初の反応は「それほど熱心なものではなく、交渉は困難なものであった」という。草案はまず5大国の間で合意が得られ、この議論の不可欠の一部として5大国共同声明を付ける形で、非常任理事国からの支持を取り付けていったのである。
核軍縮
協議が安保理全体に移行すると、核軍縮に関して強い見方をかねてから持っており、核不拡散条約(NPT)上の義務を満たしていない核兵器国に対して批判的な一部の理事国から、重大な留保が提示された。とりわけ、国連総会第一委員会で新アジェンダ連合(NAC)を構成しているエジプトとニュージーランドである。
他にブラジル・アイルランド・メキシコ・南アフリカを構成国とするNACは、「非核世界へ向けて:核軍縮義務の履行を加速する」と題する決議を毎年国連総会第一委員会に対して提出している。通常は、中国などいくつかの国が棄権し、その他のP5諸国が反対という結果になっている。
現在の安保理の構成をみると、核軍縮義務を遵守していないとしてP5に批判的な非同盟運動諸国が一部含まれている。アンゴラ、マレーシア、セネガル、ベネズエラ、それにエジプトだ。
その意味で、決議採択前の米国・エジプトの声明と、決議採決後のその他の国々の声明を読んでみると、きわめて興味深い。
採決前後の声明
米国のジョン・ケリー国務長官は、決議案採択前に、加盟国には、より安全で平和な地球という、CTBTがもたらすとされた未来を再確認するチャンスがあると述べていた。この10月、国際社会は、旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ最高指導者(当時)と米国のロナルド・レーガン大統領(当時)によるアイスランド会合から30年を迎える。会合で両者は、核問題に関して新しい方向に踏み出すことを宣言したのだった。

最近では、米国とイランが2年もの時を費やして、誰もが不可能だと考えていたことを協議した、とケリー長官は語った。その内容とは、ある国(=イラン)が核計画を放棄し、世界をより安全にする措置を採る用意があることを明確にする、というものだ。
世界各地の責任感ある政府は、核物質や核兵器のもたらす危険性に対処する努力を進めてきた。今回国連安保理で決議が採択されたことは、核エネルギーが平和目的にのみ使われるような、より安全な世界の実現に向けて安保理は弛みなき努力を継続していくとの兆候であろう。
今日の技術をもってすれば、「私たちの実力を検証するために実際に核兵器を爆発させる必要はない」とケリー長官は述べ、「この安保理決議は、核兵器なき世界の実現は可能であり、そうした将来を現実のものとするために諸国があらゆる手を尽くしている事実を世界中の人々に対して改めて示しました。」と付け加えた。
エジプトのヒシャム・バドル外務副大臣(国際機関担当)は、決議に関する6つの懸念を提示して、国連安保理は、今回の決議が目指した形で核実験禁止条約の問題を取り扱うには適切な場ではないと強調した。
決議文は核不拡散条約の重要性を強調しておらず、本文の中でこの点に触れていない。「どうしてCTBTの普遍性達成にそれほど熱心でありながら、核不拡散条約については沈黙を保っているのか?」とバドル氏は問い、核不拡散条約の全ての加盟国に対して、同条約の普遍性を追求するよう呼びかけた。
決議はまた、核軍縮に向けた措置の緊急性と重要性に触れておらず、1995年・2000年・2010年の核不拡散条約運用検討会議の成果文書を黙殺している。
さらに、核軍縮を文中で触れないことは、決議の信頼性を著しく損ね、安保理は軍縮に対する「いいとこ取り」のアプローチを採用しているとの誤ったメッセージを国際社会に送ることになる、とバドル氏は語った。
バドル氏はまた、「その意味で、決議は核兵器国を非核兵器国に対して不当に平等な位置に立たせています。」と指摘したうえで、「CTBT準備委員会や暫定技術事務局の活動に対して手を突っ込むような決議のやり方は『逆効果』であり、決議文は難しいジレンマを反映しています。」と語った。

検証体制の完成を急ぐべしとする安保理に対して一部の国々が賛意を示す一方で、それらの国々の立法府は幾度もCTBT批准を拒み、責任を果たしていない。こうした留保にも関わらず、エジプトは決議採択を棄権することにした、とバドル氏は語った。
賛成14・反対0・棄権1の投票結果の後、セネガルのマンクール・ヌディエ外相は、核不拡散だけではなく核軍縮も最終目標だと語った。この目標に向かうために、核兵器国間での不拡散を強化することが重要で、核兵器国は消極的安全保証を供与すべきだ。
マレーシアのラムラン・ビン・イブラヒム国連大使は、核実験禁止条約が未発効であることに重大な懸念を表明し、その早期発効を訴えた。核兵器を保有し、核兵器を製造する能力を持つ国々に対して完全核軍縮義務を課すいかなる条項もCTBTには含まれていないため、条約内で保護されているこの行動は軽視することができない。
