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クライシスは「危うい」と「機会」から成る

【コペンハーゲンIDN=ジョン・スケールズ・アヴェリー】

新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、今日国際社会は、1930年代の大恐慌以来の危機に直面していると指摘されている。「危機(Crisis)」の中国語の語源は「危うい(Danger)」と「機会(Opportunity)」から成り、当時のドイツは30年代の危機からアドルフ・ヒトラー率いるナチス政権を誕生させた。一方、デンマークは対照的に、この危機を機会に社会改革に着手し、今日につながる福祉国家を建設した。今回の危機も大きな変革につながることが予想されているが、はたして内向きで国家主義的な指導者が率いる流れになるか、それともグリーンニューディールのような社会改革が実現するような流れになるか…選択は今日を生きる私たちにある。(原文へ)

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賢人会議、あらゆる核爆発実験の実施に反対

【ウィーンIDN=ラインハルト・ヤコブソン】

CTBTO賢人会議のメンバーらが、米政権の高官らが「核爆発を伴う核実験」を再開するかどうか話し合ったとの「信頼性の高い報道に対して深い懸念」を表明した。

彼らは、もしそうした実験が行われれば、核爆発実験に関する世界的なモラトリアム(凍結)が破られることになり、世界のいかなる場所においても核爆発実験を探知し抑止するために設立された包括的核実験禁止条約(CTBT)体制を著しく毀損することになると警告した。

「いかなる目的であっても、核爆発実験は過去の遺物に過ぎない。今世紀に入って核爆発実験を行ったのは1カ国(=北朝鮮)しかなく、今日では世界のすべての核保有国が核実験のモラトリアムを順守している。」と賢人会議は主張している。

ICAN
ICAN

CTBTは全ての核爆発を禁止することで、核兵器の開発と質的な改善を抑制することを意図している。条約はまた、核実験による有害な放射性物質の排出予防にも役立っている。

米国は、条約の発効条件としてその署名・批准が求められる「附属書II諸国(CTBTの『附属書Ⅱ』に掲げられている条約交渉当時に核施設を保有していた44カ国)」の中に入っている。中国・エジプト・イラン・イスラエルと並んで、米国は条約を署名しているが批准を済ませていない。しかし、同じく附属書II国に含まれるインド・北朝鮮・パキスタンは署名すら済ませていない。

これまでのところ184カ国がCTBTに署名し、そのうち168カ国が批准を済ませている。

2013年9月26日にニューヨークの国連本部で立ち上げられたCTBTO賢人会議は、CTBTの早期発効に向けたCTBTOの取り組みを支援・補完するとともに、その目標を達成するための国際的な努力を活性化することを目指している。賢人会議には著名人や国際的に認められた専門家らが参画している。

2013年8月以来、ラッシーナ・ゼルボ氏が事務局長を務めるCTBTOとは、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会のことである。条約署名国によって1996年11月19日に設立された国際機関であり、本部はオーストリアのウィーンにある。国連・CTBTO関係を規律する協定(A/RES/54/28)は2000年に国連総会で採択された。

賢人会議のメンバーらは、「附属書II諸国」のうち、未だCTBTに締約していない8カ国に対して批准を呼びかけている。「超低出力の核爆発と条約遵守の執行に対する懸念を解決する最も効果的な方法はCTBTを発効させることだ。CTBTが発効すれば、加盟国は、疑わしい活動を調査するために、短期通告で立ち入った現地査察を要求するオプションを手に入れることになる。」と、賢人会議は主張している。

賢人会議のメンバーらは5月29日の声明で、全ての責任ある国家に対して、CTBTが確立したいかなる規模の核爆発実験も認めないというグローバルな規範を改めて強く支持するとともに、CTBTを早期に発効させるための具体的な行動を取り、全ての人々にとってより平和的で安全な国際安全保障環境を構築するために、威嚇ではなく外交を用いるよう求めた。

条約の発効を待つ間、核爆発を監視する世界的な検証体制の構築がほぼ完成に近づきつつある。国際監視制度(IMS)として元々予定されていた337施設のうち300施設以上がすでに稼働している。すでに、2006年、09年、13年、16年、17年に北朝鮮が実施した小規模な核実験ですら、探知する能力があることが証明されている。

声明に賛同した賢人会議のメンバーは以下の通り。

Image: More than 300 International Monitoring System (IMS) facilities certified out of the 337 the CTBTO has planned are already in operation. Credit: CTBTO.

阿部信泰(軍縮担当国連事務次長:2003~06)、ハンス・ブリクス(国際原子力機関事務局長:1981~97)、グリゴリー・ベルデニコフ(IAEA理事会理事長、ロシア代表)、デズモンド・ブラウン(欧州リーダーシップネットワーク運営委員会議長)、ジャヤンタ・ダナパラ(ノーベル平和賞団体「科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議」元議長)、セルジオ・ドゥアルテ(国連軍縮問題上級代表:2007~12、現パグウォッシュ会議議長)、トーマス・ハイノツィ(オーストリア欧州統合.外務省 軍縮軍備管理.不拡散局長)、タルヤ・ハロネン(フィンランド大統領:2000~12)、ウォルフガング・ホフマン(CTBTO初代事務局長:1997~2005)、アンゲラ・ケイン(国連軍縮問題上級代表:2012~15)、パトリシア・ルイス(英国王立国際問題研究所・安全保障研究部長)、ケビン・ラッド(オーストラリア首相、同国労働党党首:2007~10、13)、アフメット・ウズムジュ(化学兵器禁止条約機構元事務局長2010~18)(原文へ)

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新型コロナウィルスによる危機は、人の移動について改めて想像力を働かせる機会(アントニオ・グテーレス国連事務総長)

【ニューヨークIDN=アントニオ・グテーレス】

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、世界中で人々の命や暮らしを破壊し続けていますが、中でも一番大きな影響を受けているのは、最も脆弱な立場に置かれた人々です。

それは特に、暴力や災害を逃れるために住む場所を離れざるを得なかった難民や国内避難民(IDPs)、不安定な状況に置かれた移民など、数百万にのぼる移動する人々に当てはまります。

こうした人々は今、3つの危機を一度に抱えています。

第1に、健康の危機です。社会的距離を取ることなど叶わぬ贅沢であり、医療や水、衛生、栄養などの基礎的条件がしばしば満たされない過密状態で、ウイルスに晒されることが多くなっているからです。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

後発開発途上国で暮らす多数の移動する人々には、さらに深刻な被害が及ぶことになります。世界の国内避難民のうち、3分の1は新型コロナウィルス感染症の感染リスクが最も高い10カ国で暮らしているからです。

