現在国際博覧会(10/1/2021-3/1/22)をホストしているドバイ首長国の光と影に焦点をあてたインド紙『Tribune』(北インド最大の英字紙)のラフール・シンによる視点。ドバイは治安が良く、世界トップクラスのビジネス環境を提供している一方で、インドの闇組織が長らくビジネス拠点に活用したり、巨額にのぼる米国のアフガン軍支援資金の流入が明らかになるなど、違法な資金が世界から集まる裏の側面にも焦点をあてている。(原文へ)
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【ニューヨークIDN=タリフ・ディーン】
東南アジアでかつて独裁政権を率いた元首が、不正選挙について問われた際、おそらく半分冗談まじりで、「私は国民に投票する権利を約束した。しかし、そうした票の集計については何も言っていない。」と語ったと伝えられている。
バイデン政権は、12月9日と10日に民主主義サミットをオンライン形式に開催するが、世界の独裁国家や特定の一族が支配する国々の大半は招待リストから排除されている。こうした国々では、たとえ選挙が実施されても、不正操作がほぼまかり通っている。
米国は民主主義サミットに、193国連加盟国のうち、110カ国を招待した。米国務省によると、民主主義サミットは「民主主義諸国が直面している課題と機会に焦点を当てるとともに、指導者らに各々の国内外において民主主義と人権を守る個人及び全体としての公約や改革、イニシアチブを発表するプラットフォームを提供する」ものである。
一方、招待されなかった国にはエジプト、モロッコ、ヨルダン、サウジアラビア、バーレーン、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)等、中東やアフリカにおいて米国と最も緊密な政治・軍事同盟関係を有している国々や、米国製武器の主要輸出先の国々が含まれている。
中東における同盟国では、イラクとイスラエルが招待されなかった。また、トルコも北大西洋条約機構の加盟国でありながら、招待リストから外された。
国連安保理常任理事国の中華人民共和国とロシアも外された。一方で、中国に対する政治的な圧力として、中華民国(台湾)は民主主義サミットに招待された。
南アジアでは、(タリバン政権下の)アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、スリランカが招待されなかった一方で、インドとパキスタンは招待された。東南アジアでは、この地域で米国の密接な同盟国であるシンガポールが招待リストに含まれなかった。
また、ミャンマーとスーダンの軍事政権も招待リストから除外された。
バイデン大統領は2月、「民主主義は偶然の産物ではありません。私たちは、民主主義を守り、そのために戦い、強化し、より新しいものにしていかなければなりません。」と語った。
米国務省によると、バイデンーハリス政権は就任初日から、現代におけるかつてない厳しい挑戦に対処するために、民主主義を米国と世界で立て直していくことが必須だと明確に述べてきた。
「米国にとり、民主主義サミットは、世界的な民主主義の立て直しに、支援やコミットメントが極めて重要なさまざまなアクターに耳を傾け、学び、関与する機会を提供するものであるとともに、民主主義の持つユニークな強さの一つ、つまり、民主主義の不完全さを認め、率直かつ透明性を確保しながらそれに向き合うことで、米憲法が謳う『より完全な連邦が形成できる』という強さを示すだろう。」と米国務省は述べている。
第1回民主主義サミットの開催に先立って、米国は政府、多国間組織、慈善団体、市民社会、民間セクターと協議して、3つの主要テーマ(①権威主義に対する備え、②汚職との闘い、③人権尊重の促進)に関連した大胆かつ実行可能なアイデアを求めた。
サミットで世界の指導者らは、サミットの目標を前進させるような具体的な活動や、意味ある国内改革や国際的なイニシアチブに対するコミットメントを発表するよう求められるだろう。そしてそうした公約には、権威主義に立ち向かい、汚職と戦い、人権尊重を促進する国内外のイニシアチブが含まれるだろう。
また、民主主義サミットでは公式プログラムの一部として、市民社会の代表をパネルディスカッションやタウンホールミーティングに招待している。市民社会の代表を選定するに際しては、地理的なバランス、政治的背景、協議テーマに関する専門性など様々な要因を検討した。また、今回のサミットはオンライン形式で開催されるが、一年後には対面形式による2回目の会合を開くとしている。
