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Reporting on Shanghai Cooperation Organisation (SCO) Summit in Astana – June 8-9

IDN-INPS reported on the Shanghai Cooperation Organisation (SCO) Summit on June 8-9 in Astana, the capital city of Kazakhstan.

READ > Astana Summit Favours UN Security Council Reform and a Polycentric World Order

What SCO Summit in Kazakhstan Means for India-Pak Ties

UN Chief Lauds Kazakhstan, Vows Close Cooperation with SCO

WATCH > VIDEO by IDN-INPS Multimedia Director Katsuhiro Asagiri

「第69代全米さくらの女王と伊勢来訪 」(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

【伊勢・東京IDN=石田尊昭】

第69代(2017年)全米さくらの女王のサマンサ・オルセンさんと、シャペロン(後見人)のバレリー・クレメンスさん、INPS JAPANの浅霧勝浩理事長と私の計4名で、6月4・5・6日と伊勢に行ってきました。

2017 US Cherry Blossom Queen and Chaperone visiting Prime Minister Shinzo Abe/ abinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat.
2017 US Cherry Blossom Queen and Chaperone visiting Prime Minister Shinzo Abe/ abinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat.

毎年この時期、全米さくらの女王は日本を訪れ、首相や衆議院議長、都知事などを表敬訪問し、日米の友好促進の役割を果たしています。今年は、5月30日に小池百合子・東京都知事、31日に安倍晋三首相を表敬訪問しました。

「全米さくらの女王」といえば「尾崎行雄」です。

女王は、毎春開催される「全米さくら祭り」(Cherry Blossom Festival)で選出されますが、この祭りのきっかけとなった桜は、1912年、当時東京市長を務めていた尾崎行雄が東京市から公式に贈ったものです。

そして、尾崎といえば、彼を連続25回当選させ、63年間国会に送り続けた「伊勢」です。その伊勢で咢堂精神の普及に努めるNPO法人・咢堂香風は、1915年に桜の返礼として米国から送られたハナミズキにちなみ、毎年「花みずきの女王」を選出しています。そして、全米さくらの女王を伊勢に招聘し交流を深め、「日米友好の架け橋」となっています。

今回も、咢堂香風のお招きによるもので、理事長の土井孝子さんを筆頭に、伊勢の方々の「あたたかい心」に触れた女王は、大変感激していました。

Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori
Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori

女王たちは、伊勢神宮二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)、皇學館大學(神道博物館)などを巡り、美しい自然と日本の精神性に触れました。また、咢堂記念館や伊勢市長、三重県知事を訪問し、咢堂精神に触れました。さらに、御木本真珠島(御木本幸吉は尾崎行雄を物心両面で支援した人です)や二見パールセンターでは美しい真珠やその歴史に触れました。そして、咢堂記念館と朝熊山麓公園でハナミズキの記念植樹を行い、改めて「尾崎行雄の桜と返礼ハナミズキの歴史と意義」を振り返りました。

女王は、全てのプログラムに感動し、このプログラムを企画・実現した土井理事長に、「自身の学びが深まったこと」を大変感謝していました。

私自身も、女王に同行する中で、改めて、伊勢の方々の「思いやり・おもてなしの心・あたたかい心」を実感し、そして土井理事長の情熱に元気づけられました。機会を頂ければ、またぜひ参加したいと思います。

Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori
Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori

INPS Japan

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全米さくらの女王一行の伊勢訪問を取材

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INPS JAPANの浅霧勝浩マルチメディアディレクターは、来日中の第69代全米さくらの女王使節団(サマンサ・オルセンさんと、シャペロン(後見人)のバレリー・クレメンスさん)と東京で合流し、尾崎行雄記念財団の石田尊昭事務局長と共に、一行の伊勢訪問を同行取材した。

Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.
Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.
Filmed by Katsuhiro Asagiri, Multimedia Director, President of INPS Japan.
2017 US Cherry Blossom Queen and Chaperone visiting Prime Minister Shinzo Abe/ abinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat.
2017 US Cherry Blossom Queen and Chaperone visiting Prime Minister Shinzo Abe/ abinet Public Relations Office, Cabinet Secretariat.

以下、石田事務局長の記事:

毎年この時期、全米さくらの女王は日本を訪れ、首相や衆議院議長、都知事などを表敬訪問し、日米の友好促進の役割を果たしています。今年は、5月30日に小池百合子・東京都知事、31日に安倍晋三首相を表敬訪問しました。

「全米さくらの女王」といえば「尾崎行雄」です。

女王は、毎春開催される「全米さくら祭り」(Cherry Blossom Festival)で選出されますが、この祭りのきっかけとなった桜は、1912年、当時東京市長を務めていた尾崎行雄が東京市から公式に贈ったものです。

そして、尾崎といえば、彼を連続25回当選させ、63年間国会に送り続けた「伊勢」です。その伊勢で咢堂精神の普及に努めるNPO法人・咢堂香風は、1915年に桜の返礼として米国から送られたハナミズキにちなみ、毎年「花みずきの女王」を選出しています。そして、全米さくらの女王を伊勢に招聘し交流を深め、「日米友好の架け橋」となっています。

今回も、咢堂香風のお招きによるもので、理事長の土井孝子さんを筆頭に、伊勢の方々の「あたたかい心」に触れた女王は、大変感激していました。

Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori
Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori

女王たちは、伊勢神宮二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)、皇學館大學(神道博物館)などを巡り、美しい自然と日本の精神性に触れました。また、咢堂記念館や伊勢市長、三重県知事を訪問し、咢堂精神に触れました。さらに、御木本真珠島(御木本幸吉は尾崎行雄を物心両面で支援した人です)や二見パールセンターでは美しい真珠やその歴史に触れました。そして、咢堂記念館と朝熊山麓公園でハナミズキの記念植樹を行い、改めて「尾崎行雄の桜と返礼ハナミズキの歴史と意義」を振り返りました。

女王は、全てのプログラムに感動し、このプログラムを企画・実現した土井理事長に、「自身の学びが深まったこと」を大変感謝していました。

私自身も、女王に同行する中で、改めて、伊勢の方々の「思いやり・おもてなしの心・あたたかい心」を実感し、そして土井理事長の情熱に元気づけられました。機会を頂ければ、またぜひ参加したいと思います。

Commemorative Tree Planting ceremony held at Ozaki Yukio Memorial Hall in Ise/ Hiroyuki Mori
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ICAN、核兵器禁止条約発効を期待(ティム・ライトICAN条約コーディネーターインタビュー)

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【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ】

2018年に核戦力による威嚇が強まるのを世界が目の当たりにするなか、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、各国政府に核兵器禁止条約(核禁条約)への署名・批准を働きかける世界的な民衆運動を支援している。ICANの条約コーディネーターを務めるティム・ライト氏は、IDNのニーナ・バンダリ記者に、軍縮、核兵器のリスクと帰結に対する認識を高めること、そして今日の世界には核禁条約がなぜかつてないほど必要なのか、について語った。

