ホーム ブログ ページ 25

2024年国際女性デー

【ニューヨーク/東京INPS Japan/IPS NORAM】

3月8日、私たちは国際女性デーを祝います。

世界中の女性の回復力、功績、可能性を称える日です。

世界は地政学的紛争、貧困、気候変動といった危機に直面しています。

これらは、世界のあらゆる場所で女性の苦境を悪化させています。

さらに、グローバルな経済・金融システムはジェンダー不平等を永続させています。

世界の労働力人口に占める生産年齢女性の割合は50%未満です。

女性は男性の約3倍の時間を無償の家事労働に費やしている。

世界全体では、有給労働に従事する女性の平均所得は男性より20%低い。

この格差が35%に跳ね上がる国もあります。

労働人口の半数以上の女性が非正規経済に従事しており、多くの場合、不安定な状況で弱い立場に置かれています。

女性による無償の介護労働は、評価すればGDPの40%以上を占めます。

現在の傾向が続けば、2030年までに3億4,200万人以上の女性と女児が極度の貧困状態に陥る可能性があります。

皮肉なことに、女性への投資という強力な解決策があります。

女性の権利を投資問題として認識することは、変革的な解決策を生み出すために極めて重要です。

女性に投資することで、貧困のシステム的な連鎖から抜け出し、真に繁栄することが可能になります。

男女平等を達成するためには、さらに年間3600億ドルが必要です。

しかし、雇用における男女格差を解消すれば、1人当たりGDPを20%押し上げることができます。

介護の格差を解消し、まともな雇用を伴うサービスを拡大すれば、2035年までに約3億人の雇用を生み出すことができます。

今年の国際女性デーは、男女平等を擁護しましょう。「女性に投資しましょう: 進歩を加速させましょう。」(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau

IPS News Agency

関連記事:

国際女性デー2023

国際女性デーの精神的・社会主義的起源

|トーゴ|森林の再生を通して女性の所得機会向上に資する画期的なプロジェクトが始まる

核軍縮と核不拡散に率先して取り組む日本

この記事は、アメリカン・テレビジョン・ネットワーク(ATN)が配信したもので、同通信社の許可を得て転載しています。

【ニューヨークATN=アハメド・ファティ】

 安全保障理事会の議長国を務める日本は、3月18日に核軍縮・不拡散に関する重要なハイレベル・ブリーフィングを開催する準備を進めている。日本の上川陽子外務大臣が議長を務めるこの重要なイベントは、世界の核セキュリティに関する差し迫った問題に取り組むため、主要な利害関係国を集めることを目的としている。特筆すべきは、アントニオ・グテーレス国連事務総長によるブリーフィングである。

 このイニシアチブは、国連憲章第26条に沿うもので、安全保障理事会が軍事参謀委員会と協力して軍備を規制する計画を策定し、それによって人的・経済的資源を軍事に転用することを最小限に抑えることを義務づけている。注目すべきは、安保理が1947年1月という早い時期に、世界的な核軍縮と大量破壊兵器(WMD)の廃絶を達成するという目標を掲げていたことである。

1968年の核不拡散条約(NPT)や1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)といった画期的な条約の採択など、安全保障理事会による初期の前進にもかかわらず、特に冷戦時代には、歴史的な地政学的緊張によって進展が妨げられてきた。1952年に主要な委員会が解散したことで、国連総会が軍縮努力を推進させるうえでより重要な役割を担うようになった。

 近年、核リスクが再燃しており、世界各地で核兵器の近代化が進み、世界の軍事費は2023年には2兆2000億ドル(約220兆円)に達するという報告もある。緊張の高まりは、2022年2月にウクライナに侵攻したロシアが核兵器の使用を示唆したことで、さらに悪化した。その後、米ロ間の戦略的安定対話が決裂し、2023年2月にロシアが新戦略兵器削減条約(新STAR条約)を脱退したことも相まって、核の脅威がエスカレートしていることが浮き彫りになった。

 さらに、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)のミサイル能力に対する懸念は根強く、その好戦的な複数の弾道ミサイル発射が隣国である韓国や日本を脅かしていることや、イランのウラン濃縮活動が世界的な不安を煽り続けていることからも明らかである。

 核保有国間の緊張が高まる中、核軍縮と核不拡散を推進しようとする安保理は、複数の課題と限られた選択肢に直面している。核保有国が軍縮に消極的であることも、大きな障害となっている。しかし、このような課題の中で、信頼醸成と核の脅威削減を目指した革新的な戦略は不可欠である。

 安保理がとりうる手段の一つは、核紛争のリスクを軽減するための信頼醸成措置について概説した議長声明または決議を採択することである。さらに、グテーレス事務総長が推奨しているように、軍縮の意思決定に女性の参加を増やすことを提唱すれば、核問題への取り組みの包括性と有効性を高めることができる。

 核不拡散の取り組みに対する理事国間の一般的な支持はあるものの、国ごとの問題については意見が分かれている。イランの共同包括行動計画(JCPOA)遵守をめぐる意見の相違は、西側諸国とロシア、中国との対照的な姿勢を浮き彫りにしている。同様に、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験に対する見解の相違は、理事会内での合意形成の難しさを浮き彫りにしている。

Ahmed Fathi, ATN
Ahmed Fathi, ATN

 さらに、とりわけCTBTと核不拡散条約(TPNW)に関する理事国間の条約順守の不一致は、世界的な軍縮への取り組みをさらに複雑にしている。

日本は第二次世界大戦中に唯一の被爆国となったという特異な歴史を踏まえ、核軍縮・不拡散へのコミットメントを堅持している。2023年12月、日本は核兵器のない世界に向けた集団的なロードマップを醸成することを目的とした総会決議の先頭に立った。この決議は148カ国の賛同を得ており、核兵器のない世界の実現という共通の国際的利益を強調している。

日本がハイレベル・ブリーフィングの開催を準備している今、国際社会はさらなる審議と核の脅威がない世界の追求を待ち望んでいる。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

AIチャットボットが好戦的雰囲気の中で核使用のリスクを警告

北朝鮮の核危機を打開する道はある

プーチンの脅しは核不拡散体制にどれほどのダメージを与えたか?

アジアにおける女性器切除は、依然として無視されている問題である

【クアラルンプールIPS=ナウミ・ナズ・チョードリー】       

アフリカでは、女性器切除(FGM/C)の廃止に向けて大きな前進があった。残念ながら、アジアでは同じことは言えず、少なくとも10カ国でFGM/Cが行われているが、この地域の各国政府は効果的な行動を起こしていない。女性の権利団体は、各国に対し、FGMを犯罪化するために必要な法律を導入すること、この慣習の範囲と性質に関する国内データを提供すること、そしてこの地域で無視されているこの問題に取り組む努力に十分な資金を提供することを求めている。

アジア各国政府にFGM/Cの犯罪化を求める声

Map of Asia
Map of Asia

FGM/Cは主にアフリカで起こるという誤解が広く残っており、アジアにおけるFGM/Cの認知度の低さが不作為の一因となっている。

近年、国連は国際人権条約機関やその他の人権メカニズムを通じて、インド、スリランカ、シンガポール、モルディブなどのアジア諸国に対し、FGM/Cに対処し、禁止するための具体的な法律を制定するよう勧告を行っている。しかし、アジアのどこにもFGM/Cを禁止する法律はない。

第7回アジア太平洋人口会議(APPC)では、7つの女性権利団体が、FGM/Cに対するゼロ・トレランス・アプローチの導入について、地域政府に共同提言を行った。

APPCは、アジア太平洋地域の人口と開発に関する重要な問題を議論するため、10年ごとに開催される地域レビュー・メカニズムである。2023年11月15~17日にタイの国連会議センターで開催され、女性の権利活動家たちは、サイドイベント「アジア太平洋地域における公正で持続可能な開発を達成するための基盤としての権利に基づくアプローチ」を招集し、参加者はFGM/Cを含む女性と女児に影響を与える有害な慣行について議論した。

議員たちは、確固とした法的・政策的措置を講じるよう助言され、提言は「市民社会の行動呼びかけ」と「若者の行動呼びかけ」の中で取り上げられた。

FGM/Cは世界的な問題である

FGM/Cは、医学的な理由以外で女性器の一部または全部を切除したり、女性器を傷つけたりする有害な行為である。

国際的に女性と女児の人権に対する重大な侵害と認識されているFGM/Cは、女性と女児の性欲をコントロールし、抑制する目的で行われる。感染症や激しい痛み、精神的トラウマ、性的機能障害、生殖に関する健康問題、出産合併症、場合によっては死亡など、生涯にわたってさまざまな身体的・心理的問題を引き起こす可能性がある。

