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AUKUS加盟国はフランスとの関係修復へ挽回努力が必要

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

この記事は、2021年11月16日に「The Strategist」に初出掲載されたものです。

【Global Outlook=ラメッシュ・タクール】

スコット・モリソン豪首相は、エマニュエル・マクロン仏大統領とジョー・バイデン米大統領とのいざこざに巻き込まれている。そのため、パワーの不均衡を考えると、オーストラリアは身の丈に合わない大国間関係のなかで無防備かつ脆弱な状態に置かれる恐れがある。2頭のゾウが争うときも交尾するときも、草は踏みつけられるという民話は、アフリカとアジアの各地にさまざまな形で見られる。ペロポネソス戦争を記録したトゥキディデスの著作『戦史』の「メロス対談」で、メロス島はアテネ陣営により、正義や公正の問題はパワーが対等な者同士の関係においてのみ適用されるものだと、厳しく警告される。それ以外の関係では、「強い者はできることをやり、弱い者はしなければならないことをやる」のである。(原文へ 

そもそも契約を結ぶべきではなかった取引をキャンセルしたことは、正しい判断であった。先進的な原子力潜水艦をリバースエンジニアリングして、航続距離、海中耐久性、ステルス性、総合的攻撃力の低い技術的劣化版を設計し、オーストラリアの労働者と製造施設を用いるという要件により、コストが増大し、所要期間が長引いた。モリソンは、アタック級潜水艦の建造という不可解な要請を覆し、最も重要な防衛調達事業をオーストラリアの急変した戦略的状況に合わせて修正し、信頼できる同盟国の心地良い抱擁へと戻ったのである。

したがって、国家安全保障上の愚行と呼ぶべきは、最適とはいえない潜水艦契約の破棄ではなく、既存の契約がないという法的空白と、今後20年間新たな潜水艦がないという、運用上の空白である。外交的愚行としては、インド太平洋地域へのフランスの関与における最大の呼び物を台無しにしつつ、そもそもオーストラリアのミスによるコストと困惑の負担をすべてフランスに押し付けたことである。これは、中国がもたらす多面的な課題に対抗する民主主義同盟の集団的結束と団結を弱めずにはいられない。

AUKUS加盟国は、この外交的試練に失敗し、その損失を修復するために挽回の努力をしなければならない。オーストラリア海軍の能力を高めることによって、より効果的にインド太平洋における西側諸国の軍事力を取り戻すことができるだろう。しかしEUは、世界の金融、貿易、インフラ、保健、人工知能、グリーンテクノロジー分野で、配線をやり直したルールに基づくリベラルな国際秩序のなかで、はるかに大きな貢献をすることができる。その秩序の制御回路は、主に欧米の首都に所在している。米国にとっても英国にとってもフランスのほうが決定的に重要であるため、オーストラリアはマクロンをなだめるためのスケープゴートにされる可能性もある。

2021年11月3日の<オーストラリアン>紙印刷版1面に掲載されたポール・ケリーによる論説は、「マクロンが欺かれたのは明白、わが国首相に選択肢はなかった」という見出しをつけた。ケリーは、二つの「受け入れ難く」かつ両立し難い「現実」、すなわち「マクロンは欺かれ、モリソンにはそれを彼に伏せるだけのもっともな理由があった」という面から議論を展開した。しかし、カナダ人の歴史家マーガレット・マクミランは、第一次世界大戦の勃発に関する権威ある解説書『第一次世界大戦 平和に終止符を打った戦争』において、「常に選択肢は存在するのだ」と結論している。モリソンは「うそつきで有名」という、マルコム・ターンブル前首相の発言はターンブルの満たされない憤りを反映しているが、ジュリー・ビショップ前外相、ピーター・バーギーズ元外務貿易省次官、ジョン・マッカーシー元副次官による批判は、抑制的でありながらより痛烈である。「通常以上に国内政治のプリズムを通してなされた」(バーギーズの言)外交政策決定により、極めて重要な関係に深刻な亀裂が入る恐れがある。オーストラリアの信頼性と信用性に対する評判は、フランスだけでなく欧州で打撃を受けている

<オーストラリアン>紙の元ワシントン特派員キャメロン・スチュアートは、AUKUSの最高交渉担当者の間で交わされた議論の15ページにわたる機密記録を解析した。この記録には、新たな協定を世界に発表するに至るまでの詳細が正確に記されている。英国または米国から原子力潜水艦を購入するために、既存の900億豪ドルのアタック級潜水艦調達契約が反故にされるということは、同日、2021年9月16日にフランスに伝えられることになっていた。政府高官はフランスの驚きと怒りを予想していたが、AUKUS加盟国は、マクロン個人とフランス全国の憤りの深さを完全に甘く見ていた。10月31日に、モリソンが不誠実だったと思っているかと尋ねられたマクロンは、「思っているのではなく、そうだったと知っている」と答えた。