決議はこの事実を十分に認識していない。さらに、核能力を持つ国々は条約を批准する責任を取ることが極めて重要だ、とヌディエ外相は述べ、「附属書2」記載の発効要件国に対して速やかに批准するよう呼びかけた。
前途にある課題は、「一握りの国によってのみ合意されうる文書について安保理決議で言及する先例を作らないようにすることです。」とヌディエ外相は語った。すべての安保理理事国の懸念がバランスよく取り込まれないかぎり、決議の権威と信頼性は下がることになる。
ニュージーランドのジェラード・ヴァン・ボーメン国連大使は、核実験禁止条約の20周年は祝うべきことだが、条約が依然として発効していないことはきわめて残念だと語った。ヴァン・ボーメン国連大使は、条約を署名・批准していない国に速やかに手続きを済ませるよう強く訴えながら、「それらの国々が手続きを完了するまで、国際社会は核実験の問題に終止符を打つことはできない。」と語った。
ニュージーランドは、偶然にも安保理の常任理事国である核保有5カ国による共同声明に安保理決議で言及されたことに対する、一部の安保理理事国の留保に賛意を示しつつ、いかなる集団であってもその「観点を正当化するために安保理が利用されることは遺憾だ」と語った。
「一部の国が核兵器を保持し、国家安全保障のためにそれが不可欠だと主張し続けるかぎり、同じことをやろうとする国はなくならないだろう。」とヴァン・ボーメン大使は語った。このパラドックスは、核不拡散と核軍縮とが相互に強化し合う性格である点に光をあてるものだ。「片方を無視すれば、他方も後退することになります。」とヴァン・ボーメン大使は語った。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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【東京IDN/尾崎行雄記念財団】
本日のトピックは、尾崎行雄の三女・相馬雪香が晩節に力を注いだ社会貢献活動の一端に関するご紹介です。
およそ半世紀に渡り尾崎財団を支え続けた相馬雪香。彼女の晩年は今年で18期目を迎える人材育成塾・咢堂塾(がくどうじゅく)、そして「アフリカのスイス」と呼ばれるレソト王国との友好に捧げられました。
相馬は2008年(平成20年)、日本とレソト王国との友好親善を目的とした日本レソト王国友好協会を発足、会長への就任後ほどなくしてこの世を去りました。その志は同じく相馬の志を継いだNPO法人・一冊の会が同国との友好を今も継続していますが、3.11後も同国のリチャド・ラモエレツィ大使閣下が福島の相馬市を訪問されるなど、わが国にとってかけがえのない友好国でもあります。前置きが長くなりましたが、1966年(昭和41年)10月4日、レソトが英国から独立した日でもあります。同国との友好は当財団の理事でもある石田が理事長を務める一冊の会が、恐らくわが国で一番の民間外交を展開しています。
INPS Japan
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【ベルゲンIDN=ロワナ・ヴィール】
北大西洋条約機構(NATO)の創設メンバーであるノルウェーは、「核の傘」依存国としてこの軍事同盟の保護を受けながら、一方で、平和問題への関わりが深い国とみられている。それは、2013年3月にオスロで「核兵器の人道的影響に関する国際会議」を主催したためだけではない。
「ノルウェーは(また)、2008年にクラスター爆弾禁止条約の署名につながったオスロ・プロセスも主導しました。」と語るのは、創価学会インタナショナル(SGI)の寺崎広嗣平和運動総局長である。
SGIは、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)ノルウェー、NGO「核兵器にノー」、ノルウェー平和協会の3団体と協力して、ノルウェー第2の都市ベルゲン(人口26万人)でイベントを開いた。

9月5日に開かれたこのイベントでは、「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展と、シンポジウム「核兵器廃絶に向けてーノルウェーと日本の平和運動とその役割」が開催された。
この展示はもともと、ICANの協力を得て制作し、1945年に長崎と並んで史上初めて原爆投下の標的となった広島で2012年8月に初めて公開したものだ。
その5年前、SGIは反核兵器運動に取り組んでいる多くのNGOと協力して、核兵器廃絶への「民衆行動の10年(PDNA)」を開始している。
この展示はその後15か国・62都市で行われ、さらに多くの都市や国での開催が予定されている。展示がさまざまな都市で開かれるたびに、SGIは今回ベルゲンで開催したのと同様のイベントを開催して、対話の基盤を創出し、核兵器廃絶を望む世界中の団体や個人との草の根ネットワークを拡大しようとしてきた。
