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若者たちが包括的核実験禁止条約を実現させる決意を新たに

【ニューヨーク/ウィーンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

CTBTO青年グループ(Youth for CTBTO)のメンバーである若者らが「青年として、私たちは世界の将来を担うリーダーです。つまり、私たちは、やがてはこの世界を受け継いで生きていくとともに、子どもたちとその子孫に希望と夢を託することになる者たちである。」と宣言した。

包括的核実験禁止条約(CTBT)が署名開放されてから20年、核爆発実験に関する法的拘束力のある包括的な禁止を確立したこの条約が依然として発効していないことは遺憾である。」と、CTBTO青年グループは共同声明で述べた。

Youth for CTBTO/ CTBTO
Youth for CTBTO/ CTBTO

同声明はまた、「長年にわたって、CTBT発効に向けた外交的な努力が傾けられてきたにもかかわらず、国際社会は条約発効を成し遂げるには至っていない。」と指摘したうえで、「私たちは、従来のアプローチを見直す必要があり、未批准の発効要件国(「付属書2諸国」:中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・朝鮮民主主義人民共和国・パキスタン・米国)には、各々の国にとって、認識され対処されるべき懸案事項があることを認識している。私たちは、そうした各国の懸案に対処し溝を埋めるうえで、平等の原則に基づく建設的な対話が果たせる能力を信じている。」と述べた。

声明は、「核兵器なき世界」というCTBTO青年グループで共有された価値を確認した。「この目的のために、私たちは、CTBTは核軍縮に向けた重要な次のステップであり、国際核不拡散レジームの重要な要素であると考えている。」

2016年6月13日の声明で示されたこれらの見解は、CTBTOが(同機関の拠点である)ウィーンで主催した「平和と安全保障のための科学と外交:CTBT20周年」と題したシンポジウムでCTBTO準備委員会の事務局長であるラッシーナ・ゼルボ博士が青年グループを立ち上げてから17カ月後に、大きく打ち出されたものである。

ゼルボ事務局長は、「今日の若者は、気候変動や環境を巡る状況と同じく、過去の近視眼的な政策決定がもたらした結果に直面しています。」と論じた。

Dr. Lassina Zervo/ CTBTO
Dr. Lassina Zervo/ CTBTO

ゼルボ事務局長はさらに、「私たちの世代には、若者たちが将来の難題に対応する準備ができるように、教育機会と訓練を提供する責任があります。」と語った。こうした動機から、ゼルボ事務局長は2016年2月にCTBTO青年グループを立ち上げ、CTBTの教材、ネットワークやフォーラム、CTBTOのオウトリーチ活動に参加する機会を提供してきた。

CTBTO青年グループは、世界の平和と安全に貢献する職種を志向し、CTBTとその検証体制を積極的に推進することを望んでいるすべての学生と若手社会人に門戸を開いている。

現在、同グループには、世界全体から200人以上の学生と若手社会人らが集い、CTBT発効の実現という目標を共有している。メンバーらは、各自にとってのCTBTの意義を明確にし、自らの声でそのメッセージを同年代の若者層や社会全体に伝えるべく、能力構築(キャパシティビルディング)を通じて力をつけている。

さらに、CTBTOによって青年グループに提供される資源は、ブレーンストーミングや知識の共有、プロジェクト開発のためのメンバー間の連携を促進する役割を果たしている。

CTBTOが6月26日から30日までウィーンの絢爛豪華なホーフブルク宮殿で開催した「CTBTO科学技術会議」において、2016年2月に立ち上げられたCTBTO青年グループは成熟しているように見えた。これは、ゼルボ事務局長が設定した目標を可能な限り早期に達成できるようにとCTBTOの広報部長が努力したためでもあるだろう。

50カ国以上の出身者70人が代表参加したCTBTO青年グループは、科学技術会議の議論の不可欠の部分を構成していたいただけではない。彼らはまた、自らの論文とアウトリーチのためのプロジェクトを発表したほか、ワークショップや討論に参加し、「青年記者室」プロジェクトにおいて「市民ジャーナリズム」の実践を試みた。

5日間の一連のイベントにおいて、CTBTO青年グループのメンバーらは、核兵器なき世界に向けた活動へのコミットメントを再確認した。すべての核爆発を、地上・大気圏・水中・地下など世界中どこでも、誰によるものであっても禁止するCTBTの発効に間違いなく関連している目標である。

彼らは、政策責任者や学者、学生、専門家、メディアの間でCTBTを巡る議論を再活性化させ、核実験禁止の重要性への意識を高め、若い世代への知識移転の基礎を築き、ソーシャルメディアやデジタルによる視覚化、情報伝達のための双方向的な手段といった新しい技術をCTBT促進に取り込む自らの能力と、CTBTを世界で最も重要な核関連の課題に押し上げる能力を証明した。

加えて昨年、CTBTO青年グループのメンバーたちは、関連イベントや活動に定期的に参加したり貢献したりしてCTBTの役割について意識を高め、法的拘束力のある核実験の禁止の重要性を伝えた。なかでも、ワシントンやニューヨーク、ブリュッセルなどで注目されるイベントに出席した。

CTBT20周年を記念する2016年6月の閣僚会合で、CTBTO青年グループのメンバーは共同声明を発表した。彼らは、「若者との対話―核実験を終わらせる:なぜこれが自分の問題なのか」においてゼルボ事務局長だけでなく国連の金垣洙(キム・ウォンス)軍縮問題高等代表にも質問し、「CTBT20年:潘基文国連事務総長とのパネル討論」においては、潘事務総長とも対面する機会を得た。

6月会議の青年グループのイベントでの声明では、「この普遍的な目標に対して貢献し、長く待ち望まれている条約の発効を私たちの世代が目撃するための努力を惜しまない」と決意を述べている。

これは、核不拡散・核軍縮措置について真の進歩を達成するには若者の関与が必要であり、さまざまなレベルにおいて教育に投資することが解決の根本的要素であり、それを包摂的かつ協調的なやり方でなすべきとする、ゼルボ事務局長が繰り返し述べてきた信念を再確認するものであるかに見える。

ゼルボ事務局長は、CTBT発効を前進させる「革新的で焦点を絞ったアプローチ」の強固な推奨者である。ゼルボ事務局長は、このことを視野に入れて、事務局長職就任から2カ月にも満たない2013年9月に、ニューヨークの国連本部において賢人会議(GEM)の創設を発表した。

