【ニューヨークIDN=アントニオ・グテーレス】
ニューヨークのユダヤ人遺産博物館で、ナチスによるユダヤ人迫害「水晶の夜」81周年を記念した展示会に登壇したグテーレス国連事務総長の講演を収録した記事。グテーレス氏は、故国ポルトガルやナチスによるユダヤ人迫害の歴史的系譜に言及しながら、近年再び台頭しつつある反ユダヤ主義や人種差別・憎悪の文化に対する警鐘を鳴らした。(原文へ)
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【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】
国連の機能を脅かす財政難によって複雑化する様々な危機が進行する中で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、国連の死活的な重要性を強調する計画を発表した。「2020年は、国連創設75周年の一環として『私たちが望む未来』の構築にグローバルな協力が果たす役割に関する大規模かつ包摂的なグローバル対話に焦点を当てることになるだろう。」とグテーレス事務総長は語った。
「『国連デー』は、74年前に発効した国連憲章の不朽の理想を記念する日です。荒れ狂う海のような世界の中で、国連憲章は依然として私たちをつなぎとめる道徳的な錨(いかり)の役割を果たしています。」とグテーレス事務総長は強調した。
国連は、安全保障理事会の常任理事国5カ国を初めとする署名国の大多数が国連憲章を批准することで、正式に発足した。1948年以来、10月24日は「国連デー」として祝われている。1971年、国連総会は、加盟国がこの日を公的な休日とするよう勧告した。

来年の国連創設75周年のイベントの一環としての、地球の将来に関する「史上最大のグローバルな対話」の開始は、グテーレス事務総長が公表した通り、来年1月から世界各地で始まる対話を通じて、世界の民衆を巻き込むことをめざしている。この対話の目的は、さまざまな人々の希望と恐怖に耳を傾け、彼らの経験から学び、いかにしてより良い世界を構築できるかに関する対話と行動に活気を与えることだ。
教室や企業の役員室、議会、村役場など、さまざまな環境において社会のあらゆる部門や世代からの意見が求められる予定だが、とくに強調されているのは若者や社会から取り残された人々である。こうして寄せられた意見とアイディアは、2020年9月の第75回国連総会で実施される注目度の高いイベントで世界のリーダーと国連高官に提示される。
世界の世論調査やメディア分析と並んで、この対話の中で集められた情報は、国連創設100周年にあたる2045年に向けたグローバル・ビジョンにまとめられる。「すべての人々にとって持続可能で包摂的な未来に対する脅威への理解を深め、このビジョンを実現するための集団的行動を推進することをねらいとしている。」と「国連ニュース」は述べている。
創設75年イベントの責任者である国連高官のファブリツィオ・ホスチャイルド氏は、10月24日の記者会見で、「このイベントは、世界がかつてないほど相互関連を深め、国際協力を通じて対処すべき諸課題に直面しているにもかかわらず、そうした問題に対処するために作られた組織から諸国が手を引きつつある中で行われるものです。」と指摘した。
ホスチャイルド氏は、「グテーレス事務総長は、世界の現状について、そして、この現状が『持続可能な開発に向けた2030アジェンダ』で提示されたより良い未来に向けた国連の野心からどれほど離れているかについて、国際社会が熟考する一連のプロセスを求めています。」と語った。
ホスチャイルド氏によると、国連が進めるこれらの対話は、3つの主要な領域に焦点をあてるという。第一は、2045年を見据えて、世界規模のビジョン「私たちが望む未来」を定義すること。第二は、グローバルメガトレンドと、それがこのビジョンから私たちをどの程度遠ざけているのかを把握すること。第三は、グローバルな協力を促進するアイディアを生むような批判的議論を展開することである。
国連75周年では、教室から役員室、国会から村役場に至るまで、社会のあらゆる部門における対話を促進することをめざしているが、若者をはじめ、その声がグローバルな場で軽視されたり、無視されたりすることがあまりにも多い社会から取り残された人々を特に重視する予定だ。
グテーレス事務総長は、10月24日に発表された動画で「私たちが奉仕すべき全世界の人々により良い成果を届けられるようにするためには、皆さんの意見や戦略、アイディアが必要です」と述べ、このキャンペーンに声を寄せるよう、世界各地の人々に訴えた。
国連は、対話の枠組みを作り促進するために、気候危機、不平等、新たな形態の紛争と暴力、急激な人口変動、デジタル技術といった問題に関して概観する『イッシュー・ブリーフ』に焦点を当ててきた。これらの問題は、国境や部門、世代を超えた効果的な協力を必要としている。
国連は、これらの新たなリスクと機会に対処するために必要なことに関する多様な視点と創造的なアイディアを求めている。現在のメガトレンドに変わりがないとすれば、「私たちが望む未来」と、私たちが向かいつつあるところの間で、どう集団的な舵取りをしていったらいいのだろうか。
デジタル技術の影響
技術によって、私たちの世界は、より公平で、より平和で、より公正なものになりうる。デジタル技術の進展は、極度の貧困の撲滅から、妊婦・幼児死亡率の抑制、持続可能な農業の促進、ディーセント・ワーク、普遍的な識字の達成にいたる、17項目の「持続可能な開発目標」の達成を支援し加速することを可能にする。しかし、技術はまた、プライバシーを危険に晒し、安全を損ない、不平等を強化しかねない。人権や人間の主体性への影響もある。以前の世代と同じように、我々(政府や企業、個人)は、新技術をどう使いこなし管理していくかの判断を迫られている。

