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|インタビュー|セミパラチンスク核実験場で犠牲になった人々も「ヒバクシャ」

【国連ニュース/INPSJ=ナルギス・シェキンスカヤ】

「4年前、セミパラチンスク核実験場跡地を訪れたとき、360度あれだけの荒涼とした大地を目の当たりにして、私は本当に衝撃を受けました。」と、日本の非政府組織(NGO)創価学会インタナショナルの寺崎広嗣平和運動総局長は国連ニュースサービスのインタビューに応えて語った。

I Want To Live On: The Untold Stories of the Polygon. Documentary film. Credit:CISP

核兵器禁止条約第2回締約国会議の一環として、ドキュメンタリー映画「私は生きぬく:語られざるセミパラチンスク」が ニューヨークの国連本部で先行上映された。この映画は、カザフスタンのNGOである国際安全保障政策センター(CISP)が創価学会の支援を受けて制作したものである。

この映画は、ソビエト連邦の主要な核実験場であったセミパラチンスク核実験場にまつわる出来事と核実験により被害を被った人々に光を当てたものである。被爆者らによる率直な証言を通して、核実験がこれまで三世代にわたって地元住民に与えた被害の大きさと今日も続く苦しみを明らかにしている。

ナルギス・シェキンスカヤ国連ニュースサービスディレクター(左)、寺崎広嗣SGI平和運動総局長(右)撮影・編集:Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan

秘密施設

セミパラチンスク核実験場での最初の爆発実験は1949年8月29日に行われ、89年までこの秘密施設では地上と地下の両方で少なくとも468回の核実験が行われた。

ソ連時代の40年間にわたり、夥しい数の地域住民が被曝した。当時、このことについて語ることは禁じられていた。真実が明らかになったのは、カザフスタン共和国がソ連から独立してからである。

核実験場での最後の爆発は1989年10月に起こった。1991年8月29日、大統領令によりセミパラチンスク核実験場は閉鎖された。

現代の被爆者

セミパラチンスク実験場跡地で最も危険な地域では、残留放射線が未だに毎時10~20ミリレントゲンに達している。にもかかわらず、周辺地域にはまだ人々が住んでいる。最近まで、地元住民は汚染された土地の一部を放牧に使っていた。

「戦争で被爆を受けた唯一の国は日本。広島、長崎です。この地の被害者を被爆者と呼んできたわけですけれども、そういう意味では今まで核実験とか、場合によっては核物質の採掘に従事する人々も被爆しているわけです。今までは被害者と呼んできましたが、今はそれら全ての人たちを含めて『グローバル・ヒバクシャ』と呼ぶことが多くなっています。」と寺崎総局長は語った。

Mr. Hirotsugu Terasaki, Director General of Peace and Global Issues, SGI. Photo: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan.
寺崎広嗣SGI平和運動総局長 写真: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan.

「HIBAKUSHA 」は日本語に訳すと「被爆者」である。2014年現在、192,719人の広島・長崎の被爆者が生存している。被爆者の多くは、原爆投下後に晒された放射線被曝が原因で深刻な癌を患っている。

日本の法律によれば、被爆者には、核爆発前と爆発後2週間以内に爆心地から数キロ以内にいた人、そして、放射性降下物に被曝した人、被曝した女性から生まれた子供が含まれる。日本政府は被爆者に毎月手当を支払い、医療を提供している。

何百年も続く汚染

創価学会(創価とは価値創造の意)は、13世紀鎌倉時代の仏教の僧、日蓮の教えに基づく運動体である。核兵器のない地球の未来を積極的に提唱している。ソ連時代に原爆実験が行われた中央アジアのカザフスタンも、核兵器のない世界を求める運動に積極的に参加している。

セミパラチンスク核実験場は、プルトニウムの放射線は2万4千年ごとに半分ずつしか減少しないため、非常に長い間危険をもたらす可能性がある。カザフスタンの人々の後の世代の健康へのリスクは、何世紀にもわたって続くだろう。

1949年から1989年までの期間に、セミパラチンスク核実験場(日本の四国或いはベルギーの国土に相当)では少なくとも468回の核実験が行われた。写真:Nargis Shekinskaya, UN News Service.

「世界各地に被爆者がいることを多くの人に知ってもらうためには、証拠を集め続けることが必要です。よって、カザフスタンの友人やパートナーと一緒に、このドキュメンタリー映画の製作事業を進めることにしました。私たちの努力はその影響力を結集することに重要な役割を担っています。国際社会は、グローバル・ヒバクシャについて認識する必要があります。」と寺崎総局長は語った。(原文へ

INPS Japan

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|平和と安全|仏教の精神的指導者と偉大な作家への追悼

【ベルリンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

「たとえ古い万年筆であっても、偉大な作家のものだったとしたら、後の世の人々はそれを畏敬の念を持って見るものです。なぜなら、どこかでそれは偉大な人の傑作の秘密を明かすことができると感じているからです。」と池田大作氏は、1978年11月に「鏡」と題したエッセイで記している。

Pope Francisco/ Wikimedia Commons
Pope Francisco/ Wikimedia Commons

残念ながらそのようなペンを私は持っていないし、池田氏と直接面談する機会もなかった。それでも、96歳の誕生日を前に逝去した同氏は、「多くの人々にとって精神的指導者でありメンターだった。」と、教皇フランシスコが先般のメッセージで認識したこの人物に敬意を表して、このコラムを記すこととしたい。

フランシスコ教皇はさらに、池田氏の「平和への永続的なコミットメントと、生涯を通じて宗教間対話を促進し続けた取り組みを称賛」した。教皇は、メッセージの中で、「池田氏と同氏のビジョンであるすべての人々の調和を推進するために尽力している人々のために祈りを捧げます」と述べ、メッセージを結んでいる。

創価学会インタナショナル(SGI)は、2023年9月にカトリック系の聖エジディオ共同体がベルリンで開催した国際会議「平和への勇気の声をー宗教と文化の対話」に参加した・これまでも、2019年3月にローマ教皇庁の人間開発のための部署と諸宗教対話評議会がバチカンで開催した「宗教と持続可能な開発目標(SDGs)に関する国際会議:地球と貧者の叫びに耳を傾ける」や、カザフスタンがアスタナで開催した第6回世界伝統宗教指導者会議(2018年10月)、第7回同会議(2022年9月)、そして2022年11月のバーレーン対話フォーラムなど、宗教間対話に参加してきた。ここで宗教指導者たちは、地球規模の問題について率直に意見を交換し、叡智を分かち合った。

7th Congress of Leaders of World and Traditional Religions Group Photo by Secretariate of the 7th Congress
7th Congress of Leaders of World and Traditional Religions Group Photo by Secretariate of the 7th Congress

平和活動と核廃絶の提唱

池田氏の母の存在は「…彼の平和活動の出発点」とされているが、戸田城聖創価学会第2代会長に触発された池田氏は生涯にわたって核兵器の廃絶を一貫して提唱した。1957年の冷戦の最中、戸田会長が翌58年に亡くなる直前に「原水爆禁止宣言」を発表した際、池田氏は師と共にあった。

1960年5月に32歳で創価学会第3代会長(初代牧口常三郎〈1871年~1944年〉、第2代戸田城聖〈1900年~58年〉)として就任して以来、池田氏は、日本を中心に192カ国及び地域に1200万人以上の会員を擁し、90カ国では、その構成団体が法人団体として登録される地域社会に根差した仏教団体として発展する、その先頭に立ってきた。

キラーロボット
INPS Japan Website

1975年には、世界中の創価学会組織を結びつけるグローバルな組織である創価学会インタナショナル(SGI)を設立し、その会長に就任した。8年後、国際連合経済社会理事会(ECOSOC)はSGIを協議資格を有する非政府組織(NGO)として認定した。

創価学会の第3代会長、SGIの創立会長、そして平和、文化、教育を促進するいくつかの国際機関の創設者として、池田氏は対話の変革力を世界的な課題に取り組む中心的手段として唱えた。

SGIの6つの重点分野は、軍縮持続可能性と気候変動人権教育平和ジェンダー平等と女性のエンパワーメント人道支援である。

約15年にわたって、池田氏がINPS JapanIPSIDN)に寄稿した電子メールインタビューやオピニオン記事に反映された同氏の深い知恵、測り知れない慈悲、不屈の精神から私は大いに恩恵を受けてきた。

多才さ

池田氏の多才さと的確で明晰な文章は、私の印象に強く残っている。気候変動対策や核兵器廃絶、その他の大量破壊兵器廃絶の必要性を訴える池田氏の言葉には、緊急の気候変動対策や核廃絶を支持する人々にありがちな、終末論的なシナリオは微塵もない。

ICAN
ICAN

たとえば、「|視点|気候変動:人間中心の取り組み」では、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの箴言「最も多くの人が共有するものは、最も注意が払われにくい」を引用し、一般的な人間の傾向を強調している。この警告は、今日、特に気候変動との戦いにおいて、依然として大いに関連性がある。