「同展は、核兵器の問題を12の視点から考察しており、人々が関心をもつ様々な分野と核兵器との関係性を見出し、グロバールな意識啓発をすることを目的としています。」「私たち皆が関わりを持つべきなのです。」とSGIの河合公明平和・人権部長は語った。
河合氏はまた、「私たちは日常生活の中で核兵器を直接目にすることはなく、ややもすればこの問題への関心を失いがちです。そこで私たちは、もし核兵器に使われる費用が、保健やその他の重要な課題への取り組みに充当されるならば、人々の生活はより向上するであろうという点を強調するのです」と語った。
SGIは、東京を本拠にした仏教系NGOで、平和活動に取り組んできた長い実績があり、国連とのつながりもある。SGIは、創価学会の戸田城聖第2代会長が冷戦さなかの1957年に「原水爆禁止宣言」を発表して以来、信仰を基盤とした団体を含む他の諸団体とともに、軍縮に関する行動を呼びかけてきた。
「政治的プロセスが停滞しないように、市民社会が一緒になってこの問題に取り組むことが、今ほど重要な時はありません」と寺崎氏はIDNの取材に対して語った。
ベルゲンでのイベントは、8月19日に最終会期を終えた「核軍縮に関する国連公開作業部会」(OEWG)から間もなくして開かれた。OEWGは2月以来ジュネーブの国連本部で3会期に亘って開かれており、8月には、核兵器を禁止し、最終的にはその廃絶につながるような法的措置に関する交渉を開始することを10月に開かれる国連総会に勧告する報告書を賛成多数で採択した。

OEWGでは、ノルウェーは日本などとともに、2017年に核兵器禁止のための交渉を開始するよう国連総会に勧告する報告書案の投票に棄権した。しかし、他のNATO諸国とは異なり、ノルウェーは、同報告書案に反対自体はしなかった。
この報告書はまた、核兵器使用のリスクを低減・除去し、核兵器に関する透明性を向上させ、いかなる核兵器使用に関してもその帰結が非人道的であることへの意識を高めるための措置を採ることを諸国に勧告している。
「(広島・長崎への原爆投下以来)この71年間、(核兵器の廃絶に向けた)国際的取り組みが停滞した時期もあれば、前進した時期もありました。」「しかし、私たちは、核兵器の廃絶を求める被爆者の体験を直接聴くことのできる最後の時を迎えています。」と寺崎氏は語った。
シンポジウム「核兵器廃絶に向けてーノルウェーと日本の平和運動とその役割」において、今年の夏を日本で過ごし広島にも訪問したNGO「核兵器にノー」のフローデ・エルスフヨルド事務局長は、政治的活動とともに草の根行動の必要性を強調した。主催団体の質と実績の組合わせこそが、人々を(反核運動のための)街頭デモに誘ううえで極めて重要です。つまり、特定の問題に関するデモは、しばしば最初は規模が小さくとも、時が経つにつれて参加者が急増してくることもあるからです。」と語った。
シンポジウムに参加した社会主義左翼党、緑の党、赤の3つの野党の代表は、核兵器廃絶の運動は、国際レベルだけではなく一国レベルでも実行されてなくてはならない、という点で一致した。
活発な参加者の中には、婦人国際平和自由連盟(WILPF)・ベルゲン支部のスザンネ・ウルバン理事と、平和学者でクリスチャン・ミシェルセン研究所のアルヌ・ストランド副所長の姿があった。
ウルバン氏は、IDNの取材に対して、「核の脅威はきわめて近い」との見方を示したうえで、「私たちは互いに関連があり、繋がっています。つまり、他人を傷つければ必ず自らも傷つけることになるのです。」と語った。この点は、展示パネルのひとつでも強調されていたことだ。
ストランド氏は「私たちは、新たな紛争や変転する世界情勢には目を奪われがちですが、核軍縮のような古くからの問題は軽視しがちです。あまりにも長い間その問題が存在し続けているために、慣れ過ぎてしまっているからです。しかし現在は、米ロ間の問題(=新冷戦)や、テロ集団が核兵器を入手する可能性など、私たちが懸念すべき事態が起こっています。」と指摘した。
ノルウェー平和協会のフレデリク・ヘルダル事務局長は、「(核問題の)政治的な側面、つまり、核兵器禁止の是非やロビー活動の問題等に目を向けるよりも、倫理的な問題として捉えなければなりません。倫理と道徳を巡る議論の方が人々の心に共感を呼びますし、核問題をより受け入れやすいものにできるからです。」と語った。(原文へ)
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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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【キトIDN=ネルシー・リザラーゾ】
