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国連内部監査、ジェンダーの不均衡など体質改善を勧告

【ベルリン/ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】

国連政治局は、世界中の武力紛争を予防し解決する国連の取組みにおいて中心的な役割を果たしている。しかし、安全保障理事会が次期国連事務総長の12人の候補に関する非公開の「調査投票」の第1ラウンドを7月21日に開始するなか、政治局は安保理の視野には入ってこないようだ。

5つの常任理事国(米国・ロシア・中国・英国・フランス)によって受け入れられ、後に国連総会によって選出される候補者は、今年12月31日に2期目の任期(1期5年)を終える潘基文氏の後継者となるが、いずれにせよ、国連政治局(DPA)に対する評価に注意を払わねばならない。

というのも、5月31日に公表された国連内部監査部(OIOS)による政治局に対する最新評価には、政治局の成果を評価する言葉だけではなく、厳しい批判も並べられていたからである。

内部監査部は、2006~08年の評価以来、政治局はデスクワーク中心の部局から、より現場中心の活動へと進化し、現場での紛争予防・解決(CPR)支援に活動の軸足を移した、と肯定的に評価した。

CPRは主に、2008年以来数が増えている特別政治ミッション(SPMs:軍事要員や文民警察を中心とする国連平和維持活動とは別に、文民要員を中心に現地の情勢に応じてアドホックに設置して活動している国連ミッション)と、ミッションベースではない「国連カントリーチーム」を通じて実行されている。

国連政治局は、本局から、現場における支援活動がスムーズに進展する環境を整えるために、加盟国やその他の国連機関、関連団体と連携を取りながら、現地で活動に従事している様々な組織を支援している。また現場レベルでは、CPR任務を達成する現場の能力を強化することを目的として、一般的支援(例:政策指導、行政指導)から特別専門指導(例:選挙支援、調停)にいたる多岐にわたる支援を行っている。

最新の評価では、2008~15年の現場レベルでのCPRに対する政治局の実質的支援に関して、その意義、効果、効率性を査定している。評価は幅広い質的かつ量的な情報分析に基づいて作成されたものである。

内部監査部の評価によれば、政治局は、評価期間において、最重要紛争地のほぼ全てに支援を実施していた。また、地域事務所の設置や、国連ミッション不在地への「平和・開発アドバイザー」の派遣を通じて、そのグローバルな展開力を増強してきた。

「しかし、最重要紛争地以外の地域については、政治局のプレゼンスはあまり広範囲に及んでいなかった。」と内部監査部は指摘した。たしかに、すべての紛争地のニーズを満たすには財源上の制約があることは内部監査部も認めている。しかし同時に、「戦略計画書を見ても、支援が求められる他の状況に対して政治局がその限られた財源をいかに重点配分するかについて、明確で、具体的なデータに基づく考察は認められなかった。」とも述べている。

政治局の職員、彼らが支援する現場の諸団体、さらに内部監査部による直接観察が、共通して強調しているのは、政治局が従来のデスクワーク中心の分析作業から(現場中心の活動へと)軸足を移したことによって、とりわけ、平和への脅威が潜む状況を予測し行動するための早期警戒分析能力が弱まったという点である。

しかし内部監査部は、こうした欠落があるものの、政治局による支援は効果的であり、現場の活動に対して積極的な貢献を成したと評価した。また、様々な現場の機関の職員らが、そうした実例を指摘している。

ジェンダーや人権問題に対する政治局の感度は増したものの、「本局と現場のリーダーシップの両方においてジェンダーの不均衡がみられ、現場ではジェンダー・人権いずれに対する配慮に関しても優先順位が低い」と内部監査部は批判している。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

同時に、政治局が対応しなければならない現場活動の数がますます増える中、その人的・財政的資源はその要請に追いついていない。

「より広範な国連の内部手続きが、その効率性を阻害している。加えて、政治局は、成果に対する全体的な任務のアカウンタビリティや、任務が国連の原則に合致しているかどうか、最終的な出口戦略をモニターするには、弱い立場に置かれている。政治局は、成果に関する知識を利用しようという態度に欠けるためアカウンタビリティを向上させることに失敗し、成功と欠点から学ぶことができなくなっている」と内部監査部の評価は指摘している。

内部監査局は4つの重要な勧告を行い、政治局はそのすべてを受け入れた。つまりその内容とは、①現場レベルのアカウンタビリティ強化における政治局の役割の組織化を、事務総長室と協議しながら行うこと。②早期警戒・早期行動のための全体的な文脈分析と評価の両面において、主要な分析上の欠落を埋めること、③本局と現場レベルの計画プロセスを強化すること、④中核的な機能の欠落に適切に財源を割り当てるための措置を実行することが求められた。

政治局は、ニーヨークの国連本部で勤務する250人以上の専門・管理部門の職員に加え、アフリカ・アジア・欧州・中東で、その権限下にある政治・平和構築任務活動に従事する、国別・国際スタッフを1700人以上雇用している。

政治局は、加盟国と緊密に協力し、紛争予防と解決において必要に応じて支援と助言を与えるための国連地域事務所を設置している。(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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国連、「教育の力」で不寛容、人種差別との闘いへ

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連が、主に若い世代の才能を活かして、不寛容や過激主義、人種差別、外国人排斥の拡大に対抗する世界的キャンペーンを展開する計画をたてている。

国連の潘基文事務総長は、教育がカギを握ると指摘する。「教育の力を理解したければ、過激主義者らがいかにして教育を叩き潰そうとしているかを見れば分かります。」「過激主義者らが10代の活動家マララ・ユサフザイさんとその友人らを殺害しようとしたのは、まさに彼女たちが学校で教育を受けることを望んだからです。」と語った。

暴力的な過激主義者がナイジェリアのチブックで200人以上の女子生徒を誘拐し、数多くの学生がケニアのガリッサやパキスタンのペシャワールで学校にいたところを襲撃され殺害された。

「過激派が最も恐れているのは、教科書を手に教育を受けようとする女児や若者の存在なのです。」と潘事務総長は語った。潘事務総長は、宗教間対話を促進する宗教指導者による諮問機関を創設するとともに、「包括的な『暴力的過激主義を予防する行動計画』」をまもなく発表する予定である。

提案されているこの計画は、9月第3週に始まる第70回国連総会に提出されるとみられている。

不寛容と過激主義に対抗する世界的なキャンペーンの一環として、国連広報局は、世界中の若者による10件のプロジェクトを最近選出した。「多様性コンテスト」と題されたこの企画では、様々な差別や偏見、過激主義の問題に対処する創造的なアプローチが選ばれた。