第2に、社会的保護を得られずにインフォーマル経済で働く人々をはじめ、移動する人々は社会経済的な危機に直面しています。

また、新型コロナウィルス感染症による所得喪失の結果、本国への送金額は1090億ドルというとてつもない規模で減少する可能性が高くなっています。つまり、政府開発援助(ODA)総額のおよそ4分の3に匹敵する金額が、本国で送金に頼って生活する8億人の手に届かなくなるのです。

第3に、移動する人々は保護の危機にも直面しています。

ウイルスの蔓延を防ぐため、出入国制限を課す国は150カ国を超えています。少なくとも99カ国は、迫害からの庇護を申請する者について、例外を設けていません。

同時に、新型コロナウィルス感染症に対する不安は排外主義や人種主義、感染者に対するスティグマ(偏見や差別)も一気に増加させました。

そして、ただでさえ不安定な立場に置かれる女性と女児は、ジェンダーに基づく暴力や虐待、搾取に晒される恐れが高まる中で、さらに悲惨な状況に直面しています。

しかし、難民や移民は、こうした課題に直面しながらも、勇敢にも必要不可欠な仕事の第一線で貢献しているのです。

例えば、全世界の看護師の約8人に1人は、出身国以外の国で働いています。

新型コロナウィルス感染症による危機は、人の移動について改めて想像力を働かせる機会でもあります。

その指針として、大事なことを4つ理解しておかねばなりません。

第1に、排除は高くつき、包摂は報われます。公衆衛生と社会経済面で包摂的な対応を行えば、ウイルスを抑制し、経済を再始動させ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて前進することにも役立つでしょう。

SDGs logo
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第2に、私たちはパンデミックの中でも人間の尊厳を守り、渡航制限や水際対策を実施しながらも、人権と国際難民保護の原則を全面的に尊重できることを示した一握りの国々から学ばねばなりません。

第3に、一人でも安全を確保できない人がいれば、誰の安全も確保できません。診断や治療、ワクチンは誰でも利用できるようにしなければなりません。

そして第4に、移動する人々は解決策の一翼も担います。意味のない障壁は排除し、移民の移住方法を正規化するためのモデルを模索するとともに、送金取引の費用を引き下げようではありませんか。

私は、国内に社会的・経済的、さらに現在では保健上の課題も抱えながら、難民と移民に国境と心を開いてきた国々、特に開発途上国に感謝します。

ドアが閉じられている今、このような国は他の国々に心を動かす教訓を与えてくれます。こうした国に対する支援を増大し、全面的な連帯を示すことが欠かせません。

Photo: Downtown Johannesburg is deserted. Credit: Kim Ludbrook/EPA

世界の難民保護の責任を公平に分担され、人の移動が引き続き安全で包摂的、かつ国際人権・難民法を尊重したものであることは、私たちみんなの共通の利益です。

単独でパンデミックと闘ったり、移住を管理したりできる国はありません。

しかし、私たちが力を合わせれば、ウイルスの蔓延を抑え、最も脆弱な立場に置かれた人々に対する影響を緩和し、あらゆる人にとって利益となるような形で、以前の状況を上回る復興を達成できるのです。(原文へ)

INPS Japan

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【ベルリン・ニューヨークINPS Japan=編集長デスク】

Photo: Downtown Johannesburg is deserted. Credit: Kim Ludbrook/EPA
Photo: Downtown Johannesburg is deserted. Credit: Kim Ludbrook/EPA

INPS Japansでは、2020年2月から新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に焦点をあてた特集取材を開始した。2020年5月末現在、約130本の特集記事、分析、コラムを配信している。

これらの記事はCOVID-19の世界的大流行(パンデミック)がもたらす深刻な影響を世界各地で取材している。パンデミックはなお拡大傾向にあり、現時点で216カ国・地域で約700万人が感染し、そのうち約40万人が死亡している。(最新統計はこちらへ)

COVID-19パンデミックは、感染症そのものの拡大はもとより、各国の検疫・隔離努力にも幅広い影響を及ぼしてきた。COVID-19が世界的に拡散していくなかで、関心事は当初の感染症対策器具や医療品の生産問題から、サービス部門をはじめとしたビジネス不況に向けられるようになっている。

COVID-19パンデミックは、世界人口の実に3分の1がロックダウン(都市封鎖)下に置かれるなど、史上最大規模の世界経済不況を引き起こした。旅行と貿易産業への経済的な損失規模の全貌はまだ明らかではないが、数十億ドル規模で今後も拡大していくものとみられている。

パンデミックの拡大に伴い、国連主催のものを含む国際会議が相次いてキャンセルまたは延期となっている。

Photo credit: Physicians Committee for Responsible Medicine
Photo credit: Physicians Committee for Responsible Medicine

事実、ニューヨークの国連本部をはじめ、ジュネーブやウィーンその他各地の国連機関は当面の間閉鎖したままである。国連事務総長による記者会見や、報道官、国連職員らによる説明会はオンラインで行われている。

とりわけ欧州の指導者らは、COVID-19の感染拡大が落ち着いても、以前の状態には戻らない「ニューノーマル(新常態)」に備えなければならないと予測している。しかし、彼らはそうした新常態が、はたして人類がこれまで地球に対して行ってきた無慈悲な搾取に終止符を打つものになるのかどうかについて説明していない。複数のIDN記事が、人類と自然界の調和を(双方のためにも)修復する、という重要なテーマを扱っている。

INPS Japan

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United Nations SDG Media Compact With INPS-IDN As a Member Hits 100-Member Mark

From UN Sustainable Development Blog

A growing alliance of news and entertainment companies brings focus on the socio-economic impact of COVID-19 crisis to its two-billion-strong audience, says a UN Sustainable Development Blog post, and singles out IDN (In-Depth News) for reporting on how ecosystems and human health intersect.

NEW YORK – The SDG Media Compact, an alliance of news and entertainment companies convened by the United Nations to drive coverage and mobilize action for the Sustainable Development Goals (SDGs), welcomed its 100th member.

From large broadcasters and established print media, to news agencies, radio stations and newer digital publishers, the SDG Media Compact spans 160 countries on five continents, reaching a combined audience of about 2 billion people through well over one hundred outlets owned by Compact members.

“Media play a crucial role in countering misinformation and galvanizing action for a sustainable recovery from the COVID-19 crisis based on science, solidarity and our common roadmap, the Sustainable Development Goals,” said Melissa Fleming, UN Under-Secretary-General for Global Communications. “We are proud to have one hundred SDG Media Compact members from across the globe, committed to covering the critical issues of our time and driving progress toward a healthier and more peaceful world.”