15年前にエクアドルのサンパブロを訪れたことがある。それはまさしく、マナビ州都ポルトビエホの中で最も貧しい地区であった。
当時、安全な飲料水へのアクセスはなかった。人々は、中等教育はおろか、すべての人々にとっての基本的な無償教育の可能性など、想像すらつかなかった。夕方5時以降に出歩くことなどできず、診療所には十分な医療スタッフも薬もなかった。
今年9月初め、サンパブロをふたたび訪ねてみた。
そこで会ったのがモニカさん。年は29で、8歳の娘を持つシングルマザーである。その半年前、「マッチョ」な伝統に反して、彼女は地域評議会の会長の座を勝ち取っていた。今日、彼女は「マダム・プレジデント」となり、来る日も来る日も地域住民のために尽力している。
モニカさんは、確信を持って私にこう語った。「この10年の進展がなければ、すべての子ども達のための教育を実現することはできなかったし、今日のような医療体制を享受することはできなかったと思います。同様に、地域全体で飲み水を確保することも、障害者が必要とするケアや機会を得ることもできなかったでしょう。」
「私たちの生活が変わったなどと説明するまでもないと思います。ただ、サンパブロに来て、自分の目で確かめてほしいです。」
モニカさんは、彼女と地域社会の大部分の暮らしが変化したことを認識している。おそらく彼女は、これらの変化の背後に、社会政策、とりわけ保健・教育分野の政策を重点化するという明確な決定があったことは知らないだろう。

モニカさんはおそらく、これらの変化がミレニアム開発目標(MDGs)と結びついていることは知らないかもしれない。MDGsはエクアドルによって採用され、「良き暮らしのための国家計画」という同国のより大きな公共政策戦略の中にこの12年にわたって組み込まれていたのである。
エクアドルは、社会的投資や具体的事業、行動に反映されたこの政治的決定のために、21のMDGsのうち20の目標を単にクリアする以上の指標を示すことができた。「予定よりはるかに早期に、合意された以上の水準で」これを成した、というのは、2015年9月に国連が招集した「持続可能な開発サミット」におけるラファエル・コレア大統領の演説での言葉である。
同様に、エクアドル政府は、唯一達成できなかった目標である「妊婦死亡率の削減」を、今年末までに68%まで達成する目標を立てている。
モニカさんはこうした細かい事情は把握していないが、こうした開発目標の達成が彼女が日々向き合っている人々にとってどういう意味合いを持つのかは経験している。
ラファエル・コレア政権がMDGsに関してこうした成果を示すことができるのは、ひとつのパラドックスであるかのようだ。というのも、これが、2007年の大統領就任スピーチでこれらの目標を手厳しく批判していたのと同じ政権だからだ。そのときコレア氏は、巨大かつ歴史的な社会的・経済的非対称構造が世界にあることに関してまったく議論が行われていないことを批判していた。
この点はさまざまな国際会議の場で、いわゆる「市民革命」政府(コレア大統領が自らの政権を指して使っている用語)のさまざまな政府関係者らによって、幾度も繰り返されてきた。
こうした高官のひとりが、つい最近まで国家計画大臣を務めていたパベル・ミュノス氏である。彼は、MDGsは「北の国々が南の国々のために設定した目標であり、政府であれ、その地域の市民団体や市民であれ、地元の利害関係者と関係のないところで決められた」と発言した記録が残っている。
今日、MDGsに対する批判的な立場は、持続可能な開発目標(SDGs)に対する受容と楽観に取って代っている。
政府代表によると、収入と資産の再分配に関連付けられた行動の明確な位置づけが、これらの目標にはすでに組み込まれているという。事実、「持続可能な開発サミット」で演説したミュノス氏は、SDGsとその目的は「我が国(エクアドル)の開発計画と一致する」と述べている。
実際、SDGsは、貧困削減やジェンダー平等、気候変動など、2013~17年の「良き暮らしのための国家計画」の鍵を握るものとして策定・提供されている問題や目標を組み込んでいる。
元社会開発調整大臣のセシリア・ヴァカ・ジョーンズ氏は、SDGsの17項目のうち9つが社会政策に直接関わっており、MDGsとは異なり、平等と公正の達成に緊密に関係していると説明している。SDGsは、同国の公共政策の基礎となる開発提案により焦点を当てるものになると彼女は理解している。
SDGsに関連してエクアドルの重点項目を決定し、それを2016年度予算に明確に反映することに関して、ヴァカ・ジョーンズ氏は、「包摂と公平の基準を確実に満たす質の良い教育(SDGs第4目標)を実現していくためにあらゆる取り組みを行っていきます。」と語った。

さらに、これまでにも見られたように、中核的な問題は、あらゆる形態の貧困の根絶(SDGs第1目標)であり、現政権にとっての課題でもあり続けるだろう。加えて、SDGs第12目標に設定された持続可能な消費・生産の達成という既に開始された取り組みも継続されるだろう。