池田氏は、昨年1月に発表した緊急提言「平和の回復へ歴史想像力の結集を」の中で「『戦争ほど残酷で悲惨なものはない』というのが、二度にわたる世界大戦が引き起こした惨禍を目の当たりにした『20世紀の歴史の教訓』だったはずです。」と自身の見解を述べていた。しかし、ウクライナ戦争や中東の紛争は、その教訓が学ばれていないことを示している。

|視点|核時代の“終焉の始まり”となるか?」では、次のように主張している。「核兵器に基づく安全保障の奥底には、『目的のためには手段を選ばない』『他国の民衆の犠牲の上に安全や国益を追い求める』『将来への影響を顧みず、行動をとり続ける』といった現代文明に深く巣食う考え方がある。核問題の解決は、このような考え方を乗り越える挑戦でもあると考えてきました。」

国連の中心的役割

UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri

池田氏は、平和のためのフォーラムとして国連の中心的役割を固く信じていた。1983年から2022年にかけて、40回に亘って平和提言を毎年執筆し、軍縮と核兵器の廃絶、環境保護、人権の促進など、今日の重要な課題についての仏教の視点と具体的な提案を提供した。また仏教の原則に根差した人間主義の哲学を展開し、世界市民教育を提唱した。

「問題なのは、その映り方の違いによって、自分の意識にないことが自分の世界から欠落してしまうことだ。その結果、ある人々にとって『かけがえのない重み』を持つものが奪われる危機が生じていても、多くの人が気づくことなく事態が悪化してしまう恐れがある。」と池田氏は記している。

池田氏は仏教の評論から伝記的エッセイ、詩、子供向けの物語に至るまで、250冊以上の翻訳作品を出版した多作な作家でもあった。また、創価学会の歴史を小説化した『人間革命』(全12巻)、『新・人間革命』(全30巻)を執筆した。

仏教哲学者であり教育者でもある池田氏は、英国の歴史家アーノルド・トインビーやミハイル・ゴルバチョフ元ソビエト連邦大統領など、文化、教育、異なる信仰伝統の分野で活躍する世界中の著名人とも対話を行い、人類が直面する複雑な問題に取り組む方法を明らかにした。これらの対話のうち80以上が書籍として出版されている。

日本への数回の訪問中、私は民主音楽協会(民音)と東京富士美術館(TFAM)を訪問する機会があった。民音は「民衆の音楽」を意味し、世界中の国々との文化交流に取り組んでいる。池田氏は民音を「人類を結ぶ文化交流の大道」として「精神的なシルクロード」と表現した。

2023年に開館40周年を迎えた東京富士美術館のコレクションには、絵画、版画、写真、彫刻、陶磁器、漆芸品から甲冑、刀剣、様々な時代と文化の勲章まで、約30,000点の日本、東洋、西洋の美術作品が含まれている。特に注目すべきは、ルネサンスからバロック、ポストモダン時代にわたる500年間の西洋油絵の優れたコレクションと、写真の類まれな傑作コレクションである。これはまさに「世界への扉」である。

Ramesh Jaura lecturing at Soka University/ photo by Katsuhiro Asagiri, President of IPS Japan
Ramesh Jaura lecturing at Soka University/ photo by Katsuhiro Asagiri, President of IPS Japan

寺崎広嗣SGI平和運動総局長のおかげで、私は日本とアメリカの創価大学を含む創価教育のシステムについて知ることができた。東京・八王子にある広大な創価大学のキャンパスも訪れた。1971年以来、創価大学は人間教育の最高学府であり、新しい大文化建設の揺籃であり、人類の平和を守るフォートレス(要塞)である。

創価大学の留学生交換プログラムは日本国内で最大規模のものであり、世界中の100以上の大学との学術交流協定を結んでいる。2014年には、創価大学は日本の文部科学省によって「トップグローバル大学」の一つに名を連ねた。大学は1985年に開学した創価女子短期大学とキャンパスを共有している。

東京や日本国外での国際イベントで寺崎総局長との長年にわたる対話を通じて、人類の平和と繁栄のために日蓮仏法の人間主義的教えを広める創価運動を私が理解するための窓が開かれた。

広島と長崎を訪れると、被爆者が経験した苦しみと、生き残った人々が今も感じている苦しみを感じる。池田氏は、 「戦争や核兵器に反対して叫ぶことは、感情論でも自己憐憫でもない。それは、生命の尊厳に対する揺るぎない洞察に基づく、人間の理性の最高の表現である。」と述べている。

Photo credit: Hiroshima Peace Memorial Museum, Shigeo Hayashi - RA119-RA134
Photo credit: Hiroshima Peace Memorial Museum, Shigeo Hayashi – RA119-RA134

来日中、私は日本各地の様々な年齢層の創価学会の会員とも話をした。彼らは、「対話と平和のための教育が、不寛容や他者を拒絶する衝動から私たちの心を解放してくれる」という池田氏の信念を共有している。彼らはシンプルな現実を意識している。つまり、「広大な宇宙に浮かぶ小さな青い球体であるこの惑星を、すべての 『乗客』たちと分かち合うしかない。」という現実だ。

Hirotsugu Terasaki, Director General of Peace and Global Issues, Soka Gakkai International (SGI) at the 6th Congress of World and Traditional Religions, Astana, Kazakhstan. Photo: Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan.

95歳で亡くなった池田SGI会長は、G7広島サミットへの最後の提言で次のように述べている。「”闇が深ければ深いほど暁は近い”との言葉がありますが、冷戦の終結は、不屈の精神に立った人間の連帯がどれほどの力を生み出すかを示したものだったと言えましょう。…今再び、民衆の力で『歴史のコース』を変え、『核兵器のない世界』、そして『戦争のない世界』への道を切り開くことを、私は強く呼びかけたいのです。」

「この言葉を胸に、諦めない勇気を携えて、協働の道を進んでいきたいと思います。」と寺崎総局長はIDNのインタビューで語った。(原文へ

INPS Japan

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NATO拡大論者がインド太平洋に注目

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=ラメッシュ・タクール

NATOの初代事務局長(SG)を務めたイスメイ卿が、NATOの目的は「米国を取り込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込むことだ」と述べたのは有名な話である。冷戦終結により、国際関係と世界秩序の基盤に大きな変化が訪れるという期待が生まれた。しかし、歴史の黄昏の中にそっと消えゆくのではなく、NATOは新たな役割を模索する同盟となった。その目的は、米国を取り込み、ロシアを押さえつけ、国連を締め出すことへとねじ曲げられた。ロシアが大幅に力を削がれ、超大国の栄光は見る影もなく貧困化し、国土も人口も縮小した今、NATOの目的は今一度変わり、弱ったロシアに蹴りを入れ、米国を救い出し、中国を封じ込めることになりつつあるかもしれない。(

オーストラリアは、再び保安官代理の星型バッジを着けてNATO軍団と相乗りするべきだろうか? むしろオーストラリアは、台湾をめぐって戦争をしないよう米国を説得し、万が一戦争になるとしても事前にそのような戦争への取り組みにはコミットしないとしたほうが良さそうだ。

NATOのインド太平洋妄想

NATOは、英国、フランス、ドイツ、イタリアなど、歴史的に敵対してきた欧州の大国間に軍事的安全保障、政治的安定、集中的な経済協力を生み出し、維持してきた。その支持者らは、NATOがソ連による加盟国の攻撃を抑止してきたとも信じているが、ソ連がそのような狙いを持っていたという証拠はどこにもない。冷戦が終わり、新たな、いまだ定義されていない時代へと歴史的な移行が生じる中、40年にわたってNATOが築き上げてきた軍事的、官僚的、組織的、政治的資産は、混乱と急速な変化の時期に安定をもたらす力であり、出現しつつある新秩序を形成する手段でもあった。しかし、その後、NATOのリーダーたちは、純粋な欧州内の防衛同盟だったものを欧州外で集団的軍事力を投射する同盟へと変容させようという誘惑に駆られたのである。

イェンス・ストルテンベルグは、第13代NATO事務総長に就任した。彼は2022年11月のブルームバーグとのインタビューにおいて、また2023年2月のミュンヘン安全保障会議においても、独裁国家ロシアへの過度な依存という過ちを中国に対して繰り返してはならないと、NATO諸国に警告した。ウクライナ戦争は、「安全保障が地域的なものではなく、世界規模のものだということを示している。現在欧州で起こっていることは、今後アジアでも起こる可能性がある」とも述べた。

彼の前にNATO事務総長であったアナス・フォー・ラスムセンは、2015年4月17日のアルジャジーラの討論番組で、NATOを「世界でこれまで知られてきた中で最も成功を収めた平和運動」と評した。NATOの元最高司令官である米国のジェイムズ・スタブリディス大将(退役)は、2019年4月15日の「タイム」誌への寄稿で、「なぜNATOは世界平和に不可欠か」を説明した。

これは昔ならば真実だったかもしれないが、現在の状況では妄想的である。

この軍事同盟の事実上のリーダーは米国である。1945年以来、米国は他のどの国よりも多くの国に対して爆撃を行い、制裁、監視、軍事介入によって外国政府の体制変更に関与してきた。2023年6月7日に米議会調査局が発行した年次報告書によれば、1798年から2023年4月までの間に米国は、合計500回近い海外派兵(実際の武力行使とは異なる)を行い、そのうち57%は冷戦終結後になされた。米国は単独で、全ての外国軍基地の5分の4を占めている。The Soldiers’ Projectのエバレット・ブレッドソーによれば、米国は約80カ国で約750カ所の海外基地を展開している。それに対して、英国は145カ所、ロシアは30カ所程度、中国は5カ所である。現在米軍は、約17万人の軍事要員を海外に派遣していると推定される。

1999年に米国が主導してNATOが行ったコソボへの軍事介入は、国際法、国連憲章、そしてNATO自身の憲章に違反する侵略行為だった。際限のないNATO拡大は、直接ロシアの国境まで容赦なく迫り、ロシアの軍事行動を抑止するどころか誘発した。ワシントンで幅を利かせ、海外の紛争地に軍事行動で対応するプレイブックにどっぷり浸かっているネオコンが、台湾問題をめぐって中国を相手に同じ作戦を繰り返す準備をしているとしたら、どうなるだろうか?