CTBT Science and technology 2017/ CTBTO
CTBT Science and technology 2017/ CTBTO

関連筋によると、賢人会議のメンバーらは、CTBTO青年グループの活動に感銘を受け、彼らに何をどのようになすべきかを教えるよりも、むしろ彼らの話を聞いてみたいと望んでいるという。

ゼルボ事務局長も同様の観点から、「あなたたちの世代は、明日のリーダーではなく、今日のリーダーです。若い世代はソーシャルメディアで世界を牽引しています。私たちは、自らと将来世代のために設定した目標を達成するためにも、あなた方とともに歩み、ビジョンを共有し、青年がもたらす新鮮な力を活用してともに行動しなければなりません。」と語った。(原文へ

 翻訳:INPS Japan

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強制的な子どもの妊娠が「小説の世界」ではない場所

【ローマIDN=フィル・ハリス】

彼女が母親の交際相手の男にレイプされ妊娠したのは、10歳の時のことだった。妊娠中の彼女は、きわめて体調が悪く、栄養不良で体重も少なかった。母親は中絶を要望したが、母体が危険にさらされていると当局が判断した場合は法律が妊娠中絶を認めているにも関わらず、政府はこの要望を却下した。

女児の母親は、娘に対する監護義務を怠ったとして逮捕され、一時的に収監されている。母親は以前に虐待を警察に通報したこともあったが、警察は動かなかった。

当局はこの女児を本人の希望に反して施設送りにし、子どもを産むまで留まるように強制した。彼女は誰との面会も許されず、唯一許されたのは、伯母との週1回・2時間の面会だけであった。

予想に反して彼女は妊娠期を乗り越え、女児を出産した。

現在12歳の母となった彼女は、自身と娘の生活のために、わずか50ドル相当の生活支援金を政府から受けるのみである。彼女は、金銭的に苦しい生活を送るだけではなく、妊娠や病気、そして学校でのひどいいじめによる不登校のために逃した教育機会を得るためにも、苦労している。

DNAテストによればこの女児を虐待していたのは、彼女の子どもの父親であることが分かっているが、当人は、収監されているものの、いまだに裁判待ちの状態だ。

これは小説の世界ではない。女児の名はメイナンビー(仮名)ちゃんで、パラグアイに住んでいる。彼女のケースは決して特異なものではない。「女性の権利擁護のためのラテンアメリカ・カリブ委員会」(CLADEM)によると、強制的な児童妊娠はパラグアイだけではなく、ラテンアメリカ全体で問題になっている。

Report "Child Mothers"/ CLADEM
Report “Child Mothers”/ CLADEM

14カ国の調査を基に2016年に書かれた報告書『子どもの母親たち―ラテンアメリカ・カリブ海地域における強制的な子どもの妊娠と母親としての生活』において、CLADEMは、パラグアイやラテンアメリカ全域において数万人の女児がレイプされ妊娠していると指摘している。

パラグアイでCLADEMの地域コーディネーターを務めるエルバ・ヌニェス氏は、「強制的な子どもの妊娠はこの地域において深刻な問題となっていますが、各国政府からはまだ効果的な対応策が出てきていません。」と指摘したうえで、「ラテンアメリカ全体で、15歳未満の女児数千人が性的暴力の被害を受け、意思に反して母親になっています。これは、深刻な保健・人権の問題です。女児が直面するマイナスの影響は、身体面、感情面、社会面と多岐にわたります。」と語った。

ヌニェス氏はまた、「メイナンビーちゃんのような多くの女児が、カトリック教会の関連した宗教団体が運営する慈善施設に『収監』されており、妊娠を続けるように義務づける裁判所の命令下に置かれています。彼女たちの母親の中には、娘に対する性的暴行を当局に通報し当局が十分な対応をできなかったにもかかわらず、子どもの監護義務を果たしていないとして逮捕・収監される者もいます。」と語った。

「強制的な子どもの妊娠は性的虐待とレイプの結果であり、暴力以外のなにものでもありません。」と、Equality Now(今こそ平等を)の米州局長であるシェルビー・カスト氏は語った。同団体は1992年に設立され、世界中の女性・女児の人権の擁護と向上のために活動している非政府組織である。

「妊娠に至るまでに起こった出来事と妊娠そのものは、子どもにとって深いトラウマとなり、心理的にも身体的にも生涯を通じた傷を残します。こうした幼い母親たちの身体は十分に発達していないため、妊娠は、出産のためにまだ十分な準備ができていない生殖器及びその他器官にダメージを及ぼします。」

パラグアイ保健省の最近の報告によると、2014年に10~14歳の684人の女児が出産しており、2015年の人数はこれよりももっと多いという。パラグアイは10~14歳の少女の妊娠率がラテンアメリカでもっとも高い国のひとつであり、同国の女児のうち約3分の1が、19歳までに身体的暴力、感情的暴力、性的暴力を受けている。

ヌニェス氏は、パラグアイでは「性的虐待の犯人が処罰されないという深刻なパターンがあります。」と指摘したうえで、「その理由は第一に、加害者が近親者であることが多いことから、被害者の女児が被害を訴えることに恐怖を覚えるため。第二に司法制度が、虐待を捜査し適切に対処していない状況があります。」と語った。

「パラグアイにはまた、性的虐待を防ぎ、女児のエンパワーメントと事件の早期発見を図るための性教育の枠組みが学校にありません。これに加えて、さらなるリスクを避け、適切な保護を与えるための、児童妊娠のケースに対処する一般基準もないのです。」

カスト氏は、そうした基準が必要だと強調し、「明確な基準の策定がきわめて重要であり、警察や医師、教員のような専門家が、いかに性的暴力に適切に対応し報告するかについての訓練が必要です。加害者と責任を持つ者の双方が、責任を追及されるシステムが構築されなくてはなりません。」と語った。

カスト氏によれば、「性的暴力と暴行を経験したパラグアイの女児は国家からの適切な保護を受けていません。それどころか、宗教的原理主義者と、一部の官僚を含むその他の集団が、被害者や人権活動家を黙らせようとしているのです。」と語った。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

「多くの人々が中絶問題だけに焦点をあてようとしている中で、Equality NowやCLADEMは、女児に対する性的暴行やレイプを免責するような根深い社会規範や慣行に焦点をあてています。」

カスト氏は、「前向きな変化を成し遂げるためにも、議論や行動に『予防』の視点が含まれねばなりません。また政府は、恐るべき暴力の結果としての妊娠にのみ集中するのではなく、女児がレイプされた際に総合的に対応できる方策を改善しなくてはなりません。」と語った。

