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|COP26|気候危機との闘いに重要な役割を担う宗教団体

【グラスゴーIDN=クルト・レイノルズ】

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議に向けて発表された宗教界から訴えと、アントニオ・グテーレス国連事務総長による危機感に満ちた訴えを収録した記事。ローマ教皇フランシスコは「前代未聞の生態系危機」から地球を救うために具体的な解決法を打ち出すよう呼び掛けた他、全大陸から72の宗教組織が、石化燃料会社からの資金引き揚げと気候問題解決への投資を訴える共同声明を発表した。同共同声明に署名したSGI-UKはCOP26の公式関連行事において池田SGI会長の平和提言などを踏また意見表明(気候変動の影響を受けている弱者を置き去りにしないことや、行動を喚起する教育の推進、意思決定における若者の参画促進、変革の主体者としての市民のエンパワーメントなどを訴えた)を行った。グテーレス国連事務総長は、パリ気候条約が合意されてからの6年間が史上最も暑い6年間であった事実を指摘したうえで、「我々が化石燃料を止めるか、化石燃料が我々を止めるかだ。もうたくさんだと声を上げる時が来た。炭素で自滅するのはもうたくさんだ。自然をトイレのように扱うのはもうたくさんだ。燃やしたり採掘したりして、どんどん深みにはまるのはもうたくさんだ。我々は自分たちの墓穴を掘っているようなものだ」と述べ、「化石燃料への依存が人類を瀬戸際に追い込んでいる」との危機感を露わにした。(原文へFBポスト

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|スーダン|賭けに出たクーデターの指導者

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

2018年12月に30年に亘ったバシール独裁政権を倒して以来、民政移管に向けて統治評議会による軍民合同統治が続いていたスーダンで、軍トップのアブデル・ファタ・ブルハン将軍(統治評議会議長)によるクーデター(10/25)が発生した。既に最大の権力を掌握していたブルハン議長があえてここでクーデターを起こした諸要因(公約どおり民間人に統治評議会の主導権を引き渡せば権力を失うことを恐れた、ICCからダルフール虐殺の責任を問われることを恐れた等)と内外の反応を分析した記事。(原文へ

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|COP26|開発途上国からの若者は依然として無視されている、と活動家

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

国連気候サミットに際して、気候変動が途上国で引き起こしている生々しい被害の現状と、一面しか報道しないメディアに対する抗議、そして議論のみでアクションを伴ってこなかった政治リーダーのあり方について、厳しい言葉で若者たちの危機感を代弁した2人のアフリカ人青年活動家(ウガンダのヴァネッサ・ナカテとケニアのエリザベス・ワトゥティ)の声を取り上げた記事。(原文へ

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クリントン、ブッシュ、オバマ、トランプの大統領外交政策における最悪の失敗

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

(この記事は、最初に2021年9月7日に「The Strategist」に発表されたものです。)

【Global Outlook=ラメッシュ・タクール】

よくある知的な室内ゲームに、米国大統領の偉大な順ランキングがある。エイブラハム・リンカーン、ジョージ・ワシントン、フランクリン・D・ルーズベルト、セオドア・ルーズベルトは、政治を専門とする米国のケーブル放送局、C-SPANの大統領歴史家調査で、長年にわたってトップ4の座に君臨してきた。切り口と時間軸を切り替えてみると、米国がアフガニスタン撤退を決めたことを疑問視する人はほとんどいないが、そのやり方を擁護する人もほとんどいない。国内政治への破滅的な影響に加え、米国の世界的な評判と利益にも永続的ダメージを与えるだろう。そこで、こんな問いが思い浮かぶ。最近の大統領による最悪の失敗は何か?(原文へ 

その答えは、どのような基準を用いるかによってアナリストごとに異なるだろうし、異論も多々出るだろう。実社会で経験がある教授として、長期的な影響を重要な尺度としている私の選択は、ビル・クリントンのコソボ介入、ジョージ・W・ブッシュのイラク戦争、バラク・オバマのドローン政策、ドナルド・トランプのイラン核合意からの離脱である。

冷戦が平和的に終結した在り方、つまり、敗北した側が負けを認め、新たな秩序に同意し、勝利した側との和解と統合を目指すという在り方は、歴史上まれなことである。全体主義的な共産主義のくびきから放たれたロシア国民は、西側との良好な関係が見込まれることを歓迎した。その親善ムードは、1999年のNATOによる一方的なコソボ介入によって水を差されて消失し、その代わりに西側の意図と誠意への疑念が再燃した。これを機にロシアは、NATOの潜在的なパートナーから再び不倶戴天の敵へと変わったのである。