紛争と暴力の新たな時代
紛争と暴力の性格は、国連が75年前に創設されて以来、かなり変化してきた。紛争における死者数は減ってきたが期間は長期化し、国家間紛争よりも内戦が増えてきた。世界の一部の地域では殺人が増え、性的な暴力も多くなってきた。
それとは別の問題として、技術の進化によって、ロボットが兵器化され、ドローンが生まれ、ライブストリーミングやサイバー兵器、ランサムウェア、データのハッキングが起きるようになってきた。他方で、国際協力が制約され、紛争と、あらゆる形態の暴力の予防・解決に向けた世界の能力が低下してきた。
不平等:格差の縮小
世界は、貧困の削減で大きな成果を上げてきた。この30年間で、極度の貧困から抜け出した人は10億人を超える。しかし、人類の貧しい方から半分の人々の収入は、1990年以来、世界経済の生産が3倍にもなっているにもかかわらず、この間ほとんど変わっていない。不平等は経済的進歩を阻害し、それがさらに、不平等がつくり出す社会の分断を悪化させる。
収入や地理、ジェンダー、年齢、民族、障害の有無、性的志向、階級、宗教による不平等は、資源へのアクセスと機会、成果の決定要因となり、国内および国家間において執拗に存在し続けている。世界の一部の地域では、こうした分断がより明確になりつつある。他方で、オンライン技術やモバイル技術へのアクセスといった、新しい領域での格差が生まれつつある。
気候危機:勝ち目のある闘い
「気候変動は、私たちの時代を特徴づける危機であり、私たちが危惧するよりも速いスピードで訪れている。しかし、グテーレス事務局長が9月に指摘したように、このグローバルな脅威に直面した私たちに、力がないわけではない。グテーレス事務局長は「気候の緊急事態は、私たちが負けつつある闘いだが、勝ち目のある闘いである。」

気候変動の壊滅的な影響から逃れうる場所など、地球のどこにもない。気温の上昇によって、環境の悪化や自然災害の発生、異常気象、食料や水の供給の不安定、経済的阻害、紛争やテロなどが起きている。海水面は上昇し、北極の氷は融け、サンゴ礁が死滅し、海が酸性化し、森は火災に見舞われている。これまでのやり方が有効でないのは明らかだ。気候変動のもたらす無限のコストは不可逆的に膨らんでいる。大胆かつ集団的対応が必要な時にきている。
変化する人口構成
世界の人口は現在の77億人から2050年には97億人へと、20億人も増加すると見込まれている。出生率が下がり始めるとみられる今世紀末には110億人のピークに達する。この間、世界の人口は都市に集中し、65歳以上人口が5歳未満の児童の数を上回るようになると考えられる。
現在から2050年までに起こる世界の人口増加の半分は、インド・ナイジェリア・パキスタン・コンゴ民主共和国・エチオピア・タンザニア・インドネシア・エジプト・米国のわずか9カ国で起こるとみられる(人口増の多い順)。サブサハラ地域のアフリカの人口は倍増し、欧州の人口は減少に向かうと見込まれる。
他方、人々の移動が活発になっている。この20年間、国境を越えて移住する人の割合は世界の総人口の3%程度で一定だが、実数で言うと、2000年以来、50%以上増えている。同時に、長引く紛争のために、意思に反して住み処を追われる人々が急増し、気候変動や環境悪化のためにその数がさらに増える可能性もある。難民・移民の流れの圧倒的多数は「南」の国々で起きている。(原文へ)PDF
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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
2008年10月15日に初めての「農村女性のための国際デー」が持たれて以来、先住民族を含めた女性や女児が、農業や地域開発を改善し、食料安全保障を強化し、貧困を根絶する上できわめて重要な役割を果たしているという点に関しては、衆目の一致するところだ。
実際、国連総会が2007年12月18日の決議62/136でこの国際デーの新設を決定した際、「各国、地域、グローバル規模のそれぞれの開発戦略において、先住民族女性も含め、農村の女性の環境を改善することに優先順位を置くよう」呼びかけている。

