ホーム ブログ ページ 225

脱核兵器への支持、高まる

0

【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】

4月27日から5月22日までニューヨークで開催される予定の2015年核不拡散条約(NPT)運用検討会議を前にして、ラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)が核軍縮の将来に向けて明確なビジョンを表明した。

CELAC(加盟33か国)はサンホセで1月28日から29日に開催された第3回年次総会で、ウィーンで昨年12月に開催された第3回「核兵器の人道的影響に関する国際会議」閉会にあたって表明された「オーストリアの誓約」に対する賛同を公式に表明した。

Generalsekretär Michael Linhart/ BMEIA/D. Tatic

オーストリアのミヒャエル・リンハルト外務事務次官が昨年12月9日に発表した「オーストリアの誓約」は、オスロ(ノルウェー、2013年3月4~5日)とナヤリット(メキシコ、2014年2月13~14日)で開催された過去の「核兵器の人道的影響に関する国際会議」(非人道性会議)に加え、ウィーン会議で得られた事実と知見は、さらなる外交努力が必要であることを示している、と述べている。

「オーストリアの誓約」は、核兵器を規制する国際法の枠組みには「法的ギャップ」が存在すると述べ、核兵器を悪だと捉え、禁止し、その廃絶につながるような措置を追求することによって、この法的ギャップを埋める努力に加わることを全ての国家に求めた。

リンハルト次官はまた、「オーストリアの誓約」を発表する中で、「核兵器の作戦上の地位の低下、配備された核兵器の貯蔵状態への移行、軍事ドクトリンにおける核兵器の役割の低減、全ての種類の核兵器の急速な削減など、核兵器爆発のリスクを減らすような具体的で中間的な措置」を取るように「核兵器保有国」に求めた。

CELAC

CELACの首脳らは、サンホセ(コスタリカ)で1月28日から29日に開催された第3回年次総会で宣言を出し、ウィーン会議の成果を完全に支持した。そうすることでCELACは、核兵器禁止条約がその法的ギャップを埋めるうえで最適のオプションであることを表明した最初の地域国家グループとなった。

「被爆者の証言や、証拠、科学的データによって示されたように、核兵器は、安全保障や人間の発展、文明一般にとって重大な脅威となる。私たちの宣言と一致するように、この目的において、私たちは、核兵器禁止のための国際的に法的拘束力のある手段に向けた外交交渉プロセスを開始すべきとの、ウィーンとナヤリットでなされた呼びかけに対して強力な支持を繰り返し表明する。」

核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)コスタリカ支部のカルロス・ウマーニャ氏はこのサンホセ宣言について、「ラテンアメリカ・カリブ海諸国は、このCELAC宣言によって、私たちを『核兵器なき世界』により近づける取り組みの最前線に立ち続ける意図を持っていることを表明しました。この地域に非核兵器地帯を設置したトラテロルコ条約は、この地域で核兵器を禁止した初めての多国間条約であり、今やラテンアメリカ・カリブ海諸国は、国際的に核兵器を禁止する同様のプロセスを促進する努力をするとの意図を示したことになります。」と語った。

「プラウシェアズ財団」によれば、ロシア、米国、フランス、中国、イギリス(国連安保理の五常任理事国)とパキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮は合計で1万6300発の核兵器を保有している。「これらの中で、約4100発が作戦配備されていると考えられている。うち、米国とロシアの1800発が高度な警戒態勢、すなわち直前の通告で使用可能な状態にある。」と、米国科学者連盟は述べている。

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によれば、核兵器に関するこれまでの議論は一部の核保有国だけが仕切ってきたが、核兵器の非人道性をめぐる議論が始まって、非核保有国が、核兵器がもたらす現実の影響をめぐる議論をリードするという根本的変化が起きているという。

「オーストリアの誓約は、受け入れがたい法的ギャップを埋めるための行動を要求するよう諸国に呼びかけたものです。核の非人道性議論によって生み出された推進力が、核兵器禁止のプロセス開始への道を切り開きつつあります。CELAC諸国はこの呼びかけに呼応したものです。他の地域もこれに倣ってくれることを望みます」と語るのは、ICANのダニエル・ホグスタ氏である。

英国で高まる支持

英国においても核兵器禁止の支持が高まる兆候がある。ICAN英国支部と「核兵器と民間人保護に関する全党グループ」は1月21日、英国自身の核兵器のもたらす意味について国会議員に対する説明会を開いた。

この会合は、トライデント・ミサイルの更新に関する議会審議の翌日に行われた。スコットランド国民党、プライド・カムリ(ウェールズの地域政党)、緑の党が要求したこの審議で、多くの議員が、意図的および偶然的な爆発による核兵器の壊滅的なリスクについて指摘した。

労働党のケイティ・クラーク氏は、トライデントの放棄は核軍縮に向けた重要かつ象徴的ステップになるだけではなく、国際的にも非常に大きなインパクトになると指摘した。

別の労働党議員ポール・フリン氏は、ある国家が核兵器を保有し続ければ、他国が自らの核兵器を開発し維持する誘因を暗に与えることになり、軍縮の取り組みを阻害することになる、と指摘した。

他の発言者も、英国には、国連安保理の常任理事国として核軍縮を誠実に追求する義務があり、その義務は核兵器を禁止することによって果たされるべきだと述べた。「核不拡散防止条約第6条の下における私たちの軍縮義務に見合うように、核兵器を禁止する新たな法的枠組みへの支持を政府は今こそ表明すべきです。」と、スコットランド国民党のアンガス・ロバートソン議員は語った。

MP Angus Robertson/ Wikimedia Commons

会合参加者の多くが、ウィーン会議を経て、ニューヨークの国連本部でのNPT運用検討会議を前にした今こそ、この課題を前面に押し出す時だと主張した。

1970年のNPTは、「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに、厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うこと」をすべての条約加盟国に義務づけている。NPTは、核兵器を削減し究極的に廃絶する義務を核保有国に課した、世界で唯一の法的拘束力を持つ義務である。2000年のNPT運用検討会議では、条約加盟国が、軍縮義務を果たすべく「13の実際的措置」に合意した。

実際的措置とは例えば、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、CTBT発効までの間の核爆発実験モラトリアム、非差別的で多国間、効果的に検証可能な核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)を5年以内にジュネーブ軍縮会議で交渉することなどである。FMCTは、高濃縮ウランとプルトニウムという核兵器の2つの主要要素の生産を禁じるものである。(原文へ

翻訳=IPS Japan

関連記事:

「核兵器なき世界」に向けて正念場の2015年

核兵器ゼロを待ちわびて

ラテンアメリカ、非核兵器地帯の拡大を目指す

|イスラエル|中東における核独占への強迫観念

0

【国連IPS=タリフ・ディーン】

イラン核協議の期限が3月24日に迫る中、政治的に白熱した議論を呼んでいるこの問題に内在する欧米諸国のあからさまな二重基準と、なにより、長年先送りにされてきた中東非大量破壊兵器(WMD)地帯創設提案の復活に関する議論が、活動家の間で再燃している。

エルサレムに拠点を置く『パレスチナ・イスラエル・ジャーナル』の共同編集人であるヒレル・シェンカー氏は、周辺国(とりわけ警戒対象はイランだが、サウジアラビアやエジプトも含む)の核武装を防ごうとのイスラエルの強迫観念について、「これは専ら、ベンヤミン・ネタニヤフ首相のやり口です。彼は国民の恐怖を煽る一方で、『イスラエルは(彼のような)強力なリーダーとともに困難に立ち向かい、確固とした立場を守らねばならない。』と主張することで、自身の政治的キャリアを構築してきました。」と語った。

そしてこれこそが、イスラエル総選挙を目前に控えてネタニヤフ首相が米議会で行う予定の、極めて論争的で党派的な演説の基本的な動機である。「予定されているネタニヤフ演説は、既にイスラエルの野党、米国内のユダヤ人社会、米国社会全般で強い反発を引き起こしています。」と、シェンカー氏は指摘した。

Hillel Schenker
Hillel Schenker

核兵器を取得する計画を一貫して否定し続けているイランは、ドイツおよび国連安保理五大国である米・英・仏・中・ロ(まとめて「P5+1」と呼ばれている)との協議の最終局面を継続することになる。

先週、イランのハサン・ロウハニ大統領は、いずれも核保有国である米国とイスラエルに対して、ややあてこすった調子で「あなたがたの国は、原子爆弾で自国に安全をもたらすことができましたか?」と問いかけた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「ワシントンに拠点を置く『軍備管理協会』が、イスラエルは100発~200発の核兵器を保有していると述べた。」と報じている。

イスラエルは、長年の政策として、核保有を肯定も否定もしないという立場を通してきた。しかし、米国・イスラエル両国とも、中東地域に非大量破壊兵器地帯を創設するという提案については、消極的な態度に終始してきた。

化学兵器禁止機関(OPCW)の元主任編集者であるボブ・リグ氏は、IPSの取材に対して、米国政府は、13にのぼる自国の諜報機関の一致した見解をとりまとめた報告書「国家諜報評価」を都合よく無視しています。」と指摘した。これらの報告書は、「2004年以降、イランが核兵器を取得しようとの意思を持った証拠はない」との見解を示している。

「イスラエルが中東地域で唯一の核保有国だとすれば、米国の核・通常兵器の能力を併せると、この2か国が中東地域において極めて強力な戦略的影響力を持っているということになります。そしてイスラエルにとって唯一の現実的な脅威であったシリアの化学兵器が廃棄された今となっては、こうした状況は、より現実のものになっています。」

「一方で、シリアの化学兵器が廃棄されたという側面は、奇妙なほどに無視されています。シリアは、イスラエル全体の人口稠密地域を目標にできるロシア製のミサイルを保有していました。」と、ニュージーランドの軍縮諮問委員会の元委員長でもあったリグ氏は語った。

軍事評論家らが提示している問いは、「核兵器を保有し、さらには米国が提供した先進的な通常兵器も保有しているイスラエルが、なにゆえに周辺国の大量破壊兵器を恐れる必要があるのか?」あるいは、「核武装するかもしれないイラン、あるいはサウジアラビアやエジプトが、イスラエル占領地域に暮らすパレスチナ人をも根絶することになることを覚悟のうえで、はたしてイスラエルに対して核兵器を使用するリスクを冒すだろうか? 」というものである。