ひどく弱体化したが、米国のほかに唯一の核兵器保有国であり、悪事を働く可能性が大いにあったロシアは、教訓を学び、好機をひたすら待ち、辛抱強く努力を重ねて欧州と中東における妨害屋へと返り咲いた。NATOは「1インチも東に拡大しない」という保証はコソボで裏切られ、2014年のウクライナで再び裏切られた。西側は冷戦における歴史的敗北を何度も蒸し返してはロシアに屈辱を与え、ロシアの利益や不満を無視した。しかし今や、ロシアの前庭で戦略的ライバルが敵対的買収を仕掛けてきたときにロシアが腹を立て、大国であれば当然するであろう反応をしたことに、西側の首脳たちは驚いたふりをしている。

コソボ介入を支持した西側の者でさえ、イラク戦争については賛否が明確に分かれた。現在では、米国史上最悪の外交政策上の失敗に数えられるというのが大多数の見解である。侵攻は占領、内乱、内戦へと発展し、米軍の死者4,500人総費用3兆5,000億米ドルという悲惨な代償を招いた。米国は最も多くの血と財源を費やしたが、戦略的に最大の勝利を手にしたのはイランだった。イラク戦争は、ジハード主義の炎を焚きつけるとともに、対テロ戦争から注意を逸らした。ハードパワーの限界をいやというほど見せつけ、米国のソフトパワーを大幅に損なった。

オバマに関する私の選択は、より抽象的だが、だからといって現実性が低くなるわけではない。彼はドローン攻撃政策を大幅に拡大し、この新たな戦闘ツールにどのような法体制が適用されるかを検討することもなかった。標的殺害は、既存の法秩序における欠落を補うために、国境を越えて国家の規範的権限を拡張したものなのか、あるいは、外国法域における行為に関する国家の法的能力の限度を踏み越えようとする密かな試みなのか?

ドローンへの依存は、その利便性ゆえに拡大した。ドローンは耐久性が高く、低コストで、米軍兵士のリスクをゼロにし、罪のない民間人の死者を減らし、危険が潜む荒涼とした地形を長距離にわたって長時間飛ばすことができる。敵のテロリストを捕獲し、逮捕し、裁判にかけるよりも、テロリストを抹殺する方が、より早く、より複雑でなく、より好都合であるという魅力があった。

ニューアメリカ財団調査報道局、米国の報道機関であるCNNマクラッチーによるいくつかの調査によると、ドローン攻撃で殺害された人々のうち重要な武装勢力のリーダーはごくわずかであると結論づけられた。ほとんどは低位の従軍者や罪のない民間人であった。スタンフォード大学およびニューヨーク大学の法科大学院による徹底的な調査では、ドローン攻撃は全住民にトラウマと恐怖を与え、国際人道法に基づく区別、均衡性、人道性、軍事的必要性の要件に違反していたと結論づけた。

しかし、ドローン攻撃によって米国が全体的に安全になったという証拠は曖昧である。なぜなら、それは殉教者を生み出し、腹を立てて理性を失った若者たちを増やすことによってジハードへの勧誘活動の機能を果たしていた。また、法の支配と国際的な法的保護の尊重を損ない、殺傷力のあるドローン技術が複数の国によって開発されている状況下で、危険な前例となった。北京はいつか、政府がテロとして糾弾する国内の暴力的抗議運動に対してドローンを使うのだろうか?  ネパールで集会を開くチベット人活動家たちに対して?  もし中国がドローン攻撃でダライラマを抹殺してしまったら?

