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独裁政権を支持するEUに不満の声

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【ブリュッセルIPS=デイビッド・クローニン】

欧州連合(EU)によるチャドへの欧州連合部隊( Eufor )の派遣をめぐり、チャドの独裁政権を支持しているとの非難が高まっている。Euforはダルフール難民および国内避難民の保護を目的に作られたが、その大部分はフランス人が占めている。 

旧フランス植民地であったチャドでは、国民のフランス人に対する感情は決して良いとは言えない。また、「すでにチャド国内で別の軍事行動を展開しているフランス軍との区別ができない」との意見も出ている。

 今年に入ってから首都のヌジャメナでは、反政府勢力と政府軍との戦闘が激化。その間、フランス軍はイドリス・デビ大統領率いる政府軍を支援し、攻撃型ヘリコプターが待機する空港で警備を行った。 

また、2006年の反チャド政府組織『United Front for Democracy』による攻撃の時も、フランス軍はデビ大統領政権の後方支援にあたっている。 

ドイツ人欧州議会議員(MEP)のTobias Pfluger氏は「Euforの派遣は場当たり的なものであり、その目的も明確でない」とEuforの活動停止を訴えた。 

これに対して、チャド・スーダンのEU代表である外交官Torben Brylle氏は、Euforが国連安保理の指示のもと活動している点を強調し「派遣について、チャド国内の多くの指導者からの十分な理解は得られている。我々は治安の確保と人々の保護のために、ここに留まるのである」と説明した。 

ドイツ人保守派MEPのMichael Gahler氏は「チャドの人々は『中立の立場にいる』白人兵士と、『政府軍の側にいる』白人兵士とを見分けることができるのだろうか」と懸念を示した。 

EUはすでに派遣が予定されているEufor要員3,700人のうち、ほぼ半数の派遣を3月中旬までに完了した。残りは6、7月の雨季に入る前に配備する予定になっている。 

チャドへの欧州連合部隊(Eufor)派遣をめぐる諸意見を報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

|ポーランド|新政権、ミサイル基地建設で米国に具体的見返りを要求

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【プラハIPS=ゾルタン・ドゥジジン】

米国のミサイル基地建設に一度は同意したポーランドであるが、昨年のドナルド・トゥスク政権誕生以来、外交政策の大幅見直しが行われている。 
 
カチンスキー前政権は、ロシアを敵視するだけでなくEUとの関係をも複雑にしていたが、今やポーランド・メディアのほとんどがその対米政策についても甘すぎたと批判している。 
 
カチンスキー氏は、米軍基地の存在はポーランドの益になると考えていたが、基地建設は安全保障上むしろ不利になるとするトゥスク政権は、基地建設に強硬反対していたロシアとの対話を再開し、EUの主要政策にも参加した。また、対米発言も強さを増している。 
 
米国はポーランドとの協力拡大を約束していたが、トゥスク政府は、口約束だけでは不十分だというのだ。 
 
ポーランドは、真っ先に大量の兵士をイラク、アフガニスタンに派遣した。しかし約束された建設/石油ビジネスへの参入は実現していない。基地建設を事実上認めたチェコは、ワシントンとの技術協力拡大で合意したが、ポーランド政府は、基地建設の条件として具体的な見返りを要求しているのだ。その柱は、航空防衛と軍の近代化だ。 
 
ライス国務長官はポーランドに対し、同国の安全はNATOにより完全保証されており、軍事力の更なる強化はロシアの反発を買うだけだと説明した。しかし、ポーランドは、基地が建設されればそれがロシアの攻撃目標になるとして、短距離ミサイル防衛が必要としている。実際、ロシア軍の一部にはこの様な主張もあり、ロシアのラヴロフ外相は、ロシア側の意見にも耳を傾けてもらいたいとして、今回の対話を歓迎している。 
 
ポーランドの方向転換に驚いたのは米国である。彼らの要求を満たすには追加200億ドルの予算が必要となり、これによりポーランドは米国にとって最大の軍事援助国となる。ポーランドは共和党政権が要求を飲み、そのつけを新政権に残すことを期待している。 
 