シェンカー氏はこの点について、「もしイランが核武装を選ぶならば、その主要な動機は、イスラエルを攻撃することではなく、自国の体制を守ることでしょう。それでも、イランが核兵器を取得しない方が望ましいです。」と語った。

これまで核軍縮を強力に主張してきたシェンカー氏はまた、「もちろん、こうした危険への根本的な解決策は、中東地域に非大量破壊兵器地帯を創設することです。これには、並行する2つのプロセスが必要になるでしょう。つまり一つは、イスラエル・パレスチナ紛争解決に向けた道であり、もう一つは、(中東地域の)非大量破壊兵器地帯化を主要課題とするアラブ平和イニシアチブ(API)の支援を受けながら、中東の平和・安全保障体制を構築していく道です。」と語った。

ニューヨークで4月末から始まる予定の次の核不拡散条約(NPT)運用検討会議の開催以前に中東非核・非大量破壊兵器地帯化に関する会議(中東会議)が開かれる可能性について、シェンカー氏は、「この提案は依然として生きています。」と語った。

3月中旬、「アカデミック平和オーケストラ・中東イニシアチブ」がドイツのベルリンで「2015年NPT運用検討会議にあたり、ヘルシンキ会議に与えられた任務を果たす」というテーマで国際会議を開催することになっており、その中には、イスラエル、サウジアラビア、エジプト、ドイツの政府代表を交えて、中東会議のファシリテーターであるフィンランドのヤッコ・ラーヤバ大使に焦点をあてたセッションも予定されている。

シェンカー氏によれば、この国際会議にはイランからの参加者もあるという。

リグ氏によれば、イスラエルのベン・グリオン初代首相はイスラエル建国当初から核保有を望んでいたという。イスラエルは、1948年当時はまだ55か国ほどの加盟国しかなかった国連によって承認された。当時発展途上世界の大半は、依然として第二次世界大戦からの復興途上にあり、多くの新興国家はまだ誕生していなかった。

リグ氏は、「米国と当時の西側諸国が、国連創設に大きな役割を果たしました。」「これらの国々は、スウェーデンの国連代表であるフォルケ・ベルナドッテ伯がパレスチナ人に対して親和的だと疑われてイスラエルのテロリストにより殺害されたにもかかわらず、イスラエルの建国を望んだのです。」と語った。

「その際、パレスチナにも意見が求められ、イスラエル建国に反対しましたが、意見は無視されました。当時国連加盟国だったアラブ諸国は僅か2か国で、これらの意見もまた無視されました。今日のイスラム国家の大半は当時まだ存在していなかったか、あるいは無視されたのです。」

「国連がイスラエルを承認したとき、周辺のアラブ諸国(エジプト・トランスヨルダン・シリア・レバノン・イラク)はイスラエル国家の成立を阻止しようとパレスチナに侵攻しましたが、イスラエル軍に撃退されています。これらの国々は、アラブ世界のど真ん中にイスラエルが移植されるのを当時望まなかったし、今も望んでいません。そしてこれまで何も変わっていないのです。」

「欧米西側諸国がイスラエルを建国したことに対するアラブ諸国の頑なな敵意に直面するという状況の中、イスラエルはより安心感を増すために核兵器を開発したのです。」「もしイスラエルによる中東地域での核独占が終わるようなことがあれば、イスラエルは脆弱な立場に立たされます。そこで米国は、イスラエル以外の国による核保有を阻止するために前面に出てくるのです。」とリグ氏は語った。

今日、イスラエルですら、イランが核兵器を保有しているなどとは主張していない。

「中東地域における非核兵器地帯創設など単なる冗談のように思えます。もしイスラエルがNPTに加盟すれば、自国が保有する核兵器について申告し破棄しなければならなくなるのですから。」

米国は、イスラエルにNPT加盟を迫ることを回避する言い訳を続けている。米国は実際には中東で核拡散を進める要因になっているが、歴代の米国大統領はイスラエルが核兵器を保有していると公然と認めることは拒否している、とリグ氏は付け加えた。

こうしたことのために、たとえオバマ米大統領とネタニヤフ首相の関係が険悪でなかったとしても、中東非核兵器地帯は現実のものにならないだろう。

シェンカー氏は、ネタニヤフ首相の発言が出たのは、イスラム協力機構(加盟57か国)に支持されたアラブ連盟(加盟22か国)が、2002年以降、イスラエルに対して「アラブ平和イニシアチブ」(API)を提示する状況下においてであった。

APIは、パレスチナ占領の終了、東エルサレムを首都とした、西岸地区とガザで構成されるパレスチナ国家の樹立、難民問題への合意された解決策と引き換えに、和平と関係正常化を求めるものである。

「これは、核拡散の危険が中東で問題とはなっていないということを意味するわけではありません。」とシェンカー氏は語った。

「イスラエルが核兵器の独占を維持し、それを最後の手段としてのみ使うと約束している限り、誰もがこの状況と共存していくと思われます。」

「イランによる核兵器開発疑惑という難題は、地域の現状を崩し、核軍拡競争を引き起こしかねません。」とシェンカーは指摘する。残念なことに、国際社会は、ウクライナ情勢やイスラム過激派組織『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』問題といった別の危機に現在のところエネルギーを奪われている。

「したがって、来るNPT運用検討会議に関連した問題と、中東非大量破壊兵器地帯化に関して進展をもたらす必要性についても、必要な政治的関心が集まることが望まれます。」とシェンカー氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service(IPS) and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

関連記事:

|イラン核協議|オバマ政権と・米議会の対立が、国際的に波及

捏造されたイラン核危機

依然不透明な中東非核地帯化への道

国連人権トップ「テロとの闘いは、拷問・スパイ活動・死刑を正当化しない」

0

【国連IPS=タリフ・ディーン】

拷問、違法な拘禁、戦時捕虜への非人道的な処遇、強制的失踪の禁止などを禁じた様々な人権条約の法的な管理者である国連が、紛争地帯におけるテロとの闘いを根拠に、ますます多くの国が国連の諸条約違反を正当化するようになってきていることを問題視している。

ヨルダン出身のザイド・ラアド・ザイド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は、暗に大国のあり方を批判して、「戦争がそれを許すから拷問するのだ。不快なことだがテロ対策に必要だから自国民に対するスパイ行為を行うのだ…。こうした論理が今日の世界には溢れかえっています。」と単刀直入に語った。

「地域社会のアイデンティティや自分の生活様式がこれまでになく脅かされているから、新たな移民は望まないし、マイノリティを差別するのだ。他人が私を殺そうとするから、他人を殺すのだ…。こういう論理が長々と続いていきます。」

ワシントンDCにある「ホロコースト記念博物館」で2月5日に講演したフセイン氏は、全ての人々にとっての人権と基本的自由への関心に導かれた「深く人々を鼓舞するようなリーダーシップ」を世界は必要としていると語った。

「私たちは、全ての差別、多くの人々からの剥奪、戦争における残虐行為と行き過ぎを禁じるために策定された全ての法と条約を、一切の口実を設けることなく完全順守するような指導者を必要としています。そうして初めて、私たちは、迫りくる重大で一見したところ出口が見えない現在の危機から抜け出すことができるでしょう。」

昨年、米中央情報局(CIA)は、水責めや睡眠の剥奪、身体的苦痛等を伴う「強化尋問技術」をテロ容疑者に対して用いていたとして非難された。

アフガニスタンやイラク、シリア、リビア国内で空爆を実施してきた西側諸国は、数多くの民間人の殺害を「コラテラルダメージ(=予期せぬ巻き添え被害)」だとして正当化し、批判をかわしてきた。しかしこれらの国々は、国連総会や安全保障理事会の場では、人権や民間人の生命がいかに神聖なものであるかについて説き続けているのである。

他方で、ヨルダンやパキスタン、サウジアラビアのように、テロとの闘いの一環として、テロリストを死刑に処したり、ブロガーや反体制活動家らを公開むち打ち刑に処したりすることを正当化している国々もある。

イスラム過激派組織『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』は、同勢力に対する空爆連合にヨルダンが加担しているとしてヨルダン空軍のパイロットを残虐な方法で殺害して、国際的な非難に晒された。

ヨルダン政府は、パイロット殺害への報復として、アルカイダとのつながりがあるとされる2人の死刑囚を即刻処刑した。

あるヨルダン人は、(この政府の措置について)「目には目をだ」と発言したとされる。

昨年12月、国連の193加盟国のうち117カ国が、死刑のモラトリアムを求める国連総会決議に賛同した。しかし、その後も処刑は続いている。

死刑に反対している国連の潘基文事務総長は、「死刑は21世紀にはあってはならないものだ」と述べている。

Mr. Javier El-Hage, International Legal Director Human Rights Foundation

米国の人権擁護団体「人権財団(The Human Rights Foundation)」の法務顧問であるハビエル・エル=ハージュ氏は、IPSの取材に対して、「私たちは、現在と過去における『世界各地にみられる最悪の紛争や残虐行為の原因』との闘いにおいて、国際社会が恩恵を得られるであろう2つの対抗手段、すなわち「よりよいリーダーシップ」「世界的に教育のありかたを見直すべき」をとする、ザイド・フセイン国連人権高等弁務官の呼びかけを称賛します。」と語った。

特に、リーダーシップの問題に関して、ザイド・フセイン氏は、国際人権諸条約を完全順守し、「全ての人々の基本的自由への関心に突き動かされた」指導者が出てくることへの期待を述べた。

一方、教育の問題についてザイド・フセイン氏は、「『偏見や狂信的愛国主義がどのようなものであるか』『それらがどんな悪弊をもたらすのか』『(そうしたプロパガンダへの)盲従がいかに邪悪な目的のために当局によって利用されるのか』について、あらゆる地域の子どもたちが教育される必要があります。」と語った。