Lara-Zuzan Golesorkhi

31か国、100件以上のエントリーから選ばれたこのプロジェクトには例えば、同性愛者排斥への対抗(インド・メキシコ)、民族紛争軽減のための水紛争の解決(ブルンジ)、宗教間調和の促進(パキスタン)、移住人口の受け入れ促進(南アフリカ)、イスラム教徒(ムスリム)女性の雇用機会の増進(ドイツ)を目的とした取組み等がある。

今回の受賞プロジェクトの応募者であり、ニュースクール(ニューヨーク)の大学院生でインストラクターでもあるララ=ズザン・ゴレソルキ氏は、IPSの取材に対して、「(このプロジェクトは)今日ドイツで最も論じられている政治課題の一つであるムスリム移民の統合の問題に取り組むものです。」と語った。

「こうした論議の背景には、1998年に起こったいわゆる『ルディン事件』に端を発する『スカーフ論争』があります。」とゴレソルキ氏は指摘した。

論争の発端はこの年、(アフガニスタン移民の娘である)フェルシュタ・ルディン氏が、教壇に立つ時もスカーフを外すことを拒んだため、バーデン・ヴュルテンベルク州のシュトゥットガルト上級教育庁が「ドイツ基本法に則ってルディン氏は教師に不適格で能力に欠ける」として、州の公立校への採用を拒否したことにあった。

ルディン氏はこの決定を憲法が保障する信教の自由を侵害するものとしてその後長らく裁判で争った。一方、公立学校の教員に対してスカーフを取って仕事をするよう求める州が相次いだ。

「結局、8州がスカーフ禁止措置を採用しましたが、本質的にみて差別的なこの政策を見直すよう求める憲法裁判所の判決が出されたため、最近ではスカーフ禁止措置に対して疑問が付されるようになってきています。」とゴレソルキ氏は語った。

国連広報局によると、ゴレソルキ氏はドイツに戻り、ムスリム女性に対する差別に対抗する取り組みを進めるという。

ゴレソルキ氏は、企業に対して象徴的な意味でムスリム女性を雇用するという誓約を求めていくとともに、ムスリム女性が安心して職場に応募できるよう誓約に応じた企業のリストを作成する予定である。

プロジェクトではそうすることで、ドイツにおけるムスリム女性に対する差別を軽減し、雇用を増進させることを目指している。

『ニューヨーク・タイムズ』がドイツの「宗教研究メディア・情報サービス」の情報を引用して先月報じたところによると、ムスリムの人口は、人口8100万人のドイツにおいて、キリスト教徒の4900万人に対して、人口の約5%を占めるという。

同記事は、ハンブルグ・ホルン地区の労働者集住地域に長らく放置されていた教会をモスクに改修することを巡って論争が強まっている現状を報じたものだ。

ハンブルグにある「イスラムセンター『アルノア』のダニエル・アブディン代表はニューヨーク・タイムズの取材に対して、「教会は10年間も放置され、だれも気にしていませんでした。しかし、ムスリムがそれを購入する段になって、急に話題の種となったのです。」と語った。

ゴレソルキ氏は、IPSの取材に対して「私が立ち上げたNPO「共に、それとも、なしで」(With or Without: WoW)は、最も抽象的な形態において、ドイツという国の2つの重要な側面である移民と宗教の交わる領域における問題に取り組むことを目的としています。」と語った。

ドイツの法律や多様な社会的構成、そして、反イスラム感情の拡大(イスラム恐怖症)、(とりわけ9・11以降の)ムスリムに対して差別的な法律の制定に関して、移民と宗教はドイツの国民形成プロセスにおいて重要な役割を果たしてきた。

ゴレソルキ氏によれば、ドイツにおけるムスリム人口は、1990年の250万人から2010年には410万人へ増え、2030年には550万人にまで増える見通しだという。

ドイツにおけるムスリム移民の3大出身地は、トルコ、旧ユーゴスラビア、モロッコである。

ムスリムの存在が相当程度に、かつ継続的に大きくなってきていることで、国家や社会において様々な反応が顕在化してきている。

2008年の調査でインタビューされた人々の大部分(72%)が、「マイノリティ集団の人々がこの国の文化的生活を豊かにする」と答えているものの、同じ年のデータが示すところでは、ムスリムがもっとも望ましくない隣人であるという答えが出ている。

さらに、ドイツにおける調査回答者の23%がイスラムをテロと結び付けて考えている。また、16%が、ムスリムが頭に被るスカーフである「ヒジャブ」はヨーロッパ文化への脅威だと考えていた。

ベルテルスマン財団」が2014年末に行った反イスラム感情に関する最新調査によると、非ムスリム回答者の57%がイスラム教を「きわめて脅威的」だと答えている。また、24%がドイツへのムスリム移民の禁止に賛成し、過半数の61%がイスラム教は「西側」社会にそぐわないと考えていた。

近年の反ムスリム感情の文脈においてとりわけ注意すべきなのは、欧州の「イスラム化」なるものを拒絶し、移民政策の刷新を求めるPEGIDA(西側のイスラム化に反対する欧州愛国者)の台頭であろう。

前出のゴレソルキ氏のプロジェクトは例えば、ムスリム女性がドイツ労働市場で働く準備をする「ジョブ・レディ」(Job Ready)セミナーやワークショップ、象徴的にムスリム女性を雇用するよう使用者に促していくオンライン、オフライン双方(ツイッターと写真)の「私は誓うキャンペーン」、ドイツの雇用部門におけるムスリム女性の困難についての意識を喚起するオンライン、オフライン双方(ツイッターと写真)のキャンペーンなどがある。

誓約したことで雇用が保証されるわけではないが、ムスリム女性の雇用に前向きな企業のデータベースをWoWが作成することが可能になる。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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オクサパンパの再森林化:ペルーの課題と優先事項

【リマIDN=フェルナンド・トーレス・モラン】

オクサパンパは、ペルー高地ジャングル地帯のパスコ県にある郡である。ここには、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が2010年に認証したオクサパンパ・アシャニンカ・ヤネシャ生物圏保護地区がある。