しかし、もし米国が代替国を探し始めるとすれば、それはロシアの勝利を意味する。ポーランド国民の多くそして米国にとって、それだけは何としても避けたいところである。米国のミサイル基地建設に対するポーランド新政権の対応について報告する。 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|オランダ|反イスラム教映画に対し高まる不安

【ロッテルダムIPS=イレーヌ・ドゥ・ヴェッテ】

オランダの極右政党党首で国会議員のヘールト・ウイルダース( Geert Wilders )氏の反コーラン映画フィトナ(Fitna)」公開の発表に対し、物議を醸す内容が国内外に不安を生むとし、政治家から公開を自粛するようにとの声が上がっている。 

国民的議論の中心は、映画の予想される内容と言論の自由の制限についてである。国の安全に関する警戒の声も上がっている。だが、映画を観た者はまだ誰もいない。発表通り4月1日にインターネット上で公開されるのかどうかも不明である。

 3月23日、米国のインターネットプロバイダーは、内容について調査中とし、ウイルダース議員のサイトを一時停止した。テレビネットワークと同議員との交渉は、放映前の視聴を認めないとする議員の要求をテレビ局側が納得せず、失敗に終わっている。 

オランダのバルケネンデ首相は2月29日のスピーチで、映画について「重大な懸念」を表明するとともに、言論の自由と宗教の自由の保証を強調した。首相はデンマークでのムハンマド風刺画が引き起こした反発と同様、オランダ市民と経済に対する影響を懸念して、ウイルダース議員に映画の公開取り止めを強く求めた。だが議員は断固として公開すると答えている。 

テロ対策担当調整官は、オランダはテロ攻撃を受けるリスクが高まっていると述べている。北大西洋条約機構(NATO)はアフガニスタン駐留のオランダ軍の安全について懸念している。 

3月13~14日にセネガルのダカールで開かれたイスラム諸国会議機構(OIC)のサミットでも風刺画と映画が中心議題に取り上げられた。エクメレディン・イフサノグル事務局長は、OIC加盟57カ国が「こうしたイスラム嫌悪に対し適切な決定を行うことを期待する」と述べた。 

オランダ公訴局の「National Expert Center on Discrimination(差別に関する国家専門家センター)」(NECD)にはこの数カ月、ウイルダース議員の発言に関して憎悪の流布だとして警察の苦情が殺到している。オランダでは差し迫った脅威や差別などの一定の制約によって言論の自由が制限される。NECDの広報官はIPSの取材に応えてウイルダース議員の発言は「軽蔑的であるが、しかしまだ法律の認める範囲にある」と述べた。 

オランダのイスラム教連盟は、映画がイスラム教徒とイスラム教を攻撃したものでないかどうか独立した専門家の判断を要求している。 

その一方、著名人や市民はウイルダース議員に対する反対行動が組織されている。この数日YouTubeには「Sorry for Fitna」の数百に及ぶクリップが掲載されている。 

オランダ国会議員の反イスラム教映画を巡る動向について報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩 

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|イエメン|風刺画騒動が長い影

|米中関係|国連の理事会で米中が対立

【ジュネーブIPS=グスタボ・カプデビラ】

国連人権理事会の今年の第一会期は3月4日にジュネーブで始まっているが、開会以来、チベットの事件に対して見て見ぬふりをしてきた。だが25日に理事会が1993年のウィーン世界人権会議の決議について取り扱ったのをきっかけに、欧米の外交官と市民活動家はチベット問題を予告なしに取り上げた。 

国際的NGO「脅威を受けている人々のための協会」のカイタ氏は、委員会が最近のチベットでの事件を話し合う特別会議を開くべきだと発言した。カイタ氏はダライ・ラマ事務所の人権専門家でもある。

 もっとも白熱したのは米国のティチノール大使と中国の銭波代表のやりとりだった。ティチノール氏がチベットの首都ラサでの平和的抗議活動にともなった暴力、逮捕、死者について強い懸念を表明すると、銭氏は米国こそイラクなどでの大規模な人権侵害を反省すべきだと反論した。 

人権理事会がチベット問題を話し合う場を提供しないと嘆くアムネスティ・インターナショナルのスカネラ代表の発言は、中国およびその支持国の動議によって中断させられた。スカネラ氏は理事会が中国に圧力をかけてチベット問題に対処すべきだと考えている。 