世界保健機関(WHO)の対話型データツールによると、27カ国においてFGM/Cによって引き起こされた問題を抱える女性の医療にかかる経済的コストは、年間14億米ドルに上ることが明らかになった。WHOはまた、もしFGM/Cが廃止されれば、2050年までに医療費の60%以上が節約できると推定している。

FGM/Cは世界的な問題である。世界中でFGM/Cを受けている女性と女児の数は、公式には2億人以上と推定されている。しかし、実際の規模ははるかに大きい。学会やメディアの報告、市民社会団体が収集した非公式データ、生存者へのインタビューに基づく逸話的研究によると、FGM/Cは南極大陸を除くすべての大陸で見られることが明らかになっている。

アジア各国政府はFGM/Cに関するデータ提供を

アジアで国レベルのFGM/C関連のデータを共有しているのはインドネシアとモルディブだけで、他のアジア諸国からは公式データは提供されていない。しかし、学術研究と生存者の証言は、ブルネイ、インド、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイでFGMが行われていることを強く示している。

SDGs Goal No. 3
SDGs Goal No. 3

正確で包括的な国内FGM/Cデータ収集は、女性と女児がどのように直接影響を受け、危険にさらされているかを理解するために不可欠である。また、どのようなコミュニティが関与しているのか、どのようなFGM/Cが行われているのか、健康、人権、身体の自律性にどのような影響があるのか、といった重要な洞察も得られる。

FGM/Cに関するデータは、適切な支援を計画し、その効果を測定するために利用することができる。さらに、信頼できる統計は、資金を集め、政府やその他の義務者に説明責任を果たさせるための鍵となる。

データの欠如は、政府が不作為の根拠を主張する機会を与えることになる。例えばインドでは、2023年の国会でのFGM/Cに関する質問に対し、女性・児童開発省は、国内にはFGM/Cの事例がいくつかあるかもしれないが、「その一般的な存在を立証する信頼できるデータはない 。」と指摘した。

FGM/Cをなくすためのコミュニティ活動への投資

他の地域とは異なり、アジアのほとんどの地域では、FGM/Cに関する地域社会の教育や啓発のための大規模な政府プログラムはほとんどない。予防や草の根活動の支援に向けられる資源はほとんどなく、地元の団体が資金を確保するのも難しい。

FGM/Cをなくすためのアジア・ネットワークが主導するような集団行動は、必要なスポットライトを当て、女性と女児を支援し、国内および国境を越えた協力体制を活性化する上で、非常に貴重な役割を果たしている。

FGM/Cの根絶は、加害者を罰し、生存者のニーズを満たす法律と政策に支えられた、FGM/Cの有害な影響に関する地域社会の積極的な関与によってのみ可能となる。これを達成するために、アジアの各国政府は、市民社会組織、影響を受ける地域社会、生存者と連携して、FGM/Cをよりよく理解し、効果的な政策を策定し、実施し、社会的、法的、教育的、保健的サービスの提供に投資する必要がある。

FGM/C撤廃に向けた世界的コミットメント

国連は2月6日を「女性器切除を許さない国際デー」と定めた。私たちがFGM/Cをなくすためにどこまで進んでいるかは、FGM/Cをなくすために各国が交わした国際的な約束がどの程度履行されているかによって測られる。

SDGs Goal No. 5
SDGs Goal No. 5

各国がしっかりとした措置をとるために、さまざまな国際人権メカニズムが整備されてきた。持続可能な開発目標5.3や、女性差別撤廃条約(CEDAW)や子どもの権利条約(CRC)といった女性と女児の権利に関する国際人権条約は、FGM/Cを明確に禁止し、対策を講じるよう各国に求めている。

国際人口開発会議(ICPD PoA)の行動計画などの国際文書は、各国にFGM/Cの根絶を促し、そのための措置を盛り込んでいる。推奨事項には、「……村や宗教の指導者を含む強力な地域社会への働きかけプログラム、少女や女性の健康への影響に関する教育とカウンセリング、切断を受けた少女や女性の適切な治療とリハビリテーション」(ICPD PoA 7.40)が含まれる。

アジアにおけるFGM/Cの終結は優先されなければならない。

1994年に国際人口開発会議(ICPD)が初めて開催されてから、2024年で30年を迎える。この記念すべき年は、女性と女児のセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康と権利)を世界的に推進するという分野において、重要な節目となる。FGM/Cの終結はその重要な要素であり、そのための世界的な公約を効果的に実施するためには、世界的な取り組みがアジアを優先的に重視しなければならない。

アジア諸国が現在の課題を解決するために立ち上がらない限り、アジアにおけるFGM/Cを最終的に終わらせるための立法措置の導入と効果的な実施を提唱する上で、行動を促し、政策を立案・実施し、政府やその他の義務者に責任を負わせることは困難だろう。(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau

関連記事:

「アフリカの角」地域で未曽有の干ばつ

|視点|全ての少女に学籍を認めることが児童婚に歯止めをかける一つの方法(アグネス・オジャンボ『人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ』研究員)

|カメルーン|娘を「守る」ために胸にアイロンをかける?

米国、核ミサイルを発射し「戦闘準備態勢」を誇示

カリフォルニア州(デイリー・メール)— 米空軍グローバル・ストライク・コマンドの兵士とヴァンデンバーグ宇宙軍基地のガーディアン部隊が協力し、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から無装備のミニットマンIII大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。このミサイルには、テレメトリー機能を備えた統合試験用再突入体が搭載されていた。

空軍は、この発射が事前に計画された演習であり、現在の国際情勢への対応ではないことを強調した。空軍長官代行のゲイリー・アシュワース氏は、「本日のミニットマンIIIの試験発射は、米国核戦力の即応性、精度、そして専門性を示す手段の一つです。また、核抑止任務の致死性と効果に対する信頼を提供します。」と述べた。

この試験は、ミサイルシステムの現状能力を評価するためのデータ収集・分析を目的としている。ダスティン・ハーモン大佐(第377試験評価グループ司令官)は、「この試験により、我々のチームは現在のシステムの精度と信頼性を分析・報告し、将来的なミサイルシステムの改良を検証することができます。」と説明した。

深夜に発射されたミサイルは時速15,000マイル(約24,000 km)の速度で飛行し、約22分で4,200マイル(約6,760 km)離れた太平洋のクワジェリン環礁近くの試験場に到達した。この極超音速兵器は、発射後30分以内に世界中のどのターゲットにも到達できるよう設計されている。

ミニットマンIIIは本来、3基のMk 12A核弾頭(それぞれ最大35万トンのTNT火薬に相当)を搭載可能だが、今回の試験では無装備のミサイルが使用された。

このミサイルは、ワイオミング州F.E.ウォーレン空軍基地から**約1,300マイル(約2,090 km)**輸送され、カリフォルニアで再組み立てされた。空軍によると、「ヴァンデンバーグ宇宙軍基地の西部試験場は、空軍グローバル・ストライク・コマンドのICBM抑止戦略の主要な試験拠点として機能している」とのこと。

また、空軍は次のように説明している。「この試験発射は、米国の核抑止力が安全、確実、信頼性が高く、21世紀の脅威を抑止し同盟国に安心を提供することを示す、定期的かつ計画的な活動の一環です。」

米国が現在運用しているICBMのうちの一つであるミニットマンIIIは、2029年までに退役予定であり、新たにLGM-35AセンチネルICBMが配備される予定である。センチネル・システムは、コスト効率が高く、安全で確実な地上発射型核戦力を提供し、2075年まで運用可能となる見込みだ。

Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0
Russian President Vladimir Putin addresses participants of the Russia-Uzbekistan Interregional Cooperation Forum in Moscow, Russia/ By Kremlin.ru, CC BY 4.0

今回の米国によるミサイル発射の約2週間前には、ロシアも核戦力を誇示する行動を取っていた。ロシアは、ヴォルガ地域で「ヤルス」大陸間弾道ミサイルの隠密移動演習を実施。ロシア国防省は、ヤルスの発射機が雪深い森林を移動する映像を公開し、ウクライナ戦争をめぐる西側諸国との対立の激化を示唆した。