一方、複数政党制民主主義を最も強力に支持してきた国連は、結局失敗に終わったものの、かつて軍事政権の指導者を国連演説から排除しようと試みたことがある。2004年にアフリカ連合の前身にあたるアフリカ統一機構(OAU)がクーデターの指導者をアフリカ首脳会議に出席させない方針を発表した時、ガーナ出身のコフィ・アナン国連事務総長(当時)はこの決断を世界各国の軍事独裁者を罰する未来のモデルケースとして評価した。そして、この考えを一歩進めて、国連の最高決定機関である国連総会がOAUの決定を良き前例として、軍事政権の指導者に総会で演説することをいつの日か禁止するようになることを望むと語った。
アナン事務総長の提案は史上初のものだったが、事務総長ではなく加盟国が支配する国連で採用されることはなかった。歯に衣を着せないアナン事務総長はまた、「道路や医療体制が崩壊しつつあり、子どもたちが通う学校には本も机も教師もいない、そして電話も通じないような状況でも、数兆ドルもの公的資金が一部のアフリカの政治指導者らによって隠匿されている。」と語った。また、民主的に選出された政権を軍事力で転覆させたアフリカの政治指導者らを激しく非難した。
一方、国連総会で演説した軍事指導者の中には、キューバのフィデル・カストロ、リビアのムアンマル・アル・カダフィ大佐、マリのアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ(1991年のクーデターで政権を掌握したが後に大統領に選出された)、ガーナのジェリー・ローリングス(1979年のクーデターで政権を掌握し前政権の首脳を処刑したが、後に民主的な選挙で民間の大統領として選出された)などがいる。
かつてインターナショナル・ヘラルド・トリビューンが指摘したように、ローリングスは「アフリカの元軍事指導者の中で、史上初めて、有権者に複数政党制の下で自身の後継者を選ばせた人物だった。」
2020年10月、ニューヨークタイムズは少なくとも10人のアフリカの文民指導者が権力の座から降りることを拒否し、大統領任期を3期目や4期目、中には生涯権力に留まるために7期目を可能にするような憲法改正に着手した、と報じた。
こうしたアフリカの指導者にはギニア(3期目に立候補中)、コートジボワール、ウガンダ、ベニン、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、ガーナ、セイシェルの大統領が含まれる。
現職の大統領が退陣するのはニジェールのみである。タイムズ紙は、全ての軍事クーデターを非難して、ギニアビサウのウマロ・シサコ・エンバロ大統領の「3期目はクーデターと同じだ。」という言葉を引用した。
一方、民主主義サミットには、民主主義に関する実績が疑わしいいくつかの国々も含めて以下の国々が招待されている。アルバニア、アンゴラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バルバドス、ベルギー、ベリーズ、ボツワナ、ブラジル、ブルガリア、カーボ・ヴェルデ、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、コンゴ民主共和国、デンマーク、ドミニカ、ドミニカ共和国、エクアドル、欧州連合、フィジー、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グラナダ、ギアナ、アイスランド、インド、インドネシア、イラク、アイルランド、イスラエル、イタリア。
さらに、ジャマイカ、日本、ケニア、キリバス、コソボ、ラトビア、リベリア、リトアニア、ルクセンブルク、マラウィ、マレーシア、モルディブ、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、メキシコ、ミクロネシア、モルドヴァ、モンゴル、モンテネグロ、ナミビア、ナウル、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニジェール、ナイジェリア、北マケドニア、ノルウェー、パキスタン、パラオ、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、韓国、ルーマニア、セントキッツネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、サモア、サオトメプリンチペ、セネガル、セルビア、セイシェル、スロヴァキア、スロヴェニア、ソロモン諸島、南アフリカ共和国、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、台湾、東チモール、トンガ、トリニダード・トバゴ、ツバル、ウクライナ、英国、ウルグアイ、ヴァヌアツ、ザンビアが招待されている。(原文へ)
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【ホニアラIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