政府報道官らは、複数の公的な発言において、エクアドルの憲法と「自然の権利」の認識に従って、環境問題に関連したすべての目標の達成に向けた進展への関心を強く示している。
エクアドルがいかにしてSDGsの達成に向けて前進していくかは興味深い問題であり、その答えは4つの中核的な要素の周辺に探ることができる。それらは、成果を手に入れるために、この10年で実行に移されてきたものだ。
第一に、明確な財政政策。社会協約は財政協約なしに達成不可能であり、エクアドルでこれまでに実行されてきた社会的投資の大部分は、徴税によって可能となったものであった。
この政策は、継続的に市民の意識を高めながら、維持・深化していかなければならない。税の支払いが、この国に依然として存在する格差と不平等を縮小するために政府の政策に反映されるということを、民衆が明確に理解することが肝要だ。

第二に、いわゆる「反循環政策」である。経済循環の重要局面では、社会的投資を減らしてはならない。この政策は、社会的投資が増えれば増えるほど、生産性や成長、危機からの脱出の可能性が増すという原則を基礎にしている。
第三に、地域の活動を強化し、歴史的に排除されてきた集団や特に配慮を要する集団と緊密に協力すること。
最後に、この10年間行政を導いてきた基本認識、すなわち、開発の第一の、かつ主要な資源である人間とその能力を支援することである。
SDGsで提示された目的を達成するカギは、サンパブロの住民であるモニカさんのような民衆と、全国の地域社会の能力を支援することにある。(原文へ)
※ネルシー・リザラーゾは、プレセンサ・インターナショナル・プレス・エージェンシーの会長。
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【バンコクIDN=カリンガ・セネビラトネ】
ラオスの首都ビエンチャンで開かれた「東アジアサミット」で採択された不拡散に関する特別声明のインクも乾かぬうちに、北朝鮮が核実験の成功を発表した。こうして北朝鮮の核問題は、軍事化が一層強まっている域内の現実に対して関係諸国の関心を引き寄せる結果となった。
今回の核実験は、東アジアサミットに出席した首脳らが北朝鮮に対して核・ミサイルの放棄を求める声明を採択してから1日も経たないうちに行われた。米国、中国、ロシア、日本を構成国に含むこの地域機関(加盟18カ国)が、議長声明以外で特定の問題に焦点を絞った声明を出したのは初めてのことであった。

声明は、「(北朝鮮による)1月の核実験と2月の長距離ミサイル発射を明確に非難した」今年3月2日の国連安保理決議第2270号を東アジアサミットは「完全に支持」し、「安保理の関連決議に違反し完全に無視する形で朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)がその後も繰り返し弾道ミサイルを発射していることへの深い憂慮を表明」する、と述べていた。
北朝鮮は今年1月6日に3年ぶり4回目の核実験を行い、2月7日には、同国が人工衛星を軌道に乗せたと主張する長距離ロケット発射を行った。
8月24日には潜水艦からの弾道ミサイル発射に成功し、9月5日には約1000キロ飛翔した弾道ミサイル3発を発射し、いずれも日本の排他的経済水域内に到達した。
9月9日に北朝鮮の核実験場近くで探知された震度の浅いマグニチュード5.3の地震は5回目の核実験を示しており、北朝鮮もそのことを認めている。
韓国の朴槿恵大統領は、「東アジアサミットの声明を拒絶して北朝鮮が核実験を行ったことは、金正恩体制の無謀な狂気を証明するものだ」と、ソウルで政府高官と緊急の安全保障会議を開催するためにビエンチャンから急遽帰国後、メディアに対して語った。
「金正恩政権が核実験を通じて得るものは、国際社会によるさらに強い制裁と孤立だけであり、自滅の道を招くだろう。」と朴大統領は警告した。
朴大統領は、韓国政府は国連安保理や関係諸国と協力して強力な追加制裁を追求する一方、核の野望を北朝鮮に放棄させるためにあらゆる手段を採っていく、と語った。
報道によれば、韓国紙の多くが北朝鮮の指導者金正恩を「核のマニア」と呼び、韓国から1990年代に撤去された米国の戦術核を再配備するよう同国を説得すべきだと論じているという。ある新聞は、北朝鮮への石油供給を断つよう中国に求めるべきだとまで示唆しているという。これは、北朝鮮に経済的混乱と飢餓をもたらしかねない。
しかし、そうした極端な措置に対して警告を発し、地域を軍事化することで北朝鮮の「軍事的脅威」とされるものに対抗しようとする米韓両政府の対応に疑問を呈する向きもある。
韓国の左派日刊紙『ハンギョレ』は、北朝鮮の核の脅威に対する韓国政府の対応は、「冷戦思考」に支配されていると論じた。同紙は、悪化する危機への従来型アプローチの失敗を、繰り返される実験は示していると指摘した。