「人権高等弁務官が指摘しているように、人類最悪の残虐行為は、国民の一部あるいは多数を代表する頑迷で狂信的に愛国主義的な権威的指導者によって引き起こされたものです。そうした指導者は、反体制的とみなした独立メディアを弾圧して教育と情報の独占を達成することで、急進主義的な経済政策、国民主義的、人種主義的、あるいは宗教的に過激な政策を、少数派やあらゆる種類の反対者の権利を踏みにじる形で推進したのです。」とエル=ハージュ氏は付け加えた。

Wikimedia Commons

たとえば、国家主義的、民族主義的、あるいは宗教的に過激な政策は、ドイツにおいてはユダヤ人に対してソ連においてはウクライナ人に対してトルコにおいてはクルド人に対して、また、南アフリカのアパルトヘイト体制下においては黒人に対して、そして奴隷制廃止までは西側社会の大部分において黒人に対して、採られたものである。

こうした差別主義的な政策は、今日でも依然として、中国においてはウイグル人チベット人に対して、中東各地においては宗教独裁の下でキリスト教徒や少数派のイスラム教徒に対して実行されている。西側民主主義国に親和的なサウジアラビアヨルダンのような国においてもそうだし、親和的でないイランやシリアのような国においてもそうである。

ザイド・フセイン氏は、「国際人権法は、人類による残虐非道の経験を経て生み出されたものであり、再発を防止する救済手段にほかなりません。」と指摘したうえで、「しかし今日、指導者らは往々にして意図的に国際人権法を侵犯する選択をしています。」と苦言を呈した

ホロコースト後の数年間、特定の条約に関する交渉がなされ、人権を擁護する法的義務へと高められました。世界中の国々がそれを受け入れたが、現在は残念なことに、あまりにも頻繁に法が破られています。」

ザイド・フセイン氏は、子どもに対する攻撃や、(ザイド・フセイン氏と同じヨルダン人)同胞であるパイロットのムアズ・カサースベ氏のISILによる野蛮な焼殺などの残虐行為に対する暴力的な報復は、限定的な効果しか生んでいない、と指摘した。

「単にISILを爆撃したり、資金源を断ったりするだけでは、明らかに効果はあがっていません。なぜなら、これらの過激派テロ集団は依然として拡大し、勢力を増しているからです。必要なのは別の種類の戦線、すなわち、思想を基盤とし、もっぱらムスリム指導者やイスラム教国による新たな戦線を構築することです。」

またザイド・フセイン氏は、他の国々における主要な市民権・政治的な権利に対する波及効果について、「多くの国々において、検討不足の、あるいは実に搾取的な対テロ戦略の重圧のもとで、反対意見が述べられる空間が崩壊しつつあります。こうした中、人権擁護活動家からは大きな圧力に晒されています。彼らは、基本的な人権を平和的に擁護しようとするだけで、逮捕・収監、あるいはそれ以上の弾圧を加えられるリスクに直面しているのです。」と指摘した。

UN General Assembly/ Wikimedia Commons
UN General Assembly/ Wikimedia Commons

HRFのエル=ハージュ氏は、IPSの取材に対して、「20世紀を通じて、旧ソビエト連邦と衛星国の指導者らは、単一政党が支配する国家機構を作り上げました。そして強力なプロパガンダ機能を備えたこうした一党独裁体制の下では、オープンな教育や独立のメディアは存在せず、急進的な経済政策が推し進められ、国民の大多数が苦境に陥ったのです。」と語った。

「これらの権威主義的な一党独裁政権下では、大規模な飢餓のような大惨事を引き起こされました。それらは、ウクライナ飢饉のような、特定の少数民族に対する直接的で物理的な抑圧の結果ではなかったものの、基本的人権を否定し、小農や事業主の移動と資源へのアクセス、財産権、情報の自由、他者と協力しあう自由を国が統制することで、彼らが自立できる能力を制限する経済政策が引き起こしたものだったのです。」

「またこれらの国々では、党が大衆を救うという理念を謳いながら、実際にはその大衆の一員である個人を苦しめ、あまつさえ飢餓に陥らせることさえあったのです。」とエル=ハージュ氏は付け加えた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

関連記事:

世界市民教育を通じた人権の推進

「テロとの戦い」に懐疑的なアジア

2015年以後の開発問題―飢餓に苦しむ者の声に耳は傾けられるだろうか?

マーシャル諸島政府の核不拡散訴訟、米裁判所で門前払い

【国連IPS=ジョシュ・バトラー】

核軍縮交渉の開始を怠ったとしてマーシャル諸島政府が米国政府を訴えていた裁判で、米裁判所が訴えを退ける判断を下した。

マーシャル諸島政府は現在、1968年の核不拡散条約(NPT)で義務づけられている核軍縮交渉を履行していないとして、インド、パキスタン、英国国際司法裁判所(ICJ)で訴えている。

しかし、米国はICJの管轄権を受諾していないため、カリフォルニア州の米連邦地方裁判所で米国政府を訴えることとなったものである。

核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長は、「米国は1946年から58年にかけてマーシャル諸島で67回の核実験を行ったが、これは、広島型原子爆弾1.6発を毎日、12年間にわたって爆発させた威力に相当します。」と語った。

マーシャル諸島の住民らには依然として健康被害が確認されているが、米連邦地裁のジェフリー・ホワイト判事は2月3日、NPTに違反して米国による被害がもたらされたというのは「憶測にすぎない」として、申し立てを棄却した。

David Krieger/ NAPF
David Krieger/ NAPF

ホワイト判事はマーシャル諸島政府には原告適格がないとする一方で、裁判所の判決は「政治的問題の原則」による制約を受けると述べた。すなわち、この問題は法的なものではなく政治的なものであるから、マーシャル諸島政府の訴えを判断できない、というのである。

マーシャル諸島政府による訴訟を支援している核時代平和財団のクリーガー氏は、この連邦地裁の判断について、「愚かな決定だ」と批判した。

「判事は誤った判断をしました。マーシャル諸島政府には原告適格があるとの十分な根拠がありますし、これは政治的な問題とみなされるべきではなかったと思います。」

「マーシャル諸島政府は、ある国に核爆弾が投下されるとどんなことになるか、よく分かっています。彼らは多大な被害を受けたのですから、決して『憶測』などではありません。」

マーシャル諸島政府によって提起された複数の訴訟の基礎には、米国をはじめとした核保有国が、核兵器の拡散を防ぐための交渉を誠実に行ってこなかったという事情がある。しかし、米国が核不拡散のための交渉を行わないことは有害だとの主張は「憶測にすぎない」というのがホワイト判事の判断だった。

Flag of Marshall Islands
Flag of Marshall Islands

クリーガー氏は、「マーシャル諸島政府は第9巡回区控訴裁判所に控訴する予定です。」と指摘したうえで、「今回の判決は、米国の国際協定遵守に関する悪しき先例となりました。」と語った。

さらにクリ―ガ―氏はその理由として次のように語った。「米国はICJの管轄権を受諾しておらず、今回の事案の場合、判事は他国には(米国の裁判所では)原告適格がないという判断を下しました。このことは突き詰めると、米国と条約を結ぼうとする国は、今一度再考した方がいい、ということになります。」

「今後他国の政府も、米国の裁判所による同じような判断に服することになるでしょう。すると、米国が条約に従って行動していないと考える(条約相手)国はどうなるのでしょうか?」

「法的根拠に関する判断を避けることで、米国が本質的に述べていることは、自分たちがしたいことをしたい時にこれからもやるということであり、(米国が)義務を順守するかどうかは世界の他の国々には関係ない、ということになります。」

ICAN
ICAN

クリーガー氏は、本事案が「憶測的な」性格を持っているとの判事の発言は、本質的に、「被害が起きる可能性が証明されるまでの間に核事故や核戦争は起きてしまうということを意味します。」と語った。

「今回の判決が述べているのは、被害が憶測のものでなくなる以前に、何らかの核使用事案が生じるまで国家は待っていなくてはならない、ということです。米国が核軍拡競争を終わらせるための交渉を誠実に行うとの義務を果たしていないと主張することは『憶測に過ぎない』と判事が述べたことは、ばかばかしいことです。」

マーシャル諸島政府は、当初、核不拡散の交渉を怠っているとして、9つの核保有国全て(米国、中国、ロシア、パキスタン、インド、英国、フランス北朝鮮イスラエル)をICJに提訴する意向だった。

International Court of Justice/ Wikimedia Commons
International Court of Justice/ Wikimedia Commons

マーシャル諸島政府は、パキスタン、インド、英国に対するICJ訴訟を継続しているが、「核政策法律家委員会」のジョン・バローズ事務局長は、ICJの強制的管轄権を受諾していない他の国々への訴訟は止まっていると語った。

「マーシャル諸島政府は、他の6か国に対して、管轄権を受け入れ自主的に出廷するよう招請し促しています。これは完全に正規の手続きですが、まだどの国も受け入れていません。」とバローズ氏はIPSの取材に対して語った。

ICJ訴訟における国際チームの一員でもあるバローズ氏は、「中国は出廷しないことを既に明確にしています。」と指摘したうえで、「(それでも)これらの国々は、管轄権の受諾にまだ同意することが可能です。」と語った。

インドとパキスタンに対する予備的な書面がすでに提出され、それに対する反論は今年半ばまでに行われることになっている。また対英国訴訟に関しては、3月に書面が出されることとなっている。

バローズ氏は、今回の米連邦地裁における判断がICJにおける審理に影響を及ぼすかどうかについて懐疑的だ。

「今回の判決は何の影響も及ぼさないと思います。」とバローズ氏は語った。(原文へFBポスト

翻訳=IPS Japan

関連記事:

世界の大国に挑戦する核爆発証言者

核保有国、ウィーンで批判の嵐にさらされる

|オーストラリア|核兵器のない世界を求める核実験の被害者たち

報道の自由度が「大幅に悪化」、とメディア監視団体

【国連IPS=レイラ・レムガレフ】

有力な国際メディア監視団体が、「2014年は世界中で報道の自由が後退する事態が見られた」と警告している。

フランスのパリに本部を構える「国境なき記者団」が2月12日に発表した2015年版『世界報道の自由度ランキング』によると、報道の自由度は世界的に後退傾向にあり、調査対象の180カ国・地域の3分の2が、前年よりランクダウンした。