決議はまた、農村女性の視点を考慮に入れること、彼女らが自然災害や人道支援、平和構築、紛争後和解といった緊急事態に関連した政策や活動の設計・履行・フォローアップ・評価に参加できるようにすべきことを呼びかけている。
また決議は、エネルギーや交通といった根本的な農村インフラを利用できるようにすることを通じて、農村女性の基本的ニーズに応える取り組みに投資し、強化すべきことを強調している。
さらに、農村女性の特定の健康上のニーズに対処し、農村地域の女性の健康状態を最大限に引き上げることができるよう具体的な措置を取ることを求めている。例えば、妊娠中・出産後の性と生殖に関する健康、緊急の産科ケア、家族計画に関する情報、HIV/AIDSなどの性感染症の予防に関する知識・認識・支持の増大といったことである。
国連総会はまた、国際社会に対して、農村の女性や女児が全ての人権と基本的自由を享受することを促進・擁護し、家庭内暴力や性的暴力、ジェンダーに基づくあらゆる形態の暴力をはじめとして、彼女たちの権利の侵害を許さない環境を作り出すことを求めている。
決議が挙げているその他の措置には、次のようなものがある。▽基本的な社会サービスへのアクセス、▽適切な社会的保護/社会保障の実施、▽経済的資源への平等なアクセス、管理、▽金融、近代的取り引き、金融手続きにおける農村女性の経済的スキルを向上させるような特定の支援サービス、▽とりわけ母子家庭に対してマイクロクレジットなどの金融・ビジネスサービスを提供することで、農村女性らの経済的エンパワーメントを図ること。

決議はまた、土地と資産の私的所有が確立しているところでは、相続の権利も含めて、女性が土地や資産に対する完全かつ平等な権利を持つようにすること、信用や資本、適切な技術、市場・情報へのアクセスといった権利を女性にも男性同様に与えるための行政改革およびその他の必要な措置を実行することを求めている。
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関である「UNウィメン」は、この国連総会決議の背景にある論理について、「農村の女性は、天然資源と農業が危機にさらされるなか、闘いの最前線に立たされている。」と説明している。
たとえば、2000年から2016年の間の気象災害による被害・損失の4分の1は途上国の農業部門におけるものであり、これが農村の女性・女児の食料安全保障と生産能力に大きな悪影響を与えている。
気象災害においては女性の方が死亡する確率が高く、土地や水のような天然資源へのアクセスにより大きな困難を抱える。さらに、気候変動が既存の不平等を悪化させ、農村の女性・女児を置き去りにする可能性がある。
「結果として、気候変動の引き起こす危機に関して前進をもたらす最も効果的な方法のひとつは、ジェンダー不平等の問題に対処することだ、ということになる。」とUNウィメンは主張する。エンパワーされた(=社会的な力をつけた)女性には、気候変動に対処する高い能力がもたらされる。彼女らは低炭素技術の導入や気候変動に関する知識の普及、気候行動を促すうえで、重要な役割を果たす。

UNウィメンは、ジェンダーに敏感な気候関連政策・事業を採用し、気候関連のアクションにおける女性のリーダーシップを促進することは、地球温暖化の悪影響を減ずる主要な方法のひとつであると考えている。
UNウィメンは、その他の国連・開発関連機関と並んで、気候変動という文脈の下で農村の女性・女児を強化する必要性を認識している。「農村地帯の女性・女児の状況を改善する」ことに関する2019年の国連事務総長報告(A/74/224)は気候問題に焦点を当て、UNウィメンは、気候変動に直面した女性をエンパワーする多数のプログラムを実施している。
気候変動に強い農業を通じた女性のエンパワーメントを促進することは、持続可能な開発に関するUNウィメンの事業活動の中核となっている。UNウィメンが国連食糧農業機関(FAO)や世界食料計画(WFP)、「農村女性の経済的エンパワーメントに関するIFAD」と行う共同事業は、持続可能な生活と人権に焦点を当て、なかでも、女性の収入増加と気候変動に強い農業の促進に力を入れている。(原文へ)
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【ボルダー(コロラド)IDN=ダニエル・ストレイン】
インド・パキスタン間の核戦争は、第二次世界大戦6年間の死者を上回る5000万~1億2500万人の死者を1週間弱の間にもたらす可能性があるとの新たな研究結果が発表された。
コロラド大学ボルダー校とラトガーズ大学の研究者らが行った新たな研究は、(印パ両国間の)紛争を想定し、それが世界全体にどういった波及効果を及ぼすかを考察している。今日、インドとパキスタンはそれぞれ約150発の核兵器を保有しており、2025年までには200発以上に増加するものと見られている。