「政府は、被害者、とりわけ性的暴力に遭った子どもの被害者、それに被害者を支援する人権活動家を強力に支援する必要があります。女児に対する性的暴行の問題が拡がっていることへの意識を高め、地域指導者や宗教指導者らは性的暴力に反対する声をあげねばなりません。」(原文へ

翻訳=INPS Japan

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アフリカ各地で海洋の危機

【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】

夕暮れ時になると、ゴミで満杯の袋を抱えたペティーナ・ドゥーブさん(43歳)が家から現れた。ジンバブエの首都ハラレの多くの住宅地区で市のゴミ収集車が燃料不足のために収集ができないと報じられる中、自分の家の庭に放置されていたゴミをかき集めたのだった。

ハラレ郊外の人口密集地区ワレン・パークの住民であるドゥーブさんは、ゴミを捨てた後それがどうなるかについて、全く気にしていないようだ。「正直言って、このゴミが最終的にどうなるか心配していません。ここからあまり遠くない小川に捨てるつもりです。」とドゥーブさんは語った。しかし、ジンバブエのミッドランズ州立大学で環境学の学位を取得したハプソン・チコワさんのような環境専門家からすれば、どこで捨てられたゴミであっても、結局海に流れていくことになり、海洋生物に被害をもたらすとんでもない事態だ。

SDGs Goal No. 14
SDGs Goal No. 14

チコワさんはIDNの取材に対して、「所定の場所以外でゴミを捨てる人々が気づいていないことは、それらのゴミは投棄した場所に留まるのではなく、雨に流され、川に沿って流れを下り、国境を越えて海に流れ込むということです。人々がゴミをあちこちに捨てる限り、こうしたことは何度も繰り返されるのです。そしてその結果として、海洋生物が脅威に晒されているのです。」と語った。

チコワさんは、アフリカの海洋生物に対して高まっている脅威は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」とする、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の第14目標に関連するという。

持続可能な開発目標第14目標の履行を支援するハイレベル国連会議が、6月5日~9日までニューヨークで開催された。その目的は「民衆や地球、繁栄のための海洋の保全状態が低下している状況を根本的に逆転させる」というものだった。

しかし、モザンビークのベイラ海岸近くに住むファウジア・シノリタさんのような多くのアフリカ住民からすれば、自分の行動が海にどういう影響を及ぼしているかについてはほとんど気にしていないようだ。

シノリタさんはIDNの取材に対して、「私たちは海で釣りをします。つまり、海は私たちに食べ物を与えてくれるし、近くに移動するときのルートにもなります。しかし私たちは同時に、海をゴミ捨て場としても使っています。」と語った。

シノリタさんのような多くのアフリカ住民が海の生き物が生息する環境を圧迫し続ければ、海洋生物は急速に消滅していくと専門家らはみている。「その多くが最近発見されたばかりの海の生き物や海洋の種が危機にさらされるなか、海洋生物は急速に消滅していっています。」と南アフリカ共和国を拠点にする科学者ジャン・リューベン氏は語った。

結果として、国際海洋研究所南部アフリカ支部(IOI-SA、本部:南アフリカ・ケープタウン)によると、アフリカにおいて中核となる専門家を安定的に育成していくために、海のガバナンスに関する様々な学問体系において意識を高め訓練を進める必要がますます高まっている。

IOI-SAは、国際海洋研究所(IOI)のアフリカ地域における訓練センターとして機能している。IOIは、沿岸や海洋に関連した権限や機能、関心を持つ中堅の専門家や教育関係者、研究者、市民社会組織のメンバーを教育することを目的にした機関だ。

南アフリカ共和国には目をみはるような3000キロにも及ぶ海岸線がある。冷たく、栄養豊富な大西洋が亜熱帯のインド洋と交わり、近くには多くのクジラが生息する南氷洋がある。これらのお蔭で、海洋の生物多様性の点において、南アフリカ共和国の経済面での地位は非常に高いものになっている。

そして、2003年以来の協調的な取り組みにより、南アフリカ共和国の海岸線の2割近くが公的な海洋保全区となっている。この値は、国際自然保護連合(IUCN)が推奨する数字に近いものだ。

しかし、ケープタウンのムイザーンバーグ砂浜で活動する環境保護家のムジテリ・クマロさんによれば、同国の海岸線では密猟が横行しており、その他多くのアフリカ諸国と同様に、南アフリカ共和国においても、安全基準以下の船舶の使用や低レベルな運用実態のために、海洋汚染や被害が大規模に起こっている。

アーマンド・チカンダさん(63歳)は元船長で、モザンビークのベイラ海岸に住んでいる。「インド洋は、モザンビークからの物品を運び出す航海路です。しかし、正直に言うと、ここを日々通過する船は、油漏れを起こし、座礁をし、錨で海底を傷つけ、ゴミや油脂廃棄物を捨てています。そのために、ここだけではなく、世界全体で海洋生物が危機にさらされているのです。」とIDNの取材に対して語った。

「未処理の下水、ゴミ、殺虫剤、産業用化学薬品、プラスチックなど、陸上のあらゆる汚染物質が海に流れ込み、この汚染が海洋の食物連鎖全体に深刻な悪影響を及ぼし、それは人間にさえ及んでいるのです。」とチカンダさんは付け加えた。

ニューヨークで開催された国連海洋会議で、海洋の利用に関してパラダイムシフトが起こったかどうかは未知数だ。しかし、ナミビアのサリタ・インベニさんのようなアフリカの多くの環境活動家は、「海は既に大きな被害を被っており、今回の会議開催はあまりに遅すぎたかもしれない。」と感じている。

「海に近い他のアフリカ諸国ですでに起きていることについては言うまでもなく、ここナミビアにおいても過剰漁獲がなされ、海が無節操に汚染されるのを見てきました。それでもなお、海自体は、地球で最大の、生命が生きる場なのです。」とインベニさんはIDNに語った。

このナミビアの活動家にとっては、地球でもっとも生産的で生物的に多様な海岸地帯が、人間の無謀な収奪によって急速に消滅していっているのである。

非政府組織(NGO)「Sea sense(海の感覚)」によれば、タンザニアでは海洋の危機が重大なレベルに達しているという。「Sea sense(海の感覚)」は、ウミガメやジュゴン、クジラ、イルカ、サメなどの絶滅危惧海洋種を保全・保護するために、このタンザニアの沿岸地域と緊密に協力している。