悪意ある強国としての中国の拡大を阻止する意志と方策を確認したトランプの判断は正しかったのか、あるいは、中国との破滅的な戦争という<トゥキディデスの罠>に米国を追い込んだのかは、時間が経たなければわからないだろう。彼の誤りだらけの外交政策決定の数々から私が選ぶ最悪のものは、疑惑のあったイランの核兵器プログラムを封じ込めた2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)から離脱する決定である。断固とした解体、透明性、査察体制によって、機微な核物質、活動、施設、関連インフラが大幅に削減され、イランは国際原子力機関(IAEA)による前例のない国際的査察を受け入れ、IAEAはイランが合意を遵守しているかどうかの確認を最後まで続けた。

JCPOAを破棄し、イランに新たな厳しい制裁を課し、イランと禁止品目の取引を行う者に対して二次的制裁を課すことにより、トランプはテヘランを合意の制約から解放した。それ以降の一連の決定で、テヘランはウラン備蓄量を増やし、査察を制限し、より高度なIR-6 遠心分離機を取得し、濃縮ウランの量を増やし、濃縮度をJCPOAの定める上限の3,67%ではなく20%にまで引き上げた。それもこれも、「最大限の圧力」によって有利な取引をするためである。

NATOの地理的制限について、以前ロシアへの一方的な保証を反故にしたことに加え、国連安全保障理事会が全会一致で承認した6カ国の国際協定を破ったことも、米国の信頼性の欠如をいっそう際立たせるものとなった。このことは、欧州の主要な同盟国、中国、ロシアの米国に対する信頼を傷つけた。そして、北朝鮮の非核化に関する合意を得るための努力も損なわれた。なぜなら、平壌は当然ながら、前もっての米国の大幅かつ不可逆な譲歩と非核化後の完全な保証を要求しているためである。

ラメッシュ・タクールは、国連事務次長補を努め、現在は、オーストラリア国立大学クロフォード公共政策大学院名誉教授、同大学の核不拡散・軍縮センター長を務める。近著に「The Nuclear Ban Treaty :A Transformational Reframing of the Global Nuclear Order」 (ルートレッジ社、2022年)がある。

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ソマリアのラブストーリーがアフリカ国際映画祭のグランプリを獲得

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

ブルキナファソのワガドゥグーで開催されたアフリカ最大の国際映画祭、通称フェスパコ(FESPACO)でグランプリを獲得した作品に焦点を当てた記事。ソマリア出身のサダール・アハメド監督作品「墓堀人の妻(The Gravedigger’s Wife)」は、人は愛のために何をするかというテーマを探求している。主人公グレドの職業は墓堀人で、日々病院の外で患者が亡くなるのを待つのが仕事だ。しかし同時にこうすることが、病気の妻の命を救う手段でもある。(原文へ

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ウガンダの環境活動家らが全長900マイルのパイプライン計画への反対で投獄

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

ジョー・バイデン米大統領などの世界の指導者が集う主要な環境関連会議である国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開会を前にして、ウガンダ政府が、2つの東アフリカ諸国を貫通して西ウガンダの原油を国際市場に供給するための全長900マイル・総額35億ドルのパイプライン計画に反対する活動家6人を逮捕した。

これ以上に悪いタイミングもない。

世界的な環境団体「地球の友」「サバイバル」によると、活動家らはカンパラ近郊の警察署に未起訴状態で留置されている。両団体は活動家の即時釈放を求めている。

両団体は、多額の投資を伴うこの石油輸送計画を批判する人々への典型的な嫌がらせだと批判する。

COP 26 Logo
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主要な気候サミットである今回の国連会議は、10月31日から11月12日までスコットランドのグラスゴーで開催される。COP26と呼ばれるこの会議には、英国のボリス・ジョンソン首相、同国の女王、イスラエルのナフタリ・ベネット首相、オーストラリアのスコット・モリソン首相、米国のジョー・バイデン大統領、スコットランドのニコラ・スタージョン第一首相ら120人の世界の指導者が集う。約2万5000人の代表団が参加予定だ。

ジョン・ケリー気候問題特別大使が会議の議長を務める。

環境活動家によれば、このパイプラインは、野生生物の保全区やビクトリア湖の水源地域など、パイプルート沿いの微妙な自然環境を破壊することになるだろうという。ウガンダ・タンザニア・コンゴ民主共和国・ケニアの地域社会、水供給、生物多様性に重大な脅威をもたらしかねない。

石油産業はしばしば、パイプラインは石油やガスを別の場所に輸送する最も安全かつクリーンな方法であると主張する。石油の漏出や溢れは「めったにない」という。問題は、そのパイプラインそのものが人々や近くの環境に広範な被害をもたらすということだ。