研究結果の見通しは暗いものだ。『サイエンス・アドバンシーズ』に10月2日に発表されたこの論文の第一著者であるコロラド大学ボルダー校のブライアン・トゥーン氏は、「この核戦争によって印パ両国で数百万人が死に至るだけの問題ではない。この核戦争は、地球全体を氷河期以降、人類が経験したことがないような厳しい寒気で覆い尽くす恐れがある。」と語った。
この研究チームの知見は、印パ両国の緊張が再び強まる中で発表された。今年8月、インドは憲法を改定し、印パ間の紛争の種となっているカシミール地方の自治権をはく奪した。その直後、インド政府はカシミール地方に部隊を派遣し、パキスタンから激しい抗議を受けた。
大気・宇宙物理学研究所の教授であるトゥーン氏は、「印パ戦争が勃発すれば、世界の通常の死亡率が倍増する可能性がある。それは人類がかつて経験したことのないような戦争となるだろう。」と語った。
死亡率
これは、大気・海洋科学部の一員でもあるトゥーン氏が、長年にわたって取り組んできた問題でもある。
トゥーン氏は、子どもたちが学校で核戦争に備えて机の下に隠れるような冷戦期真っただ中に成人となった。彼は1980年代初め、若き大気科学者として、米ロ間の核戦争により地球上に大規模気候変動が起き、人為的に氷河期が発生する現象を説明する用語として、「核の冬」という言葉を生み出した研究チームの一員だった。
トゥーン氏は、ソ連は崩壊したものの、核兵器は依然として大きな脅威であると考えており、現在の印パ間の対立関係についてもこの点を強調している。
「印パ両国は急速に核戦力を拡大している」「人口も多い両国のことだから、核兵器による影響も大きい。それに両国間には、カシミール地方を巡る紛争も未解決のままだ。」とトゥーン氏は語った。
最新の研究でトゥーン氏らの研究チームは、こうした紛争がどのような最悪の結果をもたらしうるかを考察している。そのために、地球の大気に関するコンピューター・シミュレーションから、広島・長崎への1945年の原爆投下に関する知見に至るまで、あらゆる証拠を利用している。
彼らの分析によれば、惨事はいくつかの局面に分かれて現れる。紛争の第1週においては、印パ両国が相手国の都市に対して計約250発の核兵器を爆発させうると想定している。
どちらの国も何十年も核実験を行っていないため、その爆発力がどの程度になるかは推測しがたい。しかし、今回の研究では、それぞれの国が最大70万人を殺害しうると推測した。
食料不足
しかし、ほとんどの人々は、核爆発そのものによって死亡するのではなく、それに続いて起こる制御不能な火災を原因として亡くなっている。
「原爆が投下された後の広島では、広範な瓦礫の原野が広がっていた。それは爆発によるものではなく、火災によって引き起こされたものだ。」とトゥーン氏は語った。

印パ以外の地域に関して言えば、火災は単なる始まりに過ぎない。
研究チームは、「印パ間の核戦争によって1600万トン~3500万トンの厚くて黒い煙が放出される。煤は太陽熱を吸収し、大気を温めるため、上昇気流が発生して煤はさらに上昇し、太陽光を20~35%を遮る。その結果、地表の温度は約6.5~16度低くなり、これによって太陽光が遮られ、地球全体で数年にわたって華氏3.5(-15.8C)~華氏9度(―12.7C)程度気温が低下する。それに続いて、世界規模での食料不足が起こる。」と推測している。
「最新の地球システムモデルを利用した私たちの実験によれば、陸上の植物と海中の藻の生産性が格段に落ち、人類を含め、食物連鎖の上位にいる生物にとっては危険な帰結が待っている。」と共著者の一人であるニコール・ロベンダスキー氏(大気・海洋科学准教授、北極・アルペン研究所研究員)は語った。
トゥーン氏は、このような規模の戦争の話をされても、一般の人々には理解できないかもしれないことをよく認識している。しかし、この研究によって、冷戦が終了しても世界的な核戦争の危険は去っていないことを理解してほしい、と考えている。
「パキスタンとインドがこの論文に注目してくれるといいのだが。しかし、概していうと、アメリカ人が核戦争の帰結に関して知識がないことが気がかりだ。」とトゥーン氏は語った。(原文へ)
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【ウィーンIDN=ラインハルト・ヤコブセン】
国際原子力機関(IAEA)は、カザフスタンに設置した「低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンク」が運営可能になったと発表した。低濃縮ウラン(LEU)バンクは、ウラン濃縮能力のない国々が安定した核燃料提供を受けられるようにすることで、核不拡散条約が加盟国に認めている「核の平和利用」を保障すると同時に、核不拡散の強化に貢献することを目的としている。
IAEAは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運用可能になったと発表した。IAEAが保有しカザフスタンが管理する同バンクは10月17日に最初の核燃料の納入を受け、正式に運営を開始した。IAEAは1957年の創立以来、最も意欲的かつ挑戦的なプロジェクトが本格的に始動したとしている。
「最初の納入を得て、IAEA低濃縮ウランバンクは開設され運営可能となりました。法律、運営、ロジスティクスの面でこれほど複雑な事業にIAEAが取組むのは初めてのケースとなります。」と、コルネル・フェルータIAEA事務局長代行は語った。
設立経費とその後20年間の運営費については、IAEA加盟国および、米国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、米国、欧州連合(EU)、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、カザフスタンから合計約1億5,000万ドルが拠出されている。さらにカザフスタン政府は、低濃縮ウラン(LEU)備蓄バンクをホストすることで現物出資を行っている。
「このプロジェクトを実現するために寛大な貢献をしてくれた拠出国・団体と貴重な協力の手を差し伸べてくれたカザフスタン、中国、ロシア政府に感謝したい。」とフェルータ事務局長代理は語った。