「Seas sense(海の感覚)」は、タンザニアにおける、海洋生態系と漁業を基盤とした生活に対する最大の脅威は、ダイナマイトを使用した漁業だと報告している。これは、漁獲を容易にすべく、魚の大群を殺したり驚かしたりするために爆発物を用いるというものだ。ダイナマイト漁法は、爆発を起こすたびに、多くの海洋種を無差別に殺害している。

他方で、ドゥーブさんのようなジンバブエ国民にとっては、海洋生物のことを考慮するなど二の次だ。ドゥーブさんは、「近くで見たこともない海の生き物を守るために、裏庭のゴミで病気にならないといけないのかね?」と問いかけてきた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【国連IDN=シャンタ・ラオ】

国連の2015年以降の開発への取り組みについて、ピーター・トムソン国連総会議長(フィジー)は、耳の痛い真実に焦点を当てた。それは、国連の17の分野からなる持続可能な開発目標(SDGs)について世界のほとんどの人は知らない、ということだ。

トムソン議長は記者団に対して、「したがって、SDGsが全ての学校カリキュラムの中に盛り込まれねばなりません。国連はSDGsの推進を力強く後押していきます。若者らは開発アジェンダの中でSDGsの重要性について教えられねばなりません。」と語った。

Peter Thomson at HLPF 2017/ Sustainable Development Knowledge Platform

トムソン議長は、「もし世界中の学校のカリキュラムにSDGsが盛り込まれることになり、すべての教師がSDGsについて教え、地球上のすべての若者が自らの権利・義務としてSDGsについて知らされたならば、世界が2030年までにこれらの目標を達成する可能性が極めて高くなります。」と訴えた。

トムソン議長は、2016年11月に193カ国の首脳に宛て、子供たちや若者にSDGsについて教えることの重要性を強調した書簡を送った。トムソン議長はその中で、「若者は、持続可能な開発目標の成功の継承者にも、失敗の継承者にもなりうるのです。」と述べている。

東京を本拠にした仏教系NGOである創価学会インタナショナル(SGI)は、この国連総会議長の宣言よりかなり前から、SDGsの第4目標(すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する)に着目するなかで学生の役割を極めて重視ししてきた、おそらく世界でも数少ない組織のひとつだろう。

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)の期間中である7月12日に、スリランカ国連政府代表部でSGIが主催した円卓会議のテーマは、「ノンフォーマル教育の効果は測定可能か?学校環境において展示を用いた、あるケーススタディ」であった。

この円卓会議は、地球憲章インタナショナル(ECI)と環境教育センター(CEE)が共催した。

Dr. Daisaku Ikeda/ Seikyo Shimbun
Dr. Daisaku Ikeda/ Seikyo Shimbun

SGIの池田大作会長は、円卓会議に出席した関係諸団体の代表や参加者へのメッセージのなかで、「SDGsが掲げる『誰も置きざりにしない』とのビジョンは、遠大な目標ではありますが、『同じ人間として同じ地球で共に生きる』との思いを一人ひとりが深め、身近な場所から行動を起こす中で、時代変革の波を力強く広げることができるのではないでしょうか。その大きな原動力となるのが、世界市民教育や、持続可能な開発のための教育に代表される『教育』です。」と述べた。

池田会長は、長年にわたって、持続可能な開発における「教育」の役割の重要性について訴えてきた。

池田会長はまた、リオサミットから10年が経過した2002年にヨハネスブルクで行われた「環境開発サミット」の際には、(1)地球環境問題の現状を知り、学ぶこと(Learn)、(2)持続可能な未来を目指し、生き方を見直すこと(Reflect)、(3)問題解決のために、ともに立ち上がり、具体的な行動に踏み出すためのエンパワーメント(Empower)、の3つのステップに基づく教育の推進を提言した。

現在までに、「希望の種子展」は世界36カ国・地域で開催され、多くの若い世代をはじめ、市民社会の幅広い人々が訪れるノンフォーマル教育の場ともなってきた。

この提言をもとに、SGIと地球憲章インタナショナルは共同で、「希望の種子:持続可能のビジョン、変革へのステップ」と題する教育展示を制作した。

Seed of Hope Panel 01 / SGI
Seed of Hope Panel 01 / SGI

インドで実施したプロジェクトでは、「希望の種子展」を用いて、ノンフォーマル教育の効果を測定することを意図している。インド国内の3つの異なる都市から合計18の学校がプロジェクトに参加した。

1つ目のグループに対しては展示の観覧だけをさせ、別のグループには展示観覧と関連活動も行わせた。

プロジェクトの前後に、学生が何を学んだかを評価する調査が行われた。

調査結果は、アーメダバード(インド)を拠点にする環境教育センター(CEE)の事業責任者であるプラモド・クマール・シャルマ博士から参加者に提示された。シャルマ博士はミシガン大学の客員研究員も務めている

共同プロジェクトにおける自身の役割についてシャルマ博士は、「CEEは研究を担当しました。私は、センターの同僚とともに、調査設計の準備、データ収集手段の準備、報告書の分析に関わりました。」とIDNの取材に対して語った。

「ノンフォーマル教育」の定義についてシャルマ博士は、「この文脈において『ノンフォーマル』とは、持続可能性の問題について子どもたちを教育し、変革の動機づけを与えるために使用させるアプローチや教材のことを指します。」と語った。

国連総会議長が行った提案についてシャルマ博士は、SDGsを学校のカリキュラムで取り上げ、SDGsについて、なぜ、何が、どのようにして、持続可能性につながるかを子どもたちに教えるために役立つかもしれない。」と語った。

シャルマ博士はまた、「もっとも重要なことは、それを日常生活と結びつけることであり、それらがどうつながっているかということです。現在、そして将来の市民として、自らのSDGsへの関与を目に見える形にし、国連における国家間の取り決め以上のものにしなくてはなりません。」と語った。

国連によれば、7.5億人以上(うち、1.15億人は若者)が読み書きができないという。その3分の2は女性だ。小学校の年齢の約2.5億人が基本的な読み書きの能力がなく、1.24億人の子ども・青年がまったく教育を受ける機会がない。

