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喫煙者は減少傾向にあるもののなお数百万人の命が脅かされている

【ジュネーブIDN=ジャムシェド・バルーア】

11/16に発表された「タバコによる世界的大流行に関するWHO報告書2021年度版」の概要を解説した記事。4回目となる今回の報告書によると146ヶ国で少なくとも1つの効果的なたばこ需要削減策が実施されており150ヶ国でたばこ使用の減少が確認された。WHOテドロスのテドロス事務局長は、世界の喫煙者数は減少傾向(2015年の13.2億人→2020年の13億人→2025年には12.7億人になると推定)にあると指摘した一方で、こうした成果も、コロナ禍の状況を巧みに利用したたばこ産業の販売攻勢の前に「依然として脆弱なものだ」と語った。WHOによると、たばこ喫煙による年間死者数820万人のうち、喫煙が直接的な原因で亡くなった数は800万人、一方、受動喫煙による死者数は120万人にのぼっている。(原文へ)

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欧州青年平和サミット(European Youth Peace Summit)を取材

沖縄県知事の平和メッセージを携えてボスニアヘルツェゴヴィナのサラエボ市(元冬季オリンピック会場)で開催された欧州青年平和サミット(European Youth Peace Summit)に参加した日本代表団に同行取材した際の映像。

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【アディスアベバIDN=ロナルド・ジョシュア】

国際NGOアフリカ子供政策フォーラム(ACPF)が11/18の国連オンライン会議で発表した調査報告書「The Economic Case for Investing in Children in Africa: Investing in our Common Future」の概要を解説した記事。報告書は、子供を対象に国家財政を積極的に割当てることは長期的に大きな経済効果となって帰ってくる重要な「投資」であるにもかかからず、アフリカ大陸では多くの国々で依然として優先順位が低い「慈善活動」と考えられており、その代表的な事例が、10人中3人の子供(一部の国は40割を超える)が依然として児童労働の被害者となっている現状に表れていると指摘している。(原文へ

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【ニューデリーIDN=M.K.バドラクマール】

米軍撤退後、タリバン政権との建設的な関与を通じて、アフガニスタン及び周辺諸国を連結する鉄道網(ウズベキスタンーアフガニスタンーパキスタン〈アラビア海〉、中国ーキルギスーウズベキスタンートルクメニスタンーイラン〈ペルシャ湾〉)が中国の一帯一路構想を前進させる方向で整備されつつある現状を報じた記事。干ばつ、食糧危機、難民・避難民問題に加え、複合的人道危機が深刻化しているアフガニスタンの安定が周辺諸国の大きな関心事となっている。(原文へ

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|COP26|恥ずべき職務怠慢

【グラスゴーIDN=クルト・レイノルズ】

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の結果に対する元首脳、国連事務総長の評価と、COP26会期中サイドイベントを開催したSGIの池田大作会長による未来志向の提言を収録した記事。メアリー・ロビンソン氏(エルダーズ代表/元アイルランド大統領)は、「人々はこれを歴史的に恥ずべき職務怠慢と見なすだろう」とコメント。グテーレス国連事務総長は、「決して諦めないでください…前進し続けようではありませんか…私はこの道のりをずっと皆さんと共にあります。COP27は今始まったのです」との声明を出した。池田SGI会長は、2030年に向けて国連ユース気候サミットを毎年開催することを提案し、気候変動の問題に関わる意思決定への青年の参画を主流化させるための安保理決議の採択を呼びかけている。(原文へFBポスト

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COP26が開幕するなか、コンゴの金鉱で4発の銃弾が響く

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

スコットランドのグラスゴーでCOP26(10/31-11/15)が開催される一方で、金採掘のために水銀で環境が汚染され、十分な説明や再定住地における住宅や就業の保証がないまま、地元住民が強制的に移住を強いられているDRC(コンゴ民主共和国)とリベリアの実態に焦点を当てた記事。COP26ではグテーレス国連事務総長が「我々は自然をトイレのように扱うのはもうたくさんだ。…採掘したりしてどんどん深みにはまるのはもうたくさんだ。我々は自分たちの墓穴を掘っているようなものだ」と述べたが、OXFAMなどの市民社会組織は、途上国の現場で今まさに進行している採掘産業と政府による人権侵害と自然破壊の実態に世界の市民がもっと注意を向けるよう警告している。(原文へ