The Sustainable Development Goals (SDGs), adopted by world leaders in 2015, are a universal call to action to end poverty, protect the planet and improve the lives and prospects of everyone by 2030. UN expert voices, data, reports and stories are regularly shared with SDG Media Compact members, inspiring coverage of the Goals without interfering in editorial freedom. As part of the UN’s new Verified initiative, Compact members will also be receiving trusted and accurate content about COVID-19 to counter misinformation and flood the internet and airwaves with content on science, solutions and solidarity.

For Sky Group, Europe’s leading media and entertainment company, being part of the SDG Media Compact means acting on the big global issues that matter. “We’ve aligned our strategy with the Sustainable Development Goals because they provide clear purpose to ensure business drives the change that is crucial to improving our world,” said Jeremy Darroch, Sky Group’s CEO.

Shanghai Media Group, one of the newest members, joined the Compact to be part of a global alliance working toward common goals. “It is our sincere wish to work closely with global media organizations to jointly build a community of shared future for mankind,” said Chairwoman Jianjun Wang.

For ATTN:, a digital publisher based in the United States, “partnering with the United Nations and having the ability to tap into their expert voices and data helps us ensure that our storytelling is well-sourced and informational, giving human interest stories the power to have real impact,” said Charlie Goldensohn, Senior Strategist at ATTN:.

“In a digital world full of misinformation and fake news, credibility is vital, and that is what we have greatly gained through our partnership with the SDG Media Compact and the rich editorial content shared,” said Maikem Emmanuela Manzie on behalf of Ndefcam radio in Cameroon. “The free flow of information on current issues, especially on COVID-19, has helped in building our stories on how the community can better fight this new virus.”

Many members have already played a crucial role in countering misinformation, disseminating science-based information to fight the virus, and covering the socio-economic impacts of COVID-19 in the context of the broader sustainable development agenda.

SBS Australia examined how and why conspiracy theories related to the coronavirus are spreading so quickly. Sky News debunked the conspiracy theory linking 5G radio antennas to the coronavirus. Noticias Positivas reported on the issue of fake news related to the pandemic. ATTN: launched a digital literacy series focused on helping young people distinguish fact from fiction on COVID-related content. And the Asahi Shimbun explained why antagonizing the World Health Organization won’t bring the world closer to containing the virus.

On the socio-economic front, Euronews, in an interview with the UN Secretary-General, called attention to the need for global solidarity for the world to emerge stronger from the crisis. CGTN published a number of pieces calling for debt relief for the poorest nations. The Nikkei reported on the need for mental health services as an essential part of the COVID-19 response. And Prensa Latina disseminated the Secretary-General’s call to protect the well-being of children.

On environmental matters, the Jakarta Post was among the outlets that amplified the UN Secretary-General’s call for a green recovery from the pandemic, SBS looked at how COVID-19 could be a chance to green our economies, In Depth News explained how ecosystems and human health intersect, and Scientific American reported on the crisis’ impact on CO2 emissions and implications for a green recovery.

Looking at the gender dimensions, the Mainichi amplified the UN Secretary-General’s call to address the pandemic’s consequences for women and girls. Devex, in an interview with UN Women, highlighted the outsized impacts of the crisis on women’s work, health, and livelihoods. And Sky aired the UN Secretary-General’s message urging governments to prioritize the prevention and redress of violence against women in their COVID response plans.

More information, including the full list of members: www.un.org/sustainabledevelopment/sdg-media-compact-about

About the SDG Media Compact

Launched by the UN Secretary-General with 31 founding members in September 2018, the SDG Media Compact seeks to inspire media and entertainment companies around the world to leverage their resources and creative talent to advance the Sustainable Development Goals. It currently includes 100 members from Africa, Asia, the Americas, Australia, Europe and the Middle East. By disseminating facts, human stories and solutions, the Compact is a powerful driver for advocacy, action and accountability on the Sustainable Development Goals. [INPS-IDN – 05 June 2020]

Photo: Collage by Katsuhiro Asagiri, INPS-IDN, Multimedia Director.

|アフリカ|新型コロナウィルスを巡るフェイクニュース、ショッキングなニュース、良いニュース

【ニューヨークIDN=リサ・バイブズ】

最近セネガルでは、新型コロナウィルスの予防ワクチンにより子供達が「即死した」というフェイクニュース(偽情報)がソーシャルメディアに投稿され、稼働してまもないファクトチェック(事実検証)を行う諸団体が大忙しになっている。

「セネガルのスキャンダル」と題されたこの投稿は、ファクトチェックでは「偽情報」だと判定されたものの、実際にはフェイスブックで数千人がシェアした。

問題のフェイスブック動画からは「セネガルで大きなスキャンダルがありました。ある男が民家を訪れ、新型コロナウィルスの予防ワクチンを7人の子どもに接種したところ、子どもたちは即死した。」というナレーションがウォロフ語で聞こえてきた。

Image credit: Pixabay
Image credit: Pixabay

しかし、ファクトチェックがなされると、この話は怪しいことが明らかになった。動画に登場する家に住んでいるアラセイン・モボディ氏は「子どもは一人も死んでいません。SNSで言われていることは何もかも事実ではありません。」と強く否定した。モボディ氏はまた、「ワクチンでは誰も死んでいません。子どもたちは元気です……あいつは自分のことを保健省の人間だと言っていましたが、すぐに嘘だとわかりました。身分証もつけていなかったし、売物の化粧品や伝統的な医薬品をカバンの中に入れていました。」と語った。

モボディ氏はその男を警察に通報し、事態は収束したのだが、誰かがその話を聞きつけてネットに流したのである。インスタグラムでは「バイバイ巨大製薬企業」というアカウントからの投稿を取り上げて、「アフリカで患者に試された新型コロナウィルスの予防ワクチンが、動物実験なしに認可された。接種直後に7人の子どもが死亡した。」と主張している。

そこから話はガーナの「ezone57.com」に飛び火し、「セネガルで新型コロナウィルスの予防ワクチンにより7人の子どもが死亡」という動画となって流された。のちにezone57.comがこの記事を取り下げて、記事中の主張を否定したものの、この動画はかなりの注目を集め、その見出しがフェイスブックのスクリーンショットに登場した。

セネガル保健省の報道官が、国民に不安を与えたこの問題に言及している。報道官はまず、「ワクチンなど開発されてはいません。」と指摘したうえで、「ダカールの医療研究所では、専門家が手続きに則ってワクチンを開発、認可しています。知見の公表に関しては完全に透明性が確保されています。」と語った。

科学誌『ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー』がまとめたワクチン候補のリストによれば、セネガルでもアフリカのどの国でもワクチンの臨床実験は行われていない。4月8日の時点で、世界に115件のワクチン候補があるが、開発が進行しているのは78件、そのうち臨床試験段階に進んでいるのは5件しかない。

問題のニュースは、フランスの医師2人が、新型コロナウィルスのワクチンの治験をアフリカで実施することについて論じた実際の報道を引用していた。世界保健機関(WHO)はすぐさま彼らのコメントを非難していた。