南太平洋地域のソロモン諸島の首都ホニアラで発生した暴動とその背景を分析した記事。11/24にマナセ・ソガバレ首相の退陣を要求するデモ隊が暴徒化して放火や略奪が発生し、政府の要請を受けた豪州の軍と警察が11/26に現地入りした。暴動が起きた背景には、同国最大の人口を占めるマライタ島(=州)出身住民による、ソガバレ政権の内政運営や、同島の経済開発の遅延への不満、台湾との2019年の断交や中国との国交樹立への反発等が指摘されている。マライタ島は、中国寄りの傾向を強めるガダルカナル島の中央政府の外交方針に反して、台湾との密接な関係を維持している。一方、中国はソロモン諸島を含む太平洋諸国との包括的新戦略パートナーシップと、南太平洋非核兵器地帯を基軸とした核不拡散体制の推進(AUKUSへの対抗を意図したもの)を表明している。(原文へ)
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【ホログINPS Japan/IDN=シャロファト・シャフイエヴァ】
ホログ市は概して清潔だが、ごみ処理には課題がある。住民が路上、とりわけ公共の場所にごみを放置し、中心市場では大規模なごみの集積が常態化している。
「ごみのそばを通るのはとても不快です。行政がどれだけ清掃しても、1日でまたごみが集まってしまう。特に夏は悪臭が立ちます」と、市場の常連客シャフォアト・ジャフォエワは語る。「ごみの大半は商人のものだ。市場の売り手が、よりよい方法で廃棄物を管理できればよいのですが」と付け加えた。
12歳の少女ソヒブダヴラト・カランダルホノワは環境に強い関心を持ち、環境問題に向き合う重要性を地域で共有し、住民が自ら責任を担うよう促そうとしている。手工芸にも興味があり、廃棄物を日用品へ再生する取り組みにも力を入れている。
ソヒブダヴラトは、ホログのアガ・カーン・リセウムに通う6年生である。理科への関心を深め、学校の課外プログラムの理科クラスにも参加して、理論に加えて実験にも取り組んでいる。
「学校で科学を学べる、実験型のラボ・プログラムが始まりました。通い始めてから、いろいろな実験ができてとても面白かった。ホットグルーで作品を作るのも好きで、いちばんのお気に入りでした」と、彼女はIDNに語った。
彼女は、ガラス、紙、段ボール、金属、繊維、電池などを材料に、再利用の作品づくりに取り組む。リサイクル製品を調べる中で、「気候変動」という課題も知った。
「数年前、土石流でこの地域の村が丸ごと流されたことがありました。停電になり、みんなが『土石流で川沿いの道が塞がれ、川がほかの村やホログまで氾濫するかもしれない』と言っていたのを覚えています」と、気候変動の危険を意識するきっかけになった体験を振り返る。「その後、大人から『気温が上がり、大気中への温室効果ガスの排出が増えている』と聞きました。山の氷河が高温で溶け、それが土石流につながるのだと」
気候変動の影響や将来起こり得る問題を知るにつれ、彼女は自分の街の環境に不安を抱くようになった。まず考えたのは、川や街のあちこちにごみを捨てて環境を汚さないことだった。さらに、クラスメートにも問題意識を広げたいと考えた。
課外の理科クラスで、彼女はさまざまな工作に取り組んでいた。指導者は、紙を使い捨てにせず、プラスチックボトルを材料に活用するよう助言し、環境活動についても話した。そこから、子どもたちの間で環境に配慮した取り組みを広げるキャンペーンの着想が生まれ、ソヒブダヴラトは指導者とともにプロジェクト作りを始めた。
「子どもに理科を教えるうえで、創造性は重要な要素です。理論は難しく感じられ、子どもは興味を失いやすい。そこで私たちはプラスチックボトルで作品を作りながら、『ボトルを再利用すればプラスチックごみの増加を抑えられる』と伝えました。さらに環境への負荷を減らしたいなら、エコ活動にも参加できる。そう話すと彼女は気に入り、プロジェクトにしようと決めました」と、匿名を希望する指導者は語った。
ソヒブダヴラトの作品は、プロジェクトの発表会で披露される予定である。
大きなプラスチックボトルを使い、彼女はペンケースを作っている。「ペンケースを作るには、ファスナー、ペットボトル、編み糸が必要です。見た目もよく、工夫した作品になります。ファスナーはホットグルーで貼り付けられます」と説明する。
ペンケースのほかにも、玩具や生活用品など多くの作品を手がけてきた。プリングルズの筒箱を貯金箱にしたこともある。
ボトルを使う際は、できるだけ端材を出さないよう工夫している。たまりがちなボトルキャップは大きさごとに分け、赤や緑に塗って花の形にした。こうした花は室内の飾りとしても使える。
母親は花を育てるのが好きで、ほぼ毎年苗を買って植えている。街で売られている植木鉢の多くはプラスチック製である。プラスチックの使い捨てを増やさないため、ソヒブダヴラトは苗用の鉢を廃材から作ることにした。
「植木鉢を作るには、大きなコーラのボトルを半分に切ります。安定して立つよう、縁の周りに三角形の切れ込みを入れます。色を工夫して塗り、乾かせば完成です。絵の具だけで作れます。私は油絵の具を使い、乾いた後に仕上げとしてニスを塗ります」と、彼女は説明する。