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|タイ|持続可能な生活を始める民衆を支える仏僧

【シサケット(タイ)IDN=パッタマ・ビライラート】

新型コロナウィルス感染症対策としてのロックダウンが続く中、首都バンコクや、パタヤ・プーケット・チェンマイ・サムートプラカーンのような他の主要都市に住んでいた多くの労働者たちが、雪崩を打って故郷に帰り始めた。彼らは、自らの生計を立て、長期的に持続可能な生活を送る方法を合理化する道を探ることを余儀なくされている。

タイでは、一日の始まりの功徳として、普通の人々が僧侶たちに朝からお布施をするのが習わしである。しかし、コロナ禍の中で功徳における自らの役割を反転させる僧侶たちが出てきている。

Map of Thailand
Map of Thailand

ワットバンタコイナンでは、国際仏教研究大学(IBSC)のディレクターであるハンサ・ダーマハソ師が、時代を超えた仏陀の教えを、「平和の村」(コクノンナ)におけるコミュニティー開発事業で実践している。

ハンサ師はIDNの取材に対して、「平和の村は、身体・社会・精神・知性の発展に関する仏陀の4つの教えに由来します。私はこれらを、現在進行形の諸問題に取組むための戦略に活用しています。」と指摘したうえで、「村の第一の問題は貧困であり、(それに対処するために)持続可能な仕事を作らなくてはなりません。人々が貧しいままでは、村を平和にすることなどできません。そこで、私はラーマ9世の『足るを知る経済』の概念を、コクノンナ・モデルを発展させるために適用しています。」と語った。

故プミポン国王(ラーマ9世)は、タイが1997年にアジア金融危機に直面した際に「足るを知る経済」の概念を導入した。中庸(節度)、道理(妥当性)、自己免疫(ショックへの備え)という3つの柱で構成される経済モデルで、いずれも仏教哲学を基礎としている。国王の公的な哲学によると、自己免疫には、物質的環境の変化に対する免疫、社会変化に対する免疫、環境変化に対する免疫、文化の変化に対する免疫の4つの領域があり、皆がその達成に努力すべきとしている。

ハンサ師は、仏陀のこれらの教えを村に応用することについて、環境が重要だと説明した。「かつてはこの土地は多くの問題を抱えていました。そこで私は5つのパンチャシラ(原則)、とりわけ2つめの原則『盗むな、騙すな』に従うように諭したところ、うまくいくようになりました。また、村人たちの福祉が重要になります。なぜなら村の老人たちは多くの健康問題を抱えているからです。そこでバンコクから医学生を連れてきて、自分たちで養生する方法を訓練させたのです。また、コロナ禍に伴うロックダウンが厳しい時には、シサケット県やそれに隣接した県から戻ってきた人々に対して、故郷の村にうまく順応できるように面倒を見ました。」とハンサ師は嬉しそうに語った。

タイ銀行は、新型コロナ感染拡大の第一波(2020年2月~4月)以来、200万人の労働者が都市部に出入りしたとしている。2020年の後半には、1カ月あたり20万人の労働者が移動した。そのほとんどが21~60歳(80%)であり、半分以上が低所得層だった。

解雇された労働者たちは、バンコクや、その周辺にあるプーケットやチェンマイのような主要な観光都市から出て行った。労働者たちは大都市での生活コストを負担することができず、故郷に帰ることを決断したのだ。

シサケット県バンタコイナン出身の移住労働者であるバウチャイさんもこのような目に遭っている。コロナ禍以前、彼女はバンコク近郊に住み、30年以上、裁縫師として働いていた。「2020年2月の第一波の時、感染者が増えていって、4月にはさらに状況が悪化し、シサケット県に戻る計画を立て始めました。そして年末までには故郷のバンタコイナンに移り住みました。」とバウチャイさんはIDNの取材に対して語った。

感染第一波から第二波(2020年2月~21年1月)にかけては、患者に対処する病床数は十分にあった。しかし21年4月から6月にかけての第三波では、地方や都市部の病院でかろうじてコロナ患者に直接医療や看護を提供できる状態であった。