ライト氏は、核禁条約が2019年中に発効することを期待している。彼は南北対話を開始した韓国の文在寅大統領の「優れたリーダーシップ」を称賛しつつも、「しかし、真の平和は、核兵器が、北朝鮮だけではなく、全ての国々による全面拒否に基づくものでなければならない。」と指摘している。また、ドナルド・トランプ大統領によるイラン核合意破棄については、「核不拡散の努力を阻害するもの。」と述べている。

インタビューの全文は次の通り:

バンダリ:ICANの核禁条約コーディネーターとして、ICANの2017年ノーベル平和賞受賞以来、世界的な核軍縮シナリオについて何が変化したとお考えですか。

ライト:2017年ノーベル平和賞の受賞は、ICANにとって核禁条約に光をあてる活動の助けになっています。また、核禁条約への署名・批准を獲得する機運を高めるのに貢献しました。ICANのノーベル平和賞受賞はまた、別の道を選択することが可能であり、私たちが永遠に核戦争の瀬戸際で生きていく必要はないことを示しました。

ノーベル平和賞受賞演説で、私たちには、核兵器の終わりか、それとも、私たちの終わりか、二つの終わりのどちらをとるかという選択肢が与えられていると述べました。私は、このシンプルなメッセージは世界の人々の共感を呼んだと思っています。世界中の人々が、この恐ろしい兵器が人類に及ぼす脅威について深く憂慮し、これを廃絶するために政府に緊急の対策を講ずるよう望んでいるのです。民衆は変化を切望しています。私たちには、世界各地で自国の政府がこの条約に署名するよう取り組んでいる多くの仲間がいます。

バンダリ:核禁条約が2017年9月20日に署名開放されてから、これまでに58カ国が署名し10カ国が批准しました。条約が発効するには50カ国が批准しなければなりません。5月14日から16日にかけて予定されていた「核軍縮に関する国連ハイレベル会議」は無期限延期されました。核禁条約はいつ発効すると期待していますか。

ライト:私たちは、核禁条約が2019年中に発効することを望んでおり、この目標に向けて行動を起こしています。条約が発効するにはさらに40か国の批准が必要ですが、既に多くの国々が批准手続きでかなり進んだ段階にあります。いくつかの国については、この数カ月で批准書を寄託する準備が整うでしょう。

私たちはニュージーランドとアイルランドが今年の半ばまでに条約に批准すると期待しています。またラテンアメリカの多くの国々が議会に条約を提出しており、今年中に批准することが期待されています。したがって、核禁条約は今年末までの発効に向けて推移しています。

UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri
UN Secretariat Building/ Katsuhiro Asagiri

2017年にニューヨークで行われた軍縮活動に鑑みれば、2018年の国連ハイレベル会合は、ある意味以前に考えられていたほど重要でなくなっているというのが、一般的な考え方でした。国連ハイレベル会合が無期限延期となった背景には様々な要素があり、とりわけハイレベル会議設立の根拠となった国連総会決議を提出した主催団体側の組織力の欠如が指摘されています。

ICANはハイレベル会合の準備に関与していませんでした。今は、核禁条約に署名・批准する国を増やすことに焦点をあてています。私たちは核禁条約が発効してから1年以内に国連事務総長によって開かれる第一回締約国会合の開催に向けて努力を傾けています。

北朝鮮の非核化と核軍縮を促進する

バンダリ:米朝首脳会談は6月12日開催の方向で進んでいるようですが、核禁条約の発効という観点から、米朝首脳会談にどのような結果を期待しますか。また、朝鮮半島に平和をもたらそうと積極的に行動している韓国の役割をどのように見ていますか。

ライト:米朝首脳会談が実現するかどうかは未だ明確ではありません。金最高指導者とトランプ大統領の双方から、首脳会談をキャンセルか日程変更するかもしれないというコメントを聞いています。双方とも予想が大変難しい政治指導者だと考えています。なにが起こってもおかしくない状況ですが、私たちは、このプロセスから何らかの前向きな結果が生まれるものと、引き続き慎重ながら楽観的な見方をしています。

南北対話を開始した韓国は素晴らしいリーダーシップを示しました。文氏はこの状況の中で思慮深い立ち回りをしたと思います。しかし、真の平和は、核兵器が、北朝鮮だけではなく、全ての国々による全面拒否に基づくものでなければなりません。韓国がいわゆる米国の核の傘で守ってもらうという考え方を拒否することが極めて重要です。この危険な軍事概念こそが、核兵器が安全保障を強化するという愚かな考え方を助長しているのです。

私たちは、核禁条約は朝鮮半島の非核化を前進させ核軍縮をより広く促進するうえで大いに関係があることを示したい。私たちは、こうした協議に関わってきた全ての国々に対して、核禁条約に署名・批准し、同条約を核軍縮を実現するための道具として利用するよう呼びかけています。

バンダリ:米国による2015年イラン核合意からの撤退は世界にとってどのような意味合いを持つでしょうか。イランは産業レベルでウラン濃縮を始めるでしょうか。また、この出来事は中東における核軍備競争の前兆となるでしょうか。

ライト:これは大いに懸念すべき出来事です。全てが、イランによる包括的共同作業(JCPOA)の完全順守を示唆していたからです。国際原子力機関(IAEA)は、イランは合意に則って引き受けた内容を履行していると繰り返し認定してきました。従って、今回の米国による行動は、全く正当化できないのみならず、核不拡散の努力を阻害するものです。私は、今回の米国の動きは、イラン国内の急進派に対して危険なメッセージを送ることになったと考えています。急進派は、イラン独自の核兵器計画を実現したがっている可能性がある人々です。私は、イランの現政権が核兵器を開発する意図を持っているとは思っていません。

米国がイラン核合意から離脱したことにより、より広範な分野で様々な悪影響が及ぶことになります。例えば、今後の北朝鮮との交渉過程において、米国の主張が真剣に受け止められにくくなるでしょう。米国がイランに関して筋を通していないなかで、北朝鮮がどうして米国が筋を通すと期待するでしょうか。イラン核合意の欧州の当事国(英国、ロシア、フランス、ドイツ)は、米国による合意撤退を強く非難しました。しかし、私たちは単に核不拡散に焦点をあてるだけの議論から先に進む必要があります。

全ての国々が既存の兵器を廃絶しなければなりません。イラン核合意の締結国をみるとイラン以外の全ての国々が核兵器を保有しています。私たちは欧州の締結国が核禁条約に加盟し、実際に核兵器を廃絶するよう望んでいます。ドイツは独自の核兵器を保有していませんが、米国の核兵器を領内に受け入れています

バンダリ:最近、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、核軍縮交渉が停滞する中、「コンピュータの誤作動や人的・技術的な間違い、軍事対立の激化で」核攻撃が起こりうる現実を警告した寄稿文が掲載されました。こうした事態がおこる可能性を減らすには、どのような措置が緊急に講じられるべきでしょうか。

ライト:私は全ての核兵器国が、不注意による核兵器使用のリスクを減らす措置をとれると考えています。つまり、まずは核ミサイルの『警告即発射』態勢を解除し、次に、実戦配備から外すのです。核兵器が二度と使用されないよう保障する唯一絶対の方法は、全ての核兵器を不可逆的に廃棄することです。核兵器が世界に存在する限り、いつの日か再び使用され人類と環境に壊滅的な影響をもたらす深刻なリスクがあります。