ここには、ヤナチャガ・チェミレン国立公園(面積12万2000ヘクタールで、ワンカバンバ、オクサパンパ、ビジャ・リカ、ポスソ郡に広がる)やサンマルティナス・サンカルロス保全森林(面積14万5818ヘクタールで、パルカズ、プエルト・ベルミュデス、ビジャ・リカ地区に広がる)といった自然保護区域がある。

Pronaturaleza

数十年にわたって同地帯では森林が破壊されてきた。自然保護に取り組むペルーの非政府組織「プロナチュラレザ」は、ヤナチャガ・チェミレン国立公園で森林が違法に伐採されていたことを問題視している。タイムやスギ、イチジクなどの木から10万枚の厚板が取られたとされる。

この地域では貧困のために、先住民族らがこの伐採に関わっている。彼らは、違法な伐採業者からわずかばかりのお金をつかまされて、割り当てられた地帯において森林を伐採する許可を得るのである。

生物多様性が豊かなこの地帯の森林破壊の歴史は、木々が倒され他国へ輸出され始めた20世紀中盤にまでさかのぼる。最初の伐採地帯は60年前に設置された。

時が過ぎるにつれ、伐採業者は地帯外の部門にも手を伸ばすようになり、歴代政権の下で野放図かつ監督なしの伐採がなされることになった。かつては森林が豊かであったオクサパンパ山岳地帯は、植生の乏しい地域に変わってしまった。

さらに、この状況は農業活動の拡大によって悪化している。土地は果実生産向けに転用され、牛を育てる牧畜用に利用された。これは、人々の移住現象につながることになった。利用され尽くした土地は、再生されることなく放置され、農業用に新しい土地が求められた。

オクサパンパ地区で長く伐採業を営んでいるマデレラ・ボゾヴィッチ社のイヴォ・ボゾヴィッチ社長によれば、農業・畜産が森林破壊の原因の87%を占めているという。「なぜなら、それによって森林が伐採されたり燃やされたりするからだ。これが起きると、3年も経てば土地はだめになってしまいます。」とボゾヴィッチ氏は語った。

一部の環境保護活動家らによれば、いくつかの伐採地帯では持続可能な形で活動が続けられている。伐採されるのは十分育った木だけで、若い木々は残したままにされている(ある種の間引き)。かりにこれが事実だとしても、他方では、森林は無差別に利用され、かつては木々が覆っていた広大な土地は丸裸にされている。

Map of Peru
Map of Peru

今日、事態は好転しているように見える。ペルーは、国連加盟国であり、持続可能な開発目標(SDGs)にコミットしている国として、「気候変動緩和に向けた国家森林保全プログラム」を実施に移している。衛星監視システムが利用され、環境省の下で、違法な森林伐採を阻止・起訴する特別の規則が適用されている。

また、森林破壊と違法森林伐採の防止、統制、起訴などのための11の主軸を備えた計画戦略がこのプログラムには含まれている。

さらに今日、「森林・気候変動国家戦略」も策定されている。この目的は、「森林破壊と森林の劣化を食い止め、温室効果ガスの排出を抑制する」ことであり、公的・民間両部門の参加を促している。

一つの例は、オクサパンパ郡を含む様々な地方の14地域と協力し、持続可能な土地管理を確立している「プロナチュラレザ」の活動である。

同様の取り組みが、SDGsの第15目標(陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る)を達成するために求められる。

ProNaturaleza

政府が設定した目標のひとつは、2030年までに少なくとも200万ヘクタールで再森林化を達成することであり、地域コミュニティーも、小さな行動を通じてこの目標に寄与することができる。

オクサパンパ郡キジャズ町にある「アナ・モガス教育研究所」の事例は、持続可能な開発と利益追求が両立しうることを示した一例だ。10年前、同研究所は、3ヘクタールの土地に3300本のユーカリの木を育てていた。8年後、その木から取れた木材を売って、教育目的で15台のコンピュータを購入することができた。

生徒の保護者からの寄付と協力によって木を植えることが可能になった。これは、管理された森林伐採と商売の可能性に気づき始めた人々にも利益をもたらす森林再生と持続可能な開発プロジェクトの好例である。

にもかかわらず、さらなる政府の取組みが求められる。たとえば、ヤナチャガ・チェミレン国立公園では、資金不足のために森林監視員がわずか20名しかいない。これでは森林全体をカバーすることは不可能だ。オクサパンパ森林・動物技術管理局では、管理業務に携わっている職員がわずか2名で、公園を監視することができずにいる。

SDGs Goal No. 15
SDGs Goal No. 15

ペルー政府が同国最大の公園のひとつである同公園にさらなる投資をすることが必要だ。ヤナチャガ・チェミレン国立公園には、インカ・ヤネシャ文化時代からの考古学的な遺跡が残っている。また、2584種の植物相、59種の哺乳類、427種の鳥、16種の爬虫類、31種の魚類を含む動物相を含んだ、世界的にも豊かな公園である。

数百年にわたって同地域に居住してきた先住民族社会には、尊厳を持って自然と共生してきた生活の知恵がある。必要なものは、より多くのエネルギーと資源を投じて彼らにツールと知識を提供し、大企業ではなく(もちろん、違法伐採業者ではなく)先住民族自身が地域の資源を抑制的に利用することで利益を得ることができるようにすることだ。

ペルー政府は、同国の広大な土地の保護と再森林化に向けた長期計画を策定する方向で、重要な措置を採ってきている。にもかかわらず、それぞれの地域の特定の問題を解決するためにさらなる予算と関心が必要とされている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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ジャヤンタ・ダナパラ元国連軍縮担当事務次官インタビュー(国連軍縮会議 in Hiroshima)

Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

INPSは、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD、バンコク)が日本の外務省、広島市、広島県との協力の下で8月26日から28日に開催した「第25回国連軍縮会議 in Hiroshima」を取材した。INPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、来日中のラメシュ・ジャウラ編集長と共に、ジャヤンタ・ダナパラ元国連軍縮担当事務次官 (映像)をはじめ、国連軍縮会議に出席中の主なパネリストにインタビュー取材した。

At the 25th UN Conference on Disarmament Issues in Hiroshima 26-28 August 2015, International Press Syndicate interviewed Ambassador Jayantha Dhanapala, President of Pugwash Conferences on Science & World Affairs, former UN Under Secretary General for Disarmament Affairs on: How to find a short-cut to CTBT waiting in the wings for 20 years?