ソヒブダヴラトの弟と同年代の子どもたちは、ほぼ毎月アニメのディスク(DVD)を15〜20枚購入する。1度視聴すると不要になり、多くは捨てられてしまうという。
「弟の友だちの間では、不要になったディスクが大量に出ています。私はそれを集め、指導者と一緒に文房具や筆を入れるオーガナイザーを作りました。指導者が、糸で形を編んで縫い合わせる作業を手伝ってくれました。見た目をよくするため、花やビーズも貼りましたが、これらも不要になった服から取ったものです」と、ソヒブダヴラトは語った。
ソヒブダヴラトは、「ホログを汚染から守ろう(Let Save Our Khorog from Pollution)」と題した学校展示会で、キャンペーンと作品を公開する準備を進めている。作品の一部は販売し、収益は環境保全、または設立を目指す環境クラブの活動資金に充てる考えだ。
指導者は、ほかの生徒にも環境キャンペーンへの参加を呼びかけている。「汚染から地球を守り、ソヒブダヴラトのような若い将来有望なリーダーを支えたい人は、ぜひこのキャンペーンに参加してほしい」と語った。(原文へ)
※シャロファト・シャフィエワは、キルギスのナルインにある中央アジア大学のコミュニケーション/メディア専攻の学生。
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【シドニーIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
コロナ禍後の世界をより良いものにしたければ、高等教育システムをより柔軟で利用しやすいものにする必要がある。また政府が、より平等で安定した社会を作りたければ、公立大学への資金拠出が不可欠であることを理解しなくてはならない―これが「世界高等教育アクセスデー」(WAHED)からの明白なメッセージである。11月17日、「2030年の大学はどこに行くのか」と題したオンライン会議がロンドンをホストに開催された。
高等教育部門はコロナ禍により大きな被害を受け、その構造はオンライン学習の登場によって大きく変わってしまった。しかし、このことは高等教育へのアクセスと平等にとって極めて大きな問題を残した。平等な教育へのアクセスは持続可能な開発目標(SDGs)の第4目標に盛り込まれているが、主として念頭にあるのは、高等教育よりも初等・中等教育である。
「全国教育機会ネットワーク」(NEON)のグレーム・アサートン教授は会議の開会挨拶で、「WAHEDのアイディアは、高等教育システムのアクセスと平等の必要性を認識し、個々の大学や組織にこの問題に取り組ませようとしている人々が集うことにある」と述べた。NEONは英国の非営利組織でWAHED2021を主催している。

5つの分科会からなるこのイベントでは、欧州・北米・南米・アフリカ・アジアからのパネリストが並び、その多数は女性でもある。多くの発言者が、高等教育は先進国でも途上国でも依然として特権であり、既に学位を持っている人々の子が大学に行く割合が高いという。公立大学に対する政府の資金投入が活発でない中、社会経済状況が厳しい世帯にとっては、子を大学に進学させるなど及びもつかない。
エスタドゥアル・デカンピナス大学のマルセロ・ノーベル教授によれば、ブラジルでは現在の政権が公立大学への予算を削減し、若い人々は私立大学に行かざるを得なくなっているという。「平等の面から考えて大きな問題だ。学生の75%が営利的な私立大学に通っている。高等教育での成功を保証するには、(公立大学は)大幅に強化されねばならない。」
「高等教育はそのコストの面から批判に晒されており、不平等を加速している」と米「ルミナ財団戦略的インパクト」の副代表であるコートニー・ブラウン博士は語った。教育アナリストで「ユーリーダイス」(Eurydice)のデイビッド・コシエー氏は、「欧州のデータを見ると、大学生の68%の親は大学の学位を持っている。」と指摘したうえで、「不平等は欧州においても顕著な社会の特徴になっており、不平等は幼児期と学校制度において対処しなくてはならない。」と語った。
アジア欧州会合(ASEM)による第4回WEHED会合に先立って出された報告書は、コロナ禍によって不利に立たされている集団に関して高等教育へのアクセスと平等度は悪化しており、それに対応するための、焦点を絞った一貫性のある政策が必要だと警告している。
同報告書は、ASEM47カ国の政策の調査を基礎として、3分の1以下(30%)の国しか高等教育における平等政策を持たず、わずか34%しか高等教育への進学と卒業に関した特定の目標を設けていないという。
アジア欧州財団(ASEF、シンガポール)のアサートン教授が執筆したこの報告書によれば、「84%の国々では、コロナ禍によって平等な進学・卒業に関連した政策が大きな影響を被っている」という。