米国にとっては、オーストラリアよりフランスのほうがはるかに重要である。だからこそバイデンは、G20ローマ・サミットでマクロンにへつらうような発言をした。「米国にとってフランスほど長年にわたる、誠意ある、真っ当な同盟国はない」と、バイデンはマクロンに断言するとともに、潜水艦問題への無作法かつ不調法な対応を謝罪し、パリはキャンベラから話を聞いていると思っていたと述べた。

バイデンが最新情報を知らされていなかった、あるいは単に協定をまとめるまで秘密を守る必要があると把握していたことを忘れてしまったという可能性があるかもしれないが、まずないだろう。最もありそうな説明は、フランスが本気で怒っているという冷静な計算である。フランスは米国に依存していないが、極めて重要なパートナーであり、米国の欧州関与におけるかなめである。オーストラリアには、米国政府の言い分を無理やり飲み込み、受け入れる以外に選択肢はない。

米国、中国、フランスのような大国が追求するのは、帝国的外交政策であり、倫理的外交政策ではない。オーストラリアは、習近平にターゲットにされ、マクロンに嘲られ、バイデンに裏切られている。

オーストラリアがフランス解放のために命を投げ出した兵士たちのことを何度も蒸し返すのは、正直言ってうんざりさせるものだ。オーストラリアは、フランスを解放するために第一次世界大戦に参戦したのではなく、英国とともに戦うためである。それは、米国がオーストラリアを救うために第二次世界大戦に参戦したのではなく、日本に攻撃されたからであるのと同じである。よく知られているように、パーマストン卿は、国家には永遠の敵も永遠の味方もない、あるのは永遠の国益のみだと言った。それは、原子力潜水艦に関するオーストラリアの心変わりを正当化すると同時に、フランスをなだめようとする米国の姿勢を正当化する。それが世の中の仕組みであることを理解し、ふてくされる代わりにリアルポリティークに取り組む成熟度がオーストラリアには必要である。

ラメッシュ・タクールは、国連事務次長補を努め、現在は、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院名誉教授、同大学の核不拡散・軍縮センター長を務める。近著に「The Nuclear Ban Treaty :A Transformational Reframing of the Global Nuclear Order」 (ルートレッジ社、2022年)がある。

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2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、人類が今日直面している最も重大な諸問題に対処するための多数の国々のコンセンサスを表している。17の目標は多くの次元を持ち、互いに結びついている。同時に、気候変動危機は人類の生命そのものへの最も深刻な脅威であり、この30年でより悪化している。他方で、SDGsの第13目標は「気候関連アクション」に特に関連しており、気候危機はその他多くのSDGsの達成に影響を与える可能性が高いとみられる。

40年以上前、国際社会は、第1回世界気候会議において、科学的知見を基にして、「地球に対する人類の活動が拡大し続ければ、気候が地域的に、さらには世界全体で変化する可能性に対する重大な懸念」を表明した。それ以降、こうした懸念や気候問題は世界で拡大しつづけ、国際社会は1992年の地球サミットで「国連気候変動枠組み条約」(UNFCCC)を採択した。

UNFCCCは、先進国および途上国の責任を条項化して、国際協力の基本原則を打ち立てた。歴史的に見れば、世界の人口のわずか2割しか占めていない先進国が、世界の温暖効果ガス排出のおよそ7割の責任を負っている。UNFCCCは、過去および現在の温室効果ガスの排出は先進国を原因としていることを認識している。従って、先進国はこの責任を引き受け、気候変動との闘いを主導し、条約上の義務を遵守する途上国の取り組みを資金面で支援するなど、途上国支援を行うべきことが期待されている。

この条約は次に2015年のパリ協定につながった。同協定は「産業革命前からの世界の平均気温上昇を『2度未満』に抑える。加えて平均気温上昇『1.5度未満』を目指す」との世界的な目標を打ち立て、「こうした活動が気候変動のリスクと影響を相当程度に減ずると認識する」とした。それ以降、上記の目標を達成するための国別目標である「国が決定する貢献」(NDCs)を各国は採択した。パリ協定では、NDCsは5年ごとに検討され、毎回より高い目標を設定することが望まれている。