NATOは、憲章により北大西洋に限定される

北大西洋条約第5条は、締約国であるNATO諸国は「欧州または北米における1カ国またはそれ以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃と見なすことに合意」し、武力行使を含む個別または集団の対応が必要であると定めている。第6条は、第5条に定める武力攻撃とは (i) 「欧州または北米におけるいずれかの締約国の領土」、および (ii) 「いずれかの締約国の軍隊、船舶、または航空機で、前記の領土または欧州内の他の地域またはそれらの上空にあるもの」に対する「攻撃を含むと見なされる」と明確にしている(いずれの条項も、強調は筆者によるもの)。

アジア太平洋パートナー(オーストラリア、ニュージーランド、日本、韓国)は、米国の優位性を保ち、中国を封じ込めるためのNATOのグローバル化に加担することに意欲的なようだ。これら4カ国はいわゆる「グローバルパートナー」グループにも入り、NATOとの個別の取り決めやAUKUSのような補足協定を結んでおり、それらはNATOにとって足掛かりとなっている。日本は、NATOと新たなパートナーシップ協定を結び、NATOの事務所を東京に開設するようである。

しかし、東京事務所を含むNATOのアジア進出計画に待ったをかけたのが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領である。これではNATOに付託された権限が本来の焦点からあまりにもかけ離れてしまうと主張するエリゼ宮高官は、「NATOとは、北大西洋条約機構という意味だ」と言い、北大西洋条約第5条と第6条は「地理的なもの」だと言い加えた。その後、NATOは、コミュニケから東京事務所への言及を削除した

また、米国が待ち構えていたかのように、貿易、金融、そして国際通貨としてのドルの役割を兵器化するという問題もあり、手段を選ばず他国の体制を変更してきた歴史もある。西側の大国が国際金融・ガバナンス構造における優位性を兵器化しようとしていることを、今や、他の多くの国々は自国の主権と安全保障に対する脅威と認識している。

2009年8月3日にブリュッセルで開かれた記者会見で、ラスムセンは、NATOが「自由、平和、安全保障という共通の価値を守る民主主義国のコミュニティーで」あり、「いまだかつてないほど多くのことを、多くの場所で行っている」と述べた。しかし、その対象と影響の範囲をアジアや太平洋まで拡大しようという夢は、失地回復を狙う新植民地主義的な考え方の最新の表れといえるかもしれない。

第1に、1949年にNATOが設立されたとき、ポルトガルは民主主義国家ではなかった。第2に、欧州で最も長い歴史を持つ民主主義国家の全てがNATOに加盟しているわけではない。スイスは、その中立性を用心深く守っている。とはいえ、北大西洋地域におけるほぼ全ての民主主義国家がNATO加盟国であることは事実である。

また、NATO加盟国の全てが植民地支配の過去を持っているわけではない。しかし、歴史的に植民地支配を行った欧州国家は全てNATOの加盟国であるということも事実だ。アルファベット順に言うと、ベルギー、フランス、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペイン、英国である。多くの西側諸国は今、自国の歴史、銅像、博物館、教育課程を脱植民地化し、浄化して、植民地支配の罪の残滓と残響を取り除くことを求める声に揺れている。それなのに、安全保障分野ではインド太平洋に集団で乗り込み、植民地主義の記憶を呼び起こすリスクを冒そうというのは何とも奇妙なことだ。2021年9月にAUKUSが初めて発表された段階で、インド太平洋の運命は自分たちが決めると言わんばかりの3人のアングロサクソン国家の古臭くて生白い男性リーダーたちは、十分に印象を悪くしたではないか?

ラメッシュ・タクールは、元国連事務次長補。現在は、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院名誉教授、同大学の核不拡散・軍縮センター長、および戸田記念国際平和研究所の上級研究員を務める。「The Nuclear Ban Treaty :A Transformational Reframing of the Global Nuclear Order」の編者。

INPS Japan

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この記事は、聖教新聞電子版が配信したもので、同社の許可を得て転載しています。

核兵器禁止条約の第2回締約国会議が11月27日から12月1日までアメリカ・米国ニューヨークの国連本部で開催された。創価学会インタナショナル(SGI)はカザフスタン共和国国連代表部等と関連行事を開催(11月28日、国連本部で)。同国の核実験被害者の証言をまとめたドキュメンタリー映画を上映した。聖教新聞では、同映画をSGIと共に制作したCISP(国際安全保障政策センター)のアリムジャン・アフメトフ代表にインタビューした。(聞き手=同新聞社記者)

――核兵器廃絶への取り組みを始めた理由を教えてください。

私は長年、カザフスタン共和国の外務省に勤めていました。転機となったのは、2015年にアメリカ・ニューヨークの国連本部で開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に参加した時のことです。多くのNGOが参加しており、声を上げていました。

しかし、カザフスタンからは、一つのNGOも参加していなかったのです。わが国には核実験場がかつて存在し、多くの方が今も苦しんでいます。だからこそ、核兵器廃絶に向けて、カザフスタンが国際社会でリーダーシップを発揮すべきであり、わが国からも多くの市民が声を上げるべきだと感じました。

そこでCISP(国際安全保障政策センター)を創設しました。以来、CISPは、SGIと様々な関連行事を開催するなど、あらゆる取り組みを推進しています。

ーー映像制作の経緯をお聞かせください。

カザフスタンでは、約150万人が核実験の影響を受けて苦しんできましたが、記録された証言は多くはありません。より大勢の人に、核被害者の真実を伝えるための、映像制作を始めました。

CISP(国際安全保障政策センター)がSGIの支援を得て制作したドキュメンタリー「私は生きぬく:語られざるセミパラチンスク」。12/28のサイドイベントで先行公開され、参加者から大きな反響があった。映像:CISP

私自身、核被害者が住む地域を訪れ、直接、映像に出演してくださる方々を探しました。整備されていない道を通り、車で6,7時間をかけて街に向かったこともあります。

長時間かけて訪問したとしても、映像制作の趣旨に賛同いただけず、出演を断る人もいました。「これまで、何度も核実験被害の証言をしてきたが、結局、現実は何も変わらなかった。もう、話したくない」と言われたこともありました。そこには、被害者への支援が足りていない現実があるのです。

一方で、当初は出演に対して消極的だったものの、私が首都のアスタナから来たことを伝えると、出演を承諾してくださった人もいます。首都から来た人のプロジェクトであるならば、政府などの必要なところに声を届けてくれるはずだと信じてくださったのかもしれません。「この証言映像が希望です」と語られ、核被害者への支援などが改善されることを願われていました。

ーー今回の第2回締約国会議には、カザフスタンの若者も参加しました。

第2回締約国会議のサイドイベントには、カザフスタンから被爆3世のアイゲリム・イェルゲルディが参加して証言を行った。映像:INPS Japan浅霧勝浩

カザフスタンの青年の代表が、今回の会議に参加できたことは画期的なことだを感じています。核兵器廃絶に向けて、青年の参画は非常に重要です。

私は以前、研修プログラムの一環で、ある国の若い外交官を核実験場の跡地へ案内したことがあります。彼らは核軍縮の必要性は感じつつも、核兵器廃絶については考えていないようでした。しかし、核実験被害者の実相について学んだ後に意見を交わすと、核兵器廃絶を本気で考えるようになっていました。

今の青年が将来、各団体や各国の重要な役割を担っていきます。だからこそ若い世代への軍縮教育が大事になってくるのです。

ーー日本の読者へのメッセージをお聞かせください。

セミパラチンスク核実験場における核実験 資料:国立原子力センター
セミパラチンスク核実験場における核実験。1949年から89年まで、ソ連軍により456回の核実験が実施された。 資料:国立原子力センター

日本とカザフスタンは、核被害に苦しんだ過去があるからこそ、核兵器廃絶を実現するための、世界をリードする使命と責任があります。

市民社会の役割は非常に重要です。NGOの草の根の取り組みは、小さいことのように思えるかもしれませんが、川の流れが少しづつ岩を削るように、取り組みを長く続けていくことで必ず変化を起こすと確信します。

現在、世界は核兵器廃絶から逆の方向に向かっているように見えます。しかし、世界を良い方向へと転換するまで、私たちは諦めてはいけません。核兵器をゼロにするその日まで、共に平和への行動を続けましょう。

INPS Japan/『聖教新聞12月8日付を転載」

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【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】

Portrait of Trotsky/ By LeonidasTheodoropoulos - Own work, CC BY-SA 4.0
Portrait of Trotsky/ By LeonidasTheodoropoulos – Own work, CC BY-SA 4.0