『ハンギョレ』は「北朝鮮に対する怒りを表明し、圧力をかけ続けることでは、解決にならない。冷戦型の対立を超えなければならない。」と指導者らに警告している。「北朝鮮の自滅が近いという非現実的な理論に希望を託すのをやめるべきだ。かわりに、新しい、包括的な戦略が求められる。」と論じている。
今回の実験は、弾頭を小型化したミサイルへの搭載を可能にすることによって核戦争を開始する能力を強化させたと評価されるものの、アジア諸国の多くが、核によって注目を集めようとの北朝鮮のやり方にあまり関心を示していない。他方で、こうした実験に通常は反応を見せる4大国は、よく準備された同調的な反応を見せた。韓国は北の指導者を「マニア的な無謀」だと非難し、中国は実験に「断固として反対」し、日本は「強い抗議」を表明し、米国は「重大な帰結」を招くと警告した。
核大国への道を歩んでいるかもしれない北朝鮮の最高指導者金正恩は、韓国と米国に対して「朝鮮民主主義人民共和国の尊厳と安全を棄損するようなことは慎むべきだ」と警告した。
ミサイル・核実験のタイミングはつねに、この4大国の指導者からの反応が確実であり北朝鮮の体制に注目を集められるように、大きな国際イベントに合わせたものとなっている。これは、北朝鮮が韓国や米国の挑発を理由として挙げられるような余地を国際的なメディアに与えている。
8月22日から9月2日にかけて、毎年開催されている軍事演習「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」が北朝鮮沖で開かれた。2万5000人の米兵が、韓国軍、豪州や日本といった他の同盟国の軍隊に加わった。
この演習では、北朝鮮の核の脅威を想定して、先制攻撃を行う内容も含まれていた。北朝鮮政府は国連事務総長への書簡で、こうした演習は北に対する「先制的核戦争」のリハーサルだとして非難した。
北朝鮮は、高高度で固形燃料を使用した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射でこれに応えた。500キロメートル以上を飛翔し、日本の防空識別圏内に落下した。通常の角度で発射されたならば、1000キロ以上飛ぶ可能性もあった。
「韓米研究所」のトン・キム研究員は『コリア・タイムズ』紙で、「軍事演習は、和平プロセスを通じた脅威の削減が行われない中では、抑止力を向上させるものとして必要なものだ。しかし、抑止力は、朝鮮問題の平和的解決をもたらすためには十分ではない。毎年春と夏の年次演習は、緊張の激化をもたらしている」と指摘している。
北朝鮮のSLBM発射は、米国が2017年末までに予定している韓国への「終末高高度防衛」(THAAD)システムの配備に関して懸念を強める結果となった。中ロ両国は配備に反対し、韓国内にも批判的な勢力がある。
キム氏は、「中国は、韓国政府の決定に対応して韓国の利益を抑制する具体的な措置を採り始めている。韓国の地域住民は、自らの居住地域にミサイル部隊が配備されることに強く反対している。多くの野党政治家が、配備に関して国会で見直し論議を行うことを要求している」と、「あらたなゲームを引っ張る北朝鮮」と題した記事で指摘している。
『コリア・タイムズ』はその論説で、もし中国が韓国へのTHAAD配備を望まないのならば、「北朝鮮の核の野望を抑えるために積極的に動くべきだ」と論じた。この韓国の英字紙はまた、オバマ政権に対して、「北朝鮮対応に関して腰が重く、北朝鮮政府の行動を変えることができなかった。」として非難した。

「北朝鮮が9月9日に行った核実験は、米国が韓国にTHAADの配備を計画していることを考えれば、それほど驚くべきことではない。」
「言い換えれば、対ミサイル防衛システムであるTHAADの配備がほぼ確定している中で、北朝鮮が好ましくない外交政策の継続を決めたということになる。」と『チャイナ・デイリー』で論じたのは、ワン・ジャンシェン氏である。中国社会科学院でアジア太平洋戦略の研究を進めている同氏は、北朝鮮の核実験は通常、米韓の軍事的な動きに続いて行われていると指摘した。
「隣国における核の脅威の高まりに直面して中国が取れる戦略的選択の幅は、地政学的な複雑さゆえに限られたものになる。また非核化プロセスは、完成までに5年から10年の月日を要するかもしれない。」とワン氏は語った。
「とりわけ、米韓両政府は、朝鮮半島へのTHAAD配備の決定を真剣に再考し、北朝鮮に誤った道を取らせたその他の戦略的な過ちを見直してみるべきだ」とワン氏は論じた。
ワン氏はまた、「今日、悪循環に陥っており、1953年の休戦協定を和平条約に作り直す貴重な機会も潰えたことから、米韓両国が採用してきた朝鮮半島政策は、平和の永続にとって有益であったとは言えません。」と警告した。(原文へ)