このように進歩してきた国際協力でも、気候危機に対抗するには不十分だ。地球温暖化は前例のないペースで進んでいる。気候変動に関する最新のIPCC報告書(2021年8月)は、今後30年間で気温が1.5度上昇する5つのシナリオを示している。この科学的機関の分析によれば、5つのシナリオすべてにおいて、今後20年間(2021~2040)のうちに1.5度気温が上昇してしまうという。

credit: IPCC Sixth Assessment Report

残念なことに、地球の気温が上昇すれば必ず人間の生活に悪影響を及ぼす。IPCCの2018年報告書によれば、気候変動は人間の生活のほぼすべてに悪影響を与えているという。例えば、マラリヤやデング熱のように病原媒介生物による疾患が増えるであろうことからも、健康への影響があることがわかる。熱波がより頻発するようになり干ばつや洪水を引き起こし、農業がさらに難しくなり、作物の収穫量が減り、食料不足を引き起こす。

海水面の上昇は、今後数十年で水面下に沈んでしまうかもしれない沿岸地帯の人々に明らかに影響を及ぼす。小島嶼国はこの点で特に脆弱である。北極の夏は既にほぼ氷がない状態に近づきつつある。いったんその状態になるとそれは毎年続くことになるが、この状態は過去200万年の間、起こったことがない。虫や植物、脊椎動物の多くの種が絶滅の危機に立たされるだろう。もし2度上昇に達することがあれば、事態はより深刻になる。

状況はあまり芳しいものではない。2020年は既に、史上3番目に暑い年だった。地球の平均気温は産業化前の段階より1.2度高く、この気温だけでも、西ヨーロッパや日本、中国で洪水が起こり、イラクで干ばつが起き、北米・南米・オーストラリアなどで熱波や山火事などが発生している。2021年5月、世界気象機関(WMO)は、今後5年のうちに産業革命前からの世界の平均気温が1.5度上昇する可能性は40%だと警告している。

UNFCCCの第26回締約国会議(COP26)はこのような状況の下で10月31日から11月12日まで開かれる。この会合に期待される大きな成果は、より野心的なNDCsで2030年までに1.5度以内を達成するという大きな目標であり、「適応に関するグローバル目標」、気候変動ファイナンスに関する新たな集合的数値目標(2025年以後)、パリ協定の実施指針(ルールブック)における未決定要素である第6条(市場メカニズム)について合意といったことである。

これらの問題は、途上国にとって極めて重大な意味を持つ。気候変動への闘いにおいて途上国が貢献することを可能にする重要な問題の1つは、気候変動ファイナンスだ。途上国の各政府は、それぞれの社会経済的なニーズや増加する対外債務に悩まされている。コロナ禍がさらに状況を難しいものにしている。

適切な履行手段がなければ、これらの国々はパリ協定の目標を達成できないかもしれない。国際社会、とりわけ先進国は、自らの国際公約の実行と並んで、途上国による気候変動対応を支援する決定的な行動をとることを考えなくてはならない。

1つだけ明白なことは、もし人類が気候危機を止めることができないならば、SDGsの多くを2030年までの枠内で達成することは極めて困難だということだ。既に説明したように、人々の健康状態が影響を受けるだけではなく、食料安全保障や清潔な水の入手、衛生面での影響もある。気候変動はまた不平等を加速する。環境危機において最も被害を受けやすいのは社会的弱者だからだ。

私たちは、COP26において、全ての当事者、とりわけ先進国が、気候危機への実際的な解決策を見つけるという見通しの下に、途上国のニーズと利益を考慮に入れるよう期待している。(原文へ

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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膨大な温室効果ガス(牛のゲップ由来のメタンガス)を排出するとして、先進国では畜肉に代わる植物由来の代替肉の使用を推奨する動きや、なかには極論として「地球を救うには、牛と車とどちらをキープするか?」という議論さえされるようになっている。先進国の工業的牧畜業の弊害に対処する必要性は強く支持しつつも、畜産そのものを一括して「悪」とする風潮に警鐘を鳴らした報告書「 Are livestock always bad for the planet(家畜は常に地球にとって悪しきものなのか?) 」の著者とのインタビュー記事。COP26直前に報告書を発表した著者は、先進国視点に偏った「畜産をひとまとめにして悪とする論議」には、他の穀物生産が不可能で牧畜が地域住民にとって唯一の収入・栄養源となっている地域が世界各地に存在することや、生物多様性の保護、山火事の低減につながっている側面などが無視されている、と指摘している。(原文へ

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