上位の国は、5年連続1位となったフィンランドを筆頭に、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スウェーデンと続き、上位20か国のうち15か国を欧州の国が占めた。一方下位を占めたのは、中国(176位)、シリア(177位)、トルクメニスタン(187位)、北朝鮮(179位)、エリトリア(180位)だった。

「国境なき記者団」のデルフィン・ハルガンド米国代表は、IPSの取材に対して、いくつかの事例について解説した。例えばワースト5位の中国については、「投獄中のジャーナリストが世界最多。さまざまな手段で情報の流通も制限している。」と指摘したほか、アゼルバイジャン(162位)については、「政府は最後の独立系メディアを閉鎖に追い込むなど多元主義の痕跡をほぼ全て排除した。」と解説した。

Delphine Halgand/ Reporters without boarders
Delphine Halgand/ Reporters without boarders

「国境なき記者団」は2002年から各国の報道の自由度を評価したインデックスを毎年発表している。このインデックスは、メディアの質を評価したものではない。

「このインデックスは、多くの国々で報道の自由やジャーナリストが攻撃に晒されている実態を、誰もが知ることができる有効な手段です。例えば、私たちは、「トルコに行ってみたい。」「ベトナムに行ってみたい。」という時、実はこれらの美しい国々では、多くのジャーナリストが標的になっているという事実を知らないことが往々にしてあります。そこでこのインデックスがこの重要な問題を認識する手段となるのです。」とハルガンド氏は語った。

またハルガンド氏は、質的・量的両面の基準を用いるこのインデックスの作成手順や透明性を向上させる目的で、今回初めて多くのデータを公開した、と語った。

2015年版『世界報道の自由度ランキング』は、報道の自由度が2014年に急速に後退した背景について以下の7つの要因を挙げている。

報道統制:「情報統制を強める政権の存在」(東欧、アフリカ、アジア、中東)

北朝鮮、エリトリア、トルクメニスタン、ウズベキスタン(政府がメディア・情報を完全に統制している国家として、他の非民主主義国家がモデルにしている。)中国、イラン、カザフスタン、サウジアラビア、バーレーン(徹底したインターネット検閲、ジャーナリストの逮捕・抑留、虐待)、スリランカ(新聞社を軍隊が包囲)他

紛争:紛争を有利に運ぶ手段として情報戦争を展開している紛争当事者の存在(ウクライナ、シリア、イラク、アフガニスタン、タイ、南スーダン)

メディア関係者は殺害・拘束の直接の標的となっているほか、プロパガンダ活動に協力する圧力をかけられたりしている。

無法な組織:非国家主体による専制君主的な報道統制の存在(ボコ・ハラム、イスラム国、イタリアのマフィア、ラテンアメリカの麻薬組織)

犯罪組織の宣伝活動に利用されることを拒否したジャーナリストやブロガーは口を封じられている。また、北アフリカと中東には顕著な「ブラックホール(非国家主体に地域全体が支配され、独立した情報提供者が全く存在しない地域)が存在する。

神聖を汚す行為:神への冒涜を犯罪と見なす国々の存在(サウジアラビア、イラン、モーリタニア、クウェートなど全世界の約半分の国々)

体制を批判したジャーナリストやブロガーを、政府が神への冒涜と結びつけて厳罰に処す事例や、過激派組織が、神や預言者への敬意が足りないと一方的に断定したジャーナリストやブロガーを標的にする事例が増えている。

抗議デモ取材の危険性:抗議デモを取材するジャーナリストやブロガーに対する暴力事件が増えてきている。

ウクライナ、エジプト、イエメン、香港、ベネズエラ、ギリシャ(治安警察による暴力)。タイ、ハイチ、フランス、ベネズエラ、香港(デモ抗議側からの攻撃)。中国、ベネズエラ(反政府デモ報道の検閲、シャットダウン)。トルコ(抗議デモ現場への立ち入り制限)。

欧州モデルの崩壊:欧州の国々はランキング1位のフィンランドから106位のアゼルバイジャンまで様々。

比較的上位を占める国が多い欧州でも、経済の低迷、社会不安の増大を背景にフィンランド(欧州の上位諸国でも、少数のオーナーへのメディア統合が進み相対的な報道の独立性が低下する傾向にある。)オランダ(国会の撮影を許可制に変更)。ノルウェー(報道は自由だが開発問題の取材が希薄)。デンマーク(年金スキャンダルを告発した活動家を逆に罰金処分に)。ハンガリー(政府機関のメディア干渉)。イタリア(国営放送による自己検閲)。アゼルバイジャン(欧州でも最も多くのジャーナリストを収監)。フランス(有力右翼政党によるメディアの占め出し)。

法律によるメディア規制:非民主的な政権と民主的な政権双方において、国の安全保障、領土保全等を名目にメディア規制・言論弾圧を行う事例が増えている。

タイ、インドネシア、ミャンマー(軍当局によるメディア支配強化)。(米国、英国、フランス(反テロ法制による国民の監視)。ロシア、モロッコ、エジプト、ソマリア、エチオピア(報道内容が領土保全を脅かすとして逮捕・収監)オーストラリア、日本(安全保障に関連して情報検閲体制を強化)

報道の自由度をどのように計測するかは、非常に複雑な課題だ、とハルガンド代表は言う。

「スーダンにおける報道の自由とイタリアのそれは、同一のものではありません。そこで、私たちは7つの基準(①多元主義、②メディアの独立、③自己検閲、④法的支配、⑤透明性、⑥インフラ、⑦ジャーナリストへの暴力)に照らして報道の自由度を評価しています。」

「これは非常に複雑な課題です。最大限に正確さを期すためにも多くの基準に当てはめる必要があります。しかし、そうした努力をしても、当然ながら、(報道の自由を巡る)状況は各国独自のものになります。」とハルガンド代表はIPSの取材に対して語った。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)メディア・コミュニケーション学部の教授で同校のジャーナリズムシンクタンクの所長でもあるチャーリー・ベケット氏は、(報道の自由度を計測する難しさについて)「あるレベルでは複雑ですが、また別のレベルでは極めてシンプルです。」と指摘したうえで、「もしジャーナリストが、投獄されたり、肉体的に傷つけられたりするケースを調べるのであれば、たしかに基本的な報道の自由度を測る尺度にはなります。しかし私としては、例えば偽情報のような、より微妙な問題が気になります。」と語った。

ベケット氏はIPSの取材に対して、「今日のメディアはあまりにも複雑になったため、報道の自由度を計測することも益々困難になってきています。」と指摘したうえで、「私たちは情報が豊富に溢れた世界に暮らしています。しかし、そうした情報や情報源をどのように信頼し、理解するかは、様々な力によって左右されているのです。」と語った。

ベケット氏は、「報道の自由は、もはや検閲や法律、或いはジャーナリストに対する肉体的な暴力という直接的に分かりやすい問題のみでは説明が困難になってきています。」さらに今では、「一人のジャーナリストが殺されると、残りの99人のジャーナリストが、以前よりはるかに言われた通りの行動をするようになるという恐ろしい状況があります。」と語った。

さらにベケット氏は、「たとえ新聞社が何かを出版している場合でも、果たして、ジャーナリストたちが脅迫されているのか、買収されているのか、或いは圧力をかけられているのか、実際にはどのような状況下で出版がされているかは知る由もありません。そしてもう一つのポイントは、もし人々に情報を共有する自由がないならば、自由なジャーナリストがいても意味がないということです。」と語った。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

セルビアを襲うインターネット検閲の洪水

|NATO・ロシア|危険な核陣営間の言論戦

0

【ベルリンIDN=ジュリオ・ゴドイ】

米ロ両政府は、ウクライナ危機を、恐るべき核戦力の強化を正当化する理由として利用している。

そのことは、ドイツの保守系日曜週刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ゾンターグツァイトゥング』(FAS)が1月25日の1面全部を使って、核兵器に関して「威嚇のジェスチャーを取っている」としてロシアを非難したことからも明らかだ。

「核兵器がふたたび前面に」と題されたFASのこの記事は、情報源を明かしていないものの、重装甲戦車から航空機に至るまで、ロシア軍の「核能力を有する(この言葉の曖昧さに注意)」輸送手段の動向を巡って数多くのインシデント(安全保障上問題があった事例)が起こったことを報じている。しかも全てがこの数か月間に起こったことだとされている。

また同紙は、2月5日にベルギーのブリュッセルで開催される北大西洋条約機構(NATO)防衛相会議では、欧州・北米のNATO加盟国や、ウクライナなどの非公式同盟国を標的にしたロシアの核体制分析がテーマになるとまで主張している。

この警告調のFAS記事には、情報源が明示されていない点を除けば、一つの重要な不実記載がある。それは、「ウクライナ危機が2014年に起こるまでは、NATOは核戦力削減の圧力下にあった。」と記載している箇所だ。

現実はその真逆であった。バラク・オバマ米大統領が2009年にチェコの首都プラハで「米国は核兵器なき世界の平和と安全を追求すると信念を持って」表明したにも関わらず、米国政府の主導の下、NATOは2010年に、欧州に配備されている180発の核爆弾「B-61」の実質的な改修作業を開始しているのである。この改修計画の費用は、少なくとも100億ドルに達する。

Lawrence Wittner
Lawrence Wittner

この計画は、実際の核弾頭から研究施設、関連産業に至る米国の核関連施設の大規模な近代化のプロセスのほんの一部分にすぎない。全体としては、10年間で3550億ドル以上の費用がかかるとみられている。しかし、ニューヨーク州立大学の教授で3部作『核兵器との闘い』の著者であるローレンス・ウィットナー(歴史学)氏は、「数多くの新核兵器が製造されてこの近代化プロセスが終わるころには、費用は急増することになるだろう。」と自身のブログの中で指摘している。

またウィットナー教授は、オバマ政権が国防総省(ペンタゴン)に対して、12隻の新規核搭載可能潜水艦、最大100機の新規核搭載可能爆撃機、400基の新規(或いは改修された)地上発射型核ミサイルの製造計画を立てるよう要求している点を指摘している。米議会と国防総省が調査を委託した外部専門家で構成される超党派独立委員会よると、これらの米核兵器の増強のコストはおよそ1兆ドルに達するという。