Soka Gakkai
Soka Gakkai

「持続可能な開発へのこれらの障害は、コミットメントと資源の裏付けを得た適切な政策の策定と履行によって乗り越えることができるし、またそうしなくてはならない。」

SDGs Goal No.4
SDGs Goal No.4

「学校に行けない子どもたちが質の高い学習機会を手にできるようにし、学校教育の質を高め、成人教育・学習を促進する必要がある。」と国連は指摘している。

SDGsを教えることによって、SDGsの第4.7項目の履行に向けて前進することができる。4.7項目は「2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、 男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様 性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。」と述べている。

Mapting
Mapting

他方で、2016年11月、SGIと地球憲章インタナショナルは共同で「マプティング(Mapting:マップとアクティングを合わせた造語)」と呼ばれる新たなノンフォーマル教育のツールを開発し、発表した。これはSDGsに対する関心と関与を促進する目的で作られたモバイル・アプリである。

マプティングは、SDGsに関連する写真や動画を撮影し、世界地図上で共有できるようにした、参加型のスマホアプリである。

池田会長が指摘したように、マプティングのユーザーは、操作を通じて、SDGsが身近なものであると実感できるようになる。マプティングの経験は、自らが暮らす「地域」から「世界」を見たり、また「世界」から「地域」を見る体験を与えてくれる。

「こうした身近で具体的な体験を通じて、SDGsに対する意識を高め行動していくことの意味は大変に大きいものであると思います。SGIは、それぞれの地域社会における草の根のネットワークを生かし、ノンフォーマル教育の取り組みを積み上げながら、志を同じくする皆さま方とともに、持続可能な地域社会の建設を目指していく所存です。」と池田会長は述べた。(原文へPDF

翻訳=INPS Japan

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|視点|世界市民のための教育を理解する(カルティケヤ・V・サラバイ環境教育センター創設者・代表)

人権教育の力に焦点をあてた展示会

Reporting Another Special from Kazakhstan: EXPO 2017 Astana

IDN-INPS travelled to Kazakhstan to provide an in-depth coverage of  EXPO 2017 Astana inaugurated on June 10. Touted by some as the ‘Disneyland for Adults’ and ‘a virtual reality beyond science fiction’ by others, EXPO 2017 shows the ways to access affordable, reliable, sustainable and modern energy for all.

READ > EXPO 2017 Shows the Way to Sustainable Energy Solutions

WATCH > VIDEO by IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri

アスタナ万博を取材ー日本館「Smart Mix with Technology」

【アスタナINPS Japan=浅霧勝浩】

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.

INPS Japanの浅霧勝浩理事長・マルチメディアディレクターは、カザフスタン政府の招待を受け、2017年6月から開かれている「アスタナ国際博覧会」を取材した。この万博のテーマは、“未来のエネルギー”。日本を含めて115カ国と22の国際機関が参加した。この映像は「Smart Mix with Technology ―オールジャパンの経験と挑戦―」をテーマに、日本の高い技術力と世界的な課題解決に向けた貢献を発信する日本館の内部を撮影したもの。日本館は、2025年国際博覧会の大阪誘致に向けたPRも積極的に行っていた。

INPS Japan visited Astana Expo 2017, held in Kazakhstan. Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director and president of INPS Japan filmed Japan Pavilion. Under the theme “Smart Mix with Technology,” the Japan pavilion demonstrated a multi-layered approach to clean and efficient energy provision. Across three dazzling exhibition zones, Japan delivered its vision for the future against a historical backdrop. EXPO 2017 Shows the Way to Sustainable Energy Solutions

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アスタナ万博を取材ーカザフスタン館「ヌル・アレム」

国連事務総長、カザフスタンを称賛し、上海協力機構との緊密な協力を約束

【アスタナIDN=ラメシュ・ジャウラ】

国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、カザフスタンが国連安保理非常任理事国として「国際舞台でますます活発な役割」を果たしていることに謝意を表明するとともに、上海協力機構SCO)の重要性を強調して、気候変動に関してSCOがリーダーシップを発揮するよう求めた。

カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、国連事務総長がSCOサミットに参加したことに感謝の意を示し、「SCOの歴史の中で国連事務総長の参加を得たのは初めてのことです。また、この機会がインドとパキスタン両国がSCOに正式加盟するタイミングであったこともきわめて象徴的と言えるでしょう。つまり、今やSCOが国際社会の中で真の政治的な影響力を持ちつつあることを示しています。」と語った。

SCOは恒久的な政府間機関で、カザフスタン、中国、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンが中国の上海で2001年6月15日に創設を発表したものである。

António Guterres at SCO Summit in Astana/ Katsuhiro Asagiri of INPS
António Guterres at SCO Summit in Astana/ Katsuhiro Asagiri of INPS

グテーレス事務総長は6月9日、SCO加盟国首脳理事会第17回会議(アスタナサミット)で、「持続可能な開発に向けた2030アジェンダと、SCOの開発戦略2025は、私たち共通の青写真です。」と指摘するとともに、「皆様に置かれましては、気候変動に関するパリ協定の履行について、是非ともリーダーシップとコミットメントを発揮されるようくれぐれもお願いしたい。希望は高く持っておかねばなりません。」と語った。

グレーレス事務総長はSCOに新たにインドとパキスタンが加盟したことを祝福し、「本日のサミットは、SCOの発展の新たな段階を画するものであり、その対象領域と世界に対する影響力を拡大させました。」と指摘した。

グテーレス事務総長がカザフスタンを訪問していたのは、SCOサミットに参加するためだけではなく、その直後に開催予定の2017年アスタナ国際博覧会(アスタナ万博)開会式に参加することも目的であった。グレーレス事務総長は、気候変動に関してきわめて重要な関連性をもち、持続可能な開発へのコミットメントにも深くかかわる「未来のエネルギー」をテーマとしたアスタナ万博が、画期的なイベントとなるよう強い期待を滲ませた。

グテーレス事務総長は、「SCOはユーラシア大陸各地で相互理解、対話、安定、開発を促進するうえで意義深い役割を果たしています。」と指摘したうえで、「加盟国は、テロリズム、暴力的過激主義、麻薬密輸、組織犯罪など、今日平和と安全を脅かしているものと闘うために協力しています。これらは、いずれの国も一国で効果的に対処することは不可能であり、集団での対応が必要とされる複雑な問題です。」と語った。

2017 Astana Expo/ Katsuhiro Asagiri of INPS
2017 Astana Expo/ Katsuhiro Asagiri of INPS

グテーレス事務総長はまた、「国連とSCO間の協力は『堅固な基盤』に基づいています。」「グローバル化の進展と急速な都市化により世界が再編成される一方で、主要な武力紛争は終息する気配を見せていません。このように、国際社会が多くの面において試練に晒されている今日、この協力関係はとりわけ重要なものとなります。」と語った。

