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|環境|UAE政府、中東最大の太陽エネルギー施設の建設を計画中

【ドバイWAM】

アリ・ビン・アル・オウェイスUAEエネルギー省電力局長は、「政府は地域最大の太陽エネルギー製造施設の建設を計画している」と語った。 

アル・オウェイス局長は、昨日シティセンターホテルで開催された「再生可能エネルギーの見通し」に関するエネルギー省主催のワークショップで発言し、アブダビに建設中のマスダールシティ(二酸化炭素排出ゼロをめざす2015年完成予定の環境都)を例に挙げながら「政府は将来のエネルギー需要を満たすため、エネルギー源の多様化に取り組んでいる。」と語った。 

アル・オウェイス局長はまた、フジャイラ首長国における66メガワット級の風力発電可能性調査が完了したと付け加えた。

 同局長はさらに、アブダビ石油公社、一部の電力・水道公社、市町村、ドバイ道路・運輸公社、首長国電話公社等、公的機関で限定的に太陽エネルギーの利用を進めていることを披露し、「UAE政府のこの分野への投資は向う10年で数十億ドルにのぼるだろう」と語った。 

このワークショップには再生可能エネルギー分野の専門家約80名が出席した。 

地域最大の太陽エネルギー施設の建設計画はUAE政府が世界初となる「グリーン建築法」の採択を意図している旨を発表して間もなく公表された。UAE政府は持続可能な建築環境を実現する先駆者を目指しており、2008年初頭からの新規プロジェクトに対してグリーン建築技法の導入を開始している。 

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩 

|ネパール|民主主義からデマゴギーへ(クンダ・ディキシット『ネパーリ・タイムズ』の編集長)

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【IPSコラム=クンダ・ディキシット

手ぶれしたアマチュアビデオは、ネパールの毛沢東派リーダーが、7000人のゲリラしかいないのに、国連を騙して3万5000人の軍勢がいると思い込ませたことを自慢している映像を捉えていた。彼はこの中で、民主主義と和平プロセスへのコミットメントについて皆に嘘をついてきたこと、そして彼の本当の目標は軍隊と国家の完全支配であることを認めている。

これらはすべて、毛沢東主義革命の指導者が言うべき、至極当然のことであった。しかし、これはプシュパ・カマル・ダハル(戦名は「プラチャンダ」)が昨年、和平協定に署名した後、首相に選出される前に軍隊に向かって語った言葉である。

このテープは、プラチャンダが5月4日に陸軍大将の解任に失敗して首相を辞任した後、ネパールのテレビ局で放送された。毛派のリーダーが他の政党や国際社会をいかに欺いたかを自慢している姿が暴露されたことで、他の政党が彼の意図を信頼し、彼を新しい連立政権に加えることは困難になったのである。

昨年の選挙での毛沢東の勝利は民主主義の勝利を意味し、ネパールは、暴力革命を起こした集団が銃弾ではなく投票によって政権を獲得した、紛争解決の成功モデルとして歓迎された。しかし、それはあまりにも楽観的な見方だったようだ。 

テープの中で、プラチャンダは、すべては手の込んだ策略であり、革命を完成させ、全権力を握るための戦術であったと語っている。「軍隊を支配した後は、何でもできる。」のだ。

そして、プラチャンダは、陸軍大将のルックマングド・カタワル将軍をクビにして、自分たちが育ててきた副司令官と交代させることによって、まさにそれを実現しようとしたのである。カタワルは、ネパール軍に毛沢東派ゲリラを入れることに断固反対していた。教化された政治的幹部が軍のプロ意識を破壊すると言っていたからだ。プラチャンダは、カタワルが引退する2ヶ月前に、とにかく退役を命じた。毛派の意図は、ネパールの10年にわたる反乱で軍事的に倒すことができなかった軍隊を、こっそりと引き継ぐことであることは明らかであった。

軍が真っ二つに割れて収拾がつかなくなったとき、ランバラン・ヤダヴ大統領が介入し、カタワルの復職を要請した。プラチャンダは、面目を保つため、そして、自分の支持者の間で道徳的優位に立つために辞任した。

プラチャンダの下心に関する暴露は、毛派と他の政党の間のギャップを広げ、新政府の樹立を困難にしている。彼らは5月9日の連合結成の期限に間に合わず、ネパールが新政府を樹立するまでにしばらく時間がかかりそうだ。

ネパールにはこの遅れは許されない。選挙で選ばれた代表者は、来年4月までに連邦共和制の新憲法を起草しなければならないが、このプロセスはすでに遅れている。国連が監督するキャンプにいる数千人の毛派ゲリラは、国連の任務が終了する7月までに統合、リハビリ、動員解除されなければならない。今後、どの政党が政権を取るにせよ、その仕事は大変なものだ。

和平プロセスもさることながら、新政府は開発活動を活発化させる必要がある。この9カ月間、毛派主導の政府は政治に執着し、法秩序を悪化させ、開発活動を停滞させた。民衆が再び立ち上がらないのは、カトマンズのどの政府にもあまり期待をしてこなかったからである。

一方、毛派は青年共産主義者同盟から戦闘的な幹部を動員して、大統領に対する街頭抗議行動を起こし、他の政党の支持者を恐怖に陥れている。彼らは大統領の動きを支持する者に対して「物理的な攻撃」をすると脅し、インドがネパールの内政に干渉していると非難して民族主義的熱狂を煽ろうとしているのである。

2006年以来ネパールの和平プロセスに舵を切ったインド政府は、プラチャンダに陸軍長官を解任しないよう圧力をかけていた。インド陸軍とネパール陸軍は密接な関係にあり、インド軍には6万人のグルカ兵が所属している。インドの治安部隊はインド東部6州で自国の毛派ゲリラとの戦いにも従事しており、隣に全体主義の毛派ネパールがあることを望んでいないのである。

選挙で政権を取った後、毛派が武力、脅迫、威嚇の手段に訴える必要はなかった。実際、政権を取った後、彼らはさらに大きないじめっ子になってしまった。統治しようとする代わりに、支配を拡大するために貴重な時間を浪費してきた。彼らは、官僚、司法、軍隊、メディアを組織的に弱体化させようとしている。

大統領が軍隊を統制しようとする彼らの試みを阻止すると、毛派は憲法上の大統領という制度そのものを攻撃し始め、今や国会を麻痺させた。全体主義的な野心を隠そうともせず、自前の軍隊を持つ政党が、今になって軍隊に対する「文民優位」を訴えているのは皮肉なことだと多くの人が感じている。