資料:www.hec.edu/en
資料:www.hec.edu/en

しかし、21年7月末から8月半ばにかけて、患者数は継続して1日あたり1万5000人から2万2000人という高いレベルにあった。「コロナ対応管理センター」(CCSA)によれば、バンコクや、サムートサコン、チョンブリ、サムートプラカーンのような主要な経済都市で過去最多のクラスターが発生したという。患者数が爆発的に増えた際、病床不足がバンコクなどの主要都市で起きた。患者は治療と隔離のために故郷に戻ることを余儀なくされた。

「シサケット県のバンタコイナンでは、2021年7月半ばから8月にかけて、県外に出ていた若者達が村に帰って来ることを希望するようになり、私は、森の寺院で自己隔離するよう求めました。また、病院の院長と一緒に現地に仮設病院を立ちあげました。最初の病院では35人、次の病院では100人を受け入れることができました。」とハンサ師は説明した。

「私の活動を知っているサムートサコンやアユタヤ、サムートプラカーンなどの県の人たちから、この村で自己隔離し治療を受けることは可能かという問い合わせがありました。もちろん受け入れることとし、迎えの車を出したこともあります。こうしてこれまで1400人近くを救済することができました。」

ハンサ師は、仮設病院を作る以外に、村人や感染者と、村当局や医療関係者をつなぐ役割も果たした。治療がどこで可能か、隔離のルールは何かといったことについて、フェイスブックを使って関連当局と連絡を取っている。

治療と隔離だけがハンサ師の貢献した領域ではない。「さらに、彼らに2カ月にわたって食料や水を与え、コクノンナで農業を教えて、有機野菜を育て自分で生活できるようにさせることで、長期的に彼らは持続可能な生活を送ることができるのです。」治療と隔離の時期が終わっても、コクノンナの農業は今でも続いている。

バンコクで働いていて将来的に帰還を考えている村人の子どもたちは、コクノンナで農業を学ぶことに関心を示している。ハンサ師は、フェイスブックやラインを使って、村人の子らを励まし続けている。今月から、その一部が村に戻り、長期的に持続可能な生活を送ることを学び始める。コロナ禍は彼らに仏教の根本的な考え方である生命の無常について教えたからだ。自己免疫の哲学はコロナ禍がもたらすショックへの備えとなる。

タコイナン村の元村長であるマリニーさんは、ハンサ師が始めたいくつかの活動に加わっている。「尊師の活動によって、村人や地区当局と深く関わり協力が得られるようになりました。ハンサ師は『足るを知る経済』の原則を適用することによって、村の問題の根本的な原因に対処してきました。コクノンナでは、支出が減る一方で世帯収入は増えました。師の『平和の公園』には毎日夕方5、6時になると瞑想のために村人達が集まり、彼らはそこで、調和をもって暮らしていくことを学んでいます。」とマリニーサンはIDNの取材に対して語った。

タイの地域開発財団によれば、故郷にUターン移住する人々がいたとしても、天然資源や農作物に頼れるため、食料不足が地域で起こることはめったにない、という。しかし、タイ農家の76%が非農業収入に依存している。都市の労働者がコロナ禍によって農村部に移動することになると、タイ経済とライフスタイルの根本である農業部門に変化がもたらされることになるかもしれない。

ハンサ師が実行しているコクノンナでの取り組みには、都市部から移住した労働者と村人たちが物理的なニーズを満たしつつ持続可能な生活を送れるようにするという目標と、仏教の教えであるダルマで心を満たすという目標の2つの基礎がある。彼のモデルは、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために精神的な教えを実践的に応用するものだ。

ハンサ師は、「ダルマが存在するのは田野であり、それ以外にどこにも存在しません。農業をやろうと決意すれば、ダルマはどこにでも現れ学びを提供してくれます。こうして私たちは自分たちの体が土や水、火、風の要素で成り立っていることを知るようになるのです。」「農業をしながら、(持続可能な)生活のために土地を維持する方法を探るなど、自分たちのやっていることに配慮し、集中しなくてはなりません。大変かもしれないが、忍耐が必要です。」と語った。

SDGs for All Logo
SDGs for All Logo

英語を流暢なに操り、タイで著名な仏教学者でもあるこのエネルギッシュな僧は、村の農民たちはダルマの用語をよく知らないかもしれないことを認識している。「ダルマ(自然の法則)は(どこにでも)存在し、そこには忍従・配慮・英知・集中・努力といった(実践)が含まれています。」とハンサ・ダーマハソ師は語った。(原文へ

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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COP26最終コミュニケ、気候変動の食料安全保障への影響に触れず

