【ニューヨークIDN=ラドワン・ジャキ―ム】
国連経済社会局が1/13に発表した「世界経済状況・予測(WESP)2022」の内容を分析した記事。オミクロン株による新たな感染波や労働市場の課題、サプライチェーンの制約、インフレ高進などにより、世界経済の成長率は2021年の5.5%から22年に4%、23年に3.5%に鈍化するとの見通しを示した。(原文へ)FBポスト
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【ロドニー・レイノルズ】
ウォルト・ディズニー共同創業者の孫アビゲイル・ディズニー氏ら9カ国の102人の富豪が世界経済フォーラムに合わせて発表した公開書簡(1/19)の中で、パンデミック下で拡大し続ける貧富の格差と不公平を解決するため、「今こそわれら富裕層に課税せよ」と訴えた。
Oxfamの調査によると、世界の富豪上位10人の総資産が、この2年間で、約80兆円から約172兆円へと2倍以上に増えた一方で、パンデミックで1億6000万人が貧困に陥り、非白人のマイノリティーや女性が格差拡大の影響を受けている。試算によると、資産100万ドル以上の富豪に2%、10億ドル以上の大富豪に5%の富裕税を導入した場合、毎年約287兆円の税収確保が可能で、これで①23億人の貧困脱却、②世界中へのワクチン確保、③中低所得国の全市民(36億人)への医療保険・社会保障の提供が可能となる。(原文へ)FBポスト
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【クルチャトフ/アスタナIDN=イリヤ・クルシェンコ】
CTBTO青年グループのロシア人メンバーであるイリヤ・クルシェンコ氏は、中央アジアのカザフスタン共和国において5日間に亘って開催された同青年グループと賢人会議(GEM)合同による「2018年青年国際会議」プログラムに参加していた。
参加者の一行は首都アスタナで開催された2日間に亘る国際会議に参加したのち、北東部にある東カザフスタン州の都市クルチャトフを訪問した。この都市の名称はソ連の核物理学者イーゴリ・クルチャトフからとられており、かつて(=ソ連時代)は同国最大規模のセミパラチンスク核実験場に隣接した、核実験における中心都市であった。現クルチャトフの核関連施設は、カザフスタン国立原子力センターの一部門であるカザフスタン原子力研究所により管理されている。
9月1日、クルシェンコ氏はクルチャトフからアスタナに戻る夜行列車の中で、一行に同行した浅霧勝浩IDN-INPSマルチメディアディレクターの取材に応じ、同日午前中に核実験場跡を訪問した経験について語った。(インタビュー映像はこちらへ)
5日間に亘ったプログラムも終盤に近づき、この間に私たちが目の当たりにしてきた出来事について振り返ってみたいと思います。今日私がこの目て見て感じたことは、率直に言って、あたかも人生ががらりと変わるような経験でした。
私たちは今日、核兵器実験場跡を訪れました。これは人生の転機となる経験でした。爆心地に降り立ち、まわりを見渡すと広大な平原と破壊しつくされた建物が目に入りました。そこでは、空も地上も地下も、ただ死しか感じられませんでした。
この核実験場跡で見た光景を、世界のいかなる地でも二度と見たくありません。放射能で汚染された大地、核兵器が私たちにもたらす大惨事とはいかなるものなのかを、だれもが理解する必要性を痛感する経験でした。私は生き証人としてこの経験を語っていきたい。
核軍縮は、政治家や科学者のみならず、この地球上に暮らすすべての人々に関係する問題です。なぜなら、核爆発がおこれば、私たちが愛おしみ大切にしているすべてのものが失われることになるからです。核兵器が引き起こす大惨事の本質を理解し、二度と悲劇が繰り返されないようにすることは、私たちの義務です。
皆さんも広島と長崎にいかにして原爆が投下され無辜(むこ)の市民が核兵器がもたらず惨禍に苦しんだかを知れば、あるいは、ここカザフスタンのセミパラチンスクや米国のネバダ州で核実験の影響に苦しむ人々…核放射線の影響下に生まれた我が子を直視できず目を閉じ泣き崩れる人々のことを知れば、このことが理解できるでしょう。
これらのことを知り、人々が今も苦しんでいることを知れば、これまでおこった悲劇が決して繰り返されないよう、できる限りのことをすることが、全ての人にとっての義務だということが理解できるでしょう。