かつてウラジーミル・レーニンに近い立場にあったレフ・トロツキー「あなたは戦争に関心がないかもしれないが、戦争の方ではあなたに関心があるのだ」と言ったとされる。核兵器使用の可能性が取りざたされるこの時代にあって、立ち止まってこの言葉の意味をゆっくり考えてみるべきだ。

対ロシア・対ウクライナ政策について、ジョセフ・バイデン大統領こそがこのことをよく考えてみるべきだと思われる。それはロシア自体に直接挑戦する危険性があるからだ。米国がビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの歴代政権を通じて北大西洋条約機構(NATO)の境界線を強引に(東に)前進させたのち、バイデン大統領が、外交政策に関する豊かな経験を活かして、その動きに歯止めをかけてくれるものだと期待した人もいただろう。

NATOに加盟する国の数が増えたことで、1991年に冷戦が終結した時点では消滅したと考えられていたロシアと米国および欧州の敵対関係が、このようなレベルにまで拡大したのである。

私たちが生きているうちは国際協調を基調とする平和な時代が続くだろうと考えられていたが、実際には、ロシアが核の威嚇を繰り返し、米国はロシアの国境ぎりぎりまでNATOの境界線を広げようとし、ウクライナへのロシアの軍事介入に激高して経済制裁に訴え、ウクライナの戦争機構に物資を送り続けている。

西側諸国とロシアの間に戦争が起こるという観測もある。トロツキーは正しかったのか? フランスがフランスであり続け、NATOのいかなる軍事行動にも拒否権を発動する限り、そのようなことは起きそうにないが、(ワーテルローの戦いでナポレオン・ボナパルトに勝利したウェリントン公爵が言ったとされる)「とんでもない危機一髪の出来事」になるかもしれない。

ウラジーミル・プーチン大統領に領土的野心はないものと私は見ているが、他国から脅威を受けることはないロシアをめざしてはいるだろう。

米国はいかにロシアを騙したか

それは、ロシアの初の民選大統領であるボリス・エリツィンの時代にまで遡る。エリツィン大統領は時をうまく利用したが、時としてクリントン大統領に利用されることもあった。クリントン大統領はしばしば、あまり体調の良くないエリツィンが疲労し、ウォッカを飲みすぎた夜間を狙って難しい交渉を持ちかけてきた。

Mihail Gorbachev/ Katsuhiro Asagiri
Mihail Gorbachev Photo:Katsuhiro Asagiri、President of INPS Japan.

冷戦終結において西側のパートナーであったソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領は、ブッシュ大統領やドイツのハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー外相と、ドイツの再統一を認め、統一ドイツをNATO加盟国とする見返りとして、NATOのこれ以上の東方拡大は行わないという了解を得たと考えていた。

実際、ゴルバチョフ大統領がプーチン大統領と同じように表現したように、ロシア自身がNATO加盟国になり、ロシアが「ヨーロッパの家」に加わる構想が真剣に協議されたこともある。ヘンリー・キッシンジャー、ズビグニュー・ブレジンスキー、ジョージ・ケナンといった米国外交の重鎮たちはみな揃って、NATOをあまりに(東に向かって)遠く、あまりに早急に拡大することでロシアを追い詰めないよう警告していた。

NATO's Eastward Expansion/ Der Spiegel
NATO’s Eastward Expansion/ Der Spiegel

クリントン政権時の国防長官ウィリアム・ペリーもまた、英国紙『ガーディアン』が主催した会議で、「(冷戦の終結によって)米ロ間で得られた利益はロシアではなく米国の行動によって「浪費」されてしまった。」と指摘したうえで、「この数年、非難の大部分はプーチン大統領の行動に向けられてきた。しかし、初期には米国にも非難されるべき点があったと指摘せざるを得ない。我々を悪い方向に導いた最初の行動は、東欧諸国を取り込んだNATOの東方拡大であった。」と語った。ペリー元国防長官はさらに、「困難に陥ったかつての超大国に対して米当局が侮蔑的な態度を取ったことがこの決定の背景にある。」と指摘した。

第二の大きな過ちは、ブッシュ政権が、ロシアからの激しい反発を押し切って、東欧にミサイル防衛システムを導入したことだ。「イランからの核ミサイルから防衛するというのがその正当化理由であった。しかし、イランのミサイルにそのような射程はなく、核兵器を運搬する能力もなかった。ロシアは『ちょっと待ってくれ、それではロシアの防衛能力が弱まる』と抗議した。しかし、米国の決定は、それ自体に利点があるかどうかという観点よりも、『ロシアがどう考えようが関係ないだろう?』という見方からなされてしまった。」

ウクライナの革命を支援

オバマ政権はその後、東欧を拠点とするミサイル防衛システムを変更し、長距離迎撃ミサイルを中距離迎撃ミサイルに置き換えた。ロシアはこれを歓迎したが、ミサイルが依然としてロシアに向けられる可能性があることを指摘し、ミサイルがロシアに向けられないという保証と確約を求めた。

その後、米国とEUは、ウクライナの革命を支援するという決定を下した。しかし当時控えていた選挙は、おそらくロシアに同調する政府を退陣に追い込むものであったため、それを正当化する理由はなかった。また、西側の政策は、ファシストの流れを汲む組織のメンバーである過激派を容認することを意味した。

非常に腐敗した国家の政治的渦中に介入する代わりに、オバマとその後継政権は、米国とロシアが保有する核兵器の削減にエネルギーを集中すべきだった。(オバマはロシアと核軍縮協定を結んだ最後の大統領であったが、それはかなり限定的なものであり、それまで米国によって破棄された核軍縮条約を補うものではなかった)

バイデン大統領は正しいことをして損害を修復し、トロツキーの間違いを証明できるだろうか?彼の現在の政策から判断すると、私はそれを疑い始めている。ウクライナ紛争は、より悪く、より包括的なものへの足がかりになるかもしれない。「戦争は西側諸国を追いかけている」のである。(原文へ

INPS Japan

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太平洋小島嶼国にとって、COP28は気候正義という砂漠の「オアシス」には小さ過ぎる

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=ジェームズ・バグワン】

アラブ首長国連邦で開催されたCOP28の成果について熟考を重ねているが、ドバイ砂漠の砂塵が徐々に収まりつつある。

実際のところ「ドバイ合意」は、太平洋の小島嶼開発途上国とそれが代表するコミュニティーにとって何を意味するのだろうか? 小島嶼国連合(AOSIS)が全体会合の場に参加してもいない間に、つまり何の介入もできないうちに、いわゆる合意が採択されてしまったという事実は、争点は常に「化石燃料(Fossil Fuel)」という「Fワード」となるCOPの姿を示している。(

早い段階で「損失と損害」基金に関する議案が採択され、資金拠出が表明されたことは歓迎すべきニュースだが、この決定がもたらすはずの喜びに水を差したのは、基金の運用や最も脆弱で最も責任のない国やコミュニティーによる基金へのアクセス、影響を受けるコミュニティーの尊厳や価値を保つ形で非経済的な損失と損害を算定する方法などに関して、なすべきことがなおも多いということである。最初から、太平洋島嶼国は立場を明確にしていたし、パリ協定が2015年のCOP21で採択されて以降それは明確だった。すなわち、これ以上極端で不可逆的な気候影響を回避するためには、産業革命以前と比較した世界の平均気温の上昇を1.5°C以内に抑えるべきだという立場である。太平洋諸国による“生き延びるために1.5度達成を(1.5 to stay alive)”というスローガンは、パリ会議以降のCOPで毎回掲げられている。今年は太平洋小島嶼国にとって1.5は「レッドライン」だった。「もし」も「しかし」もない。

太平洋地域の教会は、太平洋の人々を代表して政府のこのような姿勢を継続的に支持しており、緩和に関する具体的解決策(化石燃料の段階的廃止)を伴わなければ、適応や「損失と損害」に対する資金提供は「血の代償」であると一貫して主張してきた。2023年のCOP28では、太平洋の政府、教会、市民社会、活動家らが団結してこの立場を主張した。すなわち、化石燃料からの早急かつ公正な移行を実現するとともに、適応のため、ならびに非経済的なものを含めた損失と損害への資金提供のために多額の資金を新たに用意することによって、“生き延びるために1.5度達成を”の「一線を譲らない」ことを主張したのである。

8年前にパリ協定が結ばれてからわれわれの惑星はどのような状況にあるのか、何をなす必要があるのかに関するグローバル・ストックテイク(GST)最終文書は、化石燃料にごく簡単に触れたのみである。これは由々しきことではあるが、移行に関連する抜け穴に比べればまだ可愛いものだ。科学への力強い言及があったことは高く評価された。また、各国が2025年までの「国が決定する貢献」を策定し、より良いものを提出しようとする努力を後押しするマイルストーンを定めた明確な道筋と、技術実施プログラムの設立がそれを補足した。しかし、これらの決定は、気候変動による影響を不釣り合いに大きく受けているAOSISの39の小島嶼開発途上国にとっては、「レッドライン」に及ばないものだった。化石燃料からの自発的かつ非拘束的な「移行」を求め、いかなる誓約や計画、強制力のある改善措置も定めない妥協文書を採択したことで、COP28は、AOSISが「行動と支援における飛躍的な変革」としての「軌道修正」と呼ぶものを提供することはできず、代わりに平常運転を維持することを選んだのである。AOSISによれば、COP28の結果は後退である。