ICANは、各国に核禁条約への署名と批准を強く働きかける取り組みに加えて、核兵器のリスクと帰結について人々の意識を高めていく活動を今後も継続していきます。依然として多くの人々が、人類が直面している現実の危険性に気づかないままでいるのです。

米国とロシアは世界の核兵器の90%以上を保有していることから、両国が軍縮に向けてリーダーシップを発揮する必要があります。しかしそのようなリーダーシップは、国内世論と国際社会からの圧力があってはじめて現実のものとなります。だからこそ、世界の大多数の国々が核禁条約に加盟して一刻も早い核軍縮を求めていることを示すことが極めて重要なのです。

バンダリ:核兵器を保有しながら核不拡散条約に加盟していないインド、パキスタン、イスラエルといった国々の核禁条約に対する反応としては、どのようなものがありますか。

ライト:インドとパキスタンは、核不拡散条約について、条約交渉時点で既に核兵器を保有していた国々と、条約発効後に核兵器を開発した国々では扱いが異なる差別的な制度であるとして、長年にわたって批判してきました。

しかしながら、核禁条約は全ての国々を平等に扱う仕組みとなっているので、インド・パキスタン両国は、もはや核軍縮措置を支持しない口実は使えません。今までのところ、両国からは、なぜ核禁条約への署名や批准を拒否しているのか、明確な理由を聞いていません。インド・パキスタン両政府に対する国内の民衆からの圧力が高まることを期待しています。ICANは両国においてそのような民衆運動を構築していきます。

イスラエルについては、イスラエル軍縮運動というICANのパートナー組織が、核兵器についての国民的議論を巻き起こす取り組みを行っています。彼らはイスラエル国会(クネセト)で国会議員と軍縮問題に関する公開討論会を開催するなど、僅かながらも軍縮議論を前進させてきています。しかし、依然としてやらなければならないことが多い。核禁条約は、各国に対等の立場で軍縮に貢献できる道筋を提供しています。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【ワシントンDC・IDN=リック・ウェイマン

5月23日、米エネルギー省は、ドナルド・トランプ大統領の2018年予算案を歓迎する報道発表を行った。同省は特に「本省の核兵器事業の安全性、保安性、効果を維持し向上させる『核兵器活動』予算に102億ドル」を割り当てた点を賞賛した。

この報道発表は、コスタリカのエレイン・ホワイト大使が核兵器禁止条約の草案を発表してから24時間も経たないタイミングでなされたものである。ホワイト大使は、核兵器を禁止し、その完全廃絶に導くための法的拘束力ある文書を交渉する国連会議の議長を務めている。これまでのところ、130カ国以上が禁止条約の交渉に参加している。条約の最終草案は7月初めに提示される見通しだ。

A step closer to fusion energy. Credit: DOE
A step closer to fusion energy. Credit: DOE

条約案では、締約国に対して、核兵器の開発・生産・製造・保有・備蓄をとりわけ禁じている。米国は強硬な姿勢で条約交渉をボイコットし、この無差別的で壊滅的なまでに破壊的な兵器を禁止しようとする世界の大多数の国々による誠実な努力を妨害すべく積極的に動いている。

トランプ大統領の核兵器活動に対する予算案に驚く者はいないだろう。実際、その大部分は、バラク・オバマ政権の下で開始された米国の核兵器「近代化」計画の延長線上にある。しかし、注意しなくてはならないのは、エネルギー省が「その予算案は核兵器が廃絶されるまでの間、単に米国の核弾頭を維持するためだけのものではない」と暗に認めている点である。むしろこの予算案には、21世紀末までに作戦上の地位が与えられるとみられる新兵器に新たな軍事能力を統合し、核兵器の「威力」を向上させる狙いが含まれている。

核兵器禁止条約案は「核兵器の壊滅的な帰結は国境を超え、人類の生存や環境、社会経済上の発展、グローバル経済、食料安全保障、そして将来世代の健康に大きな影響を与える」と明確に述べている。

米国が世界の大多数の国々と共に核兵器を禁止する条約交渉に加わる予定であるかどうかに関わらず、その政策と計画は、核兵器の使用が壊滅的な帰結を伴うという明白な証拠を反映したものにならざるを得ない。核兵器なき世界における真の安全保障実現に向けて全力で外交努力を行うのではなく新型核兵器に投資することに、弁解の余地など断じてあり得ない。

誠実な義務

核不拡散条約(NPT)第6条は、すべての締約国に対して、核軍備競争を早期に終結させるために誠実に交渉することを義務づけている。同条約は47年以上前に発効した。

核兵器禁止条約案は、「厳格かつ効果的な国際管理の下でのあらゆる側面における核軍縮につながるような交渉 を誠実に追求し妥結をもたらす義務が存在する」とした1996年の国際司法裁判所(ICJ)の全会一致での宣言を繰り返している。

クリストファー・ウィラマントリー判事は、ICJが1996年の勧告的意見を出した際、副所長だった。ウィラマントリー氏は2013年に核時代平和財団に寄せた文章の中で、核軍縮における「誠実さ」の概念について以下のように詳述している。「国際法における誠実な遵守の義務において中途半端はありえない。」「義務の部分的な遵守とはかけ離れた完全なる非遵守があった場合、『誠実さ』の部分に対する無視と違反は加速度的に拡大するだろう。」

Christopher Gregory Weeramantry, born 17 November 1926 in Colombo, Sri Lanka/ By Henning Blatt - Own work, CC BY-SA 3.0
Christopher Gregory Weeramantry, born 17 November 1926 in Colombo, Sri Lanka/ By Henning Blatt – Own work, CC BY-SA 3.0

米国やその他多くの核保有国は、核兵器の数そのものを削減していることを理由に、自らの義務を果たしていると主張する。量的な意味での削減は重要であり、この数十年間におけるこの面の進展ぶりには目を見張るものがある。しかし、核軍拡競争は、単に量的な側面にとどまらない。むしろ、多くの核保有国の間で私たちが目にしているものは、質的な意味での核軍拡競争だ。そこでは、核兵器の「威力向上」が主要な要素となっている。

ウィラマントリー判事の解釈によれば、この質的な核軍拡競争は、軍縮のための「誠実(=Good Faith)」義務に大きく違反するのみならず、その精神とは真逆の「悪意(=Bad Faith)」を構成することになる。

核兵器禁止はすぐそこまで来ている

米国やその他の核保有国がいかに多くの資金を核戦力に投入しようとも、世界の国々の圧倒的多数は7月に核兵器禁止条約を締結する心づもりだ。

そうした条約は核開発を直ちに止めたり、現在の核戦力が人類全体に及ぼしている脅威をなくしたりすることはないが、正しい方向に向かう重要なステップとなる。

NPTと慣習国際法は、核兵器を保有する国々だけではなく、すべての国々に対して、核軍縮に向けた交渉を行うよう義務づけている。核兵器禁止条約はこの義務を果たすために必要な多くの措置のうち最初のものであり、将来的な多国間行動の堅固な基礎を築くものだ。