ロシア国防省は声明で、「ヤルス移動式地上ミサイルシステムの部隊は、最大**100 km(約62マイル)**の行軍を実施し、部隊の分散・野戦陣地への移動・工兵作業・防衛任務を遂行した」と報告。また、部隊は森林地帯での分散行動を訓練し、「秘匿性を強化」することを目的としたとしている。

米国とロシアの双方が核戦力を誇示する動きを見せる中、国際社会は核抑止の安定性や軍拡競争の激化について懸念を深めている。特に、ウクライナ戦争や台湾情勢をめぐる緊張が高まる中、核戦略の行方が今後の世界秩序に与える影響は計り知れない。(原文へ

INPS Japan/ London Post

ヤンゴン、分裂するミャンマーにおける軍政バブル

【ヤンゴンIPS=ウィリアム・ウェブ】

約100年前、ラングーンに降り立った若きチリの詩人は、この街を「血と夢と金の街」「澱んだ通り」と描写した。当時大英帝国が統治していたビルマの首都とその主要港は、アジア旅行の中継地点として必見の場所だった。

1927年にパブロ・ネルーダが詠んだこの詩は、今日でも真実味を帯びている。現在はヤンゴンと呼ばれる500万を超えるこの都市には、快楽主義的な部分とディストピア的な部分、そして、3年前に権力を掌握した軍事政権の煽動と息苦しさの両方が混在している。

Empty rail tracks in central Yangon. Fewer trains are running in Myanmar because rail workers quit in protest at the 2021 coup, and resistance fighters are targeting lines and trains used by the military up and down the country. Credit: William Webb/IPS
Empty rail tracks in central Yangon. Fewer trains are running in Myanmar because rail workers quit in protest at the 2021 coup, and resistance fighters are targeting lines and trains used by the military up and down the country. Credit: William Webb/IPS
The military regime organised a rally in central Yangon on February 1 to counter the resistance’s strike call. People were transported there under heavy security and given flags and a free lunch. Credit: William Webb/IPS

現実には、ミャンマーはもはや地図上以外にはまとまった国として存在していない。軍事政権を支持する勢力と反政府勢力が複雑に入り乱れる極めて残忍な紛争が3年間続いているが、ヤンゴンは依然として重要な商業の中心地であり、全国的な分断が止まらない中で比較的平穏ではあるが、深い悩みを抱えたバブルを経験している。

2021年2月にそれまでに2度選挙で選出されたアウン・サン・スー・チー政権をクーデターで打倒した国軍は、ミャンマーの大部分に対する支配力を失いつつある。主に中国とロシアによって武装された軍事政権側は、ミャンマーの中心地で、史上初めて圧倒的多数で国軍の将軍らに反旗を翻した国民を恐怖に陥れるために、航空優勢と大砲を駆使した弾圧を行っている。

しかし、戦闘はまだヤンゴンにまで及んでいない。ここでは軍が外貨を獲得しようと、外国人に観光ビザや商用ビザを発行している。

ヤンゴンのもう一つの 「現実」は、世界最貧国の一つにランクされているにもかかわらず、実際には100年前に詩人ネルーダが描いた血と金に溢れているということだ。特にメタンフェタミン、ケタミン、アヘン/ヘロインといった麻薬の生産と取引が拡大し、中国やタイとの国境沿いには人身売買の犠牲者が集まる広大なカジノ、売春宿、詐欺拠点があり、そこから数十億ドルが流れている。

Street markets in Yangon are brimming with food, but people complain vociferously about soaring prices and low wages. Despite the conflict, food is in plentiful supply in Myanmar’s biggest city. Credit: William Webb/IPS
Aung San Suu Kyi, whose government was overthrown after a second landslide election victory, is jailed in the capital, Nay Pyi Taw. She remains popular, and her image can be occasionally spotted in the street, here with other icons. Credit: William Webb/IPS
Chinatown in Yangon is packed with people preparing Chinese New Year celebrations on February 10. Tense relations between China and the Myanmar junta have made the community nervous. Credit: William Webb/IPS
A woman with two toddlers and a baby on her lap begs outside a temple in Yangon. People say more children can be seen begging these days as the economy struggles and migrants move into the city from conflict areas. Credit: William Webb/IPS

軍事政権がこれらすべてを直接支配しているわけではないが、民兵、犯罪組織、一部の民族武装グループと同様、大きなシェアを占めている。

ヤンゴンに新たにオープンしたナイトクラブの外には、きらびやかな白いベントレーが停まっている。ここに足しげく通っている顧客は、西側諸国による制裁にもかかわらず、あるいは制裁のおかげで商売が繁盛しているヤンゴンのエリート「取り巻き」たちだ。豪華なバーの店内では、スマートな服装、なかには派手な服装をした若者たちが、高価な洋酒やトリュフ風味のフライドポテトを注文している。

ある慈善団体の職員は、「ここは狂気が支配しています。近くを歩くとロールスロイスやフェラーリ、ブガッティといった高級車が駐車しています。そのような仰々しい富が溢れている一方で、看護師一人を探すのにも苦労しています。」と語った。

A neon sign illuminates the Levitate nightclub in Yangon, where revellers dance through curfew hours, fuelled by booze and cheap drugs. Credit: William Webb/IPS
A book seller said motivational books were popular these days. This classic by Carnegie was translated into Burmese by U Nu, a former prime minister who was ousted by the military in 1962. Credit: William Webb/IPS

別の場所では、ビルマのテクノロックのブーンブーンという音と、ナイトクラブ「レビテート」のストロボライトが、踊り狂う大衆の間の会話をかき消している。ある常連が言うように、ここでは「エクスタシー、ケタミン、コカインの選択肢」がある。壁には、「FUCK THEM WE SLAY(やつらをやっつけろ)」というネオンサインがぼんやりと光っていた。

さらに視線を移すと、ヤンゴンでおなじみの野外の「ビアステーション」も繁盛している。抵抗勢力の支持者たちは、国軍の地場複合企業(コングロマリット)が所有するかつての人気ブランド、ミャンマー・ビールのボイコットという立場をとっているが、より高価な代替品も存在する。

そして、物乞いの数も増えている。特に子どもたちは、渋滞をすり抜けて、開いた車の窓から手を突っ込んだり、陸橋の日陰で母親と身を寄せ合ったりしている。

国軍によるクーデターから3周年となる2月1日、抵抗勢力は「沈黙のストライキ」を呼びかけ、平和的な抗議のために路上から離れるよう促した。ヤンゴンでは、昨年よりも参加者は減少している。

「人々は疲れて果てていて、ただ自分たちの生活を続けたいだけなのです。」と、ある長年のオブザーバーはコメントした。

これが核心だ。日常は続いているが、それはビルマ人の軍事政権への反発が弱まったことを意味しない。2021年に軍が街頭デモを大量逮捕と実弾で鎮圧したときのように、アウン・サン・スー・チー女史は獄中から抜け出せず、来年80歳を迎えるが、依然として人気は高い。

しかし、あるビジネスマンが言ったように、「今、事態は崩壊しつつあり、軍政権は行き詰まっているという強い感覚がある」としても、人々は軍の崩壊が間近に迫っているという野党の宣言に対する信頼を失いつつあるようだ。

A woman selling umbrellas made of waterproofed cotton. She said times are difficult. Credit: William Webb/IPS

ヤンゴンの住民の中には、遠く離れた地方で若いレジスタンスらが戦死し、紛争地域の一般市民が村や学校、寺院で爆撃を受けている一方で、自分たちは比較的裕福に暮らしているという罪悪感に嫌気がさしている者もいる。

多くの人々が国外に脱出しようとしている。合法的にパスポートを取得したり、危険を冒してジャングルを抜けてタイに向かったり、少数民族として迫害されているイスラム教徒のロヒンギャのように海路で密航したりしている。ヤンゴンでは日本語を勉強するのが突然流行りだした。

昼間のヤンゴンの街は、ほとんどの場所に軍隊が駐留することもなく、ごく普通に見えるが、夜になると一変する。私服警察が身分証明書の提示を要求し、携帯電話を調べる。不審な銀行への支払いは、おそらく野党へのものだろうが、逮捕や賄賂要求の対象となる。