African Continent/ Wikimedia Commons
African Continent/ Wikimedia Commons

ニュースの事実検証に取組んでいる「アフリカ・チェック」もこの件を調査し、見当外れと思われる主張、つまり中国が新型コロナウィルの予防スワクチンをアフリカに送っているという主張の真偽を確かめ、誤りであることを明らかにした。

ガーナの中国大使館によれば、中国はN95マスクや医療用防護服、ゴーグル、手袋、簡易体温計のような医療用個人保護具を寄贈した。しかし、寄贈品にワクチンは含まれていないし、WHOによると現時点で新型コロナウィルスに対するワクチンは存在しない。

別のフェイスブックの投稿では、マスクは、「血液や脳内の酸素濃度を減らし、脱力を引き起こし、中には死に至らしめることもあるので、使用は限定的にすべき」という偽情報を流していた。

「アフリカ・チェック」は、定期的に偽情報や作り話を調べている。この独立系ファクトチェック団体は現在、チェックできる言語を10まで増やしている。同団体のノコ・マクガト代表は、「活動の拡大によって英語・フランス語以外の言語における偽情報を発見し、それを否定することができるようになりました。」と語った。

「大規模クラスター」発生後、ガーナ政府が警告を発する

ナナ・アクフォ=アド大統領は5月10日夜の国民向け演説で、魚加工工場の1人の感染者(スーパースプレッダー)をきっかけに従業員533人が感染したと明らかにした。これでガーナにおける感染者は4700人となり、西アフリカで最大の数となった。

「スーパースプレッディング現象/事例」とは、新型コロナウィルスの感染が大規模なクラスターで生じる現象のことを言う。アクフォ=アド大統領によれば、今回の事例は、この2週間で生じた約1000人の感染事例の一部であるという。

ガーナではこれまでに、22人が新型コロナウィルス感染症関連で死亡し、494人が回復している。

最大の港町テマには、ツナ缶の世界最大の生産者である「タイユニオングループPCL」と、地元企業「コスモ・シーフーズ」社が所有する2つの大きな魚加工工場がある。ガーナ労働連盟のアブラハム・クームソン代表は、「533人の感染は『タイユニオン』の『パイオニア食品缶詰工場』で発生したものであり、工場は閉鎖しています。また、コスモ・シーフーズの従業員の中にも陽性反応を示している人が出ています。」と語った。

「ガーナでは、新型コロナウィルス感染症問題が発生して以来、16万501件の検査を実施してきました。これは単位人口当たりの検査数の多さではアフリカ有数です。」とアクフォ=アド大統領は語った。

ガーナ政府が採用しているのは「プール検査」戦略と呼ばれ、最大10組までのサンプルをまとめて検査し、陽性反応が出た組のサンプルを後から個別に検査するというものだ。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

しかし、検査を増やした結果、人口3000万人のガーナでは現在の4700人よりも感染者数が増える見通しとなっている。「検査を行えば行うほど、より多くの陽性者を見つけられます。」とアクフォ=アド大統領は語った。

大統領は、この演説の3週間前、首都アクラと主要都市クマシに対して3週間にわたった都市封鎖(ロックダウン)を解除した。インフォーマル経済で働きその日暮らしをしている多くの国民への経済的影響を懸念しての判断だった。しかしロックダウン解除後も、大規模集会の禁止と学校・大学の閉鎖は5月末まで継続するという。

他方、ガーナ保健省のベロニカ・ベコー氏は、「ベロニカ・バケツ」と呼ばれる彼女の発明品を持って国内を巡回している。水がなくても手が洗えるという、ゴミ箱サイズのプラスチックの入れ物である。

シエラレオネ:かけがえのない森林の違法伐採が停止

アジア経済の停滞は、一時的にではあるが、危機に晒されているシエラレオネの森林に恩恵をもたらしている。とりわけ、その美しさ、豊かな茶褐色、そして家具の高級素材として珍重されているセコイアの巨木にとっては、良いニュースだ。

木材の違法取引は、世界で最も儲けを生むビジネスの1つであり、東南アジアの多くやアフリカ・南アメリカの一部に影響を及ぼしている。西アフリカでは2010年頃から需要が高まりはじめ、輸出は僅か数年でゼロから数億ドル規模にまで拡大した。

この10年で、90億米ドル相当の紫檀(シタン)が中国に輸入されたが、これは公的に「紫檀」として登録された木材に限っての話であり、「紫檀」の名目で中国に輸出されながら記録されていない様々な種類の材木がこの数字の中には入っていない。

しかし、中国経済が収縮したことで、僅か27人の丸腰のレンジャーたちが守っている1100平方キロ以上のオウタンバ=キリミ国立公園での違法伐採もまた止まっている。

SDGs Goal No. 15
SDGs Goal No. 15

「中国人はこのところ来ていません。私たちが伐採した木材を買い付けに来るのは彼らだけです。」と、このシオラレオネ最古の国立公園で昨年から伐採を始めたイシュマエル・セッセイ氏は語った。

国内向けの伐採は認められているが、政府によれば、国内需要をはるかに上回る木材が伐採されており、それを止める術がないという。

「森が伐採されるたびに心に痛みを覚えます。」「この病気(新型コロナウィルス感染症)だけが彼らを遠ざけることができるのです。」1981年から2018年まで国立公園でレンジャーとして勤めたムサ・カマラ氏は語った。

これに関連して、ナイジェリアでは、現在は1バレル当たり20ドルの石油価格が下落したことによって、石油収入を絶たれる事態に直面している。

「新型コロナウィルスの感染拡大と闘う国際社会の取り組みにより、石油採掘のコストを回収できないレベルにまで価格が下落している。…ましてや、(採掘利益から)政府に必要な現金を供給することなど不可能な状態にある。」と、ブルームバーグニュースは報じた。

「石油はそのまま土壌の中に、石炭はそのまま穴の中に」をスローガンに掲げてきたナイジェリアの環境保護活動家らは、こうした動きを歓迎しているに違いない。(原文へ)

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国連、新型コロナ関連の情報汚染と闘うためのグローバルイニシアチブを始動

【ニューヨークIDN=J.ナストラニス】

国連は本日、信頼できる正確な情報を増やし、普及させることにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にまつわる偽情報の蔓延と闘うためのイニシアチブ「Verified(検証済み)」を立ち上げた。

アントニオ・グテーレス国連事務総長はイニシアチブの発表にあたり、「嘘や不安、嫌悪を煽る人々に、仮想空間を譲り渡すことはできません。」「偽情報はオンラインやメッセージアプリや、口コミを通じて広がります。偽情報を作り出す人々は、巧妙な製作・発信手段を使っています。これに対処するためには、科学者や国連のような機関が、人々に信頼できる正確な情報を届ける必要があります。」と語った。

Photo: UN Secretary-General António Guterres speaks at the University of Geneva, launching his Agenda for Disarmament, on 24 May 2018. UN Photo/Jean-Marc Ferre.
Photo: UN Secretary-General António Guterres speaks at the University of Geneva, launching his Agenda for Disarmament, on 24 May 2018. UN Photo/Jean-Marc Ferre.