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【マセルIDN=マジャラ・モルーペ】
国連は「天空の王国(Kingdom in the Sky)」と呼ばれるレソトで、2015年9月25日に国連加盟国が採択した17項目の目標から成る「2030アジェンダ」を達成するために、今後15年で持続可能な開発目標(SDGs)、とりわけその第1目標(あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ)の実現に向けた支援を進めている。
国連ボランティア(コミュニケーション担当)のシルビア・ティーセツォ・カベレ氏はIDNの取材に対して、「国連がSDGsに関して今年特に重視していることは、たとえば、アジェンダ2030の実行に向けた各国及び国連システムのキャパシティ強化です。」と語った。

カベレ氏はまた、「私たちは、レソト政府がミレニアム開発目標(MDGs)に関する最終報告書を仕上げるのを支援していきます。これは、これまでの教訓と振り返るとともに、SDGsを実現するためにそれらの教訓をどのように活かしていくべきかについても反映したものになるでしょう。」と説明した。
2015年のレソトに関する「国連国別報告」によると、同国は最近、「中所得国」(MIC)に格上げになったが、依然として貧困と格差の問題は解消されていない。つまり、人口の57.1%は貧困層で、とくに農村部に集中している。
「レソトは、バソト族、とりわけ若者を貧困から引き上げるために、包摂的な成長と強力な民間部門の参加を必要としています。というのも、レソトの人口の半分以上は24才以下だからです。」とカペレ氏は語った。バソト族はバントゥー系の民族集団に属し、その先祖は、5世紀頃から南部アフリカに居住している。
国連諸機関は、国々をSDGsに取り組ませ、それを各国の計画・政策の主流に取り込み、実行させるうえで極めて重要な枠割を果たしている。国連システムは、各国による「持続可能な開発のための2030アジェンダ」履行を支援するために、「主流化・加速・政策支援」(MAPs)と呼ばれる指導ツールを開発している。

国連は、MAPsの策定に続いて、レソトのパートナー諸団体との協議に向けた「SDGsロードマップ」を起草した。
「政府との協議は、貧困や保健といった多分野にわたる問題に対処するための既存のメカニズムの強化に焦点を当てることになります。政府の行動計画を支援するためには、証拠に基づいたさらなる勧告や、介入に向けた詳細なコスト計算が必要となるかもしれません。」と、カベレ氏は付け加えた。
国連は、欧州連合(EU)やレソト統計局、開発計画省との協力の下、持続可能な開発プロジェクトにむけたデータの策定も目指している。
こうした介入は、質の高いデータの利用促進や、利害関係者間の調整、リーダーシップの強化、開発データの普及・利用を促進することによって、国家戦略開発計画(NSDP)やSDGsに体現された国家的、地域的、世界的目標の実現に貢献することになるだろう。
カベレ氏は、「国連はNSDPに沿って、持続可能な農業の成長、食料安全保障、エネルギーへのアクセス、気候変動への対応力を強化するための支援をレソトの民衆や政府に対して行う一方、天然資源の持続可能な利用を確保し、環境保護も推進しています。」と強調した。

「レソトは、貧困と飢餓を半分にするというMDGsの目標達成においてかなりの後れを取りました。この国の地理と社会経済的条件を考えれば、農業や環境、天然資源管理は、レソトが今後SDGsを達成できるかという問題において重要な役割を果たすことになるでしょう。残念ながら、これまでのところ関連部門の全体的な成果は期待に見合うものではなく、貧困や慢性的な食糧不足を悪化させ、多くの国民の健康を害しています。」
今日まで、かなり多くの進歩的な農民が、様々な国連機関の支援を得て、中小規模の農業ビジネスベンチャーを立ち上げている。「これらのビジネスは主に園芸(温室栽培)関係で、小規模な畜産(家禽類、豚など)はあまり着目されていません。」
カベレ氏はさらに続けて、「国連諸機関は、レソト国民の中で最も脆弱な立場にある人々が多面的な対応力を身に付けることができるように、取り組みを続けています。2014年だけでも、国連は、『国連食料・資産交換プログラム』を通じて、2万5000人以上に対し栄養補強食品を提供しました。これらの能力強化プログラムには、食料危機に対する緊急早期警戒、対応準備、緊急対応に向けた主要機関の能力強化のための技術支援も伴っています。」と語った。
国連はまた、補助金の受給者の間で家庭菜園や栄養教育を促進することを通じて、社会的保護と農業の統合に向けても取り組みを進めている。
カベレ氏は、環境・天然資源管理が地域住民の生活を改善し維持するうえで重要であることを強調し、「国連は、持続可能な土地管理や、保全を基盤とした農業生産技術/実践、再生可能エネルギー技術の応用に関して地域社会を動員し訓練を提供しています。」と語った。