「私たちは、安全と経済的機会を求めて多くの人々が大移動する現実を目の当たりにしています。そして今日、不平等や不寛容、それに外国人排斥や人種差別が横行しています。そして、気候変動がもたらす影響は日々悪化の一途をたどっています。」

「国連は、前を見据えて、SCOの強力なパートナーであり続けるだろう。」とグテーレス事務総長は確約した。グテーレス氏は1月の事務総長就任以来、国連の平和維持活動を強化し、国際開発体制をより効果的にすることを目的として、幅広い改革を進めてきた。

そうした改革のひとつが、テロ対策室の新設だ。テロと暴力的過激主義と闘う加盟国を支援するために国連の全力を傾けることを目的とした、高いレベルのリーダーシップを発揮しようとしている。

グテーレス事務総長は、上海協力機構(SCO)のすべての加盟国がテロの被害にあってきたと指摘した。「テロと闘い、その根本原因に対処し、対応策が国際的な人権基準に見合うようにするとのSCO加盟国の公約に期待しています。」とグテーレス氏は指摘したうえで、「究極的には、包摂的で持続可能な開発が、武力紛争と暴力的過激主義予防の最善の形です。」と論じた。

グテーレス事務総長は、この目的を追求するうえで若者の雇用に特に着目すると約束した。「進歩のためには、法の支配の原則を貫き、不満に対処するために平和的な解決方法を提供する民主的機構が肝要です。そして、市民社会と自由で独立したメディアが活躍できる空間を確保することが、成功のためのさらなる要素となるでしょう。そして女性・女児をエンパワーすること、これが、私がとりわけ心に留めている重要課題です。」とグレーレス事務総長は語った。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

6月9日にアスタナで行われた記者会見でグテーレス事務総長は、国連にとってカザフスタンとのパートナーシップは、国連の各レベル(国家レベル、地域レベル、グローバルレベル)の活動においてきわめて重要な柱だと語った。

国家レベルでは、持続可能な開発目標の履行においてカザフスタンの民衆と政府を支援している国連のパートナーシップがある。この目的は、同国が、その潜在能力と可能性を完全に発揮しつつ、一方で、持続可能かつ包摂的な方法で、環境を保護し、誰も置き去りにせず、不平等と環境の問題が効果的に対処される取り組みを通じて、世界で最も発展した経済のひとつに自らを変革していくこと(2050年までに先進30か国入りを目指している:INPS)を可能にすることだ。

グテーレス事務総長は、「国連は、ガバナンスと法の支配、人権を向上させるあらゆる取り組みにおいてカザフスタンを全面的に支援する用意があります。」「国連とカザフスタンのパートナーシップは、この国が中央アジアの安定と発展のために最も重要な柱であることを考えると、地域レベルにおいても不可欠のものです。私たちは、中央アジアが平和と繁栄の地域になることを望んでいます。そしてそのためには、中央アジア諸国間の協力が一層促進される必要があります。カザフスタンは、こうした地域レベルの協力を促進するうえで主導的な役割を果たすことができるでしょう。」と語った。

「水資源に関する合意、より効果的にテロに対処し闘うことに関する合意、そして持続可能な開発の取り組みに関して中央アジア諸国間の連帯を強化していく方向性は、カザフスタン政府が今後も決意を持って追求していくものだと確信しています。国連は、カザフスタン政府のこうした取り組みを全面的支援していきます。」とグテーレス事務総長は語った。

さらにグテーレス事務総長は、グローバルなレベルでのカザフスタンとの強力なパートナーシップについて、「カザフスタンはこれまでの実績から、対話の象徴であり、平和の象徴であり、さまざまな文化・宗教・文明間の接触を促進する象徴という地位を築き上げてきました。この国が、(今年初めから)国連安全保障理事会の非常任理事国に加わったことで、様々な紛争事案に関して、同理事会が調停能力を発揮するうえできわめて重要な貢献をしています。」と語った。

「他方で、気候変動に対して脆弱な国であるカザフスタンは、パリ協定が履行され、この難題に国際社会が正面から向き合い、気候変動と闘う能力を手に入れるために、地球温暖化に関してイニチアチブを発揮する必要があります。」

グテーレス事務総長は、北側でカザフスタン、南側でウズベキスタンと接するアラル海への訪問の後、6月10日の声明で、「かつて世界で4番目に大きかった内海が死の危機に瀕しているのを目の当たりにして、強い衝撃を受けました。これはおそらく、現代における最大の生態学的大惨事であり、人間が地球を破壊する能力を持っているという事実を如実に示しています。」とグテーレス事務総長は語った。

しかし、アラル海が徐々に消滅しつつあるのは、気候変動のためではなく、人間による水資源管理の失敗によるものだ。「しかし、それは同時に、気候変動との関連で、もし私たちがこうした現象を抑えるべく思い切った行動を起こすことができなかったとすれば、この種の悲劇が世界中のあちこちで繰り返される可能性があることをも示しています。」とグテーレス事務総長は論じた。

「したがって、アラル海の悲劇を、人類がいかにして地球を破壊しうるかを示す証左として活用しようではありませんか。つまり、私がウズベキスタン側から目の当たりにしたアラル海に起こったような悲劇を二度と繰り返さないためにも、パリ協定の履行に向けて、政府も、企業も、市民社会も、都市も、国家も、全ての人々が国際社会全体を動員することができるように、アラル海の悲劇を一つの教訓としようではありませんか。」(原文へ

翻訳=INPS Japan

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オーストラリアの先住民、憲法上の承認を求める

【シドニーIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】

1967年の歴史的な国民投票で、オーストラリア国民の約92%が、同国の先住民を人口調査においてカウントすべき「人間」であると認めた。

あれからちょうど50年、オーストラリアの250人以上の先住民族が5月24日から26日にかけて同国中部の聖なるウルル・ロックを臨む地で歴史的サミットを開き、政府に対して、議会における発言権を彼らに与えるように憲法を改正し、彼らの土地との結びつきを認めた条約を制定するよう求めた。