『ニューヨーク・タイムズ』が昨年9月に報じたように、こうした異例の核戦力増強には多くのオバマ支持者も失望を表明している。同紙は、オバマ大統領にも大きな影響を及ぼした核軍縮に関する著作があるサム・ナン元上院議員の以下のコメントを引用している。「(オバマ氏の核兵器政策)の多くについては、説明するのが困難です。大統領が表明したビジョンは、(それまでの核兵器をめぐる議論に)大きな方向転換をもたらすものでした。しかし、その後のプロセスは、現状維持をはかるものに過ぎませんでした。」実際のところ、オバマ大統領の核拡張政策は、むしろ事態を悪化させてきた。

こうしてみてくると、(NATOが核戦力削減の圧力下にあったとする)FAS紙の主張はきわめて奇妙なものになる。さらに言えば、欧州に配備されているNATO核戦力の近代化方針が、ドイツ外務省が明確に反対する中で採られてきたのである。

「耐用年数延長措置」以上のもの

2010年に承認されたNATO核戦力の近代化は、B-61爆弾の「全面的耐用年数延長プログラム」(LEP)と公式には呼ばれている。これらの核兵器は、すべて米国が主導する軍事同盟の参加国であるドイツ、イタリア、オランダ、トルコに配備されている。

Euromap
Euromap

米国家核安全保障局によると、現在開発4年目にあたるB61-12のLEPには、「老朽化に対応した核・非核両方の部品改修、運用期間延長の実現、核爆弾の安全性・信頼性・保全性の強化が含まれる。空軍の尾翼部品を組み合わせることによって、B61-12は既存の核爆弾B61-3、-4、-7、-10と置き換えられることになる。さらに、B61-12を配備すれば、米国の最後のメガトン級兵器であるB83を退役させることが2020年代半ばから末にかけて可能になる。」

LEPに関する民間の研究者らは、そうした核兵器の近代化は単に「耐用年数延長プログラム」を意味するのではなく、NATOの核能力を大幅に増強することになると指摘している。

米国科学者連盟核情報プロジェクトの責任者で、核兵器に関するもっとも著名な民間専門家のひとりであるハンス・M・クリステンセン氏は、新型核兵器の特徴を見る限り、「LEPは新たな軍事作戦を支援するものでもなく、新たな軍事能力を付与するものでもない」とした米政権の初期の公約は、説得力を持たなくなっている、と指摘している。

それどころか、LEPに関する新たな情報は、(米政権の公約とは)全く逆の内容を示している。

「誘導尾翼を取り付けたことで、B61-12の命中精度が他の兵器と比較して向上し、新たな戦闘能力が付与されることになります。」「米軍当局は、50キロトンのB61-12が(再利用されたB61-4核弾頭とセットで)360キロトンのB61-7核弾頭と同じ標的をたたく能力を得るには、誘導尾翼が必要だと説明しています。しかしB61-7が配備されたことがない欧州では、誘導尾翼が付くことで(B61-12)軍事能力が格段に向上することになるのです。これは核兵器の役割を低減させるという公約には見合わない改善措置と言わざるを得ません。」と、クリステンセン氏は語った。

それに比べ、米国が1945年8月6日に広島に投下した核爆弾「リトルボーイ」の爆発力は13~18キロトンであった。また、その3日後に長崎に投下された核爆弾「ファットマン」の爆発力は22キロトンだった。

Atom bomb dropped in Japan in 1945/ Public domain
Atom bomb dropped in Japan in 1945/ Public domain

2013年10月に行われた米下院公聴会では、B61-12は、1997年に導入された地表貫通型の400キロトン核爆弾「B61-11」や、最大1200キロトンの爆発力を持つ戦略核爆弾「B83-1」と置き換えられることが明らかにされた。

クリステンセン氏は、「B61-12の軍事能力は、最小爆発力のB61-4(0.3キロトン)から1200キロトンのB83-1、さらには地表貫通能力を持つB61-11に至る自由落下核爆弾の標的打撃能力の全体をカバーするものになります。破壊能力がこのように向上すれば、新たな核戦力は、これまでの自由落下爆弾の打撃力全般を網羅したうえに(誘導尾翼の導入により)どこでも攻撃できる精密誘導核爆弾になってしまいます。」と指摘した。

このFASによる記事は、米国や欧州のメディアやシンクタンクによって発表された一連の記事や研究の最新のもので、内容はすべて、NATOからのリークや噂を基礎にしたものである。例えば、広く噂されるところよれば、ロシアは、2014年に同国が併合した(ウクライナの黒海沿いにある)クリミア半島において、短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」を配備したという。

この噂の情報源は、インターネット上にある映像で、ロシアの弾道ミサイル発射機がクリミア半島のセバストポリ市街を運ばれていく様子を映し出している。しかし、クリステンセン氏をはじめとした核兵器専門家は、問題の映像に映っているのはイスカンデルMではなく、沿岸防衛用の巡航ミサイル「バスティオンP」(K300P、あるいはSSC-5)であると指摘している。

ブリードラブ将軍とストレンジラブ博士

西側メディアの他の報道は明確に誤認があるというわけでもないが、少なくとも、ロシアの核戦力への警戒を引き起こす程度に曖昧なものである。昨年11月、NATO最高司令官である米国のフィリップ・ブリードラブ(Bleedlove)将軍(核戦争を風刺したスタンリー・キューブリック監督の『ストレンジラブ博士(Dr. Strangelove)[邦題:博士の異常な愛情]または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』と極めてよく似ている名前なのは皮肉だ)は、ロシアはクリミアで基地を強化していると主張した。

General Breedlove/ Wikimedia Commons
General Breedlove/ Wikimedia Commons

他方でブリードラブ将軍は、ロシアの軍事作戦に核兵器の配備も含まれているかどうか、NATOは情報を持っていないことを認めている。

ブリードラブ将軍はその際、「核攻撃能力を持つ」ロシアの戦力がクリミア半島に移動した、と述べただけである。

再び、ハンス・クリステンセン氏の言葉を引用してみよう。「何がクリミア半島に移動されそこに何が貯蔵されているかを巡る不透明性は、非戦略核戦力の抱える特別な問題を示しています。なぜなら、非戦略核戦力は核・非核両方の能力を保持しているため、通常戦力の展開であっても、意図したものか現実のものであるかに関わりなく、(対立陣営によって)核配備のシグナルあるいは核へのエスカレーションとすぐさまみなされる可能性があるからです。」

さらにクリステンセン氏は、「クリミアの状況をめぐる不確実性は、(重要な違いはあるものの)NATOがバルト諸国、ポーランド、ルーマニアに一時的にローテーション配備している核能力を持つ爆撃機をめぐる不確実性と似たところがあります。ロシア政府は現在、NATOによるこうした配備を、ロシアの作戦に対してNATOが投げかける非難をかわすために利用しています。」と語った。

民間専門家らはここでもやはり、こうした作戦に関する議論は誇張されていると考えている。なぜなら、旧ソ連も今日のロシアも、1950年代以降今日まで、クリミア半島に核兵器を配備したことがないからだ。

核兵器に関するレトリックはNATOや米政府に限られたものではない。ブリードラブ将軍の記者会見とほぼ時を同じくした昨年11月、ロシアの『プラウダ』紙が「ロシア、NATOへ核のサプライズを準備」と題する以下の論評を掲載した。「ロシアは今日、ずっと少ない数の戦略核兵器運搬手段でもって、米国と同等の核戦力を保持することに成功している。ロシアの戦略核戦力は米国のそれと比較してもさらに進んでいるのだ。」

冷戦期の困難な時代へ後戻り

かつてソ連共産党の機関紙であったプラウダ紙は、それがまるでプライドの問題であるかのように、さらに次のように報じている。「ロシアの防衛当局がロシアの戦略核戦力を新世代ミサイルで再び武装すると約束している以上、(ロシアと米国の間のギャップは)将来的にさらに拡大するかもしれない。」

ロシアとNATOは合計で1万5000発の核弾頭を保有している。これは世界の核戦力全体の93%に相当する。世界を破滅に陥れ、時代遅れで、維持コストもきわめて高いこの恐るべき能力は、オバマ大統領がプラハ演説で述べたように、「冷戦が残した最も危険な遺産」であろう。

しかしそれでも、米ロ両国はウクライナ危機という目の前の機会を利用して、核戦力の増強を正当化した。これは民間の専門家らにとっては驚くことではない。米国にとっては、ウクライナ危機は悪化した米EU関係の改善を図るまたとない機会だった。両者の関係は、同盟国元首の携帯電話の通話など、ジブラルタルとベルリンの間のすべての電子通信を米国の国家安全保障局やその他の諜報機関が盗聴していた事実が明らかになって、著しく悪化していた。

米国としては、欧州のNATO諸国からB61-12の高価な耐用年数延長プログラムへの無言の支持を取り付けるだけではなく、反対論が根強い「環大西洋貿易投資パートナーシップ」(TTIP)を欧州諸国に受け入れさせ、エドワード・スノーデン氏が亡命するあらゆるチャンスを奪うための大きな危機を必要としていた。

ロシア側としては、核軍備管理に関する米国の別の専門家であるマイケル・クレポン氏が言うように、この危機は、米国に対してまるで懇願するかのような態度を改める機会を提供したと考えている。

米ロ間の核をめぐる言論戦の犠牲となった、いわゆる「ナン=ルーガー協力的脅威削減法」の突然の終了に関して、クレポンはこう書いている。「冷戦終結から四半世紀が経過し、米ロ関係は再び困難な時を迎えている。(ナン=ルーガー)プログラムは今や、ロシアのウラジミール・プーチン大統領や米議会両院の多数によって不必要かつ不適切なものとみなされている。ロシアはもはや何かを懇願する側ではなく、米議会ももはや寛容ではいられなくなっている。」

ナン=ルーガー法は、アゼルバイジャンやベラルーシ、グルジア、カザフスタン、ウズベキスタンなど旧ソ連領内に配備されていた旧ソ連の核戦力を保全し解体することを目的としたものであった。