INPS Japan

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ジャヤンタ・ダナパラパグウォッシュ会議議長インタビュー

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

INPSは、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD、バンコク)が日本の外務省、広島市、広島県との協力の下で8月26日から28日に開催した「第25回国連軍縮会議 in Hiroshima」を取材した。INPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、来日中のラメシュ・ジャウラ編集長と共に、エジプトのヒシャム・バドル外務副大臣(映像)をはじめ、国連軍縮会議に出席中の主なパネリストにインタビュー取材した。

At the 25th UN Conference on Disarmament Issues in Hiroshima 26-28 August 2015, International Press Syndicate interviewed Egypt’s Assistant Foreign Minister Hisham Badr on the impediments on way to the Middle East Nuclear and Weapons of Mass Destruction (WMDs) Free Zone.

INPS Japan

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イェルラン・アシクバエフカザフスタン外務副大臣インタビュー(国連軍縮会議 in Hiroshima)

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Filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

IPSは、国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD、バンコク)が日本の外務省、広島市、広島県との協力の下で8月26日から28日に開催した「第25回国連軍縮会議 in Hiroshima」を取材した。IPS Japanの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、来日中のラメシュ・ジャウラ編集長と共に、イェルラン・アシクバエフカザフスタン外務副大臣(映像)をはじめ、国連軍縮会議に出席中の主なパネリストにインタビュー取材した。

冷戦期にソ連による核実験で100万人以上が被爆した経験を持つカザフスタンは、独立と同時に核実験場の閉鎖と当時世界第4位の核兵器を全廃した経験を持つ。国連などを舞台に、広島、長崎への原爆投下という核兵器による被ばく経験がある日本と連携して、核実験の全面禁止と核廃絶を国際社会に訴えている。

At the 25th UN Conference on Disarmament Issues in Hiroshima 26-28 August 2015, International Press Syndicate interviewed the Kazakh Deputy Foreign Minister Yerzhan Ashikbayev on Japan-Kazakh move to facilitate the entry into force of the Comprehensive Test Ban Treaty (CTBT) as soon as possible.

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service(IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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|国連|戦後最悪の難民危機に直面する中で「世界人道デー」を記念

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連は、今年の「世界人道デー」(8月19日)にあわせて、ニューヨーク・神戸等で開催される関連行事と並んで、世界各地の紛争や災害を生き延びた人々の「感動的な」ストーリーを、ソーシャルメディアを通じて拡散していくオンラインキャンペーン「ヒューマニティ:あなたを動かすチカラ#ShareHumanity)を立ち上げた。

このキャンペーンは、著名人を含むフェイスブック、ツイッター、インスタグラムのユーザーに、投稿スペースを寄付してもらい、世界が直面している深刻な人道状況とともに、そこに生きる人々のたくましさと希望を広く伝えていくことを目的としている。

U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo
U.N. spokesperson Stephane Dujarric/ UN Photo

国連のステファンドゥジャリク報道官は、「私たちは、国連が創設されて以来、最も人道支援を必要とする歴史的瞬間に生きています。」と指摘したうえで、「私は(報道官として)日常的に、人道支援を必要とする人々について、数を挙げて話をせざるを得ないのですが、1万人、5万人という数字は実に感覚を麻痺させてしまいます。」と嘆いた。

国連の統計によると、人道支援を必要とする人々の数は極めて憂慮すべきレベルに達している。今日トルコ、イラク、レバノンに在住するシリア難民の数は4000万人を超えている。一方、この中には故郷の戦乱を逃れて海路欧州への密航を試み、その途上で命を落としている毎週数百人に及ぶ難民の数は含まれていない。

さらに厄介なのは、少なくともさらに760万人もの人々がシリア国内で難民となっており、全員が人道支援を必要としていることである。シリアでは内戦が勃発して今年で5年目となるが、これまでに22万人を超える市民が軍事衝突に巻き込まれて命を失っている。

国連のスティーブ・オブライエン緊急援助調整官(人道問題担当事務次長)は、「世界では避難を余儀なくされた人々の数が6000万人近くに達しており、私たちは深刻な危機に直面しています。」「私たちは、お互いを大切にする責任をもっと培い、地球市民という共通の思いを実現していかなくてはなりません。」と指摘したうえで、世界各地のソーシャルネットワークのユーザーに対して「声無き人々の代弁者となって欲しい。」と訴えた。

Stephen O’Brien/ youtube

8月上旬、オブライエン事務次長は、ドナーからの援助が行きわたらない資金不足の人道状況に対応するため、国連中央緊急対応基金(CERF)から7000万ドルの資金を放出する決定を行った。

シリア、アフガニスタン、イエメン以外でも、スーダン、南スーダン、アフリカの角(ソマリア・ジブチ・エチオピア)、チャド、中央アフリカ共和国、ミャンマー、バングラデシュといった国々で人道危機が進行している。

オックスファムのノア・ゴットシャルク人道対応上級政策アドバイザーはIPSの取材に対して、「数十年前に創設された国際人道支援システムは、これまでに無数の人々の命を救ってきました。しかし、国際社会が、シリア内戦のような長期化する危機が世界各地で進行している状況に対応を迫られているなかで、自然災害が規模と頻度の双方においてますます増加する傾向にあります。こうした事態に、従来の人道支援システムは十分対応しきれておらず予算不足も深刻な状況にあります。」と語った。

ゴットシャルク氏は、「一部のドナー国は人道支援に対する資金拠出に寛大であり、私たちはこの不可欠な支援を高く評価していますが、一方で現在の財政規模では高まり続ける人道支援のニーズに十分追いついていないのが現実です。」と指摘したうえで、「国連と現在の人道支援システムは、現地で人道支援活動に携わるリーダーや人々のキャパシティビルディング、さらにはコミュニティーによる減災活動を支援するプロジェクトに資金拠出をすることにより、より効率的で現地のニーズに的確に対応できる体制へと改善する必要があります。」語った。

一方、国連は、今回新たに立ち上げたオンラインキャンペーン「ヒューマニティ:あなたを動かすチカラ(#ShareHumanity)を通じて、来年5月にトルコのイスタンブールで開催を予定している史上初の「世界人道サミット」の開催に向けて国際社会の機運を高めていきたいと考えている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、8月19日に始まった今年の「世界人道デー」キャンペーンは、援助コミュニティーが、自然災害、紛争、病気に冒された数百万人の人々を救済する能力をはるかに上回る人道支援ニーズが存在する今日の世界の現実を反映したものである。