【シドニーIDN=カリンガ・セレヴィラトネ】

温室効果ガスの約3分の1が農業や土地利用から出ているにも関わらず、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の最終コミュニケは、気候アクションと世界の食料システムとの関係について直接言及することをしなかった。世界食糧計画(WFP)が43カ国の最大4500万人が飢餓の危機にあると警告しているにも関わらず、である。

国連は、すでに30年近くにわたり(締約国会議を意味する)COPと呼ばれる年次気候サミットにほぼすべての国を招集してきた。グラスゴーで13日まで開催された今年の2週間に及ぶ会合はその26回目のもので、この21世紀の第一四半期の間に、気候変動は、環境保護派政党だけが懸念する些末な問題から、グローバル政治とメディアの注目の中心を占める問題となった。

国連食糧農業機関(FAO)はこの4月に発表された報告書で、6.8億世帯以上の家族農業が世界の農地の7~8割と世界の食料生産の約8割を占めていると推計した。しかし、少なくとも30億人の生存に関わり、持続可能な開発目標(SDGs)の第2目標で示された食料安全保障の達成に直接の影響を与えるこの問題は、COP26の最終コミュニケ全97節の中に直接は表記されなかった。

SDGs Goal No. 2
SDGs Goal No. 2

「持続可能な開発と貧困根絶の取り組みの文脈の下で気候アクションを強化するために、気候変動に対処し、地域的・国際的協力を促進する上での多国間主義の役割を認識し…」で始める今回のコミュニケでは、食料安全保障という貧困根絶の鍵を握る問題にスペースは割かれなかった。前文はまた「いくらかの気候正義の重要性」に言及しており、おそらくは市民団体からの批判をかわすために人権と社会的不平等の外観でまとわれていた。

たとえば第15節のようないくつかの節は「グローバルな取り組みの一環として、途上国のニーズに対応すべく、気候ファイナンスの提供や技術移転、適応のための能力開発などを緊急かつ大胆に加速すること」を先進国に促している。多くの途上国がCOP26でこのことを訴えたが、具体的な公約は得られなかった。

第27節は「緩和目標」(温室効果ガスの排出が大気に及ぼす影響を最小化する措置のこと)を緊急に拡大する作業プログラムを確立する決定について述べている。そして、第38節は、温室効果ガスを貯留するが、数多くの人々の命綱となっている農地や漁業地とはなっていない森林やその他の陸上の生態系と海洋生態系を保護し、保全し、回復させることの重要性を強調している。その次の節は「締約国中の途上国への支援の強化がそれらの国々が高い目標を立てることを可能にする」と述べている。

第44節は、(10年前に合意された)緩和アクションのために2020年までに毎年1000億ドルを拠出するとした目標を締約国中の先進国が達成できなかったことに触れている。第73節で、COP26は、気候変動の影響で回復不能な被害に苦しんでいるコミュニティーを資金的に支援するために「グラスゴー締約国間対話」を創設することを決定している。しかし、途上国がこの目的のために求めていたのは機関の創設であって、さらなる対話ではなかった。

コミュニケは、気候変動の緩和にあたって技術的解決策に重点を置いているようだ。これでは途上国は西側諸国の技術とその移転に与かるばかりの存在となる。富裕国が、メタンガスの排出を削減するために牛や羊を減らす犠牲を払う様子はない。オーストラリアがメタンガス削減協定への署名を拒絶したのはこのためだ。

『ガーディアン』紙は、COP26に出席した英国の4つの農業組合の誰にも家畜の数を減らす意思はなく、牛を減らすよりも新技術を通じてメタンガス削減には対処しうると同紙に語ったと報じしている。トーマス・ビルサック米農務長官は同紙に対して、米国市民がこれまでと同量の肉を消費しながら、同時に地球温暖化を安全な範囲にまで押しとどめることは可能だと考えていると語った。

「食料システムの問題は気候問題の交渉でほとんど取り上げられなかった」と語るのは「食料の将来に向けたグローバル連合」のルース・リチャードソン代表である。「食糧システムを全体として見てみれば、つまり、家畜生産のために森林を伐採するという現実を見てみれば、国を超え、長いサプライチェーンを超えて牛肉を輸送する現実を見てみるならば、そして、食料システムのすべての側面を見てみるならば、家畜の飼育が温室効果ガス排出の最大の原因であることは明らかだ。」「食料システムの問題に対処しない限り、気候問題の解決はおぼつかない。」と、リチャードソン氏は『Devex』紙の取材に対して語った。