報告書が焦点を当てているのは、民族的・宗教的マイノリティを基礎にした伝統的な議論からの変容である。問題になっているのは、多数派の民族的・宗教的コミュニティの中にいるかもしれない、社会経済的に不利な世帯や経済的に周縁化されたコミュニティのことである。従ってこの問題は、社会における「不平等の是正」を謳ったSDGs第10目標に関連したものである。

WAHEDで多くの発言者が強調したのは、高学年の高校生と大学生との間に連携を生み出すことで、入手できるはずの機会や入学の要件について知ることができる、ということだ。これは、教育関係省庁がその他の開発機関とともに戦略を策定しなくてはならない開発問題として見る必要がある。
「開発における高等教育の役割は、まだ決着を見ていない問題だ。」と指摘する英連邦大学連合のジョアンナ・ニューマン事務局長は、「高等教育への入学は依然として特権だ。大学に通った人々は稼ぎがいいだけではなく、自らが住む社会に貢献もできると信じるしかない。」と語った。
ニューマン事務局長は、「今日の大学はランキングや競争ばかりを気にしており、『象牙の塔』としての大学のイメージを強めてしまっている。一つの部門として大学がなぜ開発問題で意義を持つのかということについて、説得力のある議論を展開できていない。」と語った。
ビショップ・スチュアート大学のモード・カマテネシ・ムギシャ副学長によれば、ウガンダでの問題は、オンライン学習のための適切なカリキュラムと施設を確保することであるという。ムギシャ副学長は、「コロナ禍の中でオンライン学習を提供できたのは僅か3、4大学にしか過ぎない。ICTを使った教育のために新たな構造を模索する必要がある。資金に余裕がない人でも e-ラーニングを使えるようにならなくてはならない。」と語った。
またムギシャ副学長は、「(コロナ禍の中で)時として15人の学生が高等教育を受けるためにノートパソコンのある家に集まってクラスを受講するケースもあった。一方で、多くの学生が2年間も高等教育にアクセスできないでいる。」と述べ、ウガンダにはICTネットワークだけではなくシステムを動かす電力、とりわけ太陽光発電が必要と指摘した。
国際大学協会のヒリジェ・バントランド事務局長は、大学への平等なアクセスは開発の主要な要件であると考えている。同氏は、適切な公共教育に投資することは高等教育システム成功に不可欠だと指摘した。「よく教育を受けた市民は、社会的平等の基礎を作る要件の一つだ」と語り、2030年に大学に行けるかどうかは「(子どもの時から)どういう質の教育を利用できるか」にかかっているという。
ブルネイ・ブルガリア・マレーシアは、この問題の解決へのヒントを提供している。産油国でありスルタン国である東南アジアのブルネイでは高等教育熱が高いが、同様に退学率も高い。
退学の問題に対処するために、高等教育をめざす生徒を中等教育段階から準備させる新法を導入することで「啓蒙された選択」をさせようとしている。また、職業訓練を伴う高等教育のコースもより多く提供した。ブルネイ高等教育省のアニス・ファウズラニ・ジキフリー氏は「高校段階で対処できるように15歳で学生に選択をさせたい」と語った。
ブルガリアでは、教育科学省のイワナ・ラドノワ博士によると、学生と雇用者との間で契約を結ぶ仕組みがあるという。「企業は、企業の条件を分かっている卒業生を雇い、他方で大学は企業が何を求めているかを分かっている」とラドノワ博士は説明する。国家はまた、必要な学生に学資を提供し、卒業後に利子支払いが困難な場合は免除するという。
「我々の高等教育政策は、社会的責任を果たすべく行動するよう大学に求める」とラドノワ博士は述べ、大学の設置箇所に関する全国計画について説明した。「というのも、地域開発を支援するように大学を設置する必要があるからだ。」
マレーシアでは、高い割合の若年層が何らかの形で高等教育に進むが、政府の2030ビジョンでは大学部門に対する人的資源の開発を目指している。「我々は、非伝統的な(=25歳以上の)学習者に対する生涯学習と共に、学習の柔軟な道筋を導入しようとしている」と説明するのは、高等教育省研究強化局のワン・ズハイニス・ビンテサード局長である。
ビンテサード局長はまた、「オープンで遠隔学習を通じたこれらの戦略は一時的な措置ではなく、柔軟な学習のための『コースモデル』を提供する戦略の一部であり、『エクセル』と呼ばれるこのシステムは、『情熱を基盤とした学習における柔軟性』を提供するものだ。」と語った。
ブラウン博士は、コロナ禍で大学は変容し、学生に奉仕するために新たな機会と資金提供モデルを構築してきたと話す。「もし2019年当時の状況に戻ろうというのなら、楽観的ではいられません。(高等教育へのアクセスと平等を強化する)これらの新しいモデルに取り組まねばならない。」