「レソトの若者失業の経済的影響、2012年11月」によると、2010年におけるレソトの若者失業率は国際労働機関(ILO)の推計で38.0%であった。
他方で、開発計画省のムフォ・モシリ広報官は、「とりわけ貧困撲滅に向けてSDGsを実行するに際して拠り所となるロードマップはすでに存在しています。」と指摘したうえで、「議会に対する説明も既に終えており、国会議員からも高く評価されています。これからすべきことは、実際に地域に出向いて、SDGsとそれに何が伴っているかについて人々の理解を広めていくことです。」と語った。
「レソト国連開発支援計画2013-17」によれば、開発計画省は、政府の優先順位とすり合わせながら国連の活動を導くために設置される「国連国家プログラム運営委員会」の構成メンバーになる。
この点で、この文書は、レソト政府が、国連諸機関が支援しているプログラムの定期的なレビューや関連する計画会合に同機関を招く予定だと述べている。
レソトでは貧困が蔓延しており、農村部がもっとも打撃をこうむっている。というのも、雨水に頼った農業が主流であり、生き延びるためのその他の手段を持ち合わせていないからだ。
国連が作成した「国連諸機関が一体となった任務遂行(Delivering as One)」ツールキットによれば、「国連は、証拠に基づく政策助言を行い、イノベーションと国際的な実践を共有することによって、レソトのかかえる開発上の難題解決の支援を行う。」さらに、「国連は、レソト政府が、開発アジェンダに取り組み、国家能力を強化し、さまざまな利害関係者をまとめて多分野に亘るプロセスを促進し政策やプログラムを成功に導く支援を継続していく。」と述べられている。(原文へ)
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【東京IDN=石田尊昭】
アジア太平洋女性連盟(Federation of Asia-Pacific Women’s Associations)―略して「FAWA」と言います。
尾崎行雄の三女・相馬雪香さんは、1950年、スイスで開催された国際会議に出席。そこで、フィリピンの上院議員ペクソン女史と出会います。かつて日本がフィリピンを占領していた頃、まだ若い娘さんだった女史は、日本を憎み、戦後も日本人を大変嫌っていたそうです。しかし、その国際会議で出会った相馬さんの言動に触れ、「日本の女性は変わった! 日本は変わる!」と感動されたそうです。

そして、1959年、相馬さんと女史が中心となって設立したのが「アジア婦人団体連盟」、現在の「アジア太平洋女性連盟」=FAWAです。アジアの女性の連帯を通じ、アジアひいては世界の平和の実現、女性の福祉向上を目的としています。
設立後は、各国・地域で、FAWA国際会議を2年ごとに持ち回りで開催しています。相馬さんは、韓国、台湾、グアム、インドネシア、シンガポール、フィリピンなどで開催された同会議に団長として出席し、そこでの研究成果を取りまとめるなどしました。
FAWA国際会議は、日本では、1970年(神奈川)、92年(大阪)、2007年(東京)と開催されています。特に2007年(相馬さんが亡くなる前年)、東京で開催された会議では、アジアにとどまらず世界73カ国の代表と、広く一般市民も参加しました。相馬さんは、そこで大変力強いスピーチを行ない、参加者に大きな感動を与えました。
この時、会議に全面協力し、成功に導いたのが「NPO法人一冊の会」(大槻明子会長)です。相馬さんは当時、同団体の最高顧問を務めていました。以後、台湾(2010年)、グアム(2012年)、韓国(2014年)で開催された会議では、相馬さんの遺志を継ぎ、「一冊の会」が日本代表団を務めました。そして、今年9月末から10月にかけてシンガポールで開催されるFAWA国際会議にも、「一冊の会」が日本代表として参加します。
「憲政の父」と呼ばれた政治家・尾崎行雄。その精神を継ぎ、平和のために行動した相馬雪香。さらにその精神を継いだ様々な団体―「NPO法人咢堂香風」、「尾崎財団・咢堂塾」、「尾崎を全国に発信する会」、「NPO法人難民を助ける会」、「国際IC日本協会」等々が、それぞれの形で平和に貢献しています。
「平和、平和って言うけど、誰でも、最初から大きなことはできないの。できないことをウダウダ言ったってしょうがない。とにかく、できることから始める。自分から動く。そう、だから……身近なことでいいんですよ。少しずつでいいんです。あなたにできる平和から始めなさい!」(『平和活動家・相馬雪香さんの50の言葉』より)
相馬さんの遺志を継いだ多くの仲間たちが、相馬さんの言葉を胸に、「できることから始めています。」(原文へ)

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