とはいえ、2週間にわたるCOP28の会期中に一部の化石燃料産出国が「化石燃料不拡散条約イニシアチブ」に署名したことは、有意義なことである。気候変動が小島嶼国に、ひいては自国のコミュニティーに及ぼす影響に対処するため、化石燃料経済からの公正な移行に尽力することを約束する国は増え続けており、太平洋地域の周縁に位置する東ティモールや石炭と石油の両方を産出するコロンビアもそれに加わった。COP28終了までに化石燃料不拡散条約イニシアチブに署名した国はすでに12カ国に上り、キャンペーンへの賛同を表明と見なし得る国も増え続けている。

興味深くもCOP28に先立って発表された教皇フランシスコの回勅「ラウダーテ・デウム」(Laudato Deum)は、既存文書(2015年の回勅「ラウダート・シ」)を補完する初めての回勅であり、また、ドバイにおけるCOP28の全体会合に向けた一国(バチカン)の元首としてのメッセージでもあり、化石燃料時代を終わらせることを求めるものだった。バチカンは現在、署名の可能性を視野に入れて化石燃料不拡散条約に関連する文書の検討を行っている。それは、一国家だけでなく世界最大の宗教団体の一つを代表するものとなるため、実現すれば非常に大きな意味を持つ。

信仰・宗教団体は、COPにおいて興味深い動きを発揮し続けている。COP28では「信仰パビリオン」が設置され(主催者によれば費用は約150万ドル)、国連環境計画、ムスリム長老評議会、持続可能な開発のための宗教間対話センター、監督派教会カリフォルニア司教区、その他多くの信仰に基づく団体が資金を提供した。これは、化石燃料不拡散条約の支持など、気候変動対策に重点を置いた大規模な宗教間運動の結果である。COP28の期間中、パビリオンは、気候行動に向けた宗教間の交流と協力を促進する革新的かつ包摂的なスペースとしての役割を果たした。思索のスペースのほか、信仰パビリオンでは、先住民コミュニティーのための気候正義、環境再生の取り組み、損失と損害、気候運動におけるフェミニストや若者のリーダーシップ、グリーンファイナンスといったテーマに関する公開討論会を開催した。

COP28で公表された宗教間合同の呼びかけは、信仰パビリオンでの議論を反映し、政策決定者や意思決定者に次のように呼びかけた。

  • グリーン経済への公正な移行を優先する
  • 化石燃料不拡散条約を採択する
  • 気候交渉において種と生態系の保護を優先する
  • 新規かつ持続的な資金源や緑の気候基金への新たなアクセス方法を提供する
  • 「損失と損害」基金への公正かつ包摂的なアクセスのため、資金源を拡大し、多様化する

信仰心の篤い地域であるがゆえに、COP28における太平洋教会協議会(PCC)の存在は信仰パビリオンを越えて広がった。PCCは、太平洋諸国の代表者やAOSISの交渉者に聖職者による精神的支援を行い、2者間協議、特に化石燃料不拡散条約に関するバチカンとの協議に参加し、活動家らとともに行動を起こした。COP28の議長国やリーダーたちには“生き延びるために1.5度達成を”が確実に守られるよう迫り、最も影響を受けた国々の代表者には、資金拠出、公正、迅速、「永久的」な化石燃料の段階的廃止などを要求する「一線を譲らない」よう求めた。

COP28の成果が期待外れであった一方で、化石燃料不拡散条約イニシアチブや、気候変動と人権について国際司法裁判所の勧告的意見を求める動き(太平洋地域が主導した)が示しているのは、COPの相変わらずの膠着状態を打破して前進する解決策や手段として、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の枠外のプロセスに目を向ける国々が増えているということだ。これは、30年にわたるプロセスが気候危機への対処にほとんど成功を収めていないことへの苛立ちというだけでなく、最もリスクにさらされた人々による革新的なアプローチとして認識される必要がある。それは希望と現状への抵抗の兆しであり、Pacific Climate Warriors(太平洋地域の青年たちによる気候変動行動団体)の言葉を借りるなら「われわれは溺れてはいない! 戦っているのだ!」ということを示している。それはドバイにおける、気候正義という砂漠のなかで太平洋のわれわれが持ち得た唯一の青いオアシスだった。

ジェームズ・バグワンは、太平洋教会協議会の事務局長。

INPS Japan

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【国連IDN=タリフ・ディーン】

核攻撃から自らを守るということを口実にして核保有することは正当化できるだろうか?

この議論は「核抑止」概念を下敷きにしている。核兵器は核攻撃を抑止するためのものである――広く問題視されているこの理論はたちまち次のような疑問を惹起する。すなわち、もしウクライナが核保有国だったらロシアはウクライナを攻撃しただろうか?

アフガニスタンやイラクへ侵略、リビアの指導者ムアンマル・アル・カダフィの失脚は、おそらくひとつの事実によって促進されたのだろう。それは、いずれの国も核兵器を持っていなかったか、(リビアのように)核兵器開発を断念していたことである。

北朝鮮のある外交官は、米国や西側諸国による侵略はもしこれらの国々が核武装していれば起こらなかったと指摘しながら、「だからこそ、われわれは核兵器をあきらめてはならないのだ。」と語ったという。

しかし、2017年にノーベル平和賞を受賞した、世界100カ国以上の非政府組織の連合体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は「抑止は証明されていない賭け(ギャンブル)に過ぎない。それによって人類の将来をリスクにさらす理論であり、核兵器を使用すると暗に示唆することが前提になっている。このために世界が核戦争に近づいたことが何度もあった。」と述べている。

ICANによれば、1週間に及び12月1日に終了した核兵器禁止条約第2回締約国会合では、核保有国やその同盟国がこだわっている核抑止のドクトリンについて、人間の安全保障への脅威であり、核軍縮への妨げであるとの主張がなされたという。

核抑止ドクトリンへの非難

ICAN
ICAN

ICANのメリッサ・パーク事務局長は「核禁条約締約国がニューヨーク国連本部での締約国会議で核抑止ドクトリンを非難したことはきわめて重要な動きだ。」と語った。

核抑止がこの地球の生命の将来に対して呈する脅威について国連の条約が何らかの見解を示したことはない。抑止は容認できない。それは核戦争を行うとの威嚇に基づいたものであり、即時に数百万人を殺し、核の冬につながり、(最近の研究によって数十億人の死をもたらすとされる)大規模な飢餓につながる、とパーク事務局長は指摘した。

国際原子力機関(IAEA)で検証・安全保障政策局長をかつて務め、2017年の核兵器禁止条約策定時に検証などの問題で知見を提供したタリク・ラウフ氏は、「同条約の第2回締約国会議や、核兵器が人間に与える影響や条約の地位・運用に関するテーマ別議論があった点で注目すべきものだった。」と語った。

具体的には、被害者支援、環境修復、国際協力・支援、核不拡散条約との補完性、核軍縮の検証に関する科学諮問グループ(SAG)の報告などが議論された。

第2回締約国会議で採択された政治宣言は、概してレトリカルであり行動を強く促す内容ではあったが、具体的な内容には欠けているとラウフ氏は評した。

締約国は、2025年の第3回締約国会議に向け、会期中作業部会を設置し、被害者支援と環境修復のための国際信託基金、締約国の安全保障上の懸念に関する協議プロセスの様式を検討することに合意した。

国際信託基金については、「カナダやドイツ、ノルウェーのような条約反対国が、被害者支援に出資することでイメージアップを図りながら実際には決然と条約に反対しその価値を損なおうとする事態が考えられる。」とラウフ氏は指摘した。

科学諮問グループの設置

Tariq Rauf
Tariq Rauf

第1回締約国会議の重要な成果の一つは、科学諮問グループの設置であった。同グループは、核兵器の現状や開発状況、核兵器のリスク、核兵器の人道的影響、核軍縮及び関連する問題について、第2回締約国会議に有益な報告書を提出した。

公的な情報を利用して作成されたこの報告書は、米国科学者連盟や『原子力科学者紀要』が公表している核弾頭や関連する核物質の現状に関するデータや報告書を下敷きにして、核戦力の現状に関するデータをまとめたものだ、とラウフ氏は指摘した。

多国間の核軍縮交渉を支援するために科学諮問グループが設置されたのは、今回が2度目である。このような科学諮問グループが初めて設置されたのは、1976年、核実験禁止条約の検証および国際的な地震データ交換システムを構想するための科学専門家アドホック・グループが設置された時である。

ラウフ氏は、米国が主導する「核軍縮検証に関する国際パートナーシップ」(IPNDV)やQUADなどの既存の核軍縮検証の取り組みは、核燃料サイクル検証をめぐるIAEAによる既存の慣行や手順を模倣したものであると指摘した。

「しかし、核弾頭廃棄の検証に関する実現可能あるいは実践的な措置に関して国家間の合意はない。実際、米国は、核弾頭廃棄についていかなる国際的監視も認めていない。」とラウフ氏は指摘した。

「すなわち、実務的な理由によって、核保有国が核兵器や関連インフラを廃棄してから条約に加入するという核禁条約第4条1項で定められた方式は問題となっていない。しかし条約が2021年1月に発効してから、実際にそんなことが起きるだろうか。」とラウフ氏は問うた。

国連事務総長は第2回TPNW締約国会議の成功を歓迎

General Assembly Seventy-first session, 59th plenary meeting Appointment of the Secretary-General of the United Nations.
General Assembly Seventy-first session, 59th plenary meeting Appointment of the Secretary-General of the United Nations.