パイプラインの漏出や溢れ、割れ、爆発はよく起こっている。原油が漏出する映像をニュースで見ることはきわめて多いが、それが周辺の野生生物に与える影響は特に甚大だ。石油はあらゆるものに吸着し、その中を動き回ったり石油を飲み込んでしまったりした野生生物の命を奪い、地面に毒物として流れ、地域の水源を汚染することになる。

ティップ・オブ・ザ・ミット流域評議会によれば、最悪なことは、石油は環境が「浄化」された後でも何年にもわたって環境中に残るということだ。

ウガンダにこの教訓が伝えられるべきかもしれない。

これまでのところ、ウガンダ・タンザニア両政府が、ウガンダのマーチソン滝国立公園からタンザニアのインド洋沿いにあるタンガ港までのパイプラインを建設するために、フランスの石油大手トタル、中国海洋石油集団(CNOOC)と協定を結んでいる。

2025年にも最初の石油輸出が行われる予定だ。

反対派は、保護区域770平方マイルが影響を受け、1万2000世帯が移住させられたとしている。

この35億ドルのパイプラインは、完成時には、ウガンダ最大の国立公園内にある油井130か所以上から重油を運ぶ予定になっているが、この公園内には、絶滅の危機にあるアフリカゾウやライオン、数多くのナイルワニ、400種以上の鳥が生息している。自然保護家らは、野生生物が危機に晒されるだけではなく、汚れた燃料に投資を固定することによって地球温暖化を抑制しようという取り組みにも反することになるとしている。

「食料安全保障・環境に関するアフリカイニシアチブ」のアトゥヘイレ・ブライアン氏は、ウェブサイト「モンガベイ」の電子メール取材に対して、「私たちはウガンダの産油地帯で活動している。多くの産油地帯とは違って砂漠ではなく、極めて生物の多様な地域だ。」と答えている。「秘密裏に結ばれた協定などあっていいはずがないが、それがウガンダの現状だ。」

「我が社は、我々が陸上で実施する計画が微妙な環境と社会に与える影響を十分考慮に入れている」とトタル社のCEOパトリック・プヤンネ氏は語った。

しかし、パイプラインに反対するNGOの連合は、パイプラインの計画プロセスは全体として不透明であり、司法・立法の手続きを無視していると批判する。

他方で、セネガルでは、数百人の女性が気候変動への関心を高めるためにダカールでデモを行った。

彼女たちの目的は、気候問題に人々を巻き込むことであり、セネガルやアフリカの女性として彼女たちが持っている気候変動への懸念を、グラスゴーで開かれる気候サミットに反映させることにある。(原文へ

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なぜ公的開発銀行の約束に対して慎重であるべきか。ブラジルの事例

【ブラジリアIDN=イアラ・ピエトリコフスキー】

世界から450以上の公的開発銀行(PDBs)が参加してローマで開催された第2回開発銀行サミット(Finance in Common Summit:主要テーマ:農業とアグリビジネス)に際して、ブラジルの市民社会の代表らが、公共機関であるPDBsが、アグリビジネスによって引き起こされている先住民や地域住民の土地収奪や生態系の破壊を促進する、世界的な金融構造の一部を担っている現実を告発した記事。(原文へ

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新興技術の負の側面を抑制するための国連の役割

この記事は、戸田記念国際平和研究所が配信したもので、同研究所の許可を得て転載しています。

【Global Outlook=デニス・ガルシア】

2021年5月、国連安全保障理事会は、人工知能(AI)などの新興技術が平和と安全保障において果たす役割を議論する初めての会合を開いた。翌月、安全保障理事会は、サイバースペースにおける平和維持の方法を議論し、新興技術が国連における最高レベルの外交の場で初めて取り上げられた。(原文へ 

国連憲章によれば、安全保障理事会は、平和、安全保障、文民保護、国際関係における武力行使に関する決定を管理する責任を負う。国際関係の新領域としての新興技術とサイバー空間に焦点を当てることは、もともと国連憲章の起草者が想定していなかったこれらの分野において、切実に必要とされている共通の行動規範を推進する国連の役割の特筆すべき進化を示している。侵入されたネットワークを復旧し、あるいは悪意ある利用に対処するため、2020年に国連加盟国が費やした金額は1兆ドルに上った。各国が自国の能力を伸ばし、能力不足の国を支援できる、サイバー空間に関する国際協調枠組みを構築することが極めて重要である。