Australian Aborigine/ Public Domain
Australian Aborigine/ Public Domain

オーストラリアのアボリジニは、他の同国国民と同じく彼らを「人間」と認めた1967年の国民投票以来、長い道のりを歩んできた

高い教養を身に着け英語を流暢に話せる先住民系オーストラリア人の数が増えてきた。その一部は、大学教授、法律家、医者、作家、ジャーナリスト、政治家になっている。アボリジニに対する注目度を高め、この広大な大陸の先住民族として彼らの特別な地位を規定しようとしているのは、こうしたリーダーたちだ。

アボリジニは常に土地や母なる大自然との精神的なつながりを保ち、こうした主権を英国王室に譲り渡すことは決してなかった。26日のサミット閉幕の際に読み上げられた「心からのウルル声明」は、オーストラリアの憲法に「ファースト・ネーションの声」を盛り込むことと、先住民族との条約署名に向けたプロセスを開始するよう呼びかけた。

白人入植者らは何世代にもわたって、鉱物資源を獲得するため、とりわけオーストラリア北部・中部において先住民族の土地を搾取して巨万の富を築いた。

オーストラリアの先住民たちは1992年、土地への権利を取り戻す画期的な成功をおさめた。先住民のいるトレス海峡島民のエディー・マボ氏は、豪州大陸が「無主の地」でありこれを英国王に併合したと宣言する、英国によって書かれた憲法は無効だとしている。歴史的な1992年のマボ高裁の判決は、先住民族の土地への権利の承認につながり、アボリジニが同国で保有する土地が増えることになった。今日、同国の国土の3分の1が、何らかの形で先住民族によって保有された土地である。

The Founding of Australia” by Captain Arthur Phillip RN Sydney Cove, 26 January 1788, faithful photographic reproduction of 1937 Oil Painting by Algernon Talmage, picture from Wikimedia Commons, license: public domain
The Founding of Australia” by Captain Arthur Phillip RN Sydney Cove, 26 January 1788, faithful photographic reproduction of 1937 Oil Painting by Algernon Talmage, picture from Wikimedia Commons, license: public domain

こうした成功があったにもかかわらず、ウルル声明が指摘するように、アボリジニは「世界で最も隔離された人びと」である。1967年の国民投票以前には、オーストラリア(や英国)の映画や報道でアボリジニはしばしば「野蛮人」として描かれていた。

「私たちは生まれつきの犯罪者などではありません。しかし、同朋の若者たちが大量に収監されています。若者たちは本来私たちの将来の希望であるはずです。…こうした危機的な側面は、私たちが直面している構造的な問題を端的に示しています。つまりこれは、私たちが力を奪われた結果、私たち自身に降りかかっている苦悩にほかなりません。」とウルル声明は指摘している。

かくして、先住民族の指導者らは、政府とファースト・ネーションとの間の「合意形成のプロセス」と、先住民族の歴史に関する真実追及を監督する委員会の設置を呼びかけた。

「1967年、私たちは(『人間として』)数えられるようになりました。2017年、私たちの声が聴かれることを要望します。」これは、声明で伝えられた強力な叫びである。「私たちが自らの運命を握る時、子どもたちは栄えることだろう。彼らは2つの世界を歩み、彼らの文化は彼らの国にとっての恩恵となるだろう。」

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

政府が任命した「国民投票評議会」のパット・アンダーソン共同議長はメディアに対して、会合では、政府と野党のいずれもが支持している、アボリジニ先住権の容認を憲法で行うという考えを「完全に否定した」と語った。

「この半年間行ってきた協議でわかったことは、人々は条約を望んでいるということです。つまり単なる容認ではなく、条約と、真実・正義委員会の設置を望んでいるのです。」アンダーソン氏は、この2つの考えを前進させるために今回のサミットで作業委員会が設置されたと語った。

同評議会の委員であるメーガン・デイビス氏は、このプロセスは真実と正義を認めるものだと説明した。「これは民族にとっての癒しであり、ともに成熟した国を作り上げるプロセスの一部にほかなりません。世界の他の国々でもそうであったように、まずは真実が語られねばなりません。」とデイビス氏は語った。

アンダーソン氏は、「議会において発言権を得るということは、文化的権威と高さを持つ人々の声が聞かれるようになることを意味します。」と指摘したうえで、「私たちはいずれ意思決定において発言権を持つことになるでしょう。しかし現在は締め出されており、自らの土地において無力で、声を奪われているのです。」と嘆いた。

CNNの元ニュースキャスターでアボリジニのジャーナリストであるスタン・グラント氏は、全国放送ABCのウェブサイトで、1967年の国民投票は強力な象徴的瞬間であったと指摘したうえで、「初めて、連邦議会に対して、アボリジニとトレス海峡島民のための法律を策定することが認められた。それは運動と改革の波の一部を成すもので、その後、先住民に対して教育と雇用の機会の扉が開らかれた。」と記している。

Stan Grant (journalist) and Tracey Holmes, at the 2008 Summer Olympics torch relay events in Canberra, Australian Capital Territory./ By Peter Ellis – Own work, GFDL

しかし、グラント氏は先住民の同朋に対して、永続的な政治的変化の議論は、単に社会経済的な不平等のみを基礎にしたものであってはならないと警告している。「第一に、そうした主張をしている人びとの多くが、私も含めて、特権を持ち、教育程度も高い。私たちは格差を埋めてきたのです。」「オーストラリア国民には、なぜ私たちが特別な取り扱いを必要としているのかを問う権利があります。」グラント氏は、「ファースト・ピープル」としてのオーストラリアの先住民族には独自の地位と遺産があると論じる。「しかし、問題なのは、オーストラリアの人々がそれをいかにして同国の民主制度の中に取り込むのか、ということです。」

野党労働党党首のビル・ショーテン氏は、5月27日に開催された1967年国民投票の票決を記念する昼食会で発言し、政治家はアボリジニによって「大きな問題」に関する「開かれた心」を学んだと述べたが、自身はウルル声明における呼びかけを実行に移すとは約束しなかった。

今年末に行われる予定の総選挙に関して世論調査で後れを取っているマルコム・ターンブル首相は、憲法改正は「きわめて困難」と演説で述べ、より懐疑的な姿勢を見せた。憲法は「議会が変更するわけにはいかず、唯一オーストラリア国民のみがなしうること」だとターンブル首相は語った。(原文へ

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防災計画で人々のことを忘れてはならない

【メキシコシティIDN=エク・ソリア】

5月22日~26日にメキシコのカンクンで開催された「2017防災グローバル・プラットフォーム会議」には、民間セクター、学術研究機関、市民社会組織から防災専門家や政策決定者らが集い、タイムリーかつ効率的な形で災害の影響を減じ、災害に適応し、復旧を図るとの加盟国政府の公約について協議がなされた。