ゴットシャルク氏はIPSの取材に対して、「世界人道デーは、世界各地で、想像を超える困難な環境にある人々の命を救うために日々献身的に取り組んでいる勇気ある男女に敬意を払う重要な機会です。」「危機的な状況が発生した際、しばしば真っ先に行動を起こすのが現地の人道支援活動家です。しかしこうした男女の貢献が国際社会に認められることは稀ですし、最も深刻な点は、彼らがリーダーシップを発揮して危機に対処できるような支援がなされていない現実です。」と語った。

オックスファムは、人道支援活動に対する資金財源をより安定的かつ堅固なものとするために、国連加盟国に対して人道的対応のための拠出金を義務付けるよう強く働きかけている。

「より多くの人道支援資金が実際の活動が行われている現場に直接流れるようにすべきです。また、ドナーが支援活動のインパクトを追跡評価でき、対象のコミュニティーが援助の流れを把握し地域のリーダーに説明責任を要求できるよう、資金支援の中身について透明性を高めていくべきです。」とゴットシャルク氏は指摘した。

Noah Gottschalk/ Oxfam International

ゴットシャルク氏はまた、「今日世界では、数百万人もの人々が人道支援システムに依存しており、その存続は、人道支援へのニーズの高まりに反して活動資金が減少する厳しい状況のなかで慈愛の精神からこのシステムをなんとか機能させようと献身的に奮闘している人々によって支えられています。」「改革が実現すれば、人道支援システムをより効率化し、こうした人道支援要員が厳しい状況におかれている人々の命を救い、その苦しみを和らげる活動をより後押しすることができるでしょう。」と語った。

ジュネーブに本部を置く世界保健機構(WHO)によると、現在進行している軍事紛争によって多くの医療従事者が命を落としてという。

WHOは、2014年だけでも、32か国において372件の医療従事者を狙った襲撃事件が勃発し603人が死亡、958人が負傷しており、今年になっても同様の事件が報告されている、と発表している。

「WHOは危機に際して人々の生命を救い苦しみを和らげる活動に従事しています。医療従事者や医療施設に対する攻撃は言語道断の国際人権法違反です。」とマーガレット・チャンWHO事務局長は「世界人道デー」を記念して発表した声明の中で語った。

チャン事務局長はまた、「医療従事者はあらゆる患者や負傷者を分け隔てなく治療する義務があります。すべての紛争当事者はこうした医療従事者の義務を尊重しなければなりません。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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開発への資金調達、社会事業の推進を国連が民間部門に要請

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連が開発ニーズや社会事業の推進に対する財政支援を外部に求める際、最近では例外なく民間部門に目を向けるようになってきている。

おそらく、そのなかで最大の要求は、気候変動の破滅的な影響に対処するために年間で1000億ドルの投資を民間に求めた潘基文国連事務総長の要請であろう。

しかし、協力を決定する前に、人権や公正な賃金、児童労働、環境問題への対応などの点で、これらの企業が信頼に値するのかをよく検討してみるべきだとの批判が出ている。

それでもなお、国連環境計画(UNDP)は、2009年から13年にかけて、水やエネルギー、保健、農業、金融、情報技術に関連したプロジェクトの一部に関して、小規模ながら企業部門からより1億3500万ドルを受け取っている。

南アフリカ共和国の「メディクレーブ」社は、伝染病対処のために使用された注射器や個人の保護服・手袋などの使用済み医療機器や廃棄物の汚染を除去する殺菌器材を提供した。

リベリアでは、日本企業のパナソニックがエボラ出血熱対策として国連開発計画に対して寄贈した太陽光ランタンの第一弾(240個)が首都モンロビアの医療関係者に配布され、夜間の医療従事が可能となった。

UNDP and Panasonic bring light to vulnerable communities/ UNDP

国連環境計画はガーナの自動車ディーラー「スバニ・グループ」と協力関係を結んで、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ガーナにおける国連エボラ緊急対応ミッション(UNMEER)に派遣される装甲車8台を提供してもらった。

さらに最近では、国連広報局主導で作られた「国連アカデミック・インパクト」(UNAI)がユナイテッド・カラーズ・オブ・ベネトングループの「アンヘイト(憎しみ反対)基金」と協力して、世界中の大学、若い教師や学生を対象に、(人種的不寛容や外国人排斥などの)世界の問題を解決してより良い世界にしたいという積極的な思いや社会貢献を目的にしたプロジェクトを募集するダイバーシティー・コンテスト (多様性コンテスト)を実施している。

コンテストには31か国から100件以上の応募があり、主に不寛容や人種差別、過激主義などの幅広い問題に対応するための革新的な考え方や解決策がもたらされている。

審査員が10組の受賞者を選び、イタリアの世界的ファッションブランドであるベネトンから、それぞれに2万ユーロが授与された。

ベネトンはまた「国連ウィメン」とも組んで、世界中のジェンダー暴力をなくす集中的なキャンペーンを張っている。

UN WOMEN
UN WOMEN

「国連ウィメン」の広報・政策提言担当ナネット・ブラウン氏は、IPSの取材に対して「ベネトンの『アンヘイト基金』は、広告とソーシャルメディアのキャンペーンを通じてこの2年で女性に対する暴力を終わらせるための提言活動を支援してきました。」「パートナーシップと協力を将来的に拡大したいと考えています。」と語った。

ベネトングループ(ミラノ)の「企業の社会的責任」部門のトップであるマリアローザ・クッティロ氏は、同社がこうした国連の活動を強力に支援している理由について、「(国連の活動は)あらゆる形態の不寛容や差別に対する闘いなど、社会的問題に関して、しばしば挑発的かつ非常に進歩的な形で先頭に立ち続けてきた我が社のDNAと不可分のものと考えているからです。」と語った。

ブラウン氏はまた、「こうしたアプローチは社会的なプロジェクトや広報キャンペーンを通じて形成され、「アンヘイト基金」の設立という形に変換されました。」と語った。

2011年以来、ベネトン社の一翼を形成することになった同基金は、すべての形態のヘイト(憎しみ)と闘う社会プログラムを推進すると同時に、若者のリーダーシップを支援する試みも行ってきた。

「若者は、とりわけポスト2015年のアジェンダの達成において、違いを生み出すことができると考えています。しかし、若者の声を聴くだけでは不十分です。変化を生み出すツールをこうした新しい世代に提供することが重要です。」