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、12月1日の声明で核兵器禁止条約第2回締約国会議が成功したことを歓迎した。

グテーレス事務総長は、「締約国が他の利害関係者と協力し、多国間核軍縮交渉の中で何が可能かを示し、世界的な軍縮・不拡散体制を強化するために行っている作業に勇気づけられている。」と指摘したうえで、「採択された政治宣言は核兵器なき世界という私たちの共通の目標に向けた貢献となる。」と歓迎した。

一方、会議では、100を超える非政府組織(NGO)を代表する約700人が、締約国との対話プロセスに参加した。締約国会議自体は、1週間に及ぶより広範な軍縮会議の場ともみなせるもので、パネル討論や文化的展示、コンサート、授賞式など65以上のサイドイベントがニューヨーク国連本部の内外で行われた。西部諸州法律財団のジャッキー・カバッソ事務局長は、「議長の事実概要まとめの合意にすら失敗した8月の核不拡散条約(NPT)再検討会議と比較して、核禁条約の会合は、核戦争の高まる脅威は容認できないものであり、その唯一の解決策は核兵器の完全廃絶しかないという一致した明確な認識を表明した。」と語った。

また、「核禁条約は核保有国の参加なしには実際に核軍縮を達成できないが、現在の締約国は、より広範でグローバルな文脈における有益な情報や分析を行い、拡散するためのプラットフォームとして精力的に活用していることは明らかだ。」と指摘した。

その例として、放射線が女性と女児の健康に及ぼす不釣り合いな影響を含むジェンダー影響に関する報告書や、核兵器、核兵器のリスク、核兵器の人道的影響、核軍縮、および関連問題に関する科学諮問グループの第1回報告書が挙げられる。

科学諮問グループはまた、核戦争の影響に関するあらたな国連の研究を呼びかけた。1980年代末以来、このような包括的な調査はなされていない。

「締約国会議が、『核兵器が人間に与える影響とリスクに関するあらたな科学的証拠に焦点を当て、それらを促進し、核抑止に本来的に伴うリスクや想定をこれらと並べることによって、核抑止を基盤とした安全保障パラダイムに挑戦する』ために、締約国や国際赤十字委員会、ICANやその他の利害関係者と協議し、その結果を2025年3月の第3回締約国会議に提示するよう義務づけたことはきわめて重要だ。」とカバッソ事務局長は語った。

核抑止は「ゴルディアスの結び目」

Jacqueline Cabasso, Executive Director, Western States Legal Foundation. Photo Credit: Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, INPS Japan.
Jacqueline Cabasso, Executive Director, Western States Legal Foundation. Photo Credit: Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, INPS Japan.

世界の人口の半数以上が、核兵器と「核抑止」ドクトリンに明確に依存した国家安全保障態勢の下で生きている。カバッソ事務局長は「私の見方では核抑止は核軍縮への道を閉ざしている『ゴルディアスの結び目』のようなものだ。」という。

ラテン語を起源とする「抑止」という言葉は、「恐れおののかせ、恐怖で満たす」ことを意味する。すなわち「威嚇する」ということだ。抑止概念は軍事・産業複合体全体と安全保障国家体制、それらに奉仕するエリートの下敷きになっている、とカバッソ事務局長は語った。

抑止は、その起源である冷戦期を超えて生き延びたイデオロギーであり、核兵器の永続的な保有と、(先行使用も含めた)その使用の威嚇を核保有国が正当化するために使われている。

NPTもTPNWも、核保有国が核の強制力(婉曲的に抑止力と呼ばれる)によって強要される「国家安全保障」という狭い利益よりも、普遍的な人間の安全保障を優先するグローバルなシステムを再構築しようとしない限り、軍縮を達成することはできないという厳しい現実がある。

ラウフ氏はさらに、「私の見方では、核弾頭解体検証の態様を追求しても『いたちごっこ』に終わるだろう。」と指摘したうえで、「私たちにとって不都合な真実は、100%の核弾頭解体検証など不可能だということだ。ミサイルや潜水艦、爆撃機に関しては可能だが、弾頭に関しては不可能なのが現実だ。」と語った。

これは科学者や大学にとっては興味深い知的挑戦かもしれないが、実践的に取れる選択肢ではない。

冷戦の最盛期、最大時の1986年で世界の配備核弾頭数は推定7万374発にも達していたことを考えてみるとよい。1945年以降、これまでに12万5000発以上の核兵器が製造されたとみられるのだ。

現在の世界の核弾頭数は約1万2500発である。かつての7万374発と現在の1万2500発との差である5万8000発に何が起こったのか? 12万5000発中の11万2500発には何が起こったのか? これらは結局、直接的な検証を受けることなく、各国が単独でひっそりと解体したのである。

ラウフは主張する。「核禁条約の締約国は『科学技術専門家国際パネル』を立ち上げて、核弾頭解体の関連側面に関する実践的問題について科学諮問グループに助言するようにしたらどうか。引退した兵器専門家、核兵器を扱っていた元査察官など、核兵器や検証問題の専門家を集めたらよい。」

他方、ICANによると、今回の締約国会議では、同条約が強さを増していることが示されたという。一部のオブザーバー国は近々条約に加入する意志を示したといい、条約に署名、批准あるいは加入した国々の数は国連加盟国の半数を上回ることになる。

インドネシアは、同国議会が条約批准を最近承認したことと発表し、ブラジル・ジブチ・赤道ギニア・モザンビーク・ネパールも近々批准すると発表している。

会議にはまた、オーストラリアやベルギー、ドイツ、ノルウェーなど、NATO諸国や米国の核に防衛上依存している国々も出席した。(原文へ

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〝スカイフォール〟: ウクライナのクラスター爆弾

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=ハルバート・ウルフ

米国政府は、長々しい国内論争の末に、ウクライナへのクラスター爆弾供与を決断した。この一手により、この残忍な戦争はエスカレーションのはしごをもう1段上ることになる。以前はヘルメットのようなシンプルな軍事物資の供与についても長期にわたる消極的な議論がなされていたが、その後はウクライナへの無制限の防衛を約束。高射砲のような近代兵器の提供、戦車提供の是非を問う激しい議論、次に戦闘機、そして今度は非合法なクラスター爆弾の供与というわけである。(

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領がクラスター爆弾を繰り返し要求したのは、それが、塹壕、大砲、軍の隊列といった標的に対して軍事的に極めて有効と考えられるからである。ウクライナは、より圧倒的に反転攻撃を行うことを望んでいる。ウクライナがずっと以前から予告している反転攻撃ではあるが、現在も遅々として進まず、コストがかさんでいることが、恐らく米国政府にこの問題をはらむ一歩を踏み出させたのであろう。

2008年にいわゆるオスロ条約が調印され、2010年に発効して以来、クラスター爆弾の生産、貯蔵、委譲、使用は禁止されている。これらの兵器が問題である理由は、戦争終結後も人々の苦しみと破壊をもたらし続けるからである。分散器にはいわゆる子爆弾(ボムリット、ペレットとも呼ばれる)が収容され、それらが標的の上空高くで容器から放出され、落下時に広い範囲に広がる。クラスター爆弾が地上で爆発すると、単独の集中爆発よりはるかに広範囲に被害が及ぶ。このようなクラスター爆弾は、500を超える発射体を含むものもある。

このようなクラスター爆弾は無差別に人を殺害し、また、地面に着弾した場合、常に完全に爆発するとは限らない。爆弾のタイプによって2.5~40%と幅があるが、非常に多くの不発弾が、戦後数十年にわたって民間人を危険にさらすのである。四肢切断や農地の耕作不能が、その結果である。ベトナム戦争中、数億発のクラスター爆弾が森林や水田に落とされ、そのうち何百万発もの不発弾が今なお地上や地中に残されている。

このような兵器がもたらす悲惨な影響ゆえに、オスロ条約はクラスター爆弾を非合法化したのである。国連加盟国の大多数を占める123カ国が条約に署名しているが、米国もウクライナもロシアも署名していない。この非合法なクラスター爆弾を供給するという物議をかもす決定を正当化するために、三つの論拠、あるいは言い訳が用いられている。これらの兵器は軍事的に有効であり、ウクライナに利益をもたらし得る。米国の決定は、この消耗戦で通常兵器、特に砲弾の製造において明らかに重大なボトルネックがあるという事実によって駆り立てられたものだ。クラスター爆弾は、米国で大量に入手可能であり、この砲弾不足を改善することができる。

この決定を擁護するため、支持者らは、ロシアがすでにウクライナの都市空爆で数回にわたってクラスター爆弾を使用していると指摘する。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、双方がすでにクラスター爆弾を使用していると述べることによって、米国の発表を大目に見ている。一方が非人道的な戦争を仕掛けたからといって、他方の決定を正当化することができるだろうか? そうすることによって、西側同盟は、彼らが常に強調してきた自らの道徳的優越性に疑いを投げかけている。