ネパールのメディアと民主化運動家は、過去に絶対王政や独裁政権と闘ってきた多くの経験を持っている。問題は、民主的に選ばれた指導者が、政権を獲得するのに役立ったまさにその制度の解体を進めたときに生じる。ネパールの新たな挑戦は、選ばれたデマゴーグと戦うことである。(原文へ
 
翻訳=IPS Japan 

*クンダ・ディキシット氏は、『ネパーリ・タイムズ』の編集長・発行人で、元BBCラジオ国連特派員、元インタープレスサービスアジア・太平洋総局長。

|軍縮|NGO諸団体、核兵器に関する国際司法裁判所の意見を求める

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国際的な非政府組織(NGOs)の連盟が国際司法裁判所(ICJ)に対して核兵器の合法性と使用に関する助言を求めている。このような求めは13年ぶり2度目のことである。 

元ICJ判事で国際反核法律家協会(IALANA)会長のクリストファー・ウィラマントリ氏は、「ICJ判事が全員一致で『核兵器は全ての文明とこの惑星の全ての生態系を破壊する潜在能力を持っている』と宣言してから既に10年以上が経過した。」と語った。 

オランダのハーグに拠点を置くICJは、国際連合の主要な司法機関である。15名の判事の任期は9年で国連総会と安全保障理事会によって選出されている。

 核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法に違反するとのICJ勧告にも関わらず、核兵器開発を継続し既存の核兵器を維持し続けようとする動きに歯止めがかかっていないのが現状である。 

核不拡散条約(NPT)で核兵器保有が認められているのは米国、英国、フランス、中国、ロシアの5カ国だが、インド、パキスタン、イスラエルが新たに核兵器保有疑惑国として浮上し、さらにイラン、北朝鮮がその後に続こうとしている。 

ICJは1996年7月に出した勧告的意見の中で各国政府に対し、「厳格かつ効果的な国際的管理のもと、あらゆる分野にわたる核軍縮につながる交渉を誠実におこない完了させる義務が存在する」と述べている。 

今回ICJに対して新たな勧告的意見を求めている団体には、核政策に関する法律家委員会(LCNP)と核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の支援を受けているIALANAやハーバードロースクール国際人権クリニックが含まれている。 

「その後核軍縮に向けた具体的な進展がなくICJ見解にある『各国に課された誠意ある交渉義務』の解釈を巡って論争が絶えない今日の現状を考えれば、改めてICJから核軍縮に関するガイドラインを得て(核軍縮に向けた各国の)法的順守義務を明らかにすべき時がきている。」とNGOグループが提出したメモランダムに記されている。 

ICJの勧告的意見を求めようとするこのようなNGOによる提唱が実現するためには、なお192カ国が加盟している国連総会において同様の決議が採択されなければならない。1996年の核兵器の使用・威嚇の合法性に関するICJの勧告的意見は、まさに国連総会における決議案が通ったことで実現をみた。 

ジョン・バローズLCNP事務局長はIPSの取材に対し、「ICJが1996年に出した最初の勧告的意見は、一般に考えられているより遥かに影響力のあるものだった。」と語った。 

NPT第6条規定によって各国には核兵器の全面的な廃棄を実現する交渉を誠実に行い、妥結する責務が存在するとしたICJ判事全員一致の見解は、国際社会に幅広く受け入れられている。 

「すなわち、各国には交渉を通じて最善を尽くす義務にとどまらず、交渉を通じて核兵器廃絶を成し遂げる義務があるのです。」とバローズ事務局長は付け加えた。 

国連年次総会の場でも、ICJの勧告的意見のフォローアップとして、核廃絶実現を責務とするICJ見解を歓迎する別条項についての決議が行われてきた。これらの決議では、インド、パキスタンを含む殆どの国々が賛成したが、米国、ロシア、イスラエルの3カ国のみが反対している。 

NGO2団体は、ICJによる2回目の勧告的意見を求めるメモランダムの中で、国際社会が核廃絶についての見解を異にし具体的な行動を起こせない現状に鑑み、核廃絶を実現させる責務を果たすために各国がとるべき行動に関する明快なガイドラインが求められていると述べている。 

ICJが1996年の勧告的意見の中で言及した全面的な核廃絶の約束は、政治的なコミットメントであると同時に法的拘束力を持つものである。 

核不拡散を超えて 

 「従って、ICJは国連の主要司法機関として、今日行われている各国の『責務』を巡る論争に終止符を打つべく法的なガイダンスを提供し、(核廃絶という)約束を現実のものとするために必要な見識を国際社会に示す必要がある。」とメモランダムには記されている。 

ウィラマントリ氏は、「国際機関並びに政府トップレベルによる最近の発言が核兵器の完全廃棄はもはや架空の話ではなく実現可能な目標であるとの希望をもたらした。」と指摘した。 

それらの発言の中には、潘基文国連事務総長が2008年10月に行った核軍縮に向けた5つの提案や、オバマ大統領が今年4月にプラハで行った「アメリカは核兵器のない平和で安全な世界を希求する。」と表明した演説が含まれる。 

「核兵器のない世界という目標が実現可能となった今日の情勢を考えれば、ICJの示す(核廃絶への法的)道筋を厳密に実行に移していくことがますます必須の課題となってきます。2010年のNPT運用検討会議(その第3回準備委員会が2週間の日程で今週金曜日まで国連で開催中)はこの目的を追求する絶好の機会となるでしょう。」とウィラマントリ氏は付け加えた。 

バローズ氏はIPSに対し、「1996年のICJ見解は、米国の士官養成学校であるウエストポイントにおいて、武力紛争法の講座の一部として取り上げられるなど、国際社会において、一般及び専門分野の議論に幅広く浸透してきた。」と語った。 

IALANA及びハーバードロースクール国際人権クリニックは、国連総会がICJに対して軍縮義務の法的意味合いについて明確な見解を求めるよう提言している。 

バローズ氏は、ICJの見解が求められている問題について、「軍縮に向けた誠実な取り組み義務とは、各国が期限を設けて完全なる核廃絶に向けた多国間交渉を即時開始することを意味するか否かという点が含まれている。」と語った。 