UNAIや国連広報局と協力して実施された「アンヘイトニュースキャンペーン」によって、「若者を活性化し、人権や開発に関してプロジェクトを具体的に立ち上げる可能性を提供してきました。」

クッティロ氏はまた、「『アンヘイト基金』によって推進された若者への支援と活性化のもう一つの顕著な成功例は、『今年の失業者』イニチアチブであり、同基金はこれを通じて、2012年に、世界中の若者から応募され実行された100件のプロジェクトと初期的な計画に対して財政支援を行った。」

「今年の失業者」は、失業問題に対処する新たなスマートな方法を生み出す創意や創造性、能力を称賛するイニシアチブである。

FABRICA in collaboration with 72andSunny/ UnHate Foundation

一般的に、「人間を私たちの活動の中心に置くことが、ベネトングループの持続可能性戦略の主要な点の一つであり、『アンヘイト基金』はその一つの構成要素と言えます。」とクッティロ氏は語った。

「これこそが、新しい世代を活性化し、彼らが変化の指導者となる手段を与えることによって、革新的な形で機能しうる官民パートナーシップの一例と言えるでしょう。」と、クッティロ氏は語った。

国連が支援するイベントに今後関与する可能性についてクッティロ氏は、「UNAI/国連広報局とともに、今後の事業に協力する可能性を現在探っているところです。」と語った。

クッティロ氏はまた、「ベネトンは、国連とは様々な形で20年にわたる協力の実績があります。これまでにもまして、現在の持続可能性戦略への利害関係者の関与という枠組みの中で、国連が最も重要なパートナーの一つと考えています。」と指摘したうえで、「国連諸機関とのパートナーシップは、『それぞれの役割における相互の成長プロセス』であり、その中で、革新的なアプローチと真の具体的な影響をもたらしうるパートナーシップを形成することで、国連の持続的可能開発目標(SDGs)の達成に現実の寄与できるものと考えています。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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広島・長崎の原爆被害を学ぶ

【東京IDN=浅霧勝浩】

国連の潘基文事務総長は8月6日、広島への原爆投下70年を記念する平和記念式典に寄せたメッセージで、「核兵器を廃絶するための緊急の行動」を呼び掛け、核攻撃を生き延びた人々の悲願に賛同の意を表明した。

潘事務総長はまた、原爆使用への国際社会の懸念を反映した国連総会の初決議を引用しつつ「核兵器なき世界というビジョン」を実現することによって、広島・長崎の被爆者に敬意を払うよう、国際社会に強く要請した。

潘事務総長は、第二次世界大戦末期の1945年8月6日と9日に、米国が広島と長崎に原爆を投下したことを想起した。2つの都市は破壊され、20万を超える人々が核爆発に伴う放射線や爆風、熱線の影響で亡くなった。また戦争終結以来、40万を超える人々が原爆の後遺症によって命を失っている。

広島の松井一實市長と長崎の田上富久市長も、潘事務総長と見解を同じくしている。両市長は、70年前に起こった出来事の記憶を若い世代が継承していってくれることを切望している。

また、核保有国が全ての核兵器を放棄し、原爆による大惨事を経験した唯一の国である日本が、核保有国と非核保有国の間の橋渡し役として行動していくことを期待している。

田上市長は、8月9日に発表した平和宣言の中で、「戦後に生まれた世代が国民の多くを占めるようになり、戦争の記憶が私たちの社会から急速に失われつつあります。」と指摘したうえで、「長崎や広島の被爆体験だけでなく、東京をはじめ多くの街を破壊した空襲、沖縄戦、そしてアジアの多くの人々を苦しめた悲惨な戦争の記憶を忘れてはなりません。」と述べた。

そして、原爆や戦争を体験した日本や世界の人々に対して、記憶を風化させないためにも、その経験を語っていくよう呼びかけた。

そして若い世代に対しては、「若い世代の皆さん、過去の話だと切り捨てずに、未来のあなたの身に起こるかもしれない話だからこそ伝えようとする、平和への思いをしっかりと受け止めてください。」と呼びかけた。

また、「戦争の話に耳を傾け、核兵器廃絶の署名に賛同し、原爆展に足を運ぶといった一人ひとりの活動も、集まれば大きな力になります。」と述べた。

8月9日の長崎平和宣言は、若者が果たす重要な役割にも焦点を当てた。「長崎では、被爆二世、三世をはじめ、次の世代が思いを受け継ぎ、動き始めています。/私たち一人ひとりの力こそが、戦争と核兵器のない世界を実現する最大の力です。市民社会の力は、政府を動かし、世界を動かす力なのです。」

ヒバクシャ」というのは「核爆発によって影響を受けた人々」、原爆を生き延びた人々を示す日本語である。

3月の時点で、日本政府は18万3519人を被爆者として認定している。大部分が日本居住者だ。日本の被爆者援護法は、被爆者を、「(原爆投下時に)爆心地から数キロ以内にいた人びと、原爆投下から2週間以内に2キロ以内に入った人びと、降下した放射性物質にさらされた人びと、これらいずれかのカテゴリーに入る妊婦の子として産まれた人びと」と定義している。

松井市長は被爆者の置かれた状況を表現して「辛うじて生き延びた人々も人生を大きく歪められ、深刻な心身の後遺症や差別・偏見に苦しめられてきました。生きるために盗みと喧嘩を繰り返した子どもたち、幼くして原爆孤児となり今も一人で暮らす男性、被爆が分かり離婚させられた女性など―苦しみは続いたのです。」と述べた。

1945年8月 広島・長崎の原子爆弾/ Wikimedia Commons

自国中心の思考に囚われる

こうしたことを背景に、広島・長崎の両市長は、大量破壊の道具である全ての核兵器を廃絶するよう訴えた。

松井市長は、世界にいまだに1万5000発を超える核兵器が存在する中、核保有国等の為政者は、「自国中心的な考えに陥ったまま、核による威嚇にこだわる言動を繰り返しています。」と指摘した。

こうした態度は、国際社会が「核戦争や核爆発に至りかねない数多くの事件や事故がこれまでにあった」ことを認識しているにも関わらず、依然として続いている。また、テロリストによる使用も懸念されている。

「核兵器が存在する限り、いつ誰が被爆者になるか分かりません。」と松井市長は警告する。ひとたび発生した被害は国境を越え無差別に広がる。松井市長は、「世界中の皆さん、被爆者の言葉とヒロシマの心をしっかり受け止め、自らの問題として真剣に考えてください。」と訴えた。