アントニオ・グテーレス国連事務総長が果たしている役割は、際立っている。彼は「デジタル協力に関するハイレベル・パネル」を設置し、2018~2019年に会合を開いた。2019年3月、事務総長は、「人間の関与なしに殺傷する能力と裁量を持つ機械は、政治的に容認できず、道徳的にも嫌悪感を引き起こし、国際法によって禁止されるべきである」として、自律型兵器の禁止を強く訴えた。

パネルの提案に基づき、学術界、民間部門、政府、市民社会など、いくつかの異なるコミュニティーとの協議を経て、グテーレスは、国連75周年の節目に「デジタル協力のためのロードマップ」を提案した。ロードマップは、先進国と途上国のデジタル格差を埋め、誤った情報の拡散を食い止めることにより透明性を生み出し、重要なデジタルインフラを保護し、人々の尊厳を守ることを目的としている。さらに、新興技術全般の兵器化を規制し、代わりに人類の共通利益のためにのみ新興技術を利用することも模索している。

国連事務総長が積極的かつ予防的な行動志向の役割を果たすことにより、国連は新興技術に関するグローバルアクションの確かな土台となった。グテーレスにとって、今日の世界の安全保障に対する四つの重大な脅威は、人類の未来を危険にさらす恐れがあるものだ。すなわち、地政学的緊張の高まり、気候危機、世界に広がる不信感、そして、不正や犯罪を行い憎悪や誤情報を拡散し人々を抑圧するといった、ますます多くの国で見られるテクノロジーの負の側面である。技術の進歩は急速で、外交努力はそれに追いつくことができず、世界は第4次産業革命のインパクトを受け止める準備ができていない。

2021年9月に開かれた国連総会のハイレベル・セグメントで、グテーレスは、「共通の課題」を提示した。これは、国連「持続可能な開発目標」の既存のプラットフォームを活用し、人類に対する四つの主要な脅威に取り組むことを目指す包括的な道筋である。「共通の課題」は、クラウドソーシングにより2年間にわたって世界中の何千人もの人々と協議された結果であり、未来世代を守り若者の包摂に向かう転換軸をなすものである。確かに、「デジタル協力のためのロードマップ」を実現するには、特に誤情報、憎悪の拡散、富裕国と貧困国のデジタル格差の分野では多くの課題がある。しかし、新興技術のなかでも、過去5年間に大幅な進展が見られた分野がある。2017年11月13日から17日にかけて、自律型致死兵器システムの分野における新興技術に関する政府専門家会合(GGE)の第1回公式会合がジュネーブで開催された。

GGEは、 特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons : CCW)の範囲内で設立された。同条約は戦争や紛争の際に何が合法で何が違法かの範囲を定めた国際人道法(IHL)と見なされている。過去には、CCWは、失明をもたらすレーザー兵器を予防的に禁止している。自律型兵器の道徳的、法的、倫理的影響に関する当初の議論は、2013年に人権理事会で行われた。1年後、フランスとドイツがCCWの枠内で議論を開始することを決定し、それがGGE設置へとつながった。以降、GGEは自律型兵器に関する10原則を策定した。全ての新規システムに国際人道法が適用されること、人間の責任が委譲されないことを認める原則である。

ほとんどの国は、この成果を、自律型兵器システムがもたらす課題に対応するために適しているとは言い難いと考えている。国連事務総長は、このようなシステムの使用は戦争を大きく変容させ、道徳的に許されない領域へと人類を駆り立てるという信念に基づいて、各国に対し、自律型兵器に制限を設けるよう訴えている。

2021年5月、国際人道法(IHL)の守護者である赤十字国際委員会(ICRC)はこの問題に対する見解を表明し、各国に対して自律型兵器に関する法的拘束力を有する新たな規則を取り決めるよう強く訴えた。この新たな見解が重要な転換点となることは間違いない。なぜなら、全ての国がジュネーブ条約と呼ばれるIHLの中心的な条約を批准しているため、ICRCは圧倒的な影響力を持つからである。兵器の使用とコントロールに関するいかなる議論においても、ICRCは権威ある役割を果たしている。ICRCの見解は、自律型兵器システムの使用は文民と戦闘員に重大なリスクをもたらし、さらに、IHLを遵守できない可能性のあるAI対応アルゴリズムによって生成されるアウトプットや結果の不規則かつ変動的な性質は、そのリスクを増幅するというものである。結局のところ誰が生き残って誰が死ぬかは、センサーデータや予測不能なソフトウェアプログラムに委ねられるべきではない。