Verifiedは、国連グローバル・コミュニケーション局(DGC)による主導のもと「命を守るための科学」、「ローカル、グローバルな協力を推進するための連帯」、「影響を受けた人々への支援を呼びかけるための解決策」という3つのテーマで、情報を提供する。また、気候危機に対処し、貧困や不平等、飢餓の根本的原因に取り組む総合的復興支援策も促進していく。

このイニシアチブは全世界の人々に対し、信頼できるコンテンツを共有し、家族やコミュニティーの安全とつながりを守るための「情報ボランティア」としての参加を呼びかけている。デジタル世界の第一対応者に例えられる情報ボランティアは毎情報に直接反論する、あるいは情報の空白を埋めるシンプルで印象的なメッセージを付けて、ソーシャルメディアで共有できるよう最適化された検証済みコンテンツを受け取ることになる。

国連グローバル・コミュニケーション局は国連機関や国連国別チーム、インフルエンサー、市民社会、企業、報道機関とのパートナーシップにより、信頼できる正確なコンテンツを発信するとともに、ソーシャルメディア・プラットフォームとも連携し、COVID-19にまつわる有害な主張や憎悪の根絶を図っていく。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

グローバル・コミュニケーションのメリッサ・フレミング担当国連事務次長は、「多くの国では、デジタル・チャンネル全体で急増している偽情報が、公衆衛生上の対応を妨げたり、社会的な混乱を引き起こしたりしている。今回の危機を利用して、移民排斥主義を広めたり、少数者集団を標的にしたりしようとする不穏な動きも見られるが、社会全体に圧迫感が強まり、経済的、社会的な影響が生じるにつれ、これがさらに悪化する恐れもあります。」と語った。

フレミング事務次長はまた、「Verifiedイニシアチブには、この傾向に対し、各地での人道的行為や、難民と移民の貢献を賞賛し、グローバル協力を呼びかける希望に満ちたコンテンツで、取り組むという意味もあります。」と語った。

今回のイニシアチブは、世界有数の社会運動組織Purposeと共同の取り組みとして進められており、IKEA財団とLuminateによって支援されている。

IKEA財団のパトリシア・アトキンソン最高プログラム責任者は、「COVID-19の世界的大流行(パンデミック)は、これまでにないグローバル・ヘルスの危機となりました。IKEA財団は、誰もが家族や大切な人の安全を守るために必要な信頼できる科学的情報と助言にアクセスできるようにすることを目指すイニシアチブとして、Verifiedを支援できることを誇りとしています。」と語った。

一方、Luminateのニシャント・ラルワニ最高責任者は、「COVID-19は、正確で信頼できる情報へのアクセスが、不安とレジリエンス、分裂と連帯、さらには生と死をも分けることを改めて痛感させました。私たちは、全世界の人々やコミュニティーを守るために科学に基づく信頼できる情報を急速に広めることにより、新型コロナウイルスによる『インフォデミック』に対処しようとするVerifiedとその活動を支援でき、誇りに思います。」と語った。(原文へ)

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多くの批評家らが、移住労働は21世紀の奴隷貿易であり、新型コロナウィルス危機はその厳しい現実を白日の下に晒したと批判している。欧州で東欧からの移住労働者が置かれている苦境や、中東で建設労働者が賃金未払いにより餓死の危機に瀕している現状、シンガポールで多くの新型コロナウィルス感染者を出した移住労働者向け宿舎が隔離された事例など、グローバル経済がその推進力を担ってきた移住労働者を顧みない実態が今日明らかになっている。

「ビジネス・人権資料センター」(BHRRC)で労働者の人権を担当するトゥルシ・ナラヤナサミー氏は、アルジャジーラの番組「インサイド・ストーリー」で、「世界各地で移住労働者が直面する構造的な不平等を新型コロナウィルスの感染拡大があぶりだしました。」と語った。

世界銀行は、今年の海外送金は1000億ドル以上減少するとみている。ほとんどの移住労働者が2か月以上にわたって賃金を受け取っていない。ナラヤナサミー氏は、「彼らはこれまでで最悪の困窮を経験しています。食べ物も、それを手に入れる手段もない。そうした状況で暮らしていると、新型コロナウィルスに対しても極度に脆弱になってしまいます。」と語った。

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

ナラヤナサミー氏は、「カタールやクウェートのような国々の移住労働者は、新型コロナウィルスが問題になる以前から既に、極めて不衛生かつ狭い場所に詰め込まれて生活してきました。ところが、こうした国々では、これら労働者の生活環境を整える責任を取るのではなく、移民の送り出し国に移民を送還するという動きになっています。」と指摘した。

シンガポールで新型コロナウィルス感染拡大の第2波が起こった背景にはこうした状況があった。『トゥデイ』紙は、第2波で発生した5月11日の感染者728人の90%近くが、建設現場で働く特にインド、バングラデシュ出身の移住労働者であったと報じている。彼らは、外国人労働者向け宿舎で1部屋あたり10~20人というすし詰め状況で暮らしていた。

シンガポール当局は、ソーシャルディスタンス規則に違反する移住労働者に対しては、労働許可を取り消したり、同国での労働を禁じたりするなど厳しい制裁を科している。移住労働者の人権擁護団体「移民経済人道組織」は、こうした「厳しく、偏った」厳罰措置に対して声高に反対しており、外国人労働者とより積極的な意思疎通を図ることで、政府の措置に従いやすいような生活環境を作ることが先決だと主張している。同国政府は、将来的には、移住労働者の居住環境を改善するよう雇用者に義務付けることを約束している。

シンガポールの不動産業者はアジアで最も裕福な層の人々である。例えば、南アジアから流入する低賃金労働力がマンション物件の建設費を押し下げている。さらに、こうした移住労働者に標準以下の宿舎を提供することで、シンガポールやその他アジア系バイヤーがマンション物件を購入するコストを抑えるとともに、自身には一層高い利益を確保している。

Photo: Downtown Johannesburg is deserted. Credit: Kim Ludbrook/EPA
Photo: Downtown Johannesburg is deserted. Credit: Kim Ludbrook/EPA