北米においてすら、大学への資金提供は開発問題とみなされる必要があるかもしれない。ブラウン博士は、米国の大学では毎年3600万人の退学者を出していると指摘したうえで、「学生のニーズを把握し、学生に適合するコースを作らねばならない」と指摘する。たとえば、夜間コース、学資支援、成人学生への保育サービス、生涯教育といったものが形を取り始めている。ブラウン博士は、米国では約9000万人の労働世代が、高い学費が理由で高等教育に進むことなど考えたことがないと答えている事実を指摘した。
米国であれ、あるいは欧州、アフリカ、アジアであれ、パンデミックを乗り越えるために作られてきたオンライン学習のもたらす機会を、高等教育へのアクセスと平等を強化するために利用することができよう。同様に、生涯学習プロセスは、個々の国の開発上のニーズと統合することもできる。
高等教育のアクセスと平等の政策を強めるネットワークを確立することを目指して、WAHEDに関する30のイベントが同時並行して行われた。「これらの問題を前進させようとするならば、それをどのような枠組みで理解するかを考える必要がある」とアサートン教授は語った。(原文へ)
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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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【ロンドンIDN=クルト・レイノルズ】
英スコットランド・グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が終わりに近づく中、世界の指導者らが行った長期的なスパンでの誓約と大言壮語的な約束は終わるところを知らないようだ。その一部は2070年を目標としているものもある。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、エネルギーへのアクセスを2030年までに根本的に転換し、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指すグローバル・ロードマップを発表した。
ロードマップは、2025年(今からわずか4年後)に5億人の人々が電気を利用できるようにし、さらに10億人がクリーンな調理法を利用できるようにするという、積極的なスケジュールを打ち出している。
インドのナレンドラ・モディ首相は、インドは2070年までのカーボンニュートラルを目指すとするゼロ排出目標を発表した。
カナダとドイツの政治指導者らは共同声明で、「2022年において(発展途上国の気候変動対策を支援するため先進国が表明した)年間1000億米ドルの拠出目標に向かって大きな前進が見込まれる」とし、23年に年間1000億ドルの目標に到達できることを確信していると述べた。

世界の主要な工業国で構成される20カ国・地域(G20)の首脳らは、今世紀末までの地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑える「努力を追求する」ことを約束した。
他方で、総計130兆ドルの資産を管理する銀行・投資家・保険会社の連合は、自らの投資に関して2050年までの排出ゼロを達成することを公約した。
2023年、2025年、2050年、2070年といった目標の期日は、将来を垣間見ただけのものであり、これまでも誓約が果たされてこなかったことを考えると、恐らく不確実な未来と言わざるを得ないだろう
しかし、ここで大きな疑問が残る。こうした世界の指導者らのうち何人が、公約を実行するまでの間、政治活動を続けているのか、目標実現まで生きているのか、という問題だ。
その可能性は低い。若い世代が気候変動との闘いを主導する重要な役割を持っているのはこのためだ。
平和・文化・教育を推進する、地域社会に根差したグローバルな仏教団体である創価学会インタナショナル(SGI、本部・東京)は、グラスゴーのCOP26関連行事に参加した主要な社会運動団体の一つで、いくつかのサイドイベントを主催したほか、より多くの若者が現在進行している気候の異常事態に対する解決策を主体的に選択するよう訴えている。
若者たちは、周縁化や偏見の壁をいかにして乗り越えることができるだろうか。そして、気候変動の影響に備えた将来や気候正義に関する若者のビジョンを実現するためにどのように支援することができるだろうか。
SGIによると、今後の希望は、世代間協力の強化をいかに心に描けるか、地球に関する共通の懸念を基盤として気候危機に対処するためにさまざまな世代がいかに協力して若者と大人の間の分断を乗りこえることができるか、という点にかかっている。
SGIの池田大作会長は、2030年に向けて国連ユース気候サミットを毎年開催することを提案し、気候変動の問題に関わる意思決定への青年の参画を主流化させるための安保理決議の採択を呼びかけている。