したがって、3種類の制限からなる新たな国際条約を策定するべきである。第1に、飛来するミサイルといった軍事標的のみを対象とし、かつ文民がいない状況のみに攻撃を制限するべきである。第2に、たとえ機械学習のアルゴリズムによって標的が決まった場合でも、人間による監督を可能にするため、標的設定の期間と地理的範囲を制限するべきである。第3に、適時の介入を可能にするため、人間によるコントロールと監視が必要である。

自律型兵器の開発や配備のあらゆる側面を規制する新たな国際条約について、国連加盟国は賛成しているのか、そして条約成立の見込みはどうなのだろうか? 問いの前半への答えは有望なものである。ほとんどの加盟国はAI科学者と市民社会とともに、人と機械の相互作用に関して、禁止と規制の組み合わせを含む包括的な新しい国際条約の成立を望んでいる。それは、切迫する国際安全保障問題に対する、比較的新しい形のグローバルガバナンスとなるだろう。この新たな条約は革新的なものとなり、従来からの軍縮・軍備管理規制の型にははまらないだろう。この新条約は、いかにして人間が既存システムにおける新技術の配備を監督する立場に留まるかに関するものである。しかし、それはまた、将来にわたって有効でなければならず、新たな技術革新と直面しても意味を持つものでなければならない。

CCWには、新興技術の開発を牽引する国々、すなわちオーストラリア、インド、イスラエル、日本、韓国、トルコ、英国、米国が参加しているが、これらの国々は依然として前進を妨げる障害となっている。しかし国連での審議は大幅な進捗を遂げており、いまやこれらの国々は少数派になっているようだ。またAIという新たなテクノロジーを軍事化するという論理を続けることは、国連事務総長が強調したように、人類が直面する他の全ての喫緊の課題に取り組むうえで、完全なる裏切りであるとほとんどの国が考えている。

AIは、疾病対策を支援し、気候危機の解決に役立つ新興技術となる可能性がある。核技術のように武器化されるべきではない。つまり国連は、新興技術のあらゆる側面において、また少数の国々がテクノロジーの負の側面を増幅する方向に突き進むのを阻止するフォーラムとして、中心的な役割を担っていくべきである。

デニス・ガルシア は、ボストンのノースイースタン大学の教授。近日刊行される“When A.I. Kills: Ensuring the Common Good in the Age of Military Artificial Intelligencea” の執筆者であり、戸田記念国際平和研究所「国際研究諮問委員会」のメンバーである。また、ロボット兵器規制国際委員会副議長も務めている。

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人工知能戦争

汎アフリカ主義の象徴トマ・サンカラ殺害の容疑者らが裁判にかけられる

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

西アフリカサハラ砂漠の南側に位置するブルキナファソで80年代初頭に数々の改革を断行したトマ・サンカラ大統領(1983~87)が凶弾に斃れた事件について、元友人で後継大統領としてその後27年に亘って同国に君臨したブレーズ・コンパオレを含む殺害の容疑者らに対する裁判が、10月25日まで延期された。裁判は当初10月11日に首都ワガドゥグーで開かれる予定だったが、弁護団が裁判の準備にさらに時間がかかるとして延期を求めていた。

現在、サンカラの暗殺を巡って14人の男性が審理の対象となっている。トマ・サンカラ記念館付近では、多くの人々が、この裁判が事件の真相解明につながることを期待すると述べた。「アフリカのチェ・ゲバラ」とも呼ばれるサンカラは、ブルキナファソとアフリカで「人々の心を植民地主義から解放する」という理念のもと、独立前から続いてきた既得権益を否定し、社会的弱者の権利を拡大することでより平等な社会を実現しようとした。しかし彼が革命にかけた夢は、政権について僅か4年で潰えてしまった。享年37歳であった。

コンパオレは、2014年に多発した反政府デモの後亡命した隣国のコートジボワールに今も滞在している。コンパオレの不在にもかかわらず、世界各地から200人以上の記者らが裁判を取材するために登録するなど、今回の裁判は大いに注目を浴びている。「私たちにとって、「サンカラは愛国者でした。彼は、民衆と国とアフリカを愛しました。彼は私たちのために命を捧げたのです。」と、サンカラ記念委員会のリュック・ダミバ事務局長はBBCの取材に対して語った。