チベット代表は人権理事会に現地調査団をチベットに派遣するよう要請した。ヒューマン・ライツ・ウォッチのリヴェロ代表は、中国の国内法と国際法に準じた、少数民族の言論、集会、結社の権利の尊重を求めた。 

スイス代表は中国に過度の武力行使を抑えるよう促し、「チベットでは、中国およびその他の世界と同じように、すべての人々が市民的、文化的、経済的、政治的、社会的権利を行使できるべきである」と述べた。 

一方、中国代表はチベットのデモの参加者が申し立てる抑圧は、ダライ・ラマとその追随者の陰謀だと抗議した。「チベット問題は中国の国内問題であり、国連の理事会の議題になるものではない」と銭氏はいう。チベット問題を取り上げることについて紛糾した国連人権理事会について報告する。 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

|セルビア|ロシア人との旧交

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【ベオグラードIPS=ヴェズナ・ペリッチ・ジモニッチ】

コソボ問題でロシアがセルビアを擁護し、2国間の政治的友好関係がクローズアップされている。しかし両国民の交流は90年前にさかのぼる。 

当時セルビアは「セルビア人、クロアチア人、スロヴェニア人の王国(Kingdom of Serbs, Croats and Slovenes )」として徹底した反共産主義であり、1917年のボルシェビキ革命を経たロシアとは一切交流がなかった。そこへ共産主義を逃れたロシア人が多数流入した。

 およそ35,000人のロシア移住者は中流階級の教育を受けた専門家がほとんどで、正教派の宗教、スラブ語系の言語を共有するセルビア社会に適応。現代医学、高級建築、専門技術などで大きく貢献した。1930年代にはベオグラード大学の教授陣の3分の1がロシア人であり、とりわけ医学、農業分野では2分の1を占めた。 

しかし、ロシア人を逆風がおそった。第2次世界大戦後に当地が共産主義化すると多くのロシア人がセルビアを離れた。1948年になり指導者チトーがソ連と袂を分かつと、残ったロシア人はさらに窮地に立たされ、さらに流出が進んだ。 

セルビア人との婚姻関係で同化が進み、ロシア人として残る者は現在500人に満たない。多くのベオグラード市民にとって、ロシア移民を思い起こさせるものはタシュマイダン公園のロシア正教教会だけである。 

セルビア社会に貢献のあったロシア移民の歴史について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩

|ノルウェー|テロリストか自由の戦士か

【オスロIPS=タルジェイ・キッド・オルセン】

2月28日、オスロ警察はテロリスト支援容疑で3人のソマリア人を逮捕。その内1人は依然拘束されている。当局によると、3人は、国連支援のソマリア暫定政府と戦っているテロリスト集団に資金を送っていたという。

ノルウェーには約1万8,000人のソマリア人が暮らしているが、その多くは暫定政府に強硬反対しており、一部には、今回の逮捕はソマリア移民に対するノルウェー・メディアおよび治安当局の偏見/差別によるものとの批判も出ている。

ソマリアでは、1991年以降中央政府が機能していない。2006年にはイスラム法「シャリア」を奉ずるイスラム法廷連合が、モガディシュおよび南部ソマリアを支配したが、エチオピア軍の支援を得た暫定政府は、戦闘の末同年12月にイスラム法廷連合を打ち負かした。

今回逮捕された3人は、このイスラム法廷連合内の一部過激派「アル・シャバブ」に資金を提供していたというのだ。逮捕者の内、2人は尋問に対し、彼らの行動は、ロンドンに亡命しナチス占領に抵抗するため資金を送っていたノルウェー人と同じだと主張したという。

これについて、ノルウェー都市/地方研究所のハンセン上級研究員は、アル・シャバブの性格からしてこの主張は正しくないとしながらも、ノルウェーに住むソマリア人の多くは、アル・シャバブの実態を知らず、単にエチオピアおよび暫定政府に対する反対行動の一部としか理解していないのではないかと語っている。

しかし、エチオピア軍および暫定政府側も、民間人殺傷、略奪、メディア弾圧といった犯罪行為を行っていることが事態をより複雑にしている。(モガディシュでは、そのため市民の60%が避難を余儀なくされたという)