クーデター後のパンデミック封鎖で経営が破綻したイェさんは、多くの人がそうであったように、しばらく休学させていた子供たちを公立学校に戻した。しかし子供たちは母親とは長い間会えないだろう。なぜなら母親は介護福祉士として海外に出稼ぎに出ているからだ。

多くの家族と同様、イェさん一家は生活費、特に食費の高騰に頭を悩ませている。毎日の停電は、予定されていることもあるが、そうでないことも多く、モンスーン前の猛暑のなかでの生活はほとんど耐え難い。人々は巨大なディーゼル発電機で動くショッピングモールの冷房の効いた涼しさに引き寄せられる。

それでもヤンゴンの活気は抑えがたい。アーティストたちは再び展覧会を開催している(物議を醸すようなテーマは避けている)。チャイナタウンは旧正月を前に買い物客で賑わい、幸運と繁栄、そして権力の象徴であるドラゴンが街を彩っている。(原文へ

ウィリアム・ウェッブは、50年前からアジアに魅せられた旅行作家である。

INPS Japan/IPS UN Bureau

関連記事:

|ミャンマー|「都市部の貧困率が3倍に」とUNDPが警告

ミャンマー、「保護する責任」の履行を世界に訴える

|ロヒンギャ難民|危機のさなかの危機

BRICS+は多面体、フランシスコ法王のお気に入りのイメージ

【Agenzia Fides/INPS Japanバチカン=ヴィクトル・ガエタン】

第二次世界大戦後、数多くの多国間機関が誕生したが、その中心には米国の存在があった。世界銀行と国際通貨基金は、戦後の世界経済を安定させるために1944年に設立された。国連はその1年後、世界の平和と安全を確保するために高邁な理想の下に創設された。(スペイン語版)(ドイツ語版)(イタリア語版)(フランス語版)(英語版)(中国語)

北大西洋条約機構(NATO)は、ソ連のブロックに対抗するため1949年に結成された西側の軍事同盟である。1961年、経済協力開発機構(OECD)が、自由貿易体制を目指す38カ国を束ねた。G7は1975年のオイルショックに対する組織的対応であり、G20はアジア金融危機後の1999年に登場した。

この75年間、第二次世界大戦後の米国を中心とする国際秩序に挑戦した多国間組織はなかった。…BRICS+が誕生するまでは。

ブラジル、ロシア、インド、中国が2006年に結成し、2010年に南アフリカが加わり、BRICSとして知られる地政学的・経済的同盟が拡大している。今年は新たに4カ国が加盟した: エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)だ。(ロイター通信によると、サウジアラビアはまだ招待を検討中。)

BRICS+と脱ドルで誰が得をするのか?

BRICS+は、地球上の全人口の45%にあたる約35億人の人口を擁する強力な同盟である。世界の石油の30%を支配している(アメリカは2.1%)。

BRICS Member nations/ Public Domain.

BBCは、この拡大したグループが世界経済の約28%を占めていると推定している。しかし、加盟国は伝統的な多国間組織を支配する西側諸国から疎外されていると感じている。

BRICSの南アフリカ大使であるアニル・スークラル氏はアルジャジーラの取材に対して、、「グローバル・サウスは世界的な意思決定において周縁にあり、はみ出し者扱いされている。」と解説している。

スークラル氏は、BRICSの目標は 「より包括的で多極的な世界共同体」だと語った。

Logo of BRICS 2023 South Africa
Logo of BRICS 2023 South Africa

昨年8月にヨハネスブルグで開催された年次サミットでは、新規加盟希望国(約40カ国)について議論する以外に、BRICSがいかにして世界のドル依存度を引き下げるかが議題となった。

すでに加盟国は、ドルではなく自国通貨での貿易交渉を増やしている。ロシアはインドとルピー建てで取引しており、ロシアと中国の貿易の大半はルーブルか人民元建てである。昨年夏、アラブ首長国連邦(UAE)は貿易取引でインドからルピーを受け入れることに合意した。この変更は、ドル換算にかかるコストを省くことで、インドのコスト削減につながる。エジプトはこのグループに加わったばかりだが、外務省はすでに加盟国に自国通貨建てでの取引を促している。イランもすぐにこのテーマを取り上げた。

ブラジル出身の国際アナリスト、ロベルト・アルベレス氏はフィデス通信とのインタビューで、「アフリカの輸出入銀行にいた友人が、52カ国が自国通貨で取引できるようなプラットフォームを立ち上げました。その銀行の試算では、年間50億ドルが節約されています!つまり、脱ドルには非常に現実的な側面があるのです。現金が不足している国では、お金を節約するためならあらゆる手段を講じます。」と語り、脱ドルは経済的、政治的な動機によるものであることを認めた。

ブラジル経済はドルとの結びつきが強い(外貨準備高の80%以上が米国通貨で保有されている)。しかし、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は昨年、初めて中国を公式訪問した際、こう公言した。「なぜ自国通貨をベースにした貿易ができないのか?」と。

新開発銀行、気候変動と持続可能な開発

Foto Oficial do Presidente Lula/ Palácio do Planalto from Brasilia, Brasil

ルーラ大統領は上海を拠点とする新開発銀行(NDB)を訪問していた。NDBは2015年に設立され、加盟国および非加盟国のプロジェクト、特にインフラと持続可能な開発に関連するプロジェクトに資金を提供している。

インド最大の州であるラジャスタン州は極度に乾燥した気候で、頻繁な干ばつと灌漑システムの老朽化に悩まされている。NDBは3億4500万米ドルを投資し、1950年代後半に建設された重要な運河システムを復旧させた。このプロジェクトは、水の保全と作物の多様化も支援するように設計された。ラジャスタン州のプロジェクトは、NDBの優先事項の良い例である。

ルーラ大統領の盟友であるディルマ・ルセフ前ブラジル大統領は、昨年春にNDBの総裁に就任し、2025年7月まで務めることになっている。ルセフ総裁は最初の演説で、「NDBは途上国によって、途上国のために設立された銀行であり、すべての加盟国の声を等しく聞くことができる。」と述べた。

ルセフ大統領はまた、「私たちは、低炭素成長を目指し、再生可能エネルギー、グリーンで強靭なインフラに融資することで、温室効果ガス排出量を削減するための世銀加盟国の国家戦略を支援します。」と述べ、NDBの気候変動目標へのコミットメントを明らかにした。

ルセフ氏は2011年から16年までブラジルの大統領を務め、NDBの創設に貢献した。彼女は複雑な汚職容疑で弾劾され、強迫された状態で大統領職を去ったが、フランシスコ法王は昨年、彼女を擁護し、「きれいな手の女性、優れた女性」と呼んだ。教皇は、ルセフとルーラの両者が、メディアや法的手続きを利用して政敵を標的にする「法戦」の犠牲者であることを示唆した。

より多面体に近い?

NDB総裁を高く評価するだけでなく、同銀行は企業としてローマ法王にアピールする特徴を備えている。環境に有益なプロジェクト、有益であるがゆえに自立できるプロジェクトに果敢に取り組んでいる。

Pope Francisco/ Wikimedia Commons
Pope Francisco/ Wikimedia Commons

また、BRICS+は地域や文化の境界を越えている。多くの地域(ラテンアメリカ、欧州、アジア、アフリカ、中東)から、また多様な文化的・宗教的背景を持つ国々、すなわちカトリック(ブラジル)、正教会(エチオピア、ロシア)、ヒンドゥー教(インド)、儒教(中国)、イスラム教(エジプト、イラン、アラブ首長国連邦)の国々が集まっている。

経済制裁が政治戦争の武器として展開され、非常に懲罰的となった国際システムに対する協調的な対応である。

アルバレス氏は、BRICS+によって、例えばブラジルは構造的な方法でアフリカ諸国を支援することができ、それによってカトリック的な衝動と、ブラジルの富を築いたアフリカ人奴隷に対する歴史的な負い目を満たすことができると指摘した。(奴隷はサトウキビ農園で働くためにアフリカからブラジルに連れてこられた。ブラジルの富のほとんどは奴隷制度に基づくものだった)。

アルバレス氏は、ブラジルは1970年代には食料の純輸入国だったが、現在は世界最大の農業純輸出国であると説明した。主に2000年以降の劇的な逆転は、収量を増加させた農業研究、生産技術への大規模な投資、耕地基盤の拡大によって説明される。