池田会長は、正しくも今日の世界はこれまで人類が経験したことがない切迫した危機に直面していると指摘している。
異常気象の増加に見られるような、年々悪化の一途をたどる気候変動の問題に加えて、新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)が襲いかかり、それに伴う社会的・経済的な混乱も続いている。
「未曽有であるというのは、危機が折り重なっていることだけに由来するのではありません。長い歴史の中で人類はさまざまな危機に遭ってきましたが、世界中がこれだけ一斉に打撃を受け、あらゆる国の人々が生命と尊厳と生活を急激に脅かされ、切実に助けを必要とする状態に陥ることはなかったからです。」と池田会長は述べている。
192の国・地域に1300万人の会員を擁するSGIの社会的使命は、社会の基礎としてあらゆる形での生命の尊重を打ち立てることだ。SGIはまた国連経済社会理事会との協議資格を有する国際NGOでもある。
2015年のパリ気候協定の採択に尽力したバラク・オバマ元米大統領が11月8日に発した声明にも、SGIの見方が織り込まれている。

オバマ元大統領は、COP26での演説で、「(温暖化に関する)運動の最も重要なエネルギーは若者から生まれています。そしてその理由はシンプルなものだ。彼らは誰よりもこの問題に深い利害関係を持っているからです。」と語りかけ、総立ちの拍手喝さいを受けた。
「私には20代前半の娘が2人います。今日、若者として生きることは必ずしも容易ではありません。もしあなた方が若者世代なら、気候変動に対して何もしなければ、将来がどのようなものになるのか様々な不安に苦しんでいることでしょう。」とオバマ元大統領は語りかけた。
SGIは、グラスゴーで「若者の関与とリーダーシップ」に焦点をあてた声明を発表した。
「若い世代の声に耳を傾けることは、1つの選択肢などではありません。本当に世界の未来を心配しているのならば、それが前進する唯一の論理的な道です。若者には、行き詰まりを打破し、精神をリフレッシュすることで変化の先頭をきる明確な洞察力、創造性、そして大胆さがあります。我々は、若者を力づけ支援することに全身全霊を注ぎ、彼らと協力していかなくてはなりません。」
SGIは、COP26の締約国と交渉担当者らに対して次のことの重要性を訴えた。
・COP準備会合に合わせて開かれた「Youth4Climate」イベントや第16回ユース会議(COPのユース版会議)の成果を含めた若者の声を記録し、共有し、広めること。
・気候問題に関連した真のリーダーシップの機会を若者に与えること。
またより広く、国連の観点から、以下を行うことが不可欠だと訴えた:
・誰もが共通に直面している、気候問題やその他のコロナ後の課題に焦点を当てた、地域レベル及び全国レベルのユースサミットを開催する。
・若者の関与とリーダーシップを定期的に維持する国連ユース評議会を設置する。
・平和と安全保障の問題において若者が果たす役割を強化するよう加盟国に求める国連安全保障理事会決議2250と同様に、気候関連の意思決定への若者の参加の主流化を奨励する決議を安保理が採択する。
イギリスSGIとセンター・フォー・アプライド・ブディズム(CfAB)は、COP26の第1週目にあたる11月1日から7日、グラスゴーのウェブスターズ劇場で、基調テーマ「希望の種を植える−気候正義への行動」のもと、「気候正義に関する宗教間対話集会:共に行動する宗教コミュニティーの力」など、一連のパネルディスカッションを開催した。

その中で、若者の役割に関するパネルディスカッション「言葉を超えて―気候アクションに向けた若者のリーダーシップ」では、先進国と開発途上国の双方から集まった若い気候関連活動家たちが、気候アクションの最前線における若者の課題と可能性について議論し、世代間の協力を促進する方途などを議論した。(原文へ)
IPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界に深刻な混乱をもたらす中、世界保健機関(WHO)は公衆衛生分野で明るいニュースを示した。WHOの報告書「世界たばこ流行報告書2021(Global Tobacco Epidemic 2021)」によれば、国連の持続可能な開発目標(SDGs)3「すべての人に健康と福祉を」の達成に向け、前進がみられるという。
同報告書は、2015年以降に発表されてきたシリーズの第4弾で、11月16日に公表された。報告書によると、WHOの「非感染性疾患(NCD)予防・管理のための世界行動計画(2013~2020年)」に基づく、たばこ需要削減策のうち、少なくとも1つを最高水準で実施している国は146カ国に達した。
報告書はまた、150カ国でたばこ使用率が低下していることを示した。このうち60カ国は、2025年までに使用率を30%削減するという任意目標の達成に向け、順調に推移している。2年前の時点で達成ペースにあった国は32カ国にとどまっていたが、今回は増加した。