UN General Assembly approves historic resolution on December 23, 2016. /ICAN
UN General Assembly approves historic resolution on December 23, 2016. /ICAN

非核保有国は、禁止条約を成功裏に発効させ、「核兵器なき世界」を最終的に達成するための次なる措置を確実にするために、外交努力の効果を継続的に高めていかなくてはならない。(原文へ

◆著者注…一般的に、米エネルギー省は核弾頭や核爆弾の設計・製造・管理を担当し、国防総省は核兵器の運搬システム(ICBM・潜水艦・爆撃機)や、この原稿で触れていないさらに数十億ドルを要する核兵器の配備・展開を担当している。エネルギー省による核「近代化」計画について、さらに詳しくは、「核の説明責任追及連合」による最新の報告書『アカウンタビリティ監査』を参照。

※リック・ウェイマンは、核時代平和財団の事業・運営部門責任者。「核の説明責任追及連合」理事長。核廃絶を求める「アンプリファイ:変革の世代」ネットワークの共同議長も務める。

翻訳:INPS Japan

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【ボンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

気候変動に対してとりわけ脆弱な世界で最も貧しい48カ国が、2015年のパリ(気候変動)協定の履行に関してこの数カ月間で「大きな進展」が見られるかどうか重大な関心を寄せている。

ドイツのボンで2週間にわたって開催された国連気候変動会議(5月8日~18日)の閉幕に当たってこのことを強調したのは、後発開発途上国(LDC)グループの議長であるエチオピアのゲブル・ジェンバー・エンダリュー氏である。今年11月のCOP23に向けた準備会合にあたる今回の会議には140カ国の代表が参加した。

Gebru Jember Endalew (Ethiopia) – Chair of the Least Developed Countries Group at UN/ UNFCCC

LDCとは、開発途上国の中でも、①国民総所得(GNI)、②人的資源、③経済的脆弱性の面から「もっとも開発が遅れている」と国連によって分類された国々のグループである。

エンダリューLDC議長は報道発表で、「LDCはこの会議において意義のある進展がみられたことを歓迎しますが、進展の速度は全く十分とは言えません。」「11月のCOP23では、最後に駆け込みで合意する形ではなく、パリ協定を履行する『ルールブック』の最終策定に向けて大きな進展をもたらさなくてはならなりません。」と語った。

COP23とは、1990のドイツ統合まで西ドイツの首都であったボンで11月6日~17日に開催される予定の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第23回締約国会議のことである。ボンには約20の国連機関や事務局が置かれている。

「パリ協定を実現に向け大きな前進を図ることは避けて通れないことです。なぜなら、気候変動の影響はすでに世界のあらゆる場所に見られ、今後の数十年でさらに影響は拡大するものと考えられるからです。」とエンダリューLDC議長は警告した。

またエンダリューLDC議長は、「長く待てば待つほど、対応にはコストがかかるようになり、損失や被害も大きくなります。またそうなると、貧困の根絶をはじめとする持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みが危機に陥ることになりかねません。」と付け加えた。

SDGs Goal No. 13
SDGs Goal No. 13

LDCは、国際社会が開発途上国の資金上の実際のニーズにあまり対処できていないことに懸念を持っている。これら途上国の「各国別に定められた分担金」は、「10億ドル単位ではなく1兆ドル単位」の資金の必要性を強調するものだ。「気候関連の財源を引き出すことは、LDCやその他の開発途上国がパリ協定を履行するにあたって必要不可欠なものです。」とエンダリューLDC議長は付け加えた。

こうした状況を背景にエンダリューLDC議長は、「気候変動へのグローバルな対応は、現段階の最新の科学に沿ってなされねばなりません。」と強調するとともに、「命と生活を守るために、温暖化は(世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して)1.5度にまで抑制されなくてはなりません。つまり、世界の排出量はこれから3年もしない2020年をピークに、その後は(排出量の)削減期に入らなくてはなりません。」と語った。

こうしたことを視野にLDCは、すべての締約国に対して「気候変動の危機がもたらしている緊急性を自覚して問題に対処する取り組みを強化すること」を求めている。また、さらに一歩踏み込んで、「現在および将来世代の生活は瀬戸際にあり、すべての国々が公正かつ大胆な行動をとれるかどうかにかかっている」と警告した。

11月COP23で議長を務めるフィジーのフランク・バイニマラマ首相は、準備会合の閉幕にあたって、「市民社会、科学界、民間部門、そして地方自治体を含むあらゆるレベルの政府との間で、2020年以前に、またその先において、気候関連の行動を加速する大連合」を構築する必要性を訴えた。

Prime Minister of Fiji, Rear Admiral J. V. Bainimarama/ By Foreign and Commonwealth Office, CC BY 2.0
Prime Minister of Fiji, Rear Admiral J. V. Bainimarama/ By Foreign and Commonwealth Office, CC BY 2.0

バイニマラマ氏は、優先事項として、「極端な気候事象や海水面の上昇などの気候変動の影響に対してすべての脆弱な国家の対抗力を強化すること」、「気候対応のための資金源、再生可能エネルギー、清潔な水、安価な気候リスク・災害保険を強化し、持続可能な農業を推進すること」を挙げた。

南太平洋の島嶼国フィジーは、アフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP)グループを構成する79カ国のひとつである。全体でパリ協定の署名国の半数を超す。ACPグループの約40カ国がLDCである。

米国が気候変動問題に対する対応を「再検討する」と表明したことで不透明感が広がっているにも関わらず、ACPグループと欧州連合(EU)は、パリ協定の完全履行に向けた強力かつ安定的なコミットメントを再確認しており、すべてのパートナーに対して、2015年に生み出された推進力を維持するよう求めている。

ACPグループとEUはパリ協定を履行する次のステップに関する共通の立場に合意し、低排出で、気候変動に強い開発の促進に向けて協力を強化している。

この強化された協力の一例として、EUは太平洋地域に対して2020年までに8億ユーロの支援を表明している。うち半分は気候変動対応に使われる。EUはまた、COP23の議長職をフィジーが務める支援として300万ユーロを提供する予定だ。

ミグエル・アリアス・カネーテ欧州委員(気候問題・エネルギー担当)は「欧州は今日、以前にもまして、気候変動に最も脆弱な長年のパートナーの側に立っています。先進国も途上国も共にパリ協定を擁護していくことでしょう。私たちは皆が当事者であり、この協定に対する私たちの共同のコミットメントは、パリ協定が合意された際と同様、今日もこの立場は不可逆的で、再交渉の余地はないのです。」と語った。

ブリュッセルのACP事務局は、パトリック・ゴメス事務局長の次の言葉を伝えている。「ACPグループ・EU間の長期にわたり、現在も継続している協力は、私たちが気候変動の影響に真剣に対処しようとしていることのあらわれです。パリ協定の履行は、ACPグループ加盟の79カ国の生存を確実にするためだけではなく、持続可能で、強靭で、繁栄した経済と社会を世界全体で作り上げていくために行うべきことなのです。」

ACP Secretary General Dr. Patrick I. Gomes.