なかでも重要な議題は、2015年3月の第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」の履行に関して世界的にどの程度の進展があったか評価することであった。同枠組は、15年計画の自発的かつ拘束力のない合意で、国には防災の第一義的責任があるが、地方自治体や民間部門などのその他の利害関係者と責任を分担すべきとされている。

UN World Conference on Disaster Risk Reduction

仙台枠組は「人命・暮らし・健康と、個人・企業・コミュニティ・国の経済的・物理的・社会的・文化的・環境的資産に対する災害リスク及び損失を大幅に削減する」ことを目的としたものだ。

カンクン会議には仙台枠組の履行に関する各国別報告書が提示され、災害によって最も直接的かつ大きな影響を受ける人々の地域が参加する必要性が強調された。

参加者らは、防災計画と被害の緩和におけるギャップを埋める上で、もっとも社会の主流から取り残され脆弱な立場に置かれている人々の役割を認識すべきとの声に耳を傾けた。これはとりわけ、そうした人々が開発のより広範な現場においても取り残されているからだ。

Madeleine Redfern, mayor of Iqaluit/ City of Iqaluit

カナダ国内のヌナヴト地域の中心イカルイット(Iqaluit)の首長であるマデレーン・レドファーン氏は、こうした人々が防災議論の最前線に置かれねばならない、と語った。

「今回の会合で発せられた最も強力なメッセージは、誰かを置き去りにする余裕などないということです。」とレドファーン氏は指摘したうえで、「人々を忘れてはいけません。私たちは前に進み、女性や先住民などを参加させなくてはなりません。そこには知恵があり、参加への願望があるのです。彼らを無視することはできません。国内・国際の両レベルにおける防災活動に彼らを巻き込むことが重要です。でなければ、私たちの計画(=仙台枠組)は効果的なものでなくなってしまいます。」と語った。

参加者らは、こうすることによってしか、仙台枠組の提案は現場における進展に見合ったものにならないと強調した。

仙台枠組は、2030年までに災害による死者を大幅に減らすこと、重要インフラや保健・教育などの基本サービスの経済的損失と被害を減らすことを呼びかけている。

SDGs Goal No. 11
SDGs Goal No. 11

発言者らは、仙台枠組が目標と期限を提示してから2年、一部の地域は災害への対処法を学びつつあるが、低開発による従来からの脆弱性によって、将来的に災害が起こった時に諸機関が対処する能力が制限されている地域も依然としてあると主張した。

仙台枠組は、経済、構造、法、社会、保健、文化、教育、環境、技術、政治、組織などの側面を統合し包摂した措置を実行することによって、災害の新たなリスクの登場を予防し、既存のリスクを減じ、対処と復旧への備えを強化することを目的としたものだ。

しかし、気候変動の最大の影響を被っている国・地域は、大きな課題を含みこんだ任務に直面している。

言葉から行動へ

カンクン会議の第1会合はグローバル・プラットフォームの評価にあてられたが、発言者らはまた、2005年の京都議定書や2016年のパリ協定のような、各国が署名したその他の公約についても言及した。これらはいずれも国連気候変動枠組条約の枠の中でなされた合意で、温室効果ガスの排出削減に関する拘束力ある措置に合意し確立するためのものだ。予防の真の範囲を確定するために必要なものであった。

グローバル・プラットフォームの行動のガイドラインと優先事項には、リスクを管理・低減し、復旧・復興・再建の分野での効果的な対応を可能にするガバナンスの強化を含んでいるが、そのためには国々の支払い能力も必要とされる。「保険が唯一の解決策でも最善の解決策でもありません。人々が貧困状態にあるリスクを減らすための最善の条件をいかにして生み出せるかが問題なのです。」と話すのは、ドイツ連邦経済協力開発省グローバル問題局政策・事業部門の責任者イングリッド・ホベン氏である。

Saber Chowdhury/ PNND

公的部門と、市場や民間部門、あるいはいわゆる市民社会組織との相互作用として理解されるガバナンスには、グローバルなレベルでの防災の分野においてより一貫した方針が求められる。「災害によって損失が生み出されるのと同じスピードでは、持続可能な開発の目標は達成できません。」と列国議会同盟のセイバー・ホサイン・チョウドリー議長は語った。

現在の指標によると、富の産出量よりも災害で失う影響の方が大きいことが明らかになっている。カンクン会議の参加者らは、より一貫した方針を導く合意に至るために、あらゆるレベルの議会と社会団体との間での完全な関与に真にコミットした行動と結びついたアジェンダを作るべく、同様の国際会議が開催されている昨今の機運を積極的に利用していくべきだと呼びかけた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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Accompanying the 2017 U.S. Cherry Blossom Queen & Chaperone – June 4-6

This year marks the 105th anniversary of the donation of 3,000 cherry blossom trees to Washington D.C. by Ozaki Yukio in 1912 when he was Mayor of Tokyo. As in previous years, the 2017 Cherry Blossom Queen, who is selected annually during the National Cherry Blossom Festival in Washington D.C., visited Japan as the U.S. goodwill ambassador.

After meeting with Prime Minister Shinzo Abe, the Governor of Tokyo and the House Speaker, the 2017 Cherry Blossom Queen and chaperone visited Ise, Mie Prefecture of Central Japan, accompanied by Mr. Takaaki Ishida, Secretary General of Ozaki Yukio Memorial Foundation which hosted the delegation together with NPO Gakudo Kofu June 4-6, 2017.

The delegation called on the Governor of Mie and the Mayor of Ise, and visited the Mikimoto Pearl Island, Ise Grand Shrine, Ozaki Memorial Hall, Kogakkan University, and Futami Pearl Center, among others.

IDN-INPS accompanied the delegation and made a documentary of the 2017 Cherry Blossom Queen’s visit.

Video documentary by IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri

Day 1: https://www.youtube.com/watch?v=FxvrR_CILiM&t=21s

Day 2: https://www.youtube.com/watch?v=NzrB8CIFsB0&t=24s

Day 3: https://www.youtube.com/watch?v=31rbWajvvUE&feature=youtu.be

「第69代全米さくらの女王と伊勢来訪 」(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長) article in Japanese

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Related website: http://www.nationalcherryblossomfestival.org/about/history/ (national cherry blossom festival)