これはNPT加盟国の大多数の政府が採用している見解であるが、一部の核兵器保有国はこの見解を拒否する立場をとっている。 

同様にICJの見解が求められている問題に「核兵器、運搬手段及びそれを支える支援技術体系を長期的な観点から保持、管理、改良を加えていくこと、及びそのような計画をたてていくことが、軍縮に向けた誠実な取り組み義務を欠くことにあたるか否か」という問いかけがある。 

バローズ氏は、「今日、核兵器保有国は、数十年先を視野に入れた核兵器の維持及び管理計画に莫大な資金を投資しており、このような動きは核軍縮を達成しようとする意図に決して沿ったものとは思えない。しかしICJはこの問題について法的な側面からコメントすることができる。」と語った。 

そしていま一つの問題に「軍縮に向けた誠実な取り組み義務は全ての国々、つまりインドやパキスタンといったNPT未加盟国に対しても適用されるか否か」という問いかけがある。 

1996年のICJ見解ではこの問題に対して明確な判断を下していない。ただし当時のモハメッド・ベジャウイICJ所長を含む数名の判事は、別の意見書の中で問題の義務は全ての国々に適用されるとの見解を述べている。 

バローズ氏は「ICJはこの重要な問題についても明確化することができる。」と語った。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩 

|ラテンアメリカ|核軍縮が再び議題へ(ICNND地域会合)

【サンチアゴIPS=ダニエラ・エストラーダ】

この数日間、南米チリの首都は、世界的な核不拡散を推進するハイレベル会合と軍縮を目指す民衆の平和運動という、一見全く異なる、しかし目的を共有する2つの国際イニシャティブをホストする舞台となった。 

核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)は、第一回地域会合を、ラテンアメリカ社会科学協議会(FLACSO)の後援を得て、5月1日から3日にかけてサンチアゴで開催し、国際委員達は5月4日、チリのミチェル・バチェレ大統領と面会した。 

一方、4月28日には、スペイン人活動家で国際平和団体「平和と非暴力のための世界行進」のスポークスマン、ラファエル・デ・ラ・ルビア氏が、バチェレ大統領と面会した。同活動家グループは2009年10月から2010年1月にかけて90カ国、300都市を訪問する予定である。

 
デ・ラ・ルビーナ氏は記者団に対し、世界行進は10月2日にニュージーランドのウェリントンを起点に各地を回り、2010年1月2日に最終地点であるアルゼンチンのアコンカグア山麓に到達する予定であると語った。 

3か月間に亘る世界行進の総距離は、途中の諸都市で開催予定のより小規模なデモ行進を含めておよそ160万キロに及ぶ予定である。 

デ・ラ・ルビーナ氏は、「世界行進は全ての参加都市で実施予定です。ある都市では3キロ、その他の都市では7キロ、15キロといった行程が組まれています。活動家たちは、バス、船舶、電車を乗り継きながらこうした各地の平和行進をリレーしていく予定です。」と説明した。 

今回のルビーナ氏の訪問を受けて、バチェレ大統領は、「平和と非暴力のための世界行進」への支援を明確に宣言した最初の首脳となった。 

核軍縮の問題は、この数カ月の間に、国際的に新たな注目を集めるようになった。 

4月1日、26000発にも及ぶ世界の核兵器の95%を保有する米国とロシアの大統領が共同声明を発表し、両国の核兵器の削減と保有数を制限する新たな条約締結に向けた交渉を再開する旨を約束した。 

米国のオバマ大統領とロシアのメドヴェージェフ大統領は、「米ロ両国は戦略核兵器の削減と保有数の制限に関する新たな検証可能な合意を段階的に目指す」とし、まず、第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継となる新たな法的拘束力のある条約の締結に向けた交渉に入ることを発表した。 

この共同声明は、世界各地に反響を呼んだが、特に欧州議会において、大いに歓迎された。 

しかしその数日後の4月5日、従来核開発計画の存在を認めていた北朝鮮が、当局が主張するところの「実験通信衛星」を軌道に向けて打ち上げた。しかし米国及び同盟諸国は、その実態は米国アラスカ州を射程に収める能力を持った「長距離弾頭ミサイル」であったとみている。 

この事件は、核兵器保有国がさらに増加しうること、或いは核兵器がテロリストグループやならず者国家の手中に落ちるリスクが依然として存在することを国際社会が再認識する機会となった。 

政策責任者、専門家、活動家のいずれもが、米国の政権交代によって、核軍縮に向けた前進をはかる新たな可能性が開かれたと認識している。そしてそれこそ、世界行進とICNNDの両イニシャティブが共に活動の狙いとしている点である。 
ICNNDは2008年9月に世界的な核軍縮に向けた努力を再活性化する目的で、日本とオーストラリア政府が共同で立ち上げたハイレベルのイニシャティブである。ICNNDの共同議長はオーストラリアのギャレス・エバンズ外相と日本の川口順子元外相が務めている。 

 オーストラリアは世界的なウランの主要輸出国であり、一方、日本は核攻撃を経験した唯一の被爆国である(1945年に米国によって広島、長崎に原子爆弾が投下された)。 

ICNND国際委員会委員には、アーネスト・セディージョ元メキシコ大統領(1994年~2000年)、グロ・ハーレム・ブルントランド元ノルウェー首相(1981年、86年~89年、90年~96年)、ウィリアム・ペリー元米国国防長官、王英凡元中国国連常駐大使等が名を連ねている。 

ギャレス・エバンズICNND共同議長は、サンチアゴでの記者会見で、「2010年核不拡散条約(NPT)運用検討会議に向けて世界的なコンセンサスを形成することに貢献するため、年末に報告書を発表する予定です。私たちは、核軍縮の分野で『政治的、道義的リーダーシップを発揮してきた』ラテンアメリカにおいて第1回の地域会合を開催することにしたのです。」と語った。 

世界で最初の非核兵器地帯は、1967年のトラテロルコ条約によってラテンアメリカ・カリブ海地域に設けられた。そして2003年にはラテンアメリカの全33ヶ国が非核兵器地帯の署名・批准国となっている(批准が遅れていたキューバは2002年10月に批准した)。その他、非核兵器地帯にはアフリカ、東南アジア、南太平洋、中央アジアがある。 

エバンズ氏は、ラテンアメリカが地域の非核化に主導的な役割を果たしてきた経緯を踏まえ、2010年5月に開催予定のNPT運用検討会議における議論で、ラテンアメリカ諸国がより積極的な役割を果たすことを大いに期待していると語った。 