イスラム法廷連合による安定した時代を惜しみ、暫定政府およびその支援国に対するソマリア人の反感は強まるばかりだ。(米国は、東アフリカを対テロ戦争の新たな前線として、エチオピア軍によるソマリア侵攻を支持した)ハンセン氏は、「エチオピア/暫定政府の虐待を見過ごしアル・シャバブのみを非難する国際社会のダブル・スタンダードがソマリア人の怒りをかっている」と語っている。ノルウェーのソマリア移民逮捕について報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=IPS Japan

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オガデン地方における反政府勢力鎮圧作戦で増大する人的犠牲

|パキスタン|インド人死刑囚、35年を経て発見される

【カラチIPS=ゾフィーン・エブラヒム

新任のパキスタン人権担当大臣、アンサール・バーニー氏は、イスラマバードへのIPS電話インタビューに応え、「私は彼のために大臣になったと思う」と語った。 

同大臣は、死刑監房で35年に及ぶ辛い日々を過ごし70歳代となったインド人死刑囚カシミール・シンの居所を捜し続けついに発見したことに言及したのだ。

Pakistan human rights minister Ansar Burney with Kashmir Singh, the man he rescued from death row. Credit: Fahad Burney
Pakistan human rights minister Ansar Burney with Kashmir Singh, the man he rescued from death row. Credit: Fahad Burney

先週大統領の恩赦ではれて自由の身となったシン氏は、数日中に16歳で結婚した夫人、2人の息子、娘が待つ故郷のホシラプールに帰る。彼は、30年以上に亘り禁じられていた自らの人生の再開を楽しみにしている。 

シン氏は、1973年ラホールにおいて、国家機密法により死刑の判決を受けた。彼は、インド・アムリサールの警官だったが懲戒免職となり、友人とインド/パキスタン間の密貿易に参加。共にパキスタンで逮捕された。それは、数百人の兵士、市民の投獄に繋がった1971年のインド/パキスタン紛争後の緊迫した時代であった。 

友人は懲役10年の刑だったが、シン氏はスパイ容疑で死刑を宣告された。 

当時のファザル・イラヒ・チョードリー大統領による恩赦申請却下の後、1978年の刑執行が決定したが、その前の晩に何らの理由で絞首刑は延期となった。その後10年間、シン氏の居所はパキスタンの広大な刑務所システムに飲み込まれわからなくなった。彼は、いつ絞首台に引き出されるかも知れない状態で刑務所を転々としていたのだ。 

2か月前、彼はラホールのコト・ラクパト刑務所に移動させられ、そこで初めての面会者となるバーニー氏に発見された。 

25年間アンサール・バーニー福祉基金(ABWT)の長を務めてきたバーニー大臣は、「その時から捜索を開始したが成功しなかった。今になれば理由は簡単だ。イスラム教に改宗したシンの刑務所内での名前はイブラヒムではなかった。改宗が強制的なものか自主的なものかは分らないが、新しい名前のためにオリジナル書類の発見が難しかったのだ」と説明している。 

バーニー氏は2007年11月の大臣就任直後から、行方不明となったシンの居所を探すと同時にパキスタン国内40の刑務所の状況調査を開始した。 

追跡は2月11日のコト・ラクパト刑務所で終了した。バーニー氏は、「神の摂理とでも言うか、そこで死刑監房にいる囚人の1人としてシンに会い、次の監房へ移動した。しかし、何かがもう一度彼のところへ戻ってもっと話を聞くように突き動かした。本当にそうして良かった」と興奮気味に語った。 

同大臣は、鉄格子の後ろの状況にショックを受けたという。同氏は、特に身体的、精神的病におかされている囚人のいる死刑監房の状態について「この世の地獄」と称している。 

「彼らは終身服役するだけでなく、その多くは2倍、3倍もの刑に服している。私は、百歳を超えた夫婦をも発見した。壊疽で足を切断された者もいれば、結核を患っている者、また精神異常を起こしている者もいた」と同氏は言う。 

同大臣によれば、本来3人用の死刑監房に16人が詰め込まれ、動物の様な扱いを受けていたという。彼らは交代で眠らなければならず、足を伸ばすために外へ出る時間も30分に制限されていたという。 