「ブラジル企業は新興環境での事業に精通しており、具体的で関連性の高い技術ノウハウを移転することができる。アフリカとの関わりは人間的価値観を満足させ、双方が共に儲けることを可能にする。

「私たちは、常に視野を広げ、私たちすべてに益となる、より大きな善に目を向けるようにせねばなりません。」と、ローマ法王は教皇職のプログラムを示した『エヴァンゲリイ・ガウディウム』の中で書いている。この使徒的勧告には、各文化が自律性を維持しながら全体に貢献するという、世界的な一致の驚くべきイメージが含まれている。

ここで、私たちのモデルは球体ではない。球体はその部分より大きくはなく、すべての点が中心から等距離にあり、それらの間に違いはない。その代わり、私たちのモデルは多面体である。多面体とは、すべての部分の収束を反映し、それぞれが独自性を保つものである。司牧活動も政治活動も、それぞれの長所をこの多面体に収束しようとしている。貧しい人々やその文化、彼らの願望や可能性を受け入れる場所がある。過ちを犯しているとみなされかねない人々でさえ、見過ごしてはならない何かを持っている。普遍的な秩序の中で、それぞれの個性を維持する民族の集まりであり、共通善を追求する社会における人々の総体であり、真にすべての人のための場所を持つものである。

BRICS+は、国の違いが結束を高める多極化世界を体現している、注目すべき実験である。次回のBRICS+年次首脳会議は、10月にロシアのカザンで開催される。フランスのエコノミスト、ジャック・サピール氏は、急成長するこの同盟に、アルジェリア、タンザニア、インドネシアが新たに加わるだろうと予想している。(原文へ)

Victor Gaetan
Victor Gaetan

*ヴィクトル・ガエタンは、ナショナル・カトリック・レジスターのシニア特派員で、国際問題を担当している。フォーリン・アフェアーズ誌にも寄稿し、カトリック・ニュース・サービスにも寄稿している。著書に『God’s Diplomats』がある: Pope Francis, Vatican Diplomacy, and America’s Armageddon (Rowman & Littlefield,2021)を23年7月にペーパーバックで出版。ウェブサイトはVictorGaetan.org

関連記事:

|核兵器なき世界| 仏教徒とカトリック教徒の自然な同盟(ヴィクトル・ガエタン ナショナル・カトリック・レジスター紙シニア国際特派員)

加盟国拡大のための追加BRICS

|バーレーン対話フォーラム|宗教指導者らが平和共存のための内省と行動を訴える

宇宙への核兵器配備は現実か、それともこけおどしか

【国連IDN=タリフ・ディーン】

宇宙空間における核兵器に対する恐怖の高まりは、国連が「宇宙空間の平和的利用に関する委員会」を常設機関として立ち上げた65年前の1959年には想像もつかないことだっただろう。

国連における臨時委員会としては最大の102参加国を擁した同委員会は、「平和、安全、開発のために」を標語に、人類全体の利益のための宇宙の探査・利用を規制するために設置された。

しかし、ロシアが宇宙を基盤とした兵器の打ち上げを提案したとの観測が広まり、それが米国をさらなる開発に向かわせている。

『ニューヨーク・タイムズ』は2月19日の記事で、米国のアントニー・ブリンケン国務長官が宇宙空間で核爆発が起これば、米国だけではなく中国やインドの衛星も破壊されることになろうと発言したと報じている。

米国は他方で、自らの(核兵器)は人類に真の脅威を与えていない、としている。

米国家安全保障会議の戦略的コミュニケーション問題担当ジョン・カービー氏は2月19日、「人間を攻撃したり地表を物理的に攻撃したりするようなタイプの兵器については議論していない」と記者団に答えた。

Tariq Rauf
Tariq Rauf

国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)で検証・安全保障政策の責任者をかつて務めていたタリク・ラウフ氏は、「少しの知識は危険である」という格言は、バイデン政権に対し、ロシアによる対衛星核兵器の宇宙配備計画とされる「重大な国家安全保障上の脅威」に関する情報の機密指定を解除するよう要求した米下院情報委員会のマイク・ターナー委員長にも当てはまると語った。

幸いなことに冷静さが上回っており、下院のマイク・ジョンソン議長は、パニックに陥ったり警告を発したりする必要はないと述べている。

ラウフ氏によれば、宇宙空間で核爆発が起これば、軌道上にある衛星が破壊され、軍事活動も民生活動も阻害されることになるという。

「軍事部門では、偵察、軍備管理の検証、ミサイル発射の早期警戒、戦闘管理のための衛星が破損あるいは破壊することになれば、米ロ両国ともに被害を受け、『目』を奪われた状態になる。だから宇宙に兵器を配備することにはあまり意味がない。」

ラウフ氏によれば、現在のところ対衛星兵器(ASAT)を禁止する国際体制は存在しないといい、そうした兵器には必ずしも核爆発装置を要するわけではない。弾道ミサイルに搭載された核兵器は、地表上の標的に向かって発射された場合、宇宙空間を飛ぶことになるが、これは、核爆発装置の宇宙での実験や配備を禁じた宇宙条約違反にはあたらないという。

1963年の部分的核実験禁止条約は宇宙における核爆発を禁じている。

国連宇宙問題局の元局長で国際宇宙法・政策研究所のナンダシリ・ジャセントゥリヤナ名誉教授は、法的な観点から言えば、宇宙法は抑止を基盤としたものだと語った。

「ロシアが1967年宇宙条約に違反したことは、自らを傷つける行為であり逆効果だ。報復的な打ち上げを今すぐにでも行おうと手ぐすねを引いている国もいくらかある。」とジャセントゥリヤナ名誉教授は話した。

「軍事力の通信手段を破壊することは、その軍事機構が制御能力を失うということだ。戦時においてすら、交戦当事国は他国の通信ケーブルや主要な通信システムの破壊には及ばないものだ」。

「そんなことをすれば、戦勝国は被征服国の国民やその軍隊との連絡手段を失ってしまう。私の意見では、ロシアは、宇宙条約の違反のみならず宇宙に核を配備することで、失うものが多いことと比較して得るものはほとんどない。」

そうした行為によって短期的には戦術的優位がもたらされるかもしれない。しかし、私の意見では、避けがたい長期的マイナスの方が上回ってしまう。

戦略的なレベルで言えば、「私が理解する限り、詳しいところは――明らかな理由で――隠されており、『核』に言及することで、実際にどのような事態が進行しているのかよく理解しないままに多くの国が軍備に走る結果に陥るのではないか。」

あらゆる種類の噂を引き起こして人々を不安な状態に陥らせるのはロシアの常套手段と言えるかもしれないが、宇宙空間で使用される核兵器の実現性と軍事的有用性には疑問符が付されている。というのも、宇宙空間には大気がなく、何かを爆発させた場合にロシア自身の宇宙施設と他国のそれを区別することができないからだ(米国自身も1960年代にスターフィッシュ・プライムによってそれを経験した)。

かつて国連事務次長も務めていたジャセントゥリヤナは「宇宙空間での(攻撃的な)軍事的任務を帯びた原子力衛星を宇宙上に置くような事態が進行している可能性も否定できない。それが宇宙条約に抵触しないかどうかには議論の余地がある。しかし、重大な脅威であることは間違いない」と述べる。

Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider
Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider

国連のステファン・ドジャリッチ広報官は、そうした報道がメディア上で出ていることは認めた上で、「具体的な情報は入ってきていない」と語った。

明らかに、原則の問題として言えば、国連事務総長は、法的拘束力のある措置も政治的な措置も含めて、宇宙空間における軍拡競争を回避するようすべての加盟国に呼びかけ続けるだろう。

「そして、核兵器に関して言えば、加盟国は条約上の義務に従い、壊滅的な帰結をもたらす計算違いやエスカレーションにつながりかねないいかなる行為をも回避せねばならない。」とドジャリッチは語った。

ラウフはさらにこう付け加える。「1958年に、月の表面で水爆を爆発させる『プロジェクトA-119』を米国が一時期追求したことを思い出した人もあるかもしれない。地球からでもはっきり見えるきわめて巨大な放射能雲と激しい光によってソ連に米国の力を見せつけることが目的だった。幸いなことにプロジェクトは実行されず月はそのままの形で保たれた。その後、1979年の月条約で月やその他の天体で核実験を行うことが全面禁止された。」