「これはIAEAとカザフスタン政府にとって歴史的な偉業であるとともに、LEU備蓄バンクを実現するためにあてられた尽力に感謝したい。」「故天野IAEA事務局長が、彼の功績の主要な部分をなすこのプロジェクトが成就したこの瞬間に一緒にいられないのは残念だ。」とNTIのアーネスト・モニツ共同議長兼CEOは語った。
このプロジェクトを結実されるにはIAEAの活動が網羅する多くの分野において協調した取り組みが必要だった。プロジェクトには以下の内容が含まれる:
・IAEA低濃縮ウランバンクの法的な枠組みについて、カザフスタン政府及び施設の運用主体となるオスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)との交渉。
・IAEAの安全基準及びセキュリティ保障に沿って低濃縮ウラン貯蔵施設を設計及び建設。
・カザフスタン政府と協力して関連の法律や規制の枠組みを強化する作業
・低濃縮ウランの同施設への搬出及び同施設からの搬入について、中国及びロシアと運搬物の国内通過に関する最終合意の締結、また、カザフスタンのKTZ Express JSK社やロシアのTENEX JSC社との運搬契約の締結。
・ IAEAが入手する量としては史上最大規模となる90トンを2社から調達。
今回、オラノ・サイクル社から出荷されたシリンダー32本分のLEU(=典型的な100万kW級軽水炉に装荷される1回分の取替用燃料に十分な量)は、まずフランスの港までトラックで輸送され、その後海路でロシアに到着。そこから列車により、カザフスタン北東部オスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)の特設貯蔵施設に運ばれ、現地でIAEAの専門家らによる検査を受けた。IAEAは今年末までには、カザフの国営原子力企業カザトムプロムから2回目の積荷を受け取ることになっている。

現地で核燃料の引き渡しを監督し関連書類の署名したIAEAのマルタ・フェラーリ氏は、「運搬距離が膨大なことから、LEUを貯蔵施設まで運ぶのに4週間かかりました。これを成し遂げるには、このプロジェクトに参画している多くのパートナー間の調整が必要でした。今回の経験を通じて、実際に加盟国からLEUの提供要請があった場合、今回の運搬ルートを活用できるという自信と貴重な経験を得ることができた。」と語った。
このプロジェクトは今回の低濃縮ウラン搬入をもってようやく運営に漕ぎ着けたが、貯蔵施設そのものは2017年8月に故天野之弥IAEA事務局長(当時)とヌルスルタン・ナザルバエフ大統領(当時)が正式に開設していた。(開会式典をIDN/INPSが取材した映像はこちらへ)
IAEA理事会は2010年12月に、核燃料供給について予測不能で経済的事情とは関係のない問題が発生した場合でも、安定的にLEUを取得できるようIAEA加盟各国に保障を与える最終的なメカニズムとして、IAEA低濃縮ウランバンクの設立を決定した。一般的な軽水炉の燃料製造に適した低濃縮ウランを最大90トン(=大都市の電力を約3年間賄う量に相当)備蓄する予定だ。(IDN/INPSがIAEA低濃縮ウランバンクを取材した映像はこちらへ)
IAEAの承認の下で設置された他の核燃料供給メカニズムとしては、ロシア・アンガルスクの国際ウラン濃縮センターで同国がIAEAの監視下で運営するLEU備蓄や、英国によるLEU濃縮作業の提供保証などがある。
今日世界では約450基の原子炉が稼働しており、世界の電力需要の10%(低炭素発電の3分の1)を供給している。(原文へ)
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【ヌルスルタン(カザフスタン)IDN=浅霧勝浩】
2019年は、ソビエト連邦の主要核実験場であったセミパラチンスクでの核実験に終止符が打たれてから30周年、また、中央アジア非核兵器地帯条約(セメイ条約)の発効より10周年にあたる。さらに、カザフスタンが核実験に反対する国際デー(8月29日)に核兵器禁止条約に批准し、26カ国目の批准国となった年でもある。
カザフスタンは世界から核兵器を廃絶すべく熱心に取り組んできた国として知られている。同国では1949年から40年にわたり、456回の核実験が行われ、150万人以上が健康被害を受けてきたとされている。