同氏は更に、「(囚人は)同じ場所で大小の用を足しており、悪臭と不潔さはこの上なかった」と語っている。 

バーニー氏は、恩赦申請の結果を10-30年も待っている複数の死刑囚に会ったという。同氏は「死刑囚の60%は無実だと確信している」と語る。ある者は、彼らが殺人を犯したと証言した者を全く知らない、あるいは犯罪が起こった時はその町に居なかったと訴えたという。更に、ある者は悪意から誤って罪に落されたと語ったという。 

同大臣は、「システムはいい加減で、多くの貧しい無実の者達が収監されている」と語った。 

独立のパキスタン人権委員会(HRCP)も昨年、 “死刑台への緩やかな歩み”と題された報告書の中で同様の意見を述べている。HRCPは同報告書の中で、パキスタンの犯罪、警察、司法システムには重大な欠陥があるとして、直ちに死刑の一時停止を行うよう求めている。 

パキスタンの死刑囚は、世界24,000人の死刑囚の約1/3(7,400人強)を占め、単独国家としては最多である。彼らの中には数十年収監されている者もいる。アムネスティ・インターナショナルによれば、処刑者数は2005年の31人から82人に増加しているという。 

死刑対象犯罪の種類が急激に増えていることも人権擁護団体の心配である。 

1947年の英国からの独立の際には、殺人と国家反逆のみが死刑対象となっていたが、今日では、不敬、公衆の面前で女性の衣服を剥ぐこと、鉄道システム破壊工作など27項目が死刑対象となっている。これらの多くは1977-88年のジア・ウル・ハク軍事独裁時代に導入されたものである。 

パキスタン当局は現在シン氏の釈放書類を作成中である。 

シン氏に付き添ってインドへ行き家族への同氏引き渡しを計画するバーニー氏は、「この様な厳しい処罰を受けてきた人の助けになるのは非常な名誉である。バーニー基金は彼のために銀行口座を開設し、自立できるまで援助を行う」と語った。 

帰国に先立ち、シン氏は刑務所で着用していたパキスタンの民族衣装シャルワール・カミーズではなくズボンとワイシャツを希望した。大臣は、「我々は彼の全ての願いに応えるつもりだ」と語った。 

シン氏の恩赦は、スパイ容疑でパキスタンの死刑監房に収容されているもう1人のインド人サラブジット・シン氏の家族に希望をもたらすだろう。 

彼は1990年8月25日パキスタン軍に逮捕され、1989年のラホールおよびムルタンの爆弾テロを企てたとして有罪判決を受けた。彼の家族は、酔っ払って国境を越えてしまっただけとして、無実を訴え続けている。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩 

|米国|議会、エイズ対策予算可決するも、禁欲主義の影響強く

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

米下院外交委員会は、2月27日、HIV/AIDS・マラリア・結核対策に今後5年間で500億ドルを支出するための法案を可決した。共和・民主両党の間に合意があり、3月中旬には本会議を通過する見通し。 

この法案は、「2003年エイズ・結核・マラリア対策グローバルリーダーシップ法」を拡大したもので、ブッシュ大統領が1月の一般教書演説で約束した額に200億ドルも上乗せしている。

 エイズ問題に関わる活動家らはこの法案を歓迎する一方で、キリスト教右派の主張する反中絶的な内容を盛った法案に民主党が簡単に賛成してしまったことを批判している。 

「グローバルエイズ連合」(GAA)のポール・ゼイツ代表は、草案段階において家族計画や「リプロダクティブ・ヘルス」のための予算が法案に入っていたにもかかわらず、それが最終段階になって落ちてしまったことに失望の色を隠さない。この法律に従えば、中絶を実行したりそれを推進する活動を行っている病院や団体に対しては、予算が支出できない。 

また、売春と人身売買を否定することを拒んだ団体に対しても、支援を行うことができない。しかし、「健康とジェンダー平等センター」のセーラ・シッペル代表は、性労働者はエイズ感染の可能性が最も高い人びとであり、性労働の否定が支援の条件にされてしまうと、現場で効果的な予防策を打つことはできない、と批判する。 