1962年7月、広島型原爆の500倍の威力を持つ爆発力1.4メガトンの米国の核爆発装置「スターフィッシュ・プライム」によって電磁パルスが発生し、いくつかの衛星が使用不能になった。地球上の磁場が爆発から発生した放射線を捉え、その後10年にわたって放射線帯(スターフィッシュ帯)が残った。

米ソともに1960年代初頭に宇宙で核爆発実験を行っている。ソ連の「プロジェクトK」核爆発は1961年から62年にかけて行われ、米国は宇宙で11回の核爆発実験を行っている。

ラウフ氏によれば、対衛星兵器や宇宙空間におけるその他の兵器を禁止するなど、宇宙における軍拡競争の予防(PAROS)に関する取り組みは、ジュネーブ軍縮会議でもニューヨーク国連本部での国連総会第一委員会でも停滞してきたという。

ラウフ氏はまた、国連総会が1959年に設置した「宇宙空間の平和的利用に関する委員会」(ジュネーブ)は、宇宙空間の平和的利用に関する国際協力の促進と、平和・安全・開発のために全人類に利益をもたらす宇宙の探査・利用の規制を任務としていると指摘した。

一般的には、米国とEU諸国は宇宙での活動に関して自主的な行動規範(一例として「宇宙活動に関する国際行動規範」[ICoC])と透明性を求める傾向にあり、中国やロシアなどは宇宙への兵器非配備を規定した法的拘束力のある措置(一例として「宇宙空間における兵器配備及び宇宙空間の対象に対する戦力使用を防止する条約」[PPWT])を求める傾向にあるとラウフ氏は説明する。

ジャセントゥリヤナ氏は、宇宙空間への核兵器の配備は宇宙条約の第2・3・4・6条、及び、部分的核実験禁止条約と国連憲章に抵触する可能性があるとする。

「国連憲章はいまや慣習国際法となっており、宇宙条約の第2・3・4条も同様に国際慣習法とみなされるべきだ。したがってロシアはこれらの条約を否定することはできなくなる。」(原文へ

INPS Japan

関連記事:

宇宙の利益と平和と人類へ―国連宇宙部長が近く任命へ

宇宙は本当に平和目的にだけ使われているのか

核兵器がわれわれを滅ぼす前にわれわれが核兵器を廃絶しよう。

イスラエルとパレスチナ――悲しみの壁を乗り越える

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=ジョーダン・ライアン】

預言者たちは私たちにこう言った。「ブドウの木の下とイチジクの木の下では、誰もが平和で恐れることなく暮らしなさい」

 彼らは「全ての人にブドウの木やイチジクの木がないとき、平和は訪れず、恐怖が訪れるだろう」と暗示した。預言者たちは暴力を正当化していたわけではない。彼らはそれを説明していたのだ。(

預言者たちは私たちにこう言った。「ブドウの木の下とイチジクの木の下では、誰もが平和で恐れることなく暮らしなさい」

彼らは「全ての人にブドウの木やイチジクの木がないとき、平和は訪れず、恐怖が訪れるだろう」と暗示した。預言者たちは暴力を正当化していたわけではない。彼らはそれを説明していたのだ。

ガンジーは「『目には目を』では、全世界を盲目にするだけだ」と語った。多くの目が泣き、涙で見えなくなっている。トラウマが私たちを盲目にする。両陣営のトラウマが悲しみの壁を築く。私たちはその壁の向こうの相手の人間性を見ることができない。

先週、最初は、私のフェイスブックのフィードは、ハマスに殺害された友人や、虐殺され、誘拐され、行方不明になっている母親、娘、子供のユダヤ人家族全員の写真を投稿するイスラエルの友人たちで埋め尽くされた。その後、私のフィードは、イスラエルの攻撃によって殺されたパレスチナ人の写真で埋め尽くされた。家族全員。アパートの建物全体。狙われた小児病院とモスク。トラウマはどんどん壁を高くし、その向こう側の人間性や可能な解決策を見ることをますます難しくしている。

物語は手がかり

悲しみの壁を乗り越えるには、歴史を理解する必要がある。しかし、一方だけの物語ではない。欧州のキリスト教徒、ユダヤ教徒、パレスチナのイスラム教徒とキリスト教徒の絡み合った歴史の物語は、私たちがこの壁を乗り越え始めるのに役立つ手がかりとなる。

フェイスブックで見かけたある投稿は、2017年に訪れたキブツ・ヤド・モルデハイからのものだった。この村のことはよく覚えている。キブツ(ユダヤ人協同農場)の名前は、ワルシャワ・ゲットー蜂起におけるユダヤ人戦闘組織の初代司令官の名前にちなんでいる。ナチスはポーランドでユダヤ人の家族や隣人たちを殺害した。彼らはパレスチナに逃れ、1930年代に村を建てた。

パレスチナ国家とイスラエル国家の両方を創設しようとした1947年の国連分割決議の後、アラブ5カ国はパレスチナの土地の喪失を制止し、イスラエル国家の創設を阻止するためにこの地域に侵攻した。1948年の戦争では、エジプトの戦車がキブツ・ヤド・モルデハイを攻撃し、ナチスのポーランドから逃れてきたばかりのユダヤ人を恐怖に陥れた。

しかし同時に、ヤド・モルデハイ近郊のパレスチナ人の村々は1948年に「抹殺」された。大きな果樹園のある村や農場に住んでいたパレスチナ人は、現在ガザとして知られている強制収容所に住むために送られた。75年後も、ガザに住む200万人のパレスチナ人は、両親や祖父母の村の名前と場所を覚えている。ハマスの武装勢力は、今週末に攻撃したキブツ・ヤド・モルデハイ近郊の同じ村や農場から追い出された家族の子供たちである。

ヤド・モルデハイは私に強い印象を与えた。キリスト教の反ユダヤ主義がナチスとホロコーストに拍車をかけ、ワルシャワでユダヤ人の両親や隣人たちを殺害した。2023年の今、ヤド・モルデハイのコミュニティーは、ハマスのミサイルや、周辺のキブツや町で多くのイスラエル人が殺害・誘拐されたために避難している。

欧州のキリスト教徒もこの物語の一部である。私たちは単なる部外者ではない。ヤド・モルデハイの人々は、ホロコーストと同じような残忍な虐殺を恐れる必要のないコミュニティーに住む資格がある。

この悲劇の物語は2023年に始まったものではない。また、50年前の1973年の第4次中東戦争(ヨム・キプール戦争)や、1948年のナクバ(パレスチナ人にとっての大惨事)から始まるものでもない。まず、この絡み合った苦難の歴史を解き明かし、苦難から抜け出す方法を理解しなければならない。

この絡み合った苦難の物語は、復讐の分かりにくい論理を把握する方法を私たちに与えてくれる。

復讐と集団的懲罰の分かりにくい盲目的な論理

フェイスブックは現在、旗の写真を投稿する人々であふれている:イスラエルの旗とパレスチナの旗が、あたかも二つの側面しかなく、紛争は「彼ら対われわれ」であるかのように。どちらの側でも、人々は人間性を奪い、さらなる暴力の舞台を用意する。これらの旗は壁をどんどん高くし、この地域の全ての人々がブドウの木やイチジクの木を育てることをより難しくしている。

パレスチナ人は1948年以降、反ユダヤ主義から逃れユダヤ人を保護するユダヤ人国家に最終的に住みたいと願うユダヤ人によって、家や農場から追い出されてきた状況に直面している。パレスチナ人は、現在もこの暴力の連鎖に加担し続けている欧州のキリスト教徒の犯罪に苦しんできた。

過去100年間で、約10万人のパレスチナ人が暴力によって死亡し、さらに多くのパレスチナ人が貧困、また医療や仕事へのアクセス不足によって死亡している。ヨルダン川西岸におけるイスラエル入植地の拡大、占領の拡大、そして日々の屈辱と抑圧の中で、パレスチナ人の中には暴力以外の選択肢がないと感じている者もいる。全ての人のために平和を望むのであれば、パレスチナ人にとって、彼らに対する現在進行中の暴力を終わらせるための選択肢が必要である。

ヨム・キプールの聖なる日、1973年にアラブ諸国がイスラエルに対して奇襲攻撃を行ったこの記念日に、ハマスによる今回の攻撃を経験したイスラエル人にとって、ハマスの虐殺は、イスラエル軍の絶大な能力にもかかわらず、ブドウの木の下やイチジクの木の下で平和で安全に暮らすことはできないということを改めて思い起こさせるものである。