今回の準備会合では、ACPグループとEUがパリ協定の作業プログラム策定を2018年までに終了する必要性を強調した。これは、すべての国が、グローバルな目標に貢献するために、各国別の気候変動対策計画を速やかに実行に移すようにするために不可欠なものだ。またACPとEUは、来年行われる予定の「促進的対話」に向けた準備の詰めの作業を行う重要性も強調した。

この対話は、すべての当事者の貢献の影響と、これまでの全般的な進捗状況に対する理解を共有し、全体的な目標を達成する解決策を探る重要な機会となることだろう。

ACP諸国とEUはまた、まもなく議長職を降りるモロッコと後任のフィジーによる協議に支援を与えている。この協議は、2018年の「促進的対話」の枠組みに関する明確な提案を策定して11月のCOP23に提示することを目的としている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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【東京IDN=石田尊昭

日本国憲法施行70周年を迎えた5月3日、安倍晋三首相は、新聞インタビューや改憲派集会へのビデオメッセージの中で、「憲法改正・2020年施行」を目指す考えを表明した。

目標年を、東京五輪・パラリンピックの開催年に設定したことへの賛否はあるが、期限が提示されたことにより、これまで以上に改憲論議が加速することが予想される。

言うまでもないが、その議論の過程において、憲法を変えること(または変えないこと)それ自体を目的化するのは誤りだ。改憲するか否かは手段であって、目的ではない。

The Preamble to the Constitution/ Public Domain
The Preamble to the Constitution/ Public Domain

そもそも憲法とは、国民の生命・財産・自由その他の権利を守り、国民の幸福を図ることを目的に、統治の原理・機構とその権限を定めたものである。仮に、内外環境の変化により、現憲法では国民の生命・財産・自由を守り切れないというのであれば、守れるように変えるべきである。逆に、十分に守れる、むしろ変えることで国民が脅かされるというのであれば、変えるべきではない。

いずれにせよ、改憲派・護憲派の双方が感情的対立を越え、国民の幸福を図るための国家のあり方・役割について、事実を基に冷静に意見を出し合う「対話の時期」に来ているのではないか。

かつて「憲政の神」と呼ばれた尾崎行雄は、大日本帝国憲法(欽定憲法)の下であっても、国民が立憲主義を理解し、その精神を身に付ければ、同憲法の立憲的運用は可能だと考えた。また、日本国憲法がどんなに立派な憲法であっても、立憲主義・民主主義の精神が国民に根付かなければ「豚に真珠」と喝破した。

尾崎は、立憲政治には批判精神が不可欠だと言う。当時の国民の「長い物には巻かれろ。お上には逆らうな」という権力追従の態度と、周囲に無批判に同調し付和雷同する態度を厳しく批判した。換言すれば、政治を「お上任せ」にせず、国民一人一人が国のあり方に責任を持ち、この国をどうしたいかを自らの頭で考え抜くことが、立憲政治の屋台骨になるということだ。

これから加速するであろう改憲論議においても、国のあり方を決める政治の主体(=統治機構をコントロールする主権者)としての国民の意識が重要となる。

Ozaki Yukio Memorial Foundation
Ozaki Yukio Memorial Foundation

冒頭の「2020年施行目標表明」に先立つ5月1日、安倍首相は、超党派の新憲法制定議員同盟の集会で、改憲の「機は熟した」と語った。国会議員だけの「盛り上り」では意味がない。国民全体の主権者意識が高まり、国民主体で憲法論議が進められて初めて機は熟す。

INPS Japan

石田尊昭氏は、尾崎行雄記念財団事務局長、INPS Japan理事、「一冊の会」理事、国連女性機関「UN Women さくら」理事。

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NPT運用検討会議第1回準備委員会、核実験禁止条約の重要性を強調

【ウィーンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

「国際的な核軍縮・不拡散レジームの中核として包括的核実験禁止条約(CTBT)を発効させる火急の重要性」が、5月2日から12日にオーストリアの首都で開催された2020年核不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会(NPT締約国のうち111カ国が参加)で強調された。

ジュネーブで1994年から96年にかけて交渉されたCTBTはほぼ普遍的に受け入れられているが、未だに発効していない。183カ国が条約に署名し、このうち核兵器国であるフランス、ロシア連邦、英国を含む164カ国が批准している

United Nations Office at Vienna/ Wikimedia Commons
United Nations Office at Vienna/ Wikimedia Commons

しかし、核技術を持つ特定44カ国(=附属書2諸国)がCTBTを署名・批准することが、既に20年も停滞している同条約の発効要件となっている。この中でまだ締約国になっていないのが、中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・北朝鮮・パキスタン・米国の8か国である。インド・北朝鮮・パキスタンは署名も済ませていない。

準備委員会の議長をつとめたヘンク・コル・ファンデルクワスト軍縮大使(オランダ)は、議長総括のなかで、「包括的核実験禁止条約とNPTの目標・目的との間の本来的なつながりが強調された」と述べている。

CTBTは、核兵器の開発および質的向上を抑制する手段として、核爆発実験あるいはその他の核爆発を禁止する恒久的で非差別的、検証可能で法的拘束力のある約束を国際社会に提供し、それによって水平拡散と垂直拡散の両方を抑えるものであるとの包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会のラッシーナ・ゼルボ事務局長の意見に、会議参加者らは賛成した。

会議参加者らは、核保有国によるCTBTに関する前向きな決定が、同条約の批准に向けて望ましい効果を生み出すだろうと強調した。そして未だ未署名・未批准の国々、とりわけ条約発効に必要な付属書2諸国の残り8か国に対して、他の国が批准するのを待たずに条約を批准するよう呼びかけがなされた。

この点についてファンデルクワスト議長の議長総括の草案には、「核兵器保有国には、包括的核実験禁止条約の附属書2諸国に対してCTBTを署名・批准するよう呼びかける特別の責任があることが再確認され、核兵器国に対してこの点でリーダーシップを発揮するよう呼びかけがなされた。」と記されている。

締約国は自発的な核実験の中断(モラトリアム)が実施されていることを歓迎しつつも、その内多くの国々が、核実験やその他すべての核爆発を禁止する恒久的で法的拘束力のある約束の代替にはならないとの見解を表明した。そのことは、包括的核実験禁止条約の発効によってのみ達成できることだ。CTBTの目標及び目的に反するいかなる行動も慎むことの重要性が強調された。

Ambassador Henk Cor Van der Kwast of the Netherlands chaired the meeting/ CTBTO
Ambassador Henk Cor Van der Kwast of the Netherlands chaired the meeting/ CTBTO

不拡散・軍縮イニシアチブ(NPDI)によって提出された作業文書は、CTBTの「できるだけ早い時期の」発効、さらには「グローバルな核不拡散・軍縮の前進」を含めた核実験禁止体制の強化に対する締約国の強いコミットメントを再確認した。

NPDIは、オーストラリア・カナダ・チリ・ドイツ・日本・メキシコ・オランダ・ナイジェリア・フィリピン・ポーランド・トルコ・アラブ首長国連邦といった12の非核兵器国から成る、地域横断的な有志国グループである。