COP26での提案は、片や再森林化、片や農業における技術革新という2つの異なる方向に引き裂かれているが、それらがあたかも相補的であるかのごとく喧伝されている。

米国際開発組織である「ウィンロック」のロドニー・ファーガソンCEOは、小規模農民を気候変動対応型農業に統合しようと思ったら、彼らにとって安価で家族を食べさせていくことのできるような技術を提供する必要があると論じている。

「小規模農家の年収が300ドル程度で、50ドルもかかるような方法や製品を使うよう彼らに要請したとしても、そんなやり方は成功しない。」とファーガソン氏は『Devex』紙の取材に対して語った。

しかし、11月10日という一日が「自然・土地利用デー」として持続可能な農業と土地利用に関する議論のために割り当てられた。この日、150カ国が署名した「農業の革新に関するグローバルアクション課題」など多くの構想が発表された。排出をゼロにし、自然に良い影響をあたえる革新をもって1億人の農民にアプローチしようという世界的な構想である。

COP 26 Logo

英国の団体「スローフード」のシェーン・ホランド氏は、「この提案はCOP26のコミュニケには入らなかったようだ。」としながらも、公約がなされたことは歓迎した。他方で、富裕国が2010年になした同様の誓約はいまだに実現されていないとも指摘した。また、再森林化する場合、誰の土地を対象にするのかとも疑問を呈した。そのことを指摘しつつ、ホランド氏は、(家畜に食べさせるための)大豆や、パーム油を求める世界的な飽くなき需要を終わらせることによって気候変動の問題に根本から対処することが必要であり、「そうするまでは、世界の食料は気候変動の原因となりつづけるだろう。」と指摘した。

「世界が作物不足に見舞われるだろうから、ある種の保険として農業を強化しなくてはならないと何度も聞かされてきた。しかし、この手の議論こそが問題を拡大させてきたことを認識する必要がある。」「化石燃料の使用を終わらせることから、運輸や電気供給のしくみを根本から変えることまで、世界にはやる必要があることがたくさんある。私たちの食料システムには二酸化炭素を吸収する可能性があるが、その機会は失われている。」とホランド氏は論じた。(原文へ

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【ボストンIDN=トーマス・クリカウアー/メグ・ヤング】

国内のテロ組織などを監視するドイツの諜報機関「連邦憲法擁護庁(LfV)」の機密文書の一部がリークされたことで真相の一端が明らかになった、ネオナチ組織「国家社会主義地下組織(NSU)」(トルコ・ギリシア移民や婦人警官など10人を射殺し銀行強盗や爆弾テロを繰り返したてきた)の実態と、LfV関係者が証拠隠蔽に関わっていたスキャンダルを報じた記事。被害者の家族をはじめNSUに関する機密文書の公開を求める署名はヘッセン州で134,000筆集まっているが、州政府は潜入捜査に関わる職員や協力者に危険が及ぶとして公開を拒否(ただし機密解除を2134年から2051年に短縮)している。(原文へ)

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中国と米国: 反目する被害妄想の2大国

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

この記事は、2021年11月8日に「ハンギョレ」に初出掲載されたものです。

【Global Outlook=チャンイン・ムーン】

米国は中国に抱く恐怖を大袈裟に言い立てており、それが今度は中国をほとんどヒステリックなほど攻撃的な防御態勢に駆り立て、問題を悪化させている。

この2週間で五つの国際ウェビナーに参加した。くしくも、その五つ全てが米中対立に関するものだった。それはとりもなおさず、米中間の事態がいかに深刻化しているかを示している。両国の間には深い不信の溝があり、両国が妥協の道を見いだすことは極めて困難であるという印象を抱かざるを得なかった。(原文へ 

ウェビナーの米国人参加者は、バイデン政権がいかにトランプ政権とは違うかを強調していた。彼らは米国が中国に対して「三つのC」、すなわち協力(cooperation)、競争(competition)、対決(confrontation)を柔軟に適用していると述べた。バイデンは、気候変動、感染症、大量破壊兵器の不拡散、北朝鮮の核問題については中国と協力し、貿易および技術分野では競争し、地政学と価値観については譲歩せずに対決することにより、前任者より柔軟に対応するだろうと主張した。