ウクライナのクラスター爆弾使用はロシアに占領された自国領のみに限定するのだから、問題は少ないともいえるという主張は、その後幾世代にもわたって不発弾に苦しむ人々への慰めにはほとんどならない。

クラスター爆弾には、砲弾型、ミサイル搭載型、航空機による投下型という三つの異なるタイプがあり、今現在、米国は砲弾型のみ提供している。しかし、この戦争のエスカレーションを見るに、今後のさらなるエスカレーションの可能性を誰が排除できるだろうか? F-16戦闘機の供与を約束した後、その次には航空機による投下型クラスター爆弾の供与へと進むのは、論理的な(軍事的)ステップといえるだろう。

オスロ条約のもとで、締約国は、クラスター爆弾の生産、貯蔵、委譲、使用を行わないことを約束するだけでなく、非締約国によるこれらの兵器の使用を支援しないこと、それ以上に、禁止の強化に貢献することを強く言明している。オスロ条約第21条には、「締約国は、すべての国によるこの条約への参加を得ることを目標として、この条約の締約国でない国に対し、この条約を批准し、受諾し、承認し、又はこれに加入するよう奨励する」と記されている。条約署名国は、他の国々がクラスター爆弾を委譲または使用しないよう説得するべきであり、また、条約によれば「条約の普遍化及び完全な実施を促進するために精力的に努力する」べきである。

異を唱えたのは、人権団体だけではない。英国、カナダ、ニュージーランド、スペインといった米国の同盟国は、米国製クラスター爆弾の移譲に反対する姿勢を明らかにしている。ニューヨーク・タイムズは、「クラスター爆弾に対する幅広い世界規模の非難と、それらが戦争終結後も民間人にもたらす危険を前にすれば、それは、米国ほどのパワーと影響力を持った国家が広めるべきではない兵器だ」と書いた。

批判の提起は、部分的なものにとどまっており、かなり遠慮がちである。バイデン政権は、2023年7月11~12日にビリニュスで開催されたNATOサミットの直前に、ウクライナにクラスター爆弾を供与する意図を発表した。この物議をかもす決定がビリニュスでほとんど議論を引き起こさなかったのは、驚くべきことである。NATO加盟国のほとんどはオスロ条約に署名しており、条約の文言に従って、同盟国に供与をやめるよう勧奨する義務があるはずである。しかし、NATOサミットは、米国の決定に対し、オスロ条約の精神に則って期待されるはずの批判を行うことを避けた。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、明確な立場を取ろうとせず、事実上それは米国の自由に任せるということだった。このような振る舞いが、ルールに基づいた秩序という何度も繰り返される美辞麗句とどう一致するというのだろうか? グローバルサウスの多くの国の政府が西側は偽善的だと考えるのも、もっともなことだ。

ドイツでは、政府に対する批判は厳しいものだった。ドイツの日刊紙「南ドイツ新聞」は、フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー独大統領を「協定に違反しており、卑怯だ」と書いた。なぜなら、彼は2008年に外務大臣としてオスロ条約に調印し、「世界をより安全な場所にするために一歩近づいた」と評したにも関わらず、彼は米国の発表を擁護し、米国の行動を邪魔したくはないと明言したからである。

どうやら、NATOサミットは米国に対し、米国の決定がオスロ条約に真っ向から反するものだと釘を刺す勇気はなかったようだ。ビリニュスのNATOサミットでは、出席者らはどうやら、結束とウクライナへの継続的な連帯と支援を示したかったようだ。しかし、ウクライナへの連帯とクラスター爆弾禁止条約の軽視は別物である。このエスカレーションの忌まわしい旅はどこへ向かうのだろうか? 核兵器の使用さえも、クレムリンの暗黙的な、また、あからさまなほのめかしを真剣に受け止めるなら、もはやその可能性を除外できない。そして、われわれは、それらを真剣に受け止めなければならないようだ。

ハルバート・ウルフは、国際関係学教授でボン国際軍民転換センター(BICC)元所長。現在は、BICCのシニアフェロー、ドイツのデュースブルグ・エッセン大学の開発平和研究所(INEF: Institut für Entwicklung und Frieden)非常勤上級研究員、ニュージーランドのオタゴ大学・国立平和紛争研究所(NCPACS)研究員を兼務している。SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)の科学評議会およびドイツ・マールブルク大学の紛争研究センターでも勤務している。Internationalizing and Privatizing War and Peace (Basingstoke: Palgrave Macmilan, Basingstoke, 2005) の著者。

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COP28、観測史上最も暑い年に化石燃料と向き合う

【IPS国連=ビデオレポート】

2023年は、地球上で記録された約12万5千年間で最も暑い年になりそうだ。

9月と10月は、世界の月別最高気温の衝撃的な記録を更新した。

壊滅的な暴風雨と洪水が発生した。

極端な干ばつと山火事が対照的である。

COP28 Confronts Fossil Fuels During Hottest Year in Recorded History. Credit: IPS

南極の海氷の融解は加速している。

今後10年以内に、北極圏では夏の終わりの海氷が完全に失われる危険性がある。

アマゾンの干ばつと森林伐採は、熱帯雨林をサバンナに変えてしまうかもしれない。

現時点では、2010年比でガス排出量を45%削減するという目標は達成不可能である。

国連気候変動会議(COP)の代表団が今後数週間にわたって再会する際には、気候変動対策を加速させるためのロードマップが切実に求められている。

しかし、大国や裕福な国々は化石燃料を段階的に削減するどころか、実際にはその逆を行っている。

国連事務総長の言葉を借りれば、彼らは「文字通り化石燃料の生産を倍増している」のだ。

米国やカナダを含む炭素排出量上位10カ国では、石炭はインド、石油はサウジアラビア、天然ガスもロシアがトップである。

世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、2022年に週に2基の大型石炭発電所の新設を承認した。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学者たちの最善の判断によれば、世界は「すべての人にとって住みやすく持続可能な未来を確保する機会の窓を急速に閉ざしている」。

彼らの予測は不吉である。「この10年間に実行される選択と行動は、現在から数千年にわたり影響を及ぼすだろう。」

彼らは昨年も同じことを言っていたが、当時は耳を傾ける者はほとんどいなかった。

排出量の削減は深く、即座に行われなければならない。それがCOP28の核心である。

私たちの未来のために、指導者たちは化石燃料を段階的に削減し、それを迅速に実行しなければならない。

そして、IPCCの議長が皆に思い出させたように、「我々は温暖化を抑制するために必要なツールとノウハウを持っている。」

いずれにせよ、傾向は明らかであり、必要な行動も明らかである。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau

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信仰を基盤とした組織が、核兵器は「最も邪悪」と非難

【国連IDN=ラジーナ・ラヒーム】

12月1日まで1週間かけて開催された核兵器禁止条約第2回締約国会議で、115の信仰を基盤とした組織(FBO)や市民社会組織(CSO)が、気候変動のもたらす災害と荒れ狂う軍事主義の二重の暴力に対して警告を発する共同声明を発表した。

「核兵器は、水や空気、土地、お互いの存在といった、私たちにとって最も大切なものをすべて消し去る力を持って、この愛すべき地球に解き放たれた悪であり、最悪の類の脅威をもたらすものです。」と声明は述べている。

11月29日に発表された声明文にはこうある。「私たちは、宗教指導者、実践者、さまざまな伝統の信者としてここに集い、核兵器に反対し、核兵器のない世界は可能であるだけでなく、核兵器のない未来はすでに実現しつつあるという絶対的な信念を、声を一つにして確認します。」

「私たちは、核兵器禁止条約(TPNW)が存在することに大きな喜びを感じるとともに、第2回締約国会合を機に、TPNWとその支持者である世界中の人々が、正義と平等の世界を目指して活動する勇気と決意、想像力を発揮してきたことを心から讃えたい。私たちは、森林や山、川、海を他の生物と共有するこの美しい地球に暮らしています。」

「しかし、この地球とそこに住まうすべてのものが、核兵器の恐怖にさらされています。世界の道徳的暴挙を、善なるものの再創造へと向かわせることは、信仰を持つ私たちの責任である。この観点から、私たちは昨年の国連総会で、クリーンで健康、持続可能な環境に対する権利が認められたことを歓迎するとともに、今回の締約国会議と同じ週に始まる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の成功に向けて祈りを捧げます。

画期的な国際法の制定

The Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, signed 20 September 2017 by 50 United Nations member states. Credit: UN Photo / Paulo Filgueiras
The Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, signed 20 September 2017 by 50 United Nations member states. Credit: UN Photo / Paulo Filgueiras

「私たちは、核実験や核使用の恐怖に苦しんだ世界中の被爆者(グローバル・ヒバクシャ)、そして世界をより安全な場所にするために生涯を捧げた何世代もの外交官、宗教指導者、活動家、研究者、芸術家、提唱者といった先人たちに敬意を表します。」「私たちはこの瞬間、この画期的な国際法と、それを普遍化したいとの決意をもって共にいます。そしてこのことが可能なのは、先人たちの努力の賜物であることを知っています。」