今年はまた、カザフスタンの首都ヌルスルタン市で、「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展(10月2日~13日)のロシア語版が初めて披露された年となった。この展示会は、長崎と並んで原爆が初めて使用された広島で2012年に開催されて以来、これまで20カ国90都市で開催されてきた。カザフスタンは21カ国目の開催国となった。
創価学会インタナショナル(SGI)と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)とカザフスタン共和国初代大統領図書館が共催した展示会は、環境、医療、経済、人権、エネルギー、精神性、ジェンダー、世代間、安全保障等幅広い視点から、核兵器の問題点を浮き彫りにし、一人一人が解決の担い手であるであると訴えている。
開幕式(映像)は10月1日に開催され、初代大統領図書館のアメルハン・ラヒムジャノフ館長、寺崎広嗣SGI平和運動総局長、笠井達彦駐カザフスタン日本大使、カザフスタンの元副首相で大統領府人権委員会のクアニシ・スルタノフ委員長が登壇した。
かつて日本に留学したというラヒムジャノフ館長は、日本語を交えつつ、「『核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択』展がSGIというパートナーのイニシアチブで開催できることは、非常に感慨深い。」としたうえで、「今回の展示は私が現在の任に就いて以来、最大規模の展示会です。初代大統領図書館は、国内外の志を同じくする人々との協力関係を重視しています。今年、私たちはSGIとの友好関係を育んできました。今後、一層協力関係を発展させていきたい。」と語った。
第6回世界伝統宗教指導者会議(2018年10月10日~11日)に出席するため昨年カザフスタンの首都アスタナ(当時の呼称)にSGI訪問団を引率して来訪したことがある寺崎総局長は、今回の開会式に際して池田大作SGI会長のメッセージを代読して、「幾多の試練を乗り越え、貴国が進めてこられた非核化の歩みに最大の敬意を表しますとともに、『核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択』展が、美しき平和の天地の貴国で開催されますことを、私はこの上ない喜びとするものであります。」と語った。
さらに池田SGI会長はメッセージの中で、「核兵器のない世界を求める新たな希望の連帯のうねりは、カザフスタンから大きく広がった。これは、世界中の人々の心に刻まれた平和創出の輝く歴史であります。」と語った。そして世界で初めて、核兵器実験場の閉鎖を断行したカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ初代大統領の言葉を引用して、「カザフスタンの人々にとって、核兵器と放射能は、どこか遠い世界の理論ではない。それは、私たちの土地が40年以上にわたり犠牲となってきた、残酷で、容赦ない悪である。」と語った。
展示会は、国や立場の違いを超えて、遠く離れた地に住む人々を団結させる運動の「重要な部分」であり、「この地球上で核兵器の脅威と非人道性に無縁でいられる場所などない」というメッセージを力強く発信するものとなった。

池田SGI会長のメッセージを代読した寺崎総局長は、「真に対峙すべきは、『核兵器を容認する思想』、すなわち、自国の優位や安全のために、他国の多くの民衆を犠牲にすることを厭わないばかりか、人類の生存基盤を破壊することも辞さないという、究極の生命軽視の思想である。」と語った。そして、「正義感を失うな。たゆまず善をなせ。」というカザフスタンの国民詩人アバイ・クナンバエフの魂の叫びを想起しつつ、「私どもSGIは、今後も、尊敬するカザフスタンの皆さま方と力を合わせ、核兵器のない平和と共生の地球社会を目指し、さらに邁進しゆくことを固くお誓いするものであります。」と語った。
駐カザフスタン日本大使の笠井達彦氏は、長崎で被爆した祖母の経験を紹介しつつ、「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展開催の尽力を讃えた。

カザフスタンの元副首相で大統領府人権委員会のクアニシ・スルタノフ委員長は、同国の反核市民運動の歴史に触れながら、「人々の連帯は核兵器よりも強い」と力説するとともに、人類の英知は必ず核の脅威打開への道を見つけると確信していると語った。
10月2日、寺崎総局長を団長とするSGI訪問団はムフタール・ティレウベルディ外務大臣を表敬した。ティレウベルディ外相は、昨年10月の第6回世界伝統宗教指導者会議への出席に続くSGI訪問団の来訪を歓迎した。また、同国で開幕した「核兵器なき世界への連帯」展に触れ、核軍縮の取組みでカザフスタンは日本との協力関係を重視していると語った。
10月3日、SGI訪問団は2007年までセミパラチンスクの名称で知られたセメイ市に空路で向かい、かつてセミパラチンスク核実験場の運営を担ったクルチャトフの国立原子力センターに移動した。そこから、1949年にソ連が初の核実験を実施したポリゴンと呼ばれる旧核実験場の爆心地を訪問した後、同センター内の博物館を見学した。
翌日、SGI訪問団はセメイ市医科大学解剖学博物館を訪問した。この施設には近隣のセミパラチンスク核実験場からの放射性降下物がこの地域や住民の健康にもたらした計り知れない影響について知ることができる資料が展示されている。
カザフスタンのナザルバエフ初代大統領が1991年に核実験場を閉鎖する前に、ソ連当局が核実験関連のあらゆる医療データを持ち去ったため、出生異常や癌等の症例と核実験の直接的な関連性を断定することはできない。しかし旧核実験場周辺地域における症例は他の地域よりも圧倒的に多い。