「アムネスティ・インターナショナル」は4月17日、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」「移民の権利.org」、BHRRCと共同で、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などのアラブ6カ国に書簡を送り、感染拡大の下での移住労働者の権利擁護を呼びかけた。アジアや、アラブのより貧しい地域、アフリカ諸国から主にやってくる移住労働者2300万人のうちほとんどがこれら6カ国にいる。

「湾岸諸国はほとんどすべての部門で、経済成長を移住労働者に依存しています。にもかからわらず、彼らの権利を守り、尊厳と尊重をもった取り扱いをしていません。」「新型コロナウィルス感染症の多くは移住労働者の間で起こっており、パンデミックによって彼らはさらに脆弱な立場に置かれています。」と、アムネスティ・インターナショナルのリン・マーラフ中東研究部門長は書簡の中で述べている。

欧州連合(EU)で働く東欧出身の移住労働者も同じような状況に直面している。英国の『ガーディアン』紙は、スペインが3月中旬に都市封鎖を実施した際、農業部門のそうした多くの移住労働者は、食料や水が全く或いはほとんどない状態に置かれた、と報じている。労働者らは、不衛生な場所に住まわされ、農場では他の労働者と接近して働かされていたことで、ウィルスに感染してしまうのではないか、と恐れていた。

EUにおける移住労働者の環境改善を支援している団体「倫理的消費者」のクレア・カーライル氏は『ガーディアン』紙に対して、「この状況は移住労働者を長年無視し続けてきた結果です。」「3月18日、スペインでは軍が各地の移住労働者らを訪問し家に留まるよう命令して回りました。一部の場所では水源まで数キロ離れているにも関わらず、同じ命令がなされたのです。」と語った。

新型コロナウィルス感染への恐れから、最近では給水車が週に2回来るようになった。「もし仕事をしていて給水車を逃したら、一日の疲れを押して、水汲みのために数キロ歩かねばなりません。雇用者が長年に亘って基本的人権を満たさず、居住者の状況は絶望的なものでした。パンデミックが起こって状況は危機的なものになりました。」とカーライル氏は語った。

BHRRCによれば、世界最大のゴム手袋製造国であるマレーシアに対して、新型コロナウィルス拡大の震源地となったEUや米国からの注文が殺到しているという。注文は、かつて移住労働者を搾取したとしてブラックリストに載せられている企業にまで及んでいる。そうした企業のひとつがWRPアジアパシフィック社であるが、米国は、同社はもう強制労働を使用していないとしている。

英国の国民保健サービス(NHS)は最近、(BHRRCによれば)昨年ブラックリストに記載したマレーシアの企業「スーパーマックス」社から8850万枚の医療用手袋を購入した。同社は、移住労働者に関して、雇入れエージェントへの過剰な支払い、パスポートの没収、30日間連続で12時間労働の強要、劣悪な労働・居住環境、労働環境に関する異議申し立てに対する賃金削減といった搾取をしたとされる。

スーパーマックス社はこれらの疑惑を否定しているが、活動家らは各国政府に対して、コロナウィルスの感染拡大に対処するゴム手袋をマレーシアで製造する労働者を保護して現代の奴隷制を否定した公約を果たすよう求めている。

隣国のタイには400万人以上の移住労働者がおり、そのほとんどがミャンマー、カンボジア、ラオス出身者である。感染拡大の中でタイ、ミャンマー、カンボジア政府は、移住労働者に対して、居住地にとどまり、出身国へ戻らないように求めた。しかし、多くの労働者が、職も食べ物もなく、ホームレスになる危険性が高まったことから、本国へ帰還せざるを得なかった。

メコン移住ネットワーク(MMN)は、移民の送出国と受入国の政府に対して、移民とその家族の福祉を守り支える緊急の措置を取るよう求めている。MMNによれば、タイの移住労働者の多くは非正規部門で働いているために、不法滞在状態にあるか、あるいは政府からの支援の受給権がなく、自助せざるを得ないという。

Dubai construction workers having their lunch break. In the background the tallest building in the world – Burj Dubai./ By Piotr Zarobkiewicz – Own work, CC BY-SA 3.0

BHRRCのナラヤナサミー氏は、送金が枯渇してきている問題から移住労働者の福祉の問題に視点を移すべきだと指摘して、「真の問題は、パンデミックの下でも働き続けなければならない人々にとっての送金のコストは何かということです。人々は、遠くにいる家族のことを心配し、電話代が払えないかもしれない、連絡が取れなくなるかもしれないと心配しています。(家族間の)連絡がこれまでにないような影響を受けているのです。」と語った。

送金額に注目するよりも、インドのような送出国が、移住労働者の安全と健康を守り、正当な賃金を支払わせるべく受入国に圧力を十分かけているかどうかをメディアは問うべきだ。「移住労働者が新型コロナウィルスに感染し、家族にとって重大な心配事になっている状況をシンガポールで見てきました。もし本国に残してきた自分の子どもに自らの無事さえ満足に連絡が取れないとしたら、送金の心配や経済への影響などは二次的な問題に過ぎません。」とナラヤナサミー氏は語った。(原文へ)

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【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

国際社会同様、アフリカも新型コロナウィルスとの厳しい闘いを続けているが、世界保健機関(WHO)の専門家が、ウィルス感染者数に関する驚くべき推計に疑問を付している。同時にガーナがロックダウン(外出禁止措置)の部分的解除に踏み切るという驚くべき決定を下した。一方ルワンダは、「債務削減」の名目で大規模な「融資」に引き寄せられている。

アニメーションビデオ

ナイジェリアの有名な映画監督ニイ・アキンモラヤン氏は、なぜ家に留まり、外で友達と遊ぶのを諦めねばならないのかを若者に分かりやすく伝えるアニメを制作した。(映像を参照)

Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain
Coronaviruses are a group of viruses that have a halo, or crown-like (corona) appearance when viewed under an electron microscope./ Public Domain

この90秒のアニメにはハビーブくん、ファンケちゃんという2人の姉弟が登場する。ハビーブくんは家にいるのに飽きてしまい、こっそり抜け出してサッカーに行こうとする。手洗いをしている姉のファンケちゃんは弟に出かけないよう警告する。ハビーブくんはそれを振り切って出かけるが、醜い緑の怪物に直面してしまう!