また、「エイズ救済大統領緊急計画」(PEPFAR)では、予算の3分の1が性的禁欲と婚姻生活における性的貞操を促進するために割り当てられている。 

しかし、米会計検査院(GAO)が2006年に行った調査では、性的禁欲と貞操のために予算を割くことは、母親から子供へとエイズが感染することを防ぐプログラムへの予算支出を妨げる効果を生み出すことが明らかになっている。 

米下院外交委員会が可決したエイズ対策予算について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩 

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ポーランドの反対を押して、欧州が「死刑反対デー」を宣言
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国連の怠慢によるアフリカとアジアの「大量殺人」

【国連IPS=タリフ・ディーン

スーダン、最近ではケニアで起きている殺害に、国際社会は積極的に取り組もうとしない。そのために大量虐殺、民族浄化はアフリカの他の地域にも飛び火している。

マイノリティ・ライツ・グループ(MRG)のラティマー代表は、国際社会が断固として行動を起こさなければ、2008年も大量殺人が起きるだろうと予測している。MRGが選んだ、世界でもっとも虐殺の危険が大きい20カ国の半分以上がアフリカにある。 

比較的安定していたケニアでも、選挙をきっかけに民族浄化が始まり、1000人以上が殺された。だが、国連も欧州連合も懸念を示しながら具体的行動を起こさなかった。アジア・中東では、アフガニスタンと隣接するパキスタンとイランの危険度が高まっている。

 国連は2005年の総会で「保護する責任(R2P)」を採択したが、2007年にR2Pは失速した。事務総長の交代との関連を指摘するものもいる。潘事務総長はスーダンと米国から虐殺防止とR2P推進のためのスペシャルアドバイザーを任命し、2008年の改善が期待されている。 

NGOもR2Pを支持する行動を始め、大量虐殺問題に取り組む新たな国際組織、R2Pグローバルセンターが2月14日に結成された。国連、国際刑事裁判所、R2P実践活動とともに、大量殺害阻止を目指していく。 

国連の軍事介入は国連憲章第7章に基づき安保理決議により認められている。しかし今後は、国連、R2Pおよび新たなスペシャルアドバイザーによる、大量殺害が始まる前の初期段階での予防外交を重視した活動が進められていくことになる。 

ルワンダとボスニアでは国連が大虐殺を止めることができなかったが、東チモールではインドネシア軍と民兵による人権侵害を終結させることが出来た。最近では、コートジボワール、コンゴ民主共和国で、国連平和維持軍が民族的虐殺を阻止する極めて重要な役割を果たしている。虐殺を阻止するための国連の活動について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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|貿易|コンゴ共和国、ブラッドダイヤモンドと決別

企業ロビイスト、南スーダンへの投資を奨励

【ワシントンIPS=アビッド・アスラム】

「南スーダンへの積極的な投資は、長引く経済の停滞・混乱状態から同国を救い出し安定化への貢献に繋がるだろう」 

米国によるスーダンへの一方的制裁に反対している『米国外国貿易評議会(National Foreign Trade Council)』や『USA Engage』などの業界団体は近年、海外から南スーダンへの直接投資を促すよう求めている。 

スーダンでは現在、ダルフール大虐殺による非難と米国からの経済制裁により海外からの貿易・投資がストップしている。しかし、南スーダンでは(中央政府とSPLA(スーダン人民解放軍)との和平合意により)2005年自治権を得ることができたため、貿易や投資は事実上可能である。

 
『USA Engage』のジェイク・コルビン氏は「スーダン北部とは異なり、南部では『米国財務省海外資産管理局(OFAC)』」の規定の下での通商は許可されている。未だこの事実を知らない外国企業が多い」と説明した。 

南スーダン自治政府の通商担当、Deng Nhial氏は海外企業からの支援の必要性を訴えた。「我々南スーダン政府は、世界各国(特に米国)からの直接投資を求めていきたい」 

「同国には農業、漁業、建設、輸送、サービス、観光など、成長の期待できる業界が数多くある。最近、南スーダンでの活動を希望するNGO団体や企業からの問い合わせが増えている」と語った。 

企業家らが進めようとしている南スーダンへの投資について報告する。 (原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