私はCTBTO青年グループに参加して、これらのことがいかに重要なことなのかが理解できました。当初は、核問題とは、例えば核兵器や物理学を学ぶ人々に限られたテーマだと思っていました。また、当初は科学や外交の世界に足を踏み入れ、その仕組みを理解し、そこで自分がいかに学び経験を共有していくことができるか、大変な挑戦でした。最初は苦労しましたが、やがて、あらゆる人が核兵器の廃絶を交渉する共通の立ち位置にいるということが分かると、核兵器にいかなるものであっても存在価値を認めるような世界は見たくないという、共通の合意や理解に到達することは、実はあらゆる人々にとって難しい事ではないということが理解できるようになりました。
私やCTBTO青年グループの仲間たち、そして賢人会議のメンバーやCTBTOの全職員、そして国際社会全体で取り組まれている活動を通じて、私たちは世界を安全で豊かな場所にしていきます。
私たちは、破壊や爆撃や核実験といった死をもたらす側に加担するのではなく、学校を建設し、教育を提供し、生命を育むあらゆる努力を重ねて私たちの世界を発展させていきます。クルチャトフ近郊の核実験場で何が起こったかを知った今、死をもたらず側に加担することは、断じてありません。
皆さんには、核兵器に対する見方を、今一度考え直すとともに、核兵器の問題は、この地球上に暮らす全ての人々に直接関わる問題であるということをご理解いただきたい。(原文へ)
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【ロサンゼルスIDN=ロバート・フンツィカー】
世界の海洋の温度は過去6年間上昇し続け昨年は史上最高温度を記録した。地球表面の7割を覆う大洋は、産業革命以来、人類が作り出した熱の9割と二酸化炭素排出量の3分の1を吸収してきた。異常な海中温度の上昇は、海洋生物の食料連鎖を破壊しており、最新の調査によると、生物多様性が急激に失われてきている(1950年から70年間でサメやカジキ等の大型捕食動の90%が減少)傾向が指摘されている。(原文へ)
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【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】
ニューヨーク市で新型コロナウィルスの感染拡大により活動が停滞している国連が、1月4日~28日の日程で予定され、長らく待ち望まれていた第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議の延期を余儀なくされた。
国連軍縮局NGO連絡室のダイアン・バーンズ氏は「いかなる形でも2022年1月に再検討会議は行われない」と明言した。
2021年1月と8月に続く3回目の延期である。国連は2020年3月よりロックダウン状態にある。
NPT再検討会議は5年に1度開かれることになっている。
再検討会議のグスタボ・ズラウビネン議長は各国宛の書簡で「締約国が再検討会議の重要な任務を実行できないのは極めて残念ではあるが、現在の状況では他に選択肢はない」と語った。
ある外交官は「コロナ禍と核兵器との戦いでは、コロナウィルスの連戦連勝だ」と冗談交じりに語った。ウィルスによって、2019年12月以来世界で540万人が亡くなっている。
12月27日、国連事務総長室官房長は再検討会議議長に対して、コロナ禍の現状に鑑みて、2022年1月の第10回再検討会議を対面で行うことは不可能だと事務総長は考えていると伝えた。
その第一の理由は、9900人を越える国連事務職員のほとんどがテレワークをしていることにある。一時的な「在宅勤務解除」は先月に取り消され、自宅で勤務する「柔軟な方式」が1月9日まで、そして追って通知があるまで続けられるということになった。
2022年における国連施設と事務能力の提供に関する事務総長の見解が出されて以降、再検討会議議長は、8月1日~26日を暫定的な日程として、会議を延期することを呼びかけた。日程は締約国によって後に正式承認されることになる。
「平和・軍縮・共通の安全保障を求めるキャンペーン」の代表で、「国際平和ビューロー」の副代表でもあるジョセフ・ガーソン氏は、この4週間の会議の延期によって何らかの突破口が開かれそうかという質問に対して、NPT再検討会議への期待感は元々極めて低く、核廃絶や軍備管理を求める人々が今回の延期で期待を高めることはないだろうと語った。
では、なぜ期待は低いのだろうか?