2010年NPT運用検討会議に向けた第3回準備委員会が5月4日から15日の日程でニューヨークの国連本部にて開催されている。 

NPTは中国、フランス、ロシア、英国、米国の5カ国に対してのみ、核兵器保有国としての地位を認めている。これらの5カ国は、NPTが署名のため解放された1968年段階で核保有能力を有していた国々であり、一方で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある。 

現在189カ国が加盟しているNPTの狙いは、核兵器と核開発技術の拡散防止、核エネルギーの平和的利用に関する国際協力の促進、そして核軍縮の推進である。 

しかし今日では核兵器を保有する国々(核クラブ)にはインド、パキスタン、イスラエルが新たに加わり、北朝鮮も核兵器を保有していると広く考えられている。また、イランには核兵器開発を積極的に進めているとの疑惑が向けられている。 

エバンズICNND共同議長は、IPSの取材に対し、「2010年NPT運用検討会議では条約のいくつかの側面、特に条約の順守を保証するための検証プロセスを強化しなければならない。もしある国が条約の規範に反した行動を行っている場合、当該国を国連安全保障理事会の審議にかけ、迅速な対応をとれる適切なメカニズムが必要である。」と語った。 

エバンズ氏はまた、国際原子力機関(IAEA)への支援を拡大し機能強化を図ることの重要性を訴えた。 

エバンス氏は、核軍縮・不拡散・原子力平和利用の促進という3つの課題について、それらを隔てる境界線は不明確であり、従って相互に関連性を持って対処すべきだと考えている。「核軍縮に真剣に取り組むことなく、核不拡散の分野で大きな前進を成し遂げることは不可能です。」と述べ、NPT運用検討会議においては核保有国に核軍縮に対する真剣な取り組みを約束させることの重要性を強調した。 

ICNNDは、向う4年間の短期目標として、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准・発行及びジュネーブにおける兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の交渉妥結を目指している。 

「イランと北朝鮮に関する特定の問題についても問題解決を図っていくことが重要です。」とエバンズ氏は語った。 
元オーストラリア外相のエバンズ氏はこの4年間の短期目標が「大変野心的」なものである点は認めつつも、「米国新政権が創出した(核軍縮に向けた)新たな政治潮流を考えれば、もっと多くのことを成し遂げることができると思う。」と語った。 

ICNNDは、2025年までに世界の核兵器を最小限のレベルまで削減させることを目指している。 

核兵器保有国を順次訪問してきたエバンズ氏は、各国がICNNDに対して強い支持を表明していることについて、「ICNNDの前にも様々な委員会や報告書が存在してきたことを考えれば大変興味深い」と語った。 

またエバンズ氏は、「もしICNND国際委員会が、各国の政治・安全保障上の実情を踏まえ、(核廃絶という)崇高なビジョンについての抽象的な表現に留まることなく、具体的な日付、目標、行動計画を盛り込んだ実用的かつ現実的な報告書を作成することができれば、このイニシャティブはかなり影響力を持ったものとなるだろう」と語った。 

「核軍縮の問題は複雑かつ困難な問題です。問題解決に向けた前進を図るには3方向からの圧力が不可欠となります。」とエバンズ氏は言う。 

「まず一つ目は上からの圧力。すなわち世界に存在する核兵器の95%を所有している米ロ両国が核軍縮に向けたリーダーシップを発揮することが全ての前提となります。これなくしては核軍縮の前進はありえないからです。」と強調した。


「そして2つ目はラテンアメリカ諸国を含む米ロ以外の世界各国政府からの圧力。核軍縮を進めていくためにはこれらの政府が果たす役割は重要です。」と付け加えた。 

「そして3つ目は下からの圧力。すなわち市民社会組織や非政府組織(NGO)からの核軍縮に向けた活動が重要なメッセージを国際社会に送ることになるのです。」と語った。(2009) 

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩 

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service(IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

アフガニスタンの女性差別法に世界からの圧力を(エマ・ボニーノ)

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【IPSコラム=エマ・ボニーノ】

アフガニスタンにおいてシーア派民法が成立したと報じられたとき、夫婦間でのレイプが合法化されたと聞いた私たちには衝撃が走った。しかし、よくよく検討してみると、法律は私たちが考えているものよりもずっと悪いものであることがわかったのである。 

レイプの合法化はそれ自体恐ろしいものではあるが、それよりも問題なのは、女性を公的に第2級の市民の地位に貶めていることだ。 

法律では、女性の行動に制限をかけることが合法化されている。子どもに関する決定、女性による医療・教育サービスの利用などについても。 

今年後半に行われるアフガニスタン大統領選挙で急進的なシーア派の支持を勝ち取るために、このような民法が制定されたとの見方もある。しかし、私たちは、こんな「和解」のために、女性の基本的人権を犠牲にする法律の成立を容認することはできない。

 こうしたあからさまな人権侵害に対して、世界中から非難の声が上がった。幸いハーグで開かれたアフガニスタン支援国際会議やNATOサミット(4月3日~4日)の場において、世界の指導者らがアフガニスタン政府を批判した。これを受けてアフガニスタンのカルザイ大統領も、法律の見直しを示唆した。 

「正義なきところに平和なし」「多国籍急進党」でも、国際アピールを開始している。世界はアフガニスタンの動きを監視し続けている、と伝えるためだ。 

たしかに法律の見直しは示唆されたが、私たちはこれで満足しているわけにはいかない。私たちは、たゆまず、国際的アピールを発し、自国の政治家やアフガニスタン政府に圧力をかけ、創造的な非暴力行動を組織していかねばならない。アフガニスタンの女性たちは、私たちからの完全なる支援を受けるに値するのだから。 (原文へ

翻訳/サンプルサマリー=IPS Japan


*エマ・ボニーノ女史は元欧州委員会人道援助局委員で現在イタリア上院副議長。 

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|軍縮|勢いづくドイツの平和運動

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【ベルリンIDN-InDepth News=ジュリオ・ゴドイ】

それはまさに歴史の皮肉とでも呼ぶべきことかもしれない。そもそもドイツの平和運動は、米国主導の北大西洋条約機構(NATO)が西ヨーロッパ全域に核兵器を配備する決定を下したことに対する抗議行動が発端であった。ところが30年後の今日、同平和運動は今度は米国のバラク・オバマ大統領の提案を活発に支持する行動で再び紙面を賑わせている。 