集団的懲罰の論理は盲目的である。ハマスがユダヤ市民を標的にしたのは、パレスチナ人の家や命が失われたのは全てのユダヤ人に責任があると見なしたからである。そして今、イスラエル軍はパレスチナ人の家を爆撃し、ユダヤ系イスラエル人の家族を失った責任は全てのパレスチナ人にあると見なしている。600万人以上の人間が犠牲になったホロコースト以来、いまだに人口が回復していないユダヤ人にとって、先週末に1,200人のイスラエル人が犠牲になったことは悲劇的であるばかりではない。ホロコーストの続きのように感じるのだ。

どちらの側による集団的懲罰も、罪のないイスラエル人と罪のないパレスチナ人の命を奪う。ハマスが1,000人以上のイスラエル人を殺したのは間違っていた。そして、イスラエルが報復のために、ガザの罪のないパレスチナ人をさらに殺害するのは間違っている。どちらの過激派も、容認できないという「メッセージを送る」ために、相手を殺すことが「必要」だと正当化する。

両陣営の集団的懲罰という戦略は、両陣営にさらなる怒り、トラウマ、そして戦いへの決意を生み出すだけである。ホロコーストとジェノサイド研究の教授であるラズ・シーガルは、イスラエルによるガザへの絨毯爆撃が、法的には「ジェノサイドの教科書的事例」である理由を説明している。ユダヤ人のホロコーストの悲しみやトラウマを武器にすることで、また別のホロコーストを引き起こすことはあってはならない。私たち全員が共に「二度と繰り返してはならない」と言ったのは、世界がジェノサイドに反対する声を上げずに傍観することは二度とないという意味だった。

悲しみの海に「場」を切り開く

私たちに何ができるだろうか? ほとんどのメディアと米国政府は、現在ガザで起こっている大量虐殺的復讐を、二元論的かつ非歴史的に正当化している。米国政府は、イスラエルの極右政権の味方をするよう私たちに促している。

10月13日に国務省が出したとされるメモは、外交官に対して、一般市民や国連からの和平や停戦の呼びかけに抵抗するよう求めている。一般市民の多くは同じような二元論を唱えている。旗を持って一方の側に立ち、悲しんでいる全ての人々や平和の側に立たない。

私たちは悲しみの海を割り、人々を憎しみの荒れ地から導き出さなければならない。私たちはこの荒野に声を聞ける場を作ることで、これを実現する。

トラウマ、悲しみ、人命の喪失について、人々が関心と懸念を表明する「場を守る」ことができる。
あまりにも心に傷を負ったために平和を主張することができない人々のために、悲嘆する「場を確保する」ことができる。

一部の欧州人によるユダヤ人への、そして一部のイスラエル人によるパレスチナ人への暴力と抑圧の歴史が絡み合い、苦しんでいる全ての人々の人間としての尊厳を守るための「場を築く」ことができる。

両陣営の戦争犯罪に対して道徳的な怒りを表明できる人たちのために、「場を作り出す」ことができる。
進むべき道を明確に示すことができる人たちのために「場を設ける」ことができる。もっと良い方法がある。

今のところ、全ての側の利益に対処する唯一の政治的解決は、「二つの国家、一つの祖国」、すなわち「万人のための土地」と呼ばれるものである。これは、革新的なイスラエル人とパレスチナ人によって考案された型破りな提案である。

この図の中央にある二つの大きな円が、私たちが焦点を置くべき場所である。これらの二つのグループは団結し、両過激派グループが国内の他の部分の人々を戦争に引きずり込むことに終止符を打つことで、より多くのものを得ることができる。

ハマスは民主的に選ばれたわけではない。ハマスは多くのパレスチナ人を抑圧しており、憎まれているので、全てのパレスチナ人を代表しているわけではない。この1年間、私たちはまた、何十万人ものイスラエル人が極右イスラエル政府に抗議する姿を目にした。選挙で選ばれたが、過半数がネタニヤフ首相に反対している。

暴力は、占領が終わり、正義と民主主義と万人のための土地ができたとき、そして世界がパレスチナの人権に反対することなく反ユダヤ主義に反対することができたときに終わるだろう。

預言者たちは正しかった。誰もがブドウの木とイチジクの木を必要としている。

リサ・シャーク博士は、戸田記念国際平和研究所の上級研究員であり、米国ノートルダム大学の教員としてKeough School of Global Affairs およびクロック国際平和研究所に所属している。同氏は、リチャード・G・スターマン シニア・チェアであり、Peacetech and Polarization Labを運営している。フルブライト研究員として東西アフリカに滞在した経験を有し、The Ecology of Violent Extremism: Perspectives on Peacebuilding and Human Securityおよび Social Media Impacts on Conflict and Democracy: The Tech-tonic Shiftなど11冊の著作がある。同氏の研究は、国家と社会の関係や、社会的結束を向上させるための、テクノロジーに支えられた対話や意思決定に焦点を当てている。

INPS Japan

関連記事:

|視点|ハマスとイスラエルの紛争(ケビン・クレメンツ戸田記念国際平和研究所所長)

|パレスチナ|今度は8日間にわたる殺戮が行われた

|イスラエル-パレスチナ|古い対立をかき消す新たなメッセージ

ネパールの宗教指導者たちが調和を促す

【カトマンズNepali Times】

ネパールの宗教指導者たちは、ネパールの社会的調和を乱す宗教的過激派によるソーシャルメディアの武器化について懸念を表明した。

ネパールの多様な宗教団体のメンバーは、2月3日にカトマンズで開催された世界宗教間調和週間を祝うために、全国宗教間ネットワーク(NIRN)ネパールの後援の下に集まった。

ほとんどの講演者は、ソーシャル・ネットワーキング・プラットフォームが「自由奔放な不寛容と偏見を広め、さまざまな宗教間の不和をまき散らす」ためにどのように悪用されるかを人々が認識できるよう、一般市民のメディア・リテラシーを高める必要性を強調した。彼らは、社会の調和を維持するために、市民の草の根的な動員を促した。

宗教指導者たちはまた、宗教指導者を名乗る者たちの犯罪行為にも懸念を表明した。「犯罪を犯す者を宗教指導者とは呼べません」と、ネパール全国宗教間協議会(NIRC)のダモダール・ゴータム議長は述べた。「宗教指導者は、適切な行動、品行方正な振る舞い、諸宗教間の寛容の促進を通じて、その称号を得なければなりません。

世界宗教間調和週間は、2010年にヨルダンのアブドラ2世が国連に世界の宗教の共存を祝う提案を提出して以来、2月の第1週に祝われている。

NIRNネパールは2008年に設立され、現在では全国30の地区と46の地方レベルに広がっている。ネパールのヒンドゥー教、仏教、イスラム教、キラント教、キリスト教、ジャイナ教、バハイ教、ヴェーダ・サナタン・ダルマの各コミュニティの指導者たちは、今年の宗教間調和週間を記念して一堂に会した。

また、NIRNのナレンドラ・パンデイ氏はプログラムの中で「メディアと宗教間の調和」と題した論文を発表し、メディアと宗教指導者の間のギャップを埋めなければならないと述べた。

The Nepali Times

ヒンドゥー君主制の復活を推し進める政党もあることから、インドにおける少数派への政治的動機に基づく攻撃や宗教的不寛容がネパールにも広がり始めているとの懸念が高まっている。

女性に対する暴力に関する全国宗教間ネットワークのプリヤ・ダシ会長は、メディアは宗教に関する問題を報道する際の言葉遣いに注意する必要があると付け加えた。

「社会の調和と変革のために、宗教指導者とメディアの関係は強化されなければなりません」と彼は語った。

Map of Nepal
Map of Nepal

NIRNのナヒダ・バヌ氏は、「ネパールの宗教的寛容についてより良い説明を提供する必要がある」と述べた。イベントの出席者はまた、児童婚の撲滅、就学キャンペーンの促進、今年の予防接種キャンペーンを円滑に進めるための宗教指導者間の協力の必要性など、NIRNの活動について語った。

昨年、ネパール東部のダーランでは、寺院の向かいに教会が建設されたことをめぐって、ヒンドゥー教徒、キラント教徒、キリスト教徒のコミュニティの間に緊張が走った。

ここ最近、ネパールの公共圏では、インドのヒンドゥー性(インドにおけるヒンズー教ナショナリズムの主な形態)とネパールにおけるその影響力の拡大に対応する親ヒンドゥー感情へのシフトが見られる。特にRPPの著名な政治指導者たちは、憲法から世俗主義を廃止し、ヒンドゥー国家を復活させようと呼びかけている。(原文へ