Japanese Foreign Minister Fumio Kishida/ CTBTO

しかし、第1回準備委員会のもう一つの注目点は、1945年に長崎とともに原爆が投下された広島出身の日本の岸田文雄外相が参加したことだ。岸田外相は、核兵器保有国と非保有国の対立の深刻化に言及し、「双方を巻き込んでいくことこそが核兵器のない世界につながると確信している」と指摘し、核兵器の拡散を防ぐために核兵器国と非核兵器国間の協力を強く訴えた。

岸田外相は5月2日に準備委員会で行った演説の中で、「核兵器のない世界に向けての努力は,北朝鮮情勢をはじめ、厳しさを増している安全保障環境を考慮しつつ、現実的に進めていく必要があります。」と語った。

また中満泉国連軍縮問題担当上級代表(事務次長)は、就任から1週間後の5月8日(準備委員会2週目の初日)に行った演説の中で、準備委員会が優先すべきことは、「過去の約束を完全に履行するための勧告を形成することです。」と指摘したうえで、「1995年、2000年2010年のNPT運用検討会議で合意された成果が依然として完全に有効であることについて、あらゆる主体が同意しているように思われることに勇気づけられます。」「この点に関しては、アカウンタビリティや透明性、相互の信頼を促進する措置がきわめて重要であり、過去の運用検討サイクルの中で成し遂げた成果の上に構築していくことが可能です。準備委員会はまた、1995年の中東決議の履行に向けた新たな共通のビジョンを早急に確定するよう努力を傾けるべきです。そしてその中には、中東地域の国々よる包摂的な対話を早期に開始する努力も含まれるべきです。」と述べた。

Izumi Nakamitsu, UN Under-Secretary-General of Disarmament Affairs/ UNIS Vienna /Agata Wozniak
Izumi Nakamitsu, UN Under-Secretary-General of Disarmament Affairs/ UNIS Vienna /Agata Wozniak

中満上級代表の発言の重要性は、2005年と同様に2015年にニューヨークで開かれた運用検討会議(2015年4月27日~5月22日)もまた、実質的な成果文書に関する合意に達することができなかったという事実に現れている。米国・英国・カナダの3つの締約国が、NPT非締約国であるイスラエルが合意に反対したことを理由として、会議を頓挫させてしまったからだ。

これら3か国は、中東非核兵器地帯創設への呼びかけを運用検討会議の最終文書で繰り返すべきだと主張したエジプトの要求が会議を失敗に終わらせたと非難した。

しかし、中東非核兵器地帯は、2010年運用検討会議でもすでに想定されていたものであった。同年の運用検討会議では、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用、中東問題(とりわけ中東に関する1995年決議の履行)の領域におけるフォローアップ(行動計画)について合意に達していた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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Vesna Peric Zimonjic Joins Board of Directors for S-E Europe

The International Press Syndicate (INPS) Group’s Multimedia Director Katsuhiro Asagiri, who is also President of INPS Japan, travelled to Belgrade on way back from Vienna to Tokyo from May 13-17, 2017, where he visited our colleague and had some other meetings.

We are delighted that Vesna Peric Zimonjic has agreed to join the INPS Board as Director for Southeastern Europe, comprising Albania, Bosnia and Herzegovina, Bulgaria, Croatia, Greece, Kosovo, Macedonia, Moldova, Montenegro, Romania, Serbia, and Slovenia.

Vesna has decades long experience in journalism, freelancing among others for the Inter Press Service since 1991, when wars of disintegration of former Yugoslavia kicked off. In 1999 she began contributing for the British daily The Independent. Both engagements covered major developments in the turbulent region.

She also reported from the International Criminal Tribunal for former Yugoslavia (ICTY) for the BBC World Service, Australian Broadcasting Corporation, Deutsche Welle Radio and TV in English, Radio France International as well as Radio Ireland and the Canadian Broadcasting Corporation.

Besides, she did weekly media monitoring for the New York-based Committee to Protect Journalists (CPJ) under the regime of former leader Slobodan Milosevic. In February 1994, she organised the desk of the first independent news agency in Serbia, FoNet as the deputy editor in chief. Between 1976 and 1994 she worked at the national news agency Tanjug as the Foreign Desk editor and reporter at large.

Video footage recorded during Katsuhiro Asagiri’s stay in Belgrade from May 7-13, 2017: https://www.youtube.com/watch?v=3WmAxPmSxns

未来に向けて国連とその創造的進化を強化する(池田大作創価学会インタナショナル会長インタビュー)

【ベルリン/東京IDN-INPS】

新たな希望の時代を招来するうえで「青年の役割」に注目することがなぜ大切なのか。核兵器を法的に禁止し、廃絶する条約制定を目指す国連の画期的な交渉会議は成功するだろうか。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、SDGsやパリ協定の推進のために、どうすれば国際社会から十分な支援を得ることができるだろうか。 これらは、インターナショナル・プレス・シンジケート(INPS)の基幹媒体であるIDNのラメシュ・ジャウラ記者兼編集長が、創価学会インタナショナル池田大作会長に電子メールインタビューで問いかけた質問の一部である。インタビューの全文は以下のとおり。 …

Q:貴殿は、1983年から毎年、平和提言を発表されています。本年の「希望の暁鐘 青年の大連帯」と題する提言の冒頭で、「青年の役割」に焦点を当てられております。「青年の役割」に注目することがなぜ大切なのかについて、説明いただけますでしょうか。

A:それは、「青年の数だけ希望があり、未来がある」と固く信じるからです。現在、世界では多くの問題が山積していますが、青年たちが連帯して行動を起こしていけば、そこから希望の暁鐘が生み出されるとの思いを、提言のタイトルに込めました。

SDGs for All Logo
SDGs for All Logo

今回、私は、SDGs(持続可能な開発目標)をめぐる課題を中心的に論じましたが、その制定プロセスにおいて国連が実施した調査に、最も多くの声を寄せたのも青年たちでした。

市民社会から700万人以上の声が届けられる中、7割以上を30歳未満の若い世代が占めていたのです。

以前のミレニアム開発目標とSDGsの違いは様々ありますが、なかでも重要なのは、市民社会の声、特に青年の声を踏まえる形で採択された“民衆のアジェンダ”であるという点だと思います。 

SDGsでは、貧困や飢餓をはじめ、ジェンダー平等や気候変動など、17分野・169項目にわたる目標が盛り込まれました。

いずれも容易ならざる課題であり、国レベルでの取り組みの強化はもとより、市民社会の力強い後押しが絶対に欠かせません。

“民衆のアジェンダ”という特色を最大の強みとし、グローバルな行動の連帯を築くことがSDGsの成否を握る鍵であり、その結集軸となる存在こそ「青年」にほかならないと私は考えます。

私どもSGIが、国連の協議資格NGOとして軍縮・人権・環境・人道を軸に活動を続ける中、その中核を担ってきたのも青年たちでした。青年には、自らの創造力をもって希望のシナリオを紡ぎ出し、自らの情熱と行動をもってそれを前に進める力が具わっています。