Map of Brukina Faso

サンカラは大統領に就任した翌年、国名をそれまでのフランス語の「オートボルタ」から、現地の主要言語(モシ語とディウラ語)で「高潔な人々の国」を意味する「ブルキナファソ」に変更した。

サンカラは、汚職摘発を徹底的に進める一方で、不足する財源を特権層だった公務員の給与削減で捻出するために自らが率先して範を示し、国家元首であるにもかかわらず月給は僅か46CFAフラン(約18万円)に過ぎなかった。また経費削減のため、公務員向けの無料官舎や公用車の支給を廃止し、自らも大衆車や公共交通機関を利用して移動した。

ブルキナファソが位置するサヘル地域では男尊女卑の風潮が根強く、農村地域では女性器切除(FGM)が一般化していたが、サンカラは、一夫多妻婚や強制結婚と共にFGMを禁止した。また自らの政権に初めて女性の閣僚を登用し、政府の要職に次々と女性を就任させるなど、女性の地位向上に努めた。

とりわけ重視されたのが教育だった。サンカラの任期中、識字率は1983年の13%から87年には73%に上昇した。また、サヘル地域で最も深刻な感染症である脳髄膜炎、ポリオ、麻疹などの予防接種を90%の子供に実施し、世界保健機関(WHO)から称賛された。

A black and white portrait of Thomas Sankara/ By unknown, Burkina Faso government – Original publication

また特権的な地主から土地を強制収用し、農地を小作農に再分配したうえで、農業技術の改良に予算を集中投下し、灌漑のための小規模ダムの建設や井戸の掘削などを進めた結果、ブルキナファソの1ha当たりの穀物収穫量は3年間で飛躍的に拡大した。これは、生産性の低さゆえに飢餓が慢性化しているサヘル地域としては、当時驚くべき成果であった。

サンカラは、アフリカ諸国に対して、国際通貨基金や世界銀行といった機関による彼が言うところの「新植民地主義」に団結して立ち向かうよう呼びかけた。「援助漬け」になってきたアフリカ人の自立を目指したサンカラは、「援助を受けるということは、援助をする国の言いなりになることだ」と述べたと言われる。

サンカラ暗殺の真相を巡っては、彼を危険人物とみなしていた旧宗主国フランスをはじめ、コートジボワール、リベリア、リビア等、外国が関与したとする憶測がある。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2017年にサンカラの死にまつわるフランス政府の機密ファイルを解除すると約束したが、ブルキナファソ政府に3回に亘って送られた機密解除資料には、サンカラが暗殺された当時フランスの大統領であったフランソワ・ミッテランとジャック・シラク首相の事務所からの書類は含まれていなかった。

「私たちは、コンパオレ政権が続いた27年を含めて長年にわたって真相が解明される機会を待ってきました。コンパオレ政権下では、サンカラの暗殺を巡る裁判を開くなど、夢にも想像できませんでした。」と弟のポール・サンカラは語った。(原文へ

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カリスマ的指導者で汎アフリカ主義の信奉者ローリングス氏を偲ぶ

「緑の万里の長城」が2030年への道を切り開く

AUKUSが投げかける4つの影

【Global Outlook=チャンイン・ムーン】

米国が主導するAUKUSは、地政学の復活による新冷戦の始まりを示唆する前兆と見なす必要がある

2021年9月15日、米国、英国、オーストラリアの首脳がワシントンで会談し、AUKUSと呼ばれる新たな安全保障協定の締結に合意した。3カ国はすでに長期にわたる同盟国であることを考えると、彼らが軍事技術を共有するさらなるパートナーシップを形成するのは驚くべきことである。それは、同盟の発展を表している。(原文へ 

協定に基づき、米国と英国はオーストラリアに少なくとも8隻の原子力潜水艦建造に必要な技術と核物質を提供することになっている。ミサイル(長距離誘導ミサイルなど)、人工知能、量子コンピューター、サイバー能力分野の技術的問題について共有および協力を行うことにより、3カ国は軍の相互運用性を向上させた。

大方の見る通り、AUKUSは、オーストラリアの防衛力を高めるだけでなく、中国の海洋進出に対抗する体制の構築を目的としている。原子力潜水艦を取得することで、オーストラリアは、自国防衛の能力だけでなく、米国の空母打撃群を守り、南シナ海、東南アジア、さらには北東アジアで中国の原子力潜水艦に対抗する能力をも獲得する。