「核兵器国が第6条の義務を果たすことを拒絶していること、核兵器国が1995年・2000年・2010年の再検討会議の合意を履行していないこと、軍拡競争がその危険度を増していること、台湾・ウクライナ・カシミールをめぐる対立が激化して、偶然あるいは計算違いによる壊滅的な核戦争が起こりかねないことなどが挙げられる」とガーソン氏は語った。
ここ米国でバイデン政権が「核態勢見直し」において「核先制不使用」政策を採用しそうにない理由の一つは、そうした政策変化が中国による台湾再領有の誘因になりかねないと心配されていることにある、とガーソンは説明した。
それに加えて、核戦力の近代化のために米国が2兆ドル近くを費やそうとしていることが、重大な懸念の理由であり、米国の政策に変化を持たせるべきと主張する大衆行動が起こってくる理由であるとガーソンは指摘した。
ガーソン氏は、実際に再検討会議が開かれた場合、「突破口」というものではないが、再検討会議が「失敗」したというイメージを避けるために、中東非核・非大量破壊兵器地帯の創設に向けた進展をもたらす義務を果たす必要性について触れる文言が盛り込まれることになるかもしれない、と語った。
また、「突破口」には程遠いが、過去の再検討会議の合意を実行するための意味ある措置を採る、信頼に足る公約のようなものが望まれている。
包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)は12月20日の声明で「世界的なコロナ禍、イラン核協議をめぐる不確実性、核戦力を各国が近代化或いは増強している現状を考えると、議論されることになる多くの論争的な問題に関してコンセンサスがもたらされる余地は小さいかもしれない」と語った。
多くのCTBT締約国が合意する領域は、CTBTや、いかなる国によるいかなる場所での核実験も的探知するCTBTOが構築した核爆発監視システムである。この最新のシステムは世界に唯一のものであり、普遍的で非差別的、検証可能な核軍縮を達成するために不可欠なものだとCTBTO声明は述べた。
2022年の来たる再検討会議においてコンセンサスを阻みかねない問題について問われたガーソン氏は、最大の問題は、第6条の核軍縮義務を果たすための信頼性のある措置を採るよう核兵器国に求める文言を巡るものになるのではないかと語った。
世界の多くの国々が、核兵器国が核兵器を廃絶するための交渉に真摯に臨もうとしていないのではないかと疑っていることが、核兵器禁止条約の協議へとつながったとガーソン氏は指摘した。
「『核のアパルトヘイトという無秩序』を核保有国が保持し続けようとする可能性が極めて高い。現存する核の脅威に緊急に対処すべきという国際的な理解を促進し、こうした政府の政策を変更させる強力な大衆運動を起こする方法を我々が見つけるまでは、現状は変わらないだろう。」とガーソン氏は語った。
中東非核・非大量破壊兵器地帯創設への進展を要求する文言を米国が認めることはありそうにない、とガーソン氏は警告する。
「バイデン大統領と民主党は、米国の非民主的な代表システムや、有色人種の有権者を排除しようとする右翼的な政治、右翼による州・地方政治の簒奪といった現状に直面して、ますます守勢に回っている。この状況で、バイデン政権は、イスラエルの政策に批判的でない有権者の気分を害するリスクを取らないだろう。」とガーソン氏は指摘した。
他方で、CTBTO声明は、いかなる国による何時いかなる場所でも、全ての核爆発をCTBTは禁じていると述べている。署名185カ国・批准170カ国と、条約の加盟状況はほぼ普遍的ではあるが、条約は依然として発効していない。発効のためには、条約の附属書2に記載されている44カ国の全てが条約を批准する必要があるが、うち8カ国が未批准だ。
CTBTOは、核爆発を探知するために国際監視制度(IMS)を構築している。現在、世界全体で、地震・水中音響・微気圧振動・放射性核種の4つの手法を用いた302カ所の認証施設が稼働している(制度が完成すれば337カ所となる)。
IMSが取得したデータは、地震の監視や津波の警告のような減災や、核事故で発生した放射性物質の捕捉、鯨の移動や気候変動、台風予測などの幅広い研究領域に利用することが可能である。(原文へ)
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|視点|NPT自体は永続するとして、その意義は保たれ続けるか?(セルジオ・ドゥアルテ科学と世界問題に関するパグウォッシュ会議議長、元国連軍縮問題上級代表)