具体的には、世界のたばこ使用者数は減少を続け、2015年の13億2000万人から、2020年には13億人へと減った。2025年には12億7000万人まで減少すると見込まれている。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は、こうした数字は心強いとしつつ、「まだ道のりは長い」と強調した。「たばこ企業は、死をもたらす製品を売って得る巨額の利益を守るため、あらゆる手段を使い続けるだろう」と述べた。
WHOによると、最近の証拠から、たばこ産業がCOVID-19のパンデミックを利用し、80カ国で政府への影響力を拡大していたことが明らかになっている。報告書は加盟国に対し、「たばこの規制に関するWHO枠組条約(WHO FCTC)」に基づく措置の実施を加速するよう求めた。
WHO健康増進部門のルーディガー・クレヒ部長は、進展の背景としてWHO FCTCに沿った政策を挙げる一方、その成果は「脆弱だ」と指摘した。「たばこ対策が有効であることは明らかであり、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、より踏み込んだ行動を取ることは、人々に対する道義的責任だ」と述べた。
同時期に公表された「禁煙に関するWHO世界投資ケース(Global Investment Case for Tobacco Cessation)」は、禁煙支援への投資の重要性も訴えている。それによると、各国が無料の禁煙電話相談窓口やSMS支援などに、1人当たり年1.68米ドルを投資すれば、2030年までに1億5200万人のたばこ使用者が禁煙に成功する可能性があるという。
これらの報告書と投資ケースは、「たばこ製品の不法取引を撲滅するための議定書(Protocol to Eliminate Illicit Trade in Tobacco Products)」の締約国会議(COP)第9回会合の直後に発表された。
報告書の主な所見として、昨年、世界人口の22.3%がたばこを使用していたことが挙げられる。内訳は男性が36.7%、女性が7.8%だった。さらに、13~15歳の子ども約3800万人が現在たばこを使用しており、女子が1300万人、男子が2500万人に上る。未成年者の購入は違法であるにもかかわらず使用が続いており、目標は「子どものたばこ使用者ゼロ」の実現だ。
地域別にみると、上位中所得国で進展が最も遅い。一方、29カ国ではデータの質が低い、または不十分であり、傾向を正確に把握するには、さらなる監視が必要だという。WHOによれば、たばこは使用者の最大半数を死に至らしめ、年間800万人を超える命を奪っている。
WHOの世界的傾向報告は、最も急速な低下がみられるのは南北アメリカ地域だと指摘する。同地域では、平均使用率が2010年の21%から、昨年は16%へと下がった。
アフリカ地域では15%から10%へ低下し、引き続き最も低い水準にある。欧州地域では、女性の18%が依然としてたばこを使用しており、これは他のWHO地域に比べて大幅に高い。一方、欧州以外の地域は、女性の使用率を2025年までに少なくとも30%削減する軌道にある。
東南アジア地域は、人口の約29%に当たる約4億3200万人が使用しており、地域別では最も高い水準にあるが、減少のペースも最も速い。
また報告書は、西太平洋地域が、今後、男性の使用率が最も高い地域になると予測している。指標によれば、2025年になっても男性の45%超がたばこを使用している可能性がある。
WHOによると、たばこによる死者は年間800万人を超える。このうち700万人以上は喫煙が直接の原因で、残る約120万人は受動喫煙によって命を落としている。(原文へ)
INPS Japan
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【アディスアベバIDN=ロナルド・ジョシュア】
国際NGOアフリカ子供政策フォーラム(ACPF)が11/18の国連オンライン会議で発表した調査報告書「The Economic Case for Investing in Children in Africa: Investing in our Common Future」の概要を解説した記事。報告書は、子供を対象に国家財政を積極的に割当てることは長期的に大きな経済効果となって帰ってくる重要な「投資」であるにもかかからず、アフリカ大陸では多くの国々で依然として優先順位が低い「慈善活動」と考えられており、その代表的な事例が、10人中3人の子供(一部の国は40割を超える)が依然として児童労働の被害者となっている現状に表れていると指摘している。(原文へ)
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