そのような見立てに、ウェビナーの中国人参加者はただちに反論した。中国政府が核心的利益と見なす領土問題や国家主権といった地政学および価値観の問題について、ワシントンが対決姿勢を取るなら、建設的な競争関係を築いたり、他の問題に関して協力の余地を広げたりすることがどうしてできようかと問うた。そして、米国が台湾、南シナ海、香港、ウイグルに関する態度を変えない限り、協力は実現不可能であり、競争は必然的に紛争へとエスカレートすると予測した。

また、中国の将来計画に関する見方にも大きな隔たりがあった。焦点は、習近平国家主席が2035年までに達成することを望む「強軍の夢」と中華人民共和国建国100周年にあたる2049年までに実現することを目指す「中国の夢」に向けられた。ウェビナーの米国人参加者はこれを、中国が2035年までにアジア太平洋における覇権を目指し、2049年までに世界における覇権を目指すという意味と解釈した。実のところ、この解釈は目新しいものではなく、トランプ政権時代にも繰り返し提示された。問題は、バイデン政権がそれを是認していることである。

この解釈は、中国人参加者の激しい反論を引き起こした。周恩来が1954年に「平和五原則」を宣言して以来、中国は一貫して覇権に反対しており、現在、地域覇権にも世界覇権にも関心がないと彼らは主張した。その証拠に、中国は米国とは違って軍事同盟を持っていないと彼らは指摘した。二つの夢は、習主席の未来に向けたビジョンを表すにすぎず、覇権とは全く関係ないと主張した。「強軍の夢」は、2035年までに中国の後進的な軍隊の発展を図り、自ら向上する能力を与えるという構想を表し、「中国の夢」は、2049年までに社会主義中国を発展途上国から先進国へと高めたいという願望を伝えるものである、と。

最も論議を呼んだ点は、中国の自由化の問題である。ほとんどの米国人参加者の見方は、1979年以降のワシントンの対中関与政策は、経済開放が中国の政治的自由化をもたらすという予想を前提にしていたが、習近平のもとで中国が専制政治に後退しつつある今、失敗に帰したというものだった。したがって、米国はこれまでの対中関与・協力政策を根底から見直す必要があるというのである。

中国人参加者は、断固たる反応を見せた。中国はワシントンからの関与政策と引き換えに政治的自由化を約束したことなどないし、米国式の民主主義は14億人の人口を抱える中国の政治風土に合わないと、彼らは述べた。価値観の集約を目指す米国のストーリーは価値観の多様性や中国特有の状況を無視しているとして、意見の相違を表明した。そして、中国共産党の指導力を弱体化させ、中国に分断と退行をもたらそうとする米国の策略に、中国が引っかかることはないと強調した。また、米国の要求は、ほんの40年前に市場を開放し、10年前に経済成長が始まった中国にとって理不尽なものだとも指摘した。

なぜ両国は、これほど激しい対立に突き進んでいるのだろう? 米国の東アジア専門家ポール・ヒアは、これを「戦略的被害妄想」という概念で説明する。ヒアによると、米国は中国に抱く恐怖を大袈裟に言い立てており、それが今度は、中国をほとんどヒステリックなほど攻撃的な防御態勢に駆り立て、問題を悪化させている。それが、米国と中国のどちらにも非常によく見られる傲慢さ、不安感、無知、不信の行きつく先である。2国間の関係は、相互の国民の敵意と国内政治の厳しい情勢によってさらに複雑化している。

明らかなのは、このような争いに一方的な勝者は存在し得ないということである。米国による包囲と封じ込めに中国が屈するとは思われず、また、中国が何にでも反発することを考えると、米国が現在のやり方をやめることはまずないだろう。しかし、両国の対立が軍事衝突を引き起こした場合、あるいは新たな冷戦となって長期化した場合、その余波は中国と米国だけでなく、より広い地域、さらには世界全体にも影響を及ぼす。

慢性的な被害者意識を克服すること、戦略的コンセンサスを形成し、共生、共存、共進化の可能性を模索するための努力を行うことが、双方にとって有益な結果をもたらす理想的な選択肢であろう。

チャンイン・ムーン(文正仁)世宗研究所理事長。戸田記念国際平和研究所の国際研究諮問委員会メンバーでもある。

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