【ベルリン/ストックホルムIDN=ラメシュ・ジャウラ】
「核軍縮とNPTに関するストックホルム会合」(構成16カ国)が、2022年1月4~28日の日程で開催される第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議に対して、「人類を守るという利益のために、政治的リーダーシップを発揮し、条約の下でなされた公約や成果を尊重し、非核兵器世界に向けた決定的な道筋へと導くよう」求めた[訳注:再検討会議は、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、再度の延期が決まった]。
2019年にスウェーデンで開始された「ストックホルム・イニシアチブ」は、核軍縮に実践的な推進力をもたらし、核兵器国と非核兵器国の架け橋となることを目的としている。
同グループがストックホルムで開催した5回目の関係閣僚会合ではさらに次のように決議した。「不可逆的で検証可能、透明な形で核兵器の廃絶を達成し、中間的措置として、核兵器のリスクを低減する決意で我々は一致している。」
会合の議長は、スウェーデンのアン・リンデ外相と、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相が務めた。他の参加国は、アルゼンチン・カナダ・エチオピア・フィンランド・インドネシア・日本・ヨルダン・カザフスタン・オランダ・ニュージーランド・ノルウェー・韓国・スペイン・スイスである。
ベアボック氏は12月8日にドイツ外相に指名されたばかりである。同氏が第5回閣僚会合に初参加する以前、ドイツ外務省は「我が国は、国際軍縮イニシアチブを固めるうえで主導的な役割を果たすことを追求する」と述べていたが、これはまさに、ベアボック氏の前任者ハイコ・マース氏が行っていたことであった。
2020年にベルリンで開催された閣僚会合では、NPT創設50周年に合わせて全ての加盟国に参加を呼び掛けた共同宣言も採択されていた。その中には、核軍縮を前進させるための「飛び石」と呼ばれる提案も含まれていた。例えば、核戦力の完全なる透明性の確保、核ドクトリンにおけるより厳格な制約、エスカレーションのリスクを低減する措置、米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の延長(2021年1月)、さらなる備蓄の削減、その他の広範な将来的措置である。
同グループは今回、NPT50周年から2年後に予定された第10回NPT再検討会議を3週間後に控えて、会合を持った。
第5回関係閣僚会合は次のように述べる。「来るNPT再検討会議は、核軍縮に向けた高いレベルのコミットメントを全ての国が示す重要な機会となる。『核軍縮とNPTに関するストックホルム・イニシアチブ』はこの点において実行可能な道を示してきた。我々は、条約が引き続き成功するように各国を導くうえで、再検討会議の議長であるグスタボ・ズラウビネン大使の取り組みを完全に支持する。」
閣僚会合は、同イニシアチブの文書にNPTの他の20カ国が新たに賛同したことを歓迎した。予想通り、ストックホルム平和イニシアチブは全ての加盟国に対して「とりわけ再検討会議の成果文書の起草において、これらの文書に盛り込まれた文言や実行可能なアイディアに引き付けた議論を行うよう」求めた。
閣僚会合は、米ロ間の新START延長に関する合意と、「戦略的安定対話」を発表した2021年6月の両国の大統領声明を歓迎した。同声明には「核戦争に勝者はなく、したがって戦われてはならない」と再確認する文言が含まれていた。
これらは間違いなく、ストックホルム・イニシアチブの核軍縮に向けた2つの「飛び石」に対応した望ましい前進である。関係閣僚らはさらに、米中両国による2021年11月16日の首脳会談にも言及した。
しかし、いくらかの前進が見られたにも関わらず、残された作業は多い。NPT上の5つの核兵器国には条約の下での特別の責務があり、自らの核戦力を減らさねばならない。また、その他の核保有国の間にも、軍縮の意思は明確にみられない。
第5回閣僚会合は「核兵器国の間に信用と信頼を構築することで、世界の核軍縮の長期的な停滞にピリオドを打つのに役立つことであろう。」と述べた。
閣僚らは、全ての核兵器国に対して、次の世代の軍備管理取り決めに向けた基礎作業を行い、核戦力をさらに削減し、核爆発実験の完全停止に向けたリーダーシップを発揮し、核分裂物質生産禁止条約の交渉を開始し、多国間核軍縮検証能力構築に向けた取り組みを支援することを求めた。