SGI訪問団はまた、セメイ市内の核医療癌センターやボルコヴニチー島の平和公園内にある記念碑「(母の愛は)死よりも強し」を訪問した。これは核実験の犠牲者を悼む記念碑で、きのこ雲の形にくり抜かれた碑の上部にある星形の球体(核爆発の模様を表現)から、身を挺して我が子を守ろうとする母親像が彫られている。(映像はこちらへ)
これに先立ち、SGI訪問団は1997年までカザフスタンの首都だったアルマトイで、国際的な反核運動「ネバダ・セミパラチンスク」の創始者で詩人のオルジャス・スレイメノフ氏と会見した。同氏の呼びかけで1989年に始まった抗議活動は、旧ソ連圏の国々で初の反核運動として知られ、1991年のセミパラチンスク核実験場の閉鎖に主要な役割を果たした。スレイメノフ氏は核兵器のない世界という共通の目標に向けてSGIと協力していきたいと語った。
寺崎総局長は戸田城聖創価学会第2代会長の「原水爆禁止宣言」に言及し、自らの欲望のために他者の殲滅も辞さない思想にこそ核兵器の問題の本質があると語った。これに対してスレイメノフ氏は、「核兵器は『絶対悪』であり、完全に廃絶されなければならない。」と語った。(原文へ)FBポスト
INPS Japan
Video Documentary filmed by Katsuhiro Asagiri, President of INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
国連が「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」を迎えた9月26日、アントニオ・グテーレス事務総長は、世界が直面している2つの政治的現実について強調した。
事務総長は第一に、核軍縮の進展が停滞しているどころか、むしろ「反転している」と警告した。そして第二に、「核保有国間の関係が不信に塗れており、核兵器の有用性に関する危険なレトリックが強まってきている。」と指摘した。
事務総長はまた、第74回国連総会の開会時にもたれた核軍縮に関するハイレベル会合での挨拶の中で、「質的な意味での核軍拡競争は続いている」と警告し、「大変な苦労をして構築されてきた軍備管理体制がほころびを見せてきている。」と語った。
しかし、反核活動家や市民団体は、核軍縮に関する進展が停止し、右翼的なレトリックが高まり、米国や英国、インド、パキスタンといった核保有国の間での好戦的雰囲気が高まっている最近の動きに対して、懸念を表明し警告を発した。

この日の会合で核戦争の危険について世界の指導者らが警告を発する中、「平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン」のジョセフ・ガーソン代表は、「残念で、醜く、危険な真実は、国連で外交協議が続いている一方で、すべての核保有国が核兵器と運搬手段の強化を続け、核の終末をもたらす準備に手を染めていることだ。」と語った。
「こうした国々の動きは核不拡散条約(NPT)の基盤を損ない、拡散の誘因となる。原子力科学者らが、人類の生存は真夜中(=人類の絶滅)まで『あと2分』と言っていることも頷ける。」とガーソン氏は語った。[訳注:世界終末時計のこと]。
ガーソン氏は、「多くの人々が、現在と第一次世界大戦前夜の時期との間に共通項を見出している。」と語った。
「しかし、現在は、世界の大国が虐殺的で皆殺しも可能な核兵器・サイバー兵器で武装しているという違いがある。」とガーソン氏は指摘した。彼は、アメリカフレンズ奉仕委員会の軍縮コーディネーターと、国際平和ビューロー副代表も務めている。