ドイツの平和運動は、1979年12月のNATOによるいわゆる「二重決定」が契機となり一般大衆を巻き込む運動へと拡大した。NATOはこの月ワシントンで開催した外相・国防相特別会議において、ワルシャワ条約機構に対して、準中距離弾道弾(MRBM)及び中距離弾道弾(IBM)の軍備管理交渉を呼び掛けると同時に、合意に達しない場合、西ヨーロッパに新たに中距離核戦力を拡大配備する方針を採択した。

 NATOが572基の核弾頭設置(パーシングII及び巡航ミサイル)を決定して以来、西ドイツ領(当時)だけでも、ソ連、東欧全域の諸都市及び民間・軍事施設に照準を合わせた数千発の核兵器が配備された。また西ドイツは同時に、ソ連のSS-20核ミサイルの主要攻撃目標となっており、同ミサイルの発射台の一部は東ドイツ(当時)に配備されていた。 

その後、特に1980年代初頭以降、多くの西ドイツ市民がNATO及び米国による国内への核兵器配備に反対して定期的に抗議行動を起こしてきた。当時のドイツ人平和活動家達にとって、いつの日か、米国の大統領と核軍縮に関する見解を共有ことになろうとは想像もできなかったことだろう。 

オバマ大統領は4月5日、チェコ共和国の首都プラハで行った演説で、「核兵器のない世界」の実現に向けて世界をけん引していくことを誓った。オバマ氏は、世界中に拡散している数千発に上る核兵器を「冷戦時代の最も危険な遺産」と呼び、「世界規模の核実験禁止を実現するために、私の政権は、直ちにかつ強力に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を目指す」と述べた。 

オバマ氏はまた、「50年以上の協議を経た今、核実験はいよいよ禁止される時だ。」と述べた。 

今年の復活祭(イースター:4月12日)はオバマ演説に応えて多くのドイツ人が再び街頭で示威行動を起こした。聖金曜日にはドイツ金融の中心地であるフランクフルトだけでも約二万人の市民が街頭に集い核兵器の廃絶を訴えた。また、ドイツ国内の数十か所の都市において同様のデモ行進が催された。伝統的にイースターにおけるデモ行進は、一年における平和活動のクライマックスと位置付けられている。 

フランクフルトでは、核戦争防止国際医師会(IPPNW)ドイツ支部の共同創設者で精神分析学者のホルスト‐エーベルハルト・リヒター氏が、「今日再び集結した平和運動は、オバマ米大統領に対する抗議のためではない。彼を支援するためのものだ。(オバマ氏によって開かれた)地球規模の核兵器による威嚇政策から人類の平和構築を目指す政策への転換は、実に大きな一歩であり、今こそ世界の市民の支援を必要としている。」と街頭行進に集まった大群衆に呼びかけた。 

IPPNWのイェンス・ペーター・ステッフェン氏はIDNの取材に応え、オバマ大統領の核軍縮への訴えは「核廃絶を目指す私たちの運動にとって大きな追い風となるだろう」と語った。 

IPPNWは1980年に核戦争の恐ろしさを憂慮した米ソの心臓学者によって設立され、今日では約60カ国に支部を持つ、核兵器全廃を唱える世界規模の医師連盟組織である。IPPNWドイツ支部は約8000名の会員を擁す同国最大の平和団体である。 

NATOによる1979年のいわゆる「二重決定」は、ジミー・カーター政権下で構想が練られ80年代のロナルド・レーガン政権の下で実行に移されたものだが、その結果、西ドイツ領土は数千発に及ぶ核兵器の発射拠点と変貌を遂げてしまった。このことは同時に、(当時の東ドイツも含めると)ドイツ全土がロシア及びフランスの中距離核兵器の攻撃目標にもなっていることを意味し、まさに全てを抹殺する核戦争がドイツ領土を舞台に勃発しかねないという差し迫った現実が、一般のドイツ市民をして、核兵器の存在に対する危機感を高めることとなった。 

当時のヘルムート・シュミット首相率いる社会民主党政権がNATOの2重決定に従いドイツ領内への核兵器配備を容認した際、ドイツ全土で多数の市民が死を招く核競争の論理を糾弾して街頭で抗議行動を展開した。 

1981年のイースター行進では、30万人を超える市民が当時の西ドイツの首都ボンに集結し、NATOの2重決定に対して平和裏の抗議活動を行った。それから間もなく、核兵器受入の判断を巡って与党内の支持を失っていたシュミット首相は、国会で建設的不信任決議を可決され退陣に追い込まれ、代わって保守政党キリスト教民主同盟(CDU’s)のヘルムート・コール氏がドイツ連邦首相に就任した。 

ドイツ社会民主党(SPD)は、その後16年を野党の地位に甘んじ、平和運動に起源をもつ政治政党である緑の党に国会における議席数を侵食される憂き目にあった。1983年にレーガン大統領がボンを訪問した際には、50万人のドイツ人が街頭にでて抗議の意思を示した。 

ベルリンの壁の崩壊 

ベルリンの壁の崩壊と冷戦の終焉以来、特に1990年代末から2000年代初頭にかけてドイツの平和運動はその限界を露呈しつつあるかに見えた。東西ドイツが統一しソヴィエト陣営が解体した後、核戦争の恐怖は遥か昔の出来事かのように思われたのかもしれない。その当時、イースター行進はもはや世間の注目を浴びることなく、政治への影響力も皆無に等しいものとなっていた。 

しかし一方で、その時期もドイツは相変わらず数十基の核弾頭の発射拠点であり続けた‐そしてその現実は今日も変わらない。ドイツに配備されている核弾頭の実情については公開されていないが、IPPNWドイツ支部は、約20発のB61タイプ核爆弾が、ベルリンの南西500キロ、ベルギー・ルクセンブルク国境近くにあるブエッヘル軍事基地に保管されていると見積もっている。

ブエッヘル基地には最大44基の核弾頭を収容することができる。ここではNATOの核抑止政策の一環として核兵器使用計画に非核保有加盟国を組み込むいわゆる「核兵器共有政策」の枠組みに則って約1700名のドイツ兵が核兵器施設の扱い方について訓練を受けている。ドイツの他では、ベルギー、イタリア、オランダが同様に米国の核兵器を配備・保管している。 