今、世界には10歳から24歳までの若い世代が、18億人いるといわれています。こうした若い世代が、暴力や争いではなく、平和や人権を守るために共に立ち上がり、行動の輪を広げていけば、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会への道は、必ずや大きく開けていくに違いありません。

Q:「大連帯」とは、国家、人種、民族、経済、イデオロギーの違いを超えるものかと思います。貴殿の視点から、青年たちはどのように大連帯を実現することができるでしょうか。

A:様々な違いを乗り越えて連帯を築くための出発点となるのは、「思いを共有すること」ではないでしょうか。

それは、難民の人々が直面する窮状に対して“胸を痛める心”であったり、環境破壊を食い止めたいという“やむにやまれぬ思い”であったり、戦争のない世界を求める“心の底からの願い”といったものです。

実際、私どもSGIが国連支援の活動を続ける中で、他の団体と連携を深める基盤となってきたのも、そうした思いでした。

例えば人権の分野では、各地で広がる差別や排他主義に対し、問題意識を同じくする多くの団体と連携する中で、「人権教育および研修に関する国連宣言」の採択を後押しました。採択から2年後の2013年には、アムネスティ・インターナショナル人権教育アソシエイツ(HREA)と一緒に、「人権教育2020」という市民社会ネットワークを立ち上げ、この3月にも同ネットワークなどと共同し、「変革の一歩――人権教育の力」と題する新展示をジュネーブの国連欧州本部で開催したところです。

Ambassador Maria Nazareth Farani Azevedo of Brazil (left in the photo) addressing launch of the Exhibition as representative of the Platform for Human Rights Education and Learning, comprising the governments of Brazil, Costa Rica, Italy, Morocco, the Philippines, Senegal, Slovenia, Switzerland, and Thailand. Credit: Kimiaki Kawai | SGI
Ambassador Maria Nazareth Farani Azevedo of Brazil (left in the photo) addressing launch of the Exhibition as representative of the Platform for Human Rights Education and Learning, comprising the governments of Brazil, Costa Rica, Italy, Morocco, the Philippines, Senegal, Slovenia, Switzerland, and Thailand. Credit: Kimiaki Kawai | SGI

また、青年の連帯という面では、核兵器の廃絶を求める国際ネットワーク「アンプリファイ」が昨年5月に発足し、SGIの青年メンバーが他の団体の青年たちと力を合わせて、核時代に終止符を打つための活動を広げています。

このように思いを共有し、問題解決のために何をすべきかを共に考えることが、連帯を形づくる基盤になると思うのです。

SGIが「世界市民教育」を重視し、地球的な課題に関する様々な展示等の開催を通して、特に若い世代の意識啓発に力を入れてきた理由の一つもそこにあります。

その上で最も大切なのは、共に行動を重ねる中で、垣根を超えた“一対一の友情”を深め合っていくことではないでしょうか。

「大連帯」といっても、あくまで重要なのは、規模の大きさではなく、つながりの強さです。困難な状況を乗り越えながら、現実変革のうねりを巻き起こすスクラムの強さです。“一対一の友情”こそ、「青年の大連帯」の生命線なのです。

Q: 2015年8月に広島の地で、SGIが共同主催された「世界青年サミット」を鮮明に思い起こします。貴殿は、師匠である創価学会の戸田城聖第2代会長が「原水爆禁止宣言」を発表してから60周年の佳節である本年も、青年に焦点を当てた行事の開催をお考えでしょうか。

A:戸田第2代会長が「原水爆禁止宣言」を発表した神奈川の地で、「青年不戦サミット」の開催を予定しています。これは、広島・長崎・沖縄の青年部をはじめ、各地の青年の代表が集って行われるものです。

Josei Toda/ Seikyo Shimbun

今から60年前の1957年9月8日、戸田会長は、5万人の青年たちを前に、世界の民衆の生存の権利を根源的に脅かす核兵器は“絶対悪”にほかならず、いかなる理由があろうと、その使用を断じて許してはならないと訴えました。

そして、核兵器の禁止と廃絶を時代潮流に高めていくことを、“遺訓の第一”として、当時、青年だった私たちに託しました。

以来、私は、その遺訓を胸に、「核兵器のない世界」への道を切り開くための行動を続けてきました。

SGIが現在、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)をはじめ、他のNGOや宗教コミュニティーの団体などと力を合わせて、核兵器禁止条約の締結を目指す運動に取り組んでいる精神的な源流も、この戸田会長の「原水爆禁止宣言」にあるのです。

時を経て、核兵器の非人道性に対する認識が高まる中、核兵器禁止条約をめぐる交渉がいよいよ国連で始まりました。

条約の締結によって、一切の例外を認めることなく核兵器の使用を禁止する国際規範を打ち立てることが、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見で焦点となった“明示的な法の不在”の克服につながることは間違いありません。

この禁止条約の交渉を成功に導く上でも、また、条約の締結後に実効性の確保を図る上でも、市民社会の声、なかんずく、核時代との決別を強く求める青年の声を結集し、目に見える形で示していくことが、非常に重要になると思います。

神奈川で開催する「青年不戦サミット」が、その一翼を担う集いとなることを、心から念願してやみません。

Q:核兵器を法的に禁止し、廃絶する条約制定を目指す国連の交渉会議の第1会期が3月31日に終了したことを受けて、6月15日から7月7日に行われる第2会期に何を期待されますか。

A:交渉会議の第1会期で、国連加盟国の3分の2を上回る130カ国以上の国々と市民社会の代表が参加する中、条約の大枠をめぐる建設的な議論が進んだことを、強く歓迎するものです。

会議にはSGIの代表も参加して発言を行ったほか、作業文書を提出しましたが、討議では“何としても禁止条約を成立させよう”という熱気に満ちた発言が相次いだといいます。討議の進展を踏まえ、議長を務めるコスタリカのホワイト大使は、第2会期の最終日には条約の成案を採択したいと表明しました。

そこで私が申し述べたいのは、第1会期ではほとんど参加がみられなかった核保有国や核依存国を含めて、より多くの国が、今後の討議に参加するよう、強く呼び掛けたいという点です。

意見の対立があるから対話は不可能なのではなく、対立があるからこそ対話が必要となるからです。

今日、核兵器がもたらす壊滅的な結末への懸念と、偶発的な事故などによる核爆発の危険性に対する認識は、核保有国や核依存国を含め、どの国にも基本的に共有されたものであるはずです。

その点は、2010年のNPT運用検討会議の最終文書でも確認されております。

そこを足がかりに、NPT第6条の核軍縮義務に焦点を合わせた討議を行う中で、各国が抱える安全保障上の懸念と、「核兵器のない世界」を実現するための方途が交差する点がどこになるのか浮き彫りにし、前に進めるべき時が来たと思うのです。

第1会期で行われた市民社会の代表を交えての自由討議の機会を第2会期でも設ける中で、禁止条約の制定を“地球的な共同作業”として推し進め、会期末の成立を期すべきではないでしょうか。