INPS Japan/Nepali Times

関連記事:

|視点|カザフスタンの宗教間対話イニシアチブ:知恵とリーダーシップで世界の調和を育む(浅霧勝浩INPS Japan理事長)

時には一本の木の方が政府より助けになることもある

各宗派の指導者が共同で核廃絶を呼び掛け

アフリカの常任理事国不在は「明白な不公正」と国連事務総長

【国連IPS=タリフ・ディーン】

国連が安全保障理事会(UNSC)改革をめぐって終わりの見えない論争を続けるなか、政治的な異常事態のひとつに、米英仏中露の5常任理事国(P5)にアフリカが含まれていないことがある。

アフリカ大陸は55カ国からなり、総人口は14億人を超える。

アントニオ・グテーレス事務総長は、「2024年に向けた優先事項」のリストで、安保理事改革を挙げた。これは79年の歴史を持つ同理事会が抱える長引く課題である。事務総長は2月7日、各国代表団に対し、「アフリカ大陸が未だに常任理事国入りを待っているのはまったく受け入れられない」と語った。

グテーレス事務総長は、 「私たちの世界は、以下を緊急に必要としています。つまり、① 安保理改革、②国際金融システムの改革、③若者の意思決定への有意義な参加、④新技術の利点を最大化し、リスクを最小化するためのグローバル・デジタル・コンパクト、⑤複雑なグローバル・ショックへの国際的な対応を改善するための緊急プラットフォームなどです。」

UN Secretary-General António Guterres addresses the preparatory ministerial meeting for the Summit of the Future. | Credit: UN Photo/Laura Jarriel.
UN Secretary-General António Guterres addresses the preparatory ministerial meeting for the Summit of the Future. | Credit: UN Photo/Laura Jarriel.

先月ウガンダで開催されたサウスサミットの記者会見で質問に答えたグテーレス事務総長は、「アフリカの常任理事国が1つもないというのは、明らかな不公平、甚だしい不公平」と批判した。

その理由のひとつは、国連機関が設立された当時、アフリカ諸国のほとんどが独立していなかったからだ。

「しかし、最近の公の宣言では、常任理事国が少なくともアフリカの常任理事国入りに好意的であることが分かりました。米国、ロシア、中国もこの点で前向きであり、英国やフランスも同様です。」

「だから、私は初めて、この明白な不公正が是正され、少なくともアフリカから1カ国が安保理常任理事国入りするために、少なくとも部分的な安保理改革が可能かもしれないと希望を持っています。」

しかし、それが保証されるわけではない。それはこうした決定が、「事務総長次第ではなく、加盟国や国連総会次第だからである。しかし私は初めて安保理改革に希望が持てる理由があると考えています。」

一方、人口6億7000万人を超えるラテンアメリカ・カリブ海地域(LAC)には、ラテンアメリカ12カ国とカリブ海を中心とする21の自治領があるが、国連安保理の常任理事国からは外れている。

ニュージャージー州にあるセトンホール大学外交・国際関係学部のマーティン・S・エドワーズ副学部長(教務・学生担当)はIPSの取材に対して、 「安保理における代表権の問題について真剣に話し合うべきだと思いますが、レトリックから真剣な提案にどう移行するかが課題です。」と語った。

この枠組みにはさまざまな方法がある、と彼は指摘する。

African Continent/ Wikimedia Commons
African Continent/ Wikimedia Commons

「G20はアフリカ連合(AU)をメンバーに加えた。もちろん、人権理事会のような地域的な議席を考えることもできる。しかし、そうは言っても、重要なのは何を求めるかだ。」

米国の立場は、拒否権なしに地域代表を増やすことである。「しかし、拒否権をなくそうとする大きな動きが既に進行中であり、拒否権にこだわればその取り組みを逆行させることになる。

しかし、すべての改革案にとって、より大きな、そして未解決の課題は、米国の国内政治の現実を尊重していない点である。

「米国上院は憲章のいかなる変更案も承認しなければならないが、米国の選挙日程の現実から、いかなる改革案もその可能性はほぼ閉ざされています。」と、エドワーズ副学部長は語った。

ステファン・デュジャリック国連報道官は先月の記者会見で質問に答え、事務総長の意見は多くの人々の意見を反映したものだと述べた。「実際、国連の平和と安全保障に関する活動の多くが進行している大陸(=アフリカ大陸)があります。そして、その大陸からは、平和と安全保障に関連する政策を討議し決定する機関に加盟する国は皆無の状態なのです。」

「グテーレス事務総長は旧植民地であった(アフリカの)国々について、まずは『植民地化されたこと』、そして『多国間システムの構築が議論されたときに、そのテーブルにすらつけなかったこと』で、二重の不利益を被っている不公平さについて語っています。」

「もちろん国連加盟国が安保理改革をどのように決定するか、それがどのようなものになるかは、加盟国次第です。事務総長がこのような発言をしたのは今回が初めてではないと思います。しかし、最終的には加盟国自身が決めることであり、グテーレス事務総長の見解を考慮に入れるかどうかは、これからわかることです。」とデュジャリック報道官は語った。

パスファインダー・インターナショナルの前会長兼エグゼクティブ・ディレクターで、国連人口基金(UNFPA)の元事務次長補(ASG)兼事務次長(プログラム担当)のプルニマ・マネ氏はIPSにの取材に対し、アフリカの常任理事国が1カ国も存在しないという不公正さに対する事務総長の遺憾の意は、安保理常任理事国選任の際に用いられた当初の枠組みの妥当性に関して、長年の議論を呼び起こすものだと語った。

彼女は、現在の安保理常任理事国としての妥当性に関する議論は新しいものではないが、実際には何の進展もないと語った。歴史的な理由に基づく常任理事国入りの妥当性の問題は、非常任理事国入りの可能性を検討することで、多少回避されてきた。

「事務総長はコメントの中で、現在の常任理事国5カ国はそれぞれ、改革に前向きであることを表明しているが、いざ実行に移すとなると、明確なルールを作るのは容易ではありません。」と語った。

彼女はいくつかの適切な質問を投げかけた。 つまり、「既存の国連安保理メンバーのルールは完全に変更されるのか?常任理事国席はいくつ作られるのか?常任理事国は現在のように特定の国に限定されるのか、それともグテーレス事務総長が提案しているようにアフリカのような地域的な割り当てに基づくのか?」などである。

「また、どの国がこの特権を得るかを決定するプロセスはどうなるのか、また、それは永続的なものなのか、それとも非常任理事国のような持ち回り制なのか。」と、マネ氏は尋ねた。

グテーレス事務総長が言うところの、アフリカの常任理事国入りに前向きな常任理事国5カ国の意思や、現在常任理事国に名を連ねていない他地域の反応など、多くの疑問が出てくるという。

A view of United Nations Headquarters complex in New York City as seen from the Visitors’ Entrance. /UN Photo | Yubi Hoffmann.
A view of United Nations Headquarters complex in New York City as seen from the Visitors’ Entrance. /UN Photo | Yubi Hoffmann.

「国連のプロセスがいかに複雑であるかを知っていれば、加盟国モデルを変更するプロセスは長く複雑なもので、一部の国々に抵抗されるに違いない。正義と公平性の問題が提起されるのであれば、国連加盟国は、安全保障理事会の常任理事国入りの歴史的な理由を維持する必要性が、今日の世界において妥当なのかどうか疑問を呈するかもしれない。」とマネ氏は主張した。

これは確かに、安全保障理事会の理事国としてより広範な定義に門戸を開くものであり、今日の世界では不公正とみなされるかもしれない特権の序列に挑戦するものである。

国連はこのような議論から恩恵を受けることは間違いない。たとえこの議論が、解決に至るまでに長く複雑なプロセスを伴うとしても、国連加盟国がすべての加盟国の目から見て、本質的に平等であるとみなされるようにするためには、努力する価値があるに違いない。(原文へ

INPS Japan

関連記事:

|国連の未来サミット|トンネルの果ての戦い?

|国連生誕78周年| 国連の運営上の信頼性を再考する

国連で正当な地位を求めるアフリカ