IPPNWによると、欧州のNATO加盟国が保有する米国製核爆弾の総計は約300発とみられている。これらの核爆弾の破壊力は、1発あたり最大170キロトンである。因みに1945年8月に日本の広島市に投下され最大20万人の人命を奪ったとされる核爆弾の破壊力は12.5キロトンであった。 

一方、欧州に配備されたロシア側中距離核ミサイルの総数は約7000基で、その内約5000基は既に実戦で役に立たないものとみられている。NATO・ロシア双方が配備しているこうした中距離核ミサイルについては管理が行き届いておらず、盗難の危険性があることが指摘されている。 

今年のドイツのイースター平和行進は、1980年代の全盛期と比べるとはるかに小規模なものだったが、核廃絶を目指すとしたオバマ大統領の発言を追い風に、長らく低迷していた核廃絶を求める平和運動の「再生」を象徴するものとなった。この新たな潮流が及ぼしている影響は絶大なもので、つい最近まで核兵器との共存を止むなしと考えていたドイツ主流派の政治家達でさえ、核軍縮の可能性を真剣に考えるようになってきている。 

SPD(中道左派)を率いるフランク・ウォルター・シュタインマイヤー外相もそうした一人である。シュタインマイヤー外相は週刊誌「シュピーゲル」のインタビューの中で、米国政府に対して核軍縮計画の中にドイツに配備している核兵器を含めるよう強く求め、「核兵器は、軍事的に時代遅れの兵器である」と述べた。 

昨年12月に米国国防総省に提出された報告書の中で、専門家委員会は「ヨーロッパ全域に配備されている核兵器は軍事的に既に役に立たないもの」と結論付けたうえで、使用可能な状態に維持するためのメンテナンスコストが莫大な予算に上っている点を指摘している。 

意見が分かれるドイツ政府 

ドイツにおける核軍縮問題については、それを率直に支持したシュタインマイヤー外相の発言がある一方で、ドイツ連立政権内の意見は分かれているようである。SPDと連立政権を組んでいるCDU’s(中道右派)のアンゲラ・メルケル首相は、3月のドイツ国会における議論の中で、「私の政権は、核兵器政策という慎重さを要する事項についてNATO加盟国間におけるドイツ政府の影響力を保持するためにも、引き続き米国との核兵器共有政策を順守していく」と語った。 

またメルケル首相は、2月上旬に開催されたミュンヘン国際安全保障会議の席でも、「ドイツ政府は…核抑止の原則を順守していく」と発言している。ドイツ観測筋によると、メルケル首相率いるCDU’sは、核政策に関してはドイツ軍当局の作成した見解を踏襲していると見られている。 

一方、ドイツ国会においては、連立与党のSPDのみならず、1980年代の平和運動に設立起源を持つ緑の党、ドイツ左翼党、ドイツ自由民主党(FDP:ドイツ語表記の頭文字)など、右派・左派を問わず全ての野党がドイツ領土からの核兵器撤去を支持している。 

事実、オバマ大統領のプラハ演説の直後、ギド・ヴェスターヴェレFDP党首は、ドイツ公共放送のインタビューに応えて「政府はドイツ領土から核兵器を撤去するようNATOとの交渉を開始すべきだ。核兵器はドイツに置かれるべきものではない。」と語り、政府の対応を強く要請した。 

こうした各党指導者の声高な発言にもかかわらず、ドイツ領土からのNATO核兵器撤去問題が今年のドイツ国会で審議されることはなさそうだ。それはSPDとCDUの連立政権協定において、核兵器撤去問題を国会採決に提議しないことが両党間で合意されているからである。 

しかしその政権内拘束も期限切れを迎えようとしている現在、核軍縮を目指す活動家たちは、9月に予定されている総選挙に向けて、候補者選びの争点になることを期待している。 

記者の質問に応えてIPPNWのステッフェン氏は、「シュタインマイヤー外相が急遽、公式に核軍縮支持の見解を打ち出したことは、既に次回の総選挙を視野に入れてのことです。同氏はSPDの推す次期首相候補ですから。」と語った。 

ステッフェン氏はまた、「ここ数年間に実施された無数の世論調査の結果を見ても、ドイツ有権者の大多数といってもよい約75%が核兵器の国外撤去という主張を支持しています。」と語った。シュタインマイヤー外相は、明らかに、核軍縮を強く支持する有権者が多数を占める今日の政治状況にあやかろうとしている。 

NATOの核兵器がドイツ領土から将来的に撤去される可能性が出てくる一方、ドイツの平和運動に携わる者たちは、核軍縮問題が世界的に直面している困難な問題についても認識している。 

「パキスタン、インド、北朝鮮、イスラエルといった核保有国は、国際連合のリーダーシップの下で地球規模の困難な交渉がされない限り、核兵器を手放すことはないだろう。」とステッフェン氏は語った。 

「そのためには、新たな国際核軍縮条約が締結されなければならない。そして国際連合のみが核軍縮に向けた困難な交渉をリードし、核軍縮の過程をモニタリングする能力を有していると思われる。」とステッフェン氏は語った。 

そのような条約には国連安全保障理事会の5カ国、すなわち米国、ロシアの他にフランス、英国、中国の核兵器を対象に加える必要がある。「ドイツの左派野党は、欧州連合(EU)がEU全域を非核地帯と宣言することで、オバマ大統領による核軍縮の訴えを支持することを求めている。」と左翼党外交政策担当のヴォルフガング・ゲールケ氏は語った。 

しかし、にわかに高まる核軍縮を求める世論にも関わらず、フランスや英国は依然として核兵器を放棄する気配はない。従って、ゲールケ氏の欧州非核地帯構想は、今のところ、希望的観測でしかない。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan

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|視点|緊急性を増した核軍縮(ミハイル・ゴルバチョフ)

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service (IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

|軍縮|核兵器のない世界という新たな約束

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【ベルリンIPS=ラメシュ・ジャウラ】

米ロの首脳が、戦略兵器削減条約(START)に代わる新たな核軍縮条約に取り組む意志を発表したことで、軍縮を推進するリーダーたちは新たな光明を見出している。 

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領とアメリカのバラク・オバマ大統領が共同声明を発表したのは、ロンドンで催された20カ国・地域(G20)首脳会合開催前夜の4月1日。世界の95%の核兵器を所有する米ロ両大統領は、「我々両国は、核兵器のない世界を実現するため、約束を交わした。」と言明した。