加盟都市が6700を超えた平和首長会議の会長でもある松井市長は「2020年までの核兵器廃絶と核兵器禁止条約の交渉開始に向けた世界的な流れを加速させるために、強い決意を持って全力で取り組みます。」と宣言した。

これは、核兵器廃絶に向けた最初のステップである。次のステップは、軍事力に依存するのではなく、相互理解に基づいた幅広い安全保障の仕組みを創ることだ。

「その実現に忍耐強く取り組むことが重要であり、日本国憲法の平和主義が示す真の平和への道筋を世界へ広めることが求められます。」と松井市長は述べた。

松井市長は日本政府に対して、「核保有国と非核保有国の橋渡し役として、議論の開始を主導するよう」求めるとともに、広島をそうした議論と発信の場とすることを提案している。

未来を見据えて

Nuclear threats from Israel and Iran have triggered a potential competitor in Saudi Arabia. Credit: U.S. Air Force
Nuclear threats from Israel and Iran have triggered a potential competitor in Saudi Arabia. Credit: U.S. Air Force

田上市長は、日本政府・国会に対して、未来を見据えて、「核の傘」から「非核の傘」へと転換を検討するよう求めた。

韓国やドイツ、ほとんどのNATO加盟国と同じく、日本は、核兵器は保有していないが、米国の核の傘によって守られている。

田上市長は日本政府に対して、核兵器に依存しない安全保障政策を追求するよう訴えた。「米国、日本、韓国、中国など多くの国の研究者が提案しているように、北東アジア非核兵器地帯の設立によって、それは可能です。」

田上市長はまた、国会が「国の安全保障のあり方を決める法案の審議」を行っていることに言及し、「70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、いま揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求めます。」と述べた。

長崎平和宣言は、日本国憲法における平和の理念は、こうした辛く厳しい経験と戦争の反省の中から生まれた、としている。「戦後、我が国は平和国家としての道を歩んできました。長崎にとっても、日本にとっても、戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点です。」

田上市長は、2015年核不拡散条約(NPT)運用検討会議は、最終文書を採択できないまま閉幕しました」と遺憾の意を示す一方、「最終文書案には、核兵器を禁止しようとする国々の努力により、核軍縮について一歩踏み込んだ内容も盛り込むことができました。」と述べた。

田上市長はまた、今回の運用検討会議を「決して無駄にしないでください」とNPT加盟国に訴え、「国連総会などあらゆる機会に、核兵器禁止条約など法的枠組みを議論する努力を続けてください」と述べた。

2015年NPT運用検討会議では、被爆地である長崎・広島訪問の重要性が、多くの国々に共有されていた。こうしたことを背景に、田上市長は、「バラク・オバマ大統領、そして核保有国をはじめ各国首脳の皆さん、世界中の皆さん、70年前、原子雲の下で何があったのか、長崎や広島を訪れて確かめてください」と訴えた。

Dwight Eisenhower/ Wikimedia Commons

1945年以来、広島原爆を記念するいかなる集まりにも米国大統領が参加したことはない。ローズ・ゴットモーラー米国務次官(軍備管理・国際安全保障)が、米国の高官として8月6日の広島の式典に参列した。彼女は、核兵器は二度と使われてはならないと発言したと伝えられる。

米国での一般的な見方は、日本を屈服させ第二次世界大戦を終わらせるためには、原爆投下は必要だったというものだ。しかし、この見解には疑問が付され、批判にさらされるようになってきている。例えば、1953年から61年まで米国大統領職にあり、第二次大戦中は五つ星の将軍で欧州連合国軍司令官であったドワイト・アイゼンハワー氏からの批判がある。

アイゼンハワー氏は、ヘンリー・スティムソン陸軍長官から原爆投下の決断について聞かされた時、「日本はすでに戦争に負けており、原爆を落とすことは全く不必要だという信念を基礎にして、私自身の不安を伝えた」と回顧録に書いている。(原文へ

※浅霧勝浩は、「IDNインデプスニューズ」東京特派員で、アジア太平洋局長。

翻訳=IPS Japan

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共通の未来のためにヒロシマの被爆体験を記憶する

国連事務総長「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」を訴える

【国連IPS=タリフ・ディーン

日本への原子爆弾投下70年を記念する演説で、核軍縮の必要性を声高に訴えてきた国連の潘基文事務総長は、「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」という両被爆都市が世界に発信してきたスローガンに賛同を表明した。

1945年8月6日の広島と、その3日後の長崎への原爆投下により、20万人以上が放射能の影響、爆風、熱線によって亡くなったという恐るべき数字について潘事務総長は語った。

さらに、第二次世界大戦終結以来、40万人以上が、この核攻撃の影響によって亡くなり、今も亡くなり続けている。

潘事務総長はまた、「皆様が被爆の記憶を継承して下さっているように、国際社会も核兵器が廃絶されるまで尽力し続けなくてはなりません。」「国連は、70年前に創設されて以来、大量破壊兵器の廃絶を求め続けてきました。」と語った。

1946年1月に採択された国連総会の最初の決議は、すべての大量破壊兵器を廃絶するという目標を定めるものであった。

「この目標を実現するまで、核兵器の危険性に関する意識を世界中で喚起し、国際社会の緊急の対応を要請するために、あらゆる機会を利用していきます。」と潘事務総長は語った。

アボリション2000」調整委員会の委員で「核時代平和財団」ニューヨーク支部のアリス・スレイター支部長はIPSの取材に対して、「70年前のこの運命の日(8月6日)、当時現存した2発の原爆のうちの一つが広島に投下され、8月9日には2発目の破滅的な爆発が長崎の街を破壊しました。これによって、その年の末までに22万人以上が亡くなり、さらに数多くの人々が、放射線による汚染とその致命的な後遺症のためにその後も亡くなっていったのです。」と語った。

スレイター氏はまた、「こうした恐るべき事態が日本で起きたにも関わらず、現在でも地球上には1万6000発の核兵器があり、そのうち1000発以外は米国とロシアが保有しています。」と指摘したうえで、「核兵器を抑制し廃絶するための法的枠組みは貧相なものです。核不拡散条約(NPT)で認められている5つの核兵器保有国である米国・英国・ロシア・フランス・中国は、45年前の1970年に核兵器を廃絶する努力を誠実に行うと約束したにも関わらず、依然として核抑止力に固執し、『安全』のために核兵器は必要だと主張しています。」と語った。