ナイジェリアで最も有名な映画「ウェディングパーティー2」を監督したアキンモラヤン氏は、自分の5歳の息子にロックダウンのことを説明しようとして、このアニメを作ることを思い立ったという。

「でも、新型コロナウィルスは大きな怪物みたいなもので、お出かけしたら捕まっちゃうんだという言い方に変えるまでは、息子は納得しなかったのです。」と監督はロイター通信の取材に対して語った。

9歳のエジチ・ヌワオグくんは、アニメの中で男の子がドアを開けるが、怪物になった新型コロナウィルスに出会ってしまい、ドアをバタンと閉めて家の中に戻る場面が好きだという。「それで、外に出かけちゃいけない時なんだということがわかった。」と、ヌワオグさんは語った。

アキンモラヤン氏は、10人のスタッフが在宅で勤務する自分のプロダクション「アンティル・スタジオ」を通じてこのアニメを制作した。

無料で配信されており、英語、イボ語、ヨルバ語、ハウサ語、フランス語、スワヒリ語版がある。

誇張された推測

暫定的なモデリングによれば、アフリカにおける新型コロナウィルス感染者数は数千人から数百万人まで幅広い。しかし、現地のWHO報道官によるこの脅威の数字には、同じWHOアフリカ支部の緊急対策部門長から疑問が出されている。

African Continent/ Wikimedia Commons
African Continent/ Wikimedia Commons

マイケル・ヨー氏はオンライン記者会見で、「まだまだ精度を上げる必要がある。」「状況がめまぐるしく変わるので、長期的な推測が難しい。」と指摘したうえで、「公衆衛生措置を完全に実行すれば、実際に効果をあげることが可能だ。」と語った。

ヨー氏はまた、「エボラ出血熱が大流行した際でも、人々の行動が変容した結果、当初想定された最悪のシナリオは実際には起こらなかった。」と語った。

アフリカではこれまでのところ、感染者数1万7000人、死者約900人と報告されているが、世界の他の地域に比べると小さな数字となっている。

アフリカで最も多くの感染者がでている南アフリカ共和国では、厳格なロックダウンを実施後、感染ペースが下がっているが、ブルキナファソやコンゴ民主共和国、アルジェリアのような国々では、平均よりも死亡率が高くなっている。

WHOは各国政府と協力して患者のケアと死亡率低減に努力している、とWHOアフリカ支部(サハラ以南46カ国とアルジェリアで構成)のマティディソ・モエティ代表は語った。

しかし、これらの取り組みは、WHOに対する分担金停止の脅しをかけている米ドナルド・トランプ大統領の動きにより停滞する可能性がある。

モエティ代表は、トランプ大統領の方針によって、新型コロナウィルスとの闘いだけではなく、ポリオやHIV、マラリアなど、生命を脅かすような疾病との闘いにも障害が出かねないと警告した。

「アフリカでは間もなくポリオを根絶できそうだったが、今回の決定はポリオ根絶の闘いに重大な影響を与えかねない。」とモエティ代表は語った。

トランプ大統領は、WHO(本拠:ジュネーブ)が新型コロナウィルスに関する中国の「うその情報」を広めることで感染拡大を悪化させたと非難し、自らのコロナ危機対策を自賛しつつ、WHO分担金を停止すると表明した。

世界ですでに200万人以上が新型コロナウィルスに感染しているが、米国の感染者数が最も多い。

特定の病気と闘い、各国の保健政策を強化しているWHOに対する最大の拠出国は米国である。2019年の分担金は4億ドルで、予算全体の約15%を占める。

「米国は財政的な意味だけではなく、戦略的な意味においても重要なパートナーだ。(分担金停止についての)再考を期待している。」と、モエティ代表は語った。

ガーナではロックダウンの部分的に解除

ガーナのナナ・アクフォ=アド大統領はテレビ演説で「新型コロナウィルス感染拡大の抑制にある程度成功したことを受けて、[首都]アクラとクマシにおけるロックダウンを部分的に解除する。」と発表した。

感染例が137件出たことを受けて、アクラ首都圏の4つの都市、アシャンティ州、中央州が3月31日以来ロックダウンの状況にあった。アクフォ=アド大統領は、「今回の決定は科学とデータに基づいたものであり、今後の決定も同様の要素を考慮に入れて決めることになる。」と語った。大統領は一方で、貧困層と社会的弱者に対してロックダウンが厳しい影響を及ぼしたことを認めた。

この決定によりガーナは、サブサハラ地域で初めて行動制限措置を解除した国となった。

ブルームバーグの報道によると、21日間の行動制限後の感染者数の最新の数字は1042人であるという。

首都アクラと主要地域では、学校の閉鎖は継続され、スポーツや宗教関連行事は引き続き禁止されるものの、通勤は認められるようになるとアクフォ=アド大統領はテレビ演説で語った。

人口3000万人のガーナでは、この3年ほど年率6%超の経済成長をみせていたが、新型コロナウィルスの蔓延で急ブレーキがかかり、財務省では、今後の見通しについて、この37年で最低となる1.5%成長にまで鈍化すると予測している。

アクフォ=アド大統領は、感染者の積極的な追跡、検査能力の強化、治療者数や隔離所の拡充、「ウィルスの特性に関する理解の増進、防護道具や衛生用品、医薬品等の国内製造能力の強化」などの成果を強調した。

Map of Ghana
Map of Ghana

しかし一方で、大規模集会の禁止やガーナ国境の封鎖などの措置は継続される。

国中で確認された感染症例が増大していたため、ロックダウンの延長を予想していた人々にとって、今回の発表は驚きであった。

ガーナにおける新型コロナウィルス感染者数は、3月12日に初の感染例が確認されて以来、16州の内10州に広がっている。

1043件の症例中、大部分がアクラ(882件)とクマシ(62件)に集中している。そのうち99人が回復し退院した一方で、9人が亡くなっている。

「融資」に悩むルワンダ

世界銀行と国際通貨基金(IMF)は、4月になって、新型コロナウィルスと闘うアフリカ諸国に対して支援の手を差し伸べている。最近では、重債務貧困国(HIPC)対策の強化という形で、ルワンダに対して1億940万ドルの債務削減を認めた。

IMFは記者発表で、新型コロナウィルスの感染拡大によって生じた国際収支の悪化という緊急課題に対応するものだと述べた。

IMFによれば、感染拡大の経済的影響が急速に明らかになってきており、短観は急速に悪化しているという。これによって、財政や海外からの資金注入の必要が大きくなっている。感染拡大を抑え軽減する措置を当局は急ピッチで取りつつある。

今回の資金は、感染拡大を抑え、経済的影響を軽減する目的で行われる支出強化を支援するものだ。ところが、無償資金協力とはちがい、今回の資金は「中期的な債務の持続性を維持するため」、最終的に償還されねばならないものとなっている。

仏財務省筋によると、民間の金融業者がルワンダの債務80億ドルに関して、支払いの繰り延べあるいは借り換えに自発的に合意したが、債務の棒引きではないという。つまり、利息は今後も膨らみ続けるということだ。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領すら、「大規模な債務削減」によってアフリカ諸国を支援しなくてはならないと述べている。