Mikhail Gorbachev/ photo by Katsuhiro Asagiri

 4月16日と17日にローマで開催された会議に参加した世界の著名な軍縮支持者たちは、核廃絶に向けたこの新たな趨勢をさらに前進させることに賛同するだろう。「核の危機を超えて」と題したこの国際会議には、約20カ国から70名の現役・元政府高官や専門家が参加した。 

この国際会議を共催したイタリアのフランコ・フラッティーニ外相は、米ロ首脳の共同声明について、「軍縮と軍備管理に対する新たな勢いを創出するものであり、2010年に開催される核不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に向けた全参加国の協力意識を高めた。その他の核保有国もアメリカとロシアに続くべきだ。」と述べた。 

フラッティーニ外相はまた、「軍縮及び核兵器不拡散に関する諸条約を完全に履行すること、とりわけNPTを順守することが、(核廃絶という)私たちの目標達成に向けて本当の意味で前進を図るための必要不可欠な条件となる」と語った。 

「しかし、その道のりには数知れない障害が立ちはだかっている。」とミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領は警告した。1985年から1991年に亘ってソビエト連邦共和国(当時)の最後の最高指導者を務めたゴルバチョフ氏こそ、ロナルド・レーガン米国大統領(当時)とSTARTを署名した人物である。 

世界政治フォーラム(WPF)の会長を務めるゴルバチョフ氏は、「国際関係を非武装化する必要性、軍事予算の削減、新型兵器開発の禁止、そして宇宙での武装を防ぐという話し合いを行わない限り、核兵器のない世界についてどんな話をしたとしても、単なる筋の通らない美辞麗句で終わってしまう。」と語り、米ロ両国に対してそのハードルを取除く努力を強く促した。 
 ゴルバチョフ氏の手によってイタリアのピエモンテ州で創設された国際非政府組織(NGO)WPFは、今回、本

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World Political Forum/ photo by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, IPS Japan

国際会議を核脅威イニシアティブ(NTI)と共催した。WPFの渉外担当役員、ロベルト・サビオ氏は、「WPFは文化、宗教、世界のリーダー、及び市民社会組織の代表が集う交流の場を提供している。こうした相互に依存しあう課題に対する分析をオープン・フォーラムで行うことで、新たな世界の政治的な枠組みが形成される」とIPSに語った。米国を拠点とし、核・生物・化学兵器の拡散や使用のリスクを軽減することで、世界の安全保障の強化を目指すNTIは、CNNのテッド・ターナー氏と元上院軍事委員会委員長、サム・ナン氏が共同で議長を努めている。 

この会議では、核のない世界を築く、という山の頂に至るまでの、“ベースキャンプ”を設けることを提案。これらのベースキャンプは、核兵器のない世界に向けた最良の道筋を考案するためのプラットフォームを提供するだけでなく、軍備管理や安全保障協力といったその他の分野においても支援策を討議する場として、核兵器のない世界へと導く役目を果たすだろうと、ゴルバチョフ氏、ジョージ・P・シュルツ氏(レーガン政権下の1982年~89年に国務長官を務めた)、フラッティーニ外相は共同声明を発表した。 

同会議の声明では、核兵器のない世界というビジョンを受入れ、核がもたらす脅威を克服するため早急に手を打つ必要があるとの意識が、政府の内外から高まっている、とある。 

東京に本部を持つ仏教団体、創価学会インタナショナル(SGI)平和運動局長・寺崎広嗣氏はIPSの取材に対し、「国際政治の場で、非現実的なビジョンとしてしか捉えられていなかった核廃絶への流れが生まれていることは、極めて重要なチャンスの到来だ」と述べた。 

SGIは、2007年9月から「核兵器廃絶へ向けての民衆行動の10年」を、1985年にノーベル平和賞を受賞した戦争防止国際医師会議(IPPNW:60カ国から集う医師組織の連盟)が立ち上げた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)等の国際反核運動と協力し、スタートさせた。 

「“核兵器廃絶への民衆行動の10年”の目的は、核兵器の存在を拒絶する人々を増やすことにあります。核兵器を拒否する一般市民や市民社会こそが、核廃絶を求める世論のうねりを作り、政策決定者に影響を与える主体者である。」と寺崎氏は語った。 

SGIはこのローマでの国際会議に参加した三つの民間団体のうちの一つ。他の2団体は、1500団体超の市民社会組織や地元当局のネットワークを結ぶイタリア平和円卓会議(Italian Peace Roundtable)と、米国に本拠を置き核軍縮、特に核の軍備管理・拡散防止・軍縮を焦点に、法律に基づく国際安全保障協力の強化を目指す世界安全保障研究所(GSI)である。 

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Mikhail Gorbachev, president of World Political Forum(2nd from left) with the delegation of Soka Gakkai International led by Hiromasa Ikeda, SGI Vice President(fourth from left) during World Political Forum held at Italian Foreign Ministry. Photo by Francesca Palozzo, WPF.

GSI所長のジョナサン・グラノフ氏はIPSの取材に対し、「現状、化学兵器や細菌兵器は世界的に非難されているにも関わらず、それよりもっと恐ろしい核兵器は、非難されることなく、9カ国(イギリス、フランス、ロシア、中国、カナダ、米国だけでなく、インド、パキスタン、北朝鮮)で容認されている。こんなことは一貫性に欠け、支持できるものではない。」と語った。 

また、「唯一の解決策は、世界のすべての国が、この恐ろしい兵器の使用を許すのか、廃絶させるのかを選択することだ。明らかに前者は受け入れられない。」と述べた。 

IPSの取材に対し、元インド外務次官で軍縮専門家のラリット・マンシン氏は、「誰も核廃絶を5年後に実現させる、といったような夢のような期待はしていない。世論を整え、主役である米国とロシアが実際に行動するよう、周りが説得しなければいけないと自覚しているからだ。両国が行動すれば、世界から核兵器を廃絶するという頂きへ、徐々に進むことができるだろう。」と語った。 (原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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世界政治フォーラムを取材

|タンザニア|障害者への偏見を打ち破る工芸品ビジネス

【イリンガ(タンザニア)IPS=サラ・マクレガー】

タンザニアに2003年設立されたNPO法人ネーマ工芸は、障害者は肉体的、知的に厳しくても仕事をしながら人生を精一杯生きることが出来るという信念の下で運営している。出来ることもなく通りで過ごす障害者を雇用し、仕事を実地訓練し、消費者が本当に欲しい物を生産し、施しとしてではなく購入してもらうのを目指す。