「同時に、この活動を未来に引き継ぐ勇気と才気、そして希望を持ち合わせた新世代の若いリーダーたちが急増していることにも勇気づけられています。私たちが誠実さと揺るぎない決意を持ってこの活動に取り組むのは、過去と未来の両方に多くの責務を負っているからです。」

「私たちの宗教的な伝統は広範なもので、何百万人もの人々を代表しています。それぞれがかつてないほど参事発生の恐怖に晒されているこの世界にあって、意味ある善良な人生を追求しようとしています。」

気候変動による大災害と横行する軍事主義という二重の暴力によって、地球と人類が世界的に脅かされている現状を目の当たりにしてもなお、人類が平和、健康、喜び、愛のために存在するという私たちの信念は揺ぎません。」

「核兵器は、水や空気、土地、お互いの存在といった、私にとって最も大切なものをすべて消し去る力を持って、この愛すべき地球に解き放たれた悪であり、最悪の類の脅威をもたらすものです。」

「すべての国にTPNWへの参加を呼びかける一方で、私たちは信仰者のコミュニティーとして、核抑止力を私たちの最も神聖な約束に反する誤ったイデオロギーとして糾弾する役割を真剣に受け止めています。私たちは、いかなる核兵器の使用にも反対するだけでなく、核兵器を使用するための準備や脅迫にも、不道徳なものとして心から反対します。」

前進

「私たちは、今回の会議で締約国に対し、条約第6条および第7条に規定された被害者支援と環境修復を実施する実践的な公約を前進させるよう求めます。私たちは、核兵器の直接的な影響を受けたコミュニティーの人々をケアし、汚染された土地や水を修復するよい担い手として行動するために、自分たちの役割を果たしていきます。」

「私たちは、TPNWが核兵器がもたらす様々な害に対して目を向けていることを歓迎します。私たちの信仰コミュニティーは、多大なる破壊をもたらす核兵器によって最も影響を受けた先住民族に対する独自のコミットメントを重く受け取っています。」

「私たちの信仰が、最も社会から疎外されている人々に対して特別な慈愛と配慮を向けるよう要請しているように、私たちは過去の暴力に対処し、より公正な未来に向けてコミットする意義ある道が同条約によって提示されていることを認識しています。」

「外交官や政策決定者、主唱者、活動家らが今週ニューヨークに集まる中、私たちは、核兵器のない別の世界は可能であると信じ、その新しい世界を実現するために働き、執筆し、街頭を行進し、祈り、唱え、瞑想し、声を上げ続ける世界中の人々の、より大きな輪によって支えられていることを知っています。核兵器は、私たちの身体の滋養とはならず、心に勇敢さを与えることはなく、精神に創造性を与えることはなく、魂にインスピレーションを与えることはありません。」

「核兵器は、私たちの生活に意味を与えてくれるあらゆるものを消滅させ、脅かし、破壊することしかできません。核兵器は、貧困や人種差別、病気、早死になどへの対処に必要な財源を奪います。だが私たちは、核兵器による破壊に直面して、強靭さと活発さを保ち、すべての人々が平和裏に生きる正義と権利を要求して、希望やビジョン、大胆さを奪う核のイデオロギーを拒絶します。まだまだやるべきことはたくさんあるのです。」

「私たちは信仰を持つ者として、核の暴力を正当化し、あるいは、核のイデオロギーの根底にある貪欲さと攻撃性を無視することを選択してきた私たち自身の宗教的伝統の中にある暴力の根源に取り組むことを約束します。私たちは、心の内を深く見つめ、私たち全体の安全に対する脅威に向き合いその脅威を生き延びる強さを手に入れることができるし、またそうするつもりです。」

UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri
UN Secretariate Building. Photo: Katsuhiro Asagiri

「私たちは、あらゆる人々にとっての安全、安心、平和が実現しない限り、誰にとっても真の安全、安心、平和はないことを知っています。私たちは、今この時が緊急であること、そして、私たち全員にとって問題となっているのが愛する自然界と人類のコミュニティーであることを認識しています。」

「私たちの運命は絡み合っており、私たちの前に立ちはだかる脅威を無視することはできません。私たちが共有する未来を考えるとき、常に存在する脅威として強い恐怖と不安を感じます。」

「この恐怖は、今の時代に特有のものではありません。巨大な挑戦は、成し遂げるまでは常に不可能に感じられたという教訓に安らぎを得ながら、正義を求める過去の闘いの大胆さとビジョンから勇気を引き出そうではありませんか。」と声明は結ばれた。

次の組織が声明に賛同している。(原文へ

貧困に対抗する市民アクション、米国フレンズ奉仕委員会、アングリカン平和主義者フェローシップ、節制を求める会、ピッツバーグ牧師教会、教皇ヨハネ23世コミュニティー協会、ビーヒューマン、ブルーデンホフ、聖心会総本部、平和教育センター、メキシコ・エキュメニック研究センター、クリスチャン核軍縮キャンペーン、クリスチャンノルウェー評議会、平和を求めるクリスチャンの会、教会と平和:欧州エキュメニカル平和教会ネットワーク、CIDSE:国際カトリック社会正義諸組織連合、スペイン司法平和一般委員会、キリスト・コミュニティ、キリスト・コミュニティ(英国)、ノートルダム・ド・シオン修道会アウグスティノ会総監部、民主主義を活かす会、ドミニカ修道女会:グランドラピッズ・シンシナワドミニカ修道女会、ドロシーデイ・カトリック労働者(ワシントンDC、ドゥビューク)、フランシスコ・リーダーシップ・チーム、友和会(イングランド・スコットランド)、フランシスコ平和センター(アイオワ州クリントン)、フランシスコ修道女会(イエスとマリアの御心の娘たち、米国)、米国メソジスト教会・教会と社会理事会、ハレ・ホオナニ:AMEフェローシップ、ニューヨークヘイワ平和と和解財団、メキシコ・シャローム・バプテスト教会、モントリオール・ノートルダム学院、コモンセンス研究所、聖母マリア修道会・ロレート総本部、ネバダ南部多宗教評議会、国際多文化協力アカデミー(IFCSN)、国際友和会(IFOR)、中米に関する多宗教タスクフォース、マサチューセッツ西部イスラム協会、シアトル公正平和評議会、メノナイト教会正義と平和委員会(スコットランド)、ロレット(国連BVM)、メリノール神父と兄弟たち、メリノールグローバル問題局、聖ドミニコ・メリノール修道女会、英国メソジスト教会、オーストラリア聖心宣教会正義と平和センター、オーストラリア南部多宗教教会、全国障害者サービス豪州全国教会評議会、ネバダ砂漠の経験を伝える会、北太平洋年次会合(クエーカー)、北部フレンズ平和理事会、聖エリザベス慈善修道会平和・正義・生態系保全局、核兵器廃絶オリンピア連合、メキシコ聖公会社会司牧、パックス・クリスティ(アオテアロア・ニュージーランド)、パックス・クリスティ(オーストラリア)、パックス・クリスティ(イングランド・ウェールズ)、パックス・クリスティ(フランス)、パックス・クリスティ(グリーンズバーグ)、パックス・クリスティ・インターナショナル、パックス・クリスティ(アイルランド)、パックス・クリスティ(ロングアイランド)、パックス・クリスティ(マサチューセッツ)、パックス・クリスティ(ニューヨーク州)、パックス・クリスティ(北西太平洋)、パックス・クリスティ(フィリピン)、パックス・クリスティ(クイーンズランド)、パックス・クリスティ(スコットランド)、パックス・クリスティ(ウビラ・アスブル)、アオテアロア平和運動、アフリカの平和を人々に、国民のための人民連合、平和と開発(PEFENAP)、ピッツバーグ地域パックス・クリスティ、プラム村実践センター(フランス)、プレスビテリアン平和フェローシップ・豪州クエーカー、英国クエーカー、ラレイフレンズ会合(クエーカー)、平和を求める宗教、豪州ロータリー、サレジオ宣教会、塩水機構アクションネットワーク、ノートルダム学校修道女会、トーゴ塩と光の会、SFフレンズ会合平和と社会問題、シェパルトン多宗教ネットワーク、シンシナティ慈善修道女会、米州慈悲修道女会正義問題チーム、アッシジ聖フランシスコ修道女会、クリントン(アイオワ州)聖フランシスコ修道女会、キャロンデレ(ロサンゼルス)聖ヨゼフ修道女会、スプリングフィールド(マサチューセッツ州)聖ヨゼフ修道女会、尊き血の修道女会(オハイオ州デイトン)、創価学会インタナショナル、南サリッシュフレンズ礼拝集団、聖マグダラ・マリア教区、社会正義と平和委員会(ピッツバーグ)、パックス・クリスティ(スザンナ教区、マサチューセッツ州デダム)、聖ザビエル大学(パラヤムコッタイ)、ティルネルヴェリ(インド)、世界主の教会、カナダプレスビテリアン教会、トラスト:気候アクション戦略家、公正な経済社会を求めるユニタリアン普遍主義者、連合改革教会(英国)、連合宗教イニシアチブビジョンGRAMインターナショナル、核兵器なき世界を求める声(連合宗教イニシアチブ)、豪州ウェルスプリングコミュニティ、ワシントン西部友和会、アマゾンの羽、世界教会評議会、ヨガコミュニティ

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