Q:核兵器禁止条約をめぐる今後の交渉会議において、貴殿は、日本がどのような役割を担うべきであるとお考えでしょうか。

A:私は、唯一の戦争被爆国である日本が歴史的な使命と責任を深く自覚し、交渉会議に積極的に臨むことを呼び掛けてきました。

それだけに、3月末に行われた交渉会議の第1会期で、日本が不参加となったことを、極めて残念に思います。

しかし同時に、日本から多くの市民社会の代表が会議に集い、核兵器の禁止と廃絶を求める声を条約への具体的な提案と併せて届けたことの重みは非常に大きかったと感じてなりません。

会議では3人の被爆者の方々が体験を生の声で語りました。その体験を通し訴えられた“核兵器による惨害を二度と誰にも味わわせてはならない”との切実な思いは、核兵器禁止条約の立脚点がどこにあるのかを明確に示したものといえましょう。

これまで日本が核軍縮・不拡散外交の柱としてきたNPTは、核戦争が全人類に惨害をもたらすとの認識に立ち、「諸国民の安全を守る措置」の必要性に基づいて制定されたものです。この本旨に照らせば、禁止条約はNPTと決して相反するものではなく、NPTが目指す核軍縮・不拡散の強化につながるものです。

Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.
Photo: Hiroshima Ruins, October 5, 1945. Photo by Shigeo Hayashi.

その意味で大切なのは、日本が近年、広島で開催した軍縮・不拡散イニシアチブの会合やG7外相会合で、核保有国や核依存国の外相らと共に採択した宣言を今一度想起することではないでしょうか。そこには、核兵器の非人道的影響をめぐる議論は「国際社会の結束した行動のための触媒であるべき」との文言や、「核兵器は二度と使われてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている」との一節が刻まれています。

核兵器のない世界を築くために何が必要か、議論を徹底して深めながら、道を切り開くことに、日本の使命と責任があります。その一点に立ち返って、第2会期からの討議への参加に踏み出すことを、強く願ってやみません。

そして、第1会期に参加していた核依存国のオランダなどとも連携しながら、核保有国と非保有国との橋渡し役を担い、日本だからこそできる貢献を果たしてほしいと望むものです。

Q: 貴殿は、米ロ首脳会談をできるだけ早期に開催し、核軍縮の流れを再活性化することを提言されております。近い将来に、そのような会談が開催される可能性について、どのような見通しをお持ちでしょうか。

A:今年1月、アメリカでトランプ新政権が発足した直後、ロシアのプーチン大統領との電話会談で意見の一致をみていたように、3年前のウクライナ情勢をめぐる対立以来、冷え込んでいた両国関係の改善を目指す機運が見え始めていました。

しかし、先日のシリアへの空爆を巡って、米ロ関係はより深刻な状況に陥り、先行きが見えない状況となっています。

両国の対立は、シリアを巡る国連安保理での議論にも影響を及ぼすなど、国際社会に大きな陰を落としており、緊張緩和に向けての糸口を早急に探る必要があります。

空爆から5日後(4月12日)に、アメリカのティラーソン国務長官がモスクワを訪れ、ロシアのラブロフ外相に続いて、プーチン大統領との会談が行われましたが、両国の間で対話の回路を閉ざさない努力は、緊張状態のエスカレーションを防ぐために、ますます求められるでしょう。

かりに対話の過程で激しい意見の応酬が続いたとしても、互いの懸念がどこにあるのかを知ることが、関係改善の一歩となることは間違いありません。

先日(5月2日)にも、トランプ大統領とプーチン大統領が電話会談を行いましたが、こうしたさまざまな形を通じて対話の継続を図っていくことが重要だと思います。

現在、米ロ両国とも、核兵器の関連予算は莫大のものとなっており、このままではさらに増えていく恐れがあります。その莫大な資金が削減されれば、福祉や保健などの向上のために充当することもできます。

昨年11月、トランプ大統領の当選直後に、プーチン大統領と行った電話会談で話題になったように、今年は両国が国交を樹立してから210年にあたります。その時の会談で一致した「実務的で互いの利益となる協力関係への復帰」に向けて、歩み寄りへの模索を続ける中で、両国の行動が大きな鍵を握る核軍縮の問題についても対話を開始することを、切に願うものです。

Q: 国連の新事務総長であるアントニオ・グテーレス氏が直面する課題とは何であるとお考えでしょうか。また、そうした課題を事務総長はどのように解決できるとお考えでしょうか。どうしたら、事務総長は、SDGsやパリ協定の推進のために、国際社会から十分な支援を得ることができるでしょうか?

A:国連では創設以来、「世界人権宣言」の採択をはじめ、様々な分野で基盤となる国際規範や条約の整備を進める一方で、「持続可能な開発」や「平和の文化」といった人類が共同して追求すべき理念や指標を打ち立てることに貢献してきました。

こうした一連の取り組みが、第2代の事務総長を務めたハマーショルドが提起していた、憲章の精神に基づく国連の“創造的進化”の重要な一端を担ってきたといえましょう。

それは、多くの地球的な課題に対する「認識の共有」を国際社会で押し広げ、近年もSDGsの制定とともに、温暖化防止のためのパリ協定を採択に導く大きな牽引力となりました。

しかし難民問題のように、事態の深刻さへの「認識の共有」が進んでいても国際協力の強化が難航する課題も多く、「認識の共有」から「行動の共有」への流れをいかに強めていくかが、現在の国連が直面する大きなテーマであると思えてなりません。

その意味で、グテーレス事務総長が、10年にわたる難民高等弁務官としての経験などを踏まえて、「予防の文化」の重要性を呼び掛けるとともに、ジェンダー平等の実現を最優先課題の一つに挙げておられることに、強く共感するものです。

なぜなら、温暖化の問題が象徴するように、地球的な課題に無縁でいられる国はどこにもなく、どの国にとっても有益となる「予防の文化」の追求は、国連の挑戦を支える「行動の共有」の強いインセンティブ(動機)になると思うからです。

また、ジェンダー平等は、私も今年の提言で強調したように、平和構築や紛争解決の面で不可欠の要素であるだけでなく、SDGsの全ての目標を前進させる中軸となるものです。

この点、グテーレス事務総長がその一環として、国連幹部のジェンダー平等を目指して、副事務総長や事務次長、官房長や政策担当特別顧問に女性を任命し、自ら国連におけるジェンダー主流化の流れを強めようとしていることを、強く歓迎するものです。

The ninth Secretary-General of the United Nations, António Guterres. /UN Photo/Eskinder Debebe
The ninth Secretary-General of the United Nations, António Guterres. /UN Photo/Eskinder Debebe

私は、グテーレス事務総長が重視する「予防の文化」やジェンダー平等こそ、SDGsやパリ協定をはじめとする国連の挑戦の大きな推進力になるに違いないと確信します。

そのためにも、これまでの質問の中で述べてきたように、「国連と市民社会との協働」をあらゆる分野で強めていくことが大切であり、とりわけ「青年の参画」の場を積極的に設けることが何よりも欠かせない要素となるに違いありません。

グテーレス事務総長のリーダーシップの下、「市民社会との協働」と「青年の参画」が、国連の強化と創造的進化をもたらす基盤として広がっていくことを、私は強く期待しています。(原文へPDF

INPS Japan

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