製作製品は、ゾウの糞から作った紙や贈答用のカード、ビーズアクセサリー、色彩豊かなハンモック、スカーフ、クッションカバー、絞り染めの服、クリスマスの飾り、ランプシェード、キルト、パッチワーク、その他の珍しい品物だ。旅行者、ボランティア、地元の宗教団体職員に人気で、インターネット経由(http://www.neemacrafts.com/)でも注文を受け、英国、米国、ドイツの小さなフェアトレードショップの店頭に並んでいる。

Wheelchair-bound weavers at Neema Crafts in Iringa. Credit: Sarah McGregor/IPS
Wheelchair-bound weavers at Neema Crafts in Iringa. Credit: Sarah McGregor/IPS

併設する聴覚障害者運営のカフェでは、客は注文する時、紙に書いたりメニューにある手話を使ったりする。何か必要がある時にはテーブルにあるスイッチを押してライトを点滅させる。

ネーマ工芸の運営、維持費は売上収益と寄付でまかなわれる。

タンザニアで障害者は、教育も就業の機会も与えられず、貧困の中にとどまらざるを得ないので、社会では貧しい家族の重荷とみなされている。タンザニアでは人口4千万人の3分の1が1日1ドル以下で暮らし、80%が自給自足で、手足が不自由な障害者は肉体労働の畑仕事を手伝えないからだ。

ネーマ工芸の運営を手伝う英国人スージー・ハート氏は、次のように言う。

「ネーマ工芸があるイリンガ州はタンザニアの最貧地域で、貧困ゆえに子供達が障害を持って生まれてくる。ここでは女性も重労働を担っており、妊娠してから出産まで重い水を運ばなければならず、お腹の子に悪影響を与えている。妊娠中の栄養不足や、出産に対する不十分なケア(出産時、胎児の酸素不足が多発)、未然に防げない脳マラリアなどもある」

また、東アフリカの障害者は、のろわれているという烙印を押され、社会からの疎外にも苦しむ。そして、リハビリ施設もほとんどなく、どこへ行くにも道路も建築物も障害者に全く考慮されて造られていない。

ネーマ工芸では、働き始めて自尊心を取戻し、仕事を楽しむ60人の作業者に人員を追加したいと考えている。しかし、その前に賃金を支払うため、新しく製品を売る市場を見つけねばならないとハート氏は言う。今年に入って、働きたいと言う人を1週間に9人も断らねばならないという最もつらい仕事をしたからだ。

障害者に職と生きがいを提供するタンザニアのネーマ工芸について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=INPS Japan 浅霧勝浩 

|キューバ|世界的危機を超えて、そしてその裏で(レオナルド・パドゥラ・フエンテス)

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私たちキューバ人は、世界中を襲っている「経済危機」という言葉を聴いても、おそらくもっとも小さな恐れしか抱かない人々であろう。というのも、ポストソ連期の1990年代、私たちは長期にわたるモノ不足と貧困に悩まされたからだ。それは、婉曲的に、「平和な時代の特別期」と呼ばれている。私たちは、食料や電気、交通手段、住宅、医療、衣服などあらゆるものがない時代を生き抜くすべを学んできた。 

停電が毎日のように起こり、主要な移動手段が自転車であった90年代、キューバではあるジョークがはやっていた。それは、「キューバ人にはたった3つの悩みしかない。それは、朝食、昼食、夕食だ」。

 世界的な経済危機の中で、昨年来の食料価格、燃料価格の上昇にキューバ政府が対処しなければならな

かったのは事実だ。しかし、私たちが長く苦難のときを経験してきたことを考えれば、現在の危機はそれほどキューバの現状と関係がないのである。問題は、キューバにおける生産性の低さの方だ。 

その意味で、キューバは、G7やG20よりも、あるいは、資本主義的な金融・経済システムの改編よりも、キューバ政府自身が2年前に開始した社会的・経済的改編の方に希望を持っている。 

 とりわけワシントンからもたらされた最近の変化は、キューバへの渡航や送金への制限が緩和されたことだ。いまだ禁輸の解除まではいっていないが、キューバ人に希望を与えている。 

1980年以降に生まれた世代は、生まれて以降ずっと、物資不足の中を生きてきた。彼らの中には、国外に逃げたり、暴力に走ったりする者も少なくなかった。世界的な経済危機は私たちを縮みあがらせるものではないけれど、90年代以降の状況は、私たちの社会に消えない影響を残し続けているのである。(原文へ) 
 
翻訳=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

世界政治フォーラムを取材

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Mikhail Gorbachev, president of World Political Forum(2nd from left) with the delegation of Soka Gakkai International led by Hiromasa Ikeda, SGI Vice President(fourth from left) during World Political Forum held at Italian Foreign Ministry. Photo by Francesca Palozzo, WPF.

「核の危機を超えて」というテーマを掲げてミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領が主催した世界政治フォーラム(World Political Forum)がイタリアのローマで開催(4/16-17)され、IPS Japanから浅霧勝浩理事長(WPF日本事務局)がラメシュ・ジャウラIPS欧州総局長と共に取材した。フォーラムには、現役・元政府高官、市民社会組織の代表など約20か国から70名が参加した。 
日本からは、2007年9月から「核兵器廃絶へ向けての民衆行動の10年」を立ち上げ、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)等の国際反核運動と協力している創価学会インタナショナル(SGI)が参加した。平和運動局長・寺崎広嗣氏はIPSの取材に対し、「国際政治の場で、非現実的なビジョンとしてしか捉えられていなかった核廃絶への流れが生まれていることは、極めて重要なチャンスの到来だ」と述べた。 
SGIはこのローマでの国際会議に参加した三つの民間団体のうちの一つ。他の2団体は、1500団体超の市民社会組織や地元当局のネットワークを結ぶイタリア平和円卓会議(Italian Peace Roundtable)と、米国に本拠を置き核軍縮、特に核の軍備管理・拡散防止・軍縮を焦点に、法律に基づく国際安全保障協力の強化を目指す世界安全保障研究所(GSI)である。

World Political Forum photo by Katsuhiro Asagiri
World Political Forum photo by Katsuhiro Asagiri
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World Political Forum/ photo by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, IPS Japan
Ramesh Jaura, Bureau CHief of IPS Europe and George Shultz, Former Secretary of State of USA.
WPF Secretariat Staff/ photo by Francesca Palozzzo, WPF

IPS Japan

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