ブリティッシュ・コロンビア大学リュー国際問題研究所長で、軍縮・グローバル・人間の安全保障プログラムの代表を務めるM・V・ラマナ博士はIDNの取材に対して、「グテーレス事務総長がこのイベントのホスト役となり、こうしたアピールをすることそのものに意義があり、重要なのだ。」と指摘したうえで、「その重要性を理解するためには、世界の多くの人々や国々が既に表明した感情や考えを事務総長が繰り返しているに過ぎないという点を理解するところから始める必要がある。」と語った。
「これは、事務総長の呼びかけという形を通じた、まとまりをもった人々の声であり、核兵器の廃絶を最終的にもたらすものは、彼らの行動と圧力だ。事務総長が明確に『核兵器の脅威をなくす唯一の現実的な方法は、核兵器そのものをなくすことだ。』と述べたのは注目に値する。」とラマナ氏は語った。
「これは非常に重要な見立てだ。というのも、現在の状況、言い換えるならば、一部の国だけが核兵器を保有し、他の国々は保有できない現状は長続きしないということを事務総長が明確にしたからだ。」とラマナ氏は語った。
核分裂性物質に関する国際パネル(IPFM)に関わり、2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員を務める核問題専門家のレベッカ・ジョンソン博士は、IDNの取材に対して、「核兵器の廃絶に関するグテーレス事務総長の短い発言を歓迎したい。しかし、事務総長が最大の核戦力を保有する『核兵器国の指導層』に対する賛辞を送ったのには、耳を疑った。」と語った。

「たしかに、米ロは冷戦期に溜め込んだ膨大な核戦力を削減はしたが、既存の軍縮条約を損ない、軍備や核戦力を継続的に強化していることについて責任を問われるべきだ。」とジョンソン氏は語った。
「この数年間で私たちが唯一目にしたリーダーシップは、トランプ大統領とプーチン大統領が軍備管理を放棄し、最終的に核兵器禁止条約の採択につながった国連の任務として与えられていた多国間交渉をボイコットしたことぐらいだ。」とジョンソンは語った。
「気候変動の緊急事態に対する行動を要求して子供達が街頭に繰り出す中、私たちの世界は、9つの核武装国とその同盟国、共犯者の政治のために核の脅威の再来に直面している。」とジョンソン氏は主張した。
互いに繋がっているこれらの人類生存上の危機に対しては、集合的かつ効果的で、人道的な原則に則った安全保障上の行動が必要とされている。
核保有国の指導層は自国の兵器技術や軍事的脅威にあまりに依存し過ぎている。彼らは、気候変動に対する行動と人道主義的な軍縮を追求する21世紀型のリーダーシップを世界が必要としているときに、20世紀型の防衛思想に縛られている。
「核兵器禁止条約に今週、署名・批准した国々に対して、代わりに賛辞を送ってはどうだろうか?」とジョンソン氏は疑問を呈した(「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に12カ国が同条約に加入した)。
ガーソン氏はIDNの取材に対してさらにこう説明した。「私たちに必要なのは行動であって、責任逃れのための言葉ではない。国連での、耳触りの良い、本質から目を逸らすようなレトリックによって、核による脅迫という無謀で極めて危険な行為が強まっている。これはとりわけ、カシミールを巡るインドとパキスタンの対立、トランプ政権による世界の核軍備管理枠組みの破壊、米国・ロシア・中国の間で高まる緊張関係などに現れている。」

ガーソン氏によれば、高まる核の脅威を避けるための3つの行動があるという。1つ目は、何十年にも及ぶカシミール危機の解決を促進する国際的な行動。2つ目は、「核の傘」依存国のうち1カ国以上が核兵器禁止条約に署名・批准する行動(核の無秩序に楔を打ち込む根本的な効果が期待される)。そして3つ目は、1980年代のように、ただし今回は気候変動対策や社会正義を求める運動と連携した核軍縮を求める大衆的な要求を再現する行動。
「核兵器禁止条約が発効することを期待しているが、核大国と対峙し、これらの国々を孤立化させ、制裁を与える覚悟が加盟国になければ、9つの核保有国に真の影響を与えることはできないだろう。力は、抵抗なしには何も生み出さない。」とガーソン氏は語った。
国連総会議長に選出されたばかりのティジャニ・ムハンマド=バンデ氏は、ハイレベル会合で各国代表に対して、「まもなく国連創設75年周年を迎える中、国連が破壊と不信の時代に生まれ出たことを想起する必要がある。」と指摘したうえで、「(国連創設当時)核兵器が初めて使用されるという悲劇を経て、そうした兵器が二度と使われることのないよう、あらゆることを成すことが決定的に重要になった。今日の私たちも『二度とこの悲劇を繰り返すな』という教訓を胸に刻んでいかなければならない。」と語った。(原文へ)
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【コックスバザールIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】
ロヒンギャ難民キャンプの長期化が予測されるバングラデシュの地元コミュニティーは、イスラム教徒が大半を占める同国にあって歴史的に仏教徒が多い(全国の半数近くがこの地域に暮らしている)地域でもある。ロヒンギャ問題を宗教間対立構図に単純化して報道してきた海外大手メディアの弊害をはじめ、かつてはイスラム教徒と仏教徒コミュニティーが互いに尊重して共存してきた関係がいかに変質してきたかを分析した記事。(原文へ)
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