閣僚らは、対話プラットフォーム、訓練、インターンシップ、フェローシップ、奨学金、モデルイベント、青年グループ活動など、若い世代と関与するための「核軍縮の前進に向けた飛び石的取組み」の呼びかけを改めて強調した。また、広島・長崎や、セミパラチンスクや太平洋などの元核実験場を含めた、核兵器によって影響を受けた地域への訪問やそれらの地域との交流を行うよう呼びかけた。
さらに閣僚らは、多様なジェンダーの観点を包含し、核軍縮の意思決定において女性を実効的に参加させる決意をあらためて述べた。(原文へ)
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【シンガポールIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
中国とラオス間を結ぶ全長414キロの新高速鉄道線が「陸の孤島」であったラオスを東南アジア地域に連結し、貿易と観光を促進することを可能にした。新線は中国からシンガポールへの鉄道の旅と陸上輸送を促進し、その結果、南シナ海経由の地域貿易の重要性は低下することになるかもしれない。
59億ドルをかけて建設された鉄道は、中国の習近平国家主席の「一帯一路」構想の支柱の一つであるが、同時にラオスにとっても、同国を内陸国(Land-Locked)から東南アジア大陸部の連結国(Land-Linked)経済に転換し、内陸・山岳国家ゆえの遅れを克服しようとする同国の戦略ビジョンの一環でもある。
ラオスのパンカム・ヴィパヴァン首相は8月、中国の新華社通信の取材に対して、一帯一路は「経済インフラや貿易、投資、人的な連結性を通じて、中国と『一帯一路』構想の諸国間の相互信頼と相互援助を深める機会だ」と述べ、鉄道はその重要な一部だとした。
新線はラオスの首都ビエンチャンを出発し、中国と国境を接する北部ボテンへとつながる。そこから、国境を超えてモハンから中国の鉄道網へと接続される。最初の2本の貨物鉄道は両サイドから国境を超え、既に300万ドル相当の商品を運んでいる。ただし、新型コロナウィルス蔓延のために国境を越えた人の往来は依然として禁じられている。
12月3日の新線開通式では仏僧がお経を唱え、中国製の鉄道車両のエンジンに聖水を振りかけた。ラオスのトンルン・シースリット国家主席は式で、「今日はラオスにとって新時代の幕開けであり、ラオスが内陸に孤立した山岳国家から陸で繋がる物流ハブへと転換する重要な一歩を踏み出した日だ。」と語った。
開通日、ビエンチャンの駅は、その多くにとって恐らくは初体験であろう鉄道旅行の切符を求める中産階級の市民達で早朝からごった返した。運行開始から1週間で5000人以上が切符を購入し、『ラオス・タイムズ』紙は、国境が1月に開放されることから、中国・昆明市の住民11万4000人以上が既にラオス行きの切符を購入している。
「中国ラオス鉄道有限公司」がラオス側の路線を運行する。会社自体は「中国鉄道グループ」とその他2社の中国国営企業の合弁であり、これらが株式の7割を保有する。ラオスの国営企業が残りの3割を保有している。このプロジェクトにおけるラオスの債務は15億4000万ドルであり、中国側の合弁企業の債務は24億ドルである。
これはラオス初の鉄道路線であり、中国は、運転士から保線係、鉄道維持労働者に至るまで、鉄道を管理する数百人のラオス人フタッフを訓練しなくてはならなかった。中国国境から100キロ離れた山間部の町ムアングゼイ出身のシダ・フェンフォンサワンは、中国が訓練した運転士の一人だ。
彼女の故郷の町では、長い間、国境を通じて中国との交易がなされていた。彼女は、「中国ラオス鉄道で安定した仕事、それも国家レベルの仕事に就けました。」と新華社通信に語り、これがラオスの全般的な発展を促し、故郷のムアングゼイも中国からの商品輸入によって栄えるだろうと予想した。
鉄道路線に沿った開発活動を適切に計画し適切な海外投資を行うことで、中国ラオス鉄道は、ラオスの観光や輸出入の振興を促し、債務を解消してラオス経済のいくつかの側面の改善につながるであろう。
アジア・パシフィック・パスウェイ・ツー・プログレス財団(マニラ)のルシオ・ブランコ・ピトロ研究員は『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙(香港)への12月の寄稿で、「これらのインフラ計画は、中国の巨大な一帯一路構想がコロナ禍の中でも道を切り開き、東南アジアに大きな影響をもたらしていることの証拠だ。東南アジアの接続性を強化し、経済復興を加速する死活的なパートナーとしての中国のアピール力をまちがいなく増すことになるだろう。」と語った。