或いは、「カーネギー・モスクワ・センター」の所長であり、ロシアの著名な平和研究者の一人であるドミトリ・トレーニン氏の言葉を引用するならば、「2014年初頭にウクライナで起こった危機は、1989年のベルリンの壁崩壊に始まるロシア・西側関係の時代を終わらせてしまった。危機によって、両者間の総じて協力的な局面は終わりを告げた…。替わって、ウクライナ危機は、かつての冷戦期の敵対国間における厳しい競争、さらには対立の新たな時代の幕開けとなった。」両者は実際のところ、核兵器で武装する以上の状況になっているのである。(原文へ

関連記事:

「核兵器なき世界」に向けて正念場の2015年

日本、米国の核態勢見直しに際して、自制を表明する

|核兵器ゼロ|前途に横たわる果てしない旅路

ニュージーランドが強固に核兵器禁止を擁護

【ワシントンIDN=ニーナ・バンダリ】

太平洋の小さな島国であるニュージーランドが、国際的な軍縮論議において、大国を相手に独自の主張を貫いている。同国は約30年にわたって非核政策を積極的に推進し、「オーストラリア・NZ・アメリカ相互安全保障条約(通商アンザス条約)」の当事国でありながら、核兵器を搭載したり原子力を動力源とする米国艦船の入港を禁止してきた。

ニュージーランドは、米国、オーストラリアと並んで、3国間の安全保障取り決めと協力の枠組みとして1951年に調印されたアンザス条約の当初からの締約国の一つである。

Anti-nuclear demo in New zealand/ CND

しかしニュージーランドは、フランスが1960年代半ばから南太平洋(フランス領ポリネシア)で核実験を実施するようになると反発を強めていった。さらに1983年、米国の原子力フリゲート艦「テキサス」が入港すると、激しい抗議運動が起こり、それは一般市民を広く巻き込んだ反核運動へと発展していった。こうして80年代半ばにピークを迎えた反核世論は、その後のニュージーランドにおける外交政策と、アイデンティティを形成することとなった。

「当時の反核運動は、専門家、地域集団、学生、宗教者、非宗教者、若者・老人が参加した極めて広範にわたった運動でした。多くの意味において、この運動の多様で非階層的な性格が、その訴える力と強さの源泉でした。ひところ、ニュージーランドには300以上の地域活動家のグループが存在していました。」と『平和、権力、政治:ニュージーランドはいかにして非核化したか』の著者マリー・リードビーター氏は語った。

Sinking of the Rainbow Warrior/ News Zealand Herald
Sinking of the Rainbow Warrior/ News Zealand Herald

なかでもニュージーランド国民の世論を決定的なものにしたのは、1985年7月に起きた核実験抗議船「虹の戦士(レインボウ・ウォーリア―)号」爆破事件だった。これは、環境保護団体「グリーンピース」の旗艦船で、フランスによる核実験への抗議活動に参加していた「虹の戦士号」がフランス諜報機関による爆破工作で沈められた事件である。

当時のデビッド・ロンギ首相は、「核兵器によって攻撃されるよりも危険なことが一つだけあります。それは核兵器によって守られていることです。」と語った。1987年、ロンギ首相の労働党政権は「ニュージーランド非核地域、軍縮、軍備管理法」(これによりニュージーランドの国土と領海は、非核兵器および非原子力推進艦艇地帯となった:IPSJ)を制定した。

「この法律は現在、ニュージーランド国民の心理に深く浸透しており、将来的にこれを廃止しようという政党はありません。現在与党の国民党も、この法律を廃止することはないと明言しています。」と、労働党のメリヤン・ストリート元広報(軍縮・軍備管理)委員長はIDNの取材に対して語った。

David Lange/ The Right Livelihood Award

緑の党(世界問題担当)のケネディ・グラハム議員も同じ意見だ。「ニュージーランドの非核立法に関しては、超党派的な合意があります。」とグラハム議員は語った。

米国はニュージーランドによる核兵器禁止を覆そうとはしていないが、過去5年間、同国との防衛・戦略的関係の再構築を目指す動きを始めている。2010年11月、米国のヒラリー・クリントン国務長官(当時)と、ニュージーランドのマレー・マカリー外相(当時)が、両国間の新たな戦略的関係についての枠組みを提示したウェリントン宣言に署名した。

さらに両国は、2012年6月、海洋警備や大量破壊兵器の拡散阻止、テロ対策、海賊対策等の防衛協力取決めをさらに強化したワシントン宣言に署名した。この取決めの下で、ニュージーランドは、世界最大の海軍演習であるリムパック(環太平洋合同演習)と、米豪との合同軍事演習への参加を決めた。

作家で研究者のニック・マクレラン氏は、こうした動きについて、「ニュージーランドの立場については、あまり美化しないよう慎重であるべきです。なぜならその立場は少しずつ変化しているからです。ウィキリークスエドワード・スノーデン氏が最近暴露した、アンザス同盟と、『5つの目条約』としても知られる5か国から成るUKUSA協定に関する情報は、英国、カナダ、そして(ニュージーランドを含む)アンザス同盟国が信号の諜報を共有していることなど、ニュージーランドの関与を浮き彫りにしているのです。」と語った。

ニュージーランドには、タンギモアナとワイホパイの2か所に信号傍受基地がある。リードビーター氏は、「UKUSA協定については、透明性が欠けていることや、他国へのスパイ行為、更には戦争への貢献の片棒を担ぐことになりかねないことから、私はニュージーランドが参加することに反対です。」と語った。

アンザス同盟国は、フランスをオブザーバーとする「4か国防衛調整グループ」の一部でもある。それでは、核の傘に加われとの米国からニュージーランドへの圧力は改めて強まっているのだろうか?

「米国は、ニュージーランドの非核法制は立ち入れない領域であることを理解しており、その問題を回避しながら関与しています。また米国は、ニュージーランドをこの地域の核不拡散・軍縮領域におけるリーダーだとみなしており、バラク・オバマ大統領は、核兵器がテロリストの手に落ちる脅威に関する保安会議にニュージーランドを招待しています。」と、ニュージーランドの核不拡散・軍縮議員連盟の元議長でもあるストリート氏はIDNの取材に対して語った。

潜在的な危機

ニュージーランドで100%ピュア」観光キャンペーンは、ニュージーランドが非核地位を貫いていることと部分的には関係しており、これによって同国のクリーンでグリーン(=無公害な)イメージはさらに高められている。原子力発電は利用しておらず、現地で事故が起きる可能性はきわめて低い。

しかし、ストリート氏はこう警告する。「現実における最大の危険は、ニュージーランドの領海を通って核物質(オーストラリアからの劣化ウランイエローケーキなど)が輸送される時でしょう。これまで予防策はなく、そうした船舶に事故が発生した場合、我が国は危険な状況に晒されることになります。これに対する予防策を講じるには、危険物品・物質に対する新たな立法が必要となります。」

ニュージーランド政府は、オーストラリア政府とは対照的に、核兵器の人道的影響に焦点を当てる取り組みを熱心に進めてきた。2014年10月までに、ニュージーランドが主導して作成した核兵器の人道的影響に関する国連声明に155か国が署名している。

ジェフリー・パルマー元首相は2014年11月、「核の悪夢」という寄稿文の中で、「国連加盟国の間でニュージーランドの取組みへの支持が広がっていることを考えると、国際協定を通じて核兵器の違法性を確認する時機が来ていると思います。現在、ニュージーランドは国連安全保障理事会の非常任理事国のメンバーであり、ペダルに足をかけて核軍縮の大義を強力に推進できればいい。」と述べている。

国際司法裁判所は1996年の勧告的意見の中で、「核兵器の破壊力は、空間にも時間にも閉じこめておくことができない。核兵器は、あらゆる文明と地球上の生態系の全体を破壊する潜在力をもっている。」と述べている。

今日、ニュージーランドでは反核運動がそれほど盛んではない。しかし、世界の反核活動で活動する一部の中核となるような人々がいる。

Kate Dews/ ODT

30年にわたって核廃絶を訴えてきたケイト・デュース氏は、IDNの取材に対して、「1987年のニュージーランド非核地域、軍縮、軍備管理法を実行するために何をすればよいか政府に勧告することを目的とした『軍縮・軍備管理諮問委員会』に委員を送り込んでいるいくつかのグループが、全国規模でも地域でも存在します。一部のグループは軍縮大使や政府高官と定期的に面会し、核廃絶や、地雷・クラスター弾・劣化ウラン兵器の禁止、武器貿易条約等の今日的な軍縮問題に関してリーダーシップを取るよう訴えています。」と語った。

さらにデュース氏は、「ニュージーランド国民は、『核の傘』の下で核抑止を支える役割を受け入れることはないだろう。その論争はすでに決着がついており、ニュージーランドの若者たちは自国の非核政策を誇りに思っています。」と付け加えた。そしてその根拠として1986年の世論調査結果を挙げた。同世論調査によると、ニュージーランド国民の92%が核兵器に反対し、69%が核艦船の寄港に反対し、国連を通じた核軍縮の推進にニュージーランドが努力することに92%が賛成し、一方で88%が非核兵器地帯の推進を支持していた。

Tim Wright/ ICAN
Tim Wright/ ICAN

オーストラリアでも、その後の世論調査を見ると、圧倒的に核兵器を拒否していることがわかる。「しかし、我が国の政府は米国に配慮してこれらの究極の大量破壊兵器を禁止する条約という考え方に依然として反対しています。私たちは、ニュージーランドが80年代にやったように、軍事ドクトリンにおいて核兵器にいかなる役割も与えることがないように、そして、核兵器禁止を目指す世界的な取り組みに加わるように政府に求めています。」と、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)豪州支部長のティム・ライト氏はIDNの取材に対して語った。

オーストラリアは南太平洋非核地帯条約の加盟国であり、ニュージーランドと同じように、1986年南太平洋非核兵器地帯法という非核法制を有している。「しかし、豪州法(そして条約そのもの)では米国の核艦船が豪州の港に入るのを阻止することができず、豪州が拡大核抑止(=米国の核の傘に依存する)の政策を維持するのを止めさせることもできません。」とライト氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

This article was produced as a part of the joint media project between Inter Press Service and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

関連記事:

「核兵器なき世界」実現を妨げる非核オーストラリア

未来の世代を維持するカギを握る軍縮

米国に依存する太平洋の島嶼国が、核兵器保有国に挑む

|イラン核協議|オバマ政権と・米議会の対立が、国際的に波及

0

【ワシントンIPS=ジャスミン・ラムジー】

イラン核問題に関する協議が今年中に最終合意に達するかどうかは予測困難なことだが、主要な国際主体の多くが、イランに対する制裁を強化すべきとの米国議会内からの議論に巻き込まれている。

バラク・オバマ大統領は、一般教書演説において、交渉が進行している間は、新たなイラン制裁法案には拒否権を発動すると繰り返し述べた。

オバマ大統領は1月20日に下院議会で行った一般教書演説の中で、「今この時期に我が国の議会が新たに制裁法案を通せば、これまでの外交努力の失敗を保証するのも同然です。つまり、米国は同盟国から孤立し、これまでのイラン制裁体制の維持が困難となり、イランは再び核計画を始動させることになるでしょう。それでは道理にかないません。」と語った。

「イランとの外交交渉にチャンスを与えよ」とのオバマ政権の主張は、(今年3月末までの枠組み合意、6月末の最終合意を目指して)イランと核協議にあたっている「P5+1」(米国、英国、フランス、中国、ロシア+ドイツ)の主要メンバーが連名で寄稿した翌日の『ワシントン・ポスト』に掲載されたオプエドでも繰り返された。

フランスのローラン・ファビウス外相、英国のフィリップ・ハモンド外相、ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイアー外相、欧州連合のフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は、「イランに対する核関連の追加制裁など、交渉のこの重要段階で新たな障壁を設けることは、この重大な時期における私たちの努力を危機にさらすことになる。」と1月21日の紙面で述べている。

David Cameron/ Wikimedia Commons

また同オプエドには、「現段階で新たな制裁を課せば、これまで制裁を効果的に行ってきた国際的連携にひびを入れることになるかもしれない。」「新たな制裁は、我々の交渉上の立場を強めるよりも、むしろ現時点では後退させることになってしまうだろう。」と述べられている。

英国のデイビッド・キャメロン首相は1月16日、ホワイトハウスでオバマ大統領と行った共同記者会見で、「確かに、今朝数人の上院議員と接触しました。午後にもあと1、2人と話をするかもしれません」と述べ、米上院の議員らと接触し、現段階でイランに対する追加制裁を慎むよう求めたことを認めた。

またキャメロン首相は、「現時点でのさらなる制裁、あるいはそれを示唆することは、交渉を成功に導くうえでマイナスだというのが英国政府の判断です。また、イランと対峙していくうえで非常に意味のある国際的な結束も崩しかねません。」と語った。

オバマ大統領の一般教書演説の翌日、下院のジョン・A・ベイナー議長がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して2月11日の米上下両院協議会で(イラン核問題について)演説するよう要請したと報じられている。ネタニヤフ首相は以前からオバマ政権の対イラン政策に反対する立場を明らかにしていることから、ベイナ―下院議長のこの動きはオバマ大統領の政策に対する反撃だと、専門家筋はみている。

ネタニヤフ首相は要請を受け入れたが、日程を3月3日に変更した。著名なイスラエル・ロビーである「アメリカ・イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)がワシントンで行う会議にも参加する予定だ。

ホワイトハウスを頭越しに行われた今回の招聘はオバマ政権にとっては驚きであった。ホワイトハウス報道官は、(大統領は)選挙運動中の外国の指導者とは会談しない長年の慣行と原則を引き合いに出して(イスラエルの選挙は3月に行われる)、ネタニヤフ首相が米国滞在中、オバマ大統領は面談しない意向であることを明らかにした。

ネタニヤフ首相はイラン核問題に関する最終解決の内容について強硬な立場をとるよう一貫して米政府に進言してきた。例えば、イラン国内においてウラン濃縮を一切認めないなど、イラン側に受け入れられる見込みのない提案がそれだ。このネタニヤフ首相招聘問題について、クリントン政権で北大西洋条約機構(NATO大使をつとめたロバート・E・ハンター氏は、「招聘を受け入れたことに関してネタニヤフ氏が非難されるいわれはありません。もし誤りがあるとすれば、それは下院議長の側です。」と指摘したうえで、「もし、ネタニヤフ首相の訪米によって、米議会に対するイスラエル・ロビーの政治力に支えられ、制裁法案に対するオバマ大統領の拒否権発動を乗り越えるだけの支持(3分の2)を上院で得ることに成功したならば、その後の核協議崩壊という可能性のみならず、イランとの戦争の可能性が増すという事態に対する責任は、ベイナー下院議長と仲間の肩に重くのしかかることになるだろう。」と語った。

しかし、対立の中心となっている、マーク・カーク上院議員(共和党)とボブ・メネンデス上院議員(民主党)、さらには、ボブ・コーカー上院外交委員会委員長(共和党)が提案した法案が大統領の拒否権発動を阻止しうる多数の賛成を得て立法化されるかどうか、現時点でははっきりしない。

カーク=メネンデス法案は2013年に提案されたが、オバマ政権は、議会で民主党が多数を占めていたため、立法化阻止に成功してきた。しかし、11月4日に実施された中間選挙では共和党が勝利したため、今年1月から共和党が米議会両院で多数を占めている。

政府の現職および元高官らも、現時点における追加制裁については反対の声を上げるようになってきている。

ジョン・ケリー国務長官は1月21日のCBSニュースで、「イスラエルの諜報が米国に伝えたところによれば、イランに対して新規の制裁を展開することは、交渉プロセスに対して『手榴弾を投げ込む』に等しい、とのことだ。」と語った。

John Kerry/ Wikimedia Commons
John Kerry/ Wikimedia Commons

ヒラリー・クリントン前国務長官は、ウィニペグ(カナダ)で開催されたフォーラムで行った新規の制裁に反対する演説のなかで、「成果が上がるかどうか見きわめる前に、何を好んで自ら率先して交渉を頓挫させるようなことを望むだろうか?」と問いかけた。

デイビッド・コーエン米財務次官(テロリズム・金融諜報担当)は『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に「新たな制裁は現時点では必要ないと考えている。(米議会が)現時点で新たな制裁を科してしまえば、たとえそれが発動時機を先送りしたものだとしても、(イランとの)包括協定を成功させる可能性を高めるのではなく、むしろ壊してしまうことになるだろう。」と語った。

オバマ大統領の拒否権発動予告とベイナー下院議長のネタニヤフ首相招聘を受けて、闘いはまだ終わっていないが、元々はカーク=メネンデス法案を支持していた民主党の一部共同提案者ですら、オバマ大統領に同調する姿勢を見せ始めている。

リチャード・ブルメンソール議員は、「ポリティコ」紙の取材に対して、「いかなる議会による行動も今は控えるべきだとの(オバマ大統領の)強力な主張について、真剣に考えているところだ。」「両党の議員らと協議している。オバマ大統領と政権のメンバーらが訴えている点に関して、現在彼らは自らの立場を検討し、再考しているところだと思う。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

関連記事:

非核中東への努力を続けるエジプト

|視点|核時代から太陽光時代への平和的移行(ヘーゼル・ヘンダーソン「倫理的市場メディア」代表・未来学者)

捏造されたイラン核危機

開発・平和のカギを握る世界市民教育

【パリIDN=A・D・マッケンジー

不平等とともに過激主義が世界中の関心事となる中、平和と持続可能な開発をもたらすうえで教育の果たす役割は大きい、と識者らは指摘している。

「教育は公共財であり、政府にはそれを提供する道義的責任があります。しかし、私たちが直面している問題は、教育を駆使していかに平和で持続可能な社会をもたらすのかということです。」とインドに本拠を置く「途上国研究センター」のピーター・デソウザ教授は語った。

UNESCO
UNESCO

1月28日から30日にかけてフランスのパリで開催された第2回国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)世界市民教育フォーラムで基調報告を行ったデソウザ氏は、IDNの取材に対して、「より良い市民を作り出すという教育の真の目的に関して言えば、世界は『戦いに敗れる』危険をはらんでいます。」と指摘したうえで、「私たちは、かつて女性運動や環境運動によって人間の考え方や価値観がいかに変わりうるかを目の当たりにしてきました。今こそ、活動モードに入り、勢いのある教育運動を起こす必要があります。」と語った。

またデソウザ氏は、現在の教育をめぐる国際的な言説は、残念ながら「企業の望む方向」、或いは(デソウザ流に言うところの)「ダボス的なやり方」に流されてしまっているという。「ダボス」というのは、スイスで毎年開かれている世界経済フォーラムのことで、ここには経済・政治・芸能の世界から「グローバル・エリート」たちが集結する。デソウザ氏は「このことが、(教育を巡る言説にも)覇権的な要素を蔓延らせ悪影響を及ぼしているのです。」と語った。

さらにデソウザ氏は、「教育は、ビジネス・チャンスが目的となって、ますます企業の都合で振り回されるようになっています。その一方で、公立学校は人々の関心から外れ、不平等が拡大しているのです。」と語った。

フォーラムにおける2つの主要テーマは、2015年以降の開発アジェンダにおける世界市民教育と、それが「平和で持続可能な社会」を構築していくうえで果たす役割であった。

またユネスコ関係者によると、今回のフォーラムにおける討論は、現在策定中で5月に韓国で開催される「世界教育フォーラム」で採択予定の「ポスト2015教育行動枠組み」につながる「具体的なインプット」を打ち出すことが期待されているとのことだった。

新時代の新たなスキル

Irina Bokova/ UNESCO/Michel Ravassard - UNESCO - with a permission for CC-BY-SA 3.0
Irina Bokova/ UNESCO/Michel Ravassard – UNESCO – with a permission for CC-BY-SA 3.0

ユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長は、フォーラムの開会挨拶の中で、「世界は『新時代の新しいスキル』を求めています。」と、世界から集まった250名の参加者に語りかけた。

ボコヴァ事務局長は、「教育とは単に情報や知識を伝達するためのものではなく、より『平和で、公正で、包摂的で、持続的な』世界に貢献できるような価値観や能力、態度を与えるものです。」と指摘した上で、「私たちのビジョンを研ぎ澄まし、世界市民教育を私たちの活動、つまり、貧困を削減し、社会的包摂を進め、全ての社会のニーズに持続可能な方策で応え、平和の文化を創り出すという活動全体の文脈の中に位置づけねばなりません。」と語った。