米国が提供する、核「抑止」という形での「安全保障」は、核同盟関係にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国や、アジア・太平洋地域の日本・オーストラリア・韓国など、多くの国に拡大されている。

ICAN
ICAN

「NPT非加盟国であるインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮(NPTを脱退)は、核兵器を製造するために、原子力の「平和」利用というファウスト的な取引を利用し、安全のための核「抑止力」への依存を同じように主張しています。」とスレイター氏は語った。

「(核兵器国以外の)世界の大半の国々は、核兵器国が、核軍縮を行うという約束を履行しないばかりか、核戦力を継続的に近代化し「改善」している現状に憤慨しています。」とスレイター氏言う。米国は、今後30年で1兆ドルかけて、新たな核兵器製造工場2か所と核運搬手段や弾頭を製造するという。つい先月には、自由落下型の核爆弾「B61-12」を使用した核バンカーバスター弾頭の実験をネバダ州で行ったばかりである。

米国が新たに改修された核兵器を製造するために多額の資金を投じているローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州北部)近くで、平和活動家らが原爆投下70周年の行事を開いた。

“Lawrence Livemore National Laboratory Aerial View” by llnl.gov. Licensed under public domain via Wikimedia Commons

ローレンス・リバモア国立研究所は、米核兵器備蓄における全ての核弾頭の設計に関与してきた2つの研究所のうちの一つである。

核軍縮を長年推進してきた西部諸州法律家財団(WSLF)は報道発表で、「米国が広島・長崎の人々に原爆を投下してから70年、核戦争の準備がローレンス・リバモア国立研究所で進行している。同研究所の2016会計年度予算の実に85%超が、核兵器向けとなっている。」と述べた。

同研究所の科学者らは、空中発射の巡航ミサイルに替わる、新型の長距離スタンドオフ兵器として(スタンドオフとは、敵の攻撃の射程圏外にある状態を指す:IPSJ)、改修型の核弾頭を開発中である。

「約1万6000発の核兵器(そのうち94%を米国とロシアで保有している)が人類に受け入れがたい脅威を与えており、核の敵対状況が生まれる可能性がある場所の一つである欧州の辺境で、核兵器の問題が再び中心的な課題になりつつあります。」とスレイター氏は語った。

核交戦が、事故、計算違い、あるいは狂気、いずれの理由で起きるのであれ、放射能汚染と煤煙は国境を超えて拡大していくことになる。

WSLFの声明はまた、「米国が今後30年間で1兆ドルをかけて、核爆弾、弾頭、運搬手段、インフラを『近代化』し、それを今後数十年維持しようと計画している。私たちの健康、環境、倫理、民主主義、平和への見通し、人類生き残りへの確証など、それが人間に及ぼすコストは計測不能である。」と指摘している。

「ここリバモア国立研究所に集った私たちは、核兵器予算を削減し、人間のニーズにそれを振り向けるよう要求する。この70周年の日に、私たちはイラン核協議の妥結を歓迎し、米国政府に対して、核兵器の普遍的な廃絶を達成すべく、時限を切ってこのプロセスを主導するよう求める。」

「発効後25年のNPTを無期限延長することと引き換えに核保有国が1995年に約束した、中東非大量破壊兵器地帯化に関する会議についてのエジプト提案を米国、英国、カナダが拒絶して、5月に行われたばかりのNPT運用検討会議は決裂に終わりました。しかしこの会議では、非核保有国が大胆なステップをとりました。」とスレイターは語った。

南アフリカ共和国は、核兵器を「持つ国」と「持たざる国」との間の現在の「安全保障」システムにおける、容認しがたい核のアパルトヘイト状態に対して怒りを表明した。これは、少数者のための安全保障ドクトリンが全世界を人質に取るようなシステムである。

ICAN
ICAN

ここ2年の間、ノルウェー、メキシコ、オーストリアで諸政府と市民社会による大きな会議が3回開かれ、今回のNPT会議の最後には100か国以上が、核兵器の禁止・廃絶に向けた法的欠落を埋めるための効果的手段を確定し追求することを謳ったオーストリア政府主導の「人道の誓約」に署名した。

世界が化学兵器や生物兵器に関してそうしたように、核の恐怖を絶対悪とみなし否定するために核兵器を禁止する条約の交渉に向かうよう、113か国が現在のところ呼びかけている(www.icanw.org参照)。

スレイター氏はまた、「核兵器の傘の下に守られている国々も、市民社会からのプレッシャーによって『核を持つ悪魔』との同盟をあきらめ、『人道の誓約』に加わってくれることを望んでいます。」と語った。

「広島・長崎で起こった恐るべき出来事を世界中で記憶し記念するこの8月こそ、核兵器禁止に踏み出すべき時です。(核兵器禁止条約締結に向けた)交渉を今こそ始めましょう!」(原文へ

翻訳=IPS Japan

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記者追記:

暗黙の、しかし脆弱なタブー

核政策に関する法律家委員会」のジョン・バローズ代表はIPSの取材に対して、「米国による広島・長崎への原爆投下は、核兵器の恐るべき性格を見せつけました。」「それこそが、核兵器がその後70年も戦争においては使用されなかった理由です。中には、核使用に関する『タブー』を口にする人もおり、ある一つの規範が生まれつつあるようです。」と語った。

国際司法裁判所赤十字国際委員会は、核兵器使用は、戦争の影響から民間人を保護する人道法と相容れないとの見解を明らかにしている。

最近開催された2015年核不拡散条約(NPT)運用検討会議では、最終文書こそ採択されなかったものの、NPT上の核保有国を含むすべての加盟国が、「核兵器が二度と使わないことが人類の利益であり、すべての人々の安全を保障するものだ」という内容に合意する用意があった。

しかし、このタブーは、ウクライナをめぐる核の対立に示されるように、脆弱なものだ。1945年以来核兵器が使用されてこなかったのには、別の理由もある。

いくつか例を挙げれば、第二次世界大戦で破壊を尽くした後の厭戦気分、戦後に創設された国連などの国際機関の積極的な役割、核兵器の配備によってたいていは、しかし常に生み出されたわけではない警戒心があるだろう。

「しかし、現状に満足するわけにはいきません。核不使用という、生起しつつある規範は、いかなる状況においても核兵器の使用を禁止し、それを廃絶することについて規定した、全ての国家が参加した世界的な条約によって法制化される必要があるのです。」とバローズ氏は語った。