今回の輸送ネットワークは、世界最大の自由貿易協定である「地域的包括的経済連携」(RCEP)が2022年に発効すると、その重要性を増すことになるだろうとピトロ研究員は指摘した。RCEPは、東南アジア諸国連合(ASEAN)の全10カ国と中国を含めた5つの対話パートナー国によるものである。
2015年に起工し、中国の高速鉄道システムを国境を越えて延伸した中国ラオス鉄道は、中国による印象的な技術プロジェクトである。列車はベトナム戦争時に米国が投下した不発弾がまだ散らばっている土地を走る。標準軌道の単線であるこの鉄道は、険しい山間地を、総延長61キロの橋梁と198キロのトンネルを使って貫通している。ラオス国内には21の駅がある。うち10は旅客専用、その他は貨物用であり、このプロジェクトの二重の性格をよく示している。
他方、「ディプロマット」のセバスチャン・ストランジオ氏は、「どの程度までこの鉄道が地域の農村人口に利益を与えるかはまだ分からない。」と指摘した。「6年間の建設を通じて、鉄道建設のために立ち退きを余儀なくされた住民らは、受け取ったもの(補償)があまりに少ないと不平を述べている」とストランジオ氏は言う。また、ある米国の識者がこの鉄道について「たまたま他国内を走ることになった本質的に中国の公的インフラプロジェクト」にすぎないと述べていることを紹介した。
この鉄道路線が、中国がこの地域で後押しする唯一の運輸プロジェクトではない。2018年、複数の中国企業がラオス政府と協定を結び、総延長580キロの高速道路をビエンチャンからパクセまで建設することを決めた。パクセは、カンボジアとの国境に近いラオス南部の都市で、高速道路ができれば、鉄道と高速道路を国中で結んで、ラオス国内や近隣の国々との交易が促進され、経済成長の起爆剤になると期待されている。
タナレン・ドライポート(TDP)とビエンチャン物流団地(VLP)の建設、ベトナム中央ハティン県のブンアン港とVLPの接続、隣国カンボジアにおける総延長190キロのプノンペン=シハヌークビル高速道路という別のプロジェクトが、来年実現されると期待されている。中国企業はまたカンボジアの首都プノンペンと観光都市シエムレアプでの空港建設にも奔走している。しかし、TDPとVLPに投資しているのは中国ではない。
「2025ASEAN接続マスタープラン」と中国の「一帯一路」を連携させるアジア諸国の取り組みを具体化する建設計画が次々と実行されているが、これは中国・ASEANが11月に実施する記念サミットの主要な要素でもある。しかし「対中債務の罠」への解決策はまだ見出されていないとピトロ氏は指摘する。
「日本による『質のよいインフラ構築に向けたパートナーシップ』にせよ、米国の『よりよい世界再建』にせよ、欧州が最近発表した『グローバル・ゲートウェイ』にせよ、中国の攻勢がそのライバルたちを競争に走らせていることを示している。しかし、日本を除けば、これらの企図はまだ具体的なプロジェクトの形になっていない。それまでは中国の『一帯一路』が地域の諸国に強い影響力を及ぼし続けるだろう。」と、ピトロ研究員は語った。
ピトロ研究員は、例えばビエンチャン=ボテン線は、タイやベトナム、ミャンマーにおける類似の鉄道建設への推進力になるだろうと考えている。「こうした問題があるにもかかわらず、世界を接続する事業の契約が次々と結ばれ、それらに参加する地域の国々の間で中国の影響力は増している。中国の先手は実を結びつつある。」そのうえでピトロ研究員は、新線は「東南アジアの陸の孤島であったラオスにとってのゲーム・チェンジャーになるだろう。」と指摘した。(原文へ)
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|視点|新型コロナウィルス騒動に関連して、飽くなき中国叩きが再浮上する(パリサ・コホナ前国連スリランカ政府代表部大使、元外務大臣)
【ニューヨークIDN=キャロライン・ムワンガ】
エチオピアでは、北部少数民族ティグレ人の勢力と連邦政府間の内戦で、難民キャンプや農業インフラ、民間施設(診療所や学校等)も攻撃の対象となり、これまでに200万人以上が家を追われるなど、深刻な人道危機が進行している。先月には双方の間で対話の機運が高まったが、政府軍は1/7に突然ティグレ州の難民キャンプを空爆して56人の民間人を殺害したため、情勢は再び不透明になっている。(原文へ)
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