またボコヴァ事務局長は「教育は、文化間の尊重と理解を育成し、『多様性を最大限尊重する』ことを学習者に教え、若い人々のエネルギーを全ての人々の利益になるように仕向けることができるものです。」と、強調した。

今回のフォーラムは、3人の若い過激派が17人をパリで殺害した1月7日のテロ事件からちょうど3週間後に始まった。犠牲者には、預言者ムハンマドに関する論争の的になっている漫画を掲載した風刺週刊誌『シャルリ・エブド』で働く9人のジャーナリストが含まれている。

そうした暴力の陰で、過激主義と闘い、文化間・宗教間対話を促進するうえで教育が果たす役割に関する議論はとりわけ重要性を持っている。フォーラム参加者らは、世界市民教育に向けた長期的な政策を策定するなかで、教育者に加えて若者の全面的な参加を呼び掛けた。

世俗的な価値観

チュニジアのNGO「アル・バウサラ」の代表で創設者のアミラ・ヤヒャウイ氏は、いかにして多様な価値観が混在する世界で共存していくか、とりわけ、宗教的信条と関連付けながら「laicite」(世俗的価値)について若い人々を教育する必要がある、と強調した。

Amira Yahyaoui/ UNESCO
Amira Yahyaoui/ UNESCO

またヤヒャウィ氏は、「子ども時代を過ごす権利を奪われた」紛争地帯の子どもたちの窮状にもっと注目し、生存権についての教育がなされるべきだと訴えた。また、教育対象はそうした子どもたちに限らず、親や祖父母に対する教育も同様に重要だと指摘した。

「もし、ある女の子に兄弟とは平等でないと教えるのがその母親だとしたら、どうやって、この不平等に対抗する教育ができるでしょう。」とヤヒャウィ氏は問いかけた。

ユネスコによれば、世界市民教育(GCED)の目的は、「人権や社会正義、多様性、ジェンダー平等、環境の持続性への尊重を基盤とし、それを涵養(かんよう)するとともに、さらに責任ある世界市民になるべく学習者を力づけるような価値観や知識、スキルをあらゆる年代層の学習者に授けること。」である。

また世界市民教育は、「全ての人々にとってより良い世界と将来を推進する権利と義務を実現する能力と機会」を学習者に授けるものでもある。またそれは、子ども、若者、大人と、すべての年齢層を対象としたものでもある。

「世界市民教育は多様な方法で提供されうるものですが、ほとんどの国における主要な方法は、公的な教育制度を通じたものでしょう。」と政府関係者らは語った。そうして諸政府は、世界市民教育という概念を既存のプログラムの一部として統合することもできるし、或いは、別個の課題とすることも出来る。

「世界市民」という価値は長年にわたって考えられてきたものだが、ユネスコは、「国連事務総長が「グローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブ(GEFI)」を2012年に開始して以来、勢いが増してきた」としている。GEFIは、「世界市民の育成」を、「全ての子どもに学校教育を」と「学習の質の向上」に並ぶ3つの主要な任務の一つととらえている。

Global Education First Initiative
Global Education First Initiative

この分野におけるユネスコの取り組みの一つに、「全ての人への尊重を教える」というプロジェクトである。これは、「教育における、或いは教育を通じた差別に対抗する」ために、ブラジルと米国が2012年に共同で開始したものだ。これに関する取り組みが、現在、ブラジルやケニア、コートジボワールなどの国々で行われている。

ユネスコは、韓国に拠点を置く「ユネスコ・アジア太平洋国際理解教育センター」との協力で、世界市民教育に関する情報センターを新たに設置した。

Chernor Bah/ GEFI
Chernor Bah/ GEFI

フォーラムでは、(セクシュアリティや保健教育を含めた)多領域に亘る議論が時として圧倒的で反復的だったが、問題の重要性は、必然的に本質的なものであった。このことは、学者や政策立案者、NGO、国連諸機関に交じって多くの若者がフォーラムに参加していた事実にはっきり見て取ることができる。

西アフリカのシエラレオネ生まれで、GEFI青年グループの議長であるチェノール・バー氏は、「いかにして世界市民教育の成果を測定し国際的パートナーシップを形成するか等、2015年以降の教育をめぐる課題に関する具体的な提案が出された今回のフォーラムは、有益なイベントでした。」と語った。

「私たちにはお互いに対する責任があり、人間性は、国籍や民族、宗教的信条よりも重要なものです。」とバー氏はIDNの取材に対して語った。「アフリカの諺にあるように、あなたがいるから、あなたのお陰で私があるのです。(=ウブントゥ)それこそが、世界市民であるということの本当の意味なのだと思います。」(原文へ

翻訳=IPS Japan

関連記事:

|世界市民|徐々に展開する新しい概念

|シリア|教育を受けるために地下に潜ることを強いられる子どもたち

Global Citizenship Education Seen as Key to Development and Peace

By A. D. McKenzie | IDN-InDepth NewsAnalysis

PARIS (IDN) – With inequality as well as extremism a growing concern around the world, education has a crucial role to play in contributing to peace and sustainable development, experts say.

“Education is a common good, and it’s the moral responsibility of governments to provide it. But the challenge we now face is how to use education to have peaceful and sustainable societies,” said Peter deSouza, professor at the India-based Centre for the Study of Developing Societies A keynote speaker at the Second UNESCO Forum on Global Citizenship Education that took place January 28 to 30 in Paris, deSouza told IDN that the world ran the risk of “losing the battle” regarding the true aims of education to produce better citizens.

“We need to move into campaign mode and have a powerful movement for education now because we’ve seen with the women’s movement and with the environmental movement how minds and values can change,” he said in an interview on the sidelines of the conference.

He argued that the international education discourse was unfortunately being driven by corporate sway, or what he called the “Davos way”, referring to the annual World Economic Forum in Switzerland that brings together “global elites” from the business, political and entertainment sectors. This produces a “hegemonic and detrimental discourse”, deSouza said.

“Education is becoming more and more corporate driven, with business opportunity being the aim, but in the meantime public schools are falling off the radar and inequality is increasing,” he added.

At the conference, the two main themes were global citizenship education in the post-2015 development agenda and its role for building “peaceful and sustainable societies”.

The discussions were expected to result in “concrete inputs” to the emerging Framework for Action on Education post-2015 that will be adopted at the World Education Forum in May, being held in the Republic of Korea, officials said.

“New skills for new times”

Opening the discussions, UNESCO Director-General Irina Bokova told the 250 participants from around the globe that the world needed “new skills for new times”.

She said that education was not just about transmitting information and knowledge, but also about providing the values, capabilities and attitudes that can contribute to a more “peaceful, just, inclusive and sustainable” world.

“We must sharpen our vision and place global citizenship education in the context of all our work – to eradicate poverty, to enhance social inclusion, to respond sustainably to the needs of all societies, to build a culture of peace,” Bokova said.

She emphasized that education could help foster greater respect and understanding between cultures, give learners “tools to make the most of diversity” and also “harness the energy of young women and men for the benefit of all”.

The conference began exactly three weeks after the January 7 attacks in Paris in which 17 people were killed by three young militants. The victims included nine journalists who worked for Charlie Hebdo, a satirical weekly newspaper that had published controversial cartoons of the Prophet Muhammad.

In the shadow of such violence, discussions on the role of education in the fight against extremism, and in promoting intercultural and interfaith dialogue were of particular significance. Participants called for the full engagement of youth, alongside educators, in developing long-term policies for global citizenship education.

Secular values

Amira Yahyaoui, president and founder of the Tunisian NGO Al Bawsala, stressed that young people needed to be educated about how to live together in a diverse world, and especially about “laicité” (or secular values) in relationship to religious beliefs.

She also called for more attention to the plight of children in conflict-torn regions who “no longer have the right to childhood”, saying that these youngsters must be taught the “right to survive”. She said that educating parents and grandparents was fundamental as well.

“When it’s a mother who explains to a girl that she is not equal to her brother, how can you educate against this inequality?” she asked.

According to UNESCO, the aim of global citizen education (GCED) is to “equip learners of all ages with those values, knowledge and skills that are based on and instill respect for human rights, social justice, diversity, gender equality and environmental sustainability and that empower learners to be responsible global citizens.”

GCED also gives learners “the competencies and opportunity to realise their rights and obligations to promote a better world and future for all”, and it is aimed at all ages: children, youth and adults.

Although global citizenship education can be delivered in a variety of ways, the main method in most states will be through the formal education system, officials said. As such, governments can integrate the concept either as part of existing programmes or as a separate subject.

The values of “global citizenship” have been in consideration for some time, but UNESCO explained that it has “gained momentum since the launch of the UN Secretary General’s Global Education First Initiative (GEFI) in 2012, which has identified ‘fostering global citizenship’ as one of its three priority areas of work, along with access to and quality of education”.

Among the UNESCO measures in this area is the “Teaching Respect for All” project, launched jointly with Brazil and the United States in 2012 to “counteract discrimination both in and through education”. Work on this is being carried out in Brazil, Kenya, Ivory Coast and other countries.

The organization has also created a clearinghouse on GCED, in cooperation with the Asia-Pacific Centre of Education for International Understanding.

While the numerous areas of discussion (which included sexuality and health education) were at times overwhelming and repetitive during the conference, the significance of the issues seemed inescapably real. This was underscored by the presence of many young people among the academics, policy makers, NGOs and UN agencies participating.

Chernor Bah, the Sierra Leone-born chairperson of the Youth Advocacy Group of GEFI, said the meeting was important because it raised concrete proposals for the post-2015 education agenda, such as how to measure the outcomes of GCED and build international partnerships.

“We have a responsibility to one another, and our humanity is more important than our nationality, ethnicity or religious beliefs,” Bah told IDN. “As the African saying goes – I am because you are. And that’s what being a global citizen is really about.” [IDN-InDepthNews – January 30, 2015]

Peter deSouza | Photo Credit: UNESCO K. Holt

2015 IDN-InDepthNews | Analysis That Matters