SDGs Goal No. 1
SDGs Goal No. 1

ルワンダ出身のカナダ人研究者デイビッド・ヒンバラ教授は、「ルワンダを債務に陥れるカガメ大統領」と題した記事で、「ルワンダが多額の対外債務に見舞われるのは2度目のことだ。」と指摘した。IMFの重債務貧困国対策によって、2008年にルワンダの債務は14億ドル削減され、6億6800万ドルが残った。「公共債務時計」によると、現在の債務額は130億ドルである。

140近い組織や慈善団体から成る「ジュビリー債務キャンペーン」(英国)は、最貧国による債務の一時猶予ではなく廃止を訴えている。

「ジュビリー債務キャンペーン」の政策部門担当ティム・ジョーンズ氏は、IMFと世銀に対して、自らに対する借金支払いを猶予し、民間投資家に対しても債権を一時棚上げするよう求めている。

「民間の投機家がこの危機的状況のなかでも、最貧国から高い利息を取り続けるとすれば、それはとんでもないことです。」とジョーンズ氏は語った。(原文へ)

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世界の市民団体がNPT加盟国の大胆な行動を要求

【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】

世界各国の多様な平和・核軍縮団体のネットワークが、特に核兵器国とその同盟国の指導者に対して、核兵器の危険を減じ軍縮に進展をもたらすとの約束を早急に果たすこと、「核兵器の完全廃絶」をみずから公約した事実を認識することを求める共同声明を発表した。共同声明は核不拡散条約(NPT)の無期限延長を導いた一連の決定から25周年にあたる5月11日に出された。

新型コロナウィルスの感染拡大によって、記念行事は延期された。共同声明に賛同した84団体によると、2020年NPT再検討会議が延期されたことで、「現在の流れを変え、痛烈な政治的対立を乗り越え、核兵器を終わらせるための努力に集中するためのかつてない機会」が与えられている。彼らはNPT加盟国と国際社会に対して、追加の時間を賢明に使うように求めた。

この共同声明は歴史的な時に出された。2020年は米国が広島・長崎に原爆を投下してから75年にあたる。

Effects of the atomic bomb on Hiroshima. View from the top of the Red Cross Hospital looking northwest. Frame buildings recently erected. 1945/ Public Domain

1945年末までに、21万人以上(その大半が民間人)が原爆の犠牲になった。その後も被爆者やその子、孫たちは今日まで身体的、心理的影響に苦しんできた。その中には朝鮮半島出身者の人々も含まれていた。

核兵器は、実験から使用に至る開発プロセスのすべての段階において犠牲者を生む。核実験とウラン採鉱によって特に先住民族が被害を受け、放射線は女性に偏った影響をもたらしてきた。核兵器がもたらす被害に国境はない。

賛同市民団体は、1945年8月に広島・長崎に投下された原爆は、今日の基準では小規模かつ原始的なものであったと強調している。現在の核兵器の能力ははるかに破壊的である。さらに、近年核削減は緩慢になり、代わりにより強力で多様な核兵器開発のための競争に巨額の資金が投じられている。

2010年のNPT再検討会議では、安全保障戦略における核兵器の役割を低減することに加盟国が全会一致で合意した。しかし、あれから10年が経ち、事態は反転した。核保有国でも、それと共謀する同盟国(いわゆる「核の傘」依存国)でも、核兵器の役割は拡大しているのである。

共同声明は、新たな危険が、核兵器廃絶の緊急性を高めていると指摘する。サイバー攻撃力や人工知能などの新たな技術は、核兵器の近代化計画と組み合わさってリスクを高めている。核保有国や同盟国による核の訓練など戦争ゲームの規模や速度が上がっている。継続するミサイル実験や核保有国の軍隊同士の接近が核の危険を高めている。

ICAN
ICAN

2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によると、1万3865発の核弾頭が地球を脅かしている。そのうち、ロシア(6500発)、米国(6185発)、フランス(300発)、中国(290発)、英国(200発)が多くを保有し、パキスタン(150~160発)、インド(130~140発)、イスラエル(80~90発)、北朝鮮(20~30発)がそれよりも少ない数を保有している。くわえて、イタリア(80発)、トルコ(50発)、ベルギー(20発)、ドイツ(20発)、オランダ(20発)が、米国の核兵器の配備を認めている。

その他26カ国もまた、北大西洋条約機構(NATO)や集団安全保障条約機構(CSTO)を含めた防衛同盟の一環として、核保有国の持つ核兵器の使用の可能性を容認することで、核兵器の保有・使用を「是認」している。

最新の調査によれば、2019年、先の9カ国が1万3000発超の核兵器のために729億ドルを費やした。1分あたり13万8699ドル換算である。2018年からは71億ドルも増えている。

したがって、共同声明は、核保有国に対して、新型の核兵器や運搬手段またその主要部品をつくる計画を停止するよう求めた。警告即発射の態勢を終え核の近代化計画をやめることは核のリスク低減に資する。国家的・地域的安全保障戦略から核兵器の役割をなくすことも同様である。

共同声明に賛同した市民団体は、核兵器のリスクを完全になくすことは核兵器の廃絶によってのみ可能であると主張する。NPT締約国は新型核兵器の開発や核軍備競争を止めるべきであり、それにはそうした開発に対する援助の提供や勧奨をやめることも含まれる。

共同声明は、レイ・アチソン(WILPF)、ジョン・バローズ(核政策法律家委員会)、ジャクリーン・カバッソ(西部諸州法律財団)、川崎哲(ピースボート)、ダリル・キンボール(軍備管理協会)、アリソン・パイトラク(WILPF)、アリシア・サンダース=ザクレ(ICAN)、スージー・スナイダー(パックス)、カルロス・ウマナ(IPPNW)によって起草された。

共同声明は、「こうした環境は…核兵器を廃絶することによって核のリスクを低減する大胆な行動をすべての国々に要求している。あらゆる核兵器の使用がもたらす破滅的な人道上の帰結に対する深い憂慮に基づいた行動が必要である。」と述べている。

Global nuclear weapon stockpiles, 2018/ SIPRI
Global nuclear weapon stockpiles, 2018/ SIPRI

その上で賛同団体は、次の3つのメッセージをNPT加盟国に対して発した。

1.NPTに対する世界的な支持は強いが、NPTが長期的に存続できるという保証はない。

2.世界的諸問題のゆゆしき状態や高まる核の紛争や軍備競争の危険に対して、責任ある諸国による新しいより大胆なリーダーシップが求められている。

3.変化に抵抗して、さらなる前進のためには「環境」が好ましくないという者もいるが、責任ある者たちは各地で起ち上がっている。

「しかし、合意の交渉や一方的行動を通じて軍縮のための行動をとることは、それ自体が核兵器のない世界の達成への環境を整えるものであり、また、相互信頼の雰囲気を作り、世界の他の差し迫った課題の解決に前向きに寄与するものである。」と共同声明は述べている。(原文へ)

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