また、英国は欧州にありながら、インド洋と太平洋における軍事的関与を計画していることを公式に表明している。

AUKUS結成が米国のインド太平洋戦略に大きく寄与するものであることは明らかだが、米国の同盟体制と地域の安全保障秩序にとって四つの大きな懸念をもたらしている。

第1の懸念は、同盟体制における序列の問題である。これは、AUKUS協定でフランスがいかに軽くあしらわれたかが示している。オーストラリアは、協定調印の直前に、フランスから640億米ドルのディーゼル電気方式の潜水艦を調達する交渉から手を引いた。

米国の同盟国については、英国とオーストラリアが集団のトップに位置し、カナダとニュージーランドがその次に来て、フランス、ドイツ、日本、韓国のような非アングロサクソン系の国が後尾につくという不満の声もある。AUKUSが引き起こした不信と反感は、米国の同盟体制に深刻な亀裂をもたらす恐れがある。

第2に、韓国は、米国政府のダブルスタンダードを嫌でも見つめ直すことになるだろう。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任以来、米国政府に対し、韓国が原子力潜水艦を取得できるよう技術的支援と核分裂性物質を提供することを求めていた。しかし、トランプ政権は、両国間の原子力協定は原子力の軍事利用を禁止しているという理由でその要請を拒絶した。

しかしAUKUSでは、米国はオーストラリアに例外を認めた。米国政府は、オーストラリアが拡散防止努力に関して透明性を維持してきたからこそ可能だったことであって、新たな例外は認めないと述べた。

韓国政府は、米国の二枚舌に動揺したに違いない。韓国の国民も同じように感じたのではないか。

第3の問題は、より大きな全体像に関連する。AUKUSは、アジア太平洋地域における軍拡競争の可能性を誘発し、拡散防止体制に関する疑念を引き起こしさえする。

確かに、この協定によってオーストラリアが取得できるようになるのは原子力潜水艦であって、核武装潜水艦ではない。核武装潜水艦であれば、話は全く違う。しかし、このような傾向は、韓国や日本のような国に、自前の原子力潜水艦を取得したいという強い誘因をもたらす可能性がある。

米国の決定への抵抗として、フランス政府は、原子力潜水艦に関して韓国との協力を積極的に模索する可能性が高い。韓国政府は、すでに国防中期計画に原子力潜水艦の建造を盛り込んでおり、フランスの動きを歓迎することはほぼ間違いない。

そのような動向は、当然ながら日本の行動にも影響を及ぼすだろう。また北京、モスクワ、ピョンヤンを苛立たせ、北東アジアにおける軍拡競争をさらに激化させる可能性もある。そのような潮流が主流になれば、北東アジアにおける拡散防止体制の深刻な弱体化を招くだろう。

最後に、AUKUSの結成は、多くの文脈において地域の安全保障秩序に大きな変化をもたらす。

AUKUSは、中国の興隆に対応して、勢力の均衡と脅威の均衡を図ろうとするバイデン政権による戦略的動きと見ることができる。これに先立つ同様の動きは、オバマ政権(アジア重視)とトランプ政権(インド太平洋戦略、4カ国戦略対話すなわちクアッド)にも見られた。

しかし、これは中国との新冷戦への道を塞ぐどころか、その方向にわれわれをいっそう押しやるばかりである。また、バイデン政権が表向きは国際的リベラリズムを支持しながらも、実際には現実主義者の構想に囚われている。

したがって、米国が主導するAUKUSは、地政学の復活による新冷戦の始まりを示唆する前兆と見なす必要がある。

このような動きを戦略的に望ましいと見ることができるだろうか? 反中感情を考えると、それは国内政治における短期的利益をワシントンにもたらすかもしれない。しかし、アジア太平洋地域の全体的秩序という観点から見ると、この動きは長期的には逆の結果をもたらす可能性がある。

だからこそわれわれは、ワシントンの発想の転換を必要としているのである。現在の彼らは、現行秩序に代わる選択肢よりも力の論理に目を向けているからである。

チャンイン・ムーン(文正仁)世宗研究所理事長。戸田記念国際平和研究所の国際研究諮問委員会メンバーでもある。

この記事は、2021年10月11日に「ハンギョレ」に最初に掲載され、許